• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08J
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08J
管理番号 1331190
異議申立番号 異議2015-700235  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-27 
確定日 2017-07-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5743327号発明「ポリマー用の圧縮ペレット化添加剤ブレンド」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5743327号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし8〕について訂正することを認める。 特許第5743327号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5743327号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、2009年(平成21年)12月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、2008年12月12日、米国)を国際出願日とする特許出願であって、平成27年5月15日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成27年11月27日付け(受理日:同年11月30日)で特許異議申立人 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:全請求項)がされ、当審において平成28年5月9日付けで取消理由が通知され、同年8月10日付け(受理日:同年8月12日)に特許権者 インジェニア・ポリマーズ・インコーポレイテッド(以下、「特許権者」という。)から意見書が提出されるとともに訂正の請求がされ、同年9月30日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年11月22日付け(受理日:同年11月24日)で特許異議申立人から意見書が提出され、平成29年1月13日付けで取消理由(決定の予告)(以下、「取消理由(決定の予告)」という。)が通知され、同年4月19日付け(受理日:同年4月21日)で特許権者より意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下、「本件訂正の請求」という。)がされ、同年4月25日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、同年6月13日付け(受理日:同年6月14日)で特許異議申立人より意見書が提出されたものである。
なお、平成28年8月10日付け(受理日:同年8月12日)でされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正の請求による訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「ベースポリマーの脆さを低減するための、ポリマーを含まない添加剤ブレンド」とあるのを「ベースポリマーに添加するための、減少した脆さを有する、ポリマーを含まない添加剤ブレンド」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1において、「約70重量%?約99重量%の量のベース添加剤混合物であって」とあるのを「約80重量%?約97重量%の量のベース添加剤混合物であって」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1において、「ベース添加剤混合物は一種以上のフェノール系酸化防止剤を含んでなり」とあるのを「ベース添加剤混合物はフェノール系酸化防止剤の一種以上、帯電防止剤、スリップ剤、成核剤、潤滑剤および離型材を含んでなり」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1において、「約1重量%?約30重量%の量の、金属シリケート、モンモリロナイト・ナノ粘土、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される一種以上の圧縮助剤であって、一種以上の圧縮助剤は、圧縮ミルの環境で液体に溶融しない圧縮助剤」とあるのを「約3重量%?約20重量%の量の、金属シリケート、モンモリロナイト・ナノ粘土、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される一種以上の圧縮助剤であって、一種以上の圧縮助剤は、圧縮ミルの環境で液体に溶融しない圧縮助剤」に訂正する。

