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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1331996
審判番号 不服2016-17420  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-22 
確定日 2017-09-22 
事件の表示 特願2016- 3868「接客支援システム、接客支援サーバおよびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月20日出願公開、特開2017-126130、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年1月12日の出願であって、同年4月19日付けで拒絶理由通知がなされ、同年6月20日に手続補正がなされが、同年8月29日付けで拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、同年11月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年8月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

請求項1-5に係る発明は、引用文献1-4に記載された発明に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2014-55023号公報
2.特開2008-198087号公報
3.特開2004-326407号公報
4.特開2008-250822号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-5に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、平成28年11月22日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
店舗への来店者に対する接客を支援する接客支援システムであって、
顧客情報が蓄積された記憶部と、
複数の店舗の各々に1つ以上設けられ、店舗を識別するための店舗識別情報を含むビーコン信号を発信する信号発信部と、
前記来店者が携帯する携帯端末とネットワークを介して接続され、前記携帯端末から送信されるビーコン受信信号を受信し、当該受信したビーコン受信信号に含まれる顧客識別情報を取得し、該顧客識別情報に対応する顧客情報を前記記憶部から取得するサーバと、
前記店舗に配置されると共に、前記サーバと通信ネットワークを介して接続され、前記サーバが取得した前記顧客情報を受信して表示する少なくとも1つの表示用端末と、
を備え、
前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信機を経由することなく前記サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものであり、
前記少なくとも1つの表示用端末の各々は、前記店舗識別情報と関連づけられ、
前記サーバは、前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得し、当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末に前記顧客情報を送信する、
接客支援システム。
【請求項2】
前記顧客情報は、顧客の属性に関する情報と、顧客の購買履歴に関する情報と、を含む請求項1に記載の接客支援システム。
【請求項3】
商品の売上データに基づき、顧客が属するクラスタごとに商品のレコメンド情報を生成するレコメンドエンジンをさらに備え、
前記サーバは、前記来店者が属するクラスタに適合するレコメンド情報を前記レコメンドエンジンから取得し、前記少なくとも1つの表示用端末に送信する、請求項1または2に記載の接客支援システム。
【請求項4】
店舗への来店者に対する接客を支援する接客支援サーバであって、
前記来店者が携帯する携帯端末とネットワークを介して接続され、前記携帯端末から送信されるビーコン受信信号を受信し、当該受信したビーコン受信信号に含まれる顧客識別情報を取得する識別情報取得部と、
顧客情報が蓄積された記憶部から、前記顧客識別情報に対応する顧客情報を取得する顧客情報取得部と、
前記顧客情報取得部が取得した前記顧客情報を、前記店舗に配置された表示用端末に送信して表示させる送信部と、
を備え、
前記店舗には、店舗を識別するための店舗識別情報を含むビーコン信号を発信する信号発信部が少なくとも1つ以上設けられ、
前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信部を経由することなく前記接客支援サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものであり、
前記送信部は、前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得し、当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末に前記顧客情報を送信する、
接客支援サーバ。
【請求項5】
店舗への来店者に対する接客を支援するプログラムであって、
前記店舗には、店舗を識別するための店舗識別情報を含むビーコン信号を発信する信号発信部が少なくとも1つ以上設けられ、
前記来店者が携帯する携帯端末とネットワークを介して接続され、前記携帯端末から送信されるビーコン受信信号を受信し、当該受信したビーコン受信信号に含まれる顧客識別情報を取得するステップ(a)であって、前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信部を経由することなく接客支援サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものである、ステップ(a)と、
顧客情報が蓄積された記憶部から、前記顧客識別情報に対応する顧客情報を取得するステップ(b)と、
ステップ(b)において取得された前記顧客情報を、前記店舗に配置された表示用端末に送信して表示させるステップ(c)であって、前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得し、当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末に前記顧客情報を送信する、ステップ(c)と、
をコンピュータに実行させるプログラム。」

なお、本願発明1の上記「前記信号発信機を経由することなく」について、本願発明1に対応するサーバ及びプログラムの発明である本願発明4及び5では、「前記信号発信部を経由することなく」となっており、また、明細書及び図面の記載からも本願発明1の上記「信号発信機」は「信号発信部」の誤記と解釈し、以降の対比・判断等を行う。

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1(特開2014-55023号公報)
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1(特開2014-55023号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0001】
本発明は、サービスステーションでの給油処理をシステム化する技術に関し、特に、セルフ給油のサービスステーションにおける有人サービスを円滑に行うセルフ給油システムおよび接客管理方法に適用して有効な技術に関するものである。」

イ.「【0002】
ガソリンスタンドやサービスステーション(以下ではこれらを総称して“SS”と記載する場合がある)」

ウ.「【0018】
<システム構成>
図1は本発明の一実施の形態であるセルフ給油システムの構成例について概要を示した図である。セルフ給油システム1は、各セルフSSに設置されたSSシステム100と、各SSにそれぞれ1つ以上設置されているセルフ外設機150、センターシステムとして構成される情報処理システムである顧客管理システム200、セルフSSで有人サービスの提供を行う係員が所持するタブレット型端末300、および給油等のサービスを利用する各利用者がそれぞれ保有するスマートフォン400を含む構成を有する、情報処理機能を備えた給油システムである。」

