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審決分類 審判 全部申し立て 特29条特許要件(新規)  H04N
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H04N
審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04N
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H04N
管理番号 1332243
異議申立番号 異議2016-700163  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-02-25 
確定日 2017-08-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5770874号発明「テレビジョンシステムを通してのインターネットデータへのアクセス」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5770874号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕、〔6-10〕について、訂正することを認める。 特許第5770874号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5770874号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、1997年(平成9年)10月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、1996年10月16日、米国、1996年12月4日、米国、1996年12月9日、米国、1997年1月1日、米国、1997年1月8日、米国、1997年3月14日、米国)を国際出願日とする出願である特願平10-518588号の一部を、特許法第44条第1項の規定により、数次の分割を経て、平成26(2014)年3月10日に新たな特許出願(特願2014-46099号)としたものであって、平成27年7月3日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成28年2月25日付けで特許異議申立人岡本敏夫より、請求項1ないし10に係る特許に対して特許異議の申立てがされ、平成28年4月27日付けで取消理由が通知され、平成28年8月8日に意見書が提出され、平成28年9月8日付けで取消理由通知がされ、平成28年12月8日に意見書が提出され、平成29年1月24日付けで取消理由通知(決定の予告)がされ、平成29年4月28日に意見書の提出及び訂正請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人岡本敏夫から平成29年6月15日付けで意見書が提出されたものである。


2.訂正の適否
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである(下線は特許権者による。)。
ア 請求項1に係る「第2のユーザ装置を用いてシリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対するユーザリクエスト」を「第2のユーザ装置を用いてシリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対する1つのユーザリクエスト」に訂正し、その結果として請求項1を引用する請求項2ないし5も訂正する。

イ 請求項6に係る「第2のユーザ装置を用いてシリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対するユーザリクエスト」を「第2のユーザ装置を用いてシリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対する1つのユーザリクエスト」に訂正し、その結果として請求項6を引用する請求項7ないし10も訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記ア、イの訂正事項に関連する記載として、明細書の発明の詳細な説明には、
「彼または彼女は特定の1つまたは複数の番組を録画する命令と共に、データユニットを彼の、または彼女の装置へ送るように指令することができる。この命令は、週の異なる夜の異なる時刻に放送されるミニシリーズのような連続的に放送されるテレビジヨン番組のために構成された複雑な録画シーケンスであることができる。」(段落【0053】、下線は当審で付与。)
との記載がある。
上記記載からは、「番組を録画する命令」は、複数の番組を録画する命令であってよく、また、「複雑な録画シーケンス」とすることで、「週の異なる夜の異なる時刻に放送されるミニシリーズのような連続的に放送されるテレビジヨン番組の録画のための命令」とすることができることが把握される。
ここで、「複雑な録画シーケンス」として構成された「番組を録画する命令」が、「1つの」命令であるかどうかについては、明示の記載はないものの、「シーケンス」として構成された命令は、出願時の技術常識に照らして、「一連のまとまりのある」命令として解するのが相当であり、上記記載に接した当業者が、これを「1つの」命令であると解することに、何ら不合理な点はない。
したがって、明細書に記載した「複雑な録画シーケンス」として構成された「番組を録画する命令」に対応する、請求項に記載した「シリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対するユーザリクエスト」が、「1つのユーザリクエスト」であることは、当初明細書等の記載から自明な事項であると認められるから、上記ア、イの訂正は、新たな技術的事項を導入するものであるとはいえない。
上記ア、イの訂正は、明細書に記載された事項の範囲内において「第2のユーザ装置を用いてシリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対するユーザリクエスト」を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、これら訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。

(3)小括
したがって、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-5〕、〔6-10〕について訂正を認める。

(4)特許異議申立人の意見について
特許異議申立人岡本敏夫は、本件訂正について、願書に添付した明細書等の記載事項の範囲内にないとして、訂正の要件を満たさない旨主張するが、上記のとおりであるから、かかる主張には理由がない。


3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし10に係る発明(以下、「本件発明1ないし10」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである((A)ないし(F’)は当審において付与した。以下、「構成A」等という。)

〔本件発明1〕
【請求項1】
(A)複数の番組を録画する方法であって、
(B)前記方法は、
(B-1)ISP(「Internet Service Provider」)において、第1のユーザ装置から、第2のユーザ装置を用いてシリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対する1つのユーザリクエストを受信することであって、
(B-1-1)前記第2のユーザ装置は、ユーザにより選択され、
(B-1-2)前記ユーザリクエストは、録画シーケンス命令を含む、ことと、
(B-2)前記ISPから、前記第2のユーザ装置に、前記録画シーケンス命令を含む録画データを伝送することであって、
(B-2-1)前記第2のユーザ装置は、前記録画シーケンス命令を受信したことに応答して前記複数の番組を録画するように構成される、ことと
(B)を含む、方法。

〔本件発明2〕
【請求項2】
(C)前記録画シーケンス命令は、前記複数の番組のうちの少なくとも1つに対するチャンネル、日付、時刻および長さのうちの少なくとも1つを表すデータを含む、請求項1に記載の方法。

〔本件発明3〕
【請求項3】
(D)前記複数の番組は、異なる時刻に放送されるテレビジョン番組である、請求項1に記載の方法。

〔本件発明4〕
【請求項4】
(E)前記ユーザリクエストは、前記第2のユーザ装置からリモートのユーザにより出される、請求項1に記載の方法。

〔本件発明5〕
【請求項5】
(F)前記伝送された録画データのうちの少なくとも一部は、前記第2のユーザ装置のメモリに格納される、請求項1に記載の方法。

〔本件発明6〕
【請求項6】
(A’)複数の番組を録画するシステムであって、
(B’)前記システムは、
(B-1’)ISP(「Internet Service Provider」)において、第1のユーザ装置から、第2のユーザ装置を用いてシリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対する1つのユーザリクエストを受信する手段であって、
(B-1-1’)前記第2のユーザ装置は、ユーザにより選択され、
(B-1-2’)前記ユーザリクエストは、録画シーケンス命令を含む、手段と、
(B-2’)前記ISPから、ユーザ録画機器に、前記第2のユーザ装置への前記録画シーケンス命令を含む録画データを伝送する手段であって、
(B-2-1’)前記第2のユーザ装置は、前記録画シーケンス命令を受信したことに応答して前記複数の番組を録画するように構成される、手段と
(B’)を含む、システム。

〔本件発明7〕
【請求項7】
(C’)前記録画シーケンス命令は、前記複数の番組のうちの少なくとも1つに対するチャンネル、日付、時刻および長さのうちの少なくとも1つを表すデータを含む、請求項6に記載のシステム。

〔本件発明8〕
【請求項8】
(D’)前記複数の番組は、異なる時刻に放送されるテレビジョン番組である、請求項6に記載のシステム。

〔本件発明9〕
【請求項9】
(E’)ユーザ入力端末は、前記第2のユーザ装置からリモートにある、請求項6に記載のシステム。

〔本件発明10〕
【請求項10】
(F’)前記伝送された録画データのうちの少なくとも一部は、前記第2のユーザ装置のメモリに格納される、請求項6に記載のシステム。

(2)取消理由(決定の予告)の概要
訂正前の請求項1ないし10に係る特許に対して平成29年1月24日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。

請求項1ないし10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1ないし10に係る特許は、取り消されるべきものである。

