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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E05D
管理番号 1332290
異議申立番号 異議2017-700650  
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-06-26 
確定日 2017-09-20 
異議申立件数
事件の表示 特許第6052495号発明「開口構造及び開口施工方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6052495号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6052495号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成24年9月28日に特許出願され、平成28年12月9日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人加藤浩志(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。


2 本件発明
特許第6052495号の請求項1ないし6の特許に係る発明(以下「本件特許発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものである。


3 申立理由の概要
申立人は、証拠として、甲第1号証ないし甲第11号証を提出し、本件特許発明1ないし6は、甲1?11発明に基づき当業者が容易に想到しえた発明であり進歩性を有さない(特許異議申立書(以下「申立書」という。)32頁17?18行)旨主張している。

甲第1号証:伊礼智、「伊礼智の住宅設計」、株式会社エクスナレッジ、2012年4月28日、56,57,72,73,202,203,204,205頁
甲第2号証:特開2000-314272号公報
甲第3号証:特開2000-240358号公報
甲第4号証:特開2002-227505号公報
甲第5号証:「住宅建築」2007年4月号No.384、株式会社建築資料研究社、平成19年4月1日、126,127頁
甲第6号証:特開2007-197986号公報
甲第7号証:筋野三郎・畑中和穂著、おさまり詳細図集 2 コンクリート造・鉄骨造の仕上編、第59版、理工学社、2001年12月25日、60?63頁
甲第8号証:特開2011-226212号公報
甲第9号証:特開2009-127265号公報
甲第10号証:特開2011-226244号公報
甲第11号証:特開2004-19188号公報


4 刊行物
(1)甲第1号証
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
ア 72頁の「トイレ枠廻り詳細図」である図2は、以下のとおりである。


なお、申立人は、申立書8頁及び9頁の以下の図面を元に主張している。
(「上枠」等や、それらの引出し線、及び○囲いは、申立人が書き加えたものである。)



イ 205頁の「2008年」の図は、以下のとおりである。


なお、申立人は、申立書10頁の以下の図面を元に主張している。
(「上枠」等や、それらの引出し線、及び○囲いは、申立人が書き加えたものである。)



ウ 甲第1号証の図2(上記ア)には、以下の発明が記載されている。
「鴨居と両側の縦枠とからなる建具用枠を建物の鴨居下地及びその両側の縦枠下地によって構成される開口部に固定して出入開口を形成した開口構造であって、
前記鴨居の長手方向両端に前記両側の縦枠を三方枠状に枠組みされ、前記開口部内に嵌め込み固定された前記建具用枠の鴨居下地の見込み方向両側に沿うように、かつ前記開口部の幅方向に架け渡されるように天井パネル下地用の桟材がそれぞれ固定され、これら両側の桟材に、鴨居に応じた隙間を隔てるように天井パネルが固定され、前記上レールが、鴨居に埋め込まれて固定されている、開口構造。」の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。

なお、図2は、設計図面であるところ、各構成要素は、その名称や構造・機能、さらに各部材の接合方法等についての記載が不十分であることから、申立人が主張したとおりのものか不明であるが、甲1発明の認定に際しては、本件特許発明1と対比する関係上、各構成要素のうち、特に、引出し線と一緒に書き加えられた「縦枠」、「縦枠下地」、「桟材」は申立人の主張どおりの名称、同じく「上枠」は図2の記載のとおりの「鴨居」、同じく「上枠下地」は「鴨居下地」とし、それらの構造・機能や接合方法等は、申立人の主張どおりのものとした上で、桟材が縦枠下地に当接する点以外は、申立書の18頁16行?21頁18行の記載を参考に、実質的に申立人の主張のとおりとした。

(2)甲第2号証
甲第2号証には、
「【0009】本発明に係るドア付き間仕切壁装置は、床面Fと天井面S間に複数の支柱1,…を所定間隔を隔てて立設し、特定の隣接する支柱1,1間に通路Tを形成すべくドア枠3を固定して回転開閉可能なドア4を設けるとともに、その他の表裏両面側にパネル板5,5を取付けてなるものである。
【0010】・・・両支柱1,1及び横桟2と床面Fとで囲まれる空間に前記ドア枠3をスペーサ8,…を用いて仮固定し(図3(b) 参照)、その後、支柱1及び横桟2とドア枠3間を連結部材9,…を用いて溶接する(図3(c) 参照)。・・・
【0011】前記ドア枠3は、両側の縦枠10,11と上横枠12とから構成されており、・・・。」と記載されている。

