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審決分類 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:857  H01L
管理番号 1331194
異議申立番号 異議2016-701165  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-12-21 
確定日 2017-07-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5938584号発明「太陽電池モジュール」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5938584号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第5938584号の請求項4に係る特許を維持する。 特許第5938584号の請求項1ないし3に係る特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5938584号の請求項1ないし4に係る特許についての出願は、2011年9月26日に国際特許出願(国内優先権主張 2010年9月28日)され、平成28年5月27日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人日置綾子により特許異議の申立てがされたものであり、以後の経緯は以下のとおりである。

平成29年2月13日 取消理由通知(同年2月15日発送)
平成29年3月31日 訂正請求書・意見書(特許権者)
平成29年4月19日 通知書(平成29年4月21日発送)

合議体は、平成29年4月19日付け通知書において、取消理由通知の写し、訂正の請求書及びこれに添付された訂正した特許請求の範囲の副本、取消理由通知に対応する特許権者の意見書副本を特許異議申立人に送付し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許異議申立人から意見書の提出はなかった。

第2 訂正の適否
1 請求項の記載
願書に添付した特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。
「【請求項1】
複数の太陽電池が封止材により表面部材と裏面部材との間に封止された矩形状の太陽電池パネルと、
この太陽電池パネルの周縁部を支持するフレームと、を備え、
前記フレームは、太陽電池パネルの一対の短辺側に沿って設けられる第一のフレームと一対の長辺側に沿って設けられる第二のフレームで構成され、
前記第一のフレームと前記第二のフレームは、それぞれ、短手方向における断面が矩形形状の中空構造を備える第一および第二の本体部と、前記第一および第二の本体部の上部にそれぞれ位置し前記太陽電池パネルの周縁部が嵌め込まれる第一および第二の嵌合部と、前記第一のフレームの底面部と共通している前記第一の本体部の底面部および前記第二のフレームの底面部と共通している前記第二の本体部の底面部にそれぞれ連接し、かつ前記太陽電池パネルの周縁部から内側に向かう方向に延びた第一および第二の内鍔部と、を有し、
前記第一のフレームの長手方向における前記第一の本体部と前記第一の嵌合部と前記第一の内鍔部の端面と、前記第二のフレームの長手方向における前記第二の本体部と前記第二の嵌合部と前記第二の内鍔部の端面とがそれぞれ係合している、
太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記フレームは、前記第一の本体部の底面部に連接し前記太陽電池パネルの周縁部から外側に向かう方向に延びた鍔部を有する、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記太陽電池パネルの周縁部と前記フレームの前記第一および第二の嵌合部との間に挿入され、前記太陽電池パネルを前記フレームの前記第一および第二の嵌合部に固定するパッキンと、をさらに備え、
前記太陽電池パネルの周縁部は、前記パッキンを介して前記第一および第二の嵌合部に嵌め込まれることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記太陽電池パネルの裏面側に配置されるパッキンは、表面側に配置されるパッキンよりも、前記太陽電池パネルの周縁部から内側に向かう方向において長く形成されている、請求項3に記載の太陽電池モジュール。」

