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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1332141
審判番号 不服2016-13683  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-12 
確定日 2017-09-27 
事件の表示 特願2013-555974「回路基板アセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月 7日国際公開、WO2012/117345、平成26年 6月26日国内公表、特表2014-515176、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年2月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年3月3日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年12月1日付けで拒絶理由が通知され、平成28年3月7日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月2日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年9月12日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出された。
その後、当審において、平成29年3月23日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月22日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明15」という。)は、平成29年6月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの本願発明1は、その請求項1に記載されている事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
コア層と、
前記コア層の第1の側に配置された少なくとも1つの導電層と、
前記少なくとも1つの導電層と電気的に接続する複数の接続パッドと、
前記コア層の前記第1の側の反対側の第2の側に配置される誘電体底部層と、
前記少なくとも1つの導電層の最も外側のすぐ上の外側誘電体層であって、前記外側誘電体層が複数の開口部を含み、前記開口部の各々が、前記接続パッドの1つへの電気的アクセスを提供し、ほぼ露出され、かつ前記開口部を除いてほぼ連続的であり、難燃性、防火エンクロージャ及び/又は衝撃防止特性を提供する前記外側誘電体層と、
複数のLEDであって、前記複数のLEDの各々が、前記接続パッドの1つに電気的に接続され、前記接続パッドに電気的に接続される場合に、該各々のLEDのダイベースにより前記接続パッドをほぼ覆う前記複数のLEDと、
を含み、
前記コア層、前記導電層、前記誘電体底部層及び前記外側誘電体層は回路基板を構成し、前記コア層と前記導電層、前記コア層と前記誘電体底部層、及び前記導電層と前記外側誘電体層のそれぞれが、互いに、直接に又は他の層を介して接合している、回路基板アセンブリ。」

なお、本願発明2?15は、本願発明1を減縮した発明である。

第3 引用文献、引用文献等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(国際公開第2010/143829号)には、図面とともに次の事項が記載されている(審決注:日本語の部分訳は合議体による。)。

ア「[19] FIG. 1 is a conceptual perspective view showing separate layers of the LED array board embodying the present invention.
[20] FIG. 2 is a schematic assembly perspective view of the LED array board in Figure 1.」
(「[19] FIG.1は、本発明を具体化するLEDアレイボードの分離された層を示す概念的透視図である。
[20] Fig.2は、FIG.1におけるLEDアレイボードの透視図の組み立てられものを図解したものである。)

