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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  B42D
審判 全部無効 1項3号刊行物記載  B42D
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B42D
管理番号 1332461
審判番号 無効2014-800211  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-12-22 
確定日 2017-06-13 
事件の表示 上記当事者間の特許第4310416号発明「印刷物」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 事案の概要
本件は、請求人が、被請求人が特許権者である特許第4310416号(以下、「本件特許」という。登録時の請求項の数は3である。)の請求項1ないし請求項3に係る発明についての特許を無効とすることを求める事案である。

第2 手続の経緯の概要
本件特許第4310416号に係る手続の経緯の概要は以下のとおりである。

平成16年 2月24日 特許出願(特願2004-48392号)
平成21年 3月19日 特許査定
平成21年 5月22日 特許第4310416号として設定登録
平成25年 5月24日 無効審判請求(無効2013-800089号)
平成25年12月19日 審決(本件審判の請求は成り立たない。)
平成26年 1月24日 出訴 審決取消訴訟(平成26年(行ケ)
第10030号)
平成26年10月20日 判決(平成26年(行ケ)第10030号)
(請求棄却)
平成26年11月 4日 審決確定
平成26年12月22日 無効審判請求(無効2014-800211
号:本件)
平成27年 3月17日 審判事件答弁書
平成27年 4月14日 審理事項通知書
平成27年 5月12日 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成27年 5月26日 口頭審理
平成27年 6月 9日 上申書(請求人)
平成27年 6月 9日 上申書(被請求人)
平成27年 6月23日 上申書(請求人)
平成27年 7月31日 上申書(請求人)

第3 本件特許発明
本件特許第4310416号の請求項1ないし請求項3に係る発明は、本件特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3に記載された次のとおりのものである。(以下、それぞれ「本件特許発明1」、「本件特許発明2」、「本件特許発明3」という。)

「【請求項1】
左側面部と中央面部と右側面部とからなる印刷物であって,
中央面部(1)は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するもの(4)が印刷されていること,
左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されていること,
右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されていること,
当該左側面部(2)の裏面及び当該右側面部(3)の裏面が、前記中央面部(1)の裏面及び当該分離して使用するもの(4)に貼着していること
当該分離して使用するもの(4)の周囲に切り込みが入っていること、
からなることを特徴とする印刷物。
【請求項2】
前記印刷物が広告、ダイレクトメールであることを特徴とする請求項1記載の印刷物。
(審決注:請求項2に係る発明は、自ら(請求項2)を引用することはあり得ないから、上記のとおり、請求項1のみを引用する従属項として認定した。)
【請求項3】
前記分離して使用するものが葉書、チケット、クーポン券であることを特徴とする請求項1記載の印刷物。」

第4 審判請求人の主張の概要及び証拠方法

1.請求の趣旨
請求人は、「特許第4310416号発明の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれを『本件特許発明1』、『本件特許発明2』、『本件特許発明3』という。)についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、無効理由の概要は以下2のとおりであって、本件特許は無効とすべきである旨主張している。

2.審判請求人の主張の概要

(1)本件特許発明1、2は、甲第1号証に記載された発明(以下、「甲1発明」という。)と同一であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許発明1、2の特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。(以下、「無効理由1」という。)(審判請求書14頁25行ないし15頁1行、46頁14行ないし49頁末行)

甲1発明は以下のとおりである。
「巻き折りまたは観音開き折りのシート状基材であって、情報記録体がシート状基材から打ち抜かれて分離可能に形成され、情報記録体が形成されたシート状基材の面とこれに重なる面には、情報記録体を被覆する領域に該当する部分に剥離可能な弱粘着性の粘着材が塗布されており、当該粘着剤が塗布された面が、情報記録体が形成された面に帖着されたシート状基材。」(審判請求書20頁8ないし13行)

(2)本件特許発明1、2は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件特許発明1、2の特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。

ア.甲1発明を主引用発明とした場合(以下、「無効理由2」という。)(審判請求書50頁2行ないし55頁19行)

(ア)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点で相違している。
本件特許発明1は、中央面部に分離して使用するものが印刷され、左側面部の裏面及び右側面部の裏面の両方が、中央面部の裏面及び当該分離して使用するものに貼着していることに対して、甲1発明に記載された発明では、分離して使用するもの(情報記録体)が中央面部に印刷されていること、並びに、左側面部の裏側及び右側面の裏側が中央面部の分離して使用するものに帖着していることが不明であることが相違している。
しかしながら、甲1発明において、甲第5号証に記載された発明(以下、「甲5発明」という。)に示されているように、左側面部の裏面及び右側面の裏面の両方が、中央面部の裏面及びカード(分離して使用するもの)に重なるような巻き折り形態にして、上記相違点に係る構成を採用することは当業者が容易に想到できるものである。
あるいは、甲1発明において、甲第5ないし7号証の周知技術に示されたように、左側面部の裏面及び右側面部の裏面が中央面部の裏面及び分離して使用するもの(情報記録体)に重なるようにし、これらを帖着するようにして、上記相違点に係る構成を採用することは、当業者が容易に想到できるものである。

(イ)本件特許発明2について
本件特許発明2の「前記印刷物が広告、ダイレクトメールであること」の構成は、甲第1号証に記載(【0009】・・・シート状基材の各表面には、宣伝広告や各種文言、プリンタ等で打ち出された個人情報等が印字・印刷・・・)されている。
よって、本件特許発明2と、甲1発明の一致点及び相違点は、本件特許発明1と甲1発明の一致点及び相違点と同じである。
したがって、本件特許発明2は、本件特許発明1と同様に、甲1発明と甲5発明、または、甲1発明及び甲5ないし7号証に記載された周知技術から、当業者が容易に想到できるものである。

(ウ)本件特許発明3について
甲1発明の「情報記録体」には、各種プリペイドカード、カード類が含まれる。(甲第1号証【0011】・・・情報記録体としては・・・、各種プリペイドカード、カード類等が形成可能である)
したがって、本件特許発明3は、甲1発明と甲5発明、または、甲1発明及び甲5ないし7号証に記載された周知技術から、当業者が容易に想到できるものである。

イ.甲第2号証記載の発明(以下、「甲2発明」という。)を主引用発明とした場合(以下、「無効理由3」という。)(審判請求書55頁20行ないし61頁20行)

(ア)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲2発明とは、以下の点で相違している。

[相違点1]本件特許発明1は、左側面部の裏面及び右側面部の裏面が、中央面部の裏面に貼着していることに対して、甲2発明は、左側面部の一方の面が中央面部の一方の面に帖着し、右側面部の一方の面が中央面部の他方の面に帖着している点。

[相違点2]本件特許発明1の剥離可能な圧着手段が「一過性の粘着剤」であるのに対して、甲2発明の剥離可能な圧着手段は、そのような限定がされていない点。

しかしながら、上記相違点1を検討すると、甲第8号証を踏まえれば、用紙を3つ折り畳んで重なり合う面を疑似接着させた葉書等のメールフォームにおいて、Z型(N型)の形態とするか観音折り形態とするかは、当業者が適宜選択し得る設計的事項にすぎず、そして、甲2発明において、甲第8号証に示されたような観音折り形態とすると、必然的に、左側面部の裏面及び右側面部の裏面の両方がカードに重なって貼着される。
したがって、甲2発明において、上記相違点1の構成を採用することは、当業者が容易に想到できるものである。
あるいは、甲2発明において、Z型の折り形態を甲第8号証に示されたような観音折り形態とするのに際し、甲第5?7号証記載の周知技術に示されたように、左側面部の裏面及び右側面部の裏面が中央面部の裏面及びカード(分離して使用するもの)に重なるようにし、これらに貼着するようにして、上記相違点1の構成を採用することは、当業者が容易に想到できるものである。
また、上記相違点2を検討すると、甲2発明の剥離可能な圧着手段を、甲第8号証に記載されているような一過性の粘着剤を塗布するものとして相違点2に係る構成を採用することは、当業者が容易に想到できるものである。

(イ)本件特許発明2について
甲2発明の「葉書」は、ダイレクトメールである(甲第2号証【0041】顧客は・・・葉書Hをダイレクトメールで受ける・・・)。
したがって、本件特許発明2は、本件特許発明1と同様に、甲2発明及び甲第8号証に記載された事項及び甲第5?7号証記載の周知技術から、当業者が容易に想到できるものである。

(ウ)本件特許発明3について
チケット、クーポン券は、カード類に含まれ、甲2発明のカード部1をチケット、クーポン券とすることは、当業者が適宜選択し得る事項にすぎない。
したがって、本件特許発明3は、本件特許発明1、2と同様に、甲2発明及び甲第8号証に記載された事項及び甲第5?7号証記載の周知技術から、当業者が容易に想到できるものである。

ウ.甲第3号証記載の発明(以下、「甲3発明」という。)を主引用発明とした場合(以下、「無効理由4」という。)(審判請求書61頁21行ないし66頁22行)

(ア)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲3発明とは、以下の点で相違している。

[相違点1]本件特許発明1は、左側面部と中央面部と右側面部とからなり、左側面部の裏面及び右側面部の裏面が中央面部の裏面に貼着する形態、すなわち、左側面部と右側面部の両方が中央面部に重なる折り形態であるのに対して、甲3発明は、一のシートが他の一のシートと重なる折り形態である点。

[相違点2]本件特許発明1は、中央面部に分離して使用するものが印刷され、左側面部の裏面及び右側面部の裏面の両方が、分離して使用するものに貼着しているのに対して、甲3発明は、一のシートが分離して使用するものと貼着している点。

[相違点3]本件特許発明1の一過性の接着手段は、一過性の粘着剤を塗布するものであるのに対して、甲3発明の一過性の接着手段は、接着剤層である点。

しかしながら、上記相違点1、2を検討すると、甲第8号証を踏まえれば、疑似接着のメールフォームにおいて、2つ折り形態とするか左右側面部が中央面部に重なる3つ折り形態のものとするかは、当業者が適宜選択し得る設計的事項にすぎない。
また、甲第9号証には、左右側面部が中央面部に重なる3つ折り形態の葉書が記載されている。
したがって、甲3発明において、上記相違点1、2のように構成を採用することは、当業者が容易に相当できるものである。
また、上記相違点3を検討すると、甲3発明の接着層を、甲第8号証に記載された一過性の粘着剤を塗布するものとして相違点3に係る構成を採用することは、当業者が容易に想到できるものである。

