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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C21D
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C21D
審判 全部申し立て 2項進歩性  C21D
管理番号 1332210
異議申立番号 異議2016-700061  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-01-26 
確定日 2017-07-18 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5756862号発明「磁性に優れた方向性電磁鋼板及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5756862号の特許請求の範囲を、平成28年12月28日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?8〕について訂正することを認める。 特許第5756862号の請求項1?4に係る特許を維持する。 特許第5756862号の請求項5?8に係る特許についての異議申立を却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5756862号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、2011年12月21日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2010年12月23日 (KR)大韓民国)を国際出願日とする出願であって、平成27年6月5日にその特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、特許異議申立人JFEスチール株式会社により特許異議の申立てがされ、当審において平成28年3月25日付けで取消理由を通知し、同年7月8日付けで特許権者より訂正請求書および意見書が提出され、同年8月24日付けで異議申立人より意見書が提出され、同年9月28日付けで決定の予告がなされ、同年12月28日付けで特許権者より訂正請求書および意見書が提出され、平成29年4月6日付けで異議申立人より意見書が提出されものである。

第2 平成28年12月28日付け訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の適否について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。

ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「Mn:0.08%以下」とあるのを、「Mn:0.061%以下」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?4も同様に訂正する。)。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「熱間圧延した後、1回の冷間圧延、或いは」とあるのを、「熱間圧延した後、900℃?1100℃の温度で熱延板焼鈍し、1回の冷間圧延、或いは」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?4も同様に訂正する。)。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「10時間以内に均熱処理し」とあるのを、「10時間以内の均熱処理をし」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?4も同様に訂正する。)。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5?8を削除する。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

・訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1におけるMnの含有量の範囲「0.08%以下」を、「0.061%以下」に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1による訂正は、特許明細書の【0061】の【表1】に示される、「発明材4」のMn含有量0.0610重量%に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
そして、訂正事項1による訂正は、Mnの含有量をさらに限定するものであるから、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

・訂正事項2について
訂正事項2による訂正は、熱間圧延と冷間圧延の間に、さらに、900℃?1100℃の温度で熱延板焼鈍を行うことを限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項2による訂正は、特許明細書の【0053】、【0059】、【0066】、【0077】等の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
そして、訂正事項1による訂正は、熱間圧延と冷間圧延の間に、さらに、900℃?1100℃の温度で熱延板焼鈍を行うことを限定するものであるから、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

・訂正事項3について
訂正事項3による訂正は、「10時間以内」との事項が、均熱処理の処理時間を意味することを明確にするためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
また、訂正事項3による訂正は、特許明細書の【0057】の記載に基づくものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

・訂正事項4について
訂正事項4による訂正は、特許請求の範囲の請求項5?8を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、訂正事項4による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

そして、本件訂正前の請求項2ないし8は、訂正前の請求項1を引用するものであるから、本件訂正後の請求項1ないし8は、一群の請求項である。
3 まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号または第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1ないし8についての訂正を認める。
なお、特許法第120条の5第7項の規定により、先にした平成28年7月8日付け訂正請求は取り下げられたものとみなす。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、・・・「本件発明4」という。)は、以下のとおりである。

「【請求項1】
重量%で、Si:2.0?4.5%、C:0.001?0.10%、Al:0.010%以下、Mn:0.061%以下、N:0.005%以下、S:0.005?0.050%、を含有し、残部がFe及びその他の不可避不純物からなるスラブを、加熱し、熱間圧延した後、900℃?1100℃の温度で熱延板焼鈍し、1回の冷間圧延、或いは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、その後、脱炭及び再結晶焼鈍を行った後、二次再結晶焼鈍を行う、方向性電磁鋼板の製造方法であって、
前記二次再結晶焼鈍の際に、単独で粒界に偏析するSおよびFeS析出物の少なくとも一つによって結晶粒成長を抑制することにより、二次再結晶を起こして、
前記二次再結晶焼鈍は、脱炭及び再結晶された鋼板を1000?1200℃の温度に昇温して二次再結晶を起こした後、1000?1200℃の温度で10時間以内の均熱処理をし、冷却させることにより行われる、
ことを特徴とする、方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項2】
前記スラブはMnが0.05%以下で含有される、請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項3】
二次再結晶された鋼板の厚さ方向の断面におけるAl酸化物の密度を0.1?500個/mm^(2)とする、請求項1又は2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項4】
50Hz、1.7テスラの交流磁場を印加した条件での保磁力値を30A/m以下とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1?5に係る特許に対する平成28年9月28日付け取消理由通知(審決の予告)における取消理由は以下のとおりである。
ア 取消理由1(特許法第29条第2項)
本件特許発明1?5は、甲3発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 取消理由2(特許法第36条第4項第1号)
本件明細書には、請求項1?5の発明を実施できる程度に記載されていない。

