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審決分類 審判 全部申し立て 1項2号公然実施  H04N
審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1331228
異議申立番号 異議2016-700399  
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-05-09 
確定日 2017-08-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第5808029号発明「リアルタイム写真表示システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5808029号の請求項1ないし9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5808029号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、平成26年7月18日に特許出願され、平成27年9月18日にその特許権の設定登録(特許公報発行日 平成27年11月10日)がされた。
その特許について、平成28年5月9日に特許異議申立人雨宮康仁により請求項1ないし9に対して特許異議の申立てがされた。
その後の手続の経緯は以下のとおりである。

平成28年 7月13日 審尋
平成28年 8月10日 回答書の提出(特許異議申立人)
平成28年 9月20日 審尋
平成28年10月31日 回答書の提出(特許異議申立人)
平成29年 2月14日 取消理由通知
平成29年 4月20日 意見書の提出(特許権者)

第2 本件特許発明
本件特許の請求項1ないし9に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、各請求項の項番にしたがい「本件特許発明1」ないし「本件特許発明9」という。また、これらの総称を「本件特許発明」という。)。

【請求項1】
撮影された写真をリアルタイムで表示するリアルタイム写真表示システムであって、
写真撮影ウエブアプリケーションと映像表示アプリケーションを有するサーバと、
表示装置とを備え、
前記写真撮影ウエブアプリケーションは、写真を撮影する端末装置から、撮影された写真を記録した写真データを前記サーバに送信し、
前記映像表示アプリケーションは、前記写真データを受信するとともに受信した1以上の写真データを用いて該1以上の写真データのそれぞれに記録された写真の全てを含む映像を生成し、前記写真データとともに該写真データを前記映像に含めた時刻を記憶し、該時刻からの所定の時間が経過した後には前記写真データに記録された写真を該時間が経過する前よりも縮小して映像に含め、
前記表示装置は前記映像又はその一部を表示することを特徴とする、リアルタイム写真表示システム。

【請求項2】
前記映像表示アプリケーションは、前記縮小の際に、前記写真データに記録された写真を回転させながら縮小することを特徴とする、請求項1に記載のリアルタイム写真表示システム。

【請求項3】
前記映像表示アプリケーションは、前記1以上の写真データのそれぞれに記録された写真を前記表示装置の表示フレーム内で周期的にスクロールして映像に含め、前記所定の時間は前記スクロールの周期よりも短いことを特徴とする、請求項1又は2に記載のリアルタイム写真表示システム。

【請求項4】
前記端末装置は、ジェスチャ操作を検知可能な携帯通話機又はタブレットコンピュータであり、
前記写真撮影ウエブアプリケーションは、撮影された写真を表示する画面上で該画面の下から上にフリックするジェスチャ操作を検知した場合に前記写真を記録した写真データを送信することを特徴とする、請求項1?3のいずれか一項に記載のリアルタイム写真表示システム。

【請求項5】
2以上の前記表示装置を備え、
前記映像表示アプリケーションは、前記写真データを表示する前記2以上の前記表示装置のうちの1を選択する表示装置選択手段を備えることを特徴とする、請求項1?4のいずれか一項に記載のリアルタイム写真表示システム。

【請求項6】
前記サーバは、2以上のURLを有し、
前記表示装置選択手段は、前記写真データの送信されたURLに基づいて前記表示装置を選択することを特徴とする、請求項5に記載のリアルタイム写真表示システム。

【請求項7】
前記写真撮影ウエブアプリケーションは、前記写真データとともに前記端末装置によって取得されたGPS情報を送信し、
前記表示装置選択手段は、前記GPS情報に基づいて前記表示装置を選択することを特徴とする、請求項6に記載のリアルタイム写真表示システム。

【請求項8】
前記表示装置は式典会場に設置され、
前記URLは、式典参加者に配布される印刷物に印刷されたものであることを特徴とする、請求項6に記載のリアルタイム写真表示システム。

【請求項9】
前記URLが、2次元バーコードとして印刷されていることを特徴とする、請求項8に記載のリアルタイム写真表示システム。

第3 取消理由の概要
当審において、本件特許発明1ないし9に対して通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

1.本件特許発明1ないし4は、甲第1号証(平成26年5月21日撮影のビデオデータ)の公然実施された発明及び周知技術により、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

2.本件特許発明5ないし9は、甲第1号証(平成26年5月21日撮影のビデオデータ)の公然実施された発明、甲第3号証(特開2004-62477号公報)、甲第4号証(特開2004-334499号公報)、甲第5号証(特開2002-82859号公報)、甲第6号証(特開2005-322131号公報)、甲第7号証(特開2009-129369号公報)記載の技術及び周知技術により、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

第4 甲各号証について
1.甲第1号証
(1)「甲第1号証の1」のビデオ映像の内容
「甲第1号証の1」は、街頭で男性2人がスマートフォンを操作するビデオ映像のデータが記録されたファイルであり、そのビデオ映像の詳細は以下のものである。
なお、数字はビデオ映像の冒頭からの時間(分:秒)である。

00:00?00:01
2名の人物(A,B)が交差点の一角でスマートフォンを操作している。

00:02?00:08
2名の人物(A,B)が立っている角と交差点の対角の位置にあるビルの外壁に大型表示装置が設置されており、大型表示装置には、大きさ、傾きが不定の複数の画像が一部重なった状態で配置された映像が、上から下へゆっくりスクロールして表示されている。