(イ)本件特許発明2について
甲第9号証には、ダイレクトメール用ハガキ1が記載されている。
したがって、本件特許発明2は、本件特許発明1と同様に、甲3発明及び甲第8、9号証に記載された発明から当業者が容易に想到できるものである

(ウ)本件特許発明3について
甲第3号証には、宛て先5,6を有するカード部3は、コンサートやJリーグやプロ野球等の入場券、一日乗車券や旅行の際のクーポン券として利用すること」(【0008】段落)が記載され、入場券とチケットは同じものである。
すなわち、甲第3号証には、分離して使用するものをチケット、クーポン券として本件特許発明3の構成要件とすることが示されている。
したがって、本件特許発明3は、本件特許発明1と同様に、甲3発明及び甲第8、9号証に記載された発明から当業者が容易に想到できるものである。

エ.甲第4号証記載の発明(以下、「甲4発明」という。)を主引用発明とした場合(以下、「無効理由5」という。)(審判請求書66頁23行ないし72頁末行)

(ア)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲4発明とは、以下の点で相違している。

[相違点1]本件特許発明1は、左側面部と中央面部と右側面部とからなり、左側面部の裏面及び右側面部の裏面が中央面部の裏面に貼着していること、すなわち、左側面部と右側面部の両方が中央面部に重なって貼着しているのに対して、甲4発明は、折畳み対向紙片の一の紙片が他の一の紙片と重なって貼着している点。

[相違点2]本件特許発明1は、中央面部に分離して使用するものが印刷され、左側面部の裏面及び右側面部の裏面の両方が、分離して使用するものに重なって貼着しているのに対して、甲4発明は、一の紙片が分離して使用するものに重なって貼着している点。

しかしながら、上記相違点1、2を検討すると、甲4発明において、甲5発明に示されているように、中央面部にプリペイドカードを形成し、左右側面部(プリペイドカード)に重なるようにして上記相違点1、2の構成を採用することは、当業者が容易に想到できるものである。

(イ)本件特許発明2について
甲4発明のプリペイドカード付きシートにおいても、絵柄等の印刷を施した用紙が用意されることは明らかであり、その印刷内容をどのようにするかは適宜変更し得るものである。
そして、甲第10、11号証に記載されているように、印刷物に広告を設けることは、周知技術である。
よって、甲4発明において、印刷物に広告を施し、本件特許発明2とすることは、甲第10、11号証に記載された周知技術から当業者が容易に想到できる程度のものである。
したがって、本件特許発明2は、甲4発明、甲5発明及び甲第10、11号証に記載された周知技術から当業者が容易に発明することができたものである。

(ウ)本件特許発明3について
甲第4号証には、甲4発明の技術的課題として、購入者に交付されるシートからプリペイドカードを分離して使用できるようにすることが、記載されている。
そして、広告の一部に返信用葉書を切り取り可能に設けることは、甲第10、11号証に記載されているように周知である。
よって、消費者等が受領してシートや紙面から分離して使用するものとして、甲4発明の「プリペイドカード」に代えて「葉書」を採用して、本件特許発明3とすることは、甲第10、11号証に記載された周知技術から当業者が容易に想到できる程度のものである。

オ.甲5発明を主引用発明とした場合(以下、「無効理由6」という。)(審判請求書73頁1行ないし77頁10行)

(ア)本件特許発明1について
本件特許発明1と甲5発明とは、以下の点で相違している。

[相違点1]本件特許発明1は、左側面部の裏面は、当該分離して使用するものの上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分に接着剤が塗布され、右側面部の裏面は、当該分離して使用するものの上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分に接着剤が塗布しているのに対して、甲5発明は、左側面部の裏面には、接着剤が塗布されず、右側面部の裏面は、当該分離して使用するものの外側に該当する部分に接着剤は塗布されているが、当該分離して使用するものの内側に該当する部分には、接着剤は塗布されていない点。

[相違点2]本件特許発明1は、左側面部の裏面及び右側面部の裏面が、当該分離して使用するものに貼着しているのに対して、甲5発明においては、左側面部の裏面及び当該右側面部の裏面が当該分離して使用するものに重なっているだけで、貼着まではしていない点。

[相違点3]本件特許発明1の接着剤が、一過性の粘着剤であるのに対して、甲5発明の接着剤が剥離可能な接着剤である点。

しかしながら、上記相違点1、2を検討すると、甲5発明において、甲4発明に示されているように、左側面部及び右側面部の裏面は、カード(分離して使用するもの)の上部、下部、左側面部、右側面部の内側及び外側に該当する部分に接着剤が塗布され、左側面部の裏面及び当該右側面部の裏面がカード(分離して使用するもの)に貼着するようにして相違点1、2に係る構成を採用することは、当業者が容易に想到できるものである。
また、上記相違点3を検討すると、甲5発明において、剥離可能な接着層を甲4発明の「糊状のもの」として相違点3に係る構成を採用することは、当業者が容易に想到できるものである。

(イ)本件特許発明2について
甲5発明のカード用組み立て式パッケージは、販売場所において使用されるものであり、広告が印刷されることは明らかで、本件特許発明2の構成要件は、甲第5号証に示唆されている。
したがって、本件特許発明2は、本件特許発明1と同様に、甲5発明及び甲4発明から当業者が容易に想到できるものである。

(ウ)本件特許発明3について
甲5発明のカードには、ギフトカード、テレフォンカード、IDカード、クレジットカード、デビットカードのような色々なものがある。
そして、チケット、クーポン券は、カードであり、甲5発明のカードをチケット、クーポン券とすることは、当業者が適宜選択し得る事項にすぎない。
したがって、本件特許発明3は、本件特許発明1と同様に、甲5発明及び甲4発明から当業者が容易に想到できるものである。

(3)特許法第36条第6項第2号違反。(以下、「無効理由7」という。)(審判請求書77頁12行ないし78頁末行)
請求項1の記載は、左側面部(2)と右側面部(3)の裏面のどの範囲に一過性の粘着剤が塗布されているのか不明確である。
したがって、本件特許の請求項1及びこれを引用する請求項2、3は、特許法第36条第6項第2項に違反する。

(4)特許法第36条第6項第1号違反(以下、「無効理由8」という。)(審判請求書79頁1行ないし81頁2行)
本件特許の請求項1の記載は、左右側面部の裏面において、一過性の粘着剤が塗布される位置を、当該分離して使用するものの上部、下部、左(右)側部の内側及び外側に該当する部分のいずれかであればよいとするものであるのに対して、本件明細書には、一過性の粘着剤を塗布する部分の具体例として、分離して使用するもの4と中央面部1の上部境界、下部境界、左側部(右側部)境界の各境界の内側近傍と外側近傍に接着剤を塗布したものしか記載されていない。
本件特許発明1の効果は、「印刷物に付いている葉書、チケット、クーポン券等を切り取ろうとする意志を持たずに、印刷物を開くと自動的に手にすることになる」である。
これより、発明の詳細な説明に記載された粘着剤の塗布位置を超えて、分離して使用するものの上部、下部、左(右)側部の内側及び外側に該当する部分のいずれかでよいとすると、粘着剤の塗布位置によっては、本件特許発明1の課題を解決できず、また、本件特許発明1の作用効果を奏しないものであり、当業者が本件特許発明の課題を解決できると認識できる範囲のものとはならない。
よって、本件特許発明1は、明細書の発明の詳細な説明の記載からは、当業者が本件特許発明1の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえず、また、出願時の技術常識に照らしても、当業者が本件特許発明1の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえない。
したがって、本件特許の請求項1及びこれを引用する請求項2、3は特許法第36条第6項第1号違反となる。

(5)甲各号証
請求人が本件審判請求にあたり提示した証拠方法は、以下のとおりである。

ア.平成26年12月22日付け審判請求書に添付されたもの
甲第 1号証:特開2002-113981号公報
甲第 2号証:特開2001-180154号公報
甲第 3号証:実用新案登録第3037602号公報
甲第 4号証:実用新案登録第3070251号公報
甲第 5号証:米国特許第6349829号明細書
甲第 5号証の2:甲第5号証の和訳
甲第 6号証:特開2002-96887号公報
甲第 7号証:米国特許公開2002/0100797号公報
甲第 7号証の2:甲第7号証の和訳
甲第 8号証:実用新案登録第2535324号公報
甲第 9号証:実願平2-66333号(実開平4-24387号)
のマイクロフィルム
甲第10号証:実用新案登録3096910号公報
甲第11号証:実願平1-115348号(実開平3-55272号)
のマイクロフィルム
甲第12号証:無効2011-800118号審決
甲第13号証:実験報告書
甲第14号証:甲第13号証の実験のビデオ映像(DVD).被請求人
甲第15号証:特許第4310416号公報(本件特許公報)

イ.平成27年5月12日付け口頭審理陳述要領書に添付されたもの
甲第16号証:実願昭62-85643号(実願昭64-55071号)
のマイクロフィルム
甲第17号証:実願平1-33834号(実願平2-124180号)
のマイクロフィルム
甲第18号証:実開平2-61632号(実願平4-20468号)
のマイクロフィルム
甲第19号証:実開平2-72926号(実開平4-30971号)
のマイクロフィルム
甲第20号証の1:折り加工料金表(二つ折り・巻き三つ折り・観音折り・
DM折りなど).[online].いばらき印刷株式会社
i-printing ショップ.
URL:http://www.i-printing.co.jp/shop/kakou.html
甲第20号証の2:印刷豆知識 折り加工の種類.[online].有限会社
美 成.URL:http://www.tvt.ne.jp/~bisei/knowledge
/printing/fold.html
甲第21号証:内国郵便約款 第1?9頁.日本郵便株式会社
甲第22号証:JIS S8605 コンパクトディスクディジタルオーデ
ィオシステム.1?4頁.日本規格協会
甲第23号証:JIS X 6301 識別カード-物理的特性.日本規格
協会
甲第24号証:JIS X 6311 プリペイドカード-買い物用カード
-物理的特性及び形状・寸法.日本規格協会

なお、被請求人は、甲第1ないし24号証の成立を認めている。

第5 被請求人の主張の概要及び証拠方法

1.被請求人の主張の概要

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、上記請求人の主張に対し、本件特許を無効とすべき理由はない旨の主張をしている。