イ「Mode for the Invention
[27] Hereinafter, the present invention is described in detail by examples and the accompanying drawings.
[28] Example 1
[29] An aluminum plate l(305mm X 255mm X lmm) is immersed in degreaser SZ-9 manufactured by Jinyoung Chemical consisting of NaOH, NaHCCβ, Na2CO3, surfactant and water and is degreased for 15 minutes at 50~60℃. The degreased aluminum plate 1 is washed, immersed in NaOH aqua solution of 10 g/L concentration at about 60℃ for 3 minutes, and then washed with water. The aluminum plate 1 is immersed into 10% sulfuric acid aqua solution at room temperature, and by applying plus voltage to the aluminum plate 1 at current density of 0.5 A/dm ^(2) for 60minutes, alumina layers 2, 6 are obtained on the front face and on the rear face of the aluminum plate 1 with thickness of 33.2 and 31.7μm respectively.
[30] 650 g of silver platelet powder having an average particle size of 1.97 μm, 240 g of an epoxy binder which is prepared by diluting epoxy resin of KER 1009 manufactured by Keumho P&B in normal terpineol to be of 50 weight% concentration and a residual amount of Butyl Cellosolve (brand name of 2-butoxyethanol) are thoroughly mixed together to be 1Kg of silver paste. The silver paste composition was printed as electrode circuit 3 on the alumina layer 2 of the aluminum plate. Then, the aluminum plate is heat-treated at 190℃ for 12 minutes so that the adhesion force, the hardness and the surface electric resistance of the electrode circuit are respectively 5B, 5H and 8.6X10^(- 5) Ω・cm.
[31] For sealing, the aluminum plate with electric circuit printed on is immersed in nickel acetate aqua solution in concentration of 2g/L for 5 minutes, and then is treated in distilled water at 95℃ for 10 minutes. The withstanding insulation voltage between the front and the rear face of the sealed aluminum plate is measured by CHROMA AC/ DC/IR HIPOT TESTER model 19052 to be 2.71 Kv/mm.
[32] The aluminum plate is printed by screen printer with SCR-1000W, thermoset resinous solder-resist, manufactured by Seoul Chemistry Research Center to form a protective insulating layer 5 on the electrode circuit, and then is heat-treated at 150℃ for 50 minutes.
[33] The electrical contacts 12 are coated with solder cream. LED packages of 1608 type 11 made by Seoul Semi-Conductor are located in array on the exposed electrical contacts 12 of the finished LED array board 10 and are soldered by reflow process.
[34] Example 2
[35] An aluminum plate l(305mm X 255mm X lmm) is immersed in degreaser SZ-9 manufactured by Jinyoung Chemical consisting of NaOH, NaHCCβ, Na2CO3, surfactant and water and is degreased for 15 minutes at 50~60℃. The degreased aluminum plate 1 is washed, immersed in NaOH aqua solution of 10 g/L concentration at about 60℃ for 3 minutes, and then washed with water. The aluminum plate is immersed into aqua solution of 50g oxalic acid, 10 g boric acid, 3 g lactic acid and 1 g magnesium sulfate in 1 liter of water at room temperature, and by applying plus voltage to the aluminum plate 1 at current density of 0.5 A/dm^(2 ) for 60minutes, alumina layers 2, 6 are obtained on the front face and on the rear face of the aluminum plate 1 with thickness of 33.6 and 32.5μm respectively.