また、当該請求項1を引用する請求項2ないし8も併せて訂正する。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について
訂正事項1は、「ベースポリマーの脆さを低減するための、ポリマーを含まない添加剤ブレンド」という記載では、「脆さを低減する」という事項が、「ベースポリマー」の脆さを低減することを意味しているのか、「ポリマーを含まない添加剤ブレンド」の脆さを低減することを意味しているのか、明瞭でなかったものを、「ポリマーを含まない添加剤ブレンド」の脆さを低減することであることを明確にするために、「ベースポリマーに添加するための、減少した脆さを有する、ポリマーを含まない添加剤ブレンド」とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項9の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項1の「ベース添加剤混合物」の量を「約70重量%?約99重量%」から「約80重量%?約97重量%」とするものであり、「ベース添加剤混合物」の量をさらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2は、願書に添付した明細書の【0018】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項1の「ベース添加剤混合物」が含むものを「一種以上のフェノール系酸化防止剤」から「フェノール系酸化防止剤の一種以上、帯電防止剤、スリップ剤、成核剤、潤滑剤および離型材」とするものであり、「ベース添加剤混合物」の含むものをさらに特定して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項3は、願書に添付した明細書の【0032】及び【0071】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項1の「圧縮助剤」の量を「約1重量%?約30重量%」から「約3重量%?約20重量%」とするものであり、「圧縮助剤」の量をさらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項4は、願書に添付した明細書の【0018】の記載に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)一群の請求項
本件訂正の請求による訂正は、訂正後の請求項1ないし8についての訂正であるが、訂正前の請求項2ないし8は訂正前の請求項1を引用するものであるので、訂正前の請求項1ないし8は、一群の請求項である。
したがって、本件訂正の請求は、一群の請求項に対して請求されたものである。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正の請求は、特許法第120条の5第2項第1及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3及び4項並びに同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。
そして、特許異議の申立ては、訂正前の全ての請求項に対してされているので、訂正を認める要件として、同法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
したがって、本件訂正の請求は適法なものであり、訂正後の請求項〔1ないし8〕について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1ないし8〕について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし10に係る発明(以下、順に「本件発明1」ないし「本件発明10」という。)は、平成29年4月19日付け(受理日:同年4月21日)の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
ベースポリマーに添加するための、減少した脆さを有する、ポリマーを含まない添加剤ブレンドであって、
(a)約80重量%?約97重量%の量のベース添加剤混合物であって、
ベース添加剤混合物はフェノール系酸化防止剤の一種以上、帯電防止剤、スリップ剤、成核剤、潤滑剤および離型材を含んでなり、フェノール系酸化防止剤はヒンダードフェノール系の主要な酸化防止剤であるベース添加剤混合物;および
(b)約3重量%?約20重量%の量の、金属シリケート、モンモリロナイト・ナノ粘土、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される一種以上の圧縮助剤であって、一種以上の圧縮助剤は、圧縮ミルの環境で液体に溶融しない圧縮助剤
を含んでなり、
添加剤ブレンドはポリマー担体を含まない添加剤ブレンド。
【請求項2】
一種以上の圧縮助剤が金属シリケートであり、金属シリケートが、カリウム・マグネシウム・アルミノシリケート、ナトリウム・カルシウム・アルミノシリケート、無水アルミニウムシリケート、ナトリウム・カリウム・アルミノシリケート、カルシウムシリケート、水和マグネシウムシリケート、ナトリウムアルミノシリケート、合成マグネシウム・ナトリウム・リチウム・フルオロシリケート、合成マグネシウム・ナトリウム・リチウム・ホスフェート化フルオロシリケートまたはそれらの混合物である請求項1に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。
【請求項3】
金属シリケートがカリウム・マグネシウム・アルミノシリケートであり、カリウム・マグネシウム・アルミノシリケートが金雲母、白雲母またはそれらの混合物である請求項2に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。
【請求項4】
金属シリケートが金雲母または白雲母であり、金雲母または白雲母が、添加剤ブレンドの約15?約20重量%である請求項2に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。
【請求項5】
一種以上の圧縮助剤が、
(a) モンモリロナイト粘土であり、モンモリロナイト粘土が第4級アンモニウム塩によって変性されている;
(b) 二酸化チタンであり、二酸化チタンが金属ステアレートで被覆されている;
(c) カリウム・マグネシウム・アルミノシリケートおよび二酸化チタンであり、カリウム・マグネシウム・アルミノシリケートが金雲母、白雲母またはその混合物である;または
(d) 合成非晶質シリカ
から選択されている請求項1に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。
【請求項6】
ベース添加剤混合物が、約90℃未満の溶融温度を有する請求項1に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。
【請求項7】
ポリマー樹脂を製造する方法であって、
溶融ポリマー流れを形成するためにベースポリマーを加熱すること;
添加剤含有のポリマー流れを製造するために、請求項1に記載の添加剤ブレンドを溶融ポリマー流れに加えること;
添加剤含有のポリマー流れを冷却し硬化させて、ポリマー樹脂を得る
ことを含んでなる製造方法。
【請求項8】
ベースポリマーがポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/α?オレフィン共重合体、ポリブテン-1、ポリスチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/ビニルアルコール共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体およびそれらの混合物または共重合体である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ベースポリマーに添加するための、減少した脆さを有する、ポリマーを含まない添加剤ブレンドであって、
添加剤ブレンドは、
(a) ヒンダードフェノール系の主要な酸化防止剤;
(b) エルカミド;
(c) グリセリル・モノステアレート;
(d) 安息香酸ナトリウム;
および
(e) 金雲母、白雲母、二酸化チタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される一種以上の圧縮助剤
を含んでなり、
添加剤ブレンドはポリマー担体を含まない、添加剤ブレンド。
【請求項10】
一種以上の圧縮助剤が金雲母または白雲母であり、金雲母または白雲母が添加剤ブレンドの約0.5?約20重量%であり、または一種以上の圧縮助剤が、添加剤ブレンドの約0.5%?約10重量%の酸化チタンと、添加剤ブレンドの約0.5%?約10重量%の金雲母、白雲母またはその混合物との混合物である請求項9に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。」

