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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01R
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01R
管理番号 1332091
審判番号 不服2016-12387  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-17 
確定日 2017-09-27 
事件の表示 特願2012-92896「コネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月28日出願公開、特開2013-222579、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年4月16日の出願であって、平成27年11月5日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内の平成28年1月8日に手続補正されたが、同年5月25日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。発送日:同年6月1日)され、これに対し、同年8月17日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正され、同年12月26日付けで前置報告され、平成29年2月14日に上申書が提出され、その後、当審において同年5月24日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、その指定期間内の同年8月1日に手続補正されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明11」という。)は、平成29年8月1日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載されたとおりのものと認められるところ、本願発明1は次のとおりである。

「【請求項1】
コンタクトの対と、前記コンタクトの対を保持するハウジングと、前記ハウジングに固定されるホルダ部材とを備え、所定の嵌合方向に沿って相手側コネクタと嵌合するコネクタであって、
前記ハウジングは、前記相手側コネクタと嵌合する側の第1の側部と、前記嵌合方向において前記第1の側部とは反対側の第2の側部とを有し、
前記対をなすコンタクトの各々は、前記第2の側部側から前記ハウジングに圧入されるコンタクト圧入部を有し、
前記コンタクトの対は、前記ハウジングの長手方向に沿って所定ピッチで複数配置され、
前記対をなすコンタクトの各々は、
相手側コンタクトに接触するためのコンタクト接触部と、
外部接続用のコンタクト端子部と、
前記コンタクト端子部に連設され前記ハウジングの長手方向および前記嵌合方向に直交する第3方向に沿って延びる第2延在部と、
前記コンタクト接触部と前記第2延在部との間に形成され前記嵌合方向に沿って延びる第1延在部と、
前記第1延在部に形成される前記コンタクト圧入部とを有し、
前記対をなすコンタクトは、前記第3方向に並んでおり、
前記ホルダ部材は、
前記ハウジングの長手方向に延びる第1ホルダ部分と、
前記第1ホルダ部分の第1の側部側に形成される第2ホルダ部分と、
前記第1ホルダ部分の第1の側部側の面に形成され、前記嵌合方向において前記コンタクトの前記第2の側部側に配置され前記第2の側部側への前記コンタクトの移動を規制する規制部を有し、
前記規制部は、前記第1延在部の前記第2の側部側に配置されており、
前記第2ホルダ部分は、前記対をなすコンタクトの第1延在部の間に配置されていることを特徴とするコネクタ。」

また、本願発明2ないし11は、本願発明1の発明特定事項をすべて含むものである。

第3 刊行物
1 刊行物1
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された特開平11-251014号公報(以下「刊行物1」という、原査定の引用文献1。)には、「高密度カードエッジコネクタ」に関して、図面(特に、図1,図4ないし図7、図9参照)とともに、次の事項が記載されている。