2 訂正の内容
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4の記載を
「複数の太陽電池が封止材により表面部材と裏面部材との間に封止された矩形状の太陽電池パネルと、
この太陽電池パネルの周縁部を支持するフレームと、
緩衝作用を有する絶縁性樹脂材料からなるパッキンと、
を備え、
前記フレームは、太陽電池パネルの一対の短辺側に沿って設けられる第一のフレームと一対の長辺側に沿って設けられる第二のフレームで構成され、
前記第一のフレームと前記第二のフレームは、それぞれ、短手方向における断面が矩形形状の中空構造を備える第一および第二の本体部と、前記第一および第二の本体部の上部にそれぞれ位置し前記パッキンを介して前記太陽電池パネルの周縁部が嵌め込まれる第一および第二の嵌合部と、前記第一のフレームの底面部と共通している前記第一の本体部の底面部および前記第二のフレームの底面部と共通している前記第二の本体部の底面部にそれぞれ連接し、かつ前記太陽電池パネルの周縁部から内側に向かう方向に延びた第一および第二の内鍔部と、を有し、
前記第一のフレームの長手方向における前記第一の本体部と前記第一の嵌合部と前記第一の内鍔部の端面と、前記第二のフレームの長手方向における前記第二の本体部と前記第二の嵌合部と前記第二の内鍔部の端面とがそれぞれ係合しており、
前記フレームは、前記第一の本体部の底面部および前記第二の本体部の底面部とそれぞれ対向する第一の上面部および第二の上面部の前記太陽電池パネルの内側方向の端部には、内側方向に延びる鍔部を備えておらず、
前記パッキンは、前記太陽電池パネルの周縁部を覆い、かつ、所定の割合に圧縮された状態で、前記太陽電池パネルの周縁部と前記フレームの前記第一および第二の嵌合部との間に挿入され、前記太陽電池パネルを前記フレームの前記第一および第二の嵌合部に固定し、
前記太陽電池パネルの裏面側に当該裏面と接触した状態で配置されるパッキンは、表面側に配置されるパッキンよりも、前記太陽電池パネルの周縁部から内側に向かう方向において長く形成されており、かつ、前記第一および第二の上面部の前記太陽電池パネルの内側方向の端部よりも前記内側方向に突出し、前記複数の太陽電池のうち前記太陽電池パネルの周縁部側に位置する太陽電池と前記太陽電池パネルの厚み方向に重なっている、太陽電池モジュール。」
に訂正する。

3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
特許請求の範囲の請求項1を削除する訂正の目的は、「特許請求の範囲の減縮」である。そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
特許請求の範囲の請求項2を削除する訂正の目的は、「特許請求の範囲の減縮」である。そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3について
特許請求の範囲の請求項3を削除する訂正の目的は、「特許請求の範囲の減縮」である。そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項4について
ア 訂正事項4は、以下の訂正事項からなる。
(ア)特許請求の範囲の請求項4は請求項3の記載を引用し、請求項3は請求項1の記載を引用するところ、請求項4の記載を、請求項1、3の記載を引用しないものとする訂正事項(以下「訂正事項4-1」という。)

(イ)「パッキン」について、「緩衝作用を有する絶縁性樹脂材料からなる」との発明特定事項を追加する訂正事項(以下「訂正事項4-2」という。)

(ウ)「フレーム」について、「前記フレームは、前記第一の本体部の底面部および前記第二の本体部の底面部とそれぞれ対向する第一の上面部および第二の上面部の前記太陽電池パネルの内側方向の端部には、内側方向に延びる鍔部を備えておらず、」との発明特定事項を追加する訂正事項(以下「訂正事項4-3」という。)

(エ)「太陽電池パネルの周縁部とフレームの第一および第二の嵌合部との間に挿入され、前記太陽電池パネルを前記フレームの前記第一および第二の嵌合部に固定するパッキン」について、「太陽電池パネルの周縁部を覆い、かつ、所定の割合に圧縮された状態で」との発明特定事項を追加する訂正事項(以下「訂正事項4-4」という。)

(オ)「太陽電池パネルの裏面側に配置されるパッキン」について、「当該裏面と接触した状態で」であるとの発明特定事項を追加する訂正事項(以下「訂正事項4-5」という。)

(カ)「太陽電池パネルの裏面側に配置されるパッキン」について、「かつ、前記第一および第二の上面部の前記太陽電池パネルの内側方向の端部よりも前記内側方向に突出し、前記複数の太陽電池のうち前記太陽電池パネルの周縁部側に位置する太陽電池と前記太陽電池パネルの厚み方向に重なっている」との発明特定事項を追加する訂正事項(以下「訂正事項4-6」という。)

