• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G03G
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03G
管理番号 1331805
審判番号 不服2017-5914  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-25 
確定日 2017-09-19 
事件の表示 特願2013- 70887「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日出願公開、特開2014-194488、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月29日の出願であって、平成28年11月21日付けで手続補正がされ、平成29年4月3日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年4月25日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同年7月21日付けで拒絶理由通知がされ、同年8月1日付けで手続補正がされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1乃至12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」乃至「本願発明12」という。)は、平成29年8月1日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1乃至12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
軸心周りに回転する感光体を有し、前記感光体にトナーを供給してトナー像を形成する電子写真方式の画像形成部と、
前記画像形成部を収容するとともに、前記画像形成部に対して前記軸心と平行な第1方向の一方に設けられ、内外を連通させる吸気口が形成された第1壁部を有する筐体と、
前記筐体内において前記第1方向の一方から前記第1方向の他方に向かって延び、前記吸気口から吸入された空気が流通する吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、前記第1方向と直交する第2方向において前記画像形成部と対向し、前記吸気ダクト内の空気を前記画像形成部に向けて流す開口が形成された対向部を有し、
前記画像形成部は、前記感光体に対向し、前記感光体に前記トナーを供給する現像ローラと、前記現像ローラ上の前記トナーの量を規定するブレードとを有し、
前記ブレードは、前記現像ローラ上の余分な前記トナーをかき取るゴム製のかき取り部と、前記かき取り部を支持する金属製の支持部とからなり、
前記開口は、前記ブレードの前記支持部と対向していることを特徴とする画像形成装置。」

なお、本願発明2乃至12の概要は以下のとおりである。
本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明3は、本願発明1又は2のいずれかを減縮した発明である。
本願発明4は、本願発明3を減縮した発明である。
本願発明5は、本願発明3を減縮した発明である。
本願発明6は、本願発明3乃至5のいずれかを減縮した発明である。
本願発明7は、本願発明6を減縮した発明である。
本願発明8は、本願発明6又は7のいずれかを減縮した発明である。
本願発明9は、本願発明8を減縮した発明である。
本願発明10は、本願発明1乃至9のいずれかを減縮した発明である。
本願発明11は、本願発明10を減縮した発明である。
本願発明12は、本願発明1乃至11のいずれかを減縮した発明である。


第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成13年1月19日に頒布された引用文献1(特開2001-13856号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 トナー像を形成する画像形成部と前記画像形成部で形成されたトナー像を転写材上に定着させる定着手段とを画像形成装置本体内に設けた画像形成装置において、
それぞれ独立の層構造をなす給気ダクト層と排気ダクト層とを有し、前記画像形成装置本体を構成する一の側板と他の側板との間のほぼ全長にわたって配設されたエアダクトを備え、
前記給気ダクト層は、前記一の側板側に開口し前記画像形成装置本体外部の空気が供給される給気口と、前記給気口から供給された空気を前記画像形成装置本体内部に吹き出す吹出口とを有し、
前記排気ダクト層は、前記画像形成装置本体内部の空気を吸入する吸入口と、前記他の側板側に開口し前記吸入口から吸入された空気を前記画像形成装置本体外部に排気する排気口とを有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】 前記吸入口を有する前記排気ダクト層が、前記吹出口を有する前記給気ダクト層の上側に配置された、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【請求項6】 前記画像形成部は、像担持体上の不要なトナーを除去するクリーニング手段を有し、
前記エアダクトを前記クリーニング手段と前記定着手段との間に配置するとともに、前記吹出口及び前記吸入口を前記クリーニング手段側に向けて開口させる、
ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の画像形成装置。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、レーザプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。」
(3)「【0018】また、近年のエアーフローの高効率化に伴い、特許番号第2693396号に報告されているように、画像形成装置本体に、排気ファンと、画像形成のためのクリーニング器と、定着器とを配設し、かつ冷却用空気導入口を設け、クリーニング器と定着器との間に仕切板を配置し、定着器とこれに隣接する仕切板との間、及びクリーニング器とこれに隣接する仕切板との間に、上述の冷却用空気導入口から排気ファンに通じる空気流路(排気流通経路)を形成することも行われている。」
(4)「【0023】本発明は、上述事情に鑑みてなされたものであり、排気ファンの総数の増加を伴うことなく、したがって総数増加による問題を伴うことなく、画像形成装置本体内の排気を円滑に行うようにした画像形成装置を提供することを目的とするものである。」
(5)「【0028】請求項5に係る本発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、前記給気口に空気を供給する給気ファンと、前記排気口から空気を排気する排気ファンとを備える、ことを特徴とする。」
(6)「【0034】画像形成装置1は、主に図2に示すように、画像形成装置本体3のほぼ中央部に画像形成部2が設けてある。画像形成部2は、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)10を備えている。感光ドラム10は、駆動手段(不図示)によって矢印R10方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光ドラム10としては、例えば、アルミニウム製のドラム基体の外周面にOPC(有機光半導体)感光層を設けたものを使用することができる。
【0035】感光ドラム10は、その表面が一次帯電器13によって所定の極性、所定の電位に均一に帯電される。
【0036】帯電後の感光ドラム10は、露光手段によって静電潜像が形成される。露光手段は、原稿載置台5上に下向きに載置されて圧着板33により押えられた原稿を移動光源6によって照射し、その反射光を移動ミラー群31、レンズ系7、固定ミラー32等によって感光ドラム10表面に導く。これにより感光ドラム10表面に静電潜像が形成される。
【0037】静電潜像は現像器11によってトナーが付着されてトナー像として現像される。このトナー像は、ポスト帯電器14によって電荷が整えられた後、転写帯電器15によって転写材S上に転写される。転写材Sは、給紙カセット9a、9b、9cのいずれかに収納されていたものが給紙ローラ19a、19b、19c、搬送ローラ対20a、20b、20c、ガイド部材21を介してレジストローラ対22に搬送されて一旦停止されたものが、このレジストローラ対22によって感光ドラム10上のトナー像にタイミングを合わせるようにして供給されたものである。