エ.「【0023】
・・・(中略)・・・このSSシステム100は、例えば、ソフトウェアにより実装される端末検知部110、通知部120、およびサービス照会部130などの各部を有する。
【0024】
端末検知部110は、通信可能領域141に利用者が有するスマートフォン400が入ってきた、すなわち、アクセスポイント140とスマートフォン400の無線通信部420との間で近距離無線通信のセッションが確立したことを検知して、スマートフォン400を識別する端末IDなどの情報を取得する機能を有する。
【0025】
通知部120は、通信可能領域141内に存在し、アクセスポイント140との間で近距離無線通信のセッションが確立しているスマートフォン400もしくはタブレット型端末300に対して、利用者が希望するサービスもしくは利用者に対して推奨するサービスに係る通知情報を送信してプッシュ通知する機能を有する。送信された情報は、スマートフォン400のサービスアプリケーション410もしくはタブレット型端末300の応対アプリケーション310により画面上に表示することで、利用者もしくは係員に対して通知する。通知する情報の内容は、例えば、後述するサービス照会部130により顧客管理システム200から取得する。
【0026】
サービス照会部130は、端末検知部110が取得したスマートフォン400を識別する端末IDなどの情報に基づいて、顧客管理システム200から、当該スマートフォン400を保有する利用者が希望するサービスもしくは当該利用者に対して推奨するサービスに係る通知情報を取得する機能を有する。当該通知情報には、例えば、当該スマートフォン400の利用者(会員)について、後述する登録会員DB241に登録されている属性情報や、希望サービスDB242に登録されている希望サービスの内容、購買履歴DB243に蓄積された過去の購買実績等に基づいて抽出された推奨サービスなどの販促情報等が含まれ得る。
【0027】
取得した通知情報のうち、例えば、利用者に対する推奨サービスの情報は、通知部120を介して利用者のスマートフォン400および係員のタブレット型端末300の画面上にそれぞれ表示されるよう双方にプッシュ通知する。また、利用者の氏名や車種、車両ナンバーなど、利用者を識別するための属性情報や、利用者が希望するサービスの内容についてはタブレット型端末300の画面上に表示されるようプッシュ通知する。・・・(中略)・・・
【0028】
このような通知により、利用者は、SSに入店するタイミングで、自身に推奨される商品やサービスの販促情報の推奨を受けることができ、また、SSの係員も当該利用者に対して推奨すべき商品やサービスを把握することができる。従って、係員は、利用者がセルフ外設機150のレーンに入る前などの早い段階で、利用者が希望する有人サービスの有無や、推奨すべき有人サービスの有無を把握し、これらのサービスの提案・実施等を考慮した上で必要に応じて円滑にアプローチをし、また適切な場所へ誘導することが可能となる。」

オ.「【0030】
・・・(中略)・・・顧客管理システム200は、例えば、ソフトウェアにより実装される会員情報管理部210、購買履歴照会部220、および販促情報抽出部230などの各部を有する。また、データベースやファイルテーブル等により実装された登録会員データベース(DB)241、希望サービスDB242、および購買履歴DB243などのテーブルを有する。」

カ.「【0040】
タブレット型端末300は、上述したWiFi(登録商標)等による近距離無線通信を行う機能を実現するハードウェアやソフトウェアからなる無線通信部320などの他に、例えば、ソフトウェアにより実装される応対アプリケーション310などを有する。応対アプリケーション310は、利用者がSSに入店した際に、SSシステム100からプッシュ通知された当該利用者についての氏名や車種、車両ナンバーなどの属性情報や、希望する有人サービスの内容などの情報を画面上に表示して係員に通知する機能を有する。・・・(中略)・・・
【0041】
さらに、SSシステム100からプッシュ通知された、当該利用者に対する商品やサービス等の推奨情報を画面上に表示して係員に通知する機能を有する。」

キ.「【0042】
<データ構成>
図2は、顧客管理システム200の登録会員DB241のデータ構成の例について概要を示した図である。登録会員DB241は、SSでの給油等のサービスの利用者のうち、スマートフォン400を利用した各種サービス、特に、SSへの入店検知の機能を有効とする利用者についての会員情報を保持するマスタテーブルであり、例えば、管理情報としての端末識別番号、会員情報としての会員氏名、連絡先および会員情報、車両情報としての車種および車両ナンバーなどの各項目を有する。
【0043】
管理情報としての端末識別番号の項目は、対象の会員が利用するスマートフォン400の端末を一意に識別することができるID等の識別情報を保持する。例えば、スマートフォン400のMACアドレスや、内蔵されたFeliCa(登録商標)チップに記録された端末識別番号などを用いることができる。」