[36] 650 g of silver platelet powder having an average particle size of 1.97 μm, 240 g of an epoxy binder which is prepared by diluting epoxy resin of KER1009 manufactured by Keumho P&B in normal terpineol to be of 50 weight% concentration and a residual amount of Butyl Cellosolve(brand name of 2-butoxyethanol) are thoroughly mixed together to be 1 Kg of silver paste. The silver paste composition was printed as electrode circuit 3 on the alumina layer 2 of the aluminum plate. Then, the aluminum plate is heat-treated at 190℃ for 12 minutes so that adhesion force, hardness and surface electric resistance of the electric circuit are respectively 5B, 5H and 8.4X10^(-5) Ω・cm.
[37] For sealing, the aluminum plate with electric circuit printed on is immersed in nickel fluoride aqua solution in concentration of 5g/L for 20 minutes, and then is treated in nickel acetate aqua solution at 90℃ for 20 minutes. The withstanding insulation voltage between the front and the rear face of the sealed aluminum plate is measured by CHROMA AC/DC/IR HIPOT TESTER model 19052 to be 2.66 Kv/mm. Heat conductivity through the board at an electrical contact is 56.49W/m・k. The heat conductivity for the board of the present invention is superior to that of general MCPCB which is below 2.0W/m・k.
[38] The sealed aluminum plate is immersed in a plating bath of 220g copper sulfate, 63g sulfate, l0ppm chlorine and, as rust inhibitor, 10 g 5007-MU, 0.5 g 5000-A and 0.5 g 5007-B made by IBC in lliter of water and is applied by current of 5 A/dm^( 2) for 30minutes, and thus a copper plated layer 4 of 3/M thick having surface electric resistance of 5X10^(-6) Ω・cm is obtained.
[39] The aluminum plate is printed by screen printer with SCR-1000W, thermoset resinous solder-resist, manufactured by Seoul Chemistry Research Center to form a protective insulating layer 5 on the electrode circuit, and then is heat-treated at 150℃ for 50 minutes.
[40] The electrical contacts 12 are coated with solder cream. LED packages of 1608 type 11 made by Seoul Semi-Conductor are located in array on the exposed electrical contacts 12 of the finished LED array board 10 and are soldered by reflow process. The adhesion strength is measured to be 2.67Kg_(f ). 」
(「発明の形態
[27] 以下において、本発明は実施例と図面とともに詳細に説明される。
[28] 実施例1
[29] アルミニウムプレート1(305mm×255mm×1mm)は、…脱脂剤SZ-9に浸され、15分間50?60℃で脱脂される。…。アルミニウムプレート1は室温で10%の硫黄を含む酸水溶液に浸され、…正の電圧がアルミニウムプレート1に印加され、…アルミナ層2、6が、アルミニウムプレート1の前面及び背面に各々33.2及び31.7μmの厚みで得られる。
[30]…銀ペースト混合物が電極回路3として、アルミニウムプレートのアルミナ層2の上に印刷された。…
[31] シールのために、上面に電気回路が印刷されたアルミニウムプレートは、2g/Lの濃度のニッケル酢酸塩水溶液に5分間浸され、次に95℃で10分間蒸留水で処理される。…
[32] アルミニウムプレートは、電極回路上に保護絶縁層5を形成するために、熱硬化性樹脂のソルダーレジスト、ソウル化学研究センターによって製造されたものが、SCR1000Wのスクリーンプリンターで印刷され、次に150℃で50分間熱処理される。
[33] 電気的コンタクト12がソルダークリーム(ハンダクリーム)で被覆される。ソウルセミコンダクターによって作られた1608型のLEDパッケージ11が、最終的なLEDアレイボード10の露出された電気的コンタクト12の上にアレイに配置され、リフロープロセスでハンダ付けされる。
[34] 実施例2
[35] アルミニウムプレート1(305mm×255mm×1mm)は、…脱脂剤SZ-9に浸され、15分間50?60℃で脱脂される。…。アルミニウムプレート1は、室温で1リットルの水に、50gのシュウ酸、10gのホウ酸、3gの乳酸及び1gのマグネシウム硫酸塩の水溶液に浸され、…正の電圧がアルミニウムプレート1に印加され、…アルミナ層2、6が、アルミニウムプレート1の前面及び背面に各々33.6及び32.5μmの厚みで得られる。
[36]…銀ペースト混合物が電極回路3として、アルミニウムプレートのアルミナ層2の上に印刷された。…
[37] シールのために、上面に電気回路が印刷されたアルミニウムプレートは、5g/Lの濃度のニッケルフッ化物水溶液に20分間浸され、次に90℃で20分間ニッケル酢酸塩水溶液で処理される。…
[38] シールされたアルミニウムプレートは、1リットルの水に、220gの銅硫酸塩、63gの硫酸塩、…のメッキ用バスに浸され、5A/dm^(2)の電流が30分間適用され、このようにして、3μmの厚さで表面電気抵抗が5×10^(-6)Ω・cmの銅メッキ層4が得られる。
[39] アルミニウムプレートは、電極回路上に保護絶縁層5を形成するために、熱硬化性樹脂のソルダーレジスト、ソウル化学研究センターによって製造されたものが、SCR1000Wのスクリーンプリンターで印刷され、次に150℃で50分間熱処理される。
[33] 電気的コンタクト12がソルダークリーム(ハンダクリーム)で被覆される。ソウルセミコンダクターによって作られた1608型のLEDパッケージ11が、最終的なLEDアレイボード10の露出された電気的コンタクト12の上にアレイに配置され、リフロープロセスでハンダ付けされる。…」)
ウ 上記アから、Fig.1は、本発明を具体化するLEDアレイボードの分離された層を示す概念的透視図であり、Fig.2は、図1におけるLEDアレイボードの透視図の組み立てられたものを図解し、以下のとおりものである。


