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審決分類 審判 訂正 特126 条1 項 訂正しない H04W
管理番号 1331881
審判番号 訂正2016-390162  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2016-12-21 
確定日 2017-08-23 
事件の表示 特許第6047668号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件特許第6047668号(請求項数8)は,2014年(平成26年)1月9日(優先権主張 2013年(平成25年)1月9日 米国,2013年(平成25年)12月3日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成28年9月16日付けで特許査定され,同年11月25日に登録されたものであり,同年12月21日に訂正審判が請求され,平成29年1月23日付けで訂正拒絶理由を,当審から請求人に通知し,相当の期間を指定し,意見書を提出する機会を与えたところ,その指定した期間内に,請求人からは何らの応答もなかったものである。


第2 請求の趣旨

本件訂正審判の請求の趣旨は,本件審判請求書の「5.請求の趣旨」に記載された次のとおりのものである。

特許第6047668号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める,との審決を求める。


第3 訂正の内容

本件訂正審判で請求された訂正の内容は,次のとおりである。

1.訂正事項1
一群の請求項1?4に係る訂正として,特許請求の範囲の請求項1に「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」と記載されているのを,「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の周期、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」に訂正する。(下線は審判請求書に記載のとおり。)

2.訂正事項2
一群の請求項5?8に係る訂正として,特許請求の範囲の請求項5に「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」と記載されているのを,「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の周期、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」に訂正する。(下線は審判請求書に記載のとおり。)


第4 訂正拒絶理由の内容

平成29年1月23日付けで,当審から請求人に通知した訂正拒絶理由(以下「本件訂正拒絶理由」という。)の内容は次のとおりである。

本件審判の手続において、平成28年12月21日に請求人が行った、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正の請求は、合議の結果、以下の理由によって拒絶すべきものです。これについて意見がありましたら、この通知の発送の日から50日以内に意見書の正本1通及びその副本1通を提出してください。
なお、引用関係の解消を目的とする訂正を含む場合であって、引用先の請求項の訂正が認められるときは、引用元の請求項とは別の請求単位として扱われるよう求めることができます。引用関係の解消を求めることが必要であって、その求めを審判請求書に記載していないときは、意見書において引用関係の解消を求める旨を記載してください。審判便覧(特許庁HP掲載)38-01も参照してください。
理 由
1.請求の趣旨
本件訂正審判の請求は,「特許第6047668号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める」との審決を求めるものであり,その請求の趣旨は,次のとおり訂正することを求めるものである。

(1) 一群の請求項1?4に係る訂正について
ア 訂正事項
特許請求の範囲の請求項1に「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」と記載されているのを、「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の周期、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」に訂正する。(以下「訂正事項1」という。)

イ 訂正の目的について
(a-1)
訂正事項1に係る訂正前の請求項1の「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」における「優先順位」に関しては、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明において段落〔0069〕のみに記載されており、当該段落には、次のように記載されている。
「〔0069〕
周期的なディスカバリ信号の転送が考慮される場合、CRSなどのレガシ測定信号のための二通りの可能性がある。一つの方法は、レガシ測定信号の転送を省略することで、残りの方法は、レガシ測定信号も転送することである。第2番目の手法が使用される場合、次世代端末は、レガシ測定信号だけでなくMRSも読み取ることができる。こめ場合に、端末は、MRSの測定がより高い優先順位で測定報告のために使用されるように、MRSがレガシ測定信号よりさらに高い優先順位を有すると仮定することができる。このような優先順位は、レガシ測定信号がRRC_IDLE状態におけるMRSよりさらに高い優先順位をもつように、RRC_CONNECTEDモードである端末に制限されることができる。言い換えれば、MRSは、端末がセルに接続された場合、高い優先順位として使用されることができることに対し、端末は、RRC_IDLEモードにおいてレガシ測定信号に基づいていかなる測定でも行わなければならない。または、測定のために使用された参照信号は、上位層として設定される。」
しかしながら、この段落〔0069〕には、訂正前の請求項1における「前記測定設定情報は、…、前記ディスカバリ信号の優先順位、…を指示し」または「前記ディスカバリ信号の優先順位」に関して何ら記載されていない。
したがって、訂正前の請求項1の「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」における「前記ディスカバリ信号の優先順位」が誤りであることは明らかである。