イ 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について検討する。
(ア)訂正事項4-1の訂正の目的は、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」に該当する。そして、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(イ)訂正事項4-2の訂正の目的は、「パッキン」の材料に関する特定事項を追加する訂正事項であるから、「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
そして、願書に添付した明細書には、
「【0024】
このパッキン40を構成する材料は、緩衝作用を有する絶縁性樹脂材料から選択される。」(注:下線は、当審が付加した。以下、同様である。)
との記載があるから、訂正事項4-2は、新規事項を追加するものではない。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)訂正事項4-3の訂正の目的は、「フレーム」の形状に関する特定事項を追加する訂正事項であるから、「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
そして、願書に添付した図面の図6より、フレームは、第一の本体部の底面部および第二の本体部の底面部とそれぞれ対向する第一の上面部および第二の上面部の太陽電池パネルの内側方向の端部は、内側方向に延びる鍔部を備えていないことが看て取れるから、訂正事項4-3は、新規事項を追加するものではない。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(エ)訂正事項4-4の訂正の目的は、「太陽電池パネルの周縁部とフレームの第一および第二の嵌合部との間に挿入され、前記太陽電池パネルを前記フレームの前記第一および第二の嵌合部に固定するパッキン」の配置状態に関する特定事項を追加する訂正事項であるから、「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
そして、願書に添付した明細書には、
「【0041】
これにより、パッキン40がフレーム20の嵌合部22に狭まれて、太陽電池モジュール10の周縁部が、パッキン40を介してフレーム20に固定される。
【0042】
なお、フレーム20によるパッキン40の支持によって、パッキン40は、元の容積に対して、所定の割合に圧縮されることが好ましい。」
との記載があるから、訂正事項4-4は、新規事項を追加するものではない。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(オ)訂正事項4-5の訂正の目的は、「太陽電池パネルの裏面側に配置されるパッキン」の状態に関する特定事項を追加する訂正事項であるから、「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
そして、願書に添付した図面の図6より、パッキン40のうち、太陽電池パネルの裏面側に配置された部分が太陽電池パネル10の裏面と接触した状態で配置されている構成が看て取れるから、訂正事項4-3は、新規事項を追加するものではない。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(カ)訂正事項4-6の訂正の目的は、「太陽電池パネルの裏面側に配置されるパッキン」について、太陽電池パネルが備える太陽電池との位置関係に関する特定事項を追加する訂正事項であるから、「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
そして、願書に添付した明細書には、
「【0046】
図6に示すように、第2の実施形態は、裏面部材13側に配置されるパッキン40の裏面部40bは、表面部材12側に配置されるパッキン40の表面部40aよりも、太陽電池パネル10の周端部から内側に向かう方向に長く形成される。具体的には、裏面部材13に配置されるパッキン40の裏面部40bは、表面部材12側に配置されるパッキン40の表面部40aより、例えば、1?30mm、好ましくは、10?20mm長く形成される。このように、裏面部40bを長く形成することで、太陽電池11とフレーム20との間の絶縁性が大きくなる。」
との記載があること、そして、願書に添付した図面の図6より、パッキン40の裏面部40bが、太陽電池パネル10の周縁部側に位置する太陽電池11と太陽電池パネル10の厚み方向に重なっている構成が看て取れることから、訂正事項4-6は、新規事項を追加するものではない。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

4 一群の請求項について
訂正前の請求項1?4は一群の請求項であるところ、本件訂正請求は、当該一群の請求項毎に訂正を請求するものである。よって、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求に係る訂正事項1?4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第4項、及び第9項で準用する第126条第4項?第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1?4]について訂正を認める。