前記ア.?キ.のよれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

<引用発明1>
「セルフ給油のサービスステーションにおける有人サービスを円滑に行うセルフ給油システムであって(【0001】)、
セルフ給油システムは、セルフSS(ガソリンスタンドやサービスステーション)に設置されたSSシステム100と、顧客管理システム200、セルフSSで有人サービスの提供を行う係員が所持するタブレット型端末300、および給油等のサービスを利用する各利用者がそれぞれ保有するスマートフォン400を含み(【0018】【0002】)、
顧客管理システム200は、登録会員データベース(DB)241および購買履歴DB243を有し(【0030】)、登録会員DB241は、端末識別番号、会員氏名、連絡先および会員情報、車両情報としての車種および車両ナンバーの各項目を有し、端末識別番号の項目は、スマートフォン400の端末を一意に識別するIDであり(【0042】【0043】)、
SSシステム100は、端末検知部110、通知部120、サービス照会部130を有し(【0023】)、
端末検知部110は、アクセスポイント140とスマートフォン400の間で近距離無線通信のセッションが確立したことを検知して、スマートフォン400を識別する端末IDを取得する機能を有し(【0024】)、
サービス照会部130は、取得した端末IDに基づいて、顧客管理システム200から通知情報を取得する機能を有し(【0026】)、当該通知情報には、当該スマートフォン400の利用者(会員)について、登録会員DB241に登録されている属性情報や、購買履歴DB243に蓄積された過去の購買実績等に基づいて抽出された推奨サービスの情報が含まれ(【0026】)、
通知部120は、アクセスポイント140との間で近距離無線通信のセッションが確立しているタブレット型端末300に対して、取得した通知情報に含まれる属性情報と推奨サービスの情報とをプッシュ通知し(【0025】【0027】)、
タブレット型端末300は、利用者がSSに入店した際に、SSシステム100からプッシュ通知された属性情報と推奨サービスの情報とを画面上に表示して係員に通知する機能を有し(【0040】【0041】)、
この通知により、SSの係員は当該利用者に対して推奨すべき商品やサービスを把握することができ、サービスの提案を考慮した上で必要に応じて円滑にアプローチすることが可能となる(【0028】)、
セルフ給油システム。」

2.引用文献2(特開2008-198087号公報)
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2(特開2008-198087号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0024】
本発明を、実施例に基づいて具体的に説明する。
図1には、本発明の一実施例に係る接客支援システムを示してある。
本例の接客支援システムは、店舗に来店した顧客Aが携帯する顧客用装置1、顧客に推薦すべき商品の情報を含む顧客対応情報を作成する支援装置2、店舗の接客者Bが携帯する接客者用装置3を有している。」

イ.「【0025】
本例の顧客用装置1は、例えば、携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ、PDAと言った無線通信機能を有する機器で構成されており、図2に示すように、顧客Aからの操作入力を受け付ける入力部11、種々な情報を記憶するメモリ12、情報を表示出力する表示画面13、情報を無線通信する通信部14を有している。
【0026】
メモリ12には、図3に示すように、顧客用装置1を携帯する顧客Aを識別するための情報としての属性情報と、当該顧客Aの商品購入に係る要求としてのプリファレンス情報とが記憶される。」

ウ.「【0029】
本例の接客用装置3は、顧客用装置1と同様に、例えば、携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ、PDAと言った無線通信機能を有する機器で構成されており、図5に示すように、接客者Bからの操作入力を受け付ける入力部31、種々な情報を記憶するメモリ32、情報を表示出力する表示画面33、情報を無線通信する通信部34を有している。」

エ.「【0030】
本例の支援装置2は、顧客用装置1から無線により情報を受信する受信手段21、顧客の商品購入に係る要求(プリファレンス)と当該顧客を識別するための情報(属性)とを含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶手段22、顧客に推薦すべき商品の情報を含む顧客対応情報を作成する顧客対応情報作成手段23、接客者用装置3へ作成した顧客対応情報を無線により送信する送信手段24を有している。」

オ.「【0036】
図10に示すように、本例の接客支援システムによると、顧客Aが顧客用装置1を携帯して店舗に行くと、顧客用装置1のメモリ12に記憶されている属性情報及びプリファレンス情報が通信部14と受信手段21との通信により読取られ(ステップS1)、支援装置2の顧客情報記憶手段22に記憶される(ステップS2)。
そして、支援装置2の顧客対応情報作成手段23が、顧客情報記憶手段22に記憶された属性情報及びプリファレンス情報に基づいて、図4に示すような顧客対応情報を作成する(ステップS3)。
【0037】
上記作成された顧客対応情報は、送信手段24によって店舗内の接客者用装置3に無線配信され(ステップS4)、接客者用装置3に受信されて(ステップS11)、そのメモリ32に記憶される(ステップS12)。
接客者Bは、携帯する接客者用装置3を操作してメモリ32に記憶されている顧客対応情報を画面33に表示させ(ステップS13、S14)、その属性情報によって、自分の近くに居る顧客の中から顧客対応情報に該当する顧客を推測して見付ける、自分の近くに居る顧客の中から顧客対応情報に該当する顧客を名前で確認して見付ける、といった方法で該当する顧客を見付け、当該顧客に対して顧客対応情報によりその要求を把握することで、当該顧客に対して満足度の高い対応を行うことができる。」

前記ア.?オ.によれば、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。

<引用発明2>
「店舗に来店した顧客Aが携帯する顧客用装置1、顧客に推薦すべき商品の情報を含む顧客対応情報を作成する支援装置2、店舗の接客者Bが携帯する接客者用装置3を有し(【0024】)、
顧客用装置1は、顧客Aを識別するための情報としての属性情報と、当該顧客Aの商品購入に係る要求としてのプリファレンス情報とを記憶するメモリ12と、情報を無線通信する通信部14を有し(【0025】【0026】)、
接客用装置3は、種々な情報を記憶するメモリ32、情報を表示出力する表示画面33、情報を無線通信する通信部34を有し(【0029】)、
支援装置2は、顧客用装置1から無線により情報を受信する受信手段21、顧客の商品購入に係るプリファレンスと当該顧客を識別するための属性とを含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶手段22、顧客に推薦すべき商品の情報を含む顧客対応情報を作成する顧客対応情報作成手段23、接客者用装置3へ作成した顧客対応情報を無線により送信する送信手段24を有し(【0030】)、
顧客Aが顧客用装置1を携帯して店舗に行くと、顧客用装置1のメモリ12に記憶されている属性情報及びプリファレンス情報が、顧客用装置1の通信部14と支援装置2の受信手段21との通信により読取られ、支援装置2の顧客情報記憶手段22に記憶され(【0036】)、
支援装置2の顧客対応情報作成手段23は、顧客情報記憶手段22に記憶された属性情報及びプリファレンス情報に基づいて、顧客対応情報を作成し(【0036】)、
作成された顧客対応情報は、支援装置2の送信手段24によって店舗内の接客者用装置3に無線配信され、接客者用装置3に受信されて、そのメモリ32に記憶され(【0037】)、
接客者Bは、携帯する接客者用装置3を操作してメモリ32に記憶されている顧客対応情報を画面33に表示させる(【0037】)、接客支援システム。」