【0039】一方、トナー像転写後の転写材Sは、分離帯電器16によって感光ドラム10表面から分離される。分離された転写材Sは、搬送ローラ17a、17bとこれらに掛け渡された搬送ベルト17cとを有する搬送装置17によって定着器(定着手段)25に搬送される。転写材Sは、ここで定着ローラ25a及び加圧ローラ25bによって加熱、加圧されて表面にトナー像が定着され、その後、排出ローラ対26によって排出部30から画像形成装置本体3外部に排出される。これにより画像形成が終了する。」
(7)「【0047】本実施の形態においては、図5に示す画像形成装置本体3の前側板35と後側板34との間の前後方向のほぼ全域にわたって、クリーニング器12と定着器25との間に、図1?図3、図5に示すエアダクト38が設けられている。なお、図1では定着器25は、前後方向に長い直方体状に図示されている。

【0049】エアダクト38は、それぞれ独立の給気ダクト層38bと排気ダクト層38aとを有する上下2層構造に構成されている。下側の給気ダクト層38bは、前後方向に長く形成されている。給気ダクト層38bは、前端部には上述の給気ファン37に向けて開口された給気口(冷却用空気導入口としても作用)38cが設けられており、後端部は後側板34によって閉鎖されている。また、給気ダクト層38bの右側板38eにおける前後方向の中間部には、クリーニング器12に向けて開口された吹出口42が、前後方向に多数穿設されている。上側の排気ダクト層38aは、下側の給気ダクト層38bの上部に重ねるようにして前後方向に長く形成されている。排気ダクト層38aは、前端部が閉鎖されており、後端部には上述の排気ファン4に向けて開口された排気口38dが設けられている。また、排気ダクト層38aの右側板38eにおける前後方向の中間部には、クリーニング器12に向けて開口された吸込口46が前後方向に多数穿設されている。これら吸込口46は、上述の給気ダクト層38bの吹出口42と同一平面上に配置されている。つまり、エアダクト38の右側板38eとクリーニング器12との間には、板状の空気の流路R(図2、図3参照)が形成されている。さらに、排気ダクト層38aの内部には、空気の流れを円滑にするためのフィン47が立設されている。フィン47は、吸込口46から吸引された空気A3を後方の排気口38dに効率よくかつ均等に導くために、適宜な形状に屈曲(又は湾曲)されたものが複数設けられている。なお、上述の給気ダクト層38bの吹出口42及び排気ダクト層38aの吸込口46の位置、大きさ、数等は適宜変更可能である。」
(8)上記(6)、及び(7)、並びに図4、及び図5より、感光ドラムの軸心と平行なエアダクトが看取できる。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「感光ドラムを備えているトナー像を形成する画像形成部と前記画像形成部で形成されたトナー像を転写材上に定着させる定着手段とを画像形成装置本体内に設けた画像形成装置において、
それぞれ独立の層構造をなす給気ダクト層と排気ダクト層とを有し、前記画像形成装置本体を構成する一の側板と他の側板との間のほぼ全長にわたって配設され、感光ドラムの軸心と平行なエアダクトを備え、
前記給気ダクト層は、前記一の側板側に開口し前記画像形成装置本体外部の空気が供給される給気口と、前記給気口から供給された空気を前記画像形成装置本体内部に吹き出す吹出口とを有し、
前記排気ダクト層は、前記画像形成装置本体内部の空気を吸入する吸入口と、前記他の側板側に開口し前記吸入口から吸入された空気を前記画像形成装置本体外部に排気する排気口とを有し、
前記吸入口を有する前記排気ダクト層が、前記吹出口を有する前記給気ダクト層の上側に配置され、
前記画像形成部は、像担持体上の不要なトナーを除去するクリーニング手段を有し、
前記エアダクトを前記クリーニング手段と前記定着手段との間に配置するとともに、前記吹出口及び前記吸入口を前記クリーニング手段側に向けて開口させた、画像形成装置。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成7年5月2日に頒布された引用文献2(特開平7-114327号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 未定着トナーを支持体上に主に加熱手段の熱により定着する定着手段と定着手段の周辺に気体流路を有する画像形成装置において、前記定着手段の長手方向に略平行に配置される第1流路は、長手方向の一方の端部に第1開口部を有するとともに、長手方向に設けられた第2開口部を有し、前記第2開口部は前記支持体の搬送方向の前記定着手段への進入側に位置し、かつ、前記支持体搬送面に対し加熱手段側に配置され、前記第1開口部と装置外部に連通する第3開口部との間に設けられたファンを有し、前記第1流路は前記第2開口部を始端とし、前記第1開口部を終端とすることを特徴とする画像形成装置。