(3)甲号証の記載
(3-1)甲第1号証(特開平8-56352号公報)について
(3-1-1)甲第1号証の記載事項
「【0046】(実施例2)本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例は家庭用ビデオ録画装置を対象としたものである。図5において、50は自宅、51は友人宅である。なお、「自宅」「友人宅」という表現は説明の便宜上の呼称であって、発明の実施形態はこれに限定されない。自宅50、友人宅51は地上波あるいは衛星放送受信アンテナ55を備え、1または複数の周知の家庭用VTR52を備えており、これらのVTRは以下に説明する本発明の制御手段53a、53bにより制御されている。
【0047】自宅50の制御手段53aと友人宅51の制御手段53bは例えば公衆電話網54に接続されており、以下に説明するように、お互いに通信できるようになっている。
【0048】制御手段53の構成を図6を用いて説明する。67はリモコンで、使用者が制御手段53に指令を送るのに用いられる。65はリモコン受光部で、リモコン67からの指令はここで受信され、CPU61に届く。61はリモコンからの指令により、予約調整部69、録画依頼部70、電話帳64を制御するCPUである。
【0049】69はリモコン67もしくは録画依頼部70からCPU61経由で入力された新たなタイマー録画予約要求と、予約記憶部63に登録済みのタイマー録画予約を比較して、タイマー録画テーブルの予約を計画・設定する予約調整部である。
【0050】70は、リモコン67や予約調整部69からの録画依頼要求を受けて、電話帳64を参照して電話I/F62経由で友人宅51宛に後述する録画依頼電文を出力し、または同様にして友人宅51から送られてきた録画依頼電文を受信し、CPU61経由で予約調整部69にタイマー録画要求を出力する録画依頼部である。
【0051】62は録画依頼部70が電話網経由で電文をやりとりするための電話I/F部で、例えば周知の電話用モデムである。63は番組録画の予約内容を記憶する予約記憶部で、録画時間、チャンネル、どのVTRに録画するか、録画モードを記憶する。68は予約記憶部63と、時計71から得られる時刻と予約内容に従って接続されているVTR52に録画開始、録画終了などの制御信号を出力する録画実行指令部である。
【0052】なお、前記録画実行指令部68は接続されているVTR52に挿入されているテープの録画可能な残量、品質を探知できることが望ましいが、テープを挿入した時に、その旨リモコン67で申告してもよく、この情報を予約記憶部63において記憶し、録画予約を設定する際に参照できるようにしておくことが望ましい。
【0053】なお、VTR52は地上波や衛星放送以外にも、ケーブルテレビや館内放送にも接続できる。また、制御手段53からVTRへの制御信号の伝送は制御線を用いる他に例えば赤外線リモコン信号や計算機LANを用いてもよい。
【0054】なお、電話帳64への電話番号の登録の仕方として、登録毎に優先順位をつけて記憶しておくことが望ましい。また、予約調整部69はVTR毎の特長、例えばいわゆる衛星放送を受信できるか否か、プレミアム放送のデコーダを備えているかどうかといった情報を記憶していることが望ましい。
【0055】また、ここに友人宅のVTRの特性も記憶しておき、録画依頼を行う際に参照することも可能である。また、VTRの他に録画手段としては光磁気ディスク装置、ディジタルVTR、動画を蓄積・再生可能なパソコンなどでもよい。
【0056】また、本実施例では、制御手段53同士の通信は電話網54を用いたが、電話網54の代わりに例えば計算機LANを用いることも可能である。この場合、録画依頼をする際にLANのブロードキャスト機能を用いて同時に複数の友人宅に録画依頼を行うことが可能となり、より高速な録画依頼を行うことができる。
【0057】前記構成について、以下にその動作を説明する。自宅50において、リモコン67を用いて制御手段53に対して番組録画予約を行う。従来ののVTRの番組予約と異なるのは、予約する番組が時間的に重複していても構わない点である。
【0058】CPU61は番組録画予約要求を受信すると、これを予約調整部69に送る。予約調整部69は予約記憶部63を参照し、予約可能なVTRに録画要求を割り振り、これを予約記憶部63に登録する。予約可能なVTRに任意性がある場合、表示部66にその旨表示して、リモコン67を用いてどのVTRに録画するかを指示でき、指示なき場合は自動的に割り振られるのが望ましい。
【0059】また、通常時は予約記憶部63の予約内容を表示部66に表示しておくことが望ましい。また、予約調整部69がVTRの性能を記憶し、録画予約を割り当てるときに高性能なVTRを優先的に割り当てるという動作も可能である。
【0060】以上のようにして、録画予約を入れていくと、やがて例えば図7に示した通り、番組A?Cに加えて、さらに番組Dを録画予約することができなくなる事態が発生する。ところが、図7をよく観察すると、VTR毎の録画割り当てを変更することであらたに番組Dの予約を入れることができることに注意されたい。
【0061】例えば番組Aの録画動作中において番組Dの録画予約の要求があった場合、VTR1が録画中の番組Aを中断しすることは望ましくないので、予約調整部69は、まだ録画開始していない番組BをVTR1に割り振り、番組CをVTR2に割り振ることで、VTR2に番組Dの予約を割り当てる。
【0062】しかし、予約調整部において以上の動作を以てしても満たしきれない番組予約要求が発生した場合、以下の動作に従って友人宅51のVTRに録画の依頼を自動的に行うことになる。
【0063】予約調整部69はCPU61を介して録画依頼部70に、友人宅に録画依頼するよう指令する。自宅50の制御手段53aの電話帳64には、友人宅51を含む複数の友人宅の電話番号と、望ましくはパスワードとサブアドレスがあらかじめリモコン67を用いて登録してある。録画依頼部70は電話帳64を参照し、優先順位のもっとも高い友人宅51を検索し、電話I/Fを介して友人宅51に電話する。
【0064】友人宅51の制御手段53bはあらかじめ設定してある発呼回数を越えると自動的に応答し、応答した証として応答信号を制御手段53aに対して送信する。なお、電話回線としてISDN網を用いている場合は、録画装置を特定するサブアドレスを付けて発呼することで、友人宅の録画装置を特定して呼び出すことができる。
【0065】自宅の制御手段53aは友人宅の制御手段53bからの応答を確認すると、制御手段53bに対して、自宅の電話番号と、望ましくはあらかじめ取り決めたパスワードを送信する。
【0066】友人宅の制御手段53bの録画依頼部は電話帳を参照し前記電話番号とパスワードを照合する。照合に失敗した場合は、不法アクセスと判断し、否定応答信号を自宅制御手段53aに送信し、電話回線を切断する。友人宅の制御手段53bにおいて前記不法アクセスが発生したことを記憶し、表示部66に表示することも可能である。照合に成功した場合は自宅50の制御手段53aからのアクセスを許可するものとし、自宅の制御手段53aに対して正常応答信号を送信する。
【0067】自宅の制御手段53aの録画依頼部70は前記の正常応答信号を受信すると、以下の録画依頼を行う。否定応答信号を受信した場合は警告メッセージを表示部66に表示し、電話帳64で次に優先順位の高い友人宅を検索し、依頼動作を繰り返す。
【0068】自宅の制御手段53aの録画依頼部70は録画依頼する番組の時間情報とチャンネル情報と、望ましくは録画品質情報を含んだ録画依頼電文を友人宅51の制御手段53bに送信する。
【0069】友人宅の制御手段53bは前記電文を受信し、その録画要求を予約調整部69に送る。予約調整部69は、自宅50の制御手段53aが行った前述と同様の動作で、録画要求を満たそうとする。満たすことが可能な場合は、正常応答を自宅50に送信し、不可能な場合は否定応答を送信する。
【0070】自宅50の制御手段53aは前記動作によって正常応答を受信した場合はその旨表示部66に表示し、電話を切断する。否定応答を受信した場合は、電話帳64で次に優先順位の高い友人宅を検索し、録画依頼動作を繰り返す。なお、電話帳64に登録してある友人宅すべてに依頼しても、録画依頼が受理されなかった場合は、該当番組は録画依頼できないことになり、その旨表示部66に表示する。
【0071】以上のようにして、時間が重複する番組を分散的に録画することによって、従来のように独立単体で使用するVTRでは録画しきれなかった番組を自動的に録画可能となった。
【0072】なお、前述のように電話網54の代わりに計算機LANを用いる場合、電話帳64は電話番号の代わりにアドレス記憶する。友人宅に録画依頼をする際は、特定の友人宅に各々依頼するより、好ましくはLAN上の限定された友人宅のグループ、もしくはLAN上の友人宅すべてに対して録画依頼をブロードキャストし、返信された電文を参照して、好ましくは前記負担度を参照し、適切な友人宅に録画依頼の確定を行うという動作を行う。これによって、電話網を用いた場合よりも少ない依頼回数で録画依頼ができる。
【0073】なお、VTRを再生用途で利用中に自動的に予約が入ってしまうのは困るので、望ましくはVTRの再生状態を録画実行指令部68が検知して再生中のVTRに録画予約を割り当てるときはアラームを表示部66に表示したり、アラーム音を発するようにすると便利である。
【0074】以上のようにして予約記憶部63に予約された番組は、時計71によるタイマー動作により、録画実行指令部68によりVTR52に制御信号が送られることで録画が実行される。
【0075】このように、従来は独立単体で動作していた複数のVTRを本発明の制御手段を用いて協調動作させることで、限られた台数のVTRを有効利用し、番組録画能力を高めることができる。」