(a-2)
ここで、例えば、段落〔0036〕には、「現在存在するプライマリ同期信号(Primary Synchronization Signal ; PSS)/セカンダリ同期信号(Secondary Synchronization Signal ; SSS)/セル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal ; CRS)もしくはCSI-RSと異なる周期性および/もしくは資源を有する、セル識別および/もしくは測定のために使用されるディスカバリ信号が転送されうると仮定する。本発明の提案は、セルのオン/オフ(on/off)が行われ、ディスカバリ信号が転送される場合に適用されることができる。TRS/CRSが適用される発明は、一般性を失わないでディスカバリ信号が適用されうると仮定することができる。TRS(Tracking RS)は、時間/周波数トラッキングのために使用される参照信号を示す。」、段落〔0038〕には、「このように仮定する場合、本発明は、PSS/SSS/CRSもしくはCSI-RSに基づくディスカバリ信号が、予め指定された値によってTmsecごとに転送される一例を示す(例えば、T=200)。」、段落〔0044〕には、「本発明は、端末測定のために使用される任意の参照信号を表すことができるMRS(Measurement RS)として参照信号を示す。MRSもしくはディスカバリ信号がセルのオン/オフ(on/off)と共に導入される場合、MRSもしくはディスカバリ信号の位置を特定するために端末を支援するいくつかのネットワーク支援を考慮することができる。」などと記載されている。
これらの記載より、TRS/CRSが適用される発明には、一般性を失わないでディスカバリ信号が適用され、端末測定のために使用される任意の参照信号を表すことができるMRSは、端末が測定を行うのに使用するディスカバリ信号に対応することは明らかなので、本件発明の詳細な説明におけるCRS/TRS/MRSに関する記載は、訂正前の請求項1における「ディスカバリ信号」に適用可能であることは当業者にとって明白である。

(a-3)
一方、例えば、段落〔0056〕における「SCellの設定において、搬送波タイプと、必要なCRS/TRS/MRSの転送周期およびオフセット(周期およびオフセットが変わる場合)ならびに/またはCRS/TRS/MRSの転送帯域幅(全帯域幅でない場合)と、を指示することが必要である。」、段落〔0096〕および〔0100〕における「ここで、測定の設定は、対応するSCellに応じて予め指定された帯域幅を含む測定対象を含み、制限された測定設定は、測定周期およびオフセット、ならびに/またはセルIDおよびSFNに基づいた位置を含む」などには、SCellの設定または制限された測定設定が、CRS/TRS/MRSのオフセットまたは測定オフセットと共に、CRS/TRS/MRSの転送周期または測定周期を指示することが記載されている。
また、例えば、段落〔0040〕には、「本発明は、レガシ搬送波PCellと関連したSCellとして、または、CRSもしくはトラッキング参照信号が各無線フレームにおいてサブフレームのサブセットで転送されるかまたはディスカバリ信号が周期的にサブフレームのサブセットで転送されると仮定する独立した(スタンドアロン)動作(stand-alone operation)のPCellとして、新しい搬送波が使用されるRRMの場合を考慮する。」、段落〔0041〕には、「ディスカバリ信号が40msecもしくは200msecにおけるMeasSubframePatternなどの最大のデュレーション(期間)(duration)より少ない頻度で転送される場合、新しい測定サブフレームパターンは必要でありうる。無線フレームのための開始(スターティング)オフセット(starting offset)およびサブフレームインデックスのための開始オフセットとも共に、無線フレームのビットマップを設定することが好ましい。例えば、40ビットのビットマップは、400msecを表し、開始SFN(starting SFN)およびサブフレームオフセットは、ディスカバリ信号が転送されるときにもまた設定されることができる。」などのように、CRS/TRSまたはディスカバリ信号の周期およびサブフレームオフセットが共に設定されることが記載されている。
上記(a-2)で述べたように、CRS/TRS/MRSに関する記載は、訂正前の請求項1における「ディスカバリ信号」に適用できることは明らかであるので、上記段落には、訂正前の請求項1における「前記測定設定情報」が「前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセット」と共に「前記ディスカバリ信号」の周期を指示することが記載されているといえる。