第4 判断
1 取消理由1について
(1)本件発明の技術的意義
本件明細書の記載によれば、AlN、MnS析出物を結晶粒成長抑制剤として用いて二次再結晶を起こす方向性電磁鋼板の製造方法においては、二次再結晶完了後の析出物構成成分を除去するために、1200°で30時間以上長時間純化焼鈍を行う製造工程上の複雑性とコスト負担を伴うという問題があり(【0010】)、これに対し、本件発明は、AlN或いはMnS析出物を結晶粒成長抑制剤として用いず、単独で粒界に偏析するSと、FeS析出物とを主な結晶粒成長抑制剤として用いて磁性を向上させ且つ生産性を高めるようにする、方向性電磁鋼板の製造方法であって、S単独の粒界偏析およびFeS析出物による結晶粒成長抑制効果を用いて{110}<001>方位の二次再結晶を安定的に形成すると同時に、二次再結晶が完了した鋼板内に存在するAl系析出物と酸化物の量を最小化することにより、鉄損の非常に低い方向性電磁鋼板を低コストで効率よく製造する方法を提供するものである(【0019】)。

(2)甲第3号証(特開2000-17335号公報)の記載事項
甲第3号証には、次の記載がある。
(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 C:0.005 ?0.08wt%、Si:1.0 ?7.0 wt%、Mn:0.03?2.5 wt%を含有する鋼を溶製し鋳造してけい素鋼スラブとし、このけい素鋼スラブを加熱後、熱間圧延し、次いで熱延板焼鈍を施した後、一回又は中間焼鈍を挟む二回以上の冷間圧延により最終板厚とし、更に、脱炭焼鈍及び焼鈍分離剤を塗布して仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、
鋼中の酸可溶性Al、N、Se及びSの含有量を、
酸可溶性Al:0.001 ?0.030 wt%、N:0.003 ?0.010 wt%、Se+2.47S≦0.035 wt%の範囲に制御し、
鋳造後のスラブの柱状晶部の粒の大きさを柱状晶の伸長方向に垂直な断面の円相当径で平均10mm以下に制御し、
スラブ加熱温度を1300℃以下とすることを特徴とする耳割れのない方向性電磁鋼板の製造方法。」

(1b)「【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、主として変圧器その他の電気機器の鉄心材料として使用され、磁束密度及び鉄損値などの磁気特性に優れることが基本的に必要である。そのため、厚さ100 ?300 mmのけい素鋼スラブを高温に加熱後、熱間圧延し、次いでこの熱延板を1 回又は中間焼鈍を挟む2 回以上の冷間圧延によって最終板厚とし、次いで脱炭を兼ねた一次再結晶焼鈍を行い、焼鈍分離剤を塗布してから二次再結晶及び純化を目的として最終仕上焼鈍を行うという複雑な工程が採られている。かかる方向性電磁鋼板の磁気特性を高めるためには、仕上焼鈍工程での二次再結晶によって、磁化容易軸である〈001〉軸が圧延方向に揃った{110}〈001〉方位の結晶粒を成長させることが基本的に重要である。
【0003】このような二次再結晶を効果的に促進させるために、まずは一次再結晶粒の成長を抑制するインヒビターと呼ばれる分散相を、均一かつ適正なサイズに分散させることが重要である。かかるインヒビターとしてMnS、MnSe、AlN 及びVNのような硫化物、セレン化合物や窒化物などがあり、必要に応じてSb、Nb、Ge、Sn、Crなどを適宜添加する方法が採られている。
【0004】上述の硫化物、セレン化合物、窒化物を主としたインヒビターを鋼中に均一かつ適正なサイズに分散させる適正制御の方法として、従来の工程では熱延前のスラブ加熱時にインヒビターを一旦、完全に固溶させたのち、熱間圧延工程以降に微細析出する方法が採られてきた。このインヒビターを十分固溶させるためには、1400℃程度の温度に加熱する必要があり、そのため、方向性電磁鋼板のスラブ加熱は一般に、普通鋼のスラブ加熱に比べで約200 ℃も高い温度で行われている。」