(1)無効理由1 (甲1発明に基づく新規性欠如)は理由がないこと(答弁書21頁1行ないし36頁末行)
本件特許発明1と甲1発明には、相違点が存するので、本件特許発明1は、甲1発明と同一とはいえない。
よって、本件特許発明1は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものではない。
本件特許発明2は、本件特許発明1に係る請求項1の従属項である、請求項2に係る発明であるから、本件特許発明1と同様に、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものではない。

(2)無効理由2(甲1発明を主引用発明とし、甲5発明、甲第5ないし7号証記載の周知技術と組み合わせることによる進歩性欠如)は理由がないこと(答弁書37頁1行ないし64頁末行)
本件特許発明1と甲1発明の相違点は、甲5発明、甲第5ないし7号証記載の周知技術から導き出せない。
本件特許発明1と甲1発明の課題は共通しないので、甲5発明、甲第5ないし7号証記載の周知技術を甲1発明に組み合わせる動機づけはない。
よって、本件特許発明1と、本件特許発明1に係る請求項1の従属項である、請求項2、3に係る発明である、本件特許発明2、3は、甲1発明等から当業者が容易に発明することができたものではないから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。

(3)無効理由3 (甲2発明を主引用発明とし、甲第8号証に記載された事項及び甲第5?7号証に記載された周知技術と組み合わせることによる進歩性欠如)は理由がないこと(答弁書65頁1行ないし78頁末行)
本件特許発明1と甲2発明の相違点は、甲第8号証に記載された事項及び甲第5?7号証に記載された周知技術から導き出せない。
よって、本件特許発明1と、本件特許発明1に係る請求項1の従属項である、請求項2、3に係る発明である、本件特許発明2、3は、甲1発明等から当業者が容易に発明することができたものではないから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないものではない。

(4)無効理由4(甲3発明を主引用発明とする進歩性欠如)は理由がないこと(答弁書79頁1行ないし83頁末行)
本件特許発明1と甲3発明の相違点は、甲第8号証、甲第9号証記載の技術から導き出せない。
また、甲3発明に甲第8号証及び甲第9号証に記載の技術を、組み合わせることには、動機付けがない。
よって、本件特許発明1と、本件特許発明1に係る請求項1の従属項である、請求項2、3に係る発明である、本件特許発明2、3は、甲1発明等から当業者が容易に発明することができたものではないから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないものではない。

(5)無効理由5(甲4発明を主引用発明とする進歩性欠如)は理由がないこと(答弁書84頁1行ないし96頁末行)
本件特許発明1と甲4発明の相違点は、甲5発明から導き出せない。
また、甲4発明に甲5発明を、組み合わせることには、動機付けがない。
よって、本件特許発明1と、本件特許発明1に係る請求項1の従属項である、請求項2、3に係る発明である、本件特許発明2、3は、甲1発明等から当業者が容易に発明することができたものではないから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないものではない。

(6)無効理由6(甲5発明を主引用発明とする進歩性欠如)は理由がないこと(答弁書97頁1行ないし106頁末行)
無効理由6は、甲5発明を主引用発明として、甲4発明を副引用発明とする主張である。他方、無効理由5は、甲4発明を主引用発明として、甲5発明を副引用発明とする主張である。
このように、無効理由6は、無効理由5の主引用発明と副引用発明を入れ替えたものであり、無効理由5と同様に、理由がない。

(7)無効理由7(特許法36条6項2号違反)は理由がないこと(答弁書107頁1行ないし110頁末行)
本件特許発明1の「該当する部分」とは、粘着剤が塗布される領域の範囲を特定するものであって、該当する部分の全ての領域に粘着剤が塗布されることまでは必須とされない。
本件特許発明1においては、分離して使用するものが使用のために分離されるまでの間において、左側面部及び右側面部に貼着保持されていれば発明の目的を達成できるのであるから、分離して使用するものの形状に合わせて粘着保持すればよいと観念できる上部、下部、側部の領域の範囲内においてそれらのいずれかの部分に粘着剤が塗布されていれば足りると解すべきものである。本件特許発明を明細書の実施例に限定して解すべき理由はない。
以上のとおり、本件特許発明1及びこの従属項に係る本件特許発明2、3は明確である。
したがって、本件特許の請求項1及びこれを引用する請求項2、3は、特許法第6項第2号に違反しない。

(8)無効理由8(特許法36条6項1号違反)は理由がないこと(答弁書111頁1行ないし115頁17行)
特許法36条6項1号は、発明の詳細な説明に、あらゆる実施例を記載することまでは要求していない。
図1の実施例では、葉書の境界に相当する部分の周辺に、粘着剤が塗布されている。
特許法36条6項1号との関係では、本件特許明細書の記載で、十分である。
また、本件特許発明1の上記の構成は、あくまで典型例に過ぎず、分離して使用するものが自動的に外れれば、本件特許発明1の効果は奏し得るところ、左側面部及び右側面部を非常に素早く開いたときなどには、葉書等が左側面部及び右側面部から剥がれることがあるが、この場合も、印刷物に付いている葉書等を切り取ろうとする意思を持たずに、当該印刷物を開くと自動的に手にすることができるという、同様の効果を生じさせる。
したがって、請求人の主張は、そもそも、本件特許発明の効果について、側面部に分離して使用するものが付いてくる場合に限定されることを前提としている点で、誤りである。
したがって、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるから、特許法第36条第6項第1項に違反しない。

2.乙各号証
被請求人が本件審判請求にあたり提示した証拠方法は、以下のとおりである。

(1)平成27年3月17日付け審判事件答弁書に添付されたもの
乙第1号証:無効2013-800089号の審決
乙第2号証:平成26年(行ケ)第10030号判決
(無効2013-800089号審決取消訴訟判決)
乙第3号証:特開2000-158855号公報
(乙1審決の甲第1号証)
乙第4号証:製本実務マニュアル.渋谷一男編、株式会社渋谷文泉閣造
本研究会.1999年6月発行
乙第5号証:積算資料 印刷料金 2014年版.一般財団法人経済調
査会編集・発行.平成26年2月10日発行
乙第6号証:広辞苑第四版.新村出編.岩波書店.1991年11月15
日発行、
乙第7号証:開封作業解析事件報告書2.請求人.2014年3月25
日作成.(特許権侵害訴訟「平成25年(ワ)第3167号」
の乙第28号証)
乙第8号証:実験報告書.被請求人代理人.平成25年8月9日作成
(特許権侵害訴訟「平成25年(ワ)第3167号」の乙9号
証の1)

(2)平成27年6月9日付け審判事件上申書に添付されたもの
乙第9号証:新・註解 特許法【上巻】第1版.中山信弘編、
株式会社青林書院.2011年4月26日

なお、請求人は、乙第1ないし8号証の成立を認めている。

第6 主な各甲号証に記載されている事項

1.甲第1号証
請求人が提出した、本件特許出願の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開2002-113981号公報)には、以下の記載がある。

(1)「【請求項8】 情報記録体がCD、LD、DVD、ICカードの何れかである請求項1乃至7に記載の情報記録体を形成したシート状基材。」(下線は当審で付した。以下同じ。)

(2)「【0004】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の情報記録体を形成したシート状基材は、シート状の基材から情報記録体が容易に分離可能に形成されたことを特徴としている。本発明は、例えばハガキ大のシート状基材の内側にディスクやカード類の形状が打ち抜かれたもので、受取人はディスクやカード類をシート状基材から分離して取り出すことにより、独立した通常のディスクやカード類と同様の使用方法で使用することができるものである。」

(3)「【0006】シート状の基材にディスク等を形成して受取人に配達するには、例えばシート状基材とディスクの形状を複数の小さな繋ぎ部分を残して打ち抜き、受取人が繋ぎ部分を手で破断して分離できるようにしておけばよい。
【0007】シート状の基材の少なくとも一方の面をシート状基材や樹脂フィルム等の別の被覆材で剥離可能に被覆しておけば、ディスク等を完全に分離しておいても情報記録体が被覆材に密着しているため不用意に脱落することはない。情報記録体の両面が被覆されているときは、一方の面を剥がしてから受取人はディスク等を被覆材から剥がすだけで簡単に分離することが可能になる。このようにすればディスク等の表面を保護することができ極めて有用である。
【0008】また上記別体の被覆材以外にシート状の情報記録材自体通常の2倍寸で作成し、半分から折り返して2つ折りの状態で被覆材に代えることも可能である。当然2つ折り以上の3つ折り以上も可能で、その場合には巻き折りやZ折り、観音開き折り等の各種形態が採用できる。
【0009】さらに、例えば2つ折りした上に被覆材で被覆しても構わず、前記各種折り形態とミックスすることにより、より宣伝効果を高める構成にすることが可能である。なお、シート状基材の各表面には、宣伝広告や各種文言、プリンタ等で打ち出された個人情報等が印字・印刷されていても構わない。」

(4)「【0016】図2A及びBにおいて情報記録体を形成したシート状基材Sは図1のSの2倍のサイズを折り部3で2つ折りしたものである。この場合4、5の各シート状基材同士は疑似接着部分6で剥離可能に疑似接着されている。従って4側に形成されている情報記録体1は図1の場合のような繋ぎ部2がなくても、下側のシート状基材5に疑似接着しているため不用意に脱落することはない。受取人はCDの情報記録体1を剥離可能に疑似接着している下側のシート状基材5の疑似接着部分6から引き剥がし分離して取り出すことができる。」

よって、上記(1)ないし(4)の記載を総合すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「情報記録体がCD、LD、DVD、ICカードの何れかであり、シート状基材の内側にディスクやカード類の形状が打ち抜かれたもので、シート状基材の各表面には、宣伝広告や各種文言、プリンタ等で打ち出された個人情報等が印字・印刷されたものであって、シート状基材Sは折り部3で2つ折りしたものであり、4、5の各シート状基材同士は疑似接着部分6で剥離可能に疑似接着されており、4側に形成されている情報記録体1は、下側のシート状基材5に疑似接着しているシート状の基材であって、2つ折り以上の3つ折り以上も可能で、その場合には巻き折りやZ折り、観音開き折り等の各種形態が採用できるシート状の基材。」