(3)甲第3号証
甲第3号証には、
「【0008】ドア枠Aは例えば、左右のドア縦枠1,1及び上枠11にて門型に組立てられて柱材8,8間に取付けられ、建物の開口部を構成している。・・・」と記載されている。

(4)甲第4号証
甲第4号証には、
「【0012】これら敷居、鴨居2および一対の縦枠3、縦枠4は、相互の突き付け部をビス、釘、接着剤等により固定されることにより、三方枠体または四方枠体が得られる。」及び、
「【0019】鴨居2下部には引き戸5を上吊りするための戸車レール6が固着され、戸車レール6の長さは開口部長さに縦枠3に形成された戸决り溝深さの寸法が加えられた長さであり、縦枠戸决り溝7に嵌合可能に鴨居2のエンド木口から縦枠戸决り溝深さの寸法が突出している。」と記載されている。

(5)甲第5号証
甲第5号証の126頁の「浴室・洗面所建具断面詳細図 1/10」の図は、以下のとおりである。


なお、申立人は、申立書12頁の以下の図面を元に主張している。
(「縦枠」等や、それらの引出し線は、申立人が書き加えたものである。)



(6)甲第6号証
甲第6号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明はリフォームによるドア取付け工法に係わり、更に詳しくはリフォームによって幅木の施工、クロスの貼り付けを終えた後に、ドア吊込み用のドア枠を取付けるリフォーム時の建具枠を完全に後付け出来る工法に関する。」

イ 「【0015】
・・・実施形態の説明に当っては、ここでは、リフォームによって高さの高い、床から天井までその高さがあるドアの吊込みを例にとって説明する。
そして、図1?図5に於いては開き戸について説明し、図6?図11に於いては引き戸に適用した例を説明する。」

ウ 「【0020】
・・・次いで予め用意しておいた建具枠の縦枠10a、10bの各々を上記下地枠3a、3bの嵌合溝7a、7bに嵌合する。嵌合した状態は図3、図5に各々示されている。・・・」、

エ 「【0023】
・・・そして図7及び図10に各々示すように引き戸22は天井に吊下げられて開閉されるもので、天井材25を支持する下地材26に吊りレール23を埋込態様で設け、引き戸の走行車輪24を上記レール23上を吊下げ態様にて走らせるようにするものである。この場合、天井材25にクロス27が貼られ、而もレール23が天井材25より上方に位置し、引き戸の上端が天井材25と略同じ高さレベルに位置しているので、人が室内に立って引き戸を観た時、引き戸の吊りレール23をほとんど認めることができない。・・・」、と記載されている。

オ 【図1】は以下のとおりである。


カ 【図7】は以下のとおりである。


キ 【図10】は以下のとおりである。


(7)甲第7号証
甲第7号証には、以下の事項が記載されている。
ア 「アコーディオンドアは,間仕切り壁というよりも,むしろ建具またはカーテンの類というべきもので,壁としての機能より,目隠し的な役割に用いられる。
製造,取付けともメーカーが行なうが,上部には取付けのための受け木(木製)が必要なので,断面図に示すように,あらかじめ取付け位置に合わせて下地ごしらえをしておく必要がある。」(62頁1?11行)

イ 62頁の「アコーディオンドアの取付け詳細」の「脚部がガイドレールの場合の断面詳細」の図は以下のとおりである。


なお、申立人は、申立書15頁の以下の図面を元に主張している。
(「桟材」等や、それらの引出し線は、申立人が書き加えたものである。)



