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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B66F
審判 全部申し立て 2項進歩性  B66F
管理番号 1332252
異議申立番号 異議2017-700032  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-01-13 
確定日 2017-08-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5950314号発明「フォークリフト用ボディクッション」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5950314号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1及び〔2ないし7〕について訂正することを認める。 特許第5950314号の請求項6及び7に係る特許を維持する。 特許第5950314号の請求項1ないし5に係る特許についての申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5950314号の請求項1ないし7に係る特許は、平成26年8月21日に出願されたものであって、平成28年6月17日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人 株式会社豊田自動織機(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年3月15日付けの取消理由(以下、「取消理由」という。)が通知され、平成29年5月10日(受付日 平成29年5月11日)に意見書が提出されるとともに訂正の請求がされたものである。
その後、平成29年5月30日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、異議申立人に対して相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、何らの応答もなかった。

第2 訂正の請求
1 訂正の内容
平成29年5月10日付け訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項よりなる。(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に、
「それぞれの分割された前記突起部は、前記車体の上側から下側に向けて、段階的に長くなる
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のフォークリフト用ボディクッション。」とあるのを、
「立ち乗り型フォークリフトの運転スペースに設けられるボディクッションにおいて、
前記運転スペースのオペレータの腰部或いは背中部或いはでん部が当たる当接面に、前記オペレータの滑りを止めるための滑り止め部を備え、
前記滑り止め部は、車体の上下方向に延設されると共に、前記当接面から突出する少なくとも1つの突起部を備え、
前記突起部は、前記車体の上下方向に分割され、
それぞれの分割された前記突起部は、前記車体の上側から下側に向けて、段階的に長くなる
ことを特徴とするフォークリフト用ボディクッション。」と訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に、
「前記ボディクッションは、さらに、
前記分割された突起部の間に、前記当接面より窪んだ溝部を備え、
前記溝部は、
前記車体の前後方向に延設されると共に、前記車体の上下方向に傾斜し、かつ、前記ボディクッションの下端辺に達する
ことを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載のフォークリフト用ボディクッション。」とあるのを、
「立ち乗り型フォークリフトの運転スペースに設けられるボディクッションにおいて、
前記運転スペースのオペレータの腰部或いは背中部或いはでん部が当たる当接面に、前記オペレータの滑りを止めるための滑り止め部を備え、
前記滑り止め部は、車体の上下方向に延設されると共に、前記当接面から突出する少なくとも1つの突起部を備え、
前記突起部は、前記車体の上下方向に分割され、
前記ボディクッションは、さらに、
前記分割された突起部の間に、前記当接面より窪んだ溝部を備え、
前記溝部は、
前記車体の前後方向に延設されると共に、前記車体の上下方向に傾斜し、かつ、前記ボディクッションの下端辺に達する
ことを特徴とするフォークリフト用ボディクッション。」と訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1ないし5
a 訂正の目的について
訂正事項1ないし5は、請求項1ないし5を削除するというものであるから、訂正事項1ないし5は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと
上記aに記載したとおり、訂正事項1ないし5は、請求項1ないし5を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記aに記載したとおり、訂正事項1ないし5は、請求項1ないし5を削除するというものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

(2)訂正事項6
a 訂正の目的について
訂正事項6は、訂正前の請求項6が請求項4又は5のうち何れかの記載を引用する記載であるところ、請求項5を引用しないものとした上で、請求項4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に規定された他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。
また、訂正事項6は、多数項引用形式請求項の引用請求項を減少させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと
訂正事項6は、上記aに記載したとおり、訂正前の請求項6が請求項4又は5の記載を引用する記載であるところ、請求項5を引用しないものとした上で、請求項4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるものであって、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、上記aに記載したとおり、訂正前の請求項6が請求項4又は5の記載を引用する記載であるところ、請求項5を引用しないものとした上で、請求項4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

(3)訂正事項7
a 訂正の目的について
訂正事項7は、訂正前の請求項7が請求項4ないし6のうち何れかの記載を引用する記載であるところ、請求項5及び6を引用しないものとした上で、請求項4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に規定された他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。
また、訂正事項7は、多数項引用形式請求項の引用請求項を減少させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと
訂正事項7は、上記aに記載したとおり、訂正前の請求項7が請求項4ないし6のうち何れかの記載を引用する記載であるところ、請求項5及び6を引用しないものとした上で、請求項4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるものであって、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7は、上記aに記載したとおり、訂正前の請求項7が請求項4ないし6のうち何れかの記載を引用する記載であるところ、請求項5及び6を引用しないものとした上で、請求項4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項へ改めるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。

3 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件について、訂正前の全ての請求項1ないし7に係る特許について異議申立てがされているので、訂正前の請求項1ないし7に係る訂正事項1ないし7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

4 一群の請求項について
これらの訂正は、請求項〔2ないし7〕という一群の請求項について請求されており、一群の請求項ごとに請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項に適合するものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法第120条の5第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1及び〔2ないし7〕について、訂正を認める。

第3 本件訂正発明について
本件訂正の請求により訂正された請求項6及び7に係る発明(以下、「本件訂正発明6」及び「本件訂正発明7」という。)は、その特許請求の範囲の請求項6及び7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。)

「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
立ち乗り型フォークリフトの運転スペースに設けられるボディクッションにおいて、
前記運転スペースのオペレータの腰部或いは背中部或いはでん部が当たる当接面に、前記オペレータの滑りを止めるための滑り止め部を備え、
前記滑り止め部は、車体の上下方向に延設されると共に、前記当接面から突出する少なくとも1つの突起部を備え、
前記突起部は、前記車体の上下方向に分割され、
それぞれの分割された前記突起部は、前記車体の上側から下側に向けて、段階的に長くなる
ことを特徴とするフォークリフト用ボディクッション。
【請求項7】
立ち乗り型フォークリフトの運転スペースに設けられるボディクッションにおいて、
前記運転スペースのオペレータの腰部或いは背中部或いはでん部が当たる当接面に、前記オペレータの滑りを止めるための滑り止め部を備え、
前記滑り止め部は、車体の上下方向に延設されると共に、前記当接面から突出する少なくとも1つの突起部を備え、
前記突起部は、前記車体の上下方向に分割され、
前記ボディクッションは、さらに、
前記分割された突起部の間に、前記当接面より窪んだ溝部を備え、
前記溝部は、
前記車体の前後方向に延設されると共に、前記車体の上下方向に傾斜し、かつ、前記ボディクッションの下端辺に達する
ことを特徴とするフォークリフト用ボディクッション。」