【請求項3】 前記第2開口部は前記定着手段の長手方向に単位長さ当たりの開口面積が異なる開口を有することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。」
(2)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機等の電子写真記録装置に関し、更に詳しくは、加熱定着手段により発生する水蒸気や高温気体を装置外に排除するとともに装置内の温度上昇を防ぐ構造を有する画像形成装置に関する。」
(3)「【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来の欠点を解決するもので、その目的とするところは、定着装置と他の作像プロセスを熱的に遮断すると共に、定着時に発生する多量の水蒸気等の有害気体を画像形成装置外に排除し、さらに電源が遮断された後の画像形成装置内の高温化を防ぎ、安全性が高く、機械的信頼性の高い、かつ画像品質の良好な画像形成装置を簡単な構成にて提供する事にある。」
(4)「【0064】図5(a)において、加熱ローラ18は軸受け45によって両端を回転支持され、軸受け45は定着手段筐体16に軸止される。また、駆動ギア46は加熱ローラ18端部に嵌合する。図示しない駆動源は駆動ギア46を経由して加熱ローラ18を回転駆動する。定着手段に隣接配置される第1流路1は、図示しない記録紙21に対向する底面に長手方向に設けられた複数の開口部301、302、303、304、305からなる第2開口部3を有す。第1流路1は第2開口部3を介して記録紙21上の空間10と連通している。また、第1流路1の長手方向の一方端は閉じた密閉端となっており、長手方向の反対側の他端は開放端である第1開口部2となっている。さらに、画像形成装置を覆うケース20の側面側には第3開口部5が設けられ外気と連通する。ファン4は第3開口部5と第1開口部2との間に設けられ、画像形成装置内の気体を矢印330に示す如く外部に排気する。ここで、定着手段の長手方向に関し、通紙可能な最大幅の記録紙21が通紙された場合、加熱ローラ18の長手方向に対し記録紙21の一端がA、他端がBを通る位置に相当する。
【0065】ファン4が風下側に配置されるため、ファン4の気体吸引力は風下側のAの位置では強く、風上側のBの位置では弱くなり、風上側から風下側に順次強まる分布を有す。一方、第2開口部3は風上側の開口部305から風下側の開口部301にかけて順次開口面積が減少する構成である。従って、長手方向の各位置での気体吸引量すなわち吸引風量は気体吸引力と開口部面積の積で決定されるため、空間10から、気体は各開口部301、302、303、304、305に於いて、矢印311、312、313、314、315で示す如く略均一量吸引される。従って、図3、図4に示した各気体流a、b、dはそれぞれ長手方向に略均一となった。」

したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「未定着トナーを支持体上に主に加熱手段の熱により定着する定着手段と定着手段の周辺に気体流路を有する画像形成装置において、前記定着手段の長手方向に略平行に配置される第1流路は、長手方向の一方の端部に第1開口部を有するとともに、長手方向に設けられた第2開口部を有し、前記第2開口部は前記支持体の搬送方向の前記定着手段への進入側に位置し、かつ、前記支持体搬送面に対し加熱手段側に配置され、前記第1開口部と装置外部に連通する第3開口部との間に設けられたファンを有し、前記第1流路は前記第2開口部を始端とし、前記第1開口部を終端とし、
前記第2開口部は前記定着手段の長手方向に単位長さ当たりの開口面積が異なる開口を有する画像形成装置。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成20年9月25日に頒布された引用文献3(特開2008-224747号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内で所定の長さを有する範囲にわたって設けられた被冷却部と、
前記被冷却部に対して冷却風を供給する冷却ファンと、
前記冷却ファンから冷却風が吹き出される送風口と前記被冷却部との間を連結するとともに、前記被冷却部に対しその長手方向に沿って隣接する位置まで延びる送風流路と、
前記送風流路の外面に形成され、前記被冷却部の長手方向に沿って対向する位置で冷却風を吹き出す開口部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記送風流路の外面には、前記被冷却部の長手方向に沿って対向する位置に複数の前記開口部が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記複数の開口部は、
前記被冷却部の長手方向でみた温度上昇の分布に応じて冷却風の吹き出し面積が互いに異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像形成装置において、
前記複数の開口部は、
前記送風流路の外面において前記被冷却部の前方側から後方側へ向かうにつれて冷却風の吹き出し面積が拡大されていることを特徴とする画像形成装置。」
(2)「【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙等の印刷媒体に画像を印刷する画像形成装置に係り、特に、冷却ファンにより画像形成ユニット等の被冷却部を冷却する構成に関するものである。」
(3)「【0007】
そこで本発明は、被冷却部の長手方向に対して均一かつ効果的に冷却を行うことが可能な画像形成装置を提供することを課題とする。」
(4)「【0034】
図2に示されるように、装置本体2内の右部には、冷却ファン(シロッコファン)52が取付けられている。また、図3に示されるように、冷却ファン52から冷却風が吹き出される送風口52aには4つのノズルが形成されている。送風口52aには、各ノズルから吹き出された冷却風を送るための送風流路を成す4本のフレキシブルチューブ53?56の後端部がそれぞれ差し込まれている。そして図4?図7に示すように、4本のフレキシブルチューブ53?56は、冷却ファン52と各画像形成ユニット26?29との間を連結するとともに、さらにトナーボックス51底面の後方側の端部まで延長して設けられている。この状態で各フレキシブルチューブ53?56は、トナーボックス51の底面の長手方向に沿ってその側面(外面)が隣接して配置されている。
【0035】
ここで、図4、図8に示すように、4本のフレキシブルチューブ53?56には、それぞれ側面の上側に複数の開口部53a?53e,54a?54e,55a?55e,56a?56eが形成されている。このためフレキシブルチューブ53?56は、それぞれ複数の開口部53a?53e,54a?54e,55a?55e,56a?56eからトナーボックス51の底面に向けて冷却風を吹き付けることができるものとなっている。なお図8に示されているように、フレキシブルチューブ53?56の先端は、例えばキャップ70により閉塞されている。
【0036】
開口部53a?53e,54a?54e,55a?55e,56a?56eは、フレキシブルチューブ53?56側面の上側においてトナーボックス51底面の前方側から後方側に向かうにつれて順々に開口面積(冷却風の吹き出し面積)が広くなっている。即ち、例えば1本のフレキシブルチューブ53において、トナーボックス51底面の前方側に位置する開口部53eの開口面積が最も小さく、この開口部53eから後方側の開口部53aまで順々に開口面積が広くなっていき、そしてトナーボックス51底面の後方側に位置する開口部53aの開口面積が最も大きくなっている。したがって、トナーボックス51底面の前方側で冷却風を吹き付ける風量(流量)が最も少なく、風量は開口部53aから開口部53eまで順々に多くなっていき、そしてトナーボックス51底面の後方側では風量が最も多くなっている。」