(3-1-2)甲第1号証に記載された発明
(3-1-2-1)甲第1号証の【0046】には、「家庭用ビデオ録画装置を対象」とする技術が記載されている。
ここで、同【0057】には、「番組録画予約」について「予約する番組が時間的に重複していても構わない」と記載されているから、甲第1号証には、複数の番組を録画することが記載されているといえる。
したがって、甲第1号証には、「家庭用ビデオ録画装置において、複数の番組を録画する技術」が記載されていると認められる。

(3-1-2-2)甲第1号証の【0046】、【0047】には、自宅50の制御手段53aと友人宅51の制御手段53bとを有し、上記制御手段53a、53bは、それぞれに接続された家庭用VTR52を制御するものであり、かつ、上記制御手段53a、53bは、公衆電話回線網で接続されることが記載されている。また、同【0062】には、満たしきれない番組予約要求が発生した場合、友人宅51のVTRに録画の依頼を自動的に行うことが記載されている。
ここで、甲第1号証の【0050】、【0051】の記載を参酌すると、上記依頼は、自宅の制御手段から、友人宅の制御手段に対して、録画依頼電文を送信することで行っているといえる。
以上まとめると、甲1号証には、「自宅50の制御手段53aと友人宅51の制御手段53bを有し、上記制御手段53a、53bは、それぞれに接続された家庭用VTR52を制御するものであり、かつ、上記制御手段53a、53bは、公衆電話回線網で接続され、自宅において満たしきれない番組予約要求が発生した場合、友人宅51のVTRに録画依頼電文を送信することで録画の依頼を自動的に行う」ことが記載されていると認められる。

(3-1-2-3)甲第1号証の【0068】には、「録画依頼する番組の時間情報とチャンネル情報と、望ましくは録画品質情報を含んだ録画依頼電文」との記載がある。
したがって、上記した「録画の依頼」には「録画依頼する番組の時間情報とチャンネル情報と、望ましくは録画品質情報」が含まれていると認められる。

(3-1-2-4)甲第1号証の【0048】-【0051】には、上記制御手段53a、53bは、それぞれ、「予約調整部69」、「予約記憶部63」を含むことが、同【0069】には、「友人宅の制御手段53bは録画依頼電文を受信し、その録画要求を予約調整部69に送」っていることが開示されている。
ここで、上記録画要求は、自宅の制御手段から見れば、上記(3-1-2-2)で検討した「録画の依頼」であって、友人宅の制御手段は、録画依頼電文を受信し、その録画要求を予約調整部69に送った後、以下で検討するように、友人宅の録画装置で上記録画依頼電文にある録画(の予約)が実行されるから、録画依頼電文には、録画の依頼が含まれていることは明らかである。
また、上記「録画の依頼」には、「録画依頼する番組の時間情報とチャンネル情報と、望ましくは録画品質情報」が含まれていることは、(3-1-2-3)で検討したとおりである。
したがって、甲第1号証には、『上記制御手段53a、53bは、それぞれ、「予約調整部69」、「予約記憶部63」を含み、友人宅の制御手段53bは録画依頼電文を受信し、録画依頼電文に含まれる「録画依頼する番組の時間情報とチャンネル情報と、望ましくは録画品質情報」を予約調整部69に送る』ことが記載されていると認められる。

(3-1-2-5)甲第1号証の【0069】には、友人宅の制御手段の動作について「予約調整部69は、自宅50の制御手段53aが行った前述と同様の動作で、録画要求を満たそうとする。」とあるが、上記「録画要求」は「録画の依頼」であることは先に検討したとおりであり、また、「自宅50の制御手段53aが行った前述と同様の動作」とは、【0058】の「CPU61は番組録画予約要求を受信すると、これを予約調整部69に送る。予約調整部69は予約記憶部63を参照し、予約可能なVTRに録画要求を割り振り、これを予約記憶部63に登録する。予約可能なVTRに任意性がある場合、表示部66にその旨表示して、リモコン67を用いてどのVTRに録画するかを指示でき、指示なき場合は自動的に割り振られるのが望ましい。」の動作であることは明らかであるから、「予約調整部69は、予約可能なVTRに録画の依頼を割り振り、これを予約記憶部63に登録」しているといえる。
そして、【0074】には、「予約記憶部63に予約された番組は、時計71によるタイマー動作により、録画実行指令部68によりVTR52に制御信号が送られることで録画が実行される」ことも開示されている。
以上まとめると、甲1号証には、「友人宅の制御手段及びVTRを利用して受信した電文にある録画の依頼を満たすため、予約可能なVTRに録画の依頼を割り振り、これを予約記憶部63に登録し、予約記憶部63に予約された番組は、タイマー動作により、録画実行指令部68によりVTR52に制御信号が送られることで録画が実行される」ことが記載されていると認められる。

(3-1-2-6)まとめ
以上、(3-1-2-1)ないし(3-1-2-5)の技術を総合し、方法の発明として認定すると、甲第1号証には、以下のとおりの発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
((a)ないし(b)は当審が付与した。以下、それぞれ、構成(a)、構成(b)等という。)

〔甲1発明〕
(a)家庭用ビデオ録画装置において、複数の番組を録画する方法であって、
(b)前記方法は、
(b-1)自宅50の制御手段53aと友人宅51の制御手段53bを有し、上記制御手段53a、53bは、それぞれに接続された家庭用VTR52を制御するものであり、かつ、上記制御手段53a、53bは、公衆電話回線網で接続され、自宅において満たしきれない番組予約要求が発生した場合、友人宅51のVTRに録画依頼電文を送信することで録画の依頼を自動的に行うことであって、
(b-1-1)上記「録画の依頼」には「録画依頼する番組の時間情報とチャンネル情報と、望ましくは録画品質情報」が含まれ、
(b-2)上記制御手段53a、53bは、それぞれ、「予約調整部69」、「予約記憶部63」を含み、友人宅の制御手段53bは録画依頼電文を受信し、録画依頼電文に含まれる「録画依頼する番組の時間情報とチャンネル情報と、望ましくは録画品質情報」を予約調整部69に送るものであって、
(b-2-1)友人宅の制御手段及びVTRを利用して、受信した録画依頼電文にある録画の依頼を満たすため、予約可能なVTRに録画の依頼を割り振り、これを予約記憶部63に登録し、予約記憶部63に予約された番組は、タイマー動作により、録画実行指令部68によりVTR52に制御信号が送られることで録画が実行されることと、
(b)を含む方法。