第4 取消理由の概要
取消理由の概要は以下のとおりである。

1 理由
[理由1]本件特許の下記の請求項1、2、4及び5に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

[理由2]本件特許の下記の請求項3及び4に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

2 本件特許発明
特許第5950314号の請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれを「本件特許発明1」ないし「本件特許発明5」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されたとおりのものである。

3 引用刊行物
甲第1号証:米国特許出願公開第2007/0207024号明細書
甲第2号証:特開平9-205940号公報
甲第3号証:特開2011-214285号公報
甲第4号証:特開平9-88287号公報
甲第5号証:特開2005-112575号公報
(なお、甲第1号証ないし甲第5号証は、特許異議申立書の証拠方法の甲第1号証ないし甲第5号証と同じものである。以下、異議申立人の示した甲号証を「甲1」、「甲2」・・などという。)

4 判断
4-1 [理由1]について
本件特許発明1、2、4及び5は甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し、請求項1、2、4及び5に係る特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。

4-2 [理由2]について
(1)本件特許発明3は、甲1に記載された発明及び甲2ないし甲5にみられるような周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(2)本件特許発明4は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

第5 取消理由についての判断
上記取消理由の[理由1](特許法第29条第1項)及び[理由2](特許法第29条第2項)について、本件訂正により、[理由1]及び[理由2]の対象となる請求項1ないし5が削除された。したがって、上記[理由1]及び[理由2]からなる取消理由はもはや存在せず解消された。

第6 取消理由において採用しなかった特許異議申立理由について
異議申立人は、特許第5950314号の請求項6及び7に係る発明(以下、「本件特許発明6」及び「本件特許発明7」という。)のうち、本件特許発明6については、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項6に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、本件特許発明7については、甲1及び甲6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項7に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである旨主張しているところ、上記第2で判断したとおり本件訂正が認められるので、本件訂正発明6及び7について、上記異議申立人による申立ての理由が成立するか以下検討する。

[1]甲1ないし甲6
1 甲1
(1)甲1の記載
本件特許の出願前に頒布された甲1(米国特許出願公開第2007/0207024号明細書)には、「運搬管理者向け操作者用背もたれおよびひじ掛け」に関して、次のような記載がある。なお、( )内の翻訳文は、異議申立人による翻訳文を参考として当審において作成したものである。

1a)”[0095] Reference is now made to FIGS. 18 and 19, which illustrate a backrest 600 constructed in accordance with a further embodiment of the present invention. The backrest 600 is shown in FIG. 18 mounted within an operator compartment 710 of a stand-up counterbalanced fork lift truck 700. The fork lift truck 700 includes a main body 712, first and second driven wheels coupled to a front portion of the main body 712, only the first wheel 714 is illustrated in FIG. 18, and a steerable wheel assembly 716 coupled to a rear portion of the main body 712. It is contemplated that the backrest 600 may be mounted within a variety of other materials handling vehicles as well.

[0096] The operator compartment 710 is located within the main body 712 for receiving an operator. As is apparent from FIG. 18, the main body 712 includes a single entrance 711 into and out of the operator compartment 710. In addition to including the backrest 600 , the operator compartment 710 further includes an armrest 718. The speed and direction of movement (forward or reverse) of the truck 700 can be controlled by the operator when positioned in the operator compartment 710 via a multifunction controller MFC. Steering is effected via a tiller 716A.

[0097] In the embodiment illustrated in FIG. 19, the backrest 600 comprises a primary structure or primary support pad 601 having a main portion 602, a single side bolster 610 extending outwardly from the main portion 602 and gripping structure 630. The primary structure 601 is contoured to receive an operator's back and/or hips while an operator is standing in the operator compartment 710 and driving the truck 700. The side bolster 610 is located near the operator compartment entrance 711, see FIG. 18. In the illustrated embodiment, the side bolster 610 extends outwardly from the main portion 602 at an angle greater than about 45 degrees, see FIGS. 18, 19A and 19 B. The gripping structure 630 comprising a separate insert coupled to the side bolster 610 for gripping an operator during movement of the truck 700. However, the gripping structure 630 could be formed integral with the primary structure 601.

[0098] In the illustrated embodiment, the gripping structure 630 comprises a main body 632 having a plurality of first elements 634, ribs in the illustrated embodiment, which are flexible relative to a first base section 636 of the main body 632, see FIGS. 19A and 19B. The ribs 634 may have a length in a Y direction, see FIG. 19, of between about 50 mm and 150 mm. The ribs 634 may also have a width WBR (the width WBR of only one rib 634 is designated in FIG. 19A) of between about 4 mm and about 6 mm. A gap GBR (only a single gap GBR between a pair of adjacent ribs 634 is designated in FIG. 19B) between adjacent ribs 634 may have a dimension of between about 4 mm and about 6 mm. The ribs 634 may have a height extending from the first base section 636 that falls within a range of from about 1 mm to about 10 mm. Preferably, the ribs 634 are substantially even with or extend above a portion 610A of the side bolster 610 surrounding the main body 632. For example, the ribs 634 extend from about 0 mm to about 6 mm above portion 610A. Due to their shape and size, the ribs 634 are adapted to engage an operator's back and/or hip when an operator engages, i.e., leans against, the backrest 600 . When the operator is engaged with the backrest 600 during truck travel, including truck turns, the ribs 634 assist in maintaining the operator within the operator compartment 710 .

