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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C10M
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C10M
管理番号 1332031
審判番号 不服2015-17214  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-09-18 
確定日 2017-09-07 
事件の表示 特願2014- 1216「潤滑油基油及びその製造方法並びに潤滑油組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月 3日出願公開、特開2014- 58695〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 理 由
第1 手続の経緯
本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成20年3月25日(優先日:平成19年3月30日 特願2007-92675号)に出願した特願2008-78587号の一部を平成26年1月7日に新たな特許出願として分割したものであって、以降の手続の経緯は以下のとおりのものである。

平成26年1月7日 上申書
平成27年2月5日付け 拒絶理由通知書
平成27年4月13日 意見書・手続補正書
平成27年6月18日付け 拒絶査定
平成27年9月18日 審判請求書・手続補正書
平成27年11月19日付け 前置報告書
平成27年12月8日 上申書
平成28年2月2日 上申書
平成28年2月12日 上申書
平成29年1月24日付け 拒絶理由通知書
平成29年3月31日 意見書・手続補正書


第2 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成29年3月31日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
尿素アダクト値が3質量%以下であり、40℃における動粘度が6.0?45mm^(2)/sであり、粘度指数が130以上であり、-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下であり、40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下であり、90%留出温度から10%留出温度を減じた値が50?80℃であり、飽和分の含有量が、潤滑油基油全量を基準として、90質量%以上であり、且つ、当該飽和分に占める環状飽和分の割合が0.1?50質量%であることを特徴とする潤滑油基油。」


第3 平成29年1月24日付け拒絶理由の概要
平成29年1月24日付け拒絶理由は、本願の発明の詳細な説明は、本願請求項1に記載された発明を当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず、この出願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない、および、本願発明は、本願の発明の詳細な説明に記載されたものでなく、この出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない、という理由を含むものである。