2.甲第2号証
同じく、甲第2号証(特開2001-180154号公報)には、以下の記載がある。

「【0032】本実施例の葉書Hは、図1に示すように、カード部1を備えた葉書本体2と、この葉書本体2に連続した表面シート3、及び裏面シート4により構成される。カード部1は、テレフォンカードと略同一の大きさのものであり、その周囲はトムソン加工された切断予定線11で囲まれている。
【0033】よって、本実施例の葉書Hは、はさみ等を用いなくても、カード部1を葉書本体2から容易に切り離すことができる。なお、図1において、21は、葉書本体2と表面シート3の間の山折りされる折曲線を、22は、葉書本体2と裏面シート4の間の谷折りされる折曲線を示している。
【0034】図2は、図1を背面から見たものであり、葉書本体1には、この部分が葉書本体であることを示す『POST CARD』の表示が記載されている。12は、カード部1に印刷して設けた二次元コード領域であり、この二次元コード領域には、販促対象の商品又はサービスに関する広告が掲載されたリンクページのURLアドレスが記録されている。なお、図2において、21は谷折りされる折曲線を、22は山折りされる折曲線を示している。
【0035】すなわち、本実施例は、細長のシートを『Z』の形状に折り曲げて、葉書本体2と表面シート3、及び葉書本体2と裏面シート4をそれぞれ剥離可能に圧着して、図3に示すような形状の葉書Hを形成するものである。
【0036】したがって、カード部1は、表面シート3及び裏面シート4により覆われるので、破損や汚損から保護することができ、郵送の際に、カード部1が離脱してしまうおそれもない。また、二次元コード領域12が外部に露出しないので、セキュリティー上の問題が生ずることもない。」

よって、上記の記載を総合すると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。

「カード部1を備えた葉書本体2と、この葉書本体2に連続した表面シート3、及び裏面シート4により構成され、カード部1は、テレフォンカードと略同一の大きさのものであり、その周囲はトムソン加工された切断予定線11で囲まれており、カード部1を葉書本体2から容易に切り離すことができ、葉書本体1には、この部分が葉書本体であることを示す『POST CARD』の表示が記載され、12は、カード部1に印刷して設けた二次元コード領域であり、この二次元コード領域には、販促対象の商品又はサービスに関する広告が掲載されたリンクページのURLアドレスが記録され、細長のシートを『Z』の形状に折り曲げて、葉書本体2と表面シート3、及び葉書本体2と裏面シート4をそれぞれ剥離可能に圧着した葉書。」

3.甲第3号証
同じく、甲第3号証(実用新案登録3037602号公報)には、以下の記載がある。
「【請求項1】 宛て先(5,6)を有する葉書であって、
切断予定線(4)により囲まれ、かつ、表面に上記宛て先を有するカード部(3)を有する第1シート(1)と、
上記第1シートの裏面(1b)に重なることが可能な裏面(2b)を有する第2シート(2)と、
上記第1シートの裏面を上記第2シートの裏面に剥離可能に接着する接着層(7)とを備えて、
上記第1シートの裏面と第2シートの裏面とが上記接着層で接着された接着状態と、上記接着状態から上記第1シートの裏面と第2シートの裏面とが剥離されて上記第1シートから上記カード部を上記切断予定線で切り離すことができる剥離状態とを呈することができるようにしたことを特徴とする葉書。
【請求項2】 上記カード部は、テレフォンカードと大略同一の大きさであり、かつ、郵便番号記載欄のすぐ下に配置されている請求項1に記載の葉書。
【請求項3】 上記切断予定線はトムソン加工された切り込みを有する請求項1又は2に記載の葉書。」

よって、上記の記載を総合すると、甲第3号証には、次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。

「切断予定線(4)により囲まれ、かつ、表面に上記宛て先を有するカード部(3)を有する第1シート(1)と、上記第1シートの裏面(1b)に重なることが可能な裏面(2b)を有する第2シート(2)と、上記第1シートの裏面を上記第2シートの裏面に剥離可能に接着する接着層(7)とを備えて、上記第1シートの裏面と第2シートの裏面とが上記接着層で接着された接着状態と、上記接着状態から上記第1シートの裏面と第2シートの裏面とが剥離されて上記第1シートから上記カード部を上記切断予定線で切り離すことができる剥離状態とを呈することができるようにし、上記切断予定線はトムソン加工された切り込みを有する葉書。」

4.甲第4号証
同じく、甲第4号証(実用新案登録3070251号公報)には、以下の記載がある。

(1)「【0020】
図1は本考案の一実施形態を示したものであり、同図のプリペイドカード付きシートS1は、1枚の用紙1をN型に3つに折畳んでなる、いわゆるN型3つ折りタイプであり、その用紙1の折畳みにより互いに対向し合う紙片2、3、4(以下『折畳み対向紙片』という。)のうち、中紙3と一の外紙2とは剥離可能に擬似的に接着(以下『擬似接着』という。)され、中紙3と他の外紙4とは剥離不能に永久的に接着(以下『永久接着』という。)されている。」

(2)「【0029】
なお、図1の実施形態では、中紙3と一の外紙2のみを擬似接着し、中紙3と他の外紙4とは永久接着としたが、これに代えて、図3に示したプリペイドカード付きシートS2のように、中紙3と他の外紙4をもオープンタイプフィルム5により擬似接着することができる。この場合は、中紙3と一の外紙2、ならびに中紙3と他の外紙4が剥離可能になるので、一または他の外紙2、4の擬似接着面2a、4b側に有価証券情報7を印字することができる。たとえば、他の外紙4の擬似接着面4b側に有価証券情報7を印字した場合には、その有価証券情報7の印字部を含む他の外紙4の一部に、これをプリペイドカード8として抜き取り可能とする抜き型での加工を施すものとする。なお、この場合の抜き型による加工も上記実施形態と同じく、有価証券情報7の印字部外周に極細のスリット9を切り込む加工であるが、そのスリット9の深さは他の外紙4をその厚み方向に貫通する深さとする。したがって、このような構成からなる図3のプリペイドカード付きシートS2では、他の外紙4の一部だけがスリット9の内側部分から抜き取られてプリペイドカード8となる。」

(3)「【0034】
上記実施形態では擬似接着や永久接着の手段としてオープンタイプフィルム5やクローズタイプフィルム6を用いたが、これらの接着手段については、そのようなフィルム形態のものに限定されることはなく、糊状のものを適用することができる。」

よって、上記(1)ないし(3)の記載を総合すると、甲4には、次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。

「1枚の用紙1をN型に3つに折畳んでなる、N型3つ折りタイプであり、その用紙1の折畳みにより互いに対向し合う紙片2、3、4のうち、中紙3と一の外紙2とは剥離可能に擬似的に接着(以下『擬似接着』という。)され、中紙3と他の外紙4をも擬似接着することができるプリペイドカード付きシートS2であって、一または他の外紙2、4の擬似接着面2a、4b側に有価証券情報7を印字することができる。たとえば、他の外紙4の擬似接着面4b側に有価証券情報7を印字した場合には、その有価証券情報7の印字部を含む他の外紙4の一部に、これをプリペイドカード8として抜き取り可能とする抜き型での加工を施し、擬似接着の手段として糊状のものを適用するプリペイドカード付きシートS2。」

5.甲第5号証
同じく、甲第5号証(米国特許6349829明細書)には、以下の記載がある。

(1)「FIELD OF THE INVENTION
This invention relates to mounting and presenting cards such as gift cards, telephone cards, etc., in a package assembly particularly for point-of-sale applications, and to a method of manufacture of a package assembly containing a card therein.」(1欄3行?8行)
(技術分野
本発明はギフトカード、テレフォンカード等のカードを、特に販売場所において、組み立て式パッケージに取り付けて表示する事、及びカードが入った組み立て式パッケージの製造方法に関する。)(甲第5号証の2 1頁15行?18行)

(2)「The preferred method of manufacture of producing the card package assembly comprises providing a printed web of sheet material to form into a folded package; 」(2欄41行?43行)
(カード用組み立て式パッケージの好ましい製造方法は、折り畳まれたパッケージを作るための印刷されたシート素材のウェブを準備すること)(甲第5号証の2 3頁8行?10行)