(a-4)
上記(a-1)で述べたように、本件発明の詳細な説明には「前記ディスカバリ信号の優先順位」に関して何ら記載されていないので、訂正前の請求項1における「前記ディスカバリ信号の優先順位」が誤りであることは明らかである。また、上記(a-3)で述べたように、本件発明の詳細な説明には、訂正前の請求項1における「前記測定設定情報」が「前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセット」と共に「前記ディスカバリ信号」の周期を指示することが記載されている。
したがって、訂正前の請求項1の「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」における「前記ディスカバリ信号の優先順位」という誤記の正しい記載は、訂正後の請求項1に記載されるように「前記ディスカバリ信号の周期」であることは当業者にとって明白である。
すなわち、当該訂正事項1は、本件特許請求の範囲の請求項1に記載される「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」に含まれる誤記を、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載されるように「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の周期、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」と訂正するもの、言い換えると、誤記を訂正しようとするものであるから、当該訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記「イ 訂正の目的について」の項で詳述した訂正の目的から明らかなように、上記訂正事項1は、発明特定事項に記載される誤った記載(誤記)を訂正するものであって、さらに、結果として、誤記の訂正により特許請求の範囲に記載される発明の構成は明確になったものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。

エ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(c-1)
上記「イ 訂正の目的について」の項で述べたように、上記訂正事項1は、訂正前の請求項1の「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」における「前記ディスカバリ信号の優先順位」という誤記を、上記「イ 訂正の目的について」の項において引用した願書に添付した明細書の段落〔0036〕、〔0038〕、〔0040〕、〔0041〕、〔0044〕、〔0056〕、〔0069〕、〔0096〕および〔0100〕などの記載に基づいて「前記ディスカバリ信号の周期」に訂正するものである。

(c-2)
また、例えば、願書に添付した明細書の段落〔0053〕および〔0054〕には、「測定において、端末は、制約的な測定のための次世代測定対象およびレガシ測定対象をセットとして含む測定設定(a measurement configuration including an advanced measurement object for the restricted measurement and a legacy measurement object as a set)を受信するか、もしくは別個に測定のための各設定を受信する(400)。」および「このように端末は、測定信号タイプ、測定信号転送周期および/もしくはオフセット、ターゲットセルのセルID、MRSにおけるサブブレームの数(a number of subframes)、帯域幅、周波数、および測定信号の転送のためのPRBのうち、少なくとも一つを確認することができる(410)。」と記載されている。さらに、段落〔0128〕には、「測定セットは、測定ターゲットセルもしくは各設定されたセットに応じたMRSにおける、測定信号タイプ、帯域幅および/もしくは周波数/PRBs、測定周期および/もしくはオフセット、セルID、サブフレームの数を含む。」と記載されている。
上記「イ 訂正の目的について」の項の(a-2)で述べたように、上記段落〔0054〕および〔0128〕における「MRS」に関する記載は、請求項1における「ディスカバリ信号」に適用できることは明らかであるので、訂正後の請求項1における「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の周期、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」という記載は、上記段落〔0053〕および〔0054〕並びに〔0128〕などの記載によりサポートされていることは当業者にとって明白である。

(c-3)
上記(c-1)および(c-2)より明らかなように、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

オ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
(d-1)
訂正事項1に係る訂正後の請求項1記載の発明(以下、「本件訂正発明1」という。)に関しては、拒絶理由通知を受けることなく平成28年9月27日に特許査定が送達されているので、先行技術文献は存在しないと考え、また、本件訂正により、本件訂正発明1の構成は明確となったので、特許法第36条第6項第2号の拒絶の理由も存在しないものと考える。
また、当該特許査定に参考情報として記載されている参考特許文献(特表2012-531102、米国特許出願公開第2011/0201332、米国特許出願公開第2005/0250495、国際公開第2008/063109)のいずれにも、本件訂正発明1の、少なくとも
「前記端末が、セカンダリセルから受信されるディスカバリ信号の測定設定情報を受信するステップと、
前記端末が、前記ディスカバリ信号を伝達する直交周波数分割多重(OFDM)シンボル上で無線リソース測定を行うステップと、を有し、
前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の周期、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し、
前記測定設定情報は、無線リソース制御(RRC)メッセージを介して受信される」に相当する構成に関して何ら記載も示唆もない。
したがって、本件訂正発明1は、当業者であっても、上記した参考特許文献に記載された発明に基づいて容易に想到することができた発明ではない。