(1c)「【0006】ところで最近、方向性電磁鋼板においては、磁気特性ばかりでなく、安価な供給が強く望まれるようになってきている。したがって、製造者サイドにとっては、かかる磁気特性に優れる高級品を歩留り良く製造することが重要な課題となっている。かかる歩留り向上という観点から、方向性電磁鋼板の製造時における熱間圧延の際には、熱延板端部の形状不良を如何に防止するかが重要な課題となっている。というのは、熱延板の端部(エッジ部)においては、コイルの耳部が削り取られたり、耳部にのこぎり歯状の割れが生じやすく、歩留り低下の大きな要因となっているからである。このような熱延板の耳部の割れは、日本鉄鋼協会の用語規定(ISIJ TR006)では、”耳荒れ”とも称されているが、この明細書では”耳割れ”と称することにする。」

(1d)「【0026】酸可溶性Al:0.001 %以上、0.030 %以下
Alはインヒビター成分として0.001 %以上、0.030% 以下含有させることが必要である。AlはNと結びついてAlN としてインヒビターの役割を果たすが、AlNをスラブ加熱時に固溶させ、熱延板焼鈍の昇温過程で微細析出させることにより、一次再結晶粒の成長抑制効果が高まる。・・・
【0027】N:0.0030%以上、0.0100%以下
Nは、AlN を形成し、インヒビターとして機能するので、0.030 %以上含有させることが必要である。しかしながら、0.0100%を超えて含有すると鋼中でガス化し、ふくれなどの欠陥をもたらすので、0.0030%以上、0.0100%以下の範囲にしなければならない。
【0028】Se及びS:Se+S≦0.035 %(当審注;「Se+2.47S≦0.035%」の誤記)
Se、SはMnあるいはCuと結びついてインヒビターとして機能するが、この発明の技術では、実験1で述べたようにSe、Sを過剰に含有させた場合、MnSeあるいはMnS を核にしてAlN の粗大析出が生じやすくなり、インヒビターの抑制力が却って弱くなる。Se、S量は、スラブ加熱温度が1300℃以下の条件下では、Se+2.47Sを0.035 %以下にすることが必要である。」

(1e)「【0030】(スラブの鋳造)以上の成分に調整された溶鋼を連続鋳造法あるいは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んでスラブとする。スラブ組織は、先の実験で述べたように、スラブの柱状晶部の粒の大きさに関して柱状晶の伸長方向に垂直な断面の円相当直径が平均10mm以下となるように制御する。円相当直径が平均10mmよりも大きいと、鋼板の幅方向端部で磁気特性の劣化を招く。スラブ組織を、このように制御するにあたり、スラブ表面から10mm以内の部分が凝固温度から1300℃の温度域に滞在する時間を5 分以内とすることや電磁攪拌を施すことが有効である。この他、先の実験で行ったように鋳込み速度を高めることもできる。
【0031】(熱間圧延)以上のように調整されたコイルは、通常の方法に従い、スラブ加熱に供されたのち、熱間圧延により熱延コイルとされる。スラブ加熱温度は、熱延時の耳割れを防止するために1300℃以下とする。スラブ加熱温度が低いことは、エネルギーコスト低減のためにも好ましい。なお、近年、スラブ加熱を行わず連続鋳造後、直接に熱間圧延を行う方法が開示されているが、この発明は、スラブ加熱温度を低くとれるので、この発明においても好適に実施し得る。」

