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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する A23L
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する A23L
管理番号 1332445
審判番号 訂正2017-390036  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2017-05-22 
確定日 2017-09-01 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3569252号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3569252号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第3569252号は、平成13年11月9日の出願であって、その請求項1ないし3に係る発明については平成16年6月25日に特許権の設定登録がなされたものである。
そして、平成29年5月22日に本件訂正審判の請求がなされた。

第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第3569252号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであって、具体的には、以下の訂正事項のとおりに訂正することを求めるものである。
訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
麦若葉末と抹茶と酵母を含有する、健康食品。
【請求項2】
さらに、水溶性食物繊維を含有する、請求項1に記載の健康食品。
【請求項3】
さらに、乳酸菌およびオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項1または2に記載の健康食品。」を
「【請求項1】
麦若葉を搾汁することなく乾燥粉末化した麦若葉末と抹茶と酵母を含有する、健康食品。
【請求項2】
さらに、水溶性食物繊維を含有する、請求項1に記載の健康食品。
【請求項3】
さらに、乳酸菌およびオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項1または2に記載の健康食品。」
に訂正する(下線は、訂正箇所を示す。)。

第3 当審の判断
(1) 訂正の目的、新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張又は変更
訂正事項1は、請求項1について、「麦若葉末」を「麦若葉を搾汁することなく乾燥粉末化した麦若葉末」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、請求項1を直接又は間接に引用する請求項2及び3についても、同様に特許請求の範囲を減縮するものである。
また、段落0013に、「また、乾燥は、凍結乾燥、あるいは70℃以下の低温加熱乾燥(例えば、温風乾燥)であることが好ましい。得られる麦若葉末は、麦若葉を搾汁することなくそのまま乾燥粉末化しているために、麦若葉の有効成分をそのまま含んでいる。」と記載されているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(2)独立特許要件
訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許法第126条第7項の規定に違反するか否か、すなわち、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。
訂正審判請求人は、平成29年6月9日付けで上申書を提出し、本件特許に係る、平成28年(ワ)第33544号特許権侵害差止等請求事件において、特許無効の抗弁がなされた旨上申している。
上申書に添付された「被告第1準備書面」によれば、無効理由の内容は以下のとおりである。
ア.訂正前の請求項1ないし3に係る発明は、乙第20号証及び乙第21号証に開示されているから、新規性を欠如し、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることはできない(以下、「無効理由1」という。)。
イ.訂正前の請求項1ないし3に係る発明は、乙第20号証または乙第21号証に記載の発明及び乙第22ないし第30号証記載の周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない(以下、「無効理由2」という。)。
ウ.訂正前の請求項1ないし3に係る発明は、乙第31号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない(以下、「無効理由3」という。)。
エ.訂正前の請求項1ないし3に係る特許発明は体内の活性酸素の低減効果に優れた健康食品を提供するという課題を解決することを目的とし、麦若葉末、抹茶及び酵母の3成分を含むことにより相乗的に体内のSOD活性を増強させることをその解決手段とするところ、麦若葉末、抹茶及び酵母の3成分を含むことによる相乗的な効果は得られず、本件特許の明細書を参酌しても、体内の活性酸素の低減効果に優れた健康食品を提供するという課題をどのように解決するのかを理解することができず、また、訂正前の請求項1ないし3に係る特許発明は、特許請求の範囲において、麦若葉末、抹茶、酵母や、水溶性植物繊維、乳酸菌ないしオリゴ糖の含有量や配合比率に係る数値が明示されていないから、訂正前の請求項1ないし3に係る特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の定めるサポート要件に違反している。(以下、「無効理由4」という。)
オ.発明の詳細な説明の記載は、SODを相乗的に活性化する食品をどのようにして得るのか、当業者が理解できる程度に記載されていないから、特許法第36条第4項第1号の定める実施可能要件に違反している(以下、「無効理由5」という。)。

乙第20ないし第31号証
乙第20号証 特開2001-288116号公報
乙第21号証 特開2000-224970号公報
乙第22号証 日本食糧新聞、平成13年7月11日、9頁
乙第23号証 朝日新聞、平成13年8月9日、東京夕刊5頁
乙第24号証 特開昭63-79834号公報
乙第25号証 特開昭59-45880号公報
乙第26号証 特開平11-75791号公報
乙第27号証 特開平11-123071号公報
乙第28号証 特開2000-302694号公報
乙第29号証 特開平10-155454号公報
乙第30号証 特開平2-265457号公報
乙第31号証 特開2003-79339号公報