3.引用文献3(特開2004-326407号公報)
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3(特開2004-326407号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、店舗内の顧客の情報を販売員に提示する情報提供方法および情報提供プログラムに関するものである。」

イ.「【0009】
図1において、サーバ1は、プログラムに従い各種処理を行うものであって、ここでは、ID取得手段11、販売支援手段12、コンテンツ管理手段13などから構成されるものである。
・・・(中略)・・・
【0012】
コンテンツ管理手段13は、顧客の購買履歴および接客情報などを管理するものである。
【0013】
次に、動作を説明する。
サーバ1を構成するID取得手段11が顧客が店舗2内に入店したときに当該顧客のID(例えば顧客が持つ顧客カードからID)を取得し、販売支援手段12が取得された顧客のIDをもとにデータベースを検索して当該顧客の購買履歴および当該顧客に接客した販売員の接客情報を取り出し、取り出した顧客の購買履歴および接客情報を販売員の端末3に提示するようにしている。」

ウ.「【0019】
図1は、本発明のシステム構成図を示す。
図1において、サーバ1は、プログラムに従い各種処理を実行するものであって、ここでは、ID取得手段11、販売支援手段12、コンテンツ管理手段13、販売員/顧客DB14、コンテンツDB15、ルールベース16、および端末管理DB17などから構成されるものである。
【0020】
ID取得手段11は、顧客が店舗2に入ったときに当該顧客のIDを読み取るものであって、例えば顧客が店舗の出入口に設置したゲート21を通過したときに当該顧客が所持するカードなどからIDを読み取るものである。
・・・(中略)・・・
【0027】
店舗2は、商品を販売する店舗であって、出入口にはゲート21を設けて顧客および販売員のIDを読み取ったり、当該店舗2内で販売員がそれぞれ持つ端末3との間で通信する無線LANアンテナ22などを設けたものである。
【0028】
ゲート21は、顧客、店員が通過したときに当該顧客、店員が持つカードなどからIDを読み取るものである。
【0029】
無線LANアンテナ22は、店舗2内で販売員が持つ端末3との間で無線でデータの送受信するためのものである。」

前記ア.?ウ.によれば、引用文献3には、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。

<引用発明3>
「店舗内の顧客の情報を販売員に提示するシステムであって(【0001】【0019】)、
サーバ1は、ID取得手段11、販売支援手段12、コンテンツ管理手段13から構成され(【0009】【0019】)、
ID取得手段11は、顧客が店舗の出入口に設置したゲート21を通過したときに当該顧客が所持するカードからIDを読み取り(【0020】)、
販売支援手段12は、取得された顧客のIDをもとに、データベースを検索して当該顧客の購買履歴および当該顧客に接客した販売員の接客情報を取り出し、取り出した情報を販売員の端末3に提示し(【0013】)、
コンテンツ管理手段13は、顧客の購買履歴および接客情報などを管理し(【0012】)、
店舗2は、顧客が持つカードからIDを読み取る出入口のゲート21と、当該店舗2内で販売員が持つ端末3との間で通信する無線LANアンテナ22を設けた(【0027】?【0029】)、システム。」

4.引用文献4(特開2008-250822号公報)
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4(特開2008-250822号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。)。

ア.「【0021】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)に係る接客対応を支援するコンピュータプログラム及び接客対応支援システムについて説明する。」

イ.「【0023】
また、図2に示すように、リーダ3a?3h(103a?103h)は、商品の売り場毎に設置されている。
・・・(中略)・・・
【0024】
さらに、本実施例に係るリーダ3a?3h(103a?103h)は、図1に示すようにゲート型のリーダである。つまり、顧客端末2a,2b,2cを携行した顧客がリーダ3a?3h(103a?103h)の間を通過することで、顧客端末2a,2b,2cに内蔵されたRFタグ内の顧客端末IDを読み取ることができる。
【0025】
そして、リーダ3a?3h(103a?103h)は読み取った顧客端末IDと受信時刻とを含んでいるログデータをサーバ5に送信する。」

ウ.「【0031】
まず、顧客端末2a,2b,2cとリーダ3a?3h(103a?103h)について説明する。本実施例の顧客端末2a,2b,2cは、店内の無線ネットワークに接続可能な通信機能を有している端末であり、既存のポケベルの構成を有する専用の端末でもよいし、ネットワーク通信機能付きの携帯電話機を用いてもよい。
【0032】
顧客端末2a,2b,2cは、ディスプレイと操作部とを有している。」