[0099] The primary structure 601 comprises an outer skin 601A and an inner foam section 601B, see FIGS. 20A-20C. The outer skin 601 A may comprise a polymeric material such as molded vinyl and the inner foam section 601B may be formed from a polymeric material such as polyurethane foam. The gripping structure main body 632 may be formed from a polymeric material such as a synthetic rubber.

[0100] In a first embodiment illustrated in FIG. 20A, a steel insert 800 is molded into the primary structure 601. Threaded inserts or nuts 802 are also molded into the primary structure 601. Threaded bolts 633 are molded into the gripping structure main body 632. The main body 632 may be coupled to primary structure 601 by passing the bolts 633 through corresponding openings in the steel insert 800 and subsequently connecting the nuts 802 to the bolts 633. The operation of coupling the main body 632 to the steel insert 800 is effected prior to a foaming operation to form the inner foam section 601B. Also, an outer skin layer 601A is positioned between the main body 632 and the steel insert 800 prior to coupling the main body 632 to the steel insert 800 .

[0101] In a second embodiment illustrated in FIG. 20B, a steel plate 810 is positioned behind the primary structure 601. The gripping structure main body 1632 is molded with two or more tabs 1632A which extend through bores in the primary structure 601 and lockingly engage bores in the steel plate 810.

[0102] In a third embodiment illustrated in FIG. 20C, a steel plate 812 is positioned behind the primary structure 601. Threaded inserts or nuts 2632A are molded into the gripping structure main body 2632. Bolts 2632B extend through bores in the steel plate 812 and threadedly engage the nuts 2632A so as to coupled the main body 2632 to the primary structure 601.

[0103] The primary structure 601, having the gripping structure main body coupled thereto, may be connected to a wall 712A of the truck main body 712 via adhesive, bolts, or other like connecting mechanisms. ”(公報段落[0095]ないし[0103])
([0095]
ここで、本発明のさらなる実施形態に従って構成された背もたれ600を示した、図18及び図19を参照する。図18に示した背もたれ600は、直立のカウンタバランス・フォークリフトトラック700の操作室710内に取付けられている。フォークリフトトラック700は、本体712と、当該本体712の前方部に連結される第1及び第2の駆動輪(図18には第1の駆動輪714だけが示されている)と、本体712の後方部に連結される操舵輪アセンブリ716を含む。なお、背もたれ600は、様々な他の運搬管理車にも取付け可能だと考えられている。
[0096]
操作室710は、操作者を受け入れられるように本体712内に配置されている。図18から明らかなように、本体712は、操作室710への出入り用に単一の入口711を含む。操作室710は、背もたれ600に加えて、さらにひじ掛け718を含んでいる。操作室710内に操作者が搭乗すると、多機能制御装置MFCを介して、トラック700の移動(前方または後方)の速度及び方向が制御可能になる。操舵は、ティラー716Aを介して実行される。
[0097]
図19に示した実施形態では、背もたれ600は主構造または主サポートバッド601を含むが、それは主要部602と、当該主要部602から外側に延出する単一の側方支持部610と、グリップ構造630を有している。主構造601は、操作室710内に操作者が立って、トラック700を運転する際、操作者の背と尻の双方またはいずれかを受け入れるように輪郭を定めている。側方支持部610は、操作室の入口711付近に配置されているが、図18を参照されたい。図示した実施形態では、側方支持部610は、約45度よりも大きな角度で主要部602から外側に延出しているが、図18、図19A及び図19Bを参照されたい。グリップ構造630は、トラック700の移動中に操作者を保持するため、側方支持部610と連結される別体のインサートを含んでいる。ただし、グリップ構造630を主構造601と一体に形成することは可能である。
[0098]
図示した実施形態では、グリップ構造630の本体632は、その本体632の第1基部区間636に対して可僥性を有するように、複数の第1エレメント(図示した実施形態ではリブ)634を含むが、図19A及び図19Bを参照されたい。図19に示すように、リブ634は、Y方向に約50mmと約150mmの間で長さを有することができる。また、リブ634は、約4mmと約6mmの間で幅WBRを有することができる(図19Aには一つのリブ634の幅WBRだけを示している)。隣接するリブ634同士間の隙間GBRは、約4mmと約6mmの間の大きさを有することができる(図19Bには隣接する一対のリブ634の間の一つの隙間GBRだけを示している)。リブ634は、約1mmから約10mmまでの範囲内に収まるように、第1基部区間636から延出する高さを有することができる。好ましくは、リブ634は、本体632を囲む側方支持部610の部位610Aと実質的に等しいか、またはその上方に延出する。たとえば、リブ634は、約0mmから約6mmまでで、部位610Aの上方に延出する。リブ634は、それらの形状と大きさのため、操作者と接するとき、つまり、操作者が背もたれ600に対して寄りかかるとき、操作者の背と尻の双方またはいずれかと接するのに適合されている。トラックの進行中に(トラックが向きを変えることを含む)操作者が背もたれ600と接するとき、リブ634は、操作室710内に操作者を保持することを補助する。
[0099]
主構造601は、外皮601Aと内側発泡部601Bを含むが、図20A一図20Cを参照されたい。外皮601Aは、たとえば、ビニル化合物の成型品などの重合体材料を含むことができ、そして内側発泡部601Bは、たとえば、ポリウレタン発泡材などの重合体材料から形成することができる。グリップ構造本体632は、たとえば、合成ゴムなどの重合体材料から形成することができる。
[0100]
図20Aに示した第1の実施形態では、主構造601内に鋼インサート800が形成されている。主構造601内には、ねじ付きインサートやナット802も形成されている。グリップ構造本体632内には、ねじ付きボルト633が形成されている。その際、ボルト633を鋼インサート800の対応する開口部内に挿通させて、それに続いてナット802をボルト633に接合させることで、本体632を主構造601に連結することができる。本体632を鋼インサート800に連結する操作は、内側発泡部601Bを形成する発泡操作の前に行われる。また、本体632を鋼インサート800に連結する前に、本体632と鋼インサート800の間に外皮層601Aが配置される。
[0101]
図20Bに示した第2の実施形態では、主構造601の後方に鋼板810が配置されている。2若しくはそれ以上のタブ1632Aとともに、グリップ構造本体1632が形成されていて、それらタブを主構造301のボア内を通って延出させて、鋼板810のボア内で係止させている。
[0102]
図20Cに示した第3の実施形態では、主構造601の後方に鋼板812が配置されている。ねじ付きインサートまたはナット2632Aがグリップ構造本体2632内に形成されている。ボルト2632Bを鋼板812のボア内に延出させて、ナット2632Aと螺合させることにより、本体2632を主構造601と連結させている。
[0103]
主構造601はそれ自体にグリップ構造本体を連結させているが、この主構造601は、接着剤、ボルト、または他の同様の接続機構を用いて、トラック本体712の壁712Aに接続することができる。)