(d-2)
さらに、訂正事項1に係る訂正後の請求項2?4記載の発明は、それぞれ訂正後の請求項1を引用しているので、本件訂正発明1について検討したのと同様の理由で、先行技術文献は存在せず、特許法第36条第6項第2号の拒絶の理由も存在せず、当業者であっても、参考特許文献に記載された発明に基づいて容易に想到することができた発明ではないと考える。

(d-3)
上記(d-1)および(d-2)により、訂正後の一群の請求項1?4記載の発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであり、特許法第126条第7項に適合するものである。

(2) 一群の請求項5?8に係る訂正について
ア 訂正事項
特許請求の範囲の請求項5に「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」と記載されているのを、「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の周期、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」に訂正する。(以下「訂正事項2」という。)

イ 訂正の目的について
(a-1)
訂正事項2に係る訂正前の請求項5の「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」における「優先順位」に関しては、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明において段落〔0069〕のみに記載されており、当該段落には、次のように記載されている。
「〔0069〕
周期的なディスカバリ信号の転送が考慮される場合、CRSなどのレガシ測定信号のための二通りの可能性がある。一つの方法は、レガシ測定信号の転送を省略することで、残りの方法は、レガシ測定信号も転送することである。第2番目の手法が使用される場合、次世代端末は、レガシ測定信号だけでなくMRSも読み取ることができる。この場合に、端末は、MRSの測定がより高い優先順位で測定報告のために使用されるように、MRSがレガシ測定信号よりさらに高い優先順位を有すると仮定することができる。このような優先順位は、レガシ測定信号がRRC_IDLE状態におけるMRSよりさらに高い優先順位をもつように、RRC_CONNECTEDモードである端末に制限されることができる。言い換えれば、MRSは、端末がセルに接続された場合、高い優先順位として使用されることができることに対し、端末は、RRC_IDLEモードにおいてレガシ測定信号に基づいていかなる測定でも行わなければならない。または、測定のために使用された参照信号は、上位層として設定される。」
しかしながら、この段落〔0069〕には、訂正前の請求項5における「前記測定設定情報は、…、前記ディスカバリ信号の優先順位、…を指示し」または「前記ディスカバリ信号の優先順位」に関して何ら記載されていない。
したがって、訂正前の請求項5の「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」における「前記ディスカバリ信号の優先順位」が誤りであることは明らかである。

(a-2)
ここで、例えば、段落〔0036〕には、「現在存在するプライマリ同期信号(Primary Synchronization Signal ; PSS)/セカンダリ同期信号(Secondary Synchronization Signal ; SSS)/セル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal ; CRS)もしくはCSI-RSと異なる周期性および/もしくは資源を有する、セル識別および/もしくは測定のために使用されるディスカバリ信号が転送されうると仮定する。本発明の提案は、セルのオン/オフ(on/off)が行われ、ディスカバリ信号が転送される場合に適用されることができる。TRS/CRSが適用される発明は、一般性を失わないでディスカバリ信号が適用されうると仮定することができる。TRS(Tracking RS)は、時間/周波数トラッキングのために使用される参照信号を示す。」、段落〔0038〕には、「このように仮定する場合、本発明は、PSS/SSS/CRSもしくはCSI-RSに基づくディスカバリ信号が、予め指定された値によってTmseごとに転送される一例を示す(例えば、T=200)。」、段落〔0044〕には、「本発明は、端末測定のために使用される任意の参照信号を表すことができるMRS(Measurement RS)として参照信号を示す。MRSもしくはディスカバリ信号がセルのオン/オフ(on/off)と共に導入される場合、MRSもしくはディスカバリ信号の位置を特定するために端末を支援するいくつかのネットワーク支援を考慮することができる。」などと記載されている。
これらの記載より、TRS/CRSが適用される発明には、一般性を失わないでディスカバリ信号が適用され、端末測定のために使用される任意の参照信号を表すことができるMRSは、端末が測定を行うのに使用するディスカバリ信号に対応することは明らかなので、本件発明の詳細な説明におけるCRS/TRS/MRSに関する記載は、訂正前の請求項5における「ディスカバリ信号」に適用可能であることは当業者にとって明白である。