エ.「【0033】
また、顧客端末2a,2b,2cにはRFタグが設けられている。
・・・(中略)・・・
【0035】
また、RFタグは、リーダ3a?3h(103a?103h)からの電波又は磁界を受信するアンテナ10と、整流(電波の場合)又は共振(磁界の場合)によりアンテナ10に発生した電力により動作する制御回路11と、顧客端末IDを記録してあるメモリ12とを備えている。」

オ.「【0043】
また、店員端末4は、無線ネットワーク(無線LANやブルートゥース等)接続機能を有し、サーバ5とデータの送受信を行うことができる携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)を好適に用いることができる。」

カ.「【0044】
次に、サーバ5のハードウェア構成を詳説する。
【0045】
図4に示すように、サーバ5は、サーバ5全体の制御や各種処理を実行するCPU13と、予め設定した情報を記録しているテーブルを格納しているハードディスク14と、各種プログラムやデータ更新が頻繁に行われるテーブルを格納しているメモリ15と、ディスプレイやキーボード/マウスを含む入出力装置16と、無線ネットワークを介して店員端末4とデータの送受信を行う通信制御部17とを備えている。・・・(中略)・・・
【0046】
ハードディスク14には、リーダ・売り場管理テーブル18と売り場店員端末ID管理テーブル19とが格納されている。図5に示すように、リーダ・売り場管理テーブル18には、リーダ3a?3h(103a?103h)をそれぞれ識別するためのリーダIDと、売り場毎に付され、売り場を特定するための売り場IDとが互いに対応付けられて格納されている。尚、本実施例では、売り場IDを売り場の名称を示した、「パソコン売り場」や「プリンタ売り場」といったテキストデータとして説明するが、テキストデータでなく、記号や数字であってもよい。
【0047】
また、図6に示すように、売り場店員端末IDテーブル19には、店員端末毎に予め付され、店員端末を識別するID(図6中、店員端末4a,4b・・・104a,104b・・・)と、売り場ID(上記したリーダ・売り場管理テーブル18の売り場のIDと同じ)とが対応付けられて格納されている。」

キ.「【0064】
まず、サーバ5のCPU13は、リーダ3a?3h(103a?103h)がRFタグを読み取り、検知した顧客端末IDを受信する(S01)。
【0065】
そして、顧客端末IDを受信したことを受けて、CPU13は、ハードディスク14内のリーダ・売り場管理テーブル18(図5参照)を参照して、受信した顧客端末IDを携行している顧客(顧客端末)がいる売り場を判定する(S02)。例えば、顧客端末IDを送信してきたリーダをリーダ103aとすると、リーダ・売り場管理テーブル18により、プリンタ売り場のリーダであると判断される。これにより、リーダ103aにより読み取られたRFタグが付されている、顧客端末を携行している顧客は、プリンタ売り場にいると判断される。
【0066】
次に、サーバ5のCPU13は、受信した顧客端末IDは前回受信した顧客端末IDと同じであるか否かを判断する(S03)。ここで、CPU13が、同じであると判断した場合は、ステップ01に戻り同様の処理を繰り返す。
【0067】
一方、CPU13が今回受信した顧客端末IDは、前回のものと異なると判断した場合は、リーダ3a?3h(103a?103h)がRFタグを読み取った時刻又はサーバ5がリーダ3a?3h(103a?103h)から送信された顧客端末IDを受信した時刻と、ステップ2で判断した売り場を特定する売り場IDとを対応付けてログテーブル20(図7参照)に記録する(S04)。
【0068】
そして、CPU13は、ログテーブル20を参照し、全てのリーダ3a?3h(103a?103h)から顧客端末IDを受信したか否かを判断する(S05)。ここで、全てのリーダ3a?3h(103a?103h)から顧客端末IDを受信したと判断すると本処理は終了する。」

ク.「【0071】
次に、図11に示すフローチャートに基づいて、サーバ5が店員(以下の説明では店員端末4とする)に接客の指示を出す接客指示プログラム(第2のプログラム部品)について説明する。
・・・(中略)・・・
【0073】
一方、店員端末4から接客指示の要求を受信したと判断すると、CPU13は、売り場店員端末ID管理テーブル19(図6参照)を参照し、店員端末IDから売り場を識別する(S102)。
【0074】
例えば、指示要求があった店員端末が4cであったとすると、売り場店員端末ID管理テーブル19により、その店員端末4cはパソコン売り場の店員が携行している端末ということが判別される。
【0075】
次に、CPU13は、ログテーブル20を参照し、ステップ102で識別した売り場に該当する顧客端末IDがあるか否かを検索する(S103)。つまり、ステップ102でパソコン売り場の店員からの接客指示を受けた場合、パソコン売り場における接客待機中の顧客を探す。
【0076】
さらに、CPU13は、その売り場における顧客の滞在時間を集計し、滞在時間ランキングテーブル21を更新する(S104)。つまり、サーバ5は、接客を待機している顧客のランキングを更新する。
【0077】
そして、CPU13は、ランキングの上位の(接客待機中の)顧客が携行する顧客端末が所定の表示を行うように指示を出す(S105)。例えば、顧客端末の緑色のLEDを発光させる指示を出したり、顧客端末の液晶バックライトを発光させたりする指示を例示できる。
【0078】
さらに、CPU13は、店員端末4に、「顧客端末に所定の表示をしたこと」を通知する(S106)。上記した例を用いれば、「緑色のLEDが発光している顧客に対応してください」といったメッセージや、「液晶バックライトが発光している端末に対応してください」といったメッセージを通知する。
【0079】
これにより、店員は、接客を行う優先順位の高い顧客を直ぐに見つけることができる。」