(3)「In other embodiments of the invention shown in FIGS. 16-16B , and FIGS. 16-18B , respectively, the “C” configuration package 10 has a card 12 mounted on a card carrier 75 that is positioned interiorly of a folded three panel form 32 m to expose the card through a window 20 . In the embodiment of FIGS. 16-16B , the card carrier is preferably formed from a card carrier web which is severed from a web to form the individual card carrier 75 . The card carrier 75 a , which is shown in FIG. 16B , is a flat, rectangular card, e.g. about 4.25 inch by 3 inch with a strip of glue 76 applied to a carrier face 78 . As will be explained in greater detail hereinafter, when a top panel 16 of the form 32 m is folded about the upper fold line 54 , as shown in FIG. 16A , the bottom surface of the top panel 16 will be adhered to the glue strip 76 on the card carrier 75 a . The window 20 is formed by the plastic patch adhered to a top panel 16 , in FIG. 16 or to a middle, second panel 17 of a three panel form 32 n (FIG. 17 ). In the preferred embodiment of the invention, shown in FIG. 16-16B , the glue strip 76 is positioned parallel to and along a top edge 80 of the card carrier and terminates at a short distance or spaces 81 ( FIG. 16B ) from each of the side edges 82 of the card carrier. In this illustrated embodiment of the invention, the card 12 is adhered by glue to the carrier face, but it is to be understood that the card could be an integral portion of the card carrier that is separated from the remainder of the card carrier by the purchaser. Herein, the card carrier web has been printed or otherwise imaged on a back face 78 a of the card carrier from the card carrier face. Manifestly, both faces of the card carrier can bear indicia. The illustrated card is centered between edges 80 of the card carrier and spaced 0.25 inch from a bottom edge 80 a of the card carrier.
The card carrier 75 a bearing the card is fed to and is positioned on the second panel between the upper fold line 54 and the lower fold line 54 c . Glue spots 84 are applied to the opposite upper corners 84 of the top panel 16 to adhere the top panel to the bottom panel 18 , as can be understood from FIG. 16 A. The bottom panel 18 is shorter than the top and middle panels and is provided with glue spots 85 in its lower opposite corners to adhere the second panel to the middle panel at areas 87 on opposite sides of the side edge 82 of the card carrier 75 a . The card carrier 75 a is shorter than the width of the middle, second panel between side edges 60 of the middle panel to allow the glue spots 85 on the lower panel to adhere to the middle panel when the lower panel is folded over the card 12 and card carrier and about fold line 54 c , as shown in FIG. 16 B.
During the folding operation, the bottom panel 18 is first folded over the card carrier 75 a and subsequently, the top panel 16 is folded over the top portion of the card carrier and over the top edge portion of bottom panel 18 to adhere glue spots 84 to the outer surface of the bottom panel to form the ”C configuration package assembly 10 having the card 12 enclosed therein. During the folding operation, the glue strip 76 adheres the card carrier to the facing surface of the top panel adjacent the fold line 54 and the adhesive spots 85 on the lower panel 18 adhered the third panel to the second panel at the spaces 87 on the second panel on opposite sides to the card carrier. Thus, the card carrier is held in position with alignment with the window patch 20 on the top panel to allow viewing of the card 12 through the window patch. 」(10欄66行?11欄59行)
(図16?16B、図16?18B(審判注:「図18B」は甲第5号証には記載されていないので、上記「図16?16B、図16?18B」は「図16?16B」の誤記と解される。)に示される本発明の他の実施形態において、それぞれの“C”字形状パッケージ10では,カード12は、折り畳まれた3つのパネル用材32mの内側にあるカード担体75に取り付けられており、窓20を通してカードが見えるようになっている。図16?16Bの実施形態では、好ましくは、カード担体は、個々のカード担体75を形成する為に切断されるカード担体ウェブからできている。図16Bに示されるカード担体75aは、約4.25インチ×3インチの平らな矩形のカード等で担体表面78に帯状の接着剤76が塗布されている。以下に詳細に説明されるが、パネル用材32mの上部パネル16が上部折り目線54で折り曲げられた時、図16Aに示されるように、上部パネル16の裏面はカード担体75aの帯状の接着剤76に付着する。窓20は、図16の上部パネル16か、あるいは3つのパネル用材32n(図17)の中間に位置する第2パネル17に接着されるプラスチック片で形成される。図16?16Bに示される本発明の好ましい実施形態において、帯状の接着剤76は、カード担体の上部エッジ80に沿って平行に位置し、カード担体の各々の側部エッジ82から少し離れた所、間隙81(図16Bまで延びている。この図で示された実施形態では、カード12は接着剤でカード担体の表面に接着されているが、カードがカード担体と一体に作られていてカードの購入者が、カードをカード担体から切り離すということもあるということを理解すべきである。ここでは、カード担体ウェブにおいて、カード担体の表面ではなくてカード担体の裏面78aに印刷がされていたり、画像が付与されている。明らかに、カード担体の両側に表示をすることができる。図示されたカードはカード担体のエッジ80間の中央で、カード担体の下部エッジ80aから0.25インチ空けて配置されている。
カードが取り付けられたカード担体75aは、第2パネルの上部折り目線54と下部折り目線54cとの間に配置される。図16Aからわかるように、接着剤地点84は上部パネル16の両端の上部の角84に設けられていて、上部パネルを下部パネル18に接着する。下部パネル18は、上部と中間パネルよりも短く、接着剤地点85は下部パネルの両端の下方の角に設けられているが、第2パネル(審判注:「下部パネル」の誤記と解される。)を中間パネル内のカード担体75aの側部エッジ82の両端部の領域87に接着させる。図16Bで示されるように、カード担体75aは中間の第2パネルの側部エッジ60間である幅より短いので、下部パネルがカード12とカード担体を覆うように折り目線54cで折り曲げられた時、下部パネルにある接着剤地点85が中間パネルに接着するようになっている。
折畳み作業の時、最初に下部パネル18がカード担体75aを覆うように折り曲げられ、次に上部パネル16がカード担体の上方の部分と下部パネル18の上方エッジ部分を覆うように折り曲げられて、接着剤の場所84が下部パネルの外面に添付され、その結果、カード12が中に入った“C”字形状組み立て式パッケージ10が形成される。折畳み作業の際、帯状の接着剤76は、カード担体を、向かい合う上部パネルの面の折り目線54に近接する所に接着させ、下部パネル18の接着剤地点85が、第2パネルにあるカード担体の両端にある空間部87に接着して第3パネルを第2パネルに接着させる。従ってカード担体は上部パネルの窓片20にそろえられて配置されており、窓片を通してカード12が見えるようになっている。)(甲第5号証の2 12頁25行?13頁26行)

(4)ここで上記各パネルについて、「top panel 16」(上部パネル16)、「middle panel」(中間パネル)、「bottom panel 18」(下部パネル18)、「lower panel 18」(下部パネル18)、「second panel 17」(第2パネル17)、「third panel」(第3パネル)の6種の表記がなされている。
「bottom panel 18」(下部パネル18)と「lower panel 18」(下部パネル18)は符号18が同じであるから、同じものであり、上記(3)をみると、「下部パネル18の接着剤地点85が、第2パネルにあるカード担体の両端にある空間部87に接着して第3パネルを第2パネルに接着させる。」とあるから、「第3パネル」と「下部パネル18」は同じものである。
同(3)の、「下部パネルがカード12とカード担体を覆うように折り目線54cで折り曲げられた時、下部パネルにある接着剤地点85が中間パネルに接着するようになっている。」と「下部パネル18の接着剤地点85が、第2パネルにあるカード担体の両端にある空間部87に接着して第3パネルを第2パネルに接着させる。」の記載からみて、「中間パネル」と「第2パネル」は同じものである。
用語を統一するため、以降は、「中間パネル」(middle panel)、「第2パネル17」(second panel 17)は、「中間パネル17」とし、「下部パネル18」(bottom panel 18)、「下部パネル18」(lower panel 18)、「第3パネル」(third panel)は、「下部パネル18」とする。

(5)上記(3)記載の図16?16Bに示される実施形態の「カード」は「カードがカード担体と一体に作られていてカードの購入者が、カードをカード担体から切り離すことができる」ものであることは明らかである。

(6)上記(3)の「カード担体75a」は「カードが取り付けられた」ものであるから、同(3)の「最初に下部パネル18がカード担体75aを覆うように折り曲げられ、次に上部パネル16がカード担体の上方の部分と下部パネル18の上方エッジ部分を覆うように折り曲げられ」る点は、「最初に下部パネル18がカードを覆うように折り曲げられ、次に上部パネル16がカードの上方の部分と下部パネル18の上方エッジ部分を覆うように折り曲げられて」といえる。

(7)上記(3)の「カード担体の裏面78aに印刷がされていたり、画像が付与されている」との記載から、組み立て式パッケージ10は、印刷されているといえる。

よって、上記(1)ないし(7)を総合すると、甲第5号証には、次の発明(以下、「甲5発明」または「甲5記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

「ギフトカード、テレフォンカード等のカードは、中間パネル17に配置されており、最初に下部パネル18がカードを覆うように折り曲げられ、下部パネル18に設けられた接着剤地点85は下部パネル18を中間パネルに接着させ、次に上部パネル16がカードの上方の部分と下部パネル18の上方エッジ部分を覆うように折り曲げられており、上部パネル16に設けられた接着剤地点84は上部パネル16を下部パネル18に接着し、カード12がカード担体と一体に作られていてカードの購入者が、カードをカード担体から切り離すことができる印刷されている“C”字形状組み立て式パッケージ10。」

6.甲第6号証
同じく、甲第6号証(特開2002-96887号公報)には、以下の記載がある。

(1)「【請求項1】 コンパクトディスクを台紙に固定するコンパクトディスク用パッケージにおいて、コンパクトディスク中央の孔に差し込み自在な係止片を台紙の一部に設け、コンパクトディスク中央の孔に差し込んだ係止片でコンパクトディスクを係止することを特徴とするコンパクトディスク用パッケージ。」

(2)「【0019】
【実施例1】図1乃至図4に示す実施例は、幅12cmの帯状台紙1の一端から、固定板1Aと一対の重合板1Bとを順次形成している。この実施例によると、固定板1Aに隣接する重合板1BがコンパクトディスクPの係止片2がわに重合し、残る重合板1Bが固定板1Aがわに重合する。この結果、固定板1Aに固定されたコンパクトディスクPが見開き状に形成された一対の重合板1Bの内側に挟まれた状態で装着されるものである。この状態でフィルム製の封筒Qに封入すると、第一種定形郵便物で郵送することができる(図4参照)。」

(3)「【0024】しかも、台紙1において、係止片2を設けた固定板1Aと、この固定板1Aに隣接し、係止片2に係止したコンパクトディスクPの端部に接して折り畳み自在に設け、コンパクトディスクPの片面又は両面に重合する重合板1Bとを形成したことにより、これら固定板1Aや重合板1Bに宣伝広告等を印刷し、あるいは、固定板1Aや重合板1Bのデザインを工夫してギフト用のパッケージにするなど、種々のサービス媒体として利用することができる。」

よって、上記(1)ないし(3)の記載を総合すると、甲第6号証には、次の技術(以下、「甲6記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

「コンパクトディスク中央の孔に差し込み自在な係止片を台紙の一部に設け、コンパクトディスク中央の孔に差し込んだ係止片でコンパクトディスクを係止するコンパクトディスク用パッケージにおいて、 幅12cmの帯状台紙1の一端から、固定板1Aと一対の重合板1Bとを順次形成し、係止片2を設けた固定板1Aに隣接する重合板1BがコンパクトディスクPの係止片2がわに重合し、残る重合板1Bが固定板1Aがわに重合し、固定板1Aに固定されたコンパクトディスクPが見開き状に形成された一対の重合板1Bの内側に挟まれた状態で装着され、固定板1Aや重合板1Bに宣伝広告等を印刷するコンパクトディスク用パッケージ」

7.甲第7号証
同じく、甲第7号証(米国特許公開2002/0100797号)には、以下の記載がある。

(1)「[0043] In FIGS. 7 and 8, the second embodiment of a gift card consists of three panels 110, 112, and 114, separated by lines of fold 116 and 118. The lines of fold 116 and 118 are parallel to each other and are parallel to the upper and lower edges 86 and 80, which are perpendicular to side edges 76 and 78. 」
([0043]図7及び図8において、第2実施形態のギフトカードは、折り目線116及び118によって区切られた3つのパネル110、112、及び114で構成される。折り目線116及び118は、互いに平行であると共に、側部エッジ76及び78に対して垂直な上部及び下部エッジ86及び80と平行である。)(甲第7号証の2)