2 取消理由(決定の予告)の概要
取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。

(1)取消理由1(進歩性)
本件特許の請求項1ないし8に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないから、同法第113条第2号に該当し、本件特許の請求項1ないし8に係る特許は取り消すべきものである。

甲第1号証:特表2002-512287号公報(甲第1号証は、平成27年11月27日付け(受理日:同年11月30日)で、特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に添付されたものであり、以下、「甲1」という。)

(2)取消理由2(サポート要件)
本件特許の請求項1ないし8に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

3 取消理由1(進歩性)についての判断
(1)甲1の記載等
ア 甲1の記載
甲1には、「ポリマー製造用の粘着防止剤および添加剤の粒状組成物」に関して、次の記載(以下、総称して「甲1の記載」という。)がある。

・「【特許請求の範囲】
【請求項1】下記のものを含む粒状体:
a)平均粒径2?15ミクロン、比細孔容積0.3?2.0ml/g、比表面積(BET)200?1000m^(2)/gを有する、5?60重量%濃度の微粉砕ケイ酸ゲル(A)、
あるいは
b)ナトリウムおよび/またはカリウムおよび/またはカルシウムカチオンを含有する、粒径1?25ミクロンの、5?75重量%濃度の水和または脱水アルミノケイ酸塩(B)、
ならびに
c)25?95重量%濃度であり、ただしケイ酸の細孔ならびにケイ酸粒子およびアルミノケイ酸塩粒子の間の空間をすべて満たすのに必要なものより少なくとも5%多い(油吸着法により測定)有機添加剤組成物(C)。
【請求項2】 有機組成物(C)が下記の成分のうち1以上を含む、請求項1に記載の粒状体:
i)脂肪酸アミドの群からの滑剤;
ii)立体障害フェノール、第二級アリールアミンの群からの一次酸化防止剤;
iii)リン組成物、チオエステル、ヒドロキシルアミンの群からの二次酸化防止剤;
iv)アンモニウム塩、グリセリンエステル、アニオン化合物の群からの帯電防止剤;
v)ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、”HALS”(”立体障害アミン系光安定剤”)の群からの光安定剤;
vi)ハロゲン化有機化合物、金属水和物の群からの難燃剤;
vii)フタラート、モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステルの群からの軟化剤。」

・「【0001】
本発明は、ポリマーフィルム製造用の新規タイプの添加剤、特に:
a)1以上のポリマーフィルム製造用添加剤、および
b)微粉砕ケイ酸またはアルミノケイ酸塩
を含む粒状体(granulate)に関する。
【0002】
この粒状体は、たとえばポリオレフィンの加工およびポリオレフィンフィルムの製造における添加剤として適する。
ポリオレフィンフィルムの製造に際し、最終フィルムの各種特性に寄与するために数種の添加剤が必要であることは知られている。それらはたとえば下記のものである:
i)粘着防止剤、たとえば微粒状のケイソウ土、ケイ酸、シリカゲル;
ii)滑剤、たとえば脂肪酸アミド、特にオレイン酸アミドおよびエルカ酸アミド;
iii)立体障害フェノール、第二級アリールアミンなどの群からの一次酸化防止剤;
iv)リン組成物、チオエステル、ヒドロキシルアミンなどの群からの二次酸化防止剤;
v)アンモニウム塩、グリセリンエステル、アニオン化合物などの群からの帯電防止剤;
vi)ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、”HALS”(”Sterically Hindered Amines Light Stabilizer,立体障害アミン系光安定剤”)などの群からの光安定剤;
vii)ハロゲン化有機化合物、金属水和物などの群からの難燃剤;
viii)フタラート、モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステルなどの群からの軟化剤。」