(3-2)甲第2号証(欧州特許出願公開第732835号明細書)について
(3-2-1)甲第2号証の記載事項(下線及び翻訳文は、当審で付したものである。)
ア 「The present invention provides a seamlessly integrated system that makes it possible to use an information transmission network, such as the Internet, which lacks 1) guaranteed quality of service, 2) security and 3) an easy and flexible mechanism to charge for the information and transmission services to be used together with a public switched network (e.g., PSTN, ISDN, ATM, etc.type networks) that does offer these functionalities. While the remainder of this specification will be described with the assumption that the switched network is a Public Switched Telephone Network (PSTN), it should be noted that the switched network may also be a private or corporate communication or data network as long as it provides the three functionalities.」(第2頁第2欄第44-57行)
(邦訳)
(本発明は、1)QoS保証、2)セキュリティ、および、3)容易かつ柔軟な、情報および伝送サービス向け課金メカニズム、を欠いた、インターネットのような情報伝送ネットワークを、これら機能が提供される公衆交換網(例えば、PSTN、ISDN、ATMなどのタイプのネットワーク)と一緒に使用することを可能にする、継ぎ目のない統合システムを提供する。この明細書の残りの部分では、交換網が公衆交換電話網(PSTN)であると仮定して説明するが、この3つの機能を提供する限り、交換網は、私的または企業の、通信もしくはデータネットワークであってもよい。)

イ 「Various on-line service providers (209 of FIG. 2), such as America Online, CompuServe, Delphi etc., use PSTN with modems 207 or ISDN (503 of FIG. 5) for client connections. The servers used by these one-line service providers 209 are already on the Internet and they do not have access to modem pools for their clients' connections. It is possible to service client 100 on the servers used by these service providers when client 100 makes a service request. In this case, the server 130 establishes a phone connection the service provider's(209) server which, in turn, forwards the call to the line of the client 100 who initiated the request. This could be accomplished, for example, using PBX functionalities or call forwarding features that exist on many on-line service provider systems.」(第3頁第4欄第43-57行)
(邦訳)
(「America Online」、「CompuServe」、「Delphi」などの様々なオンラインサービスプロバイダ(図2の209)は、クライアント接続のために、モデム207を有するPSTNまたはISDN(図5の503)を使用する。これらのオンラインサービスプロバイダ209により使用されるサーバは、すでにインターネット上にあり、これらのサーバはそのクライアントの接続のためのモデムプールへアクセスしない。クライアント装置100がサービス要求を行った場合に、これらのサービスプロバイダにより使用されるサーバ上のクライアント装置100にサービスすることが可能である。この場合、サーバ130は、サービスプロバイダ(209)のサーバへの電話接続を確立し、このサーバは、要求を発したクライアント装置100の回線へ通話を送る。これは、例えば、多くのオンラインサービスプロバイダシステムに存在するPBX機能または通話転送機能を使用して達成される。)

(3-2-2)甲第2号証に記載された技術事項
甲第2号証のア.には、インターネットをISDN等の公衆交換網と一緒に使用する統合システムについて記載され、同イ.には、オンラインサービスプロバイダが、ISDNを使用して、クライアント装置をインターネットに接続させ、クライアント装置からのサービス要求を受けて、サービスを提供することが記載されている。
したがって、甲第2号証には、「インターネットとISDNの統合システムにおいて、オンラインサービスプロバイダが、ISDNを使用してクライアント装置をインターネットに接続させ、サービス要求を受信する技術」が開示されているといえる。

(3-3)甲第3号証(特開平5-28582号公報)について
(3-3-1)甲第3号証の記載事項(下線は当審で付与。)
「【0004】ここで、連続ドラマなど毎週特定の曜日、時間に放映されている放送番組のタイマ予約を行う場合、使用者はVTR本体1の予約部2の設定キー部24を操作して予約プログラム設定項目を指定操作した後、VTR本体1をタイマ状態にする。また、この毎週放映されている放送番組の最終回が終了したことにより不要になった予約プログラムは使用者が確認して取り消している。
【0005】毎週特定の曜日、時間に放映されている放送番組のタイマ予約を行う場合の予約プログラムの設定操作は、(1) 曜日(毎週)、(2) 開始時刻(時,分)、(3)終了時刻(時,分)、(4) 放送チャンネル、(5) 録画モード(録画スピード)とすることである。」

(3-3-2)甲第3号証に記載された技術事項
上記記載によれば、甲第3号証には、「連続ドラマなど毎週特定の曜日、時間に放映されている放送番組のタイマ予約を行う場合、曜日(毎週)、開始時刻、終了時刻、放送チャンネル、録画モード(録画スピード)を設定する」ことが開示されているといえる。

(3-4)甲第4号証(特開平7-169138号公報)について
(3-4-1)甲第4号証の記載事項(下線は当審で付与。)
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は所望のテレビ番組をビデオカセットレコーダ(以下、VCRという)に録画する方法に関し、特に、週単位で2回以上の決まった時間に連続して放送される連続テレビ番組の録画方法に関する。
(略)
【0020】ステップS7においては、連続テレビ番組が放送される曜日、例えば、T1とT2で示された月曜日と金曜日を順番にリモコン装置10上の曜日キー17を介してシステム制御器50に入力する。その後、ステップS8に移行する。
【0021】ステップS8において、連続テレビ番組の録画のための開始時間、終了時間、録画速度およびチャンネル情報をリモコン装置10上にあるそれらに対応するキー14,15,13を介してシステム制御器50に入力する。」

(3-4-2)甲第4号証に記載された技術事項
上記記載によれば、甲第4号証には、「週単位で2回以上の決まった時間に連続して放送される連続テレビ番組の録画の際に、放送曜日、開始時間、終了時間、録画速度及びチャンネル情報を入力する」ことが開示されているといえる。

(3-5)甲第5号証(欧州特許出願公開第735749号明細書)について
(3-5-1)甲第5号証の記載事項(下線及び翻訳文は、当審で付したものである。)
ア 「In yet another aspect of the invention, the aforementioned objects may be achieved by providing a method for a viewer to interactively select a program. The method includes a step of receiving program schedule data for at least 300 individual channels for a time period of at least a week. The received program schedule data is stored locally in a database format in order to expedite later sorting and retrieval. Next, the program schedule data is filtered into a subgroup of the program schedule data in response to interactive viewer inputs. The subgroup of the program schedule data is displayed for the viewer's inspection. The user then interactively selects a program from the subgroup of program schedule data for viewing on a TV screen, or alternatively for recording by an appropriate program recording device.」(第3頁第18-24行)
(邦訳)
(本発明の別の態様によれば、上述した目的は、視聴者が番組を対話式に選択する方法を提供することによって成し遂げられる。この方法は、少なくとも1週間の期間の少なくとも300の個々のチャンネルの番組スケジュールデータを受信する工程を含む。その受信された番組スケジュールデータは、のちの分類および検索を促進する目的でデータベース形式でローカルに蓄積される。次に、番組スケジュールデータは、視聴者による対話式入力に応じて番組スケジュールデータのサブグループにフィルタリングされる。番組スケジュールデータのサブグループは、視聴者の閲覧用に表示される。そして、ユーザは、TVのスクリーンに映したり、もしくは適切な番組録画装置により録画するために、番組スケジュールデータのサブグループから番組を対話式に選択する。)