第4 当審の判断
1.特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
(1)発明の詳細な説明の記載事項
発明の詳細な説明における潤滑油基油に関連する主な記載事項は,以下のとおりである。
ア 「【0002】
従来、潤滑油の分野では、高度精製鉱油等の潤滑油基油に流動点降下剤等の添加剤を配合することによって、潤滑油の低温粘度特性の改善が図られている(例えば、特許文献1?3を参照)。また、高粘度指数基油の製造方法としては、天然や合成のノルマルパラフィンを含む原料油について水素化分解/水素化異性化による潤滑油基油の精製を行う方法が知られている(例えば、特許文献4?8を参照)。」
イ 「【0005】
しかしながら、近時、潤滑油の低温粘度特性の向上、さらには低温粘度特性と粘度-温度特性との両立、低温粘度特性と低蒸発性との両立に対する要求は益々高くなっており、上記従来の評価指標に基づき低温性能が良好であると判断された潤滑油基油を用いた場合であっても、かかる要求特性を十分に満足させることが困難となっている。
・・・・・・
【0007】
また、上述した水素化分解/水素化異性化による潤滑油基油の精製方法においては、ノルマルパラフィンのイソパラフィンへの異性化率の向上及び潤滑油基油の低粘度化により低温粘度特性を改善する観点から、水素化分解/水素化異性化の条件の最適化が検討されているが、低温粘度特性は粘度-温度特性(特に高温での粘度特性)や低蒸発性と相反する関係にある。さらに、環境負荷低減の観点からは、低粘度化及び低蒸発性が望ましく、特に、低粘度化は省燃費特性の改善に絶大な効果を示すが、低粘度化と低蒸発性も相反する関係にある。したがって、上記の要求特性の全てを満たすことは非常に困難である。さらに、上述したように流動点や凝固点等の指標が潤滑油基油の低温粘度特性の評価指標として必ずしも適切でないことも、水素化分解/水素化異性化の条件設定の最適化が困難であることの一因となっている。
【0008】
本発明はこのような、実情に鑑みてなされたものであり、低粘度化した場合であっても、粘度-温度特性、低温粘度特性及び低蒸発性の全てを高水準で達成することが可能な潤滑油基油及びその製造方法、並びに当該潤滑油基油を含有する潤滑油組成物を提供することを目的とする。」
ウ 「【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、尿素アダクト値が3質量%以下であり、粘度指数が130以上であり、-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下であり、40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下であり、飽和分の含有量が、潤滑油基油全量を基準として、90質量%以上であり、且つ、当該飽和分に占める環状飽和分の割合が0.1?50質量%であることを特徴とする潤滑油基油を提供する。
また、本発明は、尿素アダクト値が3質量%以下であり、粘度指数が130以上であり、-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下であり、且つ、40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下であることを特徴とする潤滑油基油を提供する。
【0010】
なお、本発明でいう尿素アダクト値は以下の方法により測定される。秤量した試料油(潤滑油基油)100gを丸底フラスコに入れ、尿素200g、トルエン360ml及びメタノール40mlを加えて室温で6時間攪拌する。これにより、反応液中に尿素アダクト物として白色の粒状結晶が生成する。反応液を1ミクロンフィルターでろ過することにより、生成した白色粒状結晶を採取し、得られた結晶をトルエン50mlで6回洗浄する。回収した白色結晶をフラスコに入れ、純水300ml及びトルエン300mlを加えて80℃で1時間攪拌する。分液ロートで水相を分離除去し、トルエン相を純水300mlで3回洗浄する。トルエン相に乾燥剤(硫酸ナトリウム)を加えて脱水処理を行った後、トルエンを留去する。このようにして得られた尿素アダクト物の試料油に対する割合(質量百分率)を「尿素アダクト値」と定義する。
・・・・・・
【0014】
本発明の潤滑油基油によれば、尿素アダクト値、粘度指数、-35℃におけるCCS粘度及び40℃における動粘度とNOACK蒸発量との積がそれぞれ上記条件を満たすことによって、低粘度化した場合であっても、粘度-温度特性、低温粘度特性及び低蒸発性の全てを高水準で達成することが可能となる。また、本発明の潤滑油基油に流動点降下剤等の添加剤が配合された場合には、その添加効果を有効に発現させることができる。したがって、本発明の潤滑油基油は、近時の低粘度化、粘度-温度特性、低温粘度特性、低蒸発性に対する要求に応える潤滑油基油として非常に有用である。さらに、本発明の潤滑油基油によれば、上述した優れた粘度-温度特性により実用温度範囲における粘度抵抗や攪拌抵抗を低減することができる。特に、本発明の潤滑油基油は、0℃以下の低温条件において、粘性抵抗や攪拌抵抗を大幅に低減することによりその効果を発揮することができ、当該潤滑油基油が適用される装置におけるエネルギー損失を低減し、省エネルギー化を達成できる点で非常に有用である。
【0015】
なお、従来、水素化分解/水素化異性化による潤滑油基油の精製方法においてノルマルパラフィンからイソパラフィンへの異性化率の向上が検討されていることは上述の通りであるが、本発明者らの検討によれば、単にノルマルパラフィンの残存量を低減するだけでは低温粘度特性を十分に改善することは困難である。すなわち、水素化分解/水素化異性化により生成するイソパラフィンの中にも低温粘度特性に悪影響を及ぼす成分は含まれるが、従来の評価方法においてはその点について十分に認識されていない。また、ノルマルパラフィン及びイソパラフィンの分析にはガスクロマトグラフィー(GC)やNMRなどの分析手法が適用されるが、これらの分析手法ではイソパラフィンの中から低温粘度特性に悪影響を及ぼす成分を分離又は特定することは、煩雑な作業や多大な時間を要するなど実用上有効であるとはいえない。
【0016】
これに対して、本発明における尿素アダクト値の測定においては、尿素アダクト物として、イソパラフィンのうち低温粘度特性に悪影響を及ぼす成分、さらには潤滑油基油中にノルマルパラフィンが残存している場合の当該ノルマルパラフィンを精度よく且つ確実に捕集することができるため、潤滑油基油の低温粘度特性の評価指標として優れている。なお、本発明者らは、GC及びNMRを用いた分析により、尿素アダクト物の主成分が、ノルマルパラフィン及び主鎖の末端から分岐位置までの炭素数が6以上であるイソパラフィンの尿素アダクト物であることを確認している。
【0017】
また、本発明は、ノルマルパラフィンを含有する原料油について、得られる被処理物の尿素アダクト値が3質量%以下、粘度指数が130以上、-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下、40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下、飽和分の含有量が、潤滑油基油全量を基準として、90質量%以上、且つ、当該飽和分に占める環状飽和分の割合が0.1?50質量%となるように、水素化分解/水素化異性化を行う工程を備え、上記工程は、原料油について、水素化処理触媒を用いて水素化処理する第1工程と、第1工程により得られる被処理物について、水素化脱ロウ触媒を用いて水素化脱ロウする第2工程と、第2工程により得られる被処理物について、水素化精製触媒を用いて水素化精製する第3工程と、を有することを特徴とする潤滑油基油の製造方法を提供する。
また、本発明は、ノルマルパラフィンを含有する原料油について、得られる被処理物の尿素アダクト値が3質量%以下、粘度指数が130以上、-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下、且つ、40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下となるように、水素化分解/水素化異性化を行う工程を備え、上記工程は、原料油について、水素化処理触媒を用いて水素化処理する第1工程と、第1工程により得られる被処理物について、水素化脱ロウ触媒を用いて水素化脱ロウする第2工程と、第2工程により得られる被処理物について、水素化精製触媒を用いて水素化精製する第3工程と、を有することを特徴とする潤滑油基油の製造方法を提供する。
【0018】
本発明の潤滑油基油の製造方法によれば、得られる被処理物の尿素アダクト値が4質量%以下、粘度指数が130以上、-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下、且つ、40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下となるように、ノルマルパラフィンを含有する原料油について水素化分解/水素化異性化を行うことによって、低粘度化した場合であっても、粘度-温度特性、低温粘度特性及び低蒸発性の全てを高水準で達成することが可能な潤滑油基油を確実に得ることができる。
【0019】
本発明の潤滑油基油の製造方法においては、経済性の観点から、原料油が潤滑油基油の溶剤脱ロウによって得られるスラックワックスを50質量%以上含有することが好ましい。なお、従来の潤滑油基油において、スラックワックスを原料に用いた場合は、フィッシャー-トロプシュ・ワックスを用いた場合に比べて、低粘度化、粘度-温度特性、低温粘度特性及び低蒸発性を同時に達成することが一層困難であった。これに対して本発明の潤滑油基油の製造方法によれば、スラックワックスを原料に用いた場合であっても、低粘度化、粘度-温度特性、低温粘度特性及び低蒸発性の点において、フィッシャー-トロプシュ・ワックスを用いた場合と同レベルの性状を有する潤滑油基油を得ることができる。」
エ 「【0022】
本発明によれば、低粘度化した場合であっても、粘度-温度特性、低温粘度特性及び低蒸発性の全てを高水準で達成することが可能な潤滑油基油及びその製造方法、並びに当該潤滑油基油を含有する潤滑油組成物が提供される。」
オ 「【0024】
本発明の潤滑油基油は、尿素アダクト値が4質量%以下であり、粘度指数が130以上であり、-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下であり、且つ、40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下のものである。
【0025】
本発明の潤滑油基油の尿素アダクト値は、粘度-温度特性及び低蒸発性を損なわずに低粘度化及び低温粘度特性の改善を可能とする観点から、上述の通り4質量%以下であることが必要であり、好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
【0026】
また、本発明の潤滑油基油の粘度指数は、粘度-温度特性の観点から、上述の通り130以上であることが必要であり、好ましくは135以上、特に好ましくは140以上である。
【0027】
また、本発明の潤滑油基油の-35℃におけるCCS粘度は、低温粘度特性の観点から、上述の通り2000mPa・s以下であることが必要であり、好ましくは1800mPa・s以下、より好ましくは1700mPa・s以下、更に好ましくは1600mPa・s以下である。
【0028】
また、本発明の潤滑油基油においては、低粘度化と低蒸発性との両立の観点から、40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下であることが必要であり、好ましくは240以下、より好ましくは230以下、更に好ましくは220以下である。
・・・・・・
【0052】
上記の製造方法により得られる本発明の潤滑油基油においては、尿素アダクト値、粘度指数、-35℃におけるCCS粘度及び40℃における動粘度とNOACK蒸発量との積がそれぞれ上記条件を満たせば、その他の性状は特に制限されないが、本発明の潤滑油基油は以下の条件を更に満たすものであることが好ましい。
【0053】
本発明の潤滑油基油における飽和分の含有量は、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは90質量%以上、より好ましくは93質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、一層好ましくは97質量%以上、特に好ましくは98質量%以上である。また、当該飽和分に占める環状飽和分の割合は、好ましくは0.1?50質量%、より好ましくは0.5?40質量%、更に好ましくは1?30質量%、特に好ましくは5?20質量%である。飽和分の含有量及び当該飽和分に占める環状飽和分の割合がそれぞれ上記条件を満たすことにより、粘度-温度特性及び熱・酸化安定性を達成することができ、また、当該潤滑油基油に添加剤が配合された場合には、当該添加剤を潤滑油基油中に十分に安定的に溶解保持しつつ、当該添加剤の機能をより高水準で発現させることができる。更に、飽和分の含有量及び当該飽和分に占める環状飽和分の割合がそれぞれ上記条件を満たすことにより、潤滑油基油自体の摩擦特性を改善することができ、その結果、摩擦低減効果の向上、ひいては省エネルギー性の向上を達成することができる。