(1)「【0015】
【発明の実施の形態】図1から図4は、本発明のコネクタ10の種々の図を示す。コネクタ10は、主ボディ11と、端子13と、端子保持部材15との3つの主要部材を備える。概略すると、コネクタ10のアセンブリは、端子13を主ボディ11内に挿入し、この後、端子保持部材15を主ボディ11に固定することにより、この主ボディ11内に端子13を保持する。各部材について、以下に詳述する。
【0016】主ボディ11は、好適な絶縁材料から形成される。ボディ11は、ほぼ平坦な基部を有し、この基部は2つの平行で長手方向に配向されたスロット17(図4参照)を設けられ、これらのスロットは、ドータボードB(図11参照)のエッジ状部を受入れる。
【0017】(省略)
【0018】(省略)
【0019】・・・(前略)・・・図1および図4を参照すると、複数の端子凹部41が主ボディ11の各スロット17の側方に配置される。これらの凹部41は、それぞれ端子13を受入れ、これらの端子はスロット17に挿入されたドータボードBの縁部に沿って配置されたコンタクトパッド(図示しない)に係合する。
【0020】凹部41は、側面43,45と上面47,49とを有し、これらの面は、端子13が主ボディ11内に配置されたときに、端子13の対応する部分に当接する。凹部41の面43,47,49は、端子13を主ボディ11内に配置するための基準面を形成する。この特徴について更に後述する。
【0021】主ボディ11は、更に、底面35に沿う対向外面上に形成された複数のフランジ51を備える。フランジ51は、主ボディ11の中央部内の開口53と共に、端子保持部材15を主ボディ11に取付けるのを容易にする。例えば、端子保持部材15は、底面35に沿って位置決めし、ラッチ部材をフランジ51および開口53に固定することにより、主ボディ11に固定される。
【0022】図5,6,7,8は、主ボディ11内に配置された端子13を示す。各端子13は、基部57から延びる先細状(tapered)の片持ちビーム55を備える。この片持ちビーム55は、基部57と反対側の先端部にコンタクト面59を有する。
【0023】基部57は、側面61,63と、上面65,67と、下面69とを有し、これらの面は凹部41の面43,45,47,49および端子保持部材15の嵌合面と互いに作用し合う。種々の面の相互作用により、主ボディ11内における端子13の整合および保持がより確実に行われる。
【0024】側面61から保持用掛り部71が延びる。この掛り部71は凹部41の側面43に貫入し、端子保持部材15が主ボディ11に固定可能となるまで、主ボディ11内に端子13を保持する。図7は、主ボディ11内に適正に配置された端子13を示す。
【0025】保持用掛り部71は、側面61の下端部に向けて配置され、端子13が主ボディ11から抜け出るのを防止する。掛り部71を側面61の下端部に配置することにより、側面63の上部97は、主ボディ11から抜出ることができない。図7に示すように、端子13が回転すると、上部97が凹部41の側面45と干渉する。この特徴は、端子保持部材15が主ボディ11に固定可能となるまで、主ボディ11内に端子13を保持する機能を追加する。」

(2)「【0028】図1および図5は、端子保持部材15を示す。保持部材15は、モールド成型された絶縁材で形成するのが好ましい。保持部材15は、主ボディ11の底面35と端子の面69,71とに当接する嵌合面77を備える。保持部材15は、端子13の端子タブ73と、可融部材75の少なくとも一部とを受入れる大きさの複数の孔79を備える。孔79は、タブ73よりも大きく、この孔79を形成する壁部と干渉することなく、タブ73を長手方向に移動可能とすることが好ましい。
【0029】端子保持部材15は、両端部に配置され、主ボディ11のフランジ51に係合するラッチ81と、中央に配置され、主ボディ11の開口53に係合するラッチ83とを備える。ラッチ81,83は、端子保持部材15と一体的にモールド成型された片持ちばり状部材であるのが好ましい。」

(3)図1には、端子保持部材15が主ボディ11の長手方向に延びる板状部を有することが示されている。

(4)図6及び図7には、端子保持部材15が前記板状部の上面側の面に形成され、上下方向において端子13の下面側に配置され前記下面側への前記端子13の移動を規制する嵌合面77を有すること、及び前記嵌合面77は、片持ちビーム55の前記下面側に配置されていることが示されている。

上記記載事項及び図面の図示内容を総合し、本願発明1の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「端子13の対と、前記端子13の対を保持する主ボディ11と、前記主ボディ11に固定される端子保持部材15とを備え、上下方向に沿ってドータボードBと嵌合するコネクタ10であって、
前記主ボディ11は、前記ドータボードBと嵌合する側の上面と、前記上下方向において前記上面とは反対側の下面とを有し、
前記対をなす端子13の各々は、前記下面側から前記主ボディ11に圧入される保持用掛り部71を有し、
前記端子13の対は、前記主ボディ11の長手方向に沿って所定ピッチで複数配置され、
前記対をなす端子13の各々は、
前記ドータボードBのコンタクトパッドに接触するためのコンタクト面59と、
外部接続用の端子タブ73と、
前記端子タブ73に連設され前記主ボディ11の長手方向および前記上下方向に直交する第3方向に沿って延びる基部57と、
前記コンタクト面59と前記基部57との間に形成され前記上下方向に沿って延びる片持ちビーム5と、
前記基部57に形成される前記保持用掛り部71とを有し、
前記対をなす端子13は、前記第3方向に並んでおり、
前記端子保持部材15は、
前記主ボディ11の長手方向に延びる板状部と、
前記板状部の上面側の面に形成され、前記上下方向において前記端子13の前記下面側に配置され前記下面側への前記端子13の移動を規制する嵌合面77を有し、
前記嵌合面77は、前記片持ちビーム55の前記下面側に配置されているコネクタ10。」