(2)「[0049] As further shown in FIGS. 6 through 10 the second part supports a prepaid credit card 24. The credit card 24 is removably secured to the second panel 112 by an adhesive material 163. The credit card has upper and lower edges 144 and 146 parallel to the upper and lower edges 130 and 80 of the second panel 112. 」
([0049]図6?図10に更に示すように、第2の部分がプリペイド式クレジットカード24を保持する。クレジットカード24は、接着剤163によって第2のパネル112に取り外し可能に固定される。クレジットカードは、第2のパネル112の上部エッジ130及び下部エッジ80と平行な上部及び下部エッジ144及び146を有する。)(甲第7号証の2)

(3)「[0050] In FIGS. 7 through 9, to close card, the third panel 114 is folded along the second line of fold 118, doubling the third panel 114 upon the second panel 112 containing credit card 24 attached to the second panel 112, creating a partially closed assembly 148. The first panel 110 is then folded along line of fold 116 onto the partially closed assembly 148. Tab 140 is then inserted into the semi-elliptical slot opening 142. 」
([0050]図7?9では、カードを閉じるために、第3のパネル114が第2の折り目の線118に沿って折り曲げられており、第3のパネル114が、第2のパネル112に取り付けられたクレジットカード24を含む第2のパネル112上に重畳して、部分的に閉じたアセンブリ148を形成している。この後、第1のパネル110が、部分的に閉じたアセンブリ148上に、折り目線116に沿って折り曲げられる。次に、タブ140が半楕円形のスロット開口部142に挿入される。)

よって、上記(1)ないし(3)の記載を総合すると、甲第7号証には、次の技術(以下、「甲7記載の技術」という。)が記載されていると認められる。
「ギフトカードは、折り目線116及び118によって区切られた3つのパネル110、112、及び114で構成され、クレジットカード24は、接着剤163によって第2のパネル112に取り外し可能に固定されており、第3のパネル114が、第2のパネル112に取り付けられたクレジットカード24を含む第2のパネル112上に重畳して、部分的に閉じたアセンブリ148を形成して第1のパネル110が、部分的に閉じたアセンブリ148上に、折り目線116に沿って折り曲げられるギフトカード。」

8.甲第8号証
同じく、甲第8号証(実用新案登録第2535324号公報)には、以下の記載がある。

(1)「【請求項1】基準用紙の略3倍の大きさの基材を2つの折曲予定線から折り返して使用され、前記基材の密着予定面のほぼ全面に加圧により粘着する弱粘着剤層を形成し、前記弱粘着剤層の表面に印字層を形成し、前記基材を折り返してまたは積層して、対向する面の前記弱粘着剤層同士を密着して前記印字層を隠ぺいしたのちに、前記弱粘着剤層間から剥離する3つ折のメールフォームであって、
前記基材を折り返してまたは積層したときに、周縁部に重なり合わない部分をループ状になっている部分が長くなるように残して、剥離の切っ掛けとなる保持部としたことを特徴とするメールフォーム。」

(2)「弱粘着剤層12を形成するときの粘着剤の塗布方式としては、比較的高速化が可能なコータによるコーティング等が使用できる」(4頁左欄3行?5行)

(3)「第8の実施例のメールフォーム1Gは、基材11を両側から折り返して、中央部にスリット状の重なり合わない部分を残して、剥離の切っ掛けとする剥離開始部2bとしたものである。開封時には、剥離開始部2bの裏側を押すようにしながら、観音開きのようにして剥離することができる。なお、この実施例では、基材11の端部でスリット状の重なり合わない部分を形成したが、基材11の任意の位置,任意の方向にスリットを形成してもよい。」(4頁右欄31行?39行)

よって、上記の(1)ないし(3)の記載を総合すると、甲第8号証には、次の技術(以下、「甲8記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

「基準用紙の略3倍の大きさの基材を2つの折曲予定線から折り返して使用され、前記基材の密着予定面のほぼ全面に加圧により粘着する弱粘着剤層を形成し、前記弱粘着剤層の表面に印字層を形成し、前記基材を折り返してまたは積層して、対向する面の前記弱粘着剤層同士を密着して前記印字層を隠ぺいしたのちに、前記弱粘着剤層間から剥離する3つ折のメールフォームであって、弱粘着剤層12を形成するときの粘着剤の塗布方式としては、比較的高速化が可能なコータによるコーティング等が使用でき、基材11を両側から折り返して、中央部にスリット状の重なり合わない部分を残して、剥離の切っ掛けとする剥離開始部2bとしたものであり、開封時には、観音開きのようにして剥離するメールフォーム。」

9.甲第9号証
同じく、甲第9号証(実願平2-66333号(実開平4-24387号)のマイクロフィルム)には、以下の記載がある。

(1)「図において、1はダイレクトメール用ハガキで、該ダイレクトメール用ハガキ1は普通ハガキと同寸法のハガキ本体(第1紙面部)10を有し、該ハガキ本体10の両側方には普通ハガキの略半分の幅を有する折返片(第2、第3紙面部)11、12が折返し可能に連続して設けられ、該両折返片11、12は両者によってハガキ本体10の裏面(一面)13の略全面を覆うようになっている。
また、上記ハガキ本体10の上下縁、及び折返片11、12の外周縁には斜め方向の引っ張りによって剥離可能なホットメルト型接着剤2が所定の幅で帯状に塗布され、該接着剤層2の内側全面には接着剤層2の剥離強度よりも弱くかつ剥離時に印字・印刷面を損傷しない強度で接着する第2のホットメルト型接着剤層4が塗布され、上記折返片11、12はハガキ本体10の一面13側に折り返されて剥離可能に貼着される。」(7頁6行?8頁3行)

(2)「本ハガキ1を作成する場合、まずハガキ本体10の上下縁、及び折返片11、12の外周縁に所定の幅でホットメルト型接着剤2を、その内側全面に第2のホットメルト型接着剤4を各々印刷塗布し(第4図の行程S1参照)、次にハガキ本体10の表面15に宛名を、その裏面13に秘密送付すべき事項を印字・印刷し、さらに必要に応じて折返片11、12の表裏面にも印字・印刷を行う(第4図の行程S2参照)。」(8頁12行?20行)

よって、上記の(1)、(2)の記載を総合すると、甲第9号証には、次の技術(以下、「甲9記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

「ダイレクトメール用ハガキ1は普通ハガキと同寸法のハガキ本体(第1紙面部)10を有し、該ハガキ本体10の両側方には普通ハガキの略半分の幅を有する折返片(第2、第3紙面部)11、12が折返し可能に連続して設けられ、該両折返片11、12は両者によってハガキ本体10の裏面(一面)13の略全面を覆うようになっており、上記ハガキ本体10の上下縁、及び折返片11、12の外周縁には斜め方向の引っ張りによって剥離可能なホットメルト型接着剤2が所定の幅で帯状に塗布され、該接着剤層2の内側全面には接着剤層2の剥離強度よりも弱くかつ剥離時に印字・印刷面を損傷しない強度で接着する第2のホットメルト型接着剤層4が塗布され、上記折返片11、12はハガキ本体10の一面13側に折り返されて剥離可能に貼着され、ハガキ本体10の表面15に宛名を、その裏面13に秘密送付すべき事項を印字・印刷し、さらに必要に応じて折返片11、12の表裏面にも印字・印刷を行うダイレクトメール用ハガキ。」

10.甲第10号証
同じく、甲第10号証(実用新案登録3096910号公報)には、以下の記載がある。

(1)「【0009】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は通常行われている方法で所定の箇所(左、右の上、下、中央部分)に剥離可能な接着剤が塗布され、圧着されていて左右に開くことが出来る広告用印刷物において、切り取り可能に葉書きが設けられている状態を示す図である。
広告用印刷物の表面の右下側に葉書き4が設けられていて、切り取り線であるミシン目5が入れられ、葉書き4を切り取ることが出来るようになっている。広告用印刷物には表面6の所定の箇所に切り込み8,8’が入っており、開く箇所、7,7’より左1,右2に開くことが出来るようになっている。このことから分かるように本考案は紙を2枚重ねたようになっている。したがって葉書き4も葉書きの厚さにすることが出来、葉書としての重さ、厚さ等の条件を適合させることが出来るものである。」

(2)「【0011】
又、本考案の葉書き付き広告用印刷物は左右に開くことが出来るので紙を2枚使用する形式になっているが、葉書き4は2枚の紙を接着剤で重ね合わせ一枚になっているので葉書を4を切り取らないと葉書き4の上の部分9を開くことが出来ないようになっている。そのため広告を全部読むためには葉書きを先に切り取らなければならないので、広告を読んでから葉書きを切り取って送付するという場合に比べて、葉書きを送付することが格段に増えるようになるものである。」

よって、上記の(1)、(2)の記載を総合すると、甲第10号証には、次の技術(以下、「甲10記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

「所定の箇所(左、右の上、下、中央部分)に剥離可能な接着剤が塗布され、圧着されていて左右に開くことが出来広告用印刷物の表面の右下側に葉書き4が設けられていて、切り取り線であるミシン目5が入れられ、葉書き4を切り取ることが出来るようになっている。広告用印刷物には表面6の所定の箇所に切り込み8,8’が入っており、開く箇所、7,7’より左1,右2に開くことが出来葉書き4は2枚の紙を接着剤で重ね合わせ一枚になっているので葉書を4を切り取らないと葉書き4の上の部分9を開くことが出来ないようになっている広告用印刷物」

11.甲第11号証
同じく、甲第11号証(実願平1-115348号(実開平3-55272号)のマイクロフィルム)には、以下の記載がある。
「第1図において、1は宣伝、広告用シートの紙製のシート本体で、表面1a及び裏面1bには所定の印刷が施されてなるとともに、その所定位置には、葉書の規格寸法の約2倍の大きさからなる葉書形成用体3が、ミシン目2を介して切り取り可能に設けられてなる。
そして、この葉書形成体3は、2つ折り可能な2枚のシート片3a、3bからなり、両シート片3a、3bの表面側には情報表示部4、4がそれぞれ設けられ、またシート片3aの裏面側には宛先、宛名表示部5が設けられ且つシート片3bの裏面側には送信者の住所、氏名の表示部6が設けられてなる。」(8頁4行?15行)