【0054】
なお、飽和分の含有量が90質量%未満であると、粘度-温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性が不十分となる傾向にある。また、飽和分に占める環状飽和分の割合が0.1質量%未満であると、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に、当該添加剤の溶解性が不十分となり、潤滑油基油中に溶解保持される当該添加剤の有効量が低下するため、当該添加剤の機能を有効に得ることができなくなる傾向にある。更に、飽和分に占める環状飽和分の割合が50質量%を超えると、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
【0055】
本発明において、飽和分に占める環状飽和分の割合が0.1?50質量%であることは、飽和分に占める非環状飽和分が99.9?50質量%であることと等価である。ここで、非環状飽和分にはノルマルパラフィン及びイソパラフィンの双方が包含される。本発明の潤滑油基油に占めるノルマルパラフィン及びイソパラフィンの割合は、尿素アダクト値が上記条件を満たせば特に制限されないが、イソパラフィンの割合は、潤滑油基油全量基準で、好ましくは50?99.9質量%、より好ましくは60?99.9質量%、更に好ましくは70?99.9質量%、特に好ましくは80?99.9質量%である。潤滑油基油に占めるイソパラフィンの割合が前記条件を満たすことにより、粘度-温度特性及び熱・酸化安定性をより向上させることができ、また、当該潤滑油基油に添加剤が配合された場合には、当該添加剤を十分に安定的に溶解保持しつつ、当該添加剤の機能を一層高水準で発現させることができる。
・・・・・・
【0064】
また、本発明の潤滑油基油における芳香族分は、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは5質量%以下、より好ましくは0.05?3質量%、更に好ましくは0.1?1質量%、特に好ましくは0.1?0.5質量%である。芳香族分の含有量が上記上限値を超えると、粘度-温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性、更には揮発防止性及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、更に、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。また、本発明の潤滑油基油は芳香族分を含有しないものであってもよいが、芳香族分の含有量を0.05質量%以上とすることにより、添加剤の溶解性を更に高めることができる。
【0065】
なお、ここでいう芳香族分の含有量とは、ASTM D 2007-93に準拠して測定された値を意味する。芳香族分には、通常、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレン及びこれらのアルキル化物、更にはベンゼン環が四環以上縮合した化合物、ピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ原子を有する芳香族化合物などが含まれる。
【0066】
また、本発明の潤滑油基油の%C_(P)は、好ましくは80以上、より好ましくは82?99、更に好ましくは85?98、特に好ましくは90?97である。潤滑油基油の%C_(P)が80未満の場合、粘度-温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性が低下する傾向にあり、更に、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。また、潤滑油基油の%C_(P)が99を超えると、添加剤の溶解性が低下する傾向にある。
【0067】
また、本発明の潤滑油基油の%C_(N)は、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは1?12、特に好ましくは3?10である。潤滑油基油の%C_(N)が20を超えると、粘度-温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性が低下する傾向にある。また、%C_(N)が1未満であると、添加剤の溶解性が低下する傾向にある。
【0068】
また、本発明の潤滑油基油の%C_(A)は、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.1?0.5である。潤滑油基油の%C_(A)が0.7を超えると、粘度-温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性が低下する傾向にある。また、本発明の潤滑油基油の%C_(A)は0であってもよいが、%C_(A)を0.1以上とすることにより、添加剤の溶解性を更に高めることができる。
【0069】
更に、本発明の潤滑油基油における%C_(P)と%C_(N)との比率は、%C_(P)/%C_(N)が7以上であることが好ましく、7.5以上であることがより好ましく、8以上であることが更に好ましい。%C_(P)/%C_(N)が7未満であると、粘度-温度特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性が低下する傾向にあり、更に、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。また、%C_(P)/%C_(N)は、200以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく-35以下であることが更に好ましく、25以下であることが特に好ましい。%C_(P)/%C_(N)を200以下とすることにより、添加剤の溶解性を更に高めることができる。
・・・・・・
【0074】
また、本発明の潤滑油基油の動粘度は、その100℃における動粘度は、好ましくは1.5?20mm^(2)/s、より好ましくは2.0?11mm^(2)/sである。潤滑油基油の100℃における動粘度が1.5mm^(2)/s未満の場合、蒸発損失の点で好ましくない。また、100℃における動粘度が20mm^(2)/sを超える潤滑油基油を得ようとする場合、その収率が低くなり、原料として重質ワックスを用いる場合であっても分解率を高めることが困難となるため好ましくない。
【0075】
また、本発明の潤滑油基油の40℃における動粘度は、好ましくは50mm^(2)/s以下であり、より好ましくは6.0?45mm^(2)/s、さらに好ましくは8.0?40mm^(2)/sであり、特に好ましくは10?35mm^(2)/sである。
【0076】
また、上記潤滑油基油は、尿素アダクト値、粘度指数、-35℃におけるCCS粘度及び40℃における動粘度とNOACK蒸発量との積がそれぞれ上記条件を満たすことにより、粘度グレードが同じ従来の潤滑油基油と比較して、粘度-温度特性と低温粘度特性とを高水準で両立することができ、特に、低温粘度特性に優れ、更には揮発防止性及び潤滑性に優れる。
【0077】
また、本発明の潤滑油基油の20℃における屈折率は、潤滑油基油の粘度グレードにもよるが、例えば、上記潤滑油基油の20℃における屈折率は、好ましくは1.460以下、より好ましくは1.457以下、更に好ましくは1.455以下である。屈折率が前記上限値を超えると、その潤滑油基油の粘度-温度特性及び熱・酸化安定性、更には揮発防止性及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、また、当該潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
【0078】
また、本発明の潤滑油基油の流動点は、潤滑油基油の粘度グレードにもよるが、好ましくは-10℃以下、より好ましくは-15℃以下、更に好ましくは-17.5℃以下である。流動点が前記上限値を超えると、その潤滑油基油を用いた潤滑油全体の低温流動性が低下する傾向にある。なお、本発明でいう流動点とは、JIS K 2269-1987に準拠して測定された流動点を意味する。
【0079】
また、本発明の潤滑油基油の-40℃におけるBF粘度は、好ましくは1,500,000mPa・s以下、より好ましくは1,250,000mPa・s以下、更に好ましくは1,000,000mPa・s以下である。-40℃におけるBF粘度が前記上限値を超えると、その潤滑油基油を用いた潤滑油全体の低温流動性が低下する傾向にある。
【0080】
また、本発明の潤滑油基油の15℃における密度(ρ_(15))は、潤滑油基油の粘度グレードによるが、下記式(1)で表されるρの値以下であること、すなわちρ_(15)≦ρであることが好ましい。
ρ=0.0025×kv100+0.816 (1)
[式中、kv100は潤滑油基油の100℃における動粘度(mm^(2)/s)を示す。]
なお、ρ_(15)>ρとなる場合、粘度-温度特性及び熱・酸化安定性、更には揮発防止性及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、また、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
【0081】
例えば、上記潤滑油基油(のρ_(15)は、好ましくは0.850以下、より好ましくは0.830以下である。
・・・・・・
【0083】
また、本発明の潤滑油基油のアニリン点(AP(℃))は、潤滑油基油の粘度グレードによるが、下記式(2)で表されるAの値以上であること、すなわちAP≧Aであることが好ましい。
A=4.3×kv100+100 (2)
[式中、kv100は潤滑油基油の100℃における動粘度(mm^(2)/s)を示す。]
なお、AP<Aとなる場合、粘度-温度特性及び熱・酸化安定性、更には揮発防止性及び低温粘度特性が低下する傾向にあり、また、潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添加剤の効き目が低下する傾向にある。
・・・・・・
【0085】
また、本発明の潤滑油基油の蒸留性状は、ガスクロマトグラフィー蒸留で、初留点(IBP)が290?440℃、終点(FBP)が430?580℃であることが好ましく、かかる蒸留範囲にある留分から選ばれる1種又は2種以上の留分を精留することにより、上述した好ましい粘度範囲を有する潤滑油基油を得ることができる。
【0086】
例えば、上記潤滑油基油の蒸留性状に関し、その初留点(IBP)は、好ましくは310?480℃、より好ましくは320?470℃、更に好ましくは330?460℃であり、特に好ましくは330?380℃である。また、10%留出温度(T10)は、好ましくは350?510℃、より好ましくは360?500℃、更に好ましくは370?490℃、特に好ましくは370?410℃である。また、50%留出点(T50)は、好ましくは390?540℃、より好ましくは400?530℃、更に好ましくは410?520℃、特に好ましくは410?450℃である。また、90%留出点(T90)は、好ましくは420?560℃、より好ましくは430?550℃、更に好ましくは440?540℃、特に好ましくは440?470である。また、終点(FBP)は、好ましくは450?565℃、より好ましくは460?555℃、更に好ましくは470?545℃、特に好ましくは470?510℃である。また、T90-T10は、好ましくは30?100℃、より好ましくは40?90℃、更に好ましくは50?80℃である。また、FBP-IBPは、好ましくは50?170℃、より好ましくは60?160℃、更に好ましくは70?150℃、特に好ましくは110?150℃である。また、T10-IBPは、好ましくは5?65℃、より好ましくは10?55℃、更に好ましくは15?50℃、特に好ましくは10?50℃である。また、FBP-T90は、好ましくは5?60℃、より好ましくは5?55℃、更に好ましくは10?50℃である。
【0087】
潤滑油基油において、IBP、T10、T50、T90、FBP、T90-T10、FBP-IBP、T10-IBP、FBP-T90を上記の好ましい範囲に設定することで、低温粘度の更なる改善と、蒸発損失の更なる低減とが可能となる。なお、T90-T10、FBP-IBP、T10-IBP及びFBP-T90のそれぞれについては、それらの蒸留範囲を狭くしすぎると、潤滑油基油の収率が悪化し、経済性の点で好ましくない。」