(1f)「【0035】
【実施例】(実施例1)表1に示すa?iの成分組成の200 mm厚のスラブを各1本、連続鋳造法により鋳造した。この鋳造の時には電磁攪拌を施し、また、スラブ冷却過程で表面から10mmの部分が凝固温度から1300℃迄の温度域に滞在する時間が60秒から120 秒になるように制御した。次に、各スラブを1200℃の温度に加熱後、熱間圧延して2.5 mmの熱延コイルとし、引き続き、1000℃に30秒間保持する熱延板焼鈍を施した。その後、酸洗した後、0.34mmの厚みに冷間圧延し、脱脂処理を行ったのち、850 ℃で120 秒間の脱炭焼鈍を施した。脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布して最終仕上焼鈍を施した。最終仕上焼鈍後、未反応の焼鈍分離剤を除去し、コロイダルシリカを含有するリン酸マグネシウムを主成分とする絶縁コーティングを塗布し、800 ℃で焼き付け製品とした。各製品から、板幅方向の中央付近及び端部から圧延方向に沿ってエプスタインサイズの試験片を切り出し、磁束密度B8と鉄損値W17/50(磁束密度1.7 T ,50Hzにおける鉄損)を測定した。熱間圧延終了後に、深さ3 mm以上の耳割れの発生状況を調査した。結果を表2に示す。表2に示されるように、スラブの成分組成がこの発明の要件を満足する場合に、熱間圧延で耳割れが生じず、かつ、製品の磁気特性が良好であった。」

(3)甲第3号証記載の発明
上記(1a)によれば、甲第3号証には、耳割れのない方向性電磁鋼板の製造方法が記載され、当該製造方法においては、上記(1c)、(1e)によれば、スラブ加熱温度を1300°以下とすることにより、熱延時の耳割れを防止し、また、スラブの柱状晶部の粒の大きさに関して柱状晶の伸長方向に垂直な断面の円相当直径が平均10mm以下となるように制御することにより、鋼板の幅方向端部での磁気特性の劣化を防止するものである。
そして、上記(1f)によれば、1000℃で30秒間保持する熱延板焼鈍を行うことが記載され、上記(1b)、(1d)によれば、AlN,MnS、MnSe等のインヒビターにより、一次再結晶粒の成長を抑制することにより、二次再結晶粒を効果的に促進させるものであり、インヒビター成分について、「Se+2.47S≦0.035 %」と規定されているが、セレン化物、硫化物、窒化物は、それぞれが方向性電磁鋼板の製造においてインヒビターとして一般的に使用されるものであるところ、甲第3号証の記載を見ても、セレン化物と硫化物の両方を用いることは必須ではなく、セレン化物を含まない場合を含むものと認められるから、この場合、Sの含有量は、≦0.035/2.47、すなわち、≦0.014となる。

したがって、本件発明1の記載にならって表すと、甲第3号証には、「C:0.005 ?0.08wt%、Si:1.0 ?7.0 wt%、Mn:0.03?2.5 wt%、酸可溶性Al:0.001 ?0.030 wt%、N:0.003 ?0.010 wt%、S≦0.014 wt%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなるけい素鋼スラブを加熱後、熱間圧延し、次いで1000℃で熱延板焼鈍を施した後、一回又は中間焼鈍を挟む二回以上の冷間圧延により最終板厚とし、更に、脱炭焼鈍及び焼鈍分離剤を塗布して仕上焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、
AlNやMnSをインヒビターとして一次再結晶粒の成長を抑制し、二次再結晶粒を効果的に促進させ、
鋳造後のスラブの柱状晶部の粒の大きさを柱状晶の伸長方向に垂直な断面の円相当径で平均10mm以下に制御し、
スラブ加熱温度を1300℃以下とすることを特徴とする耳割れのない方向性電磁鋼板の製造方法。」(以下、「甲3発明」という。)が記載されているということができる。

(4)対比・判断
(4-1)本件発明1について
(4-1-1)対比
本件発明1と甲3発明とを対比すると、甲3発明の「けい素鋼スラブ」、「wt%」は、本件発明1の「スラブ」、「重量%」に相当するから、両者は、スラブの成分組成が、「重量%で、Si:2.0?4.5、C:0.005?0.08、Al:0.001?0.01、Mn:0.03?0.061、N:0.003?0.005、S:0.005?0.014、残部Fe及びその他の不可避不純物からなる」点で共通し、熱延板焼鈍の温度は、「1000℃」で共通する。
また、方向性電磁鋼板の製造において、「脱炭焼鈍」は「再結晶焼鈍」も兼ねるものであり、また、「仕上焼鈍」は「二次再結晶焼鈍」を意味することは技術常識である。
そして、本件発明1における「前記二次再結晶焼鈍の際に、単独で粒界に偏析するSおよびFeS析出物の少なくとも一つによって結晶粒成長を抑制することにより、二次再結晶を起こし」とは、上記(1)の本件発明の技術的意義によれば、「AlNやMnSを主な結晶粒成長抑制剤(インヒビター)として用いず、主に単独で粒界に偏析するSと、FeS析出物の少なくとも一つによる結晶粒成長抑制効果を用いて、二次再結晶を起こす」ことを意味するものと認められる。