00:13?00:14
人物の1人(A)がスマートフォンを用いて、看板「ドン・キホーテ」が設置された商業ビルを撮影している。

00:15?00:24
撮影された商業ビルの写真画像がスマートフォンの画面に表示されており、画面の右下の「写真を使用」の部分をタップすると、IPアドレスが「133.242.147.221」の「Photo Link」との表示があるウエブページがスマートフォンのブラウザに表示され、そのウエブページの一部の領域に撮影された写真画像の中央部が配置される。

00:25?00:26
人物(A)がスマートフォンの画面の写真画像の上で、画面の下から上へフリックするジェスチャ操作を行うと、ウエブページの一部の領域に表示されている写真画像が画面の上方へ移動し、その領域から消える。

00:28?00:29
撮影された商業ビルの写真画像と同じ画像が、複数の画像が配置された映像がスクロールして表示されている大型表示装置に、大型表示装置の表示範囲を超える大きさから画像の隅が表示範囲を超える大きさまで縮小され、その状態で静止してスクロールする映像の上に表示される。

00:30?00:32
大型表示装置に表示された商業ビルの写真画像と同じ画像が、縦に回転する効果が付加されながらさらに縮小され、画像の縮小が止まると、縮小された画像がスクロールする映像と共に上から下へスクロールして表示される。

(2)「甲第1号証の2」のビデオ映像の内容
「甲第1号証の2」は、スマートフォンの画面を撮影したビデオ映像のデータが記録されたファイルであり、そのビデオ映像には、スマートフォンに「甲第1号証の1」のビデオ映像が表示され、画面の上部に、ビデオ映像のファイルのプロファイル(撮影場所「静岡県葵区 - 紺屋町」、撮影日時「2014年5月21日 17:17」)が表示されている様子が映っている。

(3)甲第1号証に記載される発明
上記「甲第1号証の1」のビデオ映像から、「甲第1号証の1」に示される発明(「甲1発明」)を認定する。

a.「甲第1号証の1」のビデオ映像にある『写真画像を撮影するスマートフォン』と、その撮影した写真画像と同じ画像を表示する『大型表示装置』は、『撮影された写真画像を表示する写真表示システム』を構成している。

b.この写真表示システムは、スマートフォンで撮影した写真画像と同じ画像を撮影場所の近傍に設置された大型表示装置で表示していることから、撮影した写真画像をスマートフォンの通信機能を介して大型表示装置まで送信しているといえる。
そして、撮影した写真画像の送信は、ブラウザに表示されたIPアドレスが「133.242.147.221」の「Photo Link」との表示があるウエブページを用いて行っているから、ウエブアプリケーションを用いて送信が行われている。
すなわち、写真表示システムは、『写真画像を送信するウエブアプリケーションを有し』、『撮影場所の近傍に設置された大型表示装置を備え』ており、『写真画像を送信するウエブアプリケーションは、写真画像を撮影するスマートフォンから、撮影した写真画像を大型表示装置まで送信』するものである。

c.大型表示装置において、『複数の画像が配置された映像が、スクロールされて表示され』る。そして、『スマートフォンから送信された写真画像が、スクロールする映像上に静止して表示され、その後、写真画像を縦に回転させる効果が付加されながらさらに縮小され、スクロールする映像と共にスクロールして表示され』る。

d.スマートフォンは、『ジェスチャ操作が可能』である。そして、ウエブアプリケーションにより、『写真画像が配置されたウエブページの画面上で、画面の下から上へフリックするジェスチャ操作を行うと、写真画像を大型表示装置まで送信』する。

以上の事項をまとめると、「甲第1号証の1」のビデオ映像から、次の発明が認定できる。

(甲1発明)
撮影された写真画像を表示する写真表示システムであって、
写真画像を送信するウエブアプリケーションを有し、
撮影場所の近傍に設置された大型表示装置を備え、
写真画像を送信するウエブアプリケーションは、写真画像を撮影するスマートフォンから、撮影した写真画像を大型表示装置まで送信し、
大型表示装置において、複数の画像が配置された映像がスクロールされて表示され、
大型表示装置において、スマートフォンから送信された写真画像が、スクロールする映像上に静止して表示され、その後、写真画像を縦に回転させる効果が付加されながらさらに縮小され、スクロールする映像と共にスクロールして表示され、
スマートフォンは、ジェスチャ操作が可能であり、
写真画像を送信するウエブアプリケーションは、写真画像が配置されたウエブページの画面上で、画面の下から上へフリックするジェスチャ操作を行うと、写真画像を大型表示装置まで送信する
写真表示システム。

2.甲第3号証
(1)甲第3号証の記載事項
甲第3号証である特開2004-62477号公報には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである(以下、甲各号証についても同様とする)。

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置と液晶プロジェクタ等の表示装置とをネットワーク接続し、両者間でデータ送信を行なうデータ表示システム、データ表示装置およびデータ表示方法に関する。

【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかるデータ表示システムは、ネットワークに接続され表示すべきデータを送信する情報処理装置と、同じくネットワークに接続され前記情報処理装置から送信された表示すべきデータを受信して画像表示を行なう1以上のデータ表示装置とを有したデータ表示システムであって、前記情報処理装置は、前記データ表示装置の中から表示を行ないたいデータ表示装置を選択する選択手段及びこの選択手段にて選択されたデータ表示装置を特定する情報にデータ送信開始予告を示すデータを付加して送信する送信手段を具備し、前記データ表示装置は、前記送信手段から送信されたデータを受信する受信手段及び受信したデータから前記データ表示装置を特定する情報が自身のデータ表示装置にかかるものであることを検出した場合に、表示用データの送信が前記情報処理装置からなされることを通知する通知手段を具備したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2にかかるデータ表示システムは、請求項1記載のデータ表示システムにおいて、前記選択手段は、前記データ表示装置からそのアドレス情報を取得する手段と、このアドレス情報を表示する手段と、表示されたアドレス情報から所望のものを選択する手段とを具備したことを特徴とするものである。