(2)実施例の記載
カ 「【0100】
[実施例1、比較例1]
実施例1においては、まず、溶剤精製基油を精製する工程において減圧蒸留で分離した留分を、フルフラールで溶剤抽出した後で水素化処理し、次いで、メチルエチルケトン-トルエン混合溶剤で溶剤脱ろうした。溶剤脱ろうの際に除去され、スラックワックスとして得られたワックス分(以下、「WAX1」という。)を、潤滑油基油の原料油として用いた。WAX1の性状を表1に示す。
【0101】
【表1】

【0102】
次に、WAX1を原料油とし、水素化処理触媒を用いて水素化処理を行った。このとき、原料油中のノルマルパラフィンの分解率が10質量%以下となるように、反応温度および液空間速度を調整した。
【0103】
次に、上記の水素化処理により得られた被処理物について、貴金属含有量0.1?5重量%に調整されたゼオライト系水素化脱ロウ触媒を用い、315℃?325℃の温度範囲で水素化脱ロウを行った。
【0104】
更に、上記の水素化脱ロウにより得られた被処理物(ラフィネート)について、水素化生成触媒を用いて水素化精製を行った。その後蒸留により軽質分を分離して、表2に示す組成及び性状を有する潤滑油基油を得た。なお、表2には、比較例1として、WAX1を用いて得られる従来の潤滑油基油の組成及び性状を併せて示す。また、表1中、「尿素アダクト物中のノルマルパラフィン由来成分の割合」は、尿素アダクト値の測定の際に得られた尿素アダクト物についてガスクロマトグラフィー分析を実施することによって得られたものである(以下、同様である。)。
【0105】
次に、実施例1及び比較例1の潤滑油基油に、自動車用潤滑油に一般的に用いられているポリメタアクリレート系流動点降下剤(重量平均分子量:約6万)を添加して潤滑油組成物を得た。流動点降下剤の添加量は、実施例1及び比較例1のそれぞれについて、組成物全量基準で0.3質量%、0.5質量%および1.0質量%の3条件とした。次に、得られた各潤滑油組成物について、-40℃におけるMRV粘度を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0106】
【表2】


キ 「【0107】
[実施例2、比較例2]
実施例2においては、WAX1をさらに脱油して得られたワックス分(以下、「WAX2」という。)を、潤滑油基油の原料として用いた。WAX2の性状を表3に示す。
【0108】
【表3】