2 刊行物2
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された特開平11-329594号公報(以下「刊行物2」という、原査定の引用文献2。)には、「グランド板付コネクタ」に関して、図面(特に、図1ないし図4参照)とともに、次の事項が記載されている。

(1)「【0015】プラグハウジング11の底壁11a及び突出部11cには(グランド部にあっては側壁11bにも)ガイド溝20が設けられており、ここにプラグコンタクト12a、12bが取り付けられる。シグナル部においては、図3に示すように左右一対のシグナル用プラグコンタクト12aが、グランド部においては、図4に示すように一枚のグランド用プラグコンタクト12bがそれぞれ接触部16及び突起部17が圧入孔20に圧入されて取り付けられる。このためそれぞれの接触部16はプラグ側空間14内に露出して位置する。各プラグコンタクト12a、12bのリード部18はプラグハウジング11の上面側に露出し、図2に示すようにリード部18の前後方向の列が形成される。」

(2)「【0017】プラグハウジング11の底壁11aの上面側に露出した各プラグコンタクト12a、12bのリード部18は、図1に示すようにプラグ側プリント基板K1に取り付けられる。プラグハウジング11の前後端の上方には位置決め突起44、45がそれぞれ設けられており、プラグ側プリント基板K1側に設けられた孔に嵌合されて正確な位置決めがなされた後、サーフェスマウント法により、シグナル用プラグコンタクト12aは配線パターンに、グランド用プラグコンタクト12bはグランドパターンにそれぞれ対応するように半田付けされる。」

(3)「【0020】レセプタクルハウジング31の底壁31a及び側壁31bには圧入孔41が設けられており、ここにレセプタクルコンタクト32a、32bが取り付けられる。シグナル部においては、図3に示すように左右一対のシグナル用レセプタクルコンタクト32aが、グランド部においては、図4に示すように一枚のグランド用レセプタクルコンタクト32bがそれぞれ固定部37が圧入孔41に圧入されて取り付けられる。このためそれぞれの接触部36はレセプタクル側空間34内に位置する。ここで、両コネクタ10、30が嵌合されていない状態では左右の接触部35間はそこに嵌入するプラグコネクタ10の突出部11cの幅よりも小さくなるように設定されている。なお、各レセプタクルコンタクト32a、32bのリード部38は底壁31a下面側に露出し、図2に示すようにリード部38の前後方向の列が形成される。」

(4)「【0022】レセプタクルハウジング31の底壁31aの下面側に露出した各レセプタクルコンタクト32a、32bのリード部38は、図1に示すようにレセプタクル側プリント基板K2に取り付けられる。レセプタクルハウジング31の前後端の下方には位置決め突起46、47がそれぞれ設けられており、レセプタクル側プリント基板K2側に設けられた孔に嵌合されて正確な位置決めがなされた後、サーフェスマウント法により、シグナル用レセプタクルコンタクト32aは配線パターンに、グランド用レセプタクルコンタクト32bはグランドパターンにそれぞれ対応するように半田付けされる。」

3 刊行物3
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された特開平10-50410号公報(以下「刊行物3」という、原査定の引用文献3。)には、「コネクタ」に関して、図面(特に、図1ないし図3参照)ととに、次の事項が記載されている。

(1)「【0020】プラグコンタクト20は、導電材料によって形成され、プラグ外側空間13に面してガイド溝14aによりガイドされるコンタクト部21と、貫通孔16内に圧入される圧入部22と、この圧入部22から水平方向に延びた後にクランク状に曲げられたリード部23とから構成される。コンタクト部21は、外方に広がるようにバネ性を有して形成されるとともに下方が内側に向かって湾曲して形成され、後述するレセプタクルコネクタ5が嵌合し易いように、いわゆる入り勝手となるように形成されている。」

(2)「【0025】このように構成されたプラグコネクタ1は、コンタクト20のリード部23の上端面が基板K1の信号用の配線パターン上に載置されて半田付けされ、電源用プラグコンタクト30のリード部33の上端面が基板K1に形成された電源用のパターン上に載置されて半田付けされるとともに、平板部41をプリント基板K1に形成されたグランド用の配線パターンやケースに当接させた状態で平板部41に形成されたタップを用いてプリント基板K1へ固定用ネジNによって取り付けられる。」