第3 特許異議申立てについて
1 本件発明4
本件訂正請求により訂正された請求項4に係る発明は、その請求項4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、請求項1?3は、上記第2のとおり、削除されている。
「複数の太陽電池が封止材により表面部材と裏面部材との間に封止された矩形状の太陽電池パネルと、
この太陽電池パネルの周縁部を支持するフレームと、
緩衝作用を有する絶縁性樹脂材料からなるパッキンと、
を備え、
前記フレームは、太陽電池パネルの一対の短辺側に沿って設けられる第一のフレームと一対の長辺側に沿って設けられる第二のフレームで構成され、
前記第一のフレームと前記第二のフレームは、それぞれ、短手方向における断面が矩形形状の中空構造を備える第一および第二の本体部と、前記第一および第二の本体部の上部にそれぞれ位置し前記パッキンを介して前記太陽電池パネルの周縁部が嵌め込まれる第一および第二の嵌合部と、前記第一のフレームの底面部と共通している前記第一の本体部の底面部および前記第二のフレームの底面部と共通している前記第二の本体部の底面部にそれぞれ連接し、かつ前記太陽電池パネルの周縁部から内側に向かう方向に延びた第一および第二の内鍔部と、を有し、
前記第一のフレームの長手方向における前記第一の本体部と前記第一の嵌合部と前記第一の内鍔部の端面と、前記第二のフレームの長手方向における前記第二の本体部と前記第二の嵌合部と前記第二の内鍔部の端面とがそれぞれ係合しており、
前記フレームは、前記第一の本体部の底面部および前記第二の本体部の底面部とそれぞれ対向する第一の上面部および第二の上面部の前記太陽電池パネルの内側方向の端部には、内側方向に延びる鍔部を備えておらず、
前記パッキンは、前記太陽電池パネルの周縁部を覆い、かつ、所定の割合に圧縮された状態で、前記太陽電池パネルの周縁部と前記フレームの前記第一および第二の嵌合部との間に挿入され、前記太陽電池パネルを前記フレームの前記第一および第二の嵌合部に固定し、
前記太陽電池パネルの裏面側に当該裏面と接触した状態で配置されるパッキンは、表面側に配置されるパッキンよりも、前記太陽電池パネルの周縁部から内側に向かう方向において長く形成されており、かつ、前記第一および第二の上面部の前記太陽電池パネルの内側方向の端部よりも前記内側方向に突出し、前記複数の太陽電池のうち前記太陽電池パネルの周縁部側に位置する太陽電池と前記太陽電池パネルの厚み方向に重なっている、太陽電池モジュール。」(以下「本件発明4」という。)

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1?4に係る特許に対し、平成29年2月13日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

(1)本件特許の請求項1?4に係る発明は、本件特許の優先日前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。



甲第1号証:登録実用新案第3155564号公報
甲第2号証:特開2000-243998号公報
甲第3号証:特開2001-230440号公報
甲第4号証:特開2003-282917号公報
甲第5号証:特開2000-80775号公報
甲第6号証:特開2001-193241号公報
甲第7号証:中沢一、小泉堯著、「固体の力学」、第23版、株式会社 養賢堂 、1989年9月30日、p.84-89
甲第8号証:特開2010-199147号公報

(2)本件の請求項2に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。よって、本件の請求項2に係る特許は、取り消すべきものである。



請求項2に記載された「前記フレームは、前記第一の本体部の底面部に連接し前記太陽電池パネルの周縁部から外側に向かう方向に延びた鍔部を有する」との発明特定事項は、発明の詳細な説明に記載されていない。

3 取消理由の検討
請求項1?3に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項1?3に対して特許異議申立人日置綾子がした特許異議申立てについては、対象となる請求項が存在しない。以下では、本件特許の請求項4に対する、特許法第29条第2項違反を理由とする取消理由について、検討する。
(1)引用する刊行物
ア 甲第1号証
甲第1号証(登録実用新案第3155564号公報)には、図とともに、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本考案は、特にソーラーパネルを組み立てるためのフレームに関するものである。」