1b)”[0104] In accordance with yet a further embodiment of the present invention, a backrest 1600 for use in the truck 700 of FIG. 18 may include gripping structure 1630 comprising a single pad 1630A having a long and narrow shape, see FIG. 21. The single pad 1630A is secured to a primary structure or primary support pad 1601 of the backrest 1600 via an adhesive 1603, such as cement glue, or an industrial grade double-stick tape. Preferably, the single pad 1630A extends above a portion 1610A of a side bolster 1610 of the backrest 1600 surrounding the pad 1630A by an amount of from about 3 mm to about 6 mm. The single pad 1630A may be formed from a polymeric material such as a synthetic rubber. The primary structure 1601 may comprise an outer skin 1601A and an inner foam section 1601B, which may be formed from the same materials from which the outer skin 601A and the inner foam section 601B are formed in the embodiments illustrated in FIGS. 20A-20C and described above.

[0105] In a still further embodiment of the present invention, instead of using the long and narrow single pad 1630A illustrated in FIG. 21, a pad 1630A' formed from substantially the same material as pad 1630A but having generally the same outer peripheral shape as the gripping structure 630 of the FIG. 19 embodiment may be used, see FIGS. 22, 22A and 22 B.”
([0104]
本発明のさらなる実施形態では、図21に示すように、図18に示したトラック700用の背もたれ1600は、長くかつ幅狭い形状を有する単一パッド1630Aを含むグリップ構造1630を有することができる。単一パッド1630Aは、背もたれ1600の主構造または主サポートパッド1601に対して固定されるが、その際、セメント接着剤などの接着剤1603や、工業標準の二重粘着テープを用いる。好ましくは、単一パッド1630Aは、約3mmから約6mmまでの大きさで、パッド1630Aを囲む背もたれ1600の側方支持部1610の部位1610Aの上方に延出する。単一パッド1630Aは、合成ゴムなどの重合体材料から形成することができる。主構造1601は、外皮1601Aと内側発泡部1601Bを含むことができるが、それらは、図20A一図20Cに示して、上述した実施形態で形成された外皮601Aと内側発泡部601Bのものと同じ材料から形成することができる。
[0105]
本発明のさらなる実施形態では、図22、図22A、及び図22Bを参照すると、図21に示した長くかつ幅狭い単一パッド1630Aを用いる替わりに、パッド1630A′を用いることができ、それは、パッド1630Aのものと実質的に同じ材料から形成される一方、図19の実施形態のグリップ構造630のものと略同じ外周形状を有している。)

1c)”[0106] In accordance with another embodiment of the present invention, a backrest 2600 for use in the truck 700 of FIG. 18 may include gripping structure 2630 comprising first, second and third ribs 2632 which are formed integral with a primary structure or primary support pad 2601 of the backrest 2600, see FIG. 23. The ribs 2632 have a long and narrow shape. Preferably, the ribs 2632 extend above a portion 2610A of a side bolster 2610 of the backrest 2600 surrounding the ribs 2632 by an amount of from about 3 mm to about 6 mm. The primary structure 2601 including the ribs 2632 may comprise an outer skin 2601A and an inner foam section (not shown), which may be formed from the same materials from which the outer skin 601A and the inner foam section 601B are formed in the embodiments illustrated in FIGS. 20A-20C and described above. Due to their shape and size, the ribs 2632 are adapted to engage an operator's back and/or hip when an operator engages, i.e., leans against, the backrest 2600 . When the operator is engaged with the backrest 2600 during truck travel, including truck turns, the ribs 2632 assist in maintaining the operator within the operator compartment 710. ”
([0106]
本発明の他の実施形態では、図23を参照すると、図18に示したトラック700用の背もたれ2600は、第1と、第2と、第3のリブ2632を含むグリップ構造2630を有することができ、それらリブ2632は、背もたれ2600の主構造または主サポートパッド2601と一体に形成されている。それらリブ2632は、長くかつ幅狭い形状を有する。好ましくは、リブ2632は、約3mmから約6mmまでの大きさで、リブ2632を囲む背もたれ2600の側方支持部2610の部位2610Aの上方に延出する。リブ2632を含む主構造2601は、外皮2601Aと内側発泡部(図示せず)を含むことができるが、それらは、図20A-図20Cに示して、上述した実施形態で形成された外皮601Aと内側発泡部601Bのものと同じ材料から形成することができる。リブ2632は、それらの形状と大きさのため、操作者と接するとき、つまり、操作者が背もたれ2600に対して寄りかかるとき、操作者の背と尻の双方またはいずれかと接するのに適合されている。トラックの進行中に(トラックの向きを変えることを含む)操作者が背もたれ2600と接するとき、リブ2632は、操作室710内に操作者を保持することを補助する。)