イ 「Thus if a viewer were watching This Week in the NBA, and wanted to find a program of interest that is on later, the viewer would first actuate the zero (0) button of keypad 50 which would bring up the display of FIG. 10. Actuating the zero (0) button four more times takes the viewer through displays 900, 800, 700 and 500 of FIGs. 9, 8, 7 and 5 respectively. To get a specific program title, the search button 509 is actuated, which causes FIG. 16 to logically overlay the display 500. FIG. 16 shows a first display 1600 of an interactive alphanumeric selection sequence. First, all alphabetic titles are sorted into groups of five or less. If, for example, Nova was the title of the desired program, the active area would be moved from its initial position(either at the top of the display or at the last group selected) to the group of letters containing the letter N using the up arrow 52 or the down arrow 54 as shown in FIG.17 followed by actuation of the select (レ) button 64. This sequence would cause FIG.18 to logically overlay FIG. 17. In FIG. 18, the active area is moved from its initial location at M to the location of N as shown in FIG. 17 followed again by actuation ofthe select (レ) button 64 causes the display 2000 of FIG. 20 to overlay FIG. 19. In display 2000 are single instances of the first two letters, such as NYPD Blue is the only instance of N followed by Y, and multiple instances of the two letter string as denoted by the double right pointing arrows by NO. To continue the search for Nova, the active area is moved to the line containing NO of display 2000 as shown in FIG.21 using the down arrow 56 and actuating the select (レ) button 64, which causes display 2200 of FIG. 22 to overlay display 2000. Now, Nova is the only instance of a program beginning with NOV, so the entire title Nova appears in FIG. 22. By moving the active area to the line labeled NOVA in display 2200 and actuating the select (レ),button 64 causes the display 2300 shown in FIG. 23 to overlay display 2200 with a schedule of times and channels for the program series Nova.
FIG. 23 is a one week schedule that is laid out as a logical three dimensional grid. The days of the week are displayed along one side, in this case vertically along the left side, of the display 2300. Time of day is displayed along a perpendicular side, in this case horizontally across the top, for a twenty-four hour period. Thus, if an episode of Nova is scheduled at 8:00 p.m. on Sunday, a box of contrasting shade will be located in the intersection of the Sunday row and in the 8:00 p.m. column. The active area 2302 can be moved horizontally by arrows 56, 58 and vertically by arrows 52, 54 of keypad 50. If there are multiple occurrences of Nova on a particular night at a particular time, that fact is shown by a box, located at the intersection of the row of that day and the column of that time, having an asterisk (*) located in the box. The asterisk (*) indicates the presence of a logical stack of multiple programs of Nova appearing on competing channels, such as occurs on Wednesday night at 8:00 p.m. To move or navigate through a stack of programs (or stack of episodes of programs with the same name, for example) on a particular day at a particular time slot, the viewer uses the double up arrows button 60 and the double down arrows button 62 for this third degree of freedom. Because the display 2300 may require greater visual discrimination than program title as a matter of course, the frame information window 1904 is larger than usual for display 2300. Further, frame 2304 is annotated with arrows indicating the existence of program episodes above or below the active areas' position in the stack. If the cable 16 has access to 300 plus 'channels' of programming, it is conceivable that some programs, such as Nova will be offered by more than one channel at the same time. As described previously, once the viewer has moved the active area to a particular entry in two or three dimensions and actuates the select (レ) button 64, a selection is made. In this case, the selection sets an alarm to record a specific channel at a specific time at some day in the near future.」(第7頁第22-57行:“レ”はチェックマークを置き換えている。)
(邦訳)
(よって、視聴者が「今週のNBA」を視聴中に、その後の興味ある番組を探したい場合、視聴者は、まずキーパッド50の〔0〕ボタンを作動させると、図10の表示が出る。さらに4回〔0〕ボタンを押すと、図9、8、7および5それぞれの表示900、800、700および500へと進む。特定の番組のタイトルを出すには、検索ボタン509を作動させ、図16を表示500に論理的に重ねる。図16は、対話型英数字表示の選択シーケンスの第1表示1600を示す。まず、すべての英字表示のタイトルは、5つもしくはそれ以下のグループに分類される。たとえば、「Nova」が所望の番組のタイトルであった場合、その初期位置(表示の一番上か選択された最後のグループのどちらか)から、上向き矢印52または下向き矢印54を用いて、図17に示されるように、アクティブ領域を文字Nを含む文字のグループに移動した後、選択〔レ〕ボタン64を作動させる。このシーケンスにより、図18が図17の上に論理的に重なる。図18において、アクティブ領域は、Mにおける初期位置からNの位置へ移動されて、図17に示されたように、再度選択〔レ〕ボタン64の作動により、図19上に図20の表示2000が重なるようになる。表示2000には、最初の2つの文字についての1つのインスタンスが示されている。たとえば、NYPDブルーは、Nの後にYが続く唯一のインスタンスである。そして、2文字からなる列について複数のインスタンスがあるときは、NOの傍の二重右向き矢印により示す。Novaについて検索をつづけるには、下向き矢印56を用いて、図21に示されたように、アクティブ領域を表示2000のNOを含むラインに移動し、選択〔レ〕ボタン64を作動することにより、図22の表示2200が表示2000に重なる。現在、Novaは、NOVで始まる番組の唯一のインスタンスであるので、完全なタイトルNovaが図22に現れる。表示2200においてアクティブ領域をNOVAとラベル付けされたラインに移動し、選択〔レ〕ボタン64を作動することにより、図23に示された、シリーズ番組Novaのタイムスケジュールとチャンネルが書かれた表示2300が表示2200上に重なる。
図23は、論理的に3次元のグリッドとして構築された1週間のスケジュールである。その週の曜日は、表示2300の一方の側に、この場合は縦に且つ左側に、表示されている。1日の時刻はそれと垂直をなす側、この場合は一番上に水平方向にそって24時間で表示されている。よって、Novaのエピソードが日曜日の午後8時に予定されている場合、影付きのボックスは日曜日の行と午後8時の列とが交わったところに配されている。アクティブ領域2302は、キーパッド50の矢印56、58で水平方向に、矢印52、54で垂直方向に移動可能である。特定の夜の特定の時刻にNovaが複数放映される場合、ボックス内に星印(*)を伴って、その日の行とその時刻の列とが交わったところに配されたボックスにより示される。星印(*)は、水曜の夜8時に見られるように、競合するチャンネルに発生したNovaの複数の番組の論理的なスタックの存在を示す。特定の日の特定の時刻における番組のスタック(たとえば、同じ名称の番組のエピソードのスタック)を介して移動もしくは操作するには、この第3の自由度のために、二重上向き矢印ボタン60および二重下向き矢印ボタン62を使用する。表示2300が番組タイトルはもちろんとして視覚的な識別をより必要とすることもあるので、フレームの情報ウインドウ1904は表示2300については通常より大きい。さらに、フレーム2304は、スタック内の作動エリア位置より上もしくは下にある番組エピソードの存在を示す矢印により注釈されている。ケーブル16が番組の300以上の「チャンネル」へのアクセスを有する場合、Novaなどのいくつかの番組が同じ時間にひとつ以上のチャンネルにより提供されることもあり得る。前述したように、視聴者が2次元もしくは3次元において特定のエントリにアクティブ領域を移動し、選択(レ)ボタン64を作動すると、選択が行われる。この場合、選択は、数日以内の特定の時間に特定のチャンネルを録画するためのアラームを設定する。)

(3-5-2)甲第5号証に記載された技術事項
(3-5-2-1)甲第5号証のア.には、「視聴者が番組を対話式に選択する方法」について記載され、少なくとも1週間分の番組スケジュールデータを受信して、検索可能に蓄積し、番組スケジュールデータから、視聴や録画を行う番組をユーザが対話式に選択することが記載されている。

(3-5-2-2)甲第5号証のイ.には、ユーザが選択した特定のシリーズ番組の1週間のスケジュールを、縦軸を曜日、時刻を横軸としてグリッド表示すること、及び、表示した特定の番組のうち、グリッド表示上でユーザが選択した日時、チャンネルを録画するアラームを設定することが記載されている。

(3-5-2-3)以上より、甲第5号証には、「少なくとも1週間分の番組スケジュールデータを受信、蓄積し、ユーザが選択した特定のシリーズ番組の1週間のスケジュールをグリッド表示し、そのグリッド表示上で、ユーザが選択した特定の日時、チャンネルを録画する」ことが開示されているといえる。

(4)判断
ア 取消理由通知に記載した取消理由について
(ア)特許法第29条第2項について
a.本件発明1について
(a)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(a-1)本件発明1の構成(A)と甲1発明の構成(a)との対比
甲1発明の「家庭用ビデオ録画装置において、複数の番組を録画する方法」は、本件発明1の「複数の番組を録画する方法」と相違がない。