(イ)「【背景技術】
【0002】
図4に示すように、従来のソーラーパネル用フレームは、4つのフレームビーム(90)と4つの連結部材(80)とを有するものである。
【0003】
前記4つのフレームビーム(90)はそれぞれ本体(91)を有し、該本体(91)の上半部には、側面に開口を有する、ソーラーパネルを保持するための取付部(92)が形成され、該取付部(92)の下方に組立口(93)が設けられると共に、該組立口(93)の下部に、組立口(93)から横方向へ向かってプレート(94)が延設され、該プレート(94)は、前記開口と同一方向へ延出されるものである。更に、前記フレームビーム(90)の両端には、夫々1つの面取部(95)が形成され、該面取部(95)は、フレームビーム(90)の長手方向に対して45度の角度を有し、前記取付部(92)と組立口(93)から、プレート(94)まで連続的に形成されるものである。
【0004】
前記各連結部材(80)は、2つの組立アーム(81)を組み合わせたL字形を呈するものであり、該各組立アーム(81)に緩み防止部(82)が設けられる。
【0005】
図5に示すように、従来のソーラーパネル用フレームにおける連結部材(80)は、2つの組立アーム(81)をフレームビーム(90)の組立口(93)に挿入させることにより、2つのフレームビーム(90)を連結するものであり、つまり、該連結部材(80)は、2つのフレームビーム(90)の内部に収納されると共に、隣接するフレームビーム(90)の面取部(95)同士が完全に接合されることから、隣接する2つのフレームビーム(90)同士は、90度の角度で組み合わされる。この構成によれば、ソーラーパネル用フレームを確実に組み立てることができる。」

(ウ)図4、5は、以下のものである。
図4 図5

イ 甲1発明
上記ア(イ)【0003】によれば、ソーラーパネル用フレームが、ソーラーパネルを保持するための取付部を有することが開示されている。してみると、甲第1号証には、ソーラーパネルとソーラーパネル用フレームを備え、取付部にソーラパネルを保持したソーラーパネル用フレームについての、以下の発明が開示されている。
「ソーラーパネルとソーラーパネル用フレームを備え、
前記ソーラーパネル用フレームは、4つのフレームビーム(90)と4つの連結部材(80)とを有し、
前記4つのフレームビーム(90)はそれぞれ本体(91)を有し、
該本体(91)の上半部には、側面に開口を有する、ソーラーパネルを保持するための取付部(92)が形成され、
該取付部(92)の下方に組立口(93)が設けられると共に、該組立口(93)の下部に、組立口(93)から横方向へ向かってプレート(94)が延設され、
該プレート(94)は、前記開口と同一方向へ延出されるものであり、
前記フレームビーム(90)の両端には、夫々1つの面取部(95)が形成され、
該面取部(95)は、フレームビーム(90)の長手方向に対して45度の角度を有し、
前記取付部(92)と組立口(93)から、プレート(94)まで連続的に形成され、
前記各連結部材(80)は、2つの組立アーム(81)を組み合わせたL字形を呈するものであり、該各組立アーム(81)に緩み防止部(82)が設けられ、
連結部材(80)は、2つの組立アーム(81)をフレームビーム(90)の組立口(93)に挿入させることにより、2つのフレームビーム(90)を連結するものであり、つまり、該連結部材(80)は、2つのフレームビーム(90)の内部に収納されると共に、隣接するフレームビーム(90)の面取部(95)同士が完全に接合されることから、隣接する2つのフレームビーム(90)同士は、90度の角度で組み合わされるものである、
取付部にソーラパネルを保持したソーラーパネル用フレーム。」(以下「甲1発明」という。

ウ 甲第2号証
甲第2号証(特開2000-243998号公報)には、図とともに、以下の記載がある。
(ア)「【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の第1実施例を、図1を用いて詳細に説明する。図において、図1(a)は太陽電池モジュールの斜視図、図1(b)は、(a)におけるA-A’断面図である。図1において、10は太陽電池素子11を含む矩形板状の太陽電池パネル、20はこの太陽電池パネル10の外周にシール材30を介して嵌め込まれたアルミ又はステンレス等の金属製外枠である。太陽電池モジュールにおける外枠20の断面構造は、A-A’断面しか図示してないが、各4辺において外枠20の断面構造は同一である。
【0011】次に太陽電池パネル10の構造について説明する。太陽電池パネル10は、受光面側のガラス等の透光性絶縁基板12と、裏面側の金属箔を絶縁性フィルムで挟着した耐候性部材としての耐候性フィルム13とを用いて、結晶系又はアモルファスシリコン系の複数の太陽電池素子11をその間に挟み、内部の隙間にPVB又はEVA等の接着性の透明樹脂14を充てんした構造である。…
【0012】外枠20において、21は中空構造の本体部分、22は本体部分21の上部に位置し太陽電池パネル10の外周部をシール材30を介して嵌め込む断面コの字状の嵌合部分、23は本体部分21の外側に位置する外周溝である。この外周溝23は、太陽電池モジュールを屋外に設置したとき、雨水が流れる溝である。

