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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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異議2016700802 | 審決 | 特許 |
異議2016700981 | 審決 | 特許 |
異議2017701099 | 審決 | 特許 |
異議2015700283 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 A23L 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A23L 審判 全部申し立て 2項進歩性 A23L |
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管理番号 | 1331258 |
異議申立番号 | 異議2017-700431 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-04-28 |
確定日 | 2017-08-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6018189号発明「セルロースエーテルを含む食品組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6018189号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6018189号の請求項1?8に係る特許についての出願は、2012年6月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年6月14日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成28年10月7日に特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人信越化学工業株式会社より特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 特許第6018189号の請求項1?8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1?8」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 【請求項1】 セルロースエーテルを含む食品組成物であって、 前記セルロースエーテルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、 前記セルロースエーテルは、1.65?2.20のDS(メチル)、0.10?1.00のMS(ヒドロキシプロピル)を有し、さらに、 無水グルコース単位のヒドロキシ基は、[s23/s26-0.2*MS(ヒドロキシプロピル)]が0.35以下となるようにメチル基で置換されており、 ここで、式中のs23は、無水グルコース単位の2位と3位の位置にある2つのヒドロキシ基のみがメチル基で置換された無水グルコース単位のモル分率であり、 s26は、無水グルコース単位の2位と6位の位置にある2つのヒドロキシ基のみがメチル基で置換された無水グルコース単位のモル分率である、前記食品組成物。 【請求項2】 前記[s23/s26-0.2*MS(ヒドロキシプロピル)]が、0.27以下である、請求項1に記載の食品組成物。 【請求項3】 前記セルロースエーテルが、1.70?2.10のDS(メチル)を有する、請求項1又は2に記載の食品組成物。 【請求項4】 前記セルロースエーテルが、1.70?2.10のDS(メチル)及び0.15?0.80のMS(ヒドロキシプロピル)を有する、請求項1?3のいずれか一項に記載の食品組成物。 【請求項5】 固形食品組成物である、請求項1?4のいずれか一項に記載の食品組成物。 【請求項6】 タンパク質性の食品組成物である、請求項1?5のいずれか一項に記載の食品組成物。 【請求項7】 大豆パティである、請求項1?6のいずれか一項に記載の食品組成物。 【請求項8】 結合力及び硬さから選択される食品組成物の特性の1つ又は複数を改善するための方法であって、請求項1?5のいずれか一項に記載のセルロースエーテルを食品組成物に組み込む工程を含む、前記方法。 第3 申立理由の概要 特許異議申立人は、以下の理由により、本件発明1?8についての特許を取り消すべき旨主張している。 (申立理由1) 甲第2号証?甲第4号証の1を参酌すれば、本件発明1?8は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないか、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 (申立理由2) 請求項8の「請求項1?5のいずれか一項に記載のセルロースエーテルを食品組成物に組み込む工程」は、請求項1?5のいずれか一項に記載された食品組成物との関係が不明確であるから、請求項8の記載は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。 甲第1号証:特表2002-541270号公報 甲第2号証:特開2005-307214号公報 甲第3号証:米国特許第9394376号の審査段階における2015年12月3日に提出された応答書 甲第3号証の1:甲第3号証の部分訳文 甲第4号証:甲第3号証の応答書に添付された宣誓書 甲第4号証の1:甲第4号証の訳文 第4 判断 1 申立理由2について 請求項8の「請求項1?5のいずれか一項に記載のセルロースエーテル」とは、文言上、請求項1?5のいずれか一項において特定された「セルロースエーテル」を意味すると解される。 そして、請求項1?5に係る発明は「食品組成物」の発明であるものの、請求項1?5には、当該食品組成物に含まれる「セルロースエーテル」が明確に特定されている。 そうすると、請求項8の「請求項1?5のいずれか一項に記載のセルロースエーテル」によって「セルロースエーテル」は明確に特定されているといえ、「請求項1?5のいずれか一項に記載のセルロースエーテルを食品組成物に組み込む工程」とは、上記特定された「セルロースエーテル」を食品組成物に組み込む工程を意味することが明らかである。 よって、請求項8に不明確なところはなく、請求項8の記載は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たすものといえる。 2 申立理由1について (1)甲第1号証の記載 甲第1号証には、【0019】、【0020】、【0034】、【0039】を参酌すると、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「メチルセルロースを含む食品組成物であって、 前記メチルセルロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であり、 前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、約1?