したがって、上記引用文献3には次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「装置本体内で所定の長さを有する範囲にわたって設けられた被冷却部と、
前記被冷却部に対して冷却風を供給する冷却ファンと、
前記冷却ファンから冷却風が吹き出される送風口と前記被冷却部との間を連結するとともに、前記被冷却部に対しその長手方向に沿って隣接する位置まで延びる送風流路と、
前記送風流路の外面に形成され、前記被冷却部の長手方向に沿って対向する位置で冷却風を吹き出す開口部とを備え、
前記送風流路の外面には、前記被冷却部の長手方向に沿って対向する位置に複数の前記開口部が形成され、
前記複数の開口部は、
前記被冷却部の長手方向でみた温度上昇の分布に応じて冷却風の吹き出し面積が互いに異なり、
前記複数の開口部は、
前記送風流路の外面において前記被冷却部の前方側から後方側へ向かうにつれて冷却風の吹き出し面積が拡大されている画像形成装置。」

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成14年7月26日に頒布された引用文献4(特開2002-207410号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 被クリーニング体に付着したトナーを除去するクリーニング装置を有する画像形成装置において、前記クリーニング装置の内部の空気を画像形成装置本体外に排出する排気手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】 前記排気手段は、画像形成装置本体外に排出すべき空気を吸引して画像形成装置本体外に排出する排気ファンと、該空気を前記排気ファンに導く排気ダクトとを有する請求項1に記載の画像形成装置。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被クリーニング体に付着したトナーを除去するクリーニング装置を有する画像形成装置に関する。」
(3)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した新規な認識に基づきなされたものであり、その目的とするところは、クリーニング装置内部の温度上昇を従来よりも効果的に抑えることの可能な画像形成装置を提供することにある。」
(4)「【0018】一方、給紙部4は、例えば転写紙より成る各種サイズの転写材Pをそれぞれ収容した複数の給紙カセット26,27,28と、各給紙カセット内の最上位の転写材Pを1枚ずつ送り出す給紙ローラ29,30,31とを有しており、選択された給紙カセット内の転写材が給紙ローラの回転により送り出される。」
(5)「【0028】以上のように、本例の電子写真式の画像形成装置は、像担持体にトナー像を形成する現像装置と、そのトナー像を転写材に転写する転写装置と、転写後に像担持体上に残ったトナーを除去するクリーニング装置と、転写材に転写されたトナー像を熱によって定着する定着装置とを有し、この定着装置20からは大量の熱が放出される。かかる定着装置20の近くに感光体用のクリーニング装置16が設けられているので、従来のこの種の画像形成装置においては、そのクリーニング装置の内部の温度が過度に上昇するおそれがあった。このようにクリーニング装置の内部の温度が過度に上昇すると、そのケーシング内のトナーが融着するなどして、トナーを排出する回収コイルに大きな負荷がかかり、その回収コイルの円滑な回転が阻害され、場合によっては、当該回収コイルや、これを駆動するギアなどがロックしたり、これが破損し、クリーニング装置の機能が害されるおそれがある。」
(6)「【0034】また、本例の画像形成装置においては、図2及び図3に示すように、画像形成装置本体外の空気を取り入れる吸引ファン57と、前述の吸気ダクト51とを有し、その吸気ダクト51は、画像形成装置本体内で2つのダクト部分51A,51Bに分岐されている。図3に矢印F4で示すように、吸引ファン57によって画像形成装置本体外の冷気が吸気ダクト51に取り入れられ、その冷気は、吸気ダクト51の各ダクト部分51A,51Bにそれぞれ分かれる。一方のダクト部分51Aに流入した空気は、矢印F5で示すように、感光体12の長手方向一端側から、その感光体12の内部に流入し、その他端側から感光体外に排出される。このようにして感光体12が冷気によって冷却される。他方のダクト部分51Bに流入した空気は、矢印F6で示すように、空気流入路58を通って、帯電チャージャより成る帯電装置13のケース59を通過して感光体ユニット45内に入り、図2に矢印F7で示すように感光体12の周面に沿って流れ、クリーニングブレード47より成るクリーニング部材に達し、ここでこのクリーニングブレード47及びその近傍を冷却する。この気流は、帯電装置13に新鮮な空気を供給すると共に、帯電装置13で発生したオゾンを運ぶ働きもなす。
【0035】クリーニングブレード47を冷却した後の空気は、排気ファン55に引かれて、矢印F8で示すように、前述の空気排出路54に流入し、ここでクリーニング装置16のケーシング46から排出された空気と合流し、オゾンフィルタ56、排気ダクト50及び排気ファン55を通して画像形成装置本体外に排出される。当該空気がオゾンフィルタ56を通るとき、その空気に含まれたオゾンが除去される。」