(2)甲第3号証に記載される技術
上記記載によれば、甲第3号証には、次の技術が記載されている。

『1以上のデータ表示装置と、
前記データ表示装置の中から表示を行ないたいデータ表示装置を選択する選択手段とを備え、
前記データ表示装置は、それぞれのアドレス情報を有し、
前記選択手段は、前記アドレス情報に基づいて前記データ表示装置を選択する技術』

3.甲第4号証
(1)甲第4号証の記載事項
甲第4号証である特開2004-334499号公報には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はInternetを介したネットワークサービスに関し、特に映像出力に関するものである。

【0022】
〔実施例2〕
図3に本発明の別の実施例のネットワークシステムの構成を示す。1は本発明の表示装置レンタルサービスプロバイダ(DSP)、2はInternet、3はInternetに接続している端末User、4はコンテンツを配信しているサイト、5cは制御装置、6cは表示装置である。

【0025】
本実施例において端末User3やサイト4は、遠隔地にある表示装置6cにコンテンツの表示を希望している。コンテンツとしては静止画像、動画、テキストなどが考えられる。
【0026】
図3では便宜上1つだけの表示装置を示したが、2つ以上の複数の表示装置をDSP1が管理してもよい。表示装置としてはDSP1が直接管理する表示装置以外に、街頭の大型Displayや駅の電子ホワイトボードのように別の管理母体がありそことDSPが利用契約を結んで利用するものも考えられる。
【0027】
・端末User3やサイト4は、Internet2を介してDSP1に表示装置の利用要求を行う。

【0029】
・利用者は利用する表示装置を選択し、課金契約情報(利用者自身の情報や表示装置指定情報や表示形態情報や利用時間など)をDSP1に送る。利用者自身の情報は利用する度に送ってもよいし、利用者登録をしてDSP1の利用者データベースに記録しておいてもよい。
【0030】
・DSP1は利用者に利用する表示装置のURLと利用の為のアクセスキーを送る。アクセスキーには表示制御情報(表示形態情報や利用時間)が含まれている。
【0031】
・利用者は表示装置のURL宛に利用の為のアクセスキーと表示するコンテンツデータを送る。

(2)甲第4号証に記載される技術
上記記載によれば、甲第4号証には、次の技術が記載されている。

『2つ以上の表示装置と、
コンテンツデータの表示に利用する表示装置を選択する選択手段とを備え、
DSPは、表示装置のURLを保有し、
前記選択手段は、前記URLに基づいて前記表示装置を選択する技術』

4.甲第5号証
(1)甲第5号証の記載事項
甲第5号証である特開2002-82859号公報には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所望の情報を要求するために、移動端末から出力される要求情報に基づいて、複数の表示装置のうちのいずれかの表示装置に要求情報に応じた所望の情報を配信する情報配信システム、情報配信方法、およびこの方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。

【0018】[情報配信システムの構成]図1には、本発明の実施形態に係る情報配信システム1が示され、この情報配信システム1は、提供端末コンピュータ2と、移動端末3と、画像表示装置4おおよびこの画像表示装置4に付設される端末コンピュータ5と、画像表示装置6A、6Bと、サーバ10とを備え、これらは、インターネット等のネットワーク7を介して接続される。

【0020】移動端末3は、利用者が要求情報を発信する通信機能を有する携帯情報端末であり、WEBアクセス機能を有する携帯電話や、PDA等を採用することができる。この移動端末3は、該移動端末3の位置情報をサーバ10で取得するために、次のようなシステムが採用される。例えば、移動端末3にGPS(Global Positioning System)機能を持たせ、移動端末3から現在地に関する緯度情報、経度情報を定期的にサーバ10に出力するように構成することができる。また、PHSを構成する受信用の基地局を利用して、移動端末3から出力された信号を、複数の基地局で受信し、この複数の基地局での受信状態に基づいて、移動端末3の概ねの位置情報を取得し、これをサーバ10に出力するように構成することもできる。

【0025】表示装置選択部121は、要求情報収集部123から出力された表示装置指定情報、および/または、後述する位置情報蓄積部23に蓄積された移動端末3の位置情報に基づいて、利用者が配信を要求する配信情報を表示させる画像表示装置4、6A、6Bを選択する部分である。尚、この表示装置選択部121は、電車、バス等に設置される画像表示装置6Aの現在地情報を位置情報蓄積部23から取得して、これを考慮して選択するようになっている。情報配信部122は、前記要求情報収集部123からの具体的な情報の内容に関する要求情報に基づいて、配信情報蓄積部22に蓄積された配信情報を取得し、この配信情報を表示装置選択部121により選択された画像表示装置4、6A、6Bに表示する部分である。