(3)「【0029】レセプタクルコンタクト60は、レセプタクル側空間53内に面してガイド溝54によりガイドされたコンタクト部61と、貫通孔55内に圧入される圧入部62と、この圧入部62から左右方向に延びた後にクランク状に曲げられたリード部63とから構成される。一方、レセプタクルコンタクト60′は、圧入部62およびリード部63がレセプタクルコンタクト60と同一形状であるが、コンタクト部61′の長さが短く形成されている。なお、両コンタクト60,60′はともに導電材料によって形成されている。」

(4)「【0035】このように構成されたプラグコネクタ5は、レセプタクルコンタクト60,60′のリード部63,63′の上端面が基板K1の配線パターン上に載置されて半田付けされ、電源用プラグコンタクト70のリード部73の下端面が基板K5に形成された電源用の配線パターン上に載置されて半田付けされるとともに、平板部81をプリント基板K5に形成されたグランド用の配線パターンもしくはケースに当接させた状態で平板部81に形成されたタップを用いてプリント基板K5への固定用ネジNによる取り付けが可能に構成されている。」

4 刊行物4
前置審査に引用され、本願の出願前に頒布された実願昭60-204320号(実開昭62-111184号)のマイクロフィルム(以下「刊行物4」という。)には、「コネクタにおけるコンタクト植装構造」に関して、図面(特に、第1図、第2図、第5図参照)とともに、次の事項が記載されている。

(1)5ページ1行?6ページ3行
「以下本考案の実施例を第1図乃至第6図に基いて詳述する。
前記の如く本考案は基盤にコンタクトを貫挿して植装し、基盤上部にコンタクトの上部端子を立上げ、基盤下部にコンタクトの下部端子を立下げて成るコネクタに関する。
1は上記コネクタ基盤、2は該コネクタ基盤1に並列して植装された上記コンタクトを示す。
図示のようにコネクタ基盤1は二ブロック構造である。一方のブロック3はその中央部下面にコンタクト配列と平行配置の凸成部5を有し、他方のブロク4は同様にその中央部上面にコンタクト配列と平行配置の凹成部6を有する。両ブロック3,4を該凸成部5と凹成部6の圧嵌によって結合し、コネクタ基盤1を組立てる。該圧嵌は後記する如くコンタクト2の介在によって果される。
実施例は上記圧嵌結合力を高めるため、一方のブロック3の凸成部5に隣接して左右一対の凹成部7をコンタクト配列と平行に連設し、他方のブロック4の凹成部6に隣接して左右一対の凸成部8をコンタクト配列と平行に連設し、該凸成部8と凹成部7の圧嵌を併用して両ブロック3,4を結合する。」

(2)6ページ10行?7ページ12行
「他方コンタクト2は第5図に示すように上部端子9と下部端子10を有する。上部端子9は第1図に示す雌コネクタ11のコンタクト12との接続用のバネ条片から成る端子であり、下部端子10は導線圧入スロットを有する圧接用の端子である。
上記上部端子9と下部端子10の連設部にL形曲げ片13を形成する。上部端子9と下部端子10とは該L形曲げ片13の立上片14と底片15に夫々連なり、互いに逆方向に延びる。
而して、既述の如く基盤1を構成する両ブロク3,4の凹成部6と凸成部5とを嵌介させ、該嵌合によって形成される凸成部5の出隅壁16と凹成部6の入隅壁17の嵌合部間に上記コンタクト2のL形曲げ片13を介在させ、凹成部6と凸成部5の前記圧嵌を行い、両ブロック3,4を結合する。該圧嵌によって上記L形曲げ片13の上部端子9に連なる立上片14を凹成部6の左右入隅壁と凸成部5の左右出隅壁の対向する立上壁面18,19間に挟持すると共に、同L形曲げ片13の下部端子10に連なる底片15を上記左右入隅壁17と左右出隅壁16の対向する底壁面20,21間に挟持する。」