1d)”[0107] In yet another embodiment of the present invention, illustrated in FIG. 24, the gripping structure 3630 comprises a plurality of generally circular gripping pads 3632. The gripping pads 3632 are formed integral with a primary structure or primary support pad 3601 of the backrest 3600. Preferably, the pads 3632 extend above a portion 3610A of a side bolster 3610 of the backrest 3600 surrounding the pads 3632 by an amount of from about 3 mm to about 6 mm. The primary structure 3601 including the pads 3632 may comprise an outer skin 3601A and an inner foam section (not shown), which may be formed from the same materials from which the outer skin 601A and the inner foam section 601B are formed in the embodiments illustrated in FIGS. 20A-20C and described above. Due to their shape and size, the ribs 3632 are adapted to engage an operator's back and/or hip when an operator engages, i.e., leans against, the backrest 3600 . ”
([0107]
図24に示した本発明のさらに他の実施形態では、グリップ構造3630は、複数の略円形のグリップパッド3632を含んでいる。それらグリップパッド3632は、背もたれ3600の主構造または主サポートパッド3601と一体に形成されている。好ましくは、パッド3632は、約3mmから約6mmまでの大きさで、パッド3632を囲む背もたれ3600の側方支持部3610の部位3610Aの上方に延出する。パッド3632を含む主構造3601は、外皮3601Aと内側発泡部(図示せず)を含むことができるが、それらは、図20A-図20Cに示して、上述した実施形態で形成された外皮601Aと内側発泡部601Bのものと同じ材料から形成することができる。リブ3632は、それらの形状と大きさのため、操作者と接するとき、つまり、操作者が背もたれ3600に対して寄りかかるとき、操作者の背と尻の双方または一方と接するのに適合されている。)

(2)上記(1)及び図面から分かること
1e)図18に記載された直立のカウンターバランス・フォークリフトトラック700(以下、「トラック700」という。)の操作室710において、床面から離れた部分に座部のない背もたれ600が設けられていることが図示されていることからみると、トラック700は、立ち乗り型であることが分かる。

1f)上記(1)1a)の段落[0099]の記載によれば、図20B-図20Cに記載された主構造601は、外皮601Aと内側発泡体601Bを有するものであり、図19の記載をあわせみると、外皮601Aは操作者に当たる接触面を構成することが分かる。
さらに、グリップ構造本体632は外皮601Aである接触面に設けられ、合成ゴムなどからなることが分かる。

1g)図19に記載されたグリップ構造本体632に設けられた複数のリブ634は、主構造601における側方支持部610に並列に設けられており、図18の記載をあわせみると、操作室710の入口711側に設けられていることが分かる。

1h)上記(1)1a)の段落[0098]並びに図19A及び図19Bの記載によれば、複数のリブ634は前後方向に並列に設けられるとともに、Y方向(すなわちトラック700の上下方向)に長さを有するものであって、図19A及び図19Bから、操作者との接触面からみて上方に延出する部分を備えることが分かる。

1i)上記(1)1c)及び図23の記載によれば、複数のリブ2632は、前後方向に並列に設けられるとともに、主構造2601と一体に形成されて上下方向に延設されるものであって、操作者との接触面から上方に延出する部分を備えることが分かる。

1j)上記(1)1d)及び図24の記載によれば、略円形のグリップパッド3632は主構造3601と一体に形成されており、上下方向に間隔をあけて配置されているものであって、操作者との接触面からみて上方に延出する部分を備えることが分かる。

(3)甲1に記載された発明
上記(1)(特に1d)参照)及び(2)並びに図18及び図24からみて、甲1には次の発明が記載されている。

「立ち乗り型のトラック700の操作室710に設けられる外皮3601Aと内側発泡部とからなる主構造3601において、
操作室710の操作者の背と尻の双方またはいずれかを受け入れる接触面に、操作者を保持するための主構造3601と一体に形成された複数の略円形であるグリップパッド3632を備え、
操作者を保持するための主構造3601と一体に形成された複数の略円形であるグリップパッド3632は、トラック700の車体の上下方向に間隔をあけて配置されるとともに、操作者との接触面から上方に延出する部分を備える
トラック700に用いられる主構造3601。」(以下、「甲1発明」という。)

2 甲2
(1)甲2の記載
本件特許の出願前に頒布された甲2(特開平9-205940号公報)には、「釣竿」に関して、次のような記載がある。

2a)「【0008】元竿10、第1中竿12、第2中竿14の継合部T1,T2,T3の近くには夫々滑り止め領域S1,S2,S3が設けられており、また、第1中竿12、第2中竿14、第3中竿16の後部継合部の近くにも夫々滑り止め領域S1’,S2’,S3’が設けられている。元竿10、第1中竿12、第2中竿14等の滑り止め領域以外の表面はフッ素塗装等の撥水性表面F1,F2,F3に形成されている。滑り止め領域S1は、図3に示すように略鋸歯形状を成しており、矢印D方向への手の動きに対して滑り抵抗が大きくなるように形成されている。即ち、滑り止め領域S1の凸部TBが、前側の急傾斜部Kと後方側の緩やかな傾斜部Yとによって形成されている。」(段落【0008】)

(2)甲2技術
上記(1)及び図3の記載から、甲2には次の技術が記載されている。
「釣竿の表面に、略鋸歯形状である前側の急傾斜部と後方側の緩やかな傾斜部を形成することにより、スベリ止め領域を形成する技術。」(以下、「甲2技術」という。)

3 甲3
(1)甲3の記載
本件特許の出願前に頒布された甲3(特開2011-214285号公報)には、「傾斜床面用の被覆材及びそれを用いた床構造」に関して、次のような記載がある。

3a)「【0013】
本発明の傾斜床面用の被覆材は、被覆材表面に、両側に傾斜面を有する複数の突部を設けているので、その突部が歩行時や車椅子・電動カートの通行時の滑り止めの役割を果たす。しかも、その突部は、傾斜面の被覆材表面に対する傾斜角度が第二の傾斜面よりも第一の傾斜面のほうが大きく、且つ、突部の底辺が被覆材の左右方向と平行になるように配置されているので、傾斜角度の大きい第一の傾斜面を、傾斜床面の上方側に位置するようにして傾斜床面を被覆すると、車椅子や電動カートで傾斜床面を通行する際、上りでは緩やかな第二の傾斜面をタイヤが乗り越えることになるので抵抗が少なく、また、下りでは傾斜角度の大きい第一の傾斜面にタイヤが当接することで抵抗となるので、上り坂は軽い力で上れて、下り坂はスリップする危険性が非常に少なくなる。このように本発明の傾斜床面用の被覆材は、車椅子でも傾斜床面を上り易く、下りではスリップする危険性を低くすることができるので、歩行者は勿論のこと、高齢者や体の不自由な方々に優しい被覆材である。」(段落【0013】)