【0015】また、シール材に非流動性のブチルゴムやアクリルフォームを基材とした両面粘着テープ等の樹脂を用いると、この樹脂が受光面側凹部24、背面側凹部25、凹部26に納まることになるので、外枠20の組立作業が容易であると共に、十分な量の樹脂を利用することができるので耐水性も良好である。上述の発明が解決しようとする課題に記載したような、樹脂に流動性がないために余りの樹脂が嵌合部の外に逃げることができず、外枠の組立作業がしにくい問題点、組立作業を容易にするために樹脂の量を少なくすることによる耐水性及び止水性の低下の問題点を解消することができた。」
(イ)図1は、以下のとおりのものである。


エ 甲第3号証
甲第3号証(特開2001-230440号公報)には、図とともに、以下の記載がある。
(ア)「【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。…
【0038】-太陽電池モジュール2の構成-
以下、太陽電池モジュール2の構成について説明する。各太陽電池モジュール2,2,…は互いに同一の構成で成っている。具体的に、太陽電池モジュール2は、図2に示すように太陽電池モジュール本体4と枠体5とにより構成されている。図2(a)は太陽電池モジュール2の平面図、図2(b)は図2(a)におけるB矢視図、図2(c)は図2(a)におけるC矢視図である。

【0041】各フレーム材51,52,53,54は、アルミニウムの押出加工によりそれぞれ成形されている。上側フレーム材51は、太陽電池モジュール本体4における住宅棟側に位置する端縁を保持している。下側フレーム材52は、太陽電池モジュール本体4における住宅軒側に位置する端縁を保持している。各側端フレーム材53,54は、太陽電池モジュール本体4の左右両側縁をそれぞれ保持すると共に、上記上側フレーム材51及び下側フレーム材52の両端縁同士を連結している。

【0058】第1止水部材61の変形は、図8に示すように、この第1止水部材61の自由端側(図8において上側に位置している部分)が太陽電池モジュール本体4によって溝54eの内部に押し込まれ、この溝54eの内面に沿って太陽電池モジュール本体4の外周部に巻き付くように変形する。このため、太陽電池モジュール本体4の外周部の表面側及び裏面側と溝54eの内面との間にはそれぞれ第1止水部材61が存在することになる。」
(イ)図2、図8は、以下のとおりのものである。
図2 図8

オ 甲第4号証
甲第4号証(特開2003-282917号公報)には、以下の記載がある。
(ア)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法では、透明パネル2とフレーム3によって強度を確保しているため、モジュールを大型化する際に、透明パネル2を厚くするか、フレーム3の強度をあげないと、フレーム3からモジュール本体1が外れてしまい、モジュール全体の強度が確保できなかった。つまり、モジュール本体1の受光面側から荷重がかかった場合、モジュール本体1は中央を頂点に窪んだ形状となる。モジュール本体1の受光面にかかった荷重は、モジュール本体1が撓むことにより垂直成分と水平成分に分けられる。このときの水平方向の力により、フレーム3からモジュール本体1が外れてしまう。」
(イ)「【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る太陽電池モジュールの実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る太陽電池モジュールの一実施形態を示す平面図、図2は図1のA-A線断面図であり、1はモジュール本体、2は太陽電池セル、3フレーム、4は弾性体である。
【0014】モジュール本体1は、ガラスなどから成る透光性パネル5の裏面側に複数の太陽電池セル2を直列および並列に接続してEVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)などの透光性接着剤6で接着し、裏面側にPET樹脂などから成る裏面保護材7を配設したものである。
【0015】モジュール本体1の周縁部にはフレーム3が取り付けされている。このフレーム3は端面からモジュール本体1へ衝撃が加わったり、ごみなどが浸入することを防止すると共に、建物等への取り付けの際の取り付け部材やモジュール本体1の強度確保のために取り付ける。このフレーム3は、上部が断面コ字状3aに形成されるとともに、モジュール本体1の裏面側でモジュール本体1の内側に張り出した中空状3bに形成されている。この中空状部3bの上部で張り出し部3cが形成される。このように、中空状部3bをモジュール本体1の内側に張り出して張り出し部3cを形成すると、フレーム3の強度向上と張り出し部3cの形成を同時に行うことができる。