(a-3)
一方、例えば、段落〔0056〕における「SCellの設定において、搬送波タイプと、必要なCRS/TRS/MRSの転送周期およびオフセット(周期およびオフセットが変わる場合)ならびに/またはCRS/TRS/MRSの転送帯域幅(全帯域幅でない場合)と、を指示ずることが必要である。」、段落〔0096〕および〔0100〕における「ここで、測定の設定は、対応するSCellに応じて予め指定された帯域幅を含む測定対象を含み、制限された測定設定は、測定周期およびオフセット、ならびに/またはセルIDおよびSFNに基づいた位置を含む」などには、SCellの設定または制限された測定設定が、CRS/TRS/MRSのオフセットまたは測定オフセットと共に、CRS/TRS/MRSの転送周期または測定周期を指示することが記載されている。
また、例えば、段落〔0040〕には、「本発明は、レガシ搬送波PCellと関連したSCellとして、または、CRSもしくはトラッキング参照信号が各無線フレームにおいてサブフレームのサブセットで転送されるかまたはディスカバリ信号が周期的にサブフレームのサブセットで転送されると仮定する独立した(スタンドアロン)動作(stand-alone operation)のPCellとして、新しい搬送波が使用されるRRMの場合を考慮する。」、段落〔0041〕には、「ディスカバリ信号が40msecもしくは200msecにおけるMeasSubframePatternなどの最大のデュレーション(期間)(duration)より少ない頻度で転送される場合、新しい測定サブフレームパターンは必要でありうる。無線フレームのための開始(スターティング)オフセット(starting offset)およびサブフレームインデックスのための開始オフセットとも共に、無線フレームのビットマップを設定することが好ましい。例えば、40ビットのビットマップは、400msecを表し、開始SFN(starting SFN)およびサブフレームオフセットは、ディスカバリ信号が転送されるときにもまた設定されることができる。」などのように、CRS/TRSまたはディスカバリ信号の周期およびサブフレームオフセットが共に設定されることが記載されている。
上記(a-2)で述べたように、CRS/TRS/MRSに関する記載は、訂正前の請求項5における「ディスカバリ信号」に適用できることは明らかであるので、上記段落には、訂正前の請求項5における「前記測定設定情報」が「前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセット」と共に「前記ディスカバリ信号」の周期を指示することが記載されているといえる。

(a-4)
上記(a-1)で述べたように、本件発明の詳細な説明には「前記ディスカバリ信号の優先順位」に関して何ら記載されていないので、訂正前の請求項5における「前記ディスカバリ信号の優先順位」が誤りであることは明らかである。また、上記(a-3)で述べたように、本件発明の詳細な説明には、訂正前の請求項5における「前記測定設定情報」が「前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセット」と共に「前記ディスカバリ信号」の周期を指示することが記載されている。
したがって、訂正前の請求項5の「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」における「前記ディスカバリ信号の優先順位」という誤記の正しい記載は、訂正後の請求項5に記載されるように「前記ディスカバリ信号の周期」であることは当業者にとって明白である。
すなわち、当該訂正事項2は、本件特許請求の範囲の請求項5に記載される「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」に含まれる誤記を、訂正特許請求の範囲の請求項5に記載されるように「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の周期、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」と訂正するもの、言い換えると、誤記を訂正しようとするものであるから、当該訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。

ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記「イ 訂正の目的について」の項で詳述した訂正の目的から明らかなように、上記訂正事項2は、発明特定事項に記載される誤った記載(誤記)を訂正するものであって、さらに、結果として、誤記の訂正により特許請求の範囲に記載される発明の構成は明確になったものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。

エ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(c-1)
上記「イ 訂正の目的について」の項で述べたように、上記訂正事項2は、訂正前の請求項5の「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の優先順位、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」における「前記ディスカバリ信号の優先順位」という誤記を、上記「a 訂正の目的について」の項において引用した願書に添付した明細書の段落〔0036〕、〔0038〕、〔0040〕、〔0041〕、〔0044〕、〔0056〕、〔0069〕、〔0096〕および〔0100〕などの記載に基づいて「前記ディスカバリ信号の周期」に訂正するものである。