(3)8ページ11行?17行
「上記ブロック3には上部端子9の列間に位置して端子支持ブロック31を立上げ、該端子支持ブロック31の左右側面に上記端子挿通孔22と連通する端子収容溝23を上下方向に設け、該端子収容溝23に上部端子9を収容し、端子上端を端子収容溝23上端の係止部24に係止させ、同端子外側面を溝外に露出する。」

(4)10ページ4行?19行
「コンタクトはその上下端子の連設部においてL形曲げ片の立上片が上記圧嵌される凸成部の出隅壁と凹成部の入隅壁の立上壁面間に強い挟圧力(しばりばめ)によって挟持されつつ、曲成されたL形曲げ片の底片が同凸成部の出隅壁と凹成部の入隅壁の底壁面間に挟持され、上部端子に負荷される上向きの相対外力に対しては凸成部の出隅壁の底壁面が支持力を生じ、下部端子に負荷される下向きの外力に対しては凹成部の入隅壁の底壁面がストッパーとなって同立上壁面の挟持力と共働し強固な保持力を発揮し、逆に内向きの相対外力に対しても同入隅壁と出隅壁の底壁面が同立上壁面間の挟持力と相俟って顕著な保持力を発揮し、上記しばりばめ作用と係止め作用とにより遊びのない強力且つ高信頼の植装が得られる。」

第4 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「端子13」は前者の「コンタクト」に相当し、以下同様に、「主ボディ11」は「ハウジング」に、「端子保持部材15」は「ホルダ部材」に、「上下方向」は「所定の嵌合方向」に、「ドータボードB」は「相手側コネクタ」に、「コネクタ10」は「コネクタ」に、主ボディ11の「上面」及び「下面」はハウジングの「第1の側部」及び「第2の側部」に、「保持用掛り部71」は「コンタクト圧入部」に、「ドータボードBのコンタクトパッド」は「相手側コンタクト」に、「コンタクト面59」は「コンタクト接触部」に、「端子タブ73」は「コンタクト端子部」に、「前記主ボディ11の長手方向および前記上下方向に直交する第3方向」は「前記ハウジングの長手方向および前記嵌合方向に直交する第3方向」に、「片持ちビーム55」は「第1延在部」に、「基部57」は「第2延在部」に、主ボディ11の長手方向に延びる「板状部」はハウジングの長手方向に延びる「第1ホルダ部分」に、板状部の「嵌合面77」は第1ホルダ部分の「規制部」にそれぞれ相当する。

したがって、両者は、
「コンタクトの対と、前記コンタクトの対を保持するハウジングと、前記ハウジングに固定されるホルダ部材とを備え、所定の嵌合方向に沿って相手側コネクタと嵌合するコネクタであって、
前記ハウジングは、前記相手側コネクタと嵌合する側の第1の側部と、前記嵌合方向において前記第1の側部とは反対側の第2の側部とを有し、
前記対をなすコンタクトの各々は、前記第2の側部側から前記ハウジングに圧入されるコンタクト圧入部を有し、
前記コンタクトの対は、前記ハウジングの長手方向に沿って所定ピッチで複数配置され、
前記対をなすコンタクトの各々は、
相手側コンタクトに接触するためのコンタクト接触部と、
外部接続用のコンタクト端子部と、
前記コンタクト端子部に連設され前記ハウジングの長手方向および前記嵌合方向に直交する第3方向に沿って延びる第2延在部と、
前記コンタクト接触部と前記第2延在部との間に形成され前記嵌合方向に沿って延びる第1延在部と、
前記対をなすコンタクトは、前記第3方向に並んでおり、
前記ホルダ部材は、
前記ハウジングの長手方向に延びる第1ホルダ部分と、
前記第1ホルダ部分の第1の側部側の面に形成され、前記嵌合方向において前記コンタクトの前記第2の側部側に配置され前記第2の側部側への前記コンタクトの移動を規制する規制部を有し、
前記規制部は、前記第1延在部の前記第2の側部側に配置されているコネクタ。」
で一致し、次の点で相違する。

〔相違点〕
本願発明1は、コンタクト圧入部が「前記第1延在部に形成され」、ホルダ部材が「前記第1ホルダ部分の第1の側部側に形成される第2ホルダ部分と」を有し、「前記第2ホルダ部分は、前記対をなすコンタクトの第1延在部の間に配置されている」のに対し、
引用発明は、保持用掛り部71が「前記基部57に形成され」、端子保持部材15が「第1の側部側に形成される第2ホルダ部分」を有していない点。