前記ア.?ク.によれば、引用文献4には、次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されている。

<引用発明4>
「顧客端末2a,2b,2cは、店内の無線ネットワークに接続可能な通信機能と(【0031】)、ディスプレイ、操作部とを有し(【0032】)、顧客端末IDを記録したRFタグを備え(【0033】【0035】)、
リーダ3a?3h(103a?103h)は、商品の売り場毎に設置され(【0023】)、顧客端末2a,2b,2cを携行した顧客がリーダの間を通過することで、顧客端末2a,2b,2cに内蔵されたRFタグ内の顧客端末IDを読み取り、顧客端末IDと受信時刻とを含んでいるログデータをサーバ5に送信し(【0024】【0025】)、
店員端末4は、無線ネットワーク接続機能を有し、サーバ5とデータの送受信を行い(【0043】)、
サーバ5は、リーダ・売り場管理テーブル18と売り場店員端末ID管理テーブル19とを格納したハードディスク14と、無線ネットワークを介して店員端末4とデータの送受信を行う通信制御部17とを備え(【0045】【0046】)、リーダ・売り場管理テーブル18には、リーダ3a?3h(103a?103h)をそれぞれ識別するためのリーダIDと、売り場毎に付され、売り場を特定するための売り場IDとが互いに対応付けられて格納され、売り場店員端末IDテーブル19には、店員端末毎に予め付され、店員端末を識別するIDと、売り場IDとが対応付けられて格納され(【0046】【0047】)、
サーバ5は、
リーダ3a?3h(103a?103h)がRFタグを読み取り、検知した顧客端末IDを受信し(S01、【0064】)、
リーダ・売り場管理テーブル18を参照して、受信した顧客端末IDを携行している顧客(顧客端末)がいる売り場を判定し(S02、【0065】)、
受信した顧客端末IDは前回受信した顧客端末IDと同じであるか否かを判断し(S03、【0066】)、
今回受信した顧客端末IDが、前回のものと異なると判断した場合は、リーダ3a?3h(103a?103h)がRFタグを読み取った時刻又はサーバ5がリーダ3a?3h(103a?103h)から送信された顧客端末IDを受信した時刻と、前記売り場IDとを対応付けてログテーブル20に記録し(S04、【0067】)、
また、サーバ5は、
店員端末4から接客指示の要求を受信したと判断すると、売り場店員端末ID管理テーブル19を参照し、店員端末IDから売り場を識別し(S102、【0073】)、
ログテーブル20を参照し、識別した売り場に該当する顧客端末IDがあるか否かを検索し(S103、【0075】)、
識別した売り場における顧客の滞在時間を集計し、滞在時間ランキングテーブル21を更新し(S104、【0076】)、
ランキングの上位の顧客が携行する顧客端末が所定の表示を行うように指示を出し(S105、【0077】)、
店員端末4に、「顧客端末に所定の表示をしたこと」を通知する(S106、【0078】)、
接客対応支援システム(【0021】)。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について

次に、本願発明1と引用発明1とを対比する。

・引用発明1の「タブレット型端末300は、利用者がSSに入店した際に、SSシステム100からプッシュ通知された属性情報と推奨サービスの情報とを画面上に表示して係員に通知する機能を有し、この通知により、SSの係員は当該利用者に対して推奨すべき商品やサービスを把握することができ、サービスの提案を考慮した上で必要に応じて円滑にアプローチすることが可能となる」は、セルフ給油システムが、店舗への来店者に対する接客を支援しているといえる。
したがって、引用発明1の「セルフ給油システム」は、本願発明1の「店舗への来店者に対する接客を支援する接客支援システム」に相当する。

・引用発明1の「登録会員データベース(DB)241および購買履歴DB243」を有した「顧客管理システム200」は、本願発明1の「顧客情報が蓄積された記憶部」に相当する。

・引用発明1のアクセスポイントは、スマートフォンから端末IDを取得するために用いる近距離無線通信手段であり、スマートフォンに対して店舗識別情報を発信するものではない。
したがって、引用発明1のアクセスポイントは、本願発明1の「複数の店舗の各々に1つ以上設けられ、店舗を識別するための店舗識別情報を含むビーコン信号を発信する信号発信部」に相当するものではなく、引用発明1は、本願発明1の上記信号発信部を備えていない。

・引用発明1の「SSシステム100」は、アクセスポイントとスマートフォンとの間の近距離無線通信により、入店した利用者が保有するスマートフォンと接続されているといえるから、「来店者が携帯する携帯端末とネットワークを介して接続され」ているといえる。
また、引用発明1の「端末検知部110は、アクセスポイント140とスマートフォン400の間で近距離無線通信のセッションが確立したことを検知して、スマートフォン400を識別する端末IDを取得する機能を有し」は、「SSシステム100」が、携帯端末から送信される信号を受信し、受信した信号に含まれる識別信号を取得することといえる。
引用発明1の「サービス照会部130は、取得した端末IDに基づいて、顧客管理システム200から通知情報を取得する機能を有し、当該通知情報には、当該スマートフォン400の利用者(会員)について、登録会員DB241に登録されている属性情報や、購買履歴DB243に蓄積された過去の購買実績等に基づいて抽出された推奨サービスの情報が含まれ」は、「SSシステム100」が、取得した識別情報に対応する顧客情報を記憶部から取得することといえる。
したがって、引用発明1の「SSシステム100」と、本願発明1の「前記来店者が携帯する携帯端末とネットワークを介して接続され、前記携帯端末から送信されるビーコン受信信号を受信し、当該受信したビーコン受信信号に含まれる顧客識別情報を取得し、該顧客識別情報に対応する顧客情報を前記記憶部から取得するサーバ」は、「前記来店者が携帯する携帯端末とネットワークを介して接続され、前記携帯端末から送信される信号を受信し、当該受信した信号に含まれる識別情報を取得し、該識別情報に対応する顧客情報を前記記憶部から取得するサーバ」の点で共通する。