(c-2)
また、例えば、願書に添付した明細書の段落〔0053〕および〔0054〕には、「測定において、端末は、制約的な測定のための次世代測定対象およびレガシ測定対象をセットとして含む測定設定(a measurement configuration including an advanced measurement object for the restricted measurement and a legacy measurement object as a set)を受信するか、もしくは別個に測定のための各設定を受信する(400)。」および「このように端末は、測定信号タイプ、測定信号転送周期および/もしくはオフセット、クーゲットセルのセルID、MRSにおけるサブフレームの数(a number of subframes)、帯域幅、周波数、および測定信号の転送のためのPRBのうち、少なくとも一つを確認することができる(410)。」と記載されている。さらに、段落〔0128〕には、「測定セットは、測定ターゲットセルもしくは各設定されたセットに応じたMRSにおける、測定信号タイプ、帯域幅および/もしくは周波数/PRBs、測定周期および/もしくはオフセット、セルID、サブフレームの数を含む。」と記載されている。
上記「イ 訂正の目的について」の項の(a-2)で述べたように、上記段落〔0054〕および〔0128〕における「MRS」に関する記載は、請求項5における「ディスカバリ信号」に適用できることは明らかであるので、訂正後の請求項5における「前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の周期、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し」という記載は、上記段落〔0053〕および〔0054〕並びに〔0128〕などの記載によりサポートされていることは当業者にとって明白である。

(c-3)
上記(c-1)および(c-2)より明らかなように、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。

オ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
(d-1)
訂正事項2に係る訂正後の請求項5記載の発明(以下、「本件訂正発明5」という。)に関しては、拒絶理由通知を受けることなく平成28年9月27日に特許査定が送達されているので、先行技術文献は存在しないと考え、また、本件訂正により、本件訂正発明5の構成は明確となったので、特許法第36条第6項第2号の拒絶の理由も存在しないものと考える。
また、当該特許査定に参考情報として記載されている参考特許文献(特表2012-531102、米国特許出願公開第2011/0201332、米国特許出願公開第2005/0250495、国際公開第2008/063109)のいずれにも、本件訂正発明5の、少なくとも
「前記プロセッサは、
セカンダリセルから受信されるディスカバリ信号の測定設定情報を受信し、
前記ディスカバリ信号を伝達する直交周波数分割多重(OFDM)シンボル上で無線リソース測定を行うよう構成され、
前記測定設定情報は、前記ディスカバリ信号の周波数、前記ディスカバリ信号の周期、および前記ディスカバリ信号のサブフレームオフセットを指示し、
前記測定設定情報は、無線リソース制御(RRC)メッセージを介して受信される」に相当する構成に関して何ら記載も示唆もない。
したがって、本件訂正発明5は、当業者であっても、上記した参考特許文献に記載された発明に基づいて容易に想到することができた発明ではない。

(d-2)
さらに、訂正事項2に係る訂正後の請求項6?8記載の発明は、それぞれ訂正後の請求項5を引用しているので、本件訂正発明5について検討したのと同様の理由で、先行技術文献は存在せず、特許法第36条第6項第2号の拒絶の理由も存在せず、当業者であっても、参考特許文献に記載された発明に基づいて容易に想到することができた発明ではないと考える。

(d-3)
上記(d-1)および(d-2)により、訂正後の一群の請求項5?8記載の発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであり、特許法第126条第7項に適合するものである。

2.当審の判断
(1) 訂正事項1について
ア 訂正事項1について,請求人は「誤記の訂正」(特許法第126条第1項第2号。以下「法126条1項2号」などという。)を目的とするものであると主張する。
ここでいう「誤記の訂正」であるというためには,訂正前の記載が誤りで訂正後の記載が正しいことが,当該明細書,特許請求の範囲及び図面の記載や当業者の技術常識などから明らかで,当業者であればそのことに気付いて訂正後の趣旨に理解するのが当然であるという場合でなければならないものと解される。