(2)したがって、上記引用文献1には、実施例2として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「前面及び背面にアルミナ層2、6が形成されたアルミニウムプレート1と、
アルミニウムプレートのアルミナ層2の上に、銀ペースト混合物が印刷されることにより形成された電極回路3と、
アルミニウムプレートの電極回路3の上に形成された銅メッキ層4と、
アルミニウムプレートに、熱硬化性樹脂のソルダーレジストが印刷され、次に熱処理されることにより形成された、電極回路上の保護絶縁層5と、
最終的なLEDアレイボード10の露出された電気的コンタクト12の上にアレイに配置され、ハンダ付けされた複数のLEDパッケージ11と、
を含む、LEDアレイボード10。」

2 引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2008-53362号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【背景技術】
【0002】
近年、プリント配線板は、電子部品の高密度化に伴い、放熱性の良い基板が要求されている。放熱性に優れたプリント配線板として、金属コア基板が知られており、既に実用化されている。金属コア基板は、コア材として熱伝導率の高いアルミや銅などの金属を用いることで、発熱部品からの熱を基板全体に分散し、発熱部品の温度上昇を抑えることが可能である。中でも、熱伝導率が236W/m・Kで、比重が2.7g/cm^(3)と比較的軽いアルミがコア材として一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、アルミよりも低熱膨張、高強度、軽量なコア材として、炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics:以下CFRPと略す)も検討されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一般的に、炭素繊維は、熱伝導率が140?800W/m・Kのものが市販されている。熱伝導率が620W/m・Kの炭素繊維(一方向材)からなるプリプレグを0°/90°/90°/0°に積層したCFRP板は、熱膨張率(面内)が約0ppm/℃、熱伝導率が217W/m・K、弾性率が290GPa、比重が1.6g/cm^(3)と、アルミと同程度の放熱性を有しながら、アルミよりも低熱膨張、高強度、軽量なコア材が得られる。従って、このCFRPを用いてコア基板を作製すれば、大型のセラミック部品を実装した場合であってもはんだ接続部にクラックを発生せず、アルミよりも高性能な、特に実装信頼性に優れた基板を得ることができる。」

3 引用文献3について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特表2000-503259号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「図1を参照すると、伝導層と誘電体層の交互の層を積層化することによって、積層基板1が連続的に又は逐次的に構成される。さまざまな層は、積み重ねの形で位置づけされ次に、通常はプレス後まで各層が完全に硬化しないように誘電体材料が硬化のb段階にある状態で、合わせてプレスされる。」(第21ページ第21?24行)

4 引用文献4について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2006-339639号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0086】
図7aおよび図7bは本発明の第2実施例に係る高出力LEDパッケージを図示した斜視図で、図8は本発明の第2実施例に係る高出力LEDパッケージを図示した縦断面図である。
【0087】
本発明のLEDパッケージ100aは第1実施例のLEDパッケージと同一な部材に対しては同一な参照符号を使用しこれに対する詳細な説明は省略することとする。
【0088】
上記発光部110が搭載される放熱部120aは上、下部金属層121a、122aからなり、リード部130aは上記下部金属層122aから延長される第1リード133'と、上記放熱部120aから完全分離され上記発光部110とワイヤ115を媒介にして接続される第2リード136'で構成される。
【0089】
ここで、上記第1リード133'および上記第2リード136'は上記放熱部120aとリード部130aを一体に固定するよう射出成形されるモールド部140aの底面と外部面に露出されるようにする。」

第4 当審の判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明のアルミニウムプレート1、電極回路3及び銅メッキ層4、電気的コンタクト12、アルミナ層6、保護絶縁層5、LEDパッケージ11、LEDアレイボード10が、それぞれ本願発明のコア層、導電層、接続パッド、誘電体底部層、外側誘電体層、LED、回路基板アセンブリに相当する。
イ また、引用発明における「上」側が、本願発明の第1の側に相当する。
ウ また、引用発明の「LEDアレイボード10」は、「アルミニウムプレートの電極回路3の上に形成された銅メッキ層4」と、「最終的なLEDアレイボード10の露出された電気的コンタクト12の上にアレイに配置され、ハンダ付けされた複数のLEDパッケージ11」とを含むものであるから、電気的コンタクト12は、電極回路3及び銅メッキ層4と電気的に接続するものであることは明らかである。
エ 引用文献1のFig.1、2を参照すると、引用発明において、保護絶縁層5は、ほぼ露出され、かつほぼ連続的であることは明らかである。
オ 引用発明は、「最終的なLEDアレイボード10の露出された電気的コンタクト12の上にアレイに配置され、ハンダ付けされた複数のLEDパッケージ11」を含むから、本願発明1と引用発明とは、「複数のLEDであって、前記複数のLEDの各々が、前記接続パッドの1つに電気的に接続される前記複数のLED」を含む点で一致する。