・「【0010】
本発明の特許請求の範囲に記載するとおり、この目的は下記のものを含むことを特徴とする粒状組成物により達成される:
a)平均粒径2?15ミクロン、好ましくは5?20ミクロン、比細孔容積(specific pore volume)0.3?2.0ml/g、好ましくは0.5?1.5ml/g、比表面積(BET)200?1000m^(2)/g、好ましくは200?800m^(2)/gを有する、5?60重量%、好ましくは10?50重量%、特に15?45重量%濃度の微粉砕ケイ酸ゲル(A)、
あるいは
b)ナトリウムおよび/またはカリウムおよび/またはカルシウムカチオンを含有する、平均粒径1?25ミクロンの、5?75重量%、好ましくは10?60重量%、特に15?50重量%濃度の水和または脱水アルミノケイ酸塩(B)、
ならびに
c)25?95重量%、好ましくは40?90重量%、特に50?85重量%濃度であり、ただしケイ酸の細孔ならびにケイ酸粒子およびアルミノケイ酸塩粒子の間の空間をすべて満たすのに必要なものより少なくとも5%多い(油吸着法により測定)有機添加剤組成物(C)。
【0011】
本発明の特許請求の範囲に記載する組成物は、ポリマー中において個々の成分と同程度に良好な分散性をもつ。有機組成物(C)は下記の成分のうち1以上を任意の割合で含むことができる:
i)脂肪酸アミドの群からの滑剤;
ii)立体障害フェノール、第二級アリールアミンなどの群からの一次酸化防止剤;
iii)リン組成物、チオエステル、ヒドロキシルアミンなどの群からの二次酸化防止剤;
iv)アンモニウム塩、グリセリンエステル、アニオン化合物などの群からの帯電防止剤;
v)ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、”HALS”(”立体障害アミン系光安定剤”)などの群からの光安定剤;
vi)ハロゲン化有機化合物、金属水和物の群などからの難燃剤;
vii)フタラート、モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステルなどの群からの軟化剤。」

・「【0013】
本発明の利点は下記のとおりである:
-押出機中で配合するだけですべての添加剤をペレット状にすることができる
-成分をより厳密に配合できる;
-最終用途での加工に際し、粉塵が発生しない;
-無定形ケイ酸および添加剤の単なる物理的混合物のものよりペレットの嵩密度が高い(したがって輸送および製造の経費がより低い);
-ポリマー素材中への添加剤の分散性が良好である。」

・「【0017】
例2
ケイ酸および添加剤組成物のペレット
500・1ヘンシェル(Henscher)ミキサー(FM 500型)によりすべての添加剤を回転速度840/分で2.5分間混合することによって、予備混合物を調製した。組成は下記のとおりであった:
【0018】
・・・(略)・・・
【0019】
この予備混合物を、重量ブラベンダー配合式二軸スクリュー押出機(ゼイソン型DN 60)の第1供給帯域に計量装入した(90.2kg/時)。第4押出機帯域で、追加量の無定形ケイ酸24.3%または29.8kg/時を添加した。得られた最終組成は下記のとおりであった:
【0020】
【表3】

【0021】
ゼイソンDN 60押出機をウォーム(スクリュー)回転速度350/分および全押出量120kg/時ならびに下記の温度プロフィルで操作した:
【0022】
・・・(略)・・・
【0023】
得られた融点は147℃であった。
押出物を、押出機のキャスティングヘッド上にある直径各4mmの7孔ノズルプレートから押出した。押出物を水流によりグラニュレーター内へ案内した。グラニュレーターは、ストランドを回転ブレードへ輸送するための2本のロールを含んでいた。次いでペレット状予備混合物を流動床乾燥機(空気温度35℃、滞留時間20秒)で乾燥およびふるい分けし、微細部分(<2mm)および粗大部分(>6mm)を除去した。全収率は80%であった。分散性を例5に記載する。」

・「【0029】
例5
分散性
ポリオレフィン中におけるケイ酸の分散性の品質を調べるために、分散性試験を行った。ほぼ30ミクロンの厚さのポリプロピレンフィルムを製造するために、例1?4に従って調製したケイ酸含有組成物を用いた。
【0030】
二軸スクリュー押出機(ゼイソンTSK 30/40D)により、ケイ酸5重量%の濃度になるように添加剤組成物を含有するポリプロピレン(ソルベイHV 001PF)中のマスターバッチを調製する。ポリプロピレン粉末を第1押出帯域へ、添加剤組成物を第3押出帯域へ計量装入した。押出条件は下記のとおりであった:
【0031】
【表6】