【0028】位置情報蓄積部23は、端末位置情報収集部131、表示装置位置情報収集部132で収集された移動端末3、画像表示装置6Aの現在位置情報を蓄積する部分であり、図4に示すように、移動端末3の利用者、移動する画像表示装置6Aの数に応じて複数のテーブル232、232、233…が設定されたデータベースとして構成されている。尚、移動端末3毎にテーブルを設定しているのは、利用者が移動しながら、情報の要求を行うことを考慮したためである。各テーブル231、232、233…に蓄積される情報としては、データ収集日時、その日時における緯度・経度情報、およびその日時における所在地情報等がある。尚、GPS機能を有し、このGPS機能を利用して位置情報を出力する移動端末3の場合、緯度情報・経度情報がまず入力され、これに基づいて、所在地情報が求めることができる。一方、PHSの基地局を利用する移動端末3の場合、複数の基地局から割り出される所在地情報がまず入力され、これに基づいて、概ねの緯度情報・経度情報を求めることができる。

(2)甲第5号証に記載される技術
上記記載によれば、甲第5号証には、次の技術が記載されている。

『複数の画像表示装置と、
要求情報に応じた所望の配信情報を表示させる前記複数の画像表示装置のうちのいずれかの画像表示装置を選択する選択手段とを備え、
移動端末から表示装置へ情報の配信を要求する要求情報を送信するとともにGPS情報を定期的に送信し、
前記選択手段は、前記GPS情報に基づいて前記画像表示装置を選択する技術』

5.甲第6号証
(1)甲第6号証の記載事項
甲第6号証である特開2005-322131号公報には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

【0017】
実施形態1.
図1は本発明の実施形態1に係る画像情報配信システムの構成図である。この画像情報配信システム10は、画像表示装置(プロジェクタ)11及びこの画像表示装置11に付設され、ウェブブラウザーが内蔵された端末コンピュータ12からなるプロジェクションシステム13と、携帯電話会社の課金のためのサーバー(以下、課金サーバーという)14と、画像情報配信サーバー15とを備えており、これらは、携帯電話会社のネットワーク16を介して相互に接続されている。また、画像情報配信サーバー15は、インターネット等のネットワーク17を介してコンテンツサーバー18と接続されている。更に、画像情報配信サーバー15は、ネットワーク16を介して携帯電話20と接続可能になっている。
【0018】
携帯電話20は、GPS(Global Positioning System)機能及びウェブ機能を持っており、GPS(Global Positioning System)機能により現在地の位置情報(緯度情報及び経度情報)を、後述のように画像情報の提供を要求してからその処理が終了するまでの間、画像情報配信サーバー15に出力する。プロジェクションシステム13(画像表示装置11及び端末コンピュータ12)は、駅、公園、店頭等のパブリックスペースに設置され、画像情報配信サーバー15から配信された画像情報は、ネットワーク16を介して端末コンピュータ12に入力し、画像表示装置11によって大画面の投写画像として表示される。なお、プロジェクションシステム13は、店舗情報、各種広告(例えば、商品広告や企業広告等)や地域の情報等を再生するPOP機能を有しており、画像情報配信サーバー15からPOP機能に関連するコンテンツが配信されてきたときに、そのコンテンツを表示する。

【0020】
図2は携帯電話20とプロジェクションシステム13との関係を示した説明図である。プロジェクションシステム13は、予め設定された複数のサービスポイントに設定されており、上述のように、通常の状態においては情報提供者から広告等に関する画像(映像)を表示しているが、携帯電話20からの画像情報の配信要求があると、プロジェクションシステム13はその配信要求に対応したコンテンツを店頭等に表示させる。なお、本実施形態1においては、コンテンツには必要に応じて音声信号も含まれており、プロジェクションシステム13からは画像(映像)だけでなく音声も得られる。
【0021】
図3は画像情報配信サーバー15を中核としたシステムの説明図である。画像情報配信サーバー15、携帯端末情報収集部31、表示装置選択部32、情報収集配信部33、表示装置制御部34、検閲部35、課金処理部36等の各種の制御機能と、各種コンテンツ等が収納されたデータベース37を含んでおり、画像情報を配信するための各種の処理を行う。画像情報配信サーバー15の携帯端末情報収集部31は、例えば携帯電話20から位置情報及びURL等のコンテンツ情報を取り込む。そして、表示装置選択部32は携帯電話20からの位置情報に基づいてプロジェクションシステム13を選択し、情報収集配信部33はその選択されたプロジェクションシステム13に対して例えばデータベース37、コンテンツサーバー18等から携帯電話20からの要請に基づいたコンテンツを取り込んで配信する。また、表示装置制御部34は携帯電話20からの操作信号(制御信号)に基づいて、選択されたプロジェクションシステム13を制御するものであり、例えば画面の早送りや停止等を行う。検閲部35は配信対象のコンテンツが公衆の面前に表示されても不都合がないものであるかどうかを検閲するものであり、配信するのが不適切な場合には携帯電話20に対してその旨を送信する。課金処理部36はこの画像情報の配信についての費用を算出するための課金情報を生成するものであり、例えば通信時間、コンテンツの容量、プロジェクションシステム13の画面の大きさなどに基づいて課金情報を生成し、課金サーバー14に送信する。