【0019】次に、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法を説明する。ガラスなどの透明パネル5の裏面側に、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)などの透光性接着剤6、直列および並列に接続した複数の太陽電池セル2、透光性接着剤6、おいび裏面保護材7を順次積層して、圧力と熱を加えながら、接着材6を架橋してモジュール本体1を形成する。次に、モジュール本体1に長辺フレーム3dと短辺フレーム3eを取り付ける。次に、長辺フレーム3dと短辺フレーム3eをねじで締結する。そして、長辺フレーム3dおよび短辺フレーム3eとモジュール本体1との間に弾性体3を介装させることによって形成する。」
(ウ)図1、図2は、以下のとおりのものである。
図1 図2

カ 甲第5号証
甲第5号証(特開2000-80775号公報)には、以下の記載がある。
「【0031】以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、この実施形態に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。例えば、太陽電池パネルの形状としては、正方形に限らず、長さ寸法の異なる長辺および短辺を有する長方形でもよい。」

キ 甲第6号証
甲第6号証(特開2001-193241号公報)には、以下の記載がある。
「【0047】なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形なども本発明に含まれる。…さらに、矩形太陽電池パネルとしては、長方形状に形成されたものに限らず、正方形状に形成されたものでもよい。」

ク 甲第7号証
甲第7号証(中沢一、小泉堯著、「固体の力学」、第23版、株式会社 養賢堂 、1989年9月30日、p.84-89)には、フレームの断面形状に応じて、フレームの断面二次モーメントは変化することが記載されている。

ケ 甲第8号証
甲第8号証(特開2010-199147号公報)には、図とともに、以下の記載がある。
(ア)「【0027】
上記太陽電池モジュール本体10は、周縁部にシール材40を用いてアルミニウムなどからなるフレーム20に嵌め込まれる。このフレーム20は、アルミニウム、ステンレス又は鋼板ロールフォーミング材等で形成されている。」
(イ)図6は、以下のとおりのものである。

(2)対比・判断
ア 本件発明4と甲1発明を対比すると、
甲1発明の「ソーラーパネル」は本件発明4の「太陽電池パネル」に相当し、以下同様に、
「ソーラーパネル用フレーム」は「フレーム」に、
「フレームビーム(90)」は「第一のフレーム」または「第二のフレーム」に、
「組立口(93)」は「短手方向における断面が矩形形状の中空構造」に、
「プレート(94)」は「第1及び第二の内鍔部」に、
「隣接するフレームビーム(90)の面取部(95)同士が完全に接合されること」は「前記第一のフレームの長手方向における前記第一の本体部と前記第一の嵌合部と前記第一の内鍔部の端面と、前記第二のフレームの長手方向における前記第二の本体部と前記第二の嵌合部と前記第二の内鍔部の端面とがそれぞれ係合して」いることに、
「取付部にソーラパネルを保持したソーラーパネル用フレーム」は「太陽電池モジュール」に、
それぞれ相当する。