【0032】
直径4mmの押出ストランドを水浴で冷却し、次いでグラニュレーター(ストランドグラニュレーターシリーズ750/1)内で造粒した。
キーフェル(Kiefel)押出機を用いて、ケイ酸濃度2000ppmのガスト(Gast)ポリプロピレンフィルムを製造した。予め調製したマスターバッチを、目的濃度2000ppmになるまでポリプロピレン(マンテル(Mantel)K 6100)で希釈した。ケイ酸粒子を含有しないブランク試験と比較した”ニブ”(分散していないケイ酸粒子)数を測定するために、厚さ40ミクロンのフィルムを用いた。
【0033】
20×5cmのシート上にある直径>0.5mmのニブを計数し、次いでこれらの数値を1m^(2)に換算した。
標準化フィルムシリーズに対比して評価を行った。分散性標準を下記のように評価した:
特性1=きわめて良好、ほぼ全く表面欠陥がない
特性2=合格、欠陥はほとんどない
特性3=不合格、幾つかの表面欠陥がある
特性4=不良、フィルム表面は欠陥に満ちている。
【0034】
例1?4に記載したケイ酸を含む添加剤組成物から製造したフィルムのパターンにより、上記の評価に従って下記の結果が得られた:
【0035】
・・・(略)・・・」

・「【0038】
【表8】



イ 甲1に記載された発明
甲1の記載を整理すると、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。

「粉塵なしという特性を有する添加剤の粒状組成物であって、
25?95重量%の有機添加剤組成物(C)であって、有機添加剤組成物(C)は立体障害フェノールからの一次酸化防止剤を含んでいる有機添加剤組成物(C)、
5?60重量%の所定の平均粒径、比細孔容積、比表面積を有する微粉砕ケイ酸ゲル(A)、あるいは、
5?75重量%のナトリウム及び/又はカリウム及び/又はカルシウムカチオンを含有する、所定の平均粒径を有する水和又は脱水アルミノケイ酸塩(B)
を含んでいる、
粒状組成物。」

(2)対比・判断
ア 本件発明1について
(ア)対比
甲1発明における「粉塵なしという特性を有する添加剤の粒状組成物」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件発明1における「ベースポリマーに添加するための、減少した脆さを有する、ポリマーを含まない添加剤ブレンド」と、「ベースポリマーに添加するための、ポリマーを含まない添加剤ブレンド」という限りにおいて一致する。
また、甲1発明における「立体障害フェノールからの一次酸化防止剤」は、具体的には「イルガノックス1010」であり、甲1発明における「25?95重量%」は本件発明1における「約80重量%?約97重量%」と一部重複一致するから、甲1発明における「25?95重量%の有機添加剤組成物(C)であって、有機添加剤組成物(C)は立体障害フェノールからの一次酸化防止剤を含んでいる有機添加剤組成物(C)」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件発明1における「(a)約80重量%?約97重量%の量のベース添加剤混合物であって、
ベース添加剤混合物はフェノール系酸化防止剤の一種以上、帯電防止剤、スリップ剤、成核剤、潤滑剤および離型材を含んでなり、フェノール系酸化防止剤はヒンダードフェノール系の主要な酸化防止剤であるベース添加剤混合物」と「(a)約80重量%?約97重量%の量のベース添加剤混合物であって、
ベース添加剤混合物はフェノール系酸化防止剤の一種以上を含んでなり、フェノール系酸化防止剤はヒンダードフェノール系の主要な酸化防止剤であるベース添加剤混合物」という限りにおいて一致する。
さらに、甲1発明における「5?60重量%」及び「5?75重量%」は本件発明1における「約3重量%?約20重量%」と重複一致するから、甲1発明における「5?60重量%の所定の平均粒径、比細孔容積、比表面積を有する微粉砕ケイ酸ゲル(A)、あるいは、
5?75重量%のナトリウム及び/又はカリウム及び/又はカルシウムカチオンを含有する、所定の平均粒径を有する水和又は脱水アルミノケイ酸塩(B)」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本件発明1における「(b)約3重量%?約20重量%の量の、金属シリケート、モンモリロナイト・ナノ粘土、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される一種以上の圧縮助剤であって、一種以上の圧縮助剤は、圧縮ミルの環境で液体に溶融しない圧縮助剤」に相当する。
したがって、本件発明1と甲1発明は、次の点で相違し、それ以外には実質的な相違点はない。

<相違点1>
「ベースポリマーに添加するための、ポリマーを含まない添加剤ブレンド」に関して、本件発明1においては、「減少した脆さを有する」であるのに対して、甲1発明においては、「粉塵なしという特性を有する」である点。