【0023】
図5は画像情報配信サービスシステムの処理過程を示したフローチャートである。携帯電話20の利用者が視聴可能な場所までプロジェクションシステム13に近づいて、携帯電話20を操作して画像情報の配信要求と、視聴したいURL等のコンテンツ情報を送信する。この画像配信要求に伴って、携帯電話20は、内蔵されているGPSによる位置情報についても自動的に継続して送信する。画像情報配信サーバー15の携帯端末情報収集部31が、携帯電話20からの画像配信要求を受信すると(S11)、上記の位置情報(緯度・経度)とURL等のコンテンツ情報を取り込む(S12)。なお、携帯電話20からの画像配信要求があったときには、パスワードの認証等についてもなされるが、それは本実施形態の内容には関連しないので、ここではその説明は省略するものとする。表示装置選択部32は、携帯電話20の位置情報に基づいて画像情報の送信対象となるプロジェクションシステムを選択する(S13)。即ち、携帯電話20の位置情報に基づいて利用者の位置の近傍にあるサービスポイント(図4(A)参照)のプロジェクションシステムを選択する。

(2)甲第6号証に記載される技術
上記記載によれば、甲第6号証には、次の技術が記載されている。

『複数の画像表示装置と、
携帯電話からの画像情報の配信要求に基づいたコンテンツを表示する画像表示装置を選択する選択手段とを備え、
前記配信要求とともに前記携帯電話によって取得された位置情報を送信し、
前記選択手段は、前記位置情報に基づいて前記画像表示装置を選択する技術』

6.甲第7号証
(1)甲第7号証の記載事項
甲第7号証である特開2009-129369号公報には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

【0027】
提携企業Aのオペレータは、連携サービス申込書401が提出された後、連携サービスの申込確認書403をユーザ301に渡す。申込確認書403には、たとえばサービスAの会員IDなどのサービスBへの会員登録を行うために必要な情報と、電子メールが届かないときにユーザ301が携帯電話300を用いてアクセスするページのURLや2次元コードが記載されている。

【0039】
このため、本実施形態では、図1に示すように、連携第2サーバ200に汎用登録ページ処理部211を設けた。汎用登録ページ処理部211は、ユーザ301が携帯電話300を用いてアクセス可能な汎用登録ページの表示データを送信したり、汎用登録ページに入力された情報に基づいてアクセスしたユーザを識別し、かつ汎用登録ページに入力された情報をサービスB会員DB203に格納する。なお、汎用登録ページのURLは予め決まっており、当該URL又は当該URLを示す2次元コードは、連携サービスの申込時に提携企業Aから渡された申込確認書403や、連携サービスについて説明されているウェブページに記載されている。

(2)甲第7号証に記載される技術
上記記載によれば、甲第7号証には、次の技術が記載されている。

『アクセスするページのURLが申込確認書に記載され、
前記URLは2次元バーコードとして記載される技術』

第5 判断
1.取消理由通知に記載した取消理由について
(1)甲1発明の本件出願前公然実施について
a.「甲第1号証」、「甲第2号証」の信用性について
特許異議申立人は、「甲第1号証の1」、「甲第2号証の1」に開示される発明が本件出願前に公然実施されていたことを証明するために、「甲第1号証の2」、「甲第2号証の2」を提出している。
しかしながら、当審合議体は、「甲第1号証の2」、「甲第2号証の2」に開示されるビデオ映像のファイルのプロファイルは変更可能であること、「甲第1号証の1」、「甲第2号証の1」のビデオ映像が撮影された経緯等が不明であることから、「甲第1号証の1」及び「甲第2号証の1」の信用性について、他の証拠も併せて検討することが適切であると判断し、特許異議申立人に対して審尋を行った。

b.平成28年7月13日付け審尋の要旨
「甲第1号証の1」、「甲第2号証の1」の発明の実施が行われることとなり、記録を残しておくこととなった具体的な経緯、実施者及び撮影者、撮影時の状況、撮影後の撮影物の利用・保管状況等について述べた関係者又は撮影者の陳述書、及び陳述内容を裏付ける客観的資料等の撮影日時を示す他の証拠方法の提出の要請を行った。

c.平成28年8月10日付け回答書の要旨
(a)「甲第1号証の1」は、藤原雄輔氏の陳述書に示すように、平成26年5月21日にクロスライン株式会社の代表取締役である藤原雄輔氏が、静岡県静岡市葵区の紺屋町交差点で撮影したものである。
甲1発明の実施された時点についての信用性を示す撮影者の陳述書、及び陳述内容を裏付ける参考資料1の1及び1の2を提出する。

(b)「甲第2号証の1」は、平成26年1月17日に、株式会社ユニゾンの従業員が撮影したものである。
「甲第2号証の2」は、「甲第2号証の1」の撮影日を立証するために、平成28年5月1日に、株式会社ベネフィシャルテクノロジーの代表取締役である山本幸男氏が撮影したものである。

(c)「甲第1号証の1」、「甲第2号証の1」に開示される発明と同一の発明を撮影した動画(https://www.youtube.com/watch?v=AdJyZjUA1AE&feature=youtu.be)が、平成25年12月11日にアップロードされており、既に公然実施されている。

(d)撮影者の陳述書、並びに参考資料1の1及び1の2、及び甲1発明、甲2発明と同一の発明が平成25年12月11日には既に公然実施されていることを併せて検討すれば、甲1発明が実施された時点は、「甲第1号証の2」により立証しようとしている平成26年5月21日であることは明らかである。

添付書類
・陳述書
陳述人 クロスライン株式会社 代表取締役 藤原雄輔
・参考資料1の1「ICご利用票」の写し
14年5月20日 新神戸(7:36)>東京(10:23)のぞみ110号、
14年5月21日 東京(15:03)>静岡(16:06)ひかり477号、
14年5月21日 静岡(21:11)>名古屋(22:08)ひかり533号
・参考資料1の2
「JR東海エクスプレス・カード 法人会員 ご利用明細書」の写し
法人名「クロスライン(カ」

d.平成28年9月20日付け審尋の要旨
(a)「甲第1号証の1」、「甲第1号証の2」の映像上の「Photo Link」との名称と、平成28年8月10日付け回答書に添付された陳述書(以下、「本件陳述書」といいう。)に示されるクロスライン社のサービスの名称の「フォトシャワー」との関係の釈明を要請した。