したがって、上記引用文献4には次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。
「被クリーニング体に付着したトナーを除去するクリーニング装置を有する画像形成装置において、前記クリーニング装置の内部の空気を画像形成装置本体外に排出する排気手段を設け、
前記排気手段は、画像形成装置本体外に排出すべき空気を吸引して画像形成装置本体外に排出する排気ファンと、該空気を前記排気ファンに導く排気ダクトとを有する画像形成装置。」

5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成25年1月17日に頒布された引用文献5(特開2013-11743号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスユニットを備える画像形成装置に関する。」
(2)「【0005】
そこで、本発明は、プロセスユニット内のトナー(現像剤)を効率良く冷却することができる画像形成装置を提供することを目的とする。」
(3)「【0026】
プロセスユニット6は、フロントカバー23の開放により形成される開口部2Aを通して装置本体2に着脱可能であり、感光ドラム61と、感光ドラム61に対向する転写部の一例としての転写ローラ62と、帯電器6Aと、現像ローラ6Bと、供給ローラ6Cと、層厚規制ブレード6Dと、トナー収容室6Eとを備えている。」

したがって、上記引用文献5には次の発明(以下、「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。
「感光ドラム61と、感光ドラム61に対向する転写部の一例としての転写ローラ62と、帯電器6Aと、現像ローラ6Bと、供給ローラ6Cと、層厚規制ブレード6Dと、トナー収容室6Eとを備えているプロセスユニット6。」

6.引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成20年2月21日に頒布された引用文献6(特開2008-39897号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等において用いられるブレードに関する。特に、熱硬化型ポリウレタンからなる現像ブレードの素材となる粗面を形成したブレード素材、その製造方法およびその製造装置に関する。」
(2)「【0009】
本出願人は、粗面化した合成樹脂製の現像ブレード素材を連続して製造する方法、特に、離型剤を使用しない現像ブレードに関する提案を特願2005-218241号として提案した。
本発明は、さらに、摩擦摺擦面及び先端面の粗面を形成したブレード、及びその製法、製造装置を提供するものである。」
(3)「【0012】
1.ブレード
1-1 ブレード
本発明が対象とするブレードは、合成樹脂製の弾性ゴム体からなるテープを金属製の支持部材一側縁に沿って接合したものであり、現像ブレードやクリーニングブレードに利用される。現像ブレードの場合は、少なくとも電荷付与面となる部分である摩擦摺動部分(ニップ)と先端面を粗面にしたものである。合成樹脂としては、主に、熱硬化性ポリウレタンが用いられる。
本発明で得られる現像ブレードの用途は、従来の電子写真方式の現像装置に用いられるものと同様である。
例えば、図1に示す現像装置を挙げることができる。
現像ブレード31は現像ローラ37に圧接されるように設けられている。トナー39は、供給ローラ38から現像ローラ37に移乗して、現像ローラ37と現像ブレード31に設けられたポリウレタン製の弾性ゴム部材33の間を通過するときに、摩擦帯電して感光体36に移乗する。
現像ブレード31は、金属製の支持体32にポリウレタン製の弾性ゴム部材33を貼り付けたものである(図2a参照)。
ポリウレタン製の弾性ゴム部材33は、現像ローラ7に対向する面である摺擦面35と先端面41に粗面化部分Wが設けられている。粗面化部分Wは、少なくとも先端面に設けられた粗面化部分Q、ニップ部N、ニップ後継部P及び先端からニップ部まで設けられている(図2b参照)。」

したがって、上記引用文献6には次の技術事項(以下、「引用文献6記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「合成樹脂製の弾性ゴム体からなるテープを金属製の支持部材一側縁に沿って接合したブレード。」