よって、両者は、
「重量%で、Si:2.0?4.5、C:0.005?0.08、Al:0.001?0.01、Mn:0.03?0.061、N:0.003?0.005、S:0.005?0.014、残部Fe及びその他の不可避不純物からなるスラブを、加熱し、熱間圧延した後、1000℃の温度で熱延板焼鈍し、1回の冷間圧延、或いは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、その後、脱炭及び再結晶焼鈍を行った後、二次再結晶焼鈍を行う、方向性電磁鋼板の製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
本件発明1では、「前記二次再結晶焼鈍の際に、AlN、MnSを主な結晶粒成長抑制剤として用いず、主に単独で粒界に偏析するSおよびFeS析出物の少なくとも一つによる結晶粒成長抑制効果を用いて、二次再結晶を起こして、
前記二次再結晶焼鈍は、脱炭及び再結晶された鋼板を1000?1200℃の温度に昇温して二次再結晶を起こした後、1000?1200℃の温度で10時間以内に均熱処理し、冷却させることにより行われる」のに対して、甲3発明では、AlNやMnSをインヒビターとして一次再結晶粒の成長を抑制し、二次再結晶粒を起こすものであって、「前記二次再結晶焼鈍は、脱炭及び再結晶された鋼板を1000?1200℃の温度に昇温して二次再結晶を起こした後、1000?1200℃の温度で10時間以内に均熱処理し、冷却させることにより行われる」かどうかは明らかでない点。

(4-1-2)判断
本件明細書には、次のとおり記載されている。
「本発明では、かかる問題点を補完するために、MnS析出物がほぼ形成されないようにMnの含量を最小化させることにより、SがMnと反応していない状態で単独で粒界に偏析し、或いはFeS析出物が形成されるようにして、結晶粒の成長を積極的に抑制することにより、{110}<001>方位の二次再結晶形成を起こすようにする。」(【0037】)、「Sは本発明の核心元素であって、単独で粒界に偏析すると同時に結晶粒界でFeS析出物を形成して結晶粒系の移動を強力に抑制することにより、{110}<001>方位の二次再結晶を可能とする。・・・よって、Sは・・・、好ましくは0.005?0.05%の範囲で添加する。」(【0046】)

上記記載によれば、本件発明1においては、Mnの含有量を最小化させること、そして、Sの含有量を0.005%以上とすることにより、MnSの析出を抑制し、粒界に単独のSを偏析し,或いはFeSを析出させ、二次再結晶焼鈍の際の結晶粒成長を抑制するものである。
そうすると、甲3発明は、本件発明1と重複するスラブ成分組成(特に、Mn、S含有量)を有することから、同様に、二次再結晶焼鈍の際に、粒界に単独のSが偏析、或いはFeS析出物が形成されている可能性はある。

また、仕上げ焼鈍(二次再結晶焼鈍)の条件について検討すると、例えば、特開2000-144250号公報には、下記の記載がある。
(2a)「【作用】次に、この発明における素材の成分組成範囲について説明する。この発明では、インヒビターとして窒化物と偏析元素を併用する点以外については、成分組成的に限定されることはなく、従来から公知の成分系をいずれも好適に使用することができる・・・
・・・
インヒビター成分について、窒化物と偏析元素を併用することが必須である。ここに、窒化物としてはAlN, Si_(3)N_(4),BNおよびNbN等が、また偏析元素としてはBi,SnおよびP等が有利に適合し、これらは1種ずつの組み合わせの他に2種以上の組み合わせも可能である。・・・」(
【0045】-【0046】)

(2b)「最終仕上げ焼鈍としては、860℃まではN_(2)雰囲気で10℃/hの速度で昇温したのち、860 ℃で20時間の保定処理を行い、 860?1200℃の温度域は11℃/hの速度で表7に示す雰囲気中で昇温し、さらにH_(2)雰囲気中にて1200℃で10時間の均熱を行った。降温は、800℃までH_(2)中で強制冷却を行い、800℃以下はN_(2)中で冷却する熱サイクルと雰囲気を採用した」(【0055】)