<相違点2>
「ベース添加剤混合物」に関して、本件発明1においては、「ベース添加剤混合物はフェノール系酸化防止剤の一種以上、帯電防止剤、スリップ剤、成核剤、潤滑剤および離型材」を含むことを特定するのに対し、甲1発明においては、「有機添加剤組成物(C)は立体障害フェノールからの一次酸化防止剤」を含むことのみを特定する点。

(イ)判断
本件発明1においては、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を有することにより、「ポリマーを含まない添加剤ブレンド」が「減少した脆さを有する」という効果に相当する相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を有するものである。
他方、甲1発明においては、「添加剤の粒状組成物」が「粉塵なしという特性を有する」という効果に相当する発明特定事項を有するものであるが、甲1発明における「粉塵なしという特性」は、「添加剤の粒状組成物」自体が、運搬や途中での扱いの際に、粉塵を発生しないという特性のことなのか、ポリオレフィンの加工およびポリオレフィンフィルムの製造といった最終加工において、添加剤として使用した際に、粉塵を発生しないという特性のことなのか、2とおりの解釈があり得る。そして、甲1の【0013】及び【0038】の【表8】の記載からみて、甲1発明における「粉塵なしという特性」は、「添加剤の粒状組成物」自体が、運搬や途中での扱いの際に、粉塵を発生しないという特性のことではなく、むしろ、ポリオレフィンの加工およびポリオレフィンフィルムの製造といった最終加工において、添加剤として使用した際に、粉塵が発生しないという特性であると解するのが自然であり、本件発明1における「ポリマーを含まない添加剤ブレンド」が「減少した脆さを有する」という効果とは異なる効果であるというべきである。
したがって、本件発明1における「ポリマーを含まない添加剤ブレンド」が「減少した脆さを有する」という効果は、甲1発明からみて、予想外の格別顕著な効果であるといえる。
してみると、ベースポリマーに、フェノール系酸化防止剤に加えて、帯電防止剤、スリップ剤、成核剤、潤滑剤及び離型材等の添加剤を添加することが、通常行われていることであり、また、これらの添加剤をまとめて添加することも通常行われていることであるとしても、甲1発明において、フェノール系酸化防止剤に加えて、帯電防止剤、スリップ剤、成核剤、潤滑剤及び離型材等の添加剤をまとめて添加するようにして、相違点1及び2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

(ウ)まとめ
以上のとおり、甲1発明において、相違点1及び2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 本件発明2ないし8について
本件発明2ないし8は、請求項1を引用するものであり、本件発明1をさらに限定したものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)取消理由1(進歩性)についてのまとめ
以上のとおり、本件発明1ないし8は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、その特許は、同法第113条第2号に該当せず、取り消すことはできない。

4 取消理由2(サポート要件)についての判断
本件発明1ないし8は、添加剤ブレンドに関するものであって、本件特許の請求項1文頭の「ベースポリマーに添加するための、減少した脆さを有する、ポリマーを含まない添加剤ブレンド」との記載から明らかなとおり、「減少した脆さを有する」という添加剤ブレンド自体の特性を達成することを課題とした添加剤ブレンドに関するものである。
そして、本件特許の願書に添付した明細書には、本件発明1ないし8の実施例が「減少した脆さを有する」という特性を達成することが、具体的なデータをもってして記載されている。
したがって、本件発明1ないし8は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲内のものであり、発明の詳細な説明に記載された発明である。
よって、本件発明1ないし8に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものではなく、その特許は、同法第113条第4号に該当せず、取り消すことはできない。