【0109】
次に、WAX1の代わりにWAX2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水素化処理、水素化脱ロウ、水素化精製及び蒸留を行い、表4に示す組成及び性状を有する潤滑油基油を得た。なお、表4には、比較例2として、WAX2を用いて得られる従来の潤滑油基油の組成及び性状を併せて示す。
【0110】
次に、実施例2及び比較例2の潤滑油基油を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリメタアクリレート系流動点降下剤を含有する潤滑油組成物を調製し、-40℃におけるMRV粘度を測定した。得られた結果を表4に示す。
【0111】
【表4】


ク 「【0112】
[実施例3、比較例3]
実施例3においては、パラフィン含量が95質量%であり、20から80までの炭素数分布を有するFTワックス(以下、「WAX3」という。)を用いた。WAX3の性状を表5に示す。
【0113】
【表5】

【0114】
次に、WAX1の代わりにWAX3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水素化処理、水素化脱ロウ、水素化精製及び蒸留を行い、表6に示す組成及び性状を有する潤滑油基油を得た。なお、表6には、比較例3として、WAX3を用いて得られる従来の潤滑油基油の組成及び性状を併せて示す。
【0115】
次に、実施例3及び比較例3の潤滑油基油を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリメタアクリレート系流動点降下剤を含有する潤滑油組成物を調製し、-40℃におけるMRV粘度を測定した。得られた結果を表6に示す。
【0116】
【表6】



(3)本願の発明が解決しようとする課題と「潤滑油基油」の関係について
(3-1)本願の発明が解決しようとする課題について
上記(1)ア?エより、本願の発明が解決しようとする課題等については、以下の点を理解することができる。
ア.従来、潤滑油の分野では、高度精製鉱油等の潤滑油基油に流動点降下剤等の添加剤を配合することによって、潤滑油の低温粘度特性の改善が図られ、また、高粘度指数基油の製造方法としては、天然や合成のノルマルパラフィンを含む原料油について水素化分解/水素化異性化による潤滑油基油の精製を行う方法が知られている(【0002】)。
近時、潤滑油の低温粘度特性の向上、さらには低温粘度特性と粘度-温度特性との両立、低温粘度特性と低蒸発性との両立に対する要求は益々高くなっており、従来の評価指標に基づき低温性能が良好であると判断された潤滑油基油を用いた場合であっても、かかる要求特性を十分に満足させることが困難となっている(【0005】)。
また、水素化分解/水素化異性化による潤滑油基油の精製方法においては、ノルマルパラフィンのイソパラフィンへの異性化率の向上及び潤滑油基油の低粘度化により低温粘度特性を改善する観点から、水素化分解/水素化異性化の条件の最適化が検討されているが、低温粘度特性は粘度-温度特性(特に高温での粘度特性)や低蒸発性と相反する関係にある。さらに、環境負荷低減の観点からは、低粘度化及び低蒸発性が望ましく、特に、低粘度化は省燃費特性の改善に絶大な効果を示すが、低粘度化と低蒸発性も相反する関係にある。
したがって、上記の要求特性の全てを満たすことは非常に困難である。さらに、流動点や凝固点等の指標が潤滑油基油の低温粘度特性の評価指標として必ずしも適切でないことも、水素化分解/水素化異性化の条件設定の最適化が困難であることの一因となっている(【0007】)。
イ.本願発明は、前記ア.の実情に鑑みて、低粘度化した場合であっても、粘度-温度特性、低温粘度特性及び低蒸発性の全てを高水準で達成することが可能な潤滑油基油及びその製造方法、並びに当該潤滑油基油を含有する潤滑油組成物を提供することを目的として(【0008】)、かかる課題を解決する手段として本願発明の構成を採用したものである(【0009】?【0019】)。
ウ.本願発明によれば、低粘度化した場合であっても、粘度-温度特性、低温粘度特性及び低蒸発性の全てを高水準で達成することが可能な潤滑油基油及びその製造方法、並びに当該潤滑油基油を含有する潤滑油組成物が提供される、という効果を奏する(【0022】)。

(3-2)「粘度-温度特性」、「低温粘度特性」及び「低蒸発性」の影響因子について
前記(3-1)のとおり、本願発明は、「粘度-温度特性」、「低温粘度特性」及び「低蒸発性」に優れた潤滑油基油等の提供を課題とするところ、これらの特性等は、上記(1)オ より、潤滑油基油の以下の物性と密接な関係があることを理解することができる。
・尿素アダクト値(【0025】)
・粘度指数(【0026】)
・-35℃におけるCCS粘度(【0027】)
・40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位
:質量%)との積(【0028】)
・飽和分の含有量、飽和分に占める環状飽和分の割合、イソパラフィン
の割合(【0053】?【0055】)
・芳香族分(【0064】)
・%C_(P)、%C_(N)、%C_(A)、%C_(P)/%C_(N)(【0066】?【0069
】)
・100℃における動粘度(【0074】)
・40℃における動粘度(【0075】)
・20℃における屈折率(【0077】)
・流動点(【0078】)
・-40℃におけるBF粘度(【0079】)
・ρ_(15)とρの大小関係(【0080】?【0081】)
・APとAの大小関係(【0083】)
・蒸留状態(【0085】?【0087】)

(3-3)実施例について
上記(2)カ?クより、本願明細書の実施例には、WAX1?WAX3を原料油(【表1】、【表3】、【表5】)とした潤滑油基油である実施例1?3と比較例1?3が開示され、【表2】、【表4】及び【表6】には、当該実施例及び当該比較例の物性(尿素アダクト値、粘度指数、40℃における動粘度をはじめ、飽和分の含有量、屈折率、流動点といった種々の物性)が記載されている。