(a-2)本件発明1の構成(B)と甲1発明の構成(b)との対比
まず、本件発明1の記載をみると、「複数の番組を録画する方法」の「方法」が有する特定事項として、(B-1)、(B-2)を有し、上記(B-1)が有する特定事項である、「第2のユーザ装置」についてさらに限定する構成として(B-1-1)が、また、同「ユーザリクエスト」についてさらに限定する構成として(B-1-2)を有していること、および、上記(B-2)が有する特定事項である、「第2のユーザ装置」についてさらに限定する構成として(B-2-1)を有していることを特定している記載であると認めることができるから、以下では、そのような観点で対比する。
(a-2-1)本件発明1の構成(B-1)と甲1発明の構成(b-1)との対比
甲1発明の方法は、制御手段53a、53bおよび、それぞれに接続された家庭用VTRを有している。上記甲1発明の制御手段53a、53bおよび、それぞれに接続された家庭用VTRは、自宅およびユーザ宅にあるから、それぞれ、ユーザの装置であって、録画をすることができることからみて、本件発明1のユーザ装置といえる。
そして、甲1発明の方法は「自宅において満たしきれない番組予約要求が発生した場合、友人宅51のVTRに録画依頼電文を送信することで録画の依頼を自動的に行う」のであるから、自宅におけるユーザ装置から、友人宅のユーザ装置を用いて録画を行うように依頼をしており、友人宅のユーザ装置は、上記(自宅におけるユーザ装置から送信された)録画の依頼を受信している。
本件発明1の「第1のユーザ装置」、「第2のユーザ装置」は、平成28年8月8日付け意見書の14頁下から10行-17頁下から2行にあるとおり、それぞれ、「ユーザリクエストを送信する側の装置」、「ユーザリクエストを受信する側の装置」である。
したがって、甲1発明の「自宅のユーザ装置」、「友人宅のユーザ装置」、「録画の依頼」は、本件発明1の「第1のユーザ装置」、「第2のユーザ装置」、「番組を録画することに対するユーザリクエスト」に相当する。
甲1発明は、「複数の番組を録画する方法」であるから、上記録画依頼電文による録画の依頼は、複数の番組であることも排除していないことは明らかである。
もっとも、本件発明1では、上記複数の番組が「シリーズの番組のうちの複数の番組」であるのに対し、甲1発明では、「シリーズの番組のうちの」なる特定事項を有していない点で相違する。
また、本件発明1では、複数の番組を録画することに対する「ユーザリクエスト」が「一つ」であることが特定されているのに対し、甲1発明では、そうであるか不明な点で相違する。
さらに、本件発明1では、「ISP(「Internet Service Provider」)において」受信するのに対し、甲1発明では、「公衆電話回線網で接続され」ていることのみが開示されているから、「ISP(「Internet Service Provider」)において」受信する特定事項を有していない点で相違する。
以上まとめると、本件発明1と甲1発明とは、その方法が「第1のユーザ装置から、第2のユーザ装置を用いて複数の番組を録画することに対するユーザリクエストを受信することであ」る点で相違がない。
もっとも、本件発明1では、上記複数の番組が「シリーズの番組のうちの複数の番組」であるのに対し、甲1発明では、「シリーズの番組のうちの」なる特定事項を有していない点、本件発明1では、「ユーザリクエスト」が「一つ」であるのに対し、甲1発明では、そうであるか不明な点、本件発明1では、「ISP(「Internet Service Provider」)において」受信するのに対し、甲1発明では、「ISP(「Internet Service Provider」)において」受信する特定事項を有していない点で相違する。

(a-2-2)本件発明1の構成(B-1-1)と甲1発明の構成(b-1)との対比
甲1発明において、「自宅において満たしきれない番組予約要求が発生した場合、友人宅51のVTRに録画依頼電文を送信することで録画の依頼を自動的に行う」のであるから、「第2のユーザ装置は、ユーザにより選択され」ていない。
したがって、甲1発明は、本件発明1の構成(B-1-1)を有していない。

(a-2-3)本件発明1の構成(B-1-2)と甲1発明の構成(b-1-1)との対比
本件発明1の「録画シーケンス命令」は、特許明細書に同じ記載はないが、請求項2の記載も参酌すると「前記録画シーケンス命令は、前記複数の番組のうちの少なくとも1つに対するチャンネル、日付、時刻および長さのうちの少なくとも1つを表すデータを含む」とあるから、「録画の依頼を実行するための具体的なパラメータ等を含む命令」といえる。
これに対して、甲1発明の方法では、上記「録画の依頼」には、上記録画の依頼を実行するための具体的なパラメータである「録画依頼する番組の時間情報とチャンネル情報と、望ましくは録画品質情報」が含まれているから、「録画の依頼を実行するための具体的なパラメータ等を含む命令」であることは明白である。
したがって、甲1発明は、構成(B-1-2)を有している。

(a-2-4)本件発明1の構成(B-2)と甲1発明の構成(b-2)との対比
本件発明1の「録画シーケンス命令を含む録画データ」は、特許権者が提出した平成28年8月8日付け意見書(40頁6行-42頁最下行)も参酌すると、録画をするための制御データのみを示しているから、「録画シーケンス命令を含む録画をするための制御データ」と認めることができる。
これに対して、甲1発明では、友人宅の制御手段53bは録画依頼電文を受信していて、上記録画依頼電文は、「録画依頼する番組の時間情報とチャンネル情報と、望ましくは録画品質情報」を含んでいるから、録画をするための制御データである。
上記「録画依頼する番組の時間情報とチャンネル情報と、望ましくは録画品質情報」は、先に(a-2-3)にて検討したとおり、録画シーケンス命令に含まれる情報であるから、録画シーケンス命令を含む録画データを受信している。
以上のことから、甲1発明では、前記第2のユーザ装置に、前記録画シーケンス命令を含む録画データを伝送することが開示されている。
もっとも、本件発明1では、「前記ISPから」録画データを伝送しているのに対し、甲1発明では、「前記ISPから」伝送していない点で相違する。

(a-2-5)本件発明1の構成(B-2-1)と甲1発明の構成(b-2-1)との対比
甲1発明では、構成(b-2)で友人宅の制御手段53bが受信した録画依頼電文に含まれる録画の依頼を満たすため、録画の依頼を予約記憶部63に登録し、予約記憶部63に予約された番組は、タイマー動作により、(友人宅のVTRにて)録画が実行される構成を有しているから、友人宅の制御手段53bは、録画依頼電文を受信すると、録画を実行することが開示されている。
上記録画依頼電文は、(a-2-4)で検討したように、録画シーケンス命令を含んでおり、(a-2-1)で検討したように、複数の番組であることも排除していないことは明らかであるから、「前記第2のユーザ装置は、録画シーケンス命令を受信したことに応答して複数の番組を録画するように構成される」といえる。
もっとも、録画する番組が、本件発明1では「前記複数の番組」、すなわち、「シリーズの番組のうちの複数の番組」であるのに対し、甲1発明では、「シリーズの番組のうちの」なる特定事項を有していない点は、上記(a-2-1)のとおりである。

(a-3)まとめ(一致点、相違点)
以上まとめると、本件発明1と甲1発明とは以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
複数の番組を録画する方法であって、
前記方法は、
第1のユーザ装置から、第2のユーザ装置を用いて複数の番組を録画することに対するユーザリクエストを受信することであって、
前記ユーザリクエストは、録画シーケンス命令を含む、ことと、
前記第2のユーザ装置に、前記録画シーケンス命令を含む録画データを伝送することであって、
前記第2のユーザ装置は、前記録画シーケンス命令を受信したことに応答して前記複数の番組を録画するように構成される、ことと
を含む、方法。

(相違点1)
本件発明1では、第1のユーザ装置と第2のユーザ装置との間に『ISP(「Internet Service Provider」)』が存在し、上記ISP(「Internet Service Provider」)が、第1のユーザ装置からユーザリクエストを受信し、第2のユーザ装置に(録画シーケンス命令を含む)録画データを伝送しているのに対し、甲1発明では、当該構成を有していない点。

(相違点2)
「複数の番組を録画することに対するユーザリクエスト」について、本件発明1では、「1つのユーザリクエスト」により、「シリーズの番組のうちの複数の番組」を録画するのに対し、甲1発明では、当該特定事項を有していない点。