3b)「【0024】
この突部2の傾斜面2a,2bの被覆材1表面に対する傾斜角度θ1,θ2は、第一の傾斜面2aと第二の傾斜面2bで異なり、第一の傾斜面2aの傾斜角度θ1が、第二の傾斜面2bの傾斜角度θ2よりも大きくなっている。具体的には、第一の傾斜面の傾斜角度θ1が5?110°、好ましくは40?85°に設定されており、第二の傾斜面の傾斜角度θ2が0.5?85°、好ましくは2?30°に設定されている。このように第一の傾斜面2aの傾斜角度θ1と、第二の傾斜面2bの傾斜角度θ2を異なるようにしたのは、車椅子でも傾斜床面Fが上り易く、下りではタイヤTがスリップしないようにするためである。即ち、傾斜角度θ1が大きい第一の傾斜面2aが、傾斜床面Fの上方側に位置するようにして被覆材1で傾斜床面Fを被覆すると、車椅子で傾斜床面Fを通行する際、図2、図4に示すように、上りでは傾斜角度θ2が緩やかな第二の傾斜面2bをタイヤTが乗り越えることになるので抵抗が少なく、軽い力でも上れるようになる。一方、下りでは傾斜角度θ1の大きい第一の傾斜面2aにタイヤTが当接することで抵抗となるので、急に止まらなければならない場合でもスリップする危険性が非常に少なくなる。このように本発明の被覆材1は、突部2の傾斜面2a,2bの傾斜角度θ1,θ2を異なるようにすることで、車椅子でも傾斜床面Fが上り易くなり、下りではスリップする危険性を大幅に減らすことができる。
尚、被覆材1の表面に設けられる突部2は、両側に傾斜面を有する形状であれば、上記のような三角形状に限定されるものではなく、台形状の突部(不図示)であってもよい。このように突部2を台形状とするときは、下底よりも上底の寸法を小さくし、且つ、上底の寸法を余り大きく設定しないように留意する必要がある。」(段落【0024】)

(2)甲3技術
上記(1)及び図2の記載から、甲3には次の技術が記載されている。
「傾斜床面用の被覆材表面に、両側に傾斜面を有する複数の凸部を設けるものにおいて、傾斜床面の上方側に位置する第一の傾斜面の傾斜角度を、下方側に位置する第二の傾斜面の傾斜角度よりも大きいものとする技術。」(以下、「甲3技術」という。)

4 甲4
(1)甲4の記載
本件特許の出願前に頒布された甲4(特開平9-88287号公報)には、「階段用滑り止め部材」に関して、次のような記載がある。

4a)「【0009】表皮部4の上面に延設された突条6は、垂直の起立部9が前側に立ち上がる概ね三角形の断面形状をなし、中空に形成されている。このため、表皮部4を踏むと、起立部9は潰れ難いので突条として残るために滑り止め効果を確保し得る。その一方で斜面部分10は容易に潰れるためにクッション性が損なわれずに済む(図2参照)。
【0010】さて、ささげ桁式の階段の場合、踏板の木口が露出するので、滑り止め部材の切断部端面も露出する。この切断部端面が見えると体裁が悪いので、これを隠すための端末部材が用意されている。」(段落【0009】及び【0010】)

(2)甲4技術
上記(1)並びに図1及び図2の記載から、甲4には次の技術が記載されている。
「階段滑り止め部材の表皮部4上面に延設された突条6を、前側に垂直に立ち上がる起立部9と、斜面部分10とからなる三角形の断面形状となるよう形成する技術。」(以下、「甲4技術」という。)

5 甲5
(1)甲5の記載
本件特許の出願前に頒布された甲5(特開2005-112575号公報)には、「車載用ブリッジ」に関して、次のような記載がある。

5a)「【0045】
<第5実施形態>
図11は、この発明のブリッジの第5実施形態を示す平面図(a)及びその側面図(b)、図12は、図11のVIII-VIII線に沿う拡大断面図、図12は、図11のIX-IX線に沿う拡大断面図である。
【0046】
第5実施形態は、断面波形状のアルミニウム製の複数の滑り止め部材70Aを、押出成形と同時に上面部11の下面に形成された補強凸条18が位置する上面部11の表面部位に散点状例えば千鳥状に配置し、溶接にて固着することにより滑り止め部40Eを形成した場合である。
【0047】
この場合、滑り止め部材70Aは、断面波形状、例えば断面略三角波形状{具体的には、本体フレーム10の上位側に向かって傾斜する断面略三角波形状}のアルミニウム製押出形材を所定の寸法に切断した小片にて形成されている。この滑り止め部材70Aを、本体フレーム10の上面部11に取り付けるには、本体フレーム10における補強凸条18が位置する上面部11の表面部位に予め設けられた位置決め用の目印、例えば位置決め用線91(図11(a)参照)に合わせて滑り止め部材70Aを散点状例えば千鳥状に配置し、そして、滑り止め部材70Aの端部の内外部をスポット溶接して、滑り止め部材70Aを本体フレーム10の上面部11に固定して滑り止め部40Eを形成する。」(段落【0045】ないし【0047】)

(2)甲5技術
上記(1)並びに図11及び図12の記載から、甲5には次の技術が記載されている。
「車載用ブリッジのフレーム10の上面部11に固定された断面略三角波形状の滑り止め部材70Aであって、断面略三角波形状の一方の傾斜角を、他方の傾斜角より大きくする技術。」(以下、「甲5技術」という。)