イ 上記アの相当関係を踏まえて検討すると、本件発明4は、
「緩衝作用を有する絶縁性樹脂材料からなるパッキン」を備え、「前記パッキンは、前記太陽電池パネルの周縁部を覆い、かつ、所定の割合に圧縮された状態で、前記太陽電池パネルの周縁部と前記フレームの前記第一および第二の嵌合部との間に挿入され、前記太陽電池パネルを前記フレームの前記第一および第二の嵌合部に固定し」、「前記太陽電池パネルの裏面側に当該裏面と接触した状態で配置されるパッキンは、表面側に配置されるパッキンよりも、前記太陽電池パネルの周縁部から内側に向かう方向において長く形成されており、かつ、前記第一および第二の上面部の前記太陽電池パネルの内側方向の端部よりも前記内側方向に突出し、前記複数の太陽電池のうち前記太陽電池パネルの周縁部側に位置する太陽電池と前記太陽電池パネルの厚み方向に重なっている」、
との特定事項を有するのに対し、甲1発明は前記特定事項を有していない点で相違する。また、当該特定事項は、甲第2号証?甲第8号証の何れにも記載されていない。そして、本件発明4は前記特定事項を有することにより、「【0046】…太陽電池11とフレーム20との間の絶縁性が大きくなる」という顕著な効果を奏するものである。
したがって、本件発明4は、甲1発明及び甲第2号証?甲第8号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 むすび
以上のとおり、本件発明4は、甲1発明及び甲第2号証?甲第8号証に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
そして、他に本件請求項4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1?3に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項1?3に対して特許異議申立人日置綾子がした特許異議申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
複数の太陽電池が封止材により表面部材と裏面部材との間に封止された矩形状の太陽電池パネルと、
この太陽電池パネルの周縁部を支持するフレームと、
緩衝作用を有する絶縁性樹脂材料からなるパッキンと、
を備え、
前記フレームは、太陽電池パネルの一対の短辺側に沿って設けられる第一のフレームと一対の長辺側に沿って設けられる第二のフレームで構成され、
前記第一のフレームと前記第二のフレームは、それぞれ、短手方向における断面が矩形形状の中空構造を備える第一および第二の本体部と、前記第一および第二の本体部の上部にそれぞれ位置し前記パッキンを介して前記太陽電池パネルの周縁部が嵌め込まれる第一および第二の嵌合部と、前記第一のフレームの底面部と共通している前記第一の本体部の底面部および前記第二のフレームの底面部と共通している前記第二の本体部の底面部にそれぞれ連接し、かつ前記太陽電池パネルの周縁部から内側に向かう方向に延びた第一および第二の内鍔部と、を有し、
前記第一のフレームの長手方向における前記第一の本体部と前記第一の嵌合部と前記第一の内鍔部の端面と、前記第二のフレームの長手方向における前記第二の本体部と前記第二の嵌合部と前記第二の内鍔部の端面とがそれぞれ係合しており、
前記フレームは、前記第一の本体部の底面部および前記第二の本体部の底面部とそれぞれ対向する第一の上面部および第二の上面部の前記太陽電池パネルの内側方向の端部には、内側方向に延びる鍔部を備えておらず、
前記パッキンは、前記太陽電池パネルの周縁部を覆い、かつ、所定の割合に圧縮された状態で、前記太陽電池パネルの周縁部と前記フレームの前記第一および第二の嵌合部との間に挿入され、前記太陽電池パネルを前記フレームの前記第一および第二の嵌合部に固定し、
前記太陽電池パネルの裏面側に当該裏面と接触した状態で配置されるパッキンは、表面側に配置されるパッキンよりも、前記太陽電池パネルの周縁部から内側に向かう方向において長く形成されており、かつ、前記第一および第二の上面部の前記太陽電池パネルの内側方向の端部よりも前記内側方向に突出し、前記複数の太陽電池のうち前記太陽電池パネルの周縁部側に位置する太陽電池と前記太陽電池パネルの厚み方向に重なっている、太陽電池モジュール。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-06-23 
出願番号 特願2012-536432(P2012-536432)
審決分類 P 1 651・ 851- YAA (H01L)
P 1 651・ 121- YAA (H01L)
P 1 651・ 857- YAA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 小松 徹三
伊藤 昌哉
登録日 2016-05-27 
登録番号 特許第5938584号(P5938584)
権利者 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明の名称 太陽電池モジュール  
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所  
代理人 藤井 兼太郎  
代理人 藤井 兼太郎  
代理人 鎌田 健司  
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所  
代理人 前田 浩夫  
代理人 鎌田 健司  
代理人 前田 浩夫  
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