(b)本件陳述書の内容の信用性に関し、追加の証拠の提出を要請した。

(c)平成28年8月10日付け回答書の「3 回答の内容」(3)において指摘されている動画の「Photo Flight」とのタイトルと、本件陳述書のクロスライン社のサービスの名称の「フォトシャワー」との関係の釈明を要請した。

e.平成28年10月31日付け回答書の要旨
(a)「甲第1号証」、「甲第2号証」、及び平成28年8月10日付け回答書において指摘されている動画に映っている発明(以下、「甲発明」という。)は、ベネフィシャルテクノロジー社(参考資料7)が開発したもので、ベネフィシャルテクノロジー社では、「Photo Link」という名称で呼んでいる。
ベネフィシャルテクノロジー社は、クロスライン社(参考資料8)と特約代理店契約書(参考資料4)及び覚書(参考資料5)を締結した。
クロスライン社は、甲発明を、ベネフィシャルテクノロジー社の代理店として、「フォトシャワー」という名称でサービス提供している(http://photoshower.net、http://b-technology.co.jpのOUR SERVICEのDev)。
また、ベネフィシャルテクノロジー社は、甲発明をユニゾン社(参考資料9)にOEM提供しており、ユニゾン社は、甲発明を「Photo Flight」という名称でサービス提供している(http://www.bridal-unison.net/service/co_009.html)。
すなわち、「Photo Link」と「フォトシャワー」と「Photo Flight」は、いずれもベネフィシャルテクノロジー社が開発した同一の甲発明の名称であって、単にベネフィシャルテクノロジー社とクロスライン社とユニゾン社とがそれぞれ異なる名称で呼んでいるに過ぎない。

(b)同日付け陳述書のとおり「甲第1号証の1」の撮影物は、平成26年5月21日17時17分頃に、クロスライン社の藤原雄輔氏が「フォトシャワー」を公然実施するオリエンタル・ダイニング社(参考資料10)の増田貴俊氏と池ヶ谷信一氏(参考資料3)とを撮影したものである。

(c)「甲第2号証の1」、及び平成28年8月10日付け回答書において指摘されている動画に映っている「Photo Flight」は、本件の特許出願日前に頒布された『週刊ホテルレストラン』平成26年6月13日号第5頁に掲載されている(参考資料6)。

(d)本件特許権者は、自ら本件の特許出願日前の平成25年11月7日に公開の動画「フォトシュシュ - スマホを使って写真をスクリーンに! - 空飛ぶペンギン社の結婚式最新演出-」(https://www.youtube.com/watch?v=JQ6qVwqd8LM)、平成26年7月5日に公開の動画「驚きの結婚式演出!スマートフォンで撮影した写真がスクリーンに飛んでいく!」(https://www.youtube.com/watch?v=2_0Bo_RK1Fw)において、本件特許発明を公然実施している。

添付書類
・陳述書
陳述人 株式会社オリエンタル・ダイニング 増田貴俊
・参考資料3「増田貴俊及び池ヶ谷信一名刺」の写し
・参考資料4「特約代理店契約書」の写し
・参考資料5「覚書」の写し
・参考資料6「週刊ホテルレストラン平成26年6月13日号」の写し
・参考資料7
「株式会社ベネフィシャルテクノロジー現在事項全部証明書」の写し
・参考資料8「クロスライン株式会社履歴事項全部証明書」の写し
・参考資料9「株式会社ユニゾン履歴事項全部証明書」の写し
・参考資料10
「株式会社オリエンタル・ダイニング履歴事項全部証明書」の写し

f.特許権者による意見書の要旨
特許権者は、平成29年2月14日付け取消理由通知に応答し、平成29年4月20日に意見書を提出した。その要旨は以下のとおりである。
(a)特許異議申立人は、甲第1号証の撮影者はクロスライン社の代表取締役であり、クロスライン社及び本件特許の使用者であるオリエンタル・ダイニング社は、本件特許の取消による利益を有する者である。オリエンタル・ダイニング社の社員の陳述書のみをもって甲第1号証の撮影日時を確定することは妥当ではない。
平成28年10月31日付け回答書によれば、確かに、平成26年5月21日に甲第1号証の撮影を行うことが可能であったと認められるが、他にも撮影を行うことが可能な日は存在するので、平成26年5月21日に撮影を行ったことを特許異議申立人が立証したとは言えない。
実際、平成26年5月21日の静岡の天気は「晴れ」である(乙第1号証)にもかかわらず、「甲第1号証の1」のビデオに撮影された空は青色ではなく白色である。

(b)特許権者は、甲発明のOEM提供を受けるユニゾン社に、出願前の本件特許発明の一部を開示した(乙第2号証)。ユニゾン社からベネフィシャルテクノロジー社に本件特許に関係する技術情報が伝達された可能性がある。してみれば、甲発明は、特許権者の意に反して公然実施(特許法第30条第1項)された可能性が残る。