6 甲6
(1)甲6の記載
本件特許の出願前に頒布された甲6(特開2000-50999号公報)には、「シート」に関して、次のような記載がある。

6a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 着座部と、背もたれ部と、を備えたシートにおいて、前記シートの着座部の表面側には排水用溝が形成され、該排水用溝は、着座部中央線上に設けた本流溝と支流溝とから形成されると共に、着座時前方から後方に向けて支流溝から本流溝側に溝が深くなるように形成されてなることを特徴とするシート。
【請求項2】 着座部と、背もたれ部と、を備えたシートにおいて、前記シートの背もたれ部の表面側には排水用溝が形成され、該排水用溝は、背もたれ部中央線上に設けた本流溝と支流溝とから形成されると共に、背もたれ部の上方から下方に向けて支流溝から本流溝側に溝が深くなるように形成されてなることを特徴とするシート。
【請求項3】 前記シートの着座部の表面側と、背もたれ部の表面側にそれぞれ設けた排水用溝は、体圧の高いところを避けて設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のシート。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項3】)

6b)「【0015】本例のシートSは,建設機械、運搬機械、作業用機械等の屋外で使用される車両等のシートとして好適に用いられるものであり、背もたれ部10と、着座部20と、を備えている。
【0016】本例の背もたれ部10は、図1で示すように、背もたれ部10の表面側に排水用溝11が形成されている。本例の排水用溝11は、支流溝12と、背もたれ部10の中央線上に設けた本流溝13と、から形成されており、本流溝13は、背もたれ部10のほぼ中央から下方へ向けて形成されている。そしてこの本流溝13には、背もたれ部10の上方から下方に向けて支流溝12が合流するように、支流溝12と本流溝13が連続して形成されている。
【0017】また本例の背もたれ部10は、支流溝12から本流溝13側に向けて、溝が深くなるように形成されている。そして、背もたれ部10の表面側に設けた排水用溝11(支流溝12と本流溝13)は、背もたれ部10における体圧の高いところを避けて設けている。
【0018】つまり、図9で示すように、背もたれ部にかかる体圧曲線は概略逆三角形状をしており、このうち、本例のような背もたれ部10は、体圧曲線の下側で示される部分(図9の矢印より下側)が荷重となる。つまり、本例の背もたれ部10には、臀部のから背中にかけて、休息時に体圧がかかる部分を避けて、排水用溝11が形成されている。」(段落【0015】ないし【0018】)

(2)甲6技術
上記(1)及び図1の記載から、甲6には次の技術が記載されている。
「建設機械、運搬機械、作業用機械等の屋外で使用される車両等のシートにおいて、背もたれ部10の表面側に排水用溝11が形成されており、排水用溝11は、支流溝12と、背もたれ部10の中央線上に設けた本流溝13と、から形成されており、支流溝12から本流溝13側に向けて、溝が深くなるように形成するとともに、背もたれ部10の表面側に設けた排水用溝11(支流溝12と本流溝13)は、背もたれ部10における体圧の高いところを避けて設ける技術。」(以下、「甲6技術」という。)

[2]判断
1 本件訂正発明6について
本件訂正発明6と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「トラック700」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件訂正発明6における「フォークリフト」に相当し、以下同様に、「操作室710」は「運転スペース」に、「外皮3601Aと内側発泡部とからなる主構造3601」又は「主構造3601」は「ボディクッション」に、「操作者」は「オペレータ」に、「背と尻の双方またはいずれか」は「腰部或いは背中部或いはでん部」に、「受け入れる」は「当たる」に、「接触面」は「当接面」に、「トラック700の車体」は「車体」に、「上下方向に間隔をあけて配置される」は「上下方向に延設される」に、「操作者との接触面から上方に延出する部分」は「当接面から突出する少なくとも1つの突起部」に、「トラック700に用いられる主構造3601」は「フォークリフト用ボディクッション」に、それぞれ相当する。
そして、甲1発明における「操作者を保持するための主構造3601と一体に形成された複数の略円形であるグリップパッド3632」は、トラックの進行中やトラックが向きを変える際に操作者に接触して操作室710内に保持することを補助する機能を有することは、その形状からみて明らかであるから、本件訂正発明6における「オペレータの滑りを止めるための滑り止め部」あるいは「滑り止め部」に相当する。
また、甲1発明は、「グリップパッド3632」は、「操作者との接触面から上方に延出する部分を備える」とともに、「トラック700の車体の上下方向に間隔をあけて配置される」のであるから、本件訂正発明6における「突起部は、車体の上下方向に分割され」る構成を備えるといえる。

そうすると、本件訂正発明6と甲1発明とは次の点で一致する。

「立ち乗り型フォークリフトの運転スペースに設けられるボディクッションにおいて、
運転スペースのオペレータの腰部或いは背中部或いはでん部が当たる当接面に、オペレータの滑りを止めるための滑り止め部を備え、
滑り止め部は、車体の上下方向に延設されると共に、当接面から突出する少なくとも1つの突起部を備え、
突起部は、車体の上下方向に分割されるフォークリフト用ボディクッション。」

そして、両者は以下の点で相違する。

本件訂正発明6においては、「それぞれの分割された突起部は、車体の上側から下側に向けて、段階的に長くなる」のに対して、甲1発明においては、そのような構成を備えるか不明である点(以下、「相違点1」という。)。

上記相違点1について検討すると、
上記相違点1に係る本件訂正発明6の発明特定事項に関して、甲1発明には開示や示唆がされていないから、甲1発明に基いて、上記相違点1に係る本件訂正発明6の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たことではない。
また、上記相違点1に係る本件訂正発明6の発明特定事項は、甲2ないし甲6技術にも開示や示唆がされていないから、甲1発明及び甲2ないし甲6技術に基いて上記相違点1に係る本件訂正発明6の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たことではない。

そうすると、本件訂正発明6は、甲1発明に基いて、あるいは甲1発明及び甲2ないし甲6技術に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。