オ.無効理由1についての判断
ア)乙第20号証に記載された事項
乙第20号証には、「ビール酵母に抹茶を添加剤として加えた活性酸素抑制組成物。」の発明が記載されている(【0041】参照。以下「乙第20号証に記載された発明」という。)。
イ)乙第21号証に記載された事項
乙第21号証には、「ビール酵母と抹茶を含有する活性酸素抑制組成物。」の発明が記載されている(【具体例2】参照。以下「乙第21号証に記載された発明」という。)
ウ)対比・判断
訂正後の請求項1に係る発明と乙第20号証または乙第21号証に記載された発明と対比すると、訂正後の請求項1に係る発明は、麦若葉を搾汁することなく乾燥粉末化した麦若葉末と抹茶と酵母を含有しているのに対して、乙第20号証及び乙第21号証に記載された発明は、麦若葉を搾汁することなく乾燥粉末化した麦若葉末を含有していない点で相違する(以下、「相違点」という。)。
なお、乙第20号証(【0033】)及び乙第21号証(【0027】)には、「大麦・大根の若葉や根」との記載があるが、当該記載が大麦の若葉を意味しているとは解せないし、また、乙第20号証及び乙第21号証には、麦若葉を搾汁することなく乾燥粉末化した麦若葉末についての記載はない。
したがって、訂正後の請求項1に係る発明は、乙第20号証または乙第21号証に記載された発明ではない。
また、訂正後の請求項1に係る発明の発明特定事項をすべて含む訂正後の請求項2及び3に係る発明についても、訂正後の請求項1に係る発明と同様の理由で乙第20号証または乙第21号証に記載された発明ではない。
よって、訂正後の請求項1ないし3に係る発明は、乙第20号証または乙第21号証に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するとはいえない。

カ.無効理由2についての判断
訂正後の請求項1に係る発明は、麦若葉を搾汁することなく乾燥粉末化した麦若葉末と抹茶と酵母とを組み合わせることにより、麦若葉末と抹茶、あるいは、麦若葉末と酵母エキスを組み合わせた場合に比べて、相乗的に体内SODが活性化されるものである(本件特許明細書【0006】、【0041】ないし【0044】参照。)。
訂正後の請求項1に係る発明と乙第20号証または乙第21号証に記載された発明と対比すると、前記相違点で相違する。
前記相違点について検討すると、乙第22号証、乙第25号証ないし乙第30号証のいずれにも麦若葉を搾汁することなく乾燥粉末化した麦若葉末を含有することが記載されていない。乙第23号証には、大麦若葉を丸ごと粉砕したものと抹茶を含有する青汁のサプリメントが記載されているが、活性酸素抑制組成物に用いることや、酵母と共に用いることの記載はなく、乙第23号証に記載された事項を乙第20号証または乙第21号証に記載された発明に適用する動機付けが認められない。乙第24号証には、大麦の若葉を低温で乾燥した粉末を含有する活性酸素抑制組成物が記載されているが、大麦の若葉を抹茶や酵母と共に用いることは記載されていないから、乙第20号証または乙第21号証に記載された発明に麦若葉末を添加することを示唆するものとはいえない。
よって、乙第22号証ないし乙第30号証に開示された技術事項を考慮しても、上記相違点に係る構成を当業者が容易に想到し得たということはできない。
したがって、訂正後の請求項1に係る発明は、乙第20号証または乙第21号証に記載された発明及び乙第22号証ないし乙第30号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。
また、訂正後の請求項1に係る発明の発明特定事項をすべて含む訂正後の請求項2及び3に係る発明についても、訂正後の請求項1に係る発明と同様の理由で乙第20号証または乙第21号証に記載された発明及び乙第22号証ないし乙第30号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものということはできない。
よって、訂正後の請求項1ないし3に係る発明は、乙第20号証または乙第21号証に記載された発明及び乙第22号証ないし乙第30号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえないから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものとはいえない。