よって、上記の記載を総合すると、甲第11号証には、次の技術(以下、「甲11記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

「宣伝、広告用シートの紙製のシート本体で、表面1a及び裏面1bには所定の印刷が施され、その所定位置には、葉書の規格寸法の約2倍の大きさからなる葉書形成用体3が、ミシン目2を介して切り取り可能に設けられ、葉書形成体3は、2つ折り可能な2枚のシート片3a、3bからなり、両シート片3a、3bの表面側には情報表示部4、4がそれぞれ設けられ、またシート片3aの裏面側には宛先、宛名表示部5が設けられ且つシート片3bの裏面側には送信者の住所、氏名の表示部6が設けられた宣伝、広告用シート。」

12.甲第16号証
同じく、甲第16号証(実願昭62-85643号(実開昭64-55071号)のマイクロフィルム)には、以下の記載がある。
「第2図のごとく複葉形態を観音開き型にした実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の名刺」(1頁10行?13行)

「また単なる、肩書や住所、氏名などの印刷された従来の一般的機能をもった名刺というだけではなく、自己紹介文やら、自宅.会社等の所在地図の印刷、自筆のメッセージの書き込みなどもできる。」(4頁6行?10行)

よって、上記の記載を総合すると、甲第16号証には、次の技術(以下、「甲16記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

「肩書や住所、氏名などの印刷された名刺であり、複葉形態を観音開き型にした名刺。」

13.甲第17号証
同じく、甲第17号証(実願平1-33834号(実願平2-124180号)のマイクロフィルム)には、以下の記載がある。

「第4図は台紙12の形状を扇形にすると共に、その左端及び右端から1/4の箇所をそれぞれ折り目として左右の部分を内側に折り曲げて中央部で合わせた抽選券C_(12)(但し、この場合はおみくじ付記念キャップ)であり、真ん中の合わせ目から左右の部分を観音開きすると、記録面22が露呈するようにしてある。」(6頁1行?7行)

よって、上記の記載を総合すると、甲第17号証には、次の技術(以下、「甲17記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

「真ん中の合わせ目から左右の部分を観音開きすると、記録面22が露呈する、左端及び右端から1/4の箇所をそれぞれ折り目として左右の部分を内側に折り曲げて中央部で合わせた抽選券。」

14.甲第18号証
同じく、甲第18号証(実開平2-61632号(実願平4-20468号)のマイクロフィルム)には、以下の記載がある。

(1)「1.考案の名称 カバー付き帳票」(1頁2行?3行)

(2)「第4図は、第3実施例を展開した状態を図示した平面図である。
本実施例では、帳票を止めるのにポケット7を利用したものであるが、カバー部は扉1、裏扉12、台紙2とから成り、のど30から観音開きが出来るもので、台紙2の下部に口が斜めに設けられたポケット7を取り付け、該ポケット7の縁に金線10加工を施したものである。
そして、本実施例の構成要素である見積書41をポケット7の中に入れて、裏扉41と扉1とを順次閉じれば、本実施例の完成である。
本実施例の特長は、比較的枚数の多い書類などもポケット7内に入れて一体化し、提出することが可能な点にある。
また、扉1と裏扉12とが観音開きの構成であるから、丁寧に扉1、12を開くといった気持ちを伴うものと成っている。」(4頁20行?5頁16行)

(3)「扉には、写真や絵画を印刷しても良く」(9頁18行?19行)

よって、上記の(1)ないし(3)の記載を総合すると、甲第18号証には、次の技術(以下、「甲18記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

「カバー部は扉1、裏扉12、台紙2とから成り、のど30から観音開きが出来るもので、台紙2の下部に口が斜めに設けられた帳票を止めるポケット7を取り付けた、扉には、写真や絵画を印刷するカバー付き帳票」

15.甲第19号証
同じく、甲第19号証(実開平2-72926号(実開平4-30971号)のマイクロフィルム)には、以下の記載がある。

(1)「本考案の製本構造による本は、表紙が観音開き態様で開閉でき、小口部が突合わせられる二つの紙葉束からなるので、これらを独立して従来の本二冊文として使用することができる。」(2頁19行?3頁2行)

(2)「これらの図において、2枚の表表紙1a,1bはこれら表表紙2枚文の幅員に形成した1枚の裏表紙2に、その左,右においてそれぞれ背表紙3a,3bを介して接続されている。」(3頁11行?14行)

よって、上記の(1)、(2)の記載を総合すると、甲第19号証には、次の技術(以下、「甲19記載の技術」という。)が記載されていると認められる。

「2枚の表表紙1a,1bはこれら表表紙2枚文の幅員に形成した1枚の裏表紙2に、その左,右においてそれぞれ背表紙3a,3bを介して接続されている、表紙が観音開き態様で開閉でき、小口部が突合わせられる二つの紙葉束からなる本。」

第7 当審の判断

1.無効理由1について

(1)本件特許発明1について

ア.対比
本件特許発明1と甲1発明を対比する。

甲1発明の「情報記録体(ディスクやカード類)」は、本件特許発明1の「分離して使用するもの(4)」に相当する。
甲1発明の「シート状基材の内側にディスクやカード類の形状が打ち抜かれたもの」は、本件特許発明1の「分離して使用するもの(4)の周囲に切り込みが入っていること」といえる。
甲1発明は、「シート状基材の各表面には、宣伝広告や各種文言、プリンタ等で打ち出された個人情報等が印字・印刷され」ているから、甲1発明の「シート状基材」は本件特許発明1の「印刷物」に相当する。
甲1発明は「4、5の各シート状基材同士は疑似接着部分6で剥離可能に疑似接着されて」いるから、甲1発明の「疑似接着部分」は、本件特許発明1の「一過性の粘着剤が塗布されている」ことに相当する。
また、甲1発明の「情報記録体」は、各シート状基材のいずれかに設けられ、本件特許発明1の「所定の大きさの分離して使用するもの」は、中央面部(1)に印刷されているから、両者は、「所定の面部に設けられている」との概念で共通する。
また、甲第20号証の1、2には、それぞれ3つ折りの「観音開き折」と4つ折りの「観音折」が記載されており、これらの記載からみれば、甲1発明の「観音開き折り」とは3つ折りのことであるといえる。

甲第20号証の1は、次のものである。

甲第20号証の2は、次のものである。

よって、甲1発明のシート状基材が、3つ折りの観音開き折りであれば、本件特許発明1と同様に、左側面部と中央面部と右側面部とからなるといえる。
そして、甲1発明は、「シート状基材Sが、2つ折りしたものである場合、各シート状基材同士は疑似接着部分6で剥離可能に疑似接着され」るものであるから、シート状基材が、3つ折りの観音開き折りであれば、当然左側面部、及び右側面部と中央面部とは疑似接着しているものといえる。
よって、両者は、
「左側面部と中央面部と右側面部とからなる印刷物であって,
所定の面部は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するものが設けられていること,
当該左側面部の裏面及び当該右側面部の裏面が、前記中央面部の裏面に貼着していること,
当該分離して使用するものの周囲に切り込みが入っていること、
からなる印刷物。」
である点で一致し、以下の点において相違する。

[相違点1]本件特許発明1においては、分離して使用するものが印刷されているのに対し、甲1発明においては、その点につき、明らかでない点。

[相違点2]本件特許発明1においては、「中央面部」は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するものがあるのに対し、甲1発明においては、「中央面部」に、そのような情報記録体(所定の大きさの分離して使用するもの)があるのか否か明らかでない点。

[相違点3]本件特許発明1においては、「左側面部の裏面は、当該分離して使用するものの上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分に一過性の粘着剤が塗布されていること」、「右側面部の裏面は、当該分離して使用するものの上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分に一過性の粘着剤が塗布されていること」、及び「当該左側面部の裏面及び当該右側面部の裏面が、当該分離して使用するものに貼着している」のに対し、甲1発明においては、その点につき、明らかでない点。