添付書類
・乙第1号証
YAHOO天気ホームページの写し(2014年5月21日の天気)
・乙第2号証
特許権者からユニゾン社へのメールの写し

g.当審の判断
(a)特許異議申立人の主張について
ア.平成28年8月10日付け回答書に添付された藤原雄輔氏による陳述書、参考資料1の1の新幹線の「ICご利用票」、及び参考資料1の2のフジワラ ユウスケ名義の「JR東海エクスプレス・カード」の利用明細書によれば、クロスライン株式会社の代表取締役である藤原雄輔氏が、平成26年5月21日に静岡県静岡市葵区の紺屋町交差点に赴いてビデオ撮影を行ったという説明に不自然な点はない。

イ.平成28年10月31日付け回答書に添付された増田貴俊氏による陳述書、及び参考資料3の「増田貴俊及び池ヶ谷信一名刺」を併せて検討すると、紺屋町交差点において、株式会社オリエンタル・ダイニングの従業員の増田貴俊氏と池ヶ谷信一氏が、株式会社オリエンタル・ダイニングが所有する大型液晶ビジョンを用いてクロスライン株式会社の「フォトシャワー」を使用し、藤原雄輔氏が「フォトシャワー」を使用する増田貴俊氏と池ヶ谷信一氏を撮影したという説明にも不合理な点はない。

ウ.上記e.(a)の平成28年10月31日付け回答書による説明、及び参考資料4の「特約代理店契約書」、参考資料5の「覚書」によれば、株式会社ベネフィシャルテクノロジーが開発した「Photo Link」を、クロスライン株式会社が株式会社ベネフィシャルテクノロジー社の代理店として「フォトシャワー」という名称でサービス提供していることが認められるから、「甲第1号証の1」のビデオ映像には「Photo Link」との表示があるウエブページが使用されているのに対し、藤原雄輔氏による陳述書では、クロスライン株式会社のサービスの「フォトシャワー」を使用している旨の陳述がなされていることに関して、何ら矛盾するものではない。
なお、株式会社ベネフィシャルテクノロジー、クロスライン株式会社、株式会社オリエンタル・ダイニングが実在する法人であることは、参考資料7,8,10より明らかであり、これらによっても上記の説明の信用性は認められる。

エ.以上の事項を踏まえると、「甲第1号証の1」のビデオ映像は、クロスライン株式会社の代表取締役である藤原雄輔氏が、「甲第1号証の2」のビデオ映像のファイルのプロファイルに示されるように、平成26年5月21日17時17分頃に静岡県静岡市葵区の紺屋町交差点で、「フォトシャワー」を公然実施する株式会社オリエンタル・ダイニングの増田貴俊氏と池ヶ谷信一氏とを撮影したものであるという説明に、矛盾する点は認められない。

(b)特許権者の主張について
ア.特許権者の、平成26年5月21日に「甲第1号証の1」のビデオの撮影を行うことが可能であったと認められるが、他にも撮影を行うことが可能な日は存在するので、平成26年5月21日に撮影を行ったことを特許異議申立人が立証したとはいえないという主張には合理性がある。
なお、「甲第1号証の1」のビデオ映像において、空の色が青色か白色かはビデオ撮影の露出の影響により判断し難いものの、ビルの壁面のガラスに反射して写る空の色、及びスマートフォンで撮影された写真に写っている空の色は青色であるので、特許権者の主張とは異なり、甲第1号証の1のビデオの撮影日は「晴れ」である可能性が高い。しかしながら、平成26年5月21日の他に撮影が可能であった日に、晴れの日が存在することはあり得ることである。

イ.特許権者の、甲発明は特許権者の意に反して公然実施(特許法第30条第1項)された可能性があるという主張は、乙第2号証の「特許権者からユニゾン社へのメールの写し」のみから、その事実を認定することはできない。

(c)合議体の判断
以上の(a)、(b)の特許異議申立人及び特許権者の主張に関する検討によれば、これまでになされた特許異議申立人の説明により、「甲第1号証の1」のビデオ撮影を平成26年5月21日に行うことが可能であったことは認められるものの、特許権者が主張するように、平成26年5月21日とは異なる他の日に、「甲第1号証の1」のビデオ撮影を行うことが可能な日は存在するといえる。
すなわち、現段階での証拠をもっては「甲第1号証の1」のビデオの撮影が平成26年5月21日に行われたことに不自然な点はないものの、平成26年5月21日とは異なる他の日に「甲第1号証の1」のビデオ撮影を行う可能性が排除されていない以上、直ちに「甲第1号証の1」のビデオの撮影が平成26年5月21日に行われたものであると確定することはできない。

したがって、「甲第1号証の1」は、平成26年5月21日に静岡県静岡市葵区の紺屋町交差点で撮影されたものとは認定できず、「甲第1号証の1」に開示された上記「甲1発明」は、本件の特許出願前に公然実施されていたものとは認められない。

(2)本件特許発明1ないし4について
上記(1)の「g.当審の判断」に示したように、「甲1発明」は、本件の特許出願前に公然実施されていたものとは認められない。
したがって、本件特許発明1ないし4は、甲第1号証により、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。