キ.無効理由3についての判断
ア)乙第31号証記載の発明
乙第31号証には、
「緑茶、プーアル茶、大麦若葉、ビール酵母、スキムミルク、プロテイン、スピルリナ、玄米、ヨモギ、はと麦、黒大豆、ウーロン茶、昆布、ハブ茶、霊芝、熊笹、柿の葉、アマチャズル、胡麻、紅花、アロエ、アシタバ、クコシ、グアバ、ドクダミの計27種類をそれぞれ乾燥、粉末にした健康栄養補助食品。」の発明が記載されている(【発明の実施形態】参照。以下、「先願発明」という。)。
イ)対比
訂正後の請求項1に係る発明と先願発明とを対比すると、両者は、「麦若葉末と緑茶と酵母を含有する、健康食品。」で一致し、下記の点で相違する。
A 訂正後の請求項1に係る発明は、麦若葉を搾汁することなく乾燥粉末化した麦若葉末を含有しているのに対して、先願発明は、大麦若葉を含むものの、「麦若葉を搾汁することなく乾燥粉末化」することについて特定されていない点。
B 訂正後の請求項1に係る発明は、抹茶を含んでいるのに対して、先願発明は緑茶が抹茶と特定されていない点。
ウ)判断
先願発明の「乾燥、粉末にした」は、必ずしも、搾汁することなく乾燥粉末化したことを意味するとはいえないから、先願発明の大麦若葉を乾燥、粉末にしたものと、訂正後の請求項1に係る発明の「麦若葉を搾汁することなく乾燥粉末化した麦若葉末」が実質的に同一であるとはいえない。
また、緑茶は抹茶を含む広い概念ではあるものの、先願明細書には、特に抹茶を示唆するところはなく、抹茶とその他の緑茶とでは、含有成分も異なっていることから、緑茶と抹茶が実質的に同一であるともいえない。
よって、訂正後の請求項1に係る発明と先願発明とは実質的に同一ということはできない。
また、訂正後の請求項1に係る発明の発明特定事項をすべて含む訂正後の請求項2及び3に係る発明についても、訂正後の請求項1に係る発明と同様の理由で先願発明と同一であるということはできない。
よって、訂正後の請求項1ないし3に係る発明は、先願発明と同一であるとはいえず、その特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものとはいえない。

ク.無効理由4についての判断
本件特許明細書には、表1に本件特許の実施例(麦若葉末と抹茶と酵母エキスの3種が配合された食品)と比較例として2例(麦若葉末と抹茶とが配合された食品及び麦若葉末と酵母エキスが配合された食品)が記載され、表2に実施例と比較例のSOD活性の測定結果が記載されており、本件特許の実施例は、比較例の2例と比較してSOD活性の増加率が高くなることが示されているから、麦若葉末と抹茶と酵母エキスの3種が配合されることによる相乗効果があることが示されているといえる。そして、訂正後の請求項1ないし3に係る発明は、麦若葉末と抹茶と酵母の組み合わせにより、体内のSOD活性が増強される発明であるから、特許請求の範囲に各成分の含有量や配合比率の具体的な数値を記載しなくとも、課題を解決できると認識できる。
したがって、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないとはいえない。

ケ.無効理由5についての判断
本件特許明細書には麦若葉末と抹茶と酵母エキスの3種の配合比率について表1に具体的な数値が記載されているから、当業者が訂正後の請求項1ないし3に係る発明を実施することができる程度に発明の詳細な説明に必要な事項が明確かつ十分に記載されているといえる。
したがって、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たさないとはいえない。

コ.まとめ
その他に、訂正後の請求項1ないし3に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由は見いだせない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
麦若葉を搾汁することなく乾燥粉末化した麦若葉末と抹茶と酵母を含有する、健康食品。
【請求項2】
さらに、水溶性食物繊維を含有する、請求項1に記載の健康食品。
【請求項3】
さらに、乳酸菌およびオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項1または2に記載の健康食品。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2017-08-02 
結審通知日 2017-08-04 
審決日 2017-08-24 
出願番号 特願2001-345279(P2001-345279)
審決分類 P 1 41・ 856- Y (A23L)
P 1 41・ 851- Y (A23L)
最終処分 成立  
特許庁審判長 中村 則夫
特許庁審判官 紀本 孝
莊司 英史
登録日 2004-06-25 
登録番号 特許第3569252号(P3569252)
発明の名称 健康食品  
代理人 成川 弘樹  
代理人 中尾 守男  
代理人 中尾 守男  
代理人 成川 弘樹  
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