(相違点3)
本件発明1では「前記第2のユーザ装置は、ユーザにより選択され」るのに対し、甲1発明では、友人宅の録画装置の選択は、予約調整部が自動的に行っている点。

(b)判断
事案に鑑みて、相違点2について検討する。
番組の録画についての記載がある甲第3号証、同4号証、同5号証には、上記(3-3)ないし(3-5)にて検討したとおり、「連続ドラマなど毎週特定の曜日、時間に放映されている放送番組のタイマ予約を行う場合、曜日(毎週)、開始時刻、終了時刻、放送チャンネル、録画モード(録画スピード)を設定する」こと、「週単位で2回以上の決まった時間に連続して放送される連続テレビ番組の録画の際に、放送曜日、開始時間、終了時間、録画速度及びチャンネル情報を入力する」こと、及び、「少なくとも1週間分の番組スケジュールデータを受信、蓄積し、ユーザが選択した特定のシリーズ番組の1週間のスケジュールをグリッド表示し、そのグリッド表示上で、ユーザが選択した特定の日時、チャンネルを録画する」ことが、それぞれ開示されている。
しかしながら、上記相違点2に係る「一つのユーザリクエスト」により、「シリーズの番組のうちの複数の番組」を録画することは記載されておらず、また、自明であるともいえない。
なお、甲第2号証には、番組の録画に関する記載は認められない。
したがって、本件発明1は、甲1発明、及び、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明することができたとすることはできない。

b.本件発明2-10について
本件特許の請求項2-5は、請求項1を引用しており、上記した相違点2に係る構成を備えている。また、請求項1とは発明のカテゴリーが異なる請求項6も、上記相違点2に係る構成を備えており、同項を引用する請求項7-10も上記相違点2に係る構成を備えている。
ここで、相違点2についての判断は、上記のとおりであるから、本件発明2-10も、甲1発明、及び、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証の記載に基づいて、当業者が容易に発明することができたとすることはできない。

(イ)特許異議申立人の意見について
特許異議申立人岡本敏夫は、訂正された「第2のユーザ装置を用いてシリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対する1つのユーザリクエスト」なる事項は、甲1号証に記載された発明において、甲3号証、甲4号証で示される「シリーズの番組のうちの複数の番組」の録画予約の操作の仕方が適用されれば、自ずと導出される事項である旨主張するが、先に検討したとおり、甲第1号証、甲3号証、甲4号証のいずれにも、「1つのユーザリクエスト」により、「シリーズの番組のうちの複数の番組」を録画することは記載されておらず、また、自明であるとも認められないから、本件請求項1ないし10に係る発明は、甲第1号証及び甲3、4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明し得たものとはいえない。

イ 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(ア)特許法第29条第1項柱書きについて
特許異議申立人岡本敏夫は、訂正前の特許請求の範囲請求項1における、
(a)「ISP(「Internet Service Provider」)において、第1のユーザ装置から、第2のユーザ装置を用いてシリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対するユーザリクエストを受信すること」について、「ISP」は「事業者(団体)」であるから「人間の精神活動」であるとし、
(b)「前記第2のユーザ装置は、ユーザにより選択され」ることについて、「人間の精神活動」であるとし、
(c)「前記ユーザリクエストは、録画シーケンス命令を含む」ことについて、ユーザリクエストの中身は「人為的な取り決め」であるとし、
(d)「前記ISPから、前記第2のユーザ装置に、前記録画シーケンス命令を含む録画データを伝送すること」について、(a)と同様に、「人間の精神活動」である
等として、発明の特徴部分が「人間の精神活動」のみを利用しているから、請求項1に係る発明及びこれを引用する同2ないし5に係る発明、ならびに、請求項6-10に係る発明は、は、全体として「自然法則を利用していない」として、特許法第29条第1項柱書きの規定により特許を受けることができないと主張している。
しかしながら、本件明細書における「ISP」は、ユーザとインターネットとを接続するための機器のことを指しているから、上記(a)及び(d)は、機器が有する機能や動作を規定するものであって、人間の精神活動であるとみることはできない。
また、上記(b)、(c)については、それぞれ、上記(a)の「第2のユーザ装置」、及び、「ユーザリクエスト」を特定するための事項を記載したものであるから、上記(a)と同様に、機器が有する機能や動作を規定するものであるといえる。
よって、異議申立人の指摘する記載(a)ないし(d)によって、請求項1に係る発明を、「人間の精神活動」ないし「人為的取り決め」もしくはこれらのみに基づくものである、として、全体として自然法則を利用していないものと解することはできない。
以上のとおりであるから、上記した異議申立人の主張は理由がなく、訂正の前後を問わず、請求項1ないし10に係る発明は、全体として自然法則を利用したものであるといえ、特許法第29条第1項柱書きの規定に違反するものではない。

(イ)特許法第36条第6項第1号及び第2号、同条第4項第1号について
特許異議申立人岡本敏夫は、訂正前の特許請求の範囲に関し、請求項1ないし10に係る発明は、以下の(一)ないし(六)-2で掲げた点で不明確であり、サポート要件を満たしておらず、実施可能要件を満たしていないから、特許法第36条第6項第1号及び2号、同条第4項第1号の要件を満たさないと主張しているので検討する。

(一)請求項1に係る発明について、以下の(一)-1ないし(一)-6は記載不備である。
(一)-1「ISP」が、ユーザリクエストの受信、及び、録画データの伝送にあたり、どのような技術的手段を用いるのかが明確でない。また、明細書の記載からも、どのようにしてユーザリクエストを受信するのか、どのようにして録画データを伝送するのかが不明である。
(一)-2「ISP」が、受信したユーザリクエストからどのように録画データを生成して伝送するのかが明確でない。また、明細書の記載からも不明である。
(一)-3「第1のユーザ装置」がどのような装置であるのかが、明細書を参照しても不明である。
(一)-4「第1のユーザ装置」にて、第2のユーザ装置がどのようにして選択されるのかが不明である。
(一)-5「第1のユーザ装置」にて、ユーザリクエストに、どのようにして録画シーケンス命令を含まれるのかが不明である。
(一)-6 「第2のユーザ装置」が、録画シーケンス命令を受信して、複数の番組をどのようにして録画するのかが不明である。
(二)請求項2に係る発明は、請求項1を引用するから、請求項1に係る発明と同様に不明である。また、「少なくとも1つ」との表現の使用により、「録画シーケンス命令」から録画すべき「シリーズの番組のうちの複数の番組」を特定できない。
(三)請求項3に係る発明は、請求項1を引用するから、請求項1に係る発明と同様に不明である。また、「前記複数の番組は、異なる時刻に放送されるテレビジョン番組である」との記載は、複数の番組が「同じ日」である場合も含み、明細書の「週の異なる夜の異なる時刻に放送されるミニシリーズのような連続的に放送されるテレビジヨン番組」との記載に対して、技術的範囲が広すぎるから、明細書のサポートを欠き、当業者が実施できる程度に明細書に記載されていない。
(四)請求項4に係る発明は、請求項1を引用するから、請求項1に係る発明と同様に不明である。
(五)請求項5は、請求項1を引用するから、請求項1に係る発明と同様に不明である。また、「前記伝送された録画データのうちの少なくとも一部は、前記第2のユーザ装置のメモリに格納される」との記載は、明細書で説明されておらず、当業者が実施できる程度に明細書に記載されていない。
(六)請求項6?10に係る発明は、システムの発明であるが、実質的な内容が請求項1?5と同様であるので、(一)ないし(五)と同じ不備がある。
(六)-1 請求項6の「ユーザ録画機器」と「第2のユーザ機器」との関係が不明である。
(六)-2 請求項9の「ユーザ入力端末」と、同項が引用する請求項6の「第1のユーザ機器」との関係が不明である。