約32%のヒドロキシプロピル置換率を有し、メチルセルロースの質量を基準に約21?約42質量%のメトキシル置換率を一般に有する、 前記食品組成物。」 (2)本件発明1について ア.対比 本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者は、 「セルロースエーテルを含む食品組成物であって、 前記セルロースエーテルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである 前記食品組成物。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) セルロースエーテルについて、本件発明1は 「前記セルロースエーテルは、1.65?2.20のDS(メチル)、0.10?1.00のMS(ヒドロキシプロピル)を有し、さらに、 無水グルコース単位のヒドロキシ基は、[s23/s26-0.2*MS(ヒドロキシプロピル)]が0.35以下となるようにメチル基で置換されており、 ここで、式中のs23は、無水グルコース単位の2位と3位の位置にある2つのヒドロキシ基のみがメチル基で置換された無水グルコース単位のモル分率であり、 s26は、無水グルコース単位の2位と6位の位置にある2つのヒドロキシ基のみがメチル基で置換された無水グルコース単位のモル分率である」 と特定されているのに対し、甲1発明はそのように特定されていない点。 イ.判断 甲1発明の「ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、約1?約32%のヒドロキシプロピル置換率を有し、メチルセルロースの質量を基準に約21?約42質量%のメトキシル置換率を一般に有する」ことから、甲1発明のDS(メチル)、MS(ヒドロキシプロピル)を算出すると、DS(メチル)は1.2?3.9、MS(ヒドロキシプロピル)は0.02?1.2となり(特許異議申立書9?10頁参照。)、それぞれ、本件発明1のDS(メチル)1.65?2.20、MS(ヒドロキシプロピル)0.10?1.00の範囲を包含するといえる。 しかし、甲第1号証には、甲1発明のDS(メチル)及びMS(ヒドロキシプロピル)の範囲を更に減縮して、本件発明1の範囲に設定することや、[s23/s26-0.2*MS(ヒドロキシプロピル)]が0.35以下となるように設定することについての記載や示唆は認められないし、[s23/s26-0.2*MS(ヒドロキシプロピル)]というパラメータに着目することすら示唆されていない。 よって、甲1発明において、相違点1に係る本件発明1の構成を採用することを当業者が容易に想到し得たとはいえない。 特許異議申立人は、甲1発明のセルロースエーテルの製造方法が、本件発明1の製造方法と同じであれば、甲1発明のセルロースエーテルも、無水グルコース単位のヒドロキシ基は、[s23/s26-0.2*MS(ヒドロキシプロピル)]が0.35以下となるようにメチル基で置換されていることになると主張する。 しかし、甲第1号証には、甲1発明のヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造し得る旨の一般的な記載は認められるが、実際にヒドロキシプロピルメチルセルロースを製造した具体例の記載はないのであるから、甲1発明のセルロースエーテルの製造方法が、本件発明1の製造方法と同じであるということはできない。 よって、上記特許異議申立人の主張は採用できない。 特許異議申立人は、甲第3号証?甲第4号証の1に基づいて、本件特許の発明者も認めているように、本件発明1に係るセルロースエーテルは、甲1発明に係るセルロースエーテルと同じであるとも主張する。 しかし、甲第3号証?甲第4号証の1に示されているのは、甲第1号証に記載された例1の製造例を再現したものではなく、プロピレンオキシドを特定量、特定のタイミングで投入することの条件設定を行い、また、加熱温度も、甲第1号証の80℃とは異なる85℃で行うという変更を加えたものである。 よって、甲第3号証?甲第4号証の1を根拠に、甲1発明に係るセルロースエーテルが本件発明1に係るセルロースエーテルと同じであるとは認められず、上記特許異議申立人の主張は採用できない。 ウ.小括 したがって、本件発明1は、甲1発明であるとはいえず、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。 (3)本件発明2?8について 本件発明2?7は、本件発明1を更に減縮したものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、甲1発明であるとはいえず、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。 本件発明8は、「請求項1?5のいずれか一項に記載のセルロースエーテルを食品組成物に組み込む工程」を含む方法の発明であるところ、請求項1?5のいずれか一項に記載のセルロースエーテルは、本件発明1について検討したのと同様に、甲第1号証に記載されたセルロースエーテルではなく、甲第1号証に記載されたセルロースエーテルに基いて当業者が容易に想到し得たともいえない。よって、上記工程を含む本件発明8は、甲第1号証に記載された発明ではなく、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?8に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1?8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-08-09 |
出願番号 | 特願2014-515874(P2014-515874) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
Y
(A23L)
P 1 651・ 537- Y (A23L) P 1 651・ 121- Y (A23L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 市島 洋介、坂崎 恵美子 |
特許庁審判長 |
田村 嘉章 |
特許庁審判官 |
紀本 孝 窪田 治彦 |
登録日 | 2016-10-07 |
登録番号 | 特許第6018189号(P6018189) |
権利者 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー |
発明の名称 | セルロースエーテルを含む食品組成物 |
代理人 | 松井 光夫 |
代理人 | 胡田 尚則 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 古賀 哲次 |
代理人 | 出野 知 |
代理人 | 石田 敬 |