5 特許異議申立書に記載した特許異議申立理由の内、取消理由(決定の予告)において、取消理由として採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立書に記載した特許異議申立理由の内、取消理由(決定の予告)において、取消理由として採用しなかった特許異議申立理由は、おおむね次の(1)ないし(4)のとおりである。
また、特許異議申立書においては、甲1以外に、次の文献も挙げられている。
甲第2号証:岩波 理化学辞典 第5版、第53、121及び122ページ、1998年4月24日発行、岩波書店
甲第3号証:特許異議申立人 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアによる甲第1号証の例2の再現実験データ、2014年1月30日
甲第4号証:岩波 理化学辞典 第5版、第530及び531ページ、1998年4月24日発行、岩波書店
甲第5号証:米国特許第5,686,513号明細書
甲第6号証:東京化成工業株式会社のホームページから2015年7月23日付けでプリントアウトした2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾールの製品データ(http://www.tcichemicals.com/eshop/ja/jp/comodity/D0228/)
甲第7号証:国際公開第2008/103560号
甲第8号証:アルベマール コーポレーション(ALBEMARLE CORPORATION)の製品カタログ(酸化防止剤)の写し
甲第9号証:米国特許第6,800,228号明細書
甲第10号証:米国特許第5,176,751号明細書
甲第11号証:特開平5-179056号公報
甲第12号証:特表2004-526022号公報
甲第13号証:米国特許第6,596,198号明細書
甲第14号証:本件特許に対応する欧州特許の包袋書類の一つとして欧州特許庁のウェブサイト上に2014年2月10日付けで掲載されたことにより入手可能となった、本件特許に対応する欧州特許の異議申立人であるPolyAd Services社による本件特許の実施例の再現実験データ
(以下、順に「甲2」ないし「甲14」という。)

(1)本件発明1ないし8についての甲1ないし14に基づく新規性進歩性違反(特許法第29条第1項第3号及び第2項)(取消理由(決定の予告)で採用したものを除く)
(2)本件発明9及び10についての甲1ないし14に基づく進歩性違反(特許法第29条第2項)
(3)本件発明9及び10についてのサポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)
(4)本件発明1ないし10についての実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号)

そこで、検討する。
(1)本件発明1ないし8についての甲1ないし14に基づく新規性進歩性違反(特許法第29条第1項第3号及び第2項)(取消理由(決定の予告)で採用したものを除く)について
上記第3 3(2)ア(ア)で指摘した相違点1及び2に係る本件発明1ないし8の発明特定事項については、甲1ないし14の何れにも記載されていないし、本件特許の優先日前において周知でもない。
したがって、本件発明1ないし8についての甲1ないし14に基づく新規性進歩性違反は理由がない。

(2)本件発明9及び10についての甲1ないし14に基づく進歩性違反(特許法第29条第2項)について
本件発明9及び10は、「(a) ヒンダードフェノール系の主要な酸化防止剤」、「(b) エルカミド」、「(c) グリセリル・モノステアレート」、「(d) 安息香酸ナトリウム」及び「(e) 金雲母、白雲母、二酸化チタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される一種以上の圧縮助剤」を組み合わせて使用することを、その発明特定事項とするものであるが、甲1ないし14のいずれにも、そのようなことは記載されていないし、本件特許の優先日前において周知でもない。
したがって、本件発明9及び10についての甲1ないし14に基づく進歩性違反は理由がない。

(3)本件発明9及び10についてのサポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)について
本件発明9及び10は、添加剤ブレンドに関するものであって、本件特許の請求項9文頭の「ベースポリマーに添加するための、減少した脆さを有する、ポリマーを含まない添加剤ブレンド」との記載から明らかなとおり、「減少した脆さを有する」という添加剤ブレンド自体の特性を達成することを課題とした添加剤ブレンドに関するものである。
そして、本件特許の願書に添付した明細書には、本件発明9及び10の実施例が「減少した脆さを有する」という特性を達成することが、具体的なデータをもってして記載されている。
したがって、本件発明9及び10は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲内のものであり、発明の詳細な説明に記載された発明ではないとはいえず、本件発明9及び10についてのサポート要件違反は理由がない。

(4)本件発明1ないし10についての実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号)
本件特許の願書に添付した明細書には、本件発明1ないし10についての実施例が「減少した脆さを有する」という添加剤ブレンド自体の特性を有することが、具体的なデータをもってして記載されている。
したがって、本件発明1ないし10は、発明の詳細な説明において当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえず、本件発明1ないし10についての実施可能要件違反は理由がない。