7.引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成15年10月10日に頒布された引用文献7(特開2003-287996号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体ケース内に、静電潜像が形成される像担持体と、当該像担持体の静電潜像を現像剤により現像して現像剤像を形成する現像手段と、当該現像手段により前記像担持体に形成された現像剤像を被記録媒体に転写する転写手段と、当該転写手段により被記録媒体に転写された現像剤像を加熱して定着する定着手段と、前記本体ケースに着脱可能に設けられ、少なくとも前記現像手段と現像剤とが収容されたプロセスカートリッジとを備えた画像形成装置であって、
前記定着手段と、当該定着手段の側方に装着された前記プロセスカートリッジとの間に設けられた、前記本体ケース内部の雰囲気を排気するための排気通路であるダクトと、
前記装着されたプロセスカートリッジに対向する部分と前記定着手段に対向する部分と両対向部分を結ぶ接続部分とを有し、前記ダクトを構成する壁面と、
当該壁面の接続部分の中間位置から、前記定着手段と対向する部分にかけて開口し、前記ダクトの排気通路に連通する第1開口部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはそれらの複合機などの画像形成装置に関し、詳細には定着手段や露光手段等から発生される熱を含む雰囲気を本体ケース外に効率よく排気し、さらに定着手段から発生される熱がプロセスカートリッジに影響を及ぼさないように排気流路を構成したダクトを備えた画像形成装置に関する。」
(3)「【0005】本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、限られた本体ケース内の空間を有効利用して、プロセスカートリッジが定着手段から発生される熱による影響を受けて画像形成不良を発生することのない画像形成装置を提供することを目的とする。」
(4)「【0062】さらに、本体ケース2内にプロセスカートリッジ17が装着された場合に、そのプロセスカートリッジ17の筐体の上面のうちスコロトロン型帯電器29の近傍に設けられた開口171の近傍を、シャッター103と、ダクト100aの下部の壁面と、ゴムやスポンジ等の弾性部材からなる仕切部材104と、後述のカートリッジ収納部57の左右の側面である左側面57a,右側面57bとで覆うように排気室101が構成されている。そして、スコロトロン型帯電器29から発生されたオゾンはこの排気室101に充満し、このオゾンを含む雰囲気がダクト100aに吸引排気されるように、そのダクト100aの下面のうちスコロトロン型帯電器29に対向する部分に開口部105が形成されている。尚、仕切部材104が、本発明における「仕切部」であり、排気室101が、本発明における「第2排気室」であり、開口部105が、本発明における「第2開口部」である。」

したがって、上記引用文献7には次の発明(以下、「引用発明7」という。)が記載されていると認められる。
「本体ケース内に、静電潜像が形成される像担持体と、当該像担持体の静電潜像を現像剤により現像して現像剤像を形成する現像手段と、当該現像手段により前記像担持体に形成された現像剤像を被記録媒体に転写する転写手段と、当該転写手段により被記録媒体に転写された現像剤像を加熱して定着する定着手段と、前記本体ケースに着脱可能に設けられ、少なくとも前記現像手段と現像剤とが収容されたプロセスカートリッジとを備えた画像形成装置であって、
前記定着手段と、当該定着手段の側方に装着された前記プロセスカートリッジとの間に設けられた、前記本体ケース内部の雰囲気を排気するための排気通路であるダクトと、
前記装着されたプロセスカートリッジに対向する部分と前記定着手段に対向する部分と両対向部分を結ぶ接続部分とを有し、前記ダクトを構成する壁面と、
当該壁面の接続部分の中間位置から、前記定着手段と対向する部分にかけて開口し、前記ダクトの排気通路に連通する第1開口部とを備えた画像形成装置。」


第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、
後者の「感光ドラム」、「トナー像を形成する画像形成部」、「給気口」、及び「吹出口」は、それぞれ、前者の「軸心周りに回転する感光体」、「前記感光体にトナーを供給してトナー像を形成する電子写真方式の画像形成部」、「吸気口」、及び「開口」に相当する。
後者の「一の側板」は、感光ドラムの軸心と平行なエアダクトの「給気口」が開口しているから、後者の「一の側板」は、前者の「第1壁部」に相当し、「画像形成部に対して前記軸心と平行な第1方向の一方に設けられ、内外を連通させる吸気口が形成された第1壁部」といえる。
後者の「画像形成部本体」は、「画像形成部」を内に設け、「一の側板と他の側板」とで構成されるものであるから、後者の「画像形成部本体」は、「画像形成部を収容するとともに、前記画像形成部に対して前記軸心と平行な第1方向の一方に設けられ、内外を連通させる吸気口が形成された第1壁部を有する筐体」といえる。
後者の「給気ダクト層」は、「前記一の側板側に開口し前記画像形成装置本体外部の空気が供給される給気口と、前記給気口から供給された空気を前記画像形成装置本体内部に吹き出す吹出口とを有」するものであるから、前者の「前記筐体内において前記第1方向の一方から前記第1方向の他方に向かって延び、前記吸気口から吸入された空気が流通する吸気ダクト」に相当し、「前記第1方向と直交する第2方向において前記画像形成部と対向し、前記吸気ダクト内の空気を流す開口が形成された対向部を有」するといえる。