5 当審の判断
(1)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明を対比すると、以下の3点で相違している。
相違点1:上枠の長手方向両端と両側の縦枠に関し、本件特許発明1は、それぞれ接合しているのに対し、甲1発明は、鴨居と縦枠が接合しているかどうか不明な点。
相違点2:本件特許発明1は、上枠の見込み方向両側に沿うように桟材がそれぞれ固定され、これら両側の桟材に、上レールに応じた隙間を隔てるように天井パネルがそれぞれ固定され、上レールが、その下面を隙間から露出させるように上枠に固定されているのに対し、甲1発明は、鴨居下地の見込み方向両側に沿うように桟材が固定され、これら両側の桟材に、鴨居に応じた隙間を隔てるように天井パネルが固定され、上レールは、鴨居に埋め込まれて固定されている点。
相違点3:桟材に関し、本件特許発明1は、両側の縦枠下地を挟むように縦枠下地の見込み方向両面に当接されているのに対し、甲1発明は、縦枠下地との位置関係は不明な点。

上記相違点1及び2は、申立人の主張する相違点(i)及び(ii)と実質的に同じものである。
また、上記相違点3については、申立人は一致点と主張しているが(申立書20頁末行?21頁5行)、甲第1号証の図面(上記4の(1)ア及びイ)を参照しても、相違点3に係る構成は記載されておらず、また、申立書において、甲第1号証に記載された事項を摘記した箇所(申立書7頁17行?10頁6行)にも、当該構成が記載されているとの主張は見当たらない。

イ 判断
上記各相違点について、相違点1、相違点3、相違点2の順に検討する。
(ア)相違点1
申立人が主張するとおり、甲第2号証ないし甲第4号証に記載されているように、上枠と縦枠を接合することは周知の技術であるから、相違点1に係る構成は、上記周知技術に基いて、当業者が容易に想到し得たものである。

(イ)相違点3
相違点3に係る構成は、申立人が提示した各甲号証に記載も示唆もされていない。
よって、上記相違点3に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものではない。

(ウ)相違点2
a 相違点2に関し、申立人は、甲第5号証ないし甲第7号証を挙げて、「上枠を桟材に沿う位置に配置し、天井パネルが吊りレールを露出させるように、当該吊りレールの見込み方向両側に天井パネルを配置して出入開口の見栄えを向上させることは従来周知の技術に過ぎない。」(申立書24頁7?9行)、「よって、上記相違点(ii)は、当業者が容易に推考しうる程度の設計的事項に過ぎない。」(申立書26頁1?2行)と主張している。
ここで、以下、甲第5号証ないし甲第7号証の記載事項について検討する。

b まず、甲第5号証には、相違点2に係る構成のうち、天井パネルが上レールに応じた隙間を隔てられ、上レールが、その下面を隙間から露出させた構成は記載されている。
しかしながら、甲第5号証の図面(上記4(5)参照。))は、甲第1号証の図面と同様に設計図面であって、「上枠」、「上枠下地」、「桟材」として引出し線で示した部材が、申立人が主張するようなものかどうか不明であるから、相違点2に係る構成のうち、桟材が上枠の見込み方向両側に沿う点、桟材に天井パネルが固定されている点、上レールが上枠に固定されている点等については、甲第5号証に記載されているとは認められない。

c 次に、甲第6号証には、下地材26、天井材25、吊りレール23が記載されているものの、それらの構造・配置等は、相違点2に係る構成とは相違しており、それに加え、本件特許発明1の「上枠」及び「桟材」に相当する部材も記載されていないことから、相違点2に係る構成は、甲第6号証に記載されていない。

d 最後に、甲第7号証には、相違点2に係る構成のうち、天井パネルが上レールに応じた隙間を隔てられ、上レールが、その下面を隙間から露出させた構成は記載されている。
しかしながら、甲第7号証の図面(上記4(7)参照。)も、甲第1号証の図面と同様に設計図面であって、「桟材」、「上枠下地」として引出し線で示した部材が、申立人が主張するようなものかどうか不明であって、それに加え、本件特許発明1の「上枠」に相当する部材も記載されていないことから、相違点2に係る構成のうち、桟材が上枠の見込み方向両側に沿う点、桟材に天井パネルが固定されている点、上レールが上枠に固定されている点等については、甲第7号証に記載されているとは認められない。

e よって、甲第5号証ないし甲第7号証には、申立人が主張する構成が記載されておらず、「上枠を桟材に沿う位置に配置し、天井パネルが吊りレールを露出させるように、当該吊りレールの見込み方向両側に天井パネルを配置して出入開口の見栄えを向上させることは従来周知の技術」と認めることはできないから、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