2 本件訂正発明7について
本件訂正発明7と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「トラック700」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件訂正発明7における「フォークリフト」に相当し、以下同様に、「操作室710」は「運転スペース」に、「外皮3601Aと内側発泡部とからなる主構造3601」又は「主構造3601」は「ボディクッション」に、「操作者」は「オペレータ」に、「背と尻の双方またはいずれか」は「腰部或いは背中部或いはでん部」に、「受け入れる」は「当たる」に、「接触面」は「当接面」に、「トラック700の車体」は「車体」に、「上下方向に間隔をあけて配置される」は「上下方向に延設される」に、「操作者との接触面から上方に延出する部分」は「当接面から突出する少なくとも1つの突起部」に、「トラック700に用いられる主構造3601」は「フォークリフト用ボディクッション」に、それぞれ相当する。
そして、甲1発明における「操作者を保持するための主構造3601と一体に形成された複数の略円形であるグリップパッド3632」は、トラックの進行中やトラックが向きを変える際に操作者に接触して操作室710内に保持することを補助する機能を有することは、その形状からみて明らかであるから、本件訂正発明7における「オペレータの滑りを止めるための滑り止め部」あるいは「滑り止め部」に相当する。
また、甲1発明は、「グリップパッド3632」は、「操作者との接触面から上方に延出する部分を備える」とともに、「トラック700の車体の上下方向に間隔をあけて配置される」のであるから、本件訂正発明7における「突起部は、車体の上下方向に分割され」る構成を備えるといえる。

そうすると、本件訂正発明7と甲1発明とは次の点で一致する。

「立ち乗り型フォークリフトの運転スペースに設けられるボディクッションにおいて、
運転スペースのオペレータの腰部或いは背中部或いはでん部が当たる当接面に、オペレータの滑りを止めるための滑り止め部を備え、
滑り止め部は、車体の上下方向に延設されると共に、当接面から突出する少なくとも1つの突起部を備え、
突起部は、車体の上下方向に分割されるフォークリフト用ボディクッション。」

そして、両者は以下の点で相違する。

本件訂正発明7においては、「ボディクッションは、さらに、分割された突起部の間に、当接面より窪んだ溝部を備え、溝部は、車体の前後方向に延設されると共に、車体の上下方向に傾斜し、かつ、ボディクッションの下端辺に達する」のに対して、甲1発明においては、そのような構成を備えるか不明である点(以下、「相違点2」という。)。

上記相違点2について検討すると、甲6技術は、「建設機械、運搬機械、作業用機械等の屋外で使用される車両等のシートにおいて、背もたれ部10の表面側に排水用溝11が形成されており、排水用溝11は、支流溝12と、背もたれ部10の中央線上に設けた本流溝13と、から形成されており、支流溝12から本流溝13側に向けて、溝が深くなるように形成するとともに、背もたれ部10の表面側に設けた排水用溝11(支流溝12と本流溝13)は、背もたれ部10における体圧の高いところを避けて設ける技術」であるが、甲6技術における「排水用溝11」を甲1発明における上下方向に分割された「グリップパッド3632」の上下方向の間隔に設ける動機付けがあるとはいえないから、甲1発明及び甲6技術に基いて上記相違点2に係る本件訂正発明7の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得ることではない。
また、上記相違点2に係る本件訂正発明7の発明特定事項は、甲2ないし甲5技術にも開示や示唆がされていないから、甲1発明及び甲2ないし甲5技術に基いて上記相違点2に係る本件訂正発明7の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たことではない。

そうすると、本件訂正発明7は、甲1発明及び甲6技術に基いて、あるいは甲1発明及び甲2技術ないし甲5技術に基いて当業者が容易に発明することができたものではない。

[3]まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正発明6及び7は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとはいえないから、訂正後の請求項6及び7に係る特許は、同法第113条第2号に該当するものではない。

第7 結語
上記第6のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、訂正後の請求項6及び7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の請求項6及び7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1ないし5に係る特許は訂正により削除されたため、本件特許の請求項1ないし5に対して特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
立ち乗り型フォークリフトの運転スペースに設けられるボディクッションにおいて、
前記運転スペースのオペレータの腰部或いは背中部或いはでん部が当たる当接面に、前記オペレータの滑りを止めるための滑り止め部を備え、
前記滑り止め部は、車体の上下方向に延設されると共に、前記当接面から突出する少なくとも1つの突起部を備え、
前記突起部は、前記車体の上下方向に分割され、
それぞれの分割された前記突起部は、前記車体の上側から下側に向けて、段階的に長くなる
ことを特徴とするフォークリフト用ボディクッション。
【請求項7】
立ち乗り型フォークリフトの運転スペースに設けられるボディクッションにおいて、
前記運転スペースのオペレータの腰部或いは背中部或いはでん部が当たる当接面に、前記オペレータの滑りを止めるための滑り止め部を備え、
前記滑り止め部は、車体の上下方向に延設されると共に、前記当接面から突出する少なくとも1つの突起部を備え、
前記突起部は、前記車体の上下方向に分割され、
前記ボディクッションは、さらに、
前記分割された突起部の間に、前記当接面より窪んだ溝部を備え、
前記溝部は、
前記車体の前後方向に延設されると共に、前記車体の上下方向に傾斜し、かつ、前記ボディクッションの下端辺に達する
ことを特徴とするフォークリフト用ボディクッション。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-07-27 
出願番号 特願2014-168399(P2014-168399)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (B66F)
P 1 651・ 121- YAA (B66F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加藤 昌人藤村 聖子今野 聖一葛原 怜士郎  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 松下 聡
金澤 俊郎
登録日 2016-06-17 
登録番号 特許第5950314号(P5950314)
権利者 ニチユ三菱フォークリフト株式会社
発明の名称 フォークリフト用ボディクッション  
代理人 中山 浩光  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 特許業務法人みのり特許事務所  
代理人 特許業務法人みのり特許事務所  
代理人 黒木 義樹  
代理人 城戸 博兒  
代理人 柳 康樹  
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