よって、上記特許異議申立理由(1)ないし(4)は、いずれも理由がない。

第4 結語
上記第3のとおりであるから、取消理由(決定の予告)及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1ないし10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースポリマーに添加するための、減少した脆さを有する、ポリマーを含まない添加剤ブレンドであって、
(a)約80重量%?約97重量%の量のベース添加剤混合物であって、
ベース添加剤混合物はフェノール系酸化防止剤の一種以上、帯電防止剤、スリップ剤、成核剤、潤滑剤および離型剤を含んでなり、フェノール系酸化防止剤はヒンダードフェノール系の主要な酸化防止剤であるベース添加剤混合物;および
(b)約3重量%?約20重量%の量の、金属シリケート、モンモリロナイト・ナノ粘土、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される一種以上の圧縮助剤であって、一種以上の圧縮助剤は、圧縮ミルの環境で液体に溶融しない圧縮助剤
を含んでなり、
添加剤ブレンドはポリマー担体を含まない添加剤ブレンド。
【請求項2】
一種以上の圧縮助剤が金属シリケートであり、金属シリケートが、カリウム・マグネシウム・アルミノシリケート、ナトリウム・カルシウム・アルミノシリケート、無水アルミニウムシリケート、ナトリウム・カリウム・アルミノシリケート、カルシウムシリケート、水和マグネシウムシリケート、ナトリウムアルミノシリケート、合成マグネシウム・ナトリウム・リチウム・フルオロシリケート、合成マグネシウム・ナトリウム・リチウム・ホスフェート化フルオロシリケートまたはそれらの混合物である請求項1に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。
【請求項3】
金属シリケートがカリウム・マグネシウム・アルミノシリケートであり、カリウム・マグネシウム・アルミノシリケートが金雲母、白雲母またはそれらの混合物である請求項2に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。
【請求項4】
金属シリケートが金雲母または白雲母であり、金雲母または白雲母が、添加剤ブレンドの約15?約20重量%である請求項2に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。
【請求項5】
一種以上の圧縮助剤が、
(a)モンモリロナイト粘土であり、モンモリロナイト粘土が第4級アンモニウム塩によって変性されている;
(b)二酸化チタンであり、二酸化チタンが金属ステアレートで被覆されている;
(c)カリウム・マグネシウム・アルミノシリケートおよび二酸化チタンであり、カリウム・マグネシウム・アルミノシリケートが金雲母、白雲母またはその混合物である;または
(d)合成非晶質シリカ
から選択されている請求項1に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。
【請求項6】
ベース添加剤混合物が、約90℃未満の溶融温度を有する請求項1に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。
【請求項7】
ポリマー樹脂を製造する方法であって、
溶融ポリマー流れを形成するためにベースポリマーを加熱すること;
添加剤含有のポリマー流れを製造するために、請求項1に記載の添加剤ブレンドを溶融ポリマー流れに加えること;
添加剤含有のポリマー流れを冷却し硬化させて、ポリマー樹脂を得る
ことを含んでなる製造方法。
【請求項8】
ベースポリマーがポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/α?オレフィン共重合体、ポリブテン-1、ポリスチレン、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/ビニルアルコール共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体およびそれらの混合物または共重合体である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ベースポリマーに添加するための、減少した脆さを有する、ポリマーを含まない添加剤ブレンドであって、
添加剤ブレンドは、
(a)ヒンダードフェノール系の主要な酸化防止剤;
(b)エルカミド;
(c)グリセリル・モノステアレート;
(d)安息香酸ナトリウム;
および
(e)金雲母、白雲母、二酸化チタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される一種以上の圧縮助剤
を含んでなり、
添加剤ブレンドはポリマー担体を含まない、添加剤ブレンド。
【請求項10】
一種以上の圧縮助剤が金雲母または白雲母であり、金雲母または白雲母が添加剤ブレンドの約0.5?約20重量%であり、または一種以上の圧縮助剤が、添加剤ブレンドの約0.5%?約10重量%の酸化チタンと、添加剤ブレンドの約0.5%?約10重量%の金雲母、白雲母またはその混合物との混合物である請求項9に記載の、ポリマーを含まない添加剤ブレンド。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-06-29 
出願番号 特願2011-540863(P2011-540863)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C08J)
P 1 651・ 121- YAA (C08J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松岡 美和深谷 陽子久保田 葵  
特許庁審判長 守安 智
特許庁審判官 加藤 友也
大島 祥吾
登録日 2015-05-15 
登録番号 特許第5743327号(P5743327)
権利者 インジェニア・ポリマーズ・インコーポレイテッド
発明の名称 ポリマー用の圧縮ペレット化添加剤ブレンド  
代理人 特許業務法人IPyS特許事務所  
代理人 礒山 朝美  
代理人 特許業務法人IPyS特許事務所  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