したがって、両者は、
「軸心周りに回転する感光体を有し、前記感光体にトナーを供給してトナー像を形成する電子写真方式の画像形成部と、
前記画像形成部を収容するとともに、前記画像形成部に対して前記軸心と平行な第1方向の一方に設けられ、内外を連通させる吸気口が形成された第1壁部を有する筐体と、
前記筐体内において前記第1方向の一方から前記第1方向の他方に向かって延び、前記吸気口から吸入された空気が流通する吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、前記第1方向と直交する第2方向において前記画像形成部と対向し、前記吸気ダクト内の空気を流す開口が形成された対向部を有している、画像形成装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
本願発明1が、吸気ダクト内の空気を「画像形成部」に向けて流す開口が形成された対向部を有し、「前記画像形成部は、前記感光体に対向し、前記感光体に前記トナーを供給する現像ローラと、前記現像ローラ上の前記トナーの量を規定するブレードとを有し、前記ブレードは、前記現像ローラ上の余分な前記トナーをかき取るゴム製のかき取り部と、前記かき取り部を支持する金属製の支持部とからなり、前記開口は、前記ブレードの前記支持部と対向している」ものであるのに対し、引用発明1は、吹出口を像担持体上の不要なトナーを除去するクリーニング手段側に向けて開口させたものである点。

(2)相違点についての判断
引用発明5の「感光ドラム61」、「現像ローラ6B」、及び「層厚規制ブレード6D」は、それぞれ、本願発明1の「感光体」、「現像ローラ」、及び「ブレード」に相当する。
また、上記引用文献6記載の技術事項の「合成樹脂製の弾性ゴム体からなるテープ」、「金属製の支持部材」、及び「ブレード」は、それぞれ、本願発明1の「ゴム製のかき取り部」、「かき取り部を支持する金属製の支持部」、及び「ブレード」に相当する。
しかし、上記相違点に係る本願発明1の、吸気ダクト内の空気を「画像形成部」に向けて流す開口が形成された対向部を有し、「前記開口は、前記ブレードの前記支持部と対向している」点は、引用発明5及び引用文献6記載の技術事項のいずれにも、記載も示唆もされていない。
また、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項は、原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献2乃至4、及び引用文献7のいずれにも、記載も示唆もされていない。
また、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項が設計的事項といえる理由もない。
そして、本願発明1は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項により、「かき取り部の熱が金属製の支持部に伝わり、開口からその支持部に向けて空気を流すことにより、かき取り部を効果的に冷却できる。その結果、トナーの劣化を一層抑制できる。」(本願明細書【0021】参照。)という効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、引用発明1、引用発明5、及び引用文献6記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

2.本願発明2乃至12について
本願発明2乃至12は、本願発明1の発明特定事項にさらなる発明特定事項を追加したものであるから、本願発明2乃至12は、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明1乃至5、引用文献6記載の技術事項、及び引用発明7に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、
「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項1-12に対して、引用文献等1-7
<引用文献等一覧>
1.特開2001-13856号公報
2.特開平7-114327号公報
3.特開2008-224747号公報
4.特開2002-207410号公報
5.特開2013-11743号公報
6.特開2008-39897号公報(周知技術を示す文献)
7.特開2003-287996号公報」
というものである。
しかしながら、本願発明1は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項である吸気ダクト内の空気を「画像形成部」に向けて流す開口が形成された対向部を有し、「前記画像形成部は、前記感光体に対向し、前記感光体に前記トナーを供給する現像ローラと、前記現像ローラ上の前記トナーの量を規定するブレードとを有し、前記ブレードは、前記現像ローラ上の余分な前記トナーをかき取るゴム製のかき取り部と、前記かき取り部を支持する金属製の支持部とからなり、前記開口は、前記ブレードの前記支持部と対向している」点を有するものとなっており、上記「第4」のとおり、本願発明1乃至12は、上記引用文献1乃至引用文献7に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。


第6 当審拒絶理由について
当審では、
「この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
請求項1の「前記筐体」との事項の前に「筐体」はないから、不明瞭な記載である。」
との拒絶の理由を通知しているが、平成29年8月1日付けの補正において、請求項1は、先の指摘に対して、「内外を連通させる吸気口が形成された第1壁部を有する筐体」との補正がなされた結果、この拒絶の理由は解消した。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-09-04 
出願番号 特願2013-70887(P2013-70887)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G03G)
P 1 8・ 537- WY (G03G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齋藤 卓司  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
森次 顕
発明の名称 画像形成装置  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