イ 上記の理解を前提にして,訂正事項1が「誤記の訂正」ということができるかについて検討する。
上記1.(1) イにおける(a-1)から(a-3)の記載によると,願書に添付した明細書の記載若しくは図面には,訂正後のような「前記ディスカバリ信号の周期」を示唆する記載はあるが,訂正前のような「前記ディスカバリ信号の優先順位」との明示的記載はない。
しかし,法70条1項には「特許発明の技術的範囲は,願書に添付された特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」とあり,同条2項には「前項の場合においては,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して,特許請求の範囲の記載された用語の意義を解釈するものとする。」とある。
そうすると,訂正前の「前記ディスカバリ信号の優先順位」との記載は,それ自体きわめて明瞭であるから,該記載における用語の意義を解釈するために,願書に添付された明細書の記載及び図面を考慮する必要もない。
以上から,訂正前の「前記ディスカバリ信号の優先順位」との記載が誤りであって,願書に添付された明細書の記載若しくは図面を基に,正しくは「前記ディスカバリ信号の周期」であるということはできない。

ウ ここで,仮に,訂正事項1の目的が「誤記の訂正」に該当するものとした場合について補足的に検討する。
仮に,訂正前の「前記ディスカバリ信号の優先順位」との記載が誤りであって,正しくは「前記ディスカバリ信号の周期」であるとした場合,「前記ディスカバリ信号の優先順位」に係る技術的意義と「前記ディスカバリ信号の周期」に係る技術的意義とが同じであるといえないことは明らかである。
このことは,訂正前の特許発明と訂正後の特許発明とが実質上異なる発明であることを意味する。
したがって,訂正事項1が「誤記の訂正」であったとしても,訂正事項1は「実質上特許請求の範囲を変更するもの」であるといわざるを得ない。

エ また,訂正事項1が,「特許請求の範囲の減縮」(法126条1項1号),「明瞭でない記載の釈明」(同項3号),「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」(同項4号)のいずれにも該当しないことは明らかである。

オ 以上のとおりであるから,訂正事項1は,法126条1項ただし書各号に掲げる事項のいずれの目的にも該当しない。
また,仮に,「誤記の訂正」(同項2号)に該当するものであっても,訂正事項1は,「実質上特許請求の範囲を変更するもの」(同条6項)に該当する。

(2) 訂正事項2について
訂正事項2について,請求人は「誤記の訂正」(法126条1項2号)を目的とするものであると主張する。
そうすると,訂正事項2についても,上記(1)におけるアからウで検討した事項と同様であって,訂正事項2が,「特許請求の範囲の減縮」(法126条1項1号),「明瞭でない記載の釈明」(同項3号),「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」(同項4号)のいずれにも該当しないことは明らかである。
したがって,訂正事項2は,法126条1項ただし書各号に掲げる事項のいずれの目的にも該当しない。
また,仮に,「誤記の訂正」(同項2号)に該当するものであっても,訂正事項2は,「実質上特許請求の範囲を変更するもの」(同条6項)に該当する。

(3) まとめ
上記(1)及び(2)に述べたとおりであるから,一群の請求項1から4に対して訂正事項1のとおり訂正を認めることはできず,また,一群の請求項5から8にに対して訂正事項2のとおり訂正を認めることはできない。

3.むすび
以上のとおりであるから,特許第6047668号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認めることはできない。


第5 当審の判断

以上の内容に対し,請求人からは,指定した期間内に,何らの応答もなかった。
このため,一群の請求項1から4に対して訂正事項1のとおり訂正を認めることはできず,また,一群の請求項5から8に対して訂正事項2のとおり訂正を認めることはできないとした判断は,妥当なものであるといえる。


第6 むすび

以上のとおりであるから,本件訂正審判の請求は,特許法第126条第1項ただし書各号に掲げる事項を目的としたものではない。
したがって,特許第6047668号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認めることはできない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-30 
結審通知日 2017-04-03 
審決日 2017-04-14 
出願番号 特願2015-552576(P2015-552576)
審決分類 P 1 41・ 85- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 望月 章俊  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 山本 章裕
近藤 聡
登録日 2016-11-25 
登録番号 特許第6047668号(P6047668)
発明の名称 無線通信システムにおける測定を行うための方法および装置  
代理人 南山 知広  
代理人 中村 健一  
代理人 青木 篤  
代理人 鶴田 準一  
代理人 河合 章  
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