上記(2a)、(2b)によれば、AlN等の窒化物及びBi、Sn等の偏析元素をインヒビター成分として併用する場合において、二次再結晶焼鈍として、「脱炭及び再結晶された鋼板を1000?1200℃の温度に昇温して二次再結晶を起こした後、1000?1200℃の温度で10時間の均熱処理を施し、冷却させることにより行われる」ことが記載されており、AlNをインヒビターとして用いる場合であっても、10時間程度の均熱を行うことがあると認められる。

しかしながら、上記のとおり、甲3発明は、粒界に単独のSが偏析、或いはFeS析出物が形成されている可能性はあるとしても、AlNやMnSを主なインヒビターとすることを前提とする発明である。
そして、甲第3号証には、FeSやSを主なインヒビターとするものに変更することを動機付ける記載は認められず、また、FeSやSを主なインヒビターとするものに変更することは、甲3発明の技術的意義を損なうものであり、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

したがって、本件特許発明1は、甲第3号証に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(4-2)本件特許発明2-4について
本件発明2-4は、いずれも本件発明1を引用するものであるから、上記(4-1)で述べた理由と同様の理由により、甲第3号証に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(5)小括
以上のとおりであるから、取消理由1は採用することはできない。

2 取消理由2について
ア 取消理由2の内容は、以下のとおりである。
【表1】に示される、本件発明の実施例である発明材1では、Mnに対してSの含量が少なすぎ、フリーのSが残存するのに必要な量が確保されていない(実際、発明材1については、【図1】,【図2】のような単独で粒界に偏析するSおよびFeS析出物の存在が確認されているわけでもない。) そうすると、本件特許明細書は、本件発明1?5を実施し得る程度に記載されているとはいえない。

イ 特許権者の提出した乙第2号証(「The Surface Segregation of Impurity Elements in Non-oriented Electrical Steels」 Darja STEINER PETROVIC,et al.,Strojarstvo 48(1-2)45-49(2006))、乙第3号証(韓国特許公報第10-1227767号)には、それぞれ、以下の記載がある。

(1)乙第2号証
(1a)「


3 Results
We have compared the results obtained by Auger electron spectroscopy for silicon steels produced in the laboratory and in an industrial environment. They differ in terms of their content of impurity elements, and their chemical compositions are given in Table 1.

Figures 1 to 7 show the surface segregation of carbon,copper, phosphorus,sulfer,tin, antimony and arsenic in the non-oriented electrical steel as a function of temperature.
(当審訳:「3 結果
実験室及び工業環境で製造されたシリコン鋼のそれぞれについて、オージエ電子分光法により得られた結果を比較した。それらは、不純物元素の含量の点で互いに異なっており、それらの化学組成は表1に示されるとおりである。
図1ないしないし図7は、無方向性電気鋼に含まれる炭素、銅、リン、硫黄、スズ、アンチモン、及びヒ素の表面偏析を、温度の関数として示す。」)」(p46上?右欄第10行)

(1b)「

(「図4 無方向性電気鋼における硫黄の表面偏析」)
・・・ ・・・
In the laboratory steels the surface is enriched by sulfer at temperature higher than 700℃.」
(「実験室鋼では、表面は硫黄によって700℃以上の温度で濃縮される。」(p47右上?p48左欄第15行)

(2)乙第3号証


(当審訳:「【0039】
本発明の一実施形態によると、重量%でC:0超過0.005%以下、Si:2?4%、Mn:0.05%以上1.0%未満、S:0.0001?0.035%、Al:0超過0.20%以下、P:0超過0.2%以下、N:0超過0.003%以下を含有し、残部がFe及びその他の不可避的不純物からなり、全製造工程上の温度範囲でフェライト状組織を示すスラブを、再加熱し、熱間圧延した後、熱間圧延の際に生じることのあるMnSを固溶させるようにするために、950℃?1370℃で熱延板中間焼鈍を実施あるいは省略し、酸洗の後冷間圧延してから、一段焼鈍炉及び二段焼鈍炉からなる焼鈍炉で最終焼鈍を行い、(100)[0vw]無方向性電気鋼板を製造する。」)」
ウ 上記乙第2号証の図4には、無方向性電気鋼における硫黄の表面偏析について、硫黄の濃度と温度の関係が示されている。
そして、Table 1によれば、試料LAB1、LAB2は、Sを0.005質量%含むのに対し、Mnを0.24質量%と多く含むものの、図4によれば、700℃以上の温度で偏析Sの表面濃度が顕著に高まることが示されており、また、乙第3号証には、950℃?1370℃での熱延板焼鈍により、MnSが固溶することが記載されている。
そうすると、900℃?1100℃で熱延板焼鈍が行われる本件発明においては、MnSは、たとえ形成されていても、熱延板焼鈍により再固溶し、Sが単独で粒界に存在し得ることとなり、また、本件明細書の【表1】に示される磁気特性を見ても、発明材1は他の発明材に準ずる磁束密度、鉄損値を有するものであることが確認できる。