そこで、相違点について検討する。
刊行物2の前記「第3の2(1)ないし(4)」の記載及び図1なしい図4によれば、プラグコネクタ10の各プラグコンタクト12a、12bは、それぞれ接触部16及び突起部17が圧入孔20に圧入されて取り付けられる一方、各プラグコンタクト12a、12bのリード部18はプラグハウジング11の上面側に露出し、プラグ側プリント基板K1に取り付けられる。また、レセプタクルハウジング31の各レセプタクルコンタクト32a、32bは、それぞれ固定部37が圧入孔41に圧入されて取り付けられる一方、各レセプタクルコンタクト32a、32bのリード部38は底壁31a下面側に露出し、レセプタクル側プリント基板K2に取り付けられる。
そうすると、刊行物2のプラグコネクタ10及びレセプタクルコネクタ30は、引用発明の端子保持部材15(本願発明1のホルダ部材)に相当する部材を備えていない。

刊行物3の前記「第3の3(1)ないし(4)」の記載及び図1なしい図4によれば、プラグコネクタ1のプラグコンタクト20の圧入部22は貫通孔16内に圧入される一方、コンタクト20のリード部23の上端面は基板K1の配線パターン上に半田付けされ、また、プラグコネクタ5のレセプタクルコンタクト60の圧入部62は貫通孔55内に圧入される一方、レセプタクルコンタクト60のリード部63の上端面は基板K1の配線パターン上に半田付けされる。
そうすると、刊行物3のプラグコネクタ1及びプラグコネクタ5は、引用発明の端子保持部材15(本願発明1のホルダ部材)に相当する部材を備えていない。

刊行物4の前記「第3の4(1)ないし(4)」の記載及び第1図、第2図、第5図によれば、ブロック4の凹成部6の底壁面21はコンタクト2のL形曲げ片13の底片15を挟持するから、刊行物4のブロック4及び底壁面21は引用発明の端子保持部材15及び嵌合面77(本願発明1のホルダ部材及び規制部)に相当し、また、ブロック4の凹成部6に隣接する左右一対の凸成部8は、底壁面21の上側に設けられるから、本願発明1の「第1ホルダ部分の第1の側部側に形成される第2ホルダ部分」に相当するものの、左右一対の凸成部8は、対をなすコンタクト2の立上片14の外方に位置し、その間に配置されていない。
そうすると、刊行物4の凸成部8は、相違点に係る本願発明1の「前記対をなすコンタクトの第1延在部の間に配置されている」ものとはいえない。

したがって、刊行物2ないし4には、相違点に係る本願発明1の発明特定事項が記載されていないから、引用発明において、当業者が刊行物2ないし刊行物4に記載された事項を適用して、相違点に係る本願発明1の発明特定事項を容易に想到し得たとはいえない。

よって、本願発明1は、引用発明及び刊行物2ないし刊行物4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2ないし11について
本願発明2ないし11は、本願発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから、それぞれ本願発明1と同様の理由により、引用発明及び刊行物2ないし刊行物4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、平成28年1月8日の手続補正により補正された請求項1ないし11に係る発明について、上記刊行物1ないし3に基いて当業者が容易に発明をすることができたから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、平成29年8月1日の手続補正により補正された請求項1は、前記相違点に係る発明特定事項を備えるものとなっており、前記のとおり、本願発明1ないし11は、引用発明及び刊行物2ないし4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由の概要及び判断
当審では、特許請求の範囲の請求項1及び7の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号及び同項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知した。
しかしながら、平成29年8月1日の手続補正により請求項1及び7の記載は、それぞれ「前記第1ホルダ部分の第1の側部側の面に形成され」及び「前記金属プレートは、前記第1の側部側から前記ハウジングに挿入されて」と補正されたので、これらの拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし11は、いずれも、引用発明及び刊行物2ないし4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-09-13 
出願番号 特願2012-92896(P2012-92896)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H01R)
P 1 8・ 121- WY (H01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 片岡 弘之  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 滝谷 亮一
冨岡 和人
発明の名称 コネクタ  
代理人 池田 憲保  
代理人 佐々木 敬  
代理人 池田 憲保  
代理人 佐々木 敬  
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