したがって、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。

<一致点>
「コア層と、
前記コア層の第1の側に配置された少なくとも1つの導電層と、
前記少なくとも1つの導電層と電気的に接続する複数の接続パッドと、
前記コア層の前記第1の側の反対側の第2の側に配置される誘電体底部層と、
前記少なくとも1つの導電層の最も外側のすぐ上の外側誘電体層であって、ほぼ露出され、かつほぼ連続的である前記外側誘電体層と、
複数のLEDであって、前記複数のLEDの各々が、前記接続パッドの1つに電気的に接続され、前記複数のLEDと、
を含む、回路基板アセンブリ。」

<相違点>
<相違点1>
外側誘電体層について、本願発明1では、「複数の開口部を含み、前記開口部の各々が、前記接続パッドの1つへの電気的アクセスを提供し」、「前記開口部を除いてほぼ連続的であり」、「難燃性、防火エンクロージャ及び/又は衝撃防止特性を提供する」ものであるのに対し、引用発明では、保護絶縁層5について、複数の開口部を含むことは特定されておらず(以下、「相違点1-1」という。)、また、「難燃性、防火エンクロージャ及び/又は衝撃防止特性を提供する」ものであることは特定されていない点(以下、「相違点1-2」という。)。

<相違点2>
LEDについて、本願発明1では、「前記接続パッドに電気的に接続される場合に、該各々のLEDのダイベースにより前記接続パッドをほぼ覆う」ものであるのに対し、引用発明では、LEDパッケージ11は、電気的コンタクト12に接続される場合に、LEDパッケージ11は電気的コンタクト12を覆うものではないこと。

<相違点3>
本願発明1では、「前記コア層、前記導電層、前記誘電体底部層及び前記外側誘電体層は回路基板を構成し、前記コア層と前記導電層、前記コア層と前記誘電体底部層、及び前記導電層と前記外側誘電体層のそれぞれが、互いに、直接に又は他の層を介して接合している」のに対し、引用発明では、アルミニウムプレート1(コア層)、電極回路3及び銅メッキ層4(導電層)、アルミナ層6並びに保護絶縁層5について、本願発明1のこのような構成について特定されていない点。

(2)相違点についての判断
まず、相違点1-2について、検討する。
引用文献1には、保護絶縁層5について、難燃性のグレードや衝撃防止特性の程度についての具体的な記載はない。
また、引用発明の保護絶縁層5は、「熱硬化性樹脂のソルダーレジストが印刷され、熱処理されることにより形成された」ものであるから、「熱硬化性樹脂」からなることは特定されているものの、引用文献1には、当該熱硬化性樹脂について、具体的に材料等については記載されておらず、保護絶縁層5を難燃性、防火エンクロージャ、又は衝撃防止特性を提供するものとするための手がかりとなり得る記載は見出せない。
したがって、引用発明において、相違点1-2に係る本願発明1の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たということはできない。

また、引用文献2?4には、本願発明1の「『前記少なくとも1つの導電層の最も外側のすぐ上の外側誘電体層であって』、『難燃性、防火エンクロージャ及び/又は衝撃防止特性を提供する前記外側誘電体層』」を含むことは記載も示唆もされていない。
したがって、引用文献2?4を参照したとしても、引用発明1において、相違点1に係る本願発明1の構成を採用することが、当業者であれば容易になし得たということはできない。