エ よって、本件発明1?4は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、当業者がその実施をすることができないものであるとはいえない。

3 審決の予告において取消理由としなかった異議申立理由について
(1)特許法第36条第4項第1号第36条第6項第1号について
ア 審決の予告において取消理由としなかった異議申立理由は、概略、以下のとおりである。
(ア)「本発明の実施例は、Mnの最大値が0.0610%であり、Mn0.010を超えMn0.080以下の実施例はない」ので、本件明細書は、本件発明を実施できる程度に記載されていない。
(イ)「全てのMnがMnSを形成しても、残存しているフリーのSの含量が0.0055%以上である」(フリーのS含量が0.0055%未満の実施例が存在しない)から、本件明細書は、本件発明を実施できる程度に記載されていない。
(ウ)「MnSが形成されてもフリーのSが残存するようにMnとSとの含量を調整してあるMnとSとの相対的な含量を示す記載がない」から、本件発明は、明細書に記載されたものとはいえない。
(エ)「単独で粒界に偏析するSによって結晶粒成長を抑制すること」及び「単独で粒界に偏析するSとFeSとの両方により結晶粒成長を抑制すること」については明細書に記載されておらず、また、本件明細書には、本件発明を実施できる程度に記載されているとはいえない。

イ 判断
(イ-1)理由(ア)について
上記「第2」のとおり、Mn含有量の上限が0.061%に訂正されたことにより、理由(ア)は解消した。

(イ-2)理由(イ)について
本件明細書の「本発明では、S単独の粒界偏析或いはFeS析出による結晶粒成長抑制効果を得ることを目的とするから、Mnの含量を積極的に抑制することが好ましい。非常に理想的な方法はMnを添加しないことであるが、製鋼過程で不可避に添加されるならば、その添加量は0.08%以下に制限することが好ましい。」【0043】、「不可避的にMnが混入して含有される場合は、MnSを形成してから残っているSの含量が少なくとも0.002%以上となるように、製鋼段階でSは0.005%以上で添加させることが特に好ましい。」【0047】との記載によれば、ほぼ全量のMnがSと結合すると考えられる。

本件明細書の【表1】に示される発明材のデータをプロットした下記の図において、Mn(at%)とS(at%)とが1:1に対応するMnSを形成する線(1)と、この線(1)を上方に平行移動して、最初に発明材4に接する線(2)(MnSを形成する線(1)を基準として、Sが0.0055%分だけ上方に位置している)の間の領域には発明材は存在しないとしても、この図から明らかなように、Sは全てのMnをMnSとするに十分な量が含まれているから、上記線(1)と線(2)の間の領域に発明材が存在しないことのみをもって、本件明細書は本件発明1?4が実施し得る程度に記載されていない、あるいは本件特許発明1?4が本件明細書にサポートされてないということはできない。




(イ-3)(ウ)について
本件発明1は、スラブの成分組成に関し、Mn、Sの含有量を特定するのみで、MnとSの相対的な含量、例えば、上記表における線(1)よりも上の領域にあることについて特定はしていないが、「単独で粒界に偏析するSおよびFeS析出物の少なくとも一つによって結晶粒成長を抑制すること」を特定しており、これは言い換えれば、Mn、Sの含有量が「線(1)よりも上の領域にあること」を意味するから、MnとSの相対的な含量の特定がないとはいえず、本件明細書は本件発明1?4が実施し得る程度に記載されていない、あるいは本件発明1?4が本件明細書にサポートされてないとまではいえない。