(4)検討、判断
前記(3-2)のとおり、本願発明の課題に関連する潤滑油基油の「粘度-温度特性」、「低温粘度特性」及び「低蒸発性」は、「尿素アダクト値」、「40℃における動粘度」、「粘度指数」、「-35℃におけるCCS粘度」、「40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積」、「90%留出温度から10%留出温度を減じた値」、「飽和分の含有量」及び「飽和分に占める環状飽和分の割合」のみならず、イソパラフィンの割合をはじめとする種々の物性に影響されるものであることから、当該「尿素アダクト値」、「40℃における動粘度」、「粘度指数」、「-35℃におけるCCS粘度」、「40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積」、「90%留出温度から10%留出温度を減じた値」、「飽和分の含有量」及び「飽和分に占める環状飽和分の割合」のみに基づいて、本願発明の潤滑油基油が「粘度-温度特性」、「低温粘度特性」及び「低蒸発性」の点で優れたものであるかを評価することはできないと解するのが合理的である。
そして、前記(3-3)のとおり、本願明細書の実施例(【表2】、【表4】及び【表6】)をみてみると、実施例に係る潤滑油基油(実施例1?3)は、「粘度-温度特性」、「低温粘度特性」及び「低蒸発性」を高水準で達成することができるという本願発明の課題をおおよそ解決することができていると解することもできるが、そのような結果は、確かに「尿素アダクト値」に依拠するところがあるとしても、例えば、潤滑油基油のイソパラフィンの割合を【0055】記載の好適な数値範囲内にするなどし、上記「影響因子」が相当程度に最適化されるという前提があってのことと理解すべきである。
加えて、当該潤滑油基油の「尿素アダクト値」、「40℃における動粘度」、「粘度指数」、「-35℃におけるCCS粘度」、「40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積」、「90%留出温度から10%留出温度を減じた値」、「飽和分の含有量」及び「飽和分に占める環状飽和分の割合」を最適化しさえすれば、他の物性について、必然的に最適化されることになり、結果としてこれらの物性の最適化をことさら要しない、という技術常識も存しない。
そうすると、本願発明の課題に関連する上記「粘度-温度特性」、「低温粘度特性」及び「低蒸発性」は、単に潤滑油基油の「尿素アダクト値」、「40℃における動粘度」、「粘度指数」、「-35℃におけるCCS粘度」、「40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積」、「90%留出温度から10%留出温度を減じた値」、「飽和分の含有量」および「飽和分に占める環状飽和分の割合」のみをもって、特性を評価できるものではなく、これら本願発明で特定された物性以外の物性も含めなければ、本願発明の課題である「粘度-温度特性」、「低温粘度特性」及び「低蒸発性」の点で優れたものであると判断することはできないというほかない。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識を参酌して、当業者において、本願発明の課題が解決できると認識できる範囲は、当該潤滑油基油において、「尿素アダクト値」、「40℃における動粘度」、「粘度指数」、「-35℃におけるCCS粘度」、「40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積」、「90%留出温度から10%留出温度を減じた値」、「飽和分の含有量」および「飽和分に占める環状飽和分の割合」に加え、上記(3-2)で指摘した物性について最適化された潤滑油基油であり、それ以外の本願発明に含まれる潤滑油基油についてまで、本願発明の課題を解決できるものとして当業者が認識できるとはいえない。
よって、本願発明は、本願の発明の詳細な説明の課題を解決できると当業者が認識できるように記載された範囲を超える発明が記載されていることになるから、サポート要件を満たしていない。

(5)審判請求人の主張について
審判請求人は、平成29年3月31日付け意見書において、潤滑油基油の物性として、「尿素アダクト値」、「粘度指数」、「-35℃におけるCCS粘度」、「40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積」、「飽和分の含有量」および「飽和分に占める環状飽和分の割合」に、「40℃における動粘度」、「90%留出温度から10%留出温度を減じた値」を追加する補正を行ったので、サポート要件に関する不備は解消した旨主張している。
しかしながら、サポート要件については、上記(4)のとおりであるから、審判請求人の主張は採用できない。

(6)小括
よって、本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。

2.特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について
(1)発明の詳細な説明及び実施例の記載事項
本願の発明の詳細な説明には、上記1.(1)ア?オで指摘した事項が、また、実施例には、上記1.(2)カ?クで指摘した事項が記載されており、さらに、発明の詳細な説明には、以下の事項も記載されている。
ケ 「【0036】
上記の原料油について、得られる被処理物の尿素アダクト値が4質量%以下、粘度指数が130以上、-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下、且つ、40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下となるように、水素化分解/水素化異性化を行う工程を経ることによって、本発明の潤滑油基油を得ることができる。水素化分解/水素化異性化工程は、得られる被処理物の尿素アダクト値、粘度指数、-35℃におけるCCS粘度及び40℃における動粘度とNOACK蒸発量との積が上記条件を満たせば特に制限されない。本発明における好ましい水素化分解/水素化異性化工程は、
ノルマルパラフィンを含有する原料油について、水素化処理触媒を用いて水素化処理する第1工程と、
第1工程により得られる被処理物について、水素化脱ロウ触媒を用いて水素化脱ロウする第2工程と、
第2工程により得られる被処理物について、水素化精製触媒を用いて水素化精製する第3工程と
を備える。
【0037】
なお、従来の水素化分解/水素化異性化においても、水素化脱ロウ触媒の被毒防止のための脱硫・脱窒素を目的として、水素化脱ロウ工程の前段に水素化処理工程が設けられることはある。これに対して、本発明における第1工程(水素化処理工程)は、第2工程(水素化脱ロウ工程)の前段で原料油中のノルマルパラフィンの一部(例えば10質量%程度、好ましくは1?10質量%)を分解するために設けられたものであり、当該第1工程においても脱硫・脱窒素は可能であるが、従来の水素化処理とは目的を異にする。かかる第1工程を設けることは、第3工程後に得られる被処理物(潤滑油基油)の尿素アダクト値を確実に4質量%以下とする上で好ましい。
・・・・・・
【0040】
水素化処理条件に関し、処理温度は、好ましくは150?450℃、より好ましくは200?400℃であり、水素分圧は、好ましくは1400?20000kPa、より好ましくは2800?14000kPaであり、液空間速度(LHSV)は、好ましくは0.1?10hr^(-1)、より好ましく0.1?5hr^(-1)であり、水素/油比は、好ましくは50?1780m^(3)/m^(3)、より好ましくは89?890m^(3)/m^(3)である。なお、上記の条件は一例であり、第3工程後に得られる被処理物の尿素アダクト値及び粘度指数がそれぞれ上記条件を満たすための第1工程における水素化処理条件は、原料、触媒、装置等の相違に応じて適宜選定することが好ましい。」
コ 「【0047】
水素化脱ロウ条件に関し、温度は好ましくは250?400℃、より好ましくは275?350℃であり、水素分圧は好ましくは791?20786kPa(100?3000psig)、より好ましくは1480?17339kPa(200?2500psig)であり、液空間速度は好ましくは0.1?10hr^(-1)、より好ましくは0.1?5hr^(-1)であり、水素/油比は好ましくは45?1780m^(3)/m^(3)(250?10000scf/B)、より好ましくは89?890m^(3)/m^(3)(500?5000scf/B)である。なお、上記の条件は一例であり、第3工程後に得られる被処理物の尿素アダクト値及び粘度指数がそれぞれ上記条件を満たすための第2工程における水素化脱ロウ条件は、原料、触媒、装置等の相違に応じて適宜選定することが好ましい。」
サ 「【0050】
水素化精製の条件に関し、温度は好ましくは150?350℃、より好ましくは180?250℃であり、全圧は好ましくは2859?20786kPa(約400?3000psig)であり、液空間速度は好ましくは0.1?5hr^(-1)、より好ましくは0.5?3hr^(-1)であり、水素/油比は好ましくは44.5?1780m^(3)/m^(3)(250?10,000scf/B)である。なお、上記の条件は一例であり、第3工程後に得られる被処理物の尿素アダクト値及び粘度指数がそれぞれ上記条件を満たすための第3工程における水素化生成条件は、原料や処理装置の相違に応じて適宜選定することが好ましい。」