(3)本件特許発明5ないし9について
本件特許発明5ないし9は、本件特許発明1ないし4を引用する発明である。
よって、上記(2)の判断と同様に、「甲1発明」を主引用発明として、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。
なお、甲第3ないし6号証に開示される技術は、上記「第4 甲各号証について」の「2.甲第3号証」ないし「5.甲第6号証」に示したように、『複数の表示装置から所望の表示装置を選択する技術』に関するものであり、甲第7号証に開示される技術は、同「6.甲第7号証」に示したように、『URLを2次元バーコードとして記載する技術』に関するものである。
すなわち、甲第3ないし6号証に開示される技術は、本件特許の従属項である請求項5ないし9に記載される発明特定事項に関連する技術であり、本件特許発明1ないし4に対応する技術は開示されていない。
よって、本件特許発明1ないし4を引用する本件特許発明5ないし9は、甲第3ないし7号証からも、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。

2.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)甲第1号証に基づく、本件特許発明1ないし4の特許法第29条第1項第2号(新規性)について
上記「1.取消理由通知に記載した取消理由について (1)甲1発明の本件出願前公然実施について」の「g.当審の判断」に示したように、「甲1発明」は、本件の特許出願前に公然実施されていたものとは認められない。
したがって、本件特許発明1ないし4は、甲第1号証により、特許法第29条第1項第2号の規定に違反してされたものとはいえない。

(2)甲第2号証に基づく、本件特許発明1ないし4の特許法第29条第1項第2号(新規性)、及び本件特許発明1ないし9の同第2項(進歩性)について
a.甲第2号証について
(a)「甲第2号証の1」のビデオ映像の内容
「甲第2号証の1」のビデオ映像には、宴会場において、スマートフォンを操作して、スマートフォンに保存されている画像を選択し、「Photo Link」と表記されるアプリケーション画面にその画像を表示し、画像の上で画面の下から上へフリックするジェスチャ操作を行うと、その画像が宴会場に設置された大型表示装置に転送され、その映像が回転しながら縮小された後、他の複数の画像と共にスクロールして表示される様子が映っている。

(b)「甲第2号証の2」のビデオ映像の内容
「甲第2号証の2」には、パソコンの画面上の「Flight Photo3」という名称のファイルのプロパティを表示すると、更新日時として「2014年1月17日、22:52:38」が記録されており、このファイルを再生すると「甲第2号証の1」のビデオ映像が表示される様子が映っている。

(c)「甲第2号証」の本件出願前公然実施について
上記「1.取消理由通知に記載した取消理由について (1)甲1発明の本件出願前公然実施について」に示したように、当審合議体は、特許異議申立人に対して「甲第1号証」及び「甲第2号証」が公然実施されていたことを証明するための証拠の提出を要請する審尋を行った。
その審尋に対して、特許異議申立人は、「甲第2号証」に関して、上記「1.取消理由通知に記載した取消理由について (1)甲1発明の本件出願前公然実施について」の「c.平成28年8月10日付け回答書の要旨」の(b)のように『「甲第2号証の1」は、平成26年1月17日に、株式会社ユニゾンの従業員が撮影したものであり、「甲第2号証の2」は、「甲第2号証の1」の撮影日を立証するために、平成28年5月1日に、株式会社ベネフィシャルテクノロジーの代表取締役である山本幸男氏が撮影したものである。』と説明するのみであり、その事実を証明する証拠は何ら提出しなかった。
したがって、「甲第2号証の1」は、平成26年1月17日に撮影されたものとは認定できず、「甲第2号証の1」に開示された発明は、本件の特許出願前に公然実施されていたものとは認められない。

b.本件特許発明1ないし4について
上記a.の「(c)「甲第2号証」の本件出願前公然実施について」に示したように、「甲第2号証の1」に開示された発明は、本件の特許出願前に公然実施されていたものとは認められない。
したがって、本件特許発明1ないし4は、甲第2号証により、特許法第29条第1項第2号及び同第2項の規定に違反してされたものとはいえない。

c.本件特許発明5ないし9について
本件特許発明5ないし9は、本件特許発明1ないし4を引用する発明である。
よって、上記b.の判断と同様に、「甲第2号証の1」に開示された発明を主引用発明として、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえない。

3.特許異議申立人のその他の主張について
特許異議申立人は審尋に対する回答書の中で、次のような主張を行っている。
(1)「甲第1号証の1」、「甲第2号証の1」のビデオ映像と同一のものといえる株式会社ベネフィシャルテクノロジー社がOEM提供する株式会社ユニゾンの「Photo Flight」というサービスが、平成28年8月10日付け回答書において指摘されている動画に平成25年12月11日に開示されている。

(2)同「Photo Flight」というサービスは、本件の特許出願日前に頒布された『週刊ホテルレストラン』平成26年6月13日号第5頁に掲載されている。

(3)本件特許権者は、自ら本件の特許出願日前の平成25年11月7日に、「フォトシュシュ - スマホを使って写真をスクリーンに! - 空飛ぶペンギン社の結婚式最新演出-」という動画を公開し、また、平成26年7月5日に公開の動画「驚きの結婚式演出!スマートフォンで撮影した写真がスクリーンに飛んでいく!」という動画を公開している。

しかしながら、上記(1)ないし(3)の証拠に基づく新たな取消理由は、本件特許異議の申立ての理由の要旨を変更するものとなるため、採用することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、本件請求項1ないし9に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-07-25 
出願番号 特願2014-147245(P2014-147245)
審決分類 P 1 651・ 112- Y (H04N)
P 1 651・ 121- Y (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤原 敬利  
特許庁審判長 篠原 功一
特許庁審判官 清水 正一
渡辺 努
登録日 2015-09-18 
登録番号 特許第5808029号(P5808029)
権利者 株式会社空飛ぶペンギン社
発明の名称 リアルタイム写真表示システム  
代理人 金子 宏  
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