イ.判断

本件特許発明1は、甲1発明であるといえるか検討する。
上記アのとおり、本件特許発明1は、甲1発明と、上記相違点1ないし3において相違する。
相違点1について、甲1発明の「情報記録体」(分離して使用するもの)は「CD、LD、DVD、ICカード」であり、これらは通常印刷されているものであるから、上記「情報記録体」は印刷されているといえる。
よって、相違点1は、実質的な相違点ではない。
相違点2、3について検討すると、甲1発明の「観音開き折り」は、甲第1号証の段落【0008】の一箇所に各種折り方の例示の一つとして記載があるのみであり、「観音開き折り」の形態が採用された場合に、情報記録体(分離して使用するもの)をどの箇所に配置するかの具体的な説明は、記載も示唆もされていない。
甲1発明において、情報記録体(分離して使用するもの)をどこに配置するかは、デザインやレイアウト等の必要に応じて定めるといえ、また仮に、情報記録体(分離して使用するもの)が、甲1発明において、中央面部に配置することが一般的であるとしても、左側面部と右側面部とに貼着する位置に配置しなければならない必然性はない。
また、本件特許明細書には、「そこで、本発明は、葉書、チケット、クーポン券等の分離して使用するものを広告等の印刷物より切り取る必要がなく、かつその周囲に切り込みが入っているにもかかわらず、広告等の印刷物に付いていて紛失させることなく、しかも手間がかからず葉書、チケット、クーポン券等の分離して使用するものを利用することが出来る印刷物を提供することを目的とする。」(段落【0006】)と記載されているように、分離して使用するものを印刷物より切り取る必要がなく、手間がかからず分離して使用するものを利用することが出来るという課題を解決するものであり、「本発明は以上の構成を有するので、印刷物に付いている葉書、チケット、クーポン券等を切り取ろうとする意思を持たずに、印刷物を開くと自動的に手にすることになる。したがって、分離して使用するものに対する使用者のアピール力が高く、例えば葉書の場合には、すぐに葉書を出してもらえるというレスポンス向上の期待がさらに多くなり、又チケット・クーポン券等の場合はそれらを利用してもらえるということが多くなる、という効果が生じるものである。」(段落【0012】)、「図3は左側面部2と右側面部3を開いた状態を示す図である。本図面では左側面部2から開いたので、右側面部3の裏面に分離して使用するもの4が貼着したまま附いており、左側面部2には分離して使用するもの4が附いていない状態を示している。右側面部3から開いた場合には左側面部2の裏面に分離して使用するもの4が貼着するのである。分離して使用するもの4が中央面部1から切り離されたことにより、分離して使用するもの4があった部分は四角形の穴9になっている。」(段落【0017】)、及び「右側面部3の裏面に貼着している分離して使用するもの4は一過性の粘着剤で附いているだけなので簡単に剥がすことが出来るものであり、切り取ろうとする意思を必要としないものである。したがって分離して使用するもの4の使用及び利用価値が非常に高まるものである。」(段落【0018】)と記載されているように、本件特許発明1は、例えば、まず左側面部を開いて、次に右側面部を開いた場合、右側面部の裏面に分離して使用するものが貼着したまま附いており、印刷物に付いている分離して使用するものを切り取ろうとする意思を持たずに、印刷物を開くと自動的に手にすることになるという作用効果を奏するものである。
そして、本件特許発明1は、「中央面部(1)は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するもの(4)が印刷されていること」、「左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、及び「右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されていること」との発明特定事項によって、上記の課題を解決し、上記の作用効果を奏することができるものである。
してみると、甲第1号証には、本件特許発明1の上記の課題、及び上記作用効果について、記載も示唆もないから、甲1発明の「情報記録体」(分離して使用するもの)が、中央面部に配置され、左側面部と右側面部とに貼着される構成において、甲1号証に開示されているとはいえない。
また、甲第1号証の段落【0007】の「シート状の基材の少なくとも一方の面をシート状基材や樹脂フィルム等の別の被覆材で剥離可能に被覆しておけば、ディスク等を完全に分離しておいても情報記録体が被覆材に密着しているため不用意に脱落することはない。情報記録体の両面が被覆されているときは、一方の面を剥がしてから受取人はディスク等を被覆材から剥がすだけで簡単に分離することが可能になる。このようにすればディスク等の表面を保護することができ極めて有用である。」との記載からみれば、甲第1号証は、情報記録体(分離して使用するもの)を1枚のシートから剥がすだけで簡単に分離することが可能なものといえるから、シート状基材Sを観音開き折りとした場合に情報記録体(分離して使用するもの)を、左側面部と右側面部のいずれか一方に貼着する位置に配置するのが自然であり、相違点2、3に係る本件特許発明のように、分離して使用するものを、中央面部に配置し、左側面部と右側面部の2枚に貼着する構成をとる蓋然性はないといえる。
以上のとおり、観音開き折りの形態を採用した甲1発明が、相違点2、3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えた発明であるとはいえない。
したがって、本件特許発明1は、甲1発明と、上記相違点2、3において相違するから、本件特許発明1は、甲1記載の発明であるとはいえない。

ウ.小括
よって、本件特許発明1は、甲1発明であるとすることはできないから、本件特許発明1についての特許は、無効理由1により無効とすることはできない。

(2)本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1の発明特定事項をその発明特定事項の一部とするものであって、上記(1)のとおり、本件特許発明1は、甲1発明であるとはいえないのであるから、同様に本件特許発明2は、甲1発明であるとはいえないから、本件特許発明2についての特許は、無効理由1により無効とすることはできない。

2.無効理由2について

(1)本件特許発明1について

ア.対比
本件特許発明1と甲1発明の一致点、及び相違点は、上記1(1)アで示したとおりである。

イ.判断

(ア)相違点1について
上記1.(1)イで示したとおりである。

(イ)相違点2及び3について
本件特許明細書には、「本発明は以上の構成を有するので、印刷物に付いている葉書、チケット、クーポン券等を切り取ろうとする意思を持たずに、印刷物を開くと自動的に手にすることになる。したがって、分離して使用するものに対する使用者のアピール力が高く、例えば葉書の場合には、すぐに葉書を出してもらえるというレスポンス向上の期待がさらに多くなり、又チケット・クーポン券等の場合はそれらを利用してもらえるということが多くなる、という効果が生じるものである。」(段落【0012】)、「図3は左側面部2と右側面部3を開いた状態を示す図である。本図面では左側面部2から開いたので、右側面部3の裏面に分離して使用するもの4が貼着したまま附いており、左側面部2には分離して使用するもの4が附いていない状態を示している。右側面部3から開いた場合には左側面部2の裏面に分離して使用するもの4が貼着するのである。分離して使用するもの4が中央面部1から切り離されたことにより、分離して使用するもの4があった部分は四角形の穴9になっている。」(段落【0017】)、及び「右側面部3の裏面に貼着している分離して使用するもの4は一過性の粘着剤で附いているだけなので簡単に剥がすことが出来るものであり、切り取ろうとする意思を必要としないものである。したがって分離して使用するもの4の使用及び利用価値が非常に高まるものである。」(段落【0018】)と記載されているように、本件特許発明1は、例えば、まず左側面部を開いて、次に右側面部を開いた場合、右側面部の裏面に分離して使用するものが貼着したまま附いており、印刷物に付いている分離して使用するものを切り取ろうとする意思を持たずに、印刷物を開くと自動的に手にすることになるという作用効果を奏するものである。そして、本件特許発明1は、「中央面部(1)は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するもの(4)が印刷されていること」、「左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、及び「右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されていること」との発明特定事項によって、上記の作用効果を奏することができるものであるから、上記の発明特定事項は、一体不可分の発明特定事項といえる(以下、「一体不可分の発明特定事項」という。)。
上記の一体不可分の発明特定事項が示されている上記相違点2及び3については、一体的に検討する。
甲5発明は、上記「第6 5」のとおりであって、甲5発明の「上部パネル16」、「下部パネル18」、「中間パネル17」、「カード」、「接着剤」、「印刷されている“C”字形状組み立て式パッケージ10」は、それぞれ本件特許発明1の「『左側面部』と『右側面部』のいずれか一方」、「『左側面部』と『右側面部』のいずれか他方」、「中央面部」、「分離して使用するもの」、「粘着剤」、「印刷物」に相当する。
そうすると、甲5発明においては、「中央面部は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するものが配置されていること」、「左側面部の裏面は、当該大きさの分離して使用するものの外側に該当する部分に一過性の粘着剤が塗布されていること」、「右側面部の裏面は、当該大きさの分離して使用するものの外側に該当する部分に一過性の粘着剤が塗布されていること」が示されているといえるが、甲5発明は、「下部パネル18に設けられた接着剤地点85は下部パネル18を中間パネルに接着させ・・・上部パネル16に設けられた接着剤地点84は上部パネル16を下部パネル18に接着」するものであって、各パネルは、カードの内側を貼着するものではない。
してみると、甲5発明は、上記相違点3に係る本件特許発明1のように、「左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の『上部、下部、左側部の内側』及び外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、及び「右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の『上部、下部、右側部の内側』及び外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されていること」との発明特定事項を備えるものではないし、当然、上記の一体不可分の発明特定事項も備えていない。
したがって、甲1発明に甲5発明を適用したとしても、上記相違点2及び3に係る本件特許発明1の発明特定事項を導き出すことはできない。
甲5記載の技術については、上記のとおりであるから、上記相違点2及び3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではないし、当然、上記の一体不可分の発明特定事項も備えていない。
甲6記載の技術は、上記「第6 6」のとおりであって、甲6記載の技術における「残る重合板1B」は、本件特許発明1における「左側面部(2)」に、相当し、以下同様に、「固定板1Aに隣接する重合板1B」は「中央面部(1)」に、「固定板1A」は「右側面部(3)」に、「コンパクトディスク」は「分離して使用するもの(4)」に、「コンパクトディスク用パッケージ」は「印刷物」に、それぞれ相当する。
しかしながら、甲6記載の技術は、固定板1Aに隣接する重合板1B(中央面部(1))にコンパクトディスク(分離して使用するもの(4))が印刷されてはいないし、残る重合板1B(左側面部(2))、及び固定板1A(右側面部(3))の裏面に、一過性の粘着剤が塗布されていない。
してみると、甲6記載の技術は、上記相違点2及び3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではないし、当然、上記の一体不可分の発明特定事項も備えていない。
甲7記載の技術は、上記「第6 7」のとおりであって、甲7記載の技術の「第1のパネル110」、「第3のパネル114」は、それぞれ本件特許発明1の「『左側面部』と『右側面部』のいずれか一方」、「『左側面部』と『右側面部』のいずれか他方」に相当し、同様に「第2のパネル112」、「クレジットカード24」はそれぞれ、「中央面部」、「分離して使用するもの(4)」に相当する。
しかしながら、甲7記載の技術は、第2のパネル112(中央面部(1))にクレジットカード24(分離して使用するもの(4))が印刷されてはいないし、第1のパネル110、第3のパネル114(左側面部(2)、右側面部(3))の裏面に、一過性の粘着剤が塗布されていない。
してみると、甲7記載の技術は、上記相違点1、2に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではないし、当然、上記の一体不可分の発明特定事項も備えていない。
そして、例えば、上記甲5、7記載の技術に示されているように、巻き折り形態とし、シートの中央面部にカード等を取り外し可能に配置し、左右側面部が中央面部及びカード類に重なるようにして移送できるようにし、カード類を保護できるようにしたものは、本件特許出願前から周知の技術事項といえるが、本件特許発明1における「(中央面部(1)は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するもの(4)が)印刷されていること」、「左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、「右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されていること」との点までもが、上記周知の技術事項とはいえない。
してみると、上記周知の技術事項は、上記相違点2及び3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではないし、当然、上記の一体不可分の発明特定事項も備えていない。
したがって、甲1発明に上記周知の技術事項、または甲5?7記載の技術を適用したとしても、上記相違点2及び3に係る本件特許発明1の発明特定事項を導き出すことはできない。
また、上記相違点2及び3に係る本件特許発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。
そして、本件特許発明1は、上記相違点2及び3に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備することにより、上記の作用効果を奏するものである。
したがって、相違点2及び3に係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲1発明、甲5発明、上記周知の技術事項、及び甲5?7記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
そして、甲1発明において、他に相違点2及び3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。
よって、甲1発明において、上記相違点2及び3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることについて、当業者が容易に想到し得るものではない。

ウ.小括
よって、甲1発明において、上記相違点2及び3に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることが、当業者にとって容易に想到し得るものではないから、