・引用発明1の「タブレット型端末300」は、「セルフSSで有人サービスの提供を行う係員が所持する」から、セルフSSの店舗に設けられたものといえる。
引用発明1の「タブレット型端末300」は、「利用者がSSに入店した際に、SSシステム100からプッシュ通知された属性情報と推奨サービスの情報とを画面上に表示」し、また、「SSシステム100」とは「アクセスポイント140」との近距離無線通信により接続されているから、「前記サーバと通信ネットワークを介して接続され、前記サーバが取得した前記顧客情報を受信して表示する少なくとも1つの表示用端末」ということができる。
したがって、引用発明1の「タブレット型端末300」と、本願発明1の「前記店舗に配置されると共に、前記サーバと通信ネットワークを介して接続され、前記サーバが取得した前記顧客情報を受信して表示する少なくとも1つの表示用端末」は、「前記店舗に設けられると共に、前記サーバと通信ネットワークを介して接続され、前記サーバが取得した前記顧客情報を受信して表示する少なくとも1つの表示用端末」の点で共通する。

・引用発明1は、本願発明1の「複数の店舗の各々に1つ以上設けられ、店舗を識別するための店舗識別情報を含むビーコン信号を発信する信号発信部」を備えておらず、したがって、スマートフォンは、店舗識別情報を含むビーコン信号を受信しておらず、ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、スマートフォンに登録された来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成しておらず、そのビーコン受信信号をサーバに送信してもいない。
したがって、引用発明1は、本願発明1の「前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信機を経由することなく前記サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものであり」を備えていない(なお、前記のとおり、「信号発信機」は「信号発信部」の誤記である。)。

・引用発明1の「通知部120は、アクセスポイント140との間で近距離無線通信のセッションが確立しているタブレット型端末300に対して、取得した通知情報に含まれる属性情報と推奨サービスの情報とをプッシュ通知し」は、サーバが、表示用端末に顧客情報を送信することとえる。
したがって、引用発明1の「SSシステム100」と、本願発明1の「前記サーバは、前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得し、当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末に前記顧客情報を送信する」は、「前記サーバは、表示用端末に前記顧客情報を送信する」の点で共通する。

よって、本願発明1と引用発明1との一致点は、次の通りである。

<一致点>
「店舗への来店者に対する接客を支援する接客支援システムであって、
顧客情報が蓄積された記憶部と、
前記来店者が携帯する携帯端末とネットワークを介して接続され、前記携帯端末から送信される信号を受信し、当該受信した信号に含まれる識別情報を取得し、該識別情報に対応する顧客情報を前記記憶部から取得するサーバと、
前記店舗に設けられると共に、前記サーバと通信ネットワークを介して接続され、前記サーバが取得した前記顧客情報を受信して表示する少なくとも1つの表示用端末と、
を備え、
前記サーバは、表示用端末に前記顧客情報を送信する、
接客支援システム。」

本願発明1と引用発明1との相違点は、次の通りである。
<相違点1>
本願発明1は、「複数の店舗の各々に1つ以上設けられ、店舗を識別するための店舗識別情報を含むビーコン信号を発信する信号発信部」を備えるのに対し、引用発明1は、当該信号発信部を備えていない点。

<相違点2>
本願発明1は「前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信機を経由することなく前記サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものであり」の構成を有するのに対し、引用発明1は上記構成を備えていない点。

<相違点3>
サーバが携帯端末から受信する信号が、本願発明1では「ビーコン受信信号」であるのに対し、引用発明1では「スマートフォン400を識別する端末ID」であり、「ビーコン受信信号」ではない点。
また、サーバが携帯端末から受信した信号に含まれる「識別情報」が、本願発明1では「顧客識別情報」であるのに対し、引用発明1では「スマートフォン400を識別する端末ID」であり、顧客を識別するものではない点。

<相違点4>
本願発明1は「前記少なくとも1つの表示用端末の各々は、前記店舗識別情報と関連づけられ」の構成を備えるのに対し、引用発明1のタブレット型端末は、店舗識別情報と関連づけられていない点。

<相違点5>
サーバが、本願発明1では「前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得」するのに対し、引用発明1では当該前記店舗識別情報を取得していない点。
また、顧客情報の送信先となる表示用端末が、本願発明1では「当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末」であるのに対し、引用発明1では、店舗識別情報と関連づけられたものではない点。