(イ-4)(エ)について
Sが結晶粒界に偏析し、1次再結晶粒の成長を抑制することは乙1号証(今井 光男「珪素鋼の1次再結晶粒の清浄粒成長速度におよぼす微量添加元素の影響」、鉄と鋼 第58年(1972)第14号、2102頁?2109頁)に記載されるように公知であり、また、本件明細書には、「図1の(a)は発明材3の鋼板厚さ方向の断面を透過電子顕微鏡で撮影し、結晶粒界に析出しているFeSを示すTEM写真を示し、図1の(b)は発明材3の鋼板成分をEDS(エネルギー分散分光法;Energy Dispersive Spectroscopy)で分析したグラフを示す。図1の(a)に示したTEM写真より、結晶粒界に析出したFeSが観察される。図1の(b)に示したグラフより、FeとS成分がピークを成すことから、FeS析出物が結晶粒成長抑制剤として作用したという事実が確認される。」(【0063】)と記載されている。
そして、「本発明者らは、結晶粒成長に及ぼす粒界偏析元素の影響に対して調べるために、特別に析出物を形成する元素を排除し、粒界偏析元素Sを様々な含量で添加させた成分系のインゴットを真空溶解して二次再結晶可能性を調べた結果、Mnの添加を制限した状態でSを適正量添加したときに{110}<001>方位の二次再結晶が安定的に形成され、1.90(テスラ)以上の磁束密度と共に0.95(W/kg)以下の優れた鉄損特性が確保されるという事実を確認することができた。」(【0033】)とも記載されている。
これらによれば、「単独で粒界に偏析するSによって結晶粒成長を抑制すること」及び「単独で粒界に偏析するSとFeSとの両方により結晶粒成長を抑制すること」については、明細書にサポートされていないとまではいえない。

(2)特許法第36条第6項第2号について
当該理由の具体的な内容は、請求項6には、「・・・請求項1?5のいずれか1項記載の製造方法によって製造された方向性電磁鋼板。」と記載されており、これは、「物の発明に係る請求項の少なくとも一部にその物の製造方法が記載されている場合」に該当し、明確性違反であるというものである(請求項6を引用する請求項7、8についても同様である。)というものである(特許異議申立書第9?10頁「キ 明確性要件違反について」)。

これに対し、上記「第2」のとおり、本件訂正により、請求項5?8は削除されたので、対象となる請求項は存在しない。

第5 むすび
したがって、本件請求項1?4に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、本件特許の請求項5?8に係る特許に対して特許異議申立人JFEスチール株式会社がした特許異議申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、Si:2.0?4.5%、C:0.001?0.10%、Al:0.010%以下、Mn:0.061%以下、N:0.005%以下、S:0.005?0.050%、を含有し、残部がFe及びその他の不可避不純物からなるスラブを、加熱し、熱間圧延した後、900℃?1100℃の温度で熱延板焼鈍し、1回の冷間圧延、或いは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、その後、脱炭及び再結晶焼鈍を行った後、二次再結晶焼鈍を行う、方向性電磁鋼板の製造方法であって、
前記二次再結晶焼鈍の際に、単独で粒界に偏析するSおよびFeS析出物の少なくとも一つによって結晶粒成長を抑制することにより、二次再結晶を起こして、
前記二次再結晶焼鈍は、脱炭及び再結晶された鋼板を1000?1200℃の温度に昇温して二次再結晶を起こした後、1000?1200℃の温度で10時間以内の均熱処理をし、冷却させることにより行われる、
ことを特徴とする、方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項2】
前記スラブはMnが0.05%以下で含有される、請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項3】
二次再結晶された鋼板の厚さ方向の断面におけるAl酸化物の密度を0.1?500個/mm^(2)とする、請求項1又は2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項4】
50Hz、1.7テスラの交流磁場を印加した条件での保磁力値を30A/m以下とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
【請求項5】
(削 除)
【請求項6】
(削 除)
【請求項7】
(削 除)
【請求項8】
(削 除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-07-04 
出願番号 特願2013-540906(P2013-540906)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (C21D)
P 1 651・ 536- YAA (C21D)
P 1 651・ 537- YAA (C21D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 陽一  
特許庁審判長 板谷 一弘
特許庁審判官 金 公彦
鈴木 正紀
登録日 2015-06-05 
登録番号 特許第5756862号(P5756862)
権利者 ポスコ
発明の名称 磁性に優れた方向性電磁鋼板及びその製造方法  
代理人 伊藤 正和  
代理人 原 裕子  
代理人 三好 秀和  
代理人 伊藤 正和  
代理人 三好 秀和  
代理人 原 裕子  
代理人 中村 誠  

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