(2)「尿素アダクト値」の技術上の意義
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、潤滑油基油の「尿素アダクト値が3質量%以下」である点を発明特定事項とすることから、本願発明の実施にあたっては、当該「尿素アダクト値」をどのようにして所定範囲内に調整するか(尿素アダクト値の調整手法)が重要となる。
そこで、はじめに、本願発明における「尿素アダクト値」の技術上の意義について確認しておくと、本願明細書の記載から、当該「尿素アダクト値」は、 上記1.(1)ウより、
ア 従来の水素化分解/水素化異性化による潤滑油基油の精製方法において、当該水素化分解/水素化異性化により生成するイソパラフィンの中にも低温粘度特性に悪影響を及ぼす成分は含まれるが、従来の評価方法(凝固点、ノルマルパラフィン・イソパラフィン含有量などを評価指標としたもの)においてはその点について十分に認識されていないこと(【0015】)、
イ 本願発明における「尿素アダクト値」は、その測定において、尿素アダクト物として、イソパラフィンのうち低温粘度特性に悪影響を及ぼす成分、さらには潤滑油基油中にノルマルパラフィンが残存している場合の当該ノルマルパラフィンを精度よく且つ確実に捕集することができるため、潤滑油基油の低温粘度特性の評価指標として優れており、また、当該尿素アダクト物の主成分は、GC及びNMRを用いた分析により、ノルマルパラフィン及び主鎖の末端から分岐位置までの炭素数が6以上であるイソパラフィンの尿素アダクト物であることを確認していること(【0016】)、
を踏まえ、潤滑油基油の低温粘度特性を評価する優れた評価指標であるとして導入されたものと理解することができる。
このように、「尿素アダクト値」は、従来認識されていなかった「イソパラフィンのうち低温粘度特性に悪影響を及ぼす成分」及び「潤滑油基油中に残存しているノルマルパラフィン」(具体的にはノルマルパラフィン及び主鎖の末端から分岐位置までの炭素数が6以上であるイソパラフィン)を定量化することができるという点において、その技術上の意義を有するということができる。

(3)「尿素アダクト値」を3質量%以下に調整する手法について
前記(2)に照らすと、「尿素アダクト値」を3質量%以下に調整するということは、とりもなおさず、潤滑油基油中に存在する、「ノルマルパラフィン」及び「主鎖の末端から分岐位置までの炭素数が6以上であるイソパラフィン」(以下、単に「特定イソパラフィン」という。)の含有量を所定量に調整することにほかならないから、本願発明が実施可能要件に適合するというためには、本願明細書の記載及び本願の出願当時の技術常識に基づき、当業者が、これらノルマルパラフィンと特定イソパラフィンの含有量を(さらには「40℃における動粘度が6.0?45mm^(2)/s」、「粘度指数が130以上」、「-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下」、「40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下」、「90%留出温度から10%留出温度を減じた値が50?80℃」、「飽和分の含有量が、鉱油系基油全量を基準として、90質量%以上」及び「当該飽和分に占める環状飽和分の割合が0.1?50質量%」という条件下で)調整することができる必要がある。