(エ)小括
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明及び周知技術(甲第2号証ないし甲第7号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(オ)補足理由
申立人は、本件特許発明1に対する補足として、甲第6号証を主引用例として、本件特許発明1と甲6発明とは、相違点(i)及び(ii)で相違するが、相違点(i)及び(ii)は、周知技術に基づき当業者が容易に推考しうる事項にすぎず、本件特許発明1は、甲6発明と周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得た発明である旨、主張している(申立書32頁20行?33頁14行)。
しかしながら、少なくとも相違点(ii)と実質的に同じものである相違点2は、上記(ウ)で説示したとおり、当業者が容易に想到し得たことではない。
また、上記アで挙げた相違点3も甲第6号証に記載されていないことは明らかであって、相違点3も上記(イ)で説示したとおり、当業者が容易に想到し得たことではない。
よって、本件特許発明1は、甲第6号証に記載された発明及び周知技術(甲第2号証ないし甲第7号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件特許発明2ないし4について
本件特許発明2ないし4は、本件特許発明1を更に減縮したものであるから、仮に、請求項2ないし4に記載された事項が、申立人が主張するように、甲第1号証ないし甲第11号証に記載される公知技術もしくは周知技術であるとしても、上記(1)の本件特許発明1についての判断と同様の理由により、甲1発明及び周知技術(甲第2号証ないし甲第11号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)本件特許発明5について
ア 申立人は、本件特許発明5は、甲5発明及び周知技術(甲第2号証ないし甲第4号証)に基づき当業者が容易に想到し得た発明である旨、主張している(申立書31頁末行?32頁1行)。
しかしながら、甲第5号証には、少なくとも、上記(1)イ(ウ)bで説示したとおり、桟材が上枠の見込み方向両側に沿う点、桟材に天井パネルが固定されている点、上レールが上枠に固定されている点、つまり、上記(1)アで挙げた相違点2に係る構成の一部が記載されているかどうか不明である。また、同じく相違点3に係る構成が記載されていないことも明らかである。
そして、相違点2及び相違点3については、それぞれ上記(1)イの(ウ)及び(イ)で説示したとおり、当業者が容易に想到し得たことではない。
したがって、本件特許発明5は、当業者が甲第5号証に記載された発明及び周知技術(甲第2号証ないし甲第4号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 甲第1号証を主引用例としても、付加的に検討しておく。
開口施工方法という方法の発明である本件特許発明5は、開口構造という物の発明である本件特許発明1とは、実質的にカテゴリーの相違する程度のものであるところ、本件特許発明5と甲1発明を対比すると、上記(1)アで挙げたのと同様に、実質的に相違点1、2及び3で相違するものの、そのうち相違点2及び3については、上記(1)イの(ウ)及び(イ)で説示したとおり、当業者が容易に想到し得たことではないから、本件特許発明5は、甲1発明及び周知技術(甲第2号証ないし甲第7号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(4)本件特許発明6について
本件特許発明6は、本件特許発明5を更に減縮したものであるから、仮に、請求項6に記載された事項が、申立人が主張するように、周知技術(甲第8号証ないし甲第10号証)であったとしても、上記(3)の本件特許発明5についての判断と同様の理由により、甲5発明及び周知技術(甲第2号証ないし甲第4号証、甲第8号証ないし甲第10号証)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(5)小括
以上のとおり、本件特許発明1ないし6は、当業者が、甲第1号証ないし甲第11号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものではないから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。


6 むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-09-07 
出願番号 特願2012-215681(P2012-215681)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (E05D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 新井 夕起子  
特許庁審判長 小野 忠悦
特許庁審判官 住田 秀弘
前川 慎喜
登録日 2016-12-09 
登録番号 特許第6052495号(P6052495)
権利者 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明の名称 開口構造及び開口施工方法  
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