よって、相違点1-1並びに相違点2及び相違点3について検討するまでもなく本願発明1は、引用発明1及び引用文献2?4に記載の技術的事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2?15について
本願発明2?15は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明1の「難燃性、防火エンクロージャ及び/又は衝撃防止特性を提供する前記外側誘電体層」という構成を備えるものであるから、 本願発明1と同様の理由により、引用発明1及び引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1?15に係る発明について、上記引用文献1?4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、また、請求項7の記載は明確でないので、特許法第36条第2号に規定する要件を満たしていないというものである。

しかしながら、上記のとおり、本願発明1?15は、上記引用文献1に記載された発明及び上記引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、平成28年9月12日付け手続補正により補正された請求項7は、「耐火定格の」という記載、「非難燃性」との記載が削除されたものとなっており、請求項7における上記記載不備は解消している。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第1号について
当審では、平成28年9月12日付けで補正された請求項1及び請求項1を引用する請求項2?15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなっていたことから、請求項1及び請求項1を引用する請求項2?15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないとの拒絶の理由(理由1(サポート要件))を通知した。
しかしながら、平成29年6月22日付けの補正において、「難燃性、防火エンクロージャ及び/又は衝撃防止特性を提供する前記外側誘電体層」と補正された結果、この拒絶の理由は解消している。

2 特許法第36条第6項第2号について
(1)当審では、平成28年9月12日付けで補正された請求項1の「前記コア層、前記導電層、前記誘電体底部層及び前記外側誘電体層が、共に密着接合されて密着回路基板を形成している」という記載について明確でないとの拒絶の理由(理由2(明確性))を通知した。
しかしながら、平成29年6月22日付けの補正において、「前記コア層、前記導電層、前記誘電体底部層及び前記外側誘電体層は回路基板を構成し、前記コア層と前記導電層、前記コア層と前記誘電体底部層、及び前記導電層と前記外側誘電体層のそれぞれが、互いに、直接に又は他の層を介して接合している」と補正された結果、この拒絶の理由は解消している。

(2)平成28年9月12日付けで補正された請求項1の「前記コア層、前記導電層、前記誘電体底部層及び前記外側誘電体層が、共に密着接合されて密着回路基板を形成している」、請求項8の「前記接続パッドが、前記導電層と一体的に密着して形成される」及び請求項9の「前記コア層、前記導電層及び前記底部導電層が、共に密着接合される」との記載は、製造に関して技術的な特徴や条件が付された記載がある場合に該当する蓋然性もあるため、当該請求項にはその物の製造方法が記載されているといえるが、本願明細書等には不可能・非実際的事情について何ら記載がなく、当業者にとって不可能・非実際的事情が明らかであるとも言えない。したがって、当審では、請求項1、8、9及び請求項1、9を引用する請求項2?7、10?15に係る発明は明確でないとの拒絶の理由(理由2(明確性))を通知した。
しかしながら、平成29年6月22日付けの補正において、請求項1は、「前記コア層、前記導電層、前記誘電体底部層及び前記外側誘電体層は回路基板を構成し」と補正され、請求項8は、「前記接続パッドが、前記導電層と一体的に密着している」と補正され、請求項9は、「前記コア層と前記導電層、及び、前記コア層と前記底部導電層のそれぞれが、互いに、直接に又は他の層を介して接合している」と補正された結果、この拒絶の理由は解消している。

(3)当審では、平成28年9月12日付けで補正された請求項15の「前記上部導電層」との記載は明確でないとの拒絶の理由(理由2(明確性))を通知した。
しかしながら、平成29年6月22日付けの補正において、「前記導電層」と補正された結果、この拒絶の理由は解消している。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1?15は、当業者が引用発明及び引用文献2?4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-09-15 
出願番号 特願2013-555974(P2013-555974)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 537- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小濱 健太  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 恩田 春香
近藤 幸浩
発明の名称 回路基板アセンブリ  
代理人 特許業務法人M&Sパートナーズ  

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