(4)発明の詳細な説明の記載
前記ノルマルパラフィンと特定イソパラフィンの含有量の調整手法に着目しながら、本願明細書の発明の詳細な説明を仔細にみると、潤滑油基油の製造方法に関しては、上記1.(1)ウ、上記2.(1)ケ?サ等において詳述され、上記1.(2)の実施例においてその具体例が示されていることが分かる。
しかしながら、これらの記載を参酌しても、潤滑油基油の製造に際し、どのような条件を選択すれば、「40℃における動粘度が6.0?45mm^(2)/s」、「粘度指数が130以上」、「-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下」、「40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下」、「90%留出温度から10%留出温度を減じた値が50?80℃」、「飽和分の含有量が、鉱油系基油全量を基準として、90質量%以上」及び「当該飽和分に占める環状飽和分の割合が0.1?50質量%」という条件下で、ノルマルパラフィンと特定イソパラフィンの含有量を調整することができるのかを、理解することはできない。
すなわち、上記2.(1)ケには、水素化分解/水素化異性化工程に関し、
・「上記の原料油について、得られる被処理物の尿素アダクト値が4質量%以下、粘度指数が130以上、-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下、且つ、40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下となるように、水素化分解/水素化異性化を行う工程を経ることによって、本発明の潤滑油基油を得ることができる。水素化分解/水素化異性化工程は、得られる被処理物の尿素アダクト値、粘度指数、-35℃におけるCCS粘度及び40℃における動粘度とNOACK蒸発量との積が上記条件を満たせば特に制限されない。本発明における好ましい水素化分解/水素化異性化工程は、ノルマルパラフィンを含有する原料油について、水素化処理触媒を用いて水素化処理する第1工程と、
第1工程により得られる被処理物について、水素化脱ロウ触媒を用いて水素化脱ロウする第2工程と、
第2工程により得られる被処理物について、水素化精製触媒を用いて水素化精製する第3工程とを備える。」(【0036】)(下線は当審が付したもの。以下同じ。)と記載されるものの、ノルマルパラフィンと特定イソパラフィンの含有量を調整するための、具体的な指針となるような教示は見当たらない。
さらに、上記「第1工程」に関し、
・「なお、従来の水素化分解/水素化異性化においても、水素化脱ロウ触媒の被毒防止のための脱硫・脱窒素を目的として、水素化脱ロウ工程の前段に水素化処理工程が設けられることはある。これに対して、本発明における第1工程(水素化処理工程)は、第2工程(水素化脱ロウ工程)の前段で原料油中のノルマルパラフィンの一部(例えば10質量%程度、好ましくは1?10質量%)を分解するために設けられたものであり、当該第1工程においても脱硫・脱窒素は可能であるが、従来の水素化処理とは目的を異にする。かかる第1工程を設けることは、第3工程後に得られる被処理物(鉱油系基油)の尿素アダクト値を確実に4質量%以下とする上で好ましい。」(【0037】)
・「水素化処理条件に関し、処理温度は、好ましくは150?450℃、より好ましくは200?400℃であり、水素分圧は、好ましくは1400?20000kPa、より好ましくは2800?14000kPaであり、液空間速度(LHSV)は、好ましくは0.1?10hr^(-1)、より好ましく0.1?5hr^(-1)であり、水素/油比は、好ましくは50?1780m^(3)/m^(3)、より好ましくは89?890m^(3)/m^(3)である。なお、上記の条件は一例であり、第3工程後に得られる被処理物の尿素アダクト値及び粘度指数がそれぞれ上記条件を満たすための第1工程における水素化処理条件は、原料、触媒、装置等の相違に応じて適宜選定することが好ましい。」(【0040】)
と記載されるものの、上記の具体的な指針について教示するといえる程のものではない。
上記「第2工程」及び「第3工程」について説明された上記2.(1)コ?サをみても同様である。
さらに、上記1.(2)カ?クの実施例には、
・「[実施例1、比較例1]
実施例1においては、まず、溶剤精製基油を精製する工程において減圧蒸留で分離した留分を、フルフラールで溶剤抽出した後で水素化処理し、次いで、メチルエチルケトン-トルエン混合溶剤で溶剤脱ろうした。溶剤脱ろうの際に除去され、スラックワックスとして得られたワックス分(以下、「WAX1」という。)を、潤滑油基油の原料油として用いた。・・・
次に、WAX1を原料油とし、水素化処理触媒を用いて水素化処理を行った。このとき、原料油中のノルマルパラフィンの分解率が10質量%以下となるように、反応温度および液空間速度を調整した。・・・
次に、上記の水素化処理により得られた被処理物について、貴金属含有量0.1?5重量%に調整されたゼオライト系水素化脱ロウ触媒を用い、315℃?325℃の温度範囲で水素化脱ロウを行った。・・・
更に、上記の水素化脱ロウにより得られた被処理物(ラフィネート)について、水素化生成触媒を用いて水素化精製を行った。その後蒸留により軽質分を分離して、表2に示す組成及び性状を有する潤滑油基油を得た。・・・ 次に、実施例1及び比較例1の潤滑油基油に、自動車用潤滑油に一般的に用いられているポリメタアクリレート系流動点降下剤(重量平均分子量:約6万)を添加して潤滑油組成物を得た。」(【0100】?【0105】)
・「[実施例2、比較例2]
実施例2においては、WAX1をさらに脱油して得られたワックス分(以下、「WAX2」という。)を、潤滑油基油の原料として用いた。・・・
次に、WAX1の代わりにWAX2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水素化処理、水素化脱ロウ、水素化精製及び蒸留を行い、表4に示す組成及び性状を有する潤滑油基油を得た。・・・
次に、実施例2及び比較例2の潤滑油基油を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリメタアクリレート系流動点降下剤を含有する潤滑油組成物を調製し、-40℃におけるMRV粘度を測定した。」(【0107】?【0110】)
・「[実施例3、比較例3]
実施例3においては、パラフィン含量が95質量%であり、20から80までの炭素数分布を有するFTワックス(以下、「WAX3」という。)を用いた。・・・
次に、WAX1の代わりにWAX3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水素化処理、水素化脱ロウ、水素化精製及び蒸留を行い、表6に示す組成及び性状を有する潤滑油基油を得た。・・・
次に、実施例3及び比較例3の潤滑油基油を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリメタアクリレート系流動点降下剤を含有する潤滑油組成物を調製し、-40℃におけるMRV粘度を測定した。・・・」(【0112】?【0115】)
と記載されるものの、具体的にどのような条件を選択すれば、ノルマルパラフィンと特定イソパラフィンの含有量を調整することができるのかを、当該実施例の記載から当業者が理解することは困難である。

(5)本願明細書の実施可能要件適合性
前記(4)のとおり、当業者は、本願明細書の記載により、ノルマルパラフィンと特定イソパラフィンの含有量を調整する手法を理解することはできない(ノルマルパラフィン含有量などに影響される「40℃における動粘度が6.0?45mm^(2)/s」、「粘度指数が130以上」、「-35℃におけるCCS粘度が2000mPa・s以下」、「40℃における動粘度(単位:mm^(2)/s)とNOACK蒸発量(単位:質量%)との積が250以下」、「90%留出温度から10%留出温度を減じた値が50?80℃」、「飽和分の含有量が、鉱油系基油全量を基準として、90質量%以上」及び「当該飽和分に占める環状飽和分の割合が0.1?50質量%」という条件下で、当該調整を行うことはなおのこと困難であるといえる。)。
そして、当業者であれば当該調整を行い得ることを示す、本願の出願当時の技術常識の存在を認めるに足りる証拠もない。
したがって、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるということはできず、実施可能要件に適合しないといわざるを得ない。

(6)審判請求人の主張について
審判請求人は、平成29年3月31日付け意見書において、本願所定の尿素アダクト値を有し、かつ、40℃における動粘度等の他の物性も有する潤滑油基油を製造することは、本願明細書の記載及び出願時の技術常識を参酌した当業者が実施できる旨主張している。
しかしながら、実施可能要件については、上記(5)のとおりであるから、審判請求人の主張は採用できない。

(7)小括
よって、本願の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本願発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。

第5 むすび
以上のとおり、本願の発明の詳細な説明は、特許法第36条第4項第1号の規定に適合するものではなく、また、本願の特許請求の範囲の請求項1の記載は、同法同条第6項第1号の規定に適合するものではないから、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-10 
結審通知日 2017-07-11 
審決日 2017-07-24 
出願番号 特願2014-1216(P2014-1216)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (C10M)
P 1 8・ 537- WZ (C10M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内藤 康彰▲吉▼澤 英一  
特許庁審判長 冨士 良宏
特許庁審判官 日比野 隆治
佐々木 秀次
発明の名称 潤滑油基油及びその製造方法並びに潤滑油組成物  
代理人 池田 正人  
代理人 城戸 博兒  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 清水 義憲  
代理人 平野 裕之  
代理人 黒木 義樹  

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