<相違点6>
表示用端末が、本願発明1では、複数の店舗に「配置される」のに対し、引用発明1では、複数の店舗に「配置される」ものではない点。

次に、上記相違点について検討する。
引用発明1は、「店舗を識別するための店舗識別情報を含むビーコン信号」を利用するものではなく、特に相違点1に係る本願発明1の「複数の店舗の各々に1つ以上設けられ、店舗を識別するための店舗識別情報を含むビーコン信号を発信する信号発信部」の構成、相違点2に係る本願発明1の「前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信機を経由することなく前記サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものであり」の構成、及び、相違点5に係る「前記サーバは、前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得し、当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末に前記顧客情報を送信する」の構成は、引用文献1に記載されていない。
そして、これら相違点1、2及び5に関して、引用発明2の受信手段は、顧客用装置から属性情報及びプリファレンス情報を受信する手段であって、店舗識別情報を含むビーコン信号を発信していない。
また、引用発明3のID取得手段は、顧客が所持するカードからIDを読み取る手段であり、店舗識別情報を含むビーコン信号を発信していない。
また、引用発明4のリーダは、顧客端末に内蔵されたRFタグ内の顧客端末IDを読み取るものであり、店舗識別情報を含むビーコン信号を発信していない。
よって、引用発明2-4も、「店舗を識別するための店舗識別情報を含むビーコン信号」を利用するものではなく、上記相違点1、相違点2、及び相違点5に係る本願発明1の構成を備えていない。
また、これらの構成が、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、本願発明1は、その他の相違点について検討するまでもなく、当業者が引用文献1-4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2、3について
本願発明2、3は、本願発明1を引用するものであるから、本願発明1の上記相違点1に係る構成である「複数の店舗の各々に1つ以上設けられ、店舗を識別するための店舗識別情報を含むビーコン信号を発信する信号発信部」、相違点2に係る構成である「前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信機を経由することなく前記サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものであり」、及び、相違点5に係る構成である「前記サーバは、前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得し、当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末に前記顧客情報を送信する」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者が、引用文献1-4に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明4について
本願発明4は、本願発明1の「システム」におけるサーバの構成に対応する「サーバ」の発明であり、本願発明1の上記相違点2の構成に対応する「前記来店者が携帯する携帯端末とネットワークを介して接続され、前記携帯端末から送信されるビーコン受信信号を受信し、当該受信したビーコン受信信号に含まれる顧客識別情報を取得する識別情報取得部」及び「前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信部を経由することなく前記接客支援サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものであり」との構成が、また、上記相違点5の構成に対応する「前記送信部は、前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得し、当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末に前記顧客情報を送信する」との構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者が、引用文献1-4に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4.本願発明5について
本願発明5は、本願発明1の「システム」におけるサーバの構成に対応する「プログラム」の発明であり、本願発明1の上記相違点2の構成に対応する「前記来店者が携帯する携帯端末とネットワークを介して接続され、前記携帯端末から送信されるビーコン受信信号を受信し、当該受信したビーコン受信信号に含まれる顧客識別情報を取得するステップ(a)であって、前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信部を経由することなく接客支援サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものである、ステップ(a)」との構成が、また、上記相違点5の構成に対応する「ステップ(b)において取得された前記顧客情報を、前記店舗に配置された表示用端末に送信して表示させるステップ(c)であって、前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得し、当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末に前記顧客情報を送信する、ステップ(c)」との構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者が、引用文献1-4に記載された発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-3は「複数の店舗の各々に1つ以上設けられ、店舗を識別するための店舗識別情報を含むビーコン信号を発信する信号発信部」、「前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信機を経由することなく前記サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものであり」、「前記サーバは、前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得し、当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末に前記顧客情報を送信する」という事項を有するものとなっている。
また、本願発明4は「前記来店者が携帯する携帯端末とネットワークを介して接続され、前記携帯端末から送信されるビーコン受信信号を受信し、当該受信したビーコン受信信号に含まれる顧客識別情報を取得する識別情報取得部」、「前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信部を経由することなく前記接客支援サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものであり」及び「前記送信部は、前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得し、当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末に前記顧客情報を送信する」との事項を有するものとなっている。
また、本願発明5は「前記来店者が携帯する携帯端末とネットワークを介して接続され、前記携帯端末から送信されるビーコン受信信号を受信し、当該受信したビーコン受信信号に含まれる顧客識別情報を取得するステップ(a)であって、前記携帯端末には、専用のアプリケーションが記憶され、前記専用のアプリケーションは、前記ビーコン信号を受信した際に、前記ビーコン信号に含まれる店舗識別情報と、前記携帯端末に登録された前記来店者の顧客識別情報と、を含むビーコン受信信号を生成し、当該ビーコン受信信号を前記信号発信部を経由することなく接客支援サーバに送信する機能を前記携帯端末に実行させるものである、ステップ(a)」及び「ステップ(b)において取得された前記顧客情報を、前記店舗に配置された表示用端末に送信して表示させるステップ(c)であって、前記携帯端末から受信した前記ビーコン受信信号に含まれる前記店舗識別情報を取得し、当該店舗識別情報と関連づけられた表示用端末に前記顧客情報を送信する、ステップ(c)」との事項を有するものとなっている。
したがって、本願発明1-5は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-4に基づいて、容易に発明できたものとはいえず、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-09-12 
出願番号 特願2016-3868(P2016-3868)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山本 雅士谷川 智秀  
特許庁審判長 佐藤 智康
特許庁審判官 金子 幸一
貝塚 涼
発明の名称 接客支援システム、接客支援サーバおよびプログラム  
代理人 大貫 敏史  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 伊藤 健太郎  
代理人 内藤 和彦  
代理人 江口 昭彦  
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