(イ-1)請求項1についての指摘事項(一)について
(一)-1及び2について、上記(ア)において検討したとおり、「ISP」なる表現は、クライアントとインターネットとを接続する機器を意味し、その技術的手段は自明であるから、発明は明確であり、ユーザリクエストの受信、録画データの生成及び伝送が、どのようにして行われるかは、当業者の技術常識に照らせば、明細書に記載しているに等しい事項であり、当業者が実施できる程度のものであるといえる。
(一)-3ないし5について、請求項に記載の「第1のユーザ装置」は、例えば、明細書及び図7に記載の「インターネットアクセス端末74」に対応する。当該端末にて、選択された第2のユーザ装置に関する情報を含む、番組録画に必要な各種の情報を備えた「ISPへの電子メール」を、作成、送信することは自明であるから、発明は明確であり、また、明細書に記載されており、当業者が実施できる程度のものであるといえる。
(一)-6について、番組の録画を実行する「第2のユーザ装置」は、段落【0053】の「データユニットを、特定のチャンネル、日付、時刻、及び長さでテレビジョン番組を録画するようにマイクロプロセッサへの命令を担持している特定のユーザの装置へ伝送し、指令する。」との記載における「特定のユーザの装置」としての構成を備えることは自明であるから、「第2のユーザ装置」がどのようにして録画するのかは、当業者に明らかであるといえる。

以上のとおり、請求項1に係る発明は明確であり、明細書に記載した範囲内のものであり、また、明細書の記載に基づいて、当業者が実施できる程度のものであるから、請求項1に係る発明についての、異議申立人の主張はいずれも理由がない。

(イ-2)請求項2-5についての指摘事項(二)ないし(五)について
上記(イ-1)で検討したように、請求項1に係る発明について、異議申立人が指摘する記載不備は認められないから、指摘事項(二)ないし(五)に共通する、請求項1を引用することに起因する記載不備はないといえる。
(二)について、請求項2の「少なくとも1つ」との表現は、異議申立人がいうように、番組を特定できない場合が、文理解釈上、生じるものの、そのような「録画シーケンス命令」を用いると、録画方法として成り立たないことは明らかであるから、請求項2に係る発明における「録画シーケンス命令」が、異議申立人の主張のような「チャンネルのみ」や「日付のみ」あるいは「時刻のみ」を特定する場合を含むものと解することはできない。よって、本事項についての異議申立人の主張は理由がない。
(三)について、段落【0053】の「週の異なる夜の異なる時刻に放送されるミニシリーズのような連続的に放送されるテレビジヨン番組」との記載は、「シリーズの番組」の例示に過ぎず、この記載に接した当業者であれば、請求項3の「異なる時刻に放送されるテレビジョン番組」も、当然に想起し得る範囲内にあるといえるから、本事項についての異議申立人の主張は理由がない。
(五)について、上記(イ-1)で検討したように、「第2のユーザ装置」は、段落【0053】の「データユニットを、特定のチャンネル、日付、時刻、及び長さでテレビジョン番組を録画するようにマイクロプロセッサへの命令を担持している特定のユーザの装置へ伝送し、指令する。」との記載における「特定のユーザの装置」としての構成を備えることは自明であり、「マイクロプロセッサ」による処理を実行する装置が、その処理のために「受信データの一部または全部」を「メモリに格納」することは、技術常識に過ぎない。してみれば、請求項5に記載した事項は、明細書に記載されているに等しい事項であるといえるから、本事項についての異議申立人の主張は理由がない。

以上のとおり、請求項2ないし5に係る発明は明確であり、明細書に記載した範囲内のものであり、また、明細書の記載に基づいて、当業者が実施できる程度のものであるから、請求項2ないし5に係る発明についての、異議申立人の主張はいずれも理由がない。

(イ-3)請求項6-10についての指摘事項(六)について
上記(イ-1)及び(イ-2)で検討したように、請求項1ないし5に係る発明について、異議申立人が指摘する記載不備は認められないから、指摘事項(六)についての異議申立人の主張は理由がない。
(六-1)について、「第2のユーザ装置」は、「番組を録画するように構成される」装置であるから、番組を「録画する機能」は不可欠であるといえる。請求項6の記載から、「ユーザ録画機器」は、「第2のユーザ装置」における「録画する機能」を担う機器であることは明らかであるから、「ユーザ録画機器」は、「第2のユーザ装置」の一部をなすものと解すべきであり、両者の関係は明確であるといえる。
(六-2)について、「第1のユーザ装置」は、ISPに対し、番組の録画に係る「ユーザリクエスト」を作成、送信する装置であるから、録画すべき番組を特定する情報を「入力するための手段」は不可欠であるといえる。請求項9及び引用する請求項6の記載から、「ユーザ入力端末」は、「第1のユーザ装置」において「入力するための手段」として機能するものであることは明らかであるから、「ユーザ入力端末」は、「第1のユーザ装置」の一部をなすものと解すべきであり、両者の関係は明確であるといえる。

以上のとおり、請求項6ないし10に係る発明は明確であり、明細書に記載した範囲内のものであり、また、明細書の記載に基づいて、当業者が実施できる程度のものであるから、請求項6ないし10に係る発明についての、異議申立人の主張はいずれも理由がない。


4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の番組を録画する方法であって、
前記方法は、
ISP(「Internet Service Provider」)において、第1のユーザ装置から、第2のユーザ装置を用いてシリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対する1つのユーザリクエストを受信することであって、前記第2のユーザ装置は、ユーザにより選択され、前記ユーザリクエストは、録画シーケンス命令を含む、ことと、
前記ISPから、前記第2のユーザ装置に、前記録画シーケンス命令を含む録画データを伝送することであって、前記第2のユーザ装置は、前記録画シーケンス命令を受信したことに応答して前記複数の番組を録画するように構成される、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記録画シーケンス命令は、前記複数の番組のうちの少なくとも1つに対するチャンネル、日付、時刻および長さのうちの少なくとも1つを表すデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の番組は、異なる時刻に放送されるテレビジョン番組である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザリクエストは、前記第2のユーザ装置からリモートのユーザにより出される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記伝送された録画データのうちの少なくとも一部は、前記第2のユーザ装置のメモリに格納される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の番組を録画するシステムであって、
前記システムは、
ISP(「Internet Service Provider」)において、第1のユーザ装置から、第2のユーザ装置を用いてシリーズの番組のうちの複数の番組を録画することに対する1つのユーザリクエストを受信する手段であって、前記第2のユーザ装置は、
ユーザにより選択され、前記ユーザリクエストは、録画シーケンス命令を含む、手段と、
前記ISPから、ユーザ録画機器に、前記第2のユーザ装置への前記録画シーケンス命令を含む録画データを伝送する手段であって、前記第2のユーザ装置は、前記録画シーケンス命令を受信したことに応答して前記複数の番組を録画するように構成される、手段と
を含む、システム。
【請求項7】
前記録画シーケンス命令は、前記複数の番組のうちの少なくとも1つに対するチャンネル、日付、時刻および長さのうちの少なくとも1つを表すデータを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の番組は、異なる時刻に放送されるテレビジョン番組である、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
ユーザ入力端末は、前記第2のユーザ装置からリモートにある、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記伝送された録画データのうちの少なくとも一部は、前記第2のユーザ装置のメモリに格納される、請求項6に記載のシステム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-07-26 
出願番号 特願2014-46099(P2014-46099)
審決分類 P 1 651・ 1- YAA (H04N)
P 1 651・ 121- YAA (H04N)
P 1 651・ 536- YAA (H04N)
P 1 651・ 537- YAA (H04N)
P 1 651・ 851- YAA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川崎 優古川 哲也  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 渡辺 努
篠原 功一
登録日 2015-07-03 
登録番号 特許第5770874号(P5770874)
権利者 ロヴィ ガイズ, インコーポレイテッド
発明の名称 テレビジョンシステムを通してのインターネットデータへのアクセス  
代理人 石川 大輔  
復代理人 福永 聡  
代理人 飯田 貴敏  
代理人 山本 秀策  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 秀策  
復代理人 福永 聡  
代理人 山本 健策  
代理人 森下 夏樹  
代理人 石川 大輔  
代理人 飯田 貴敏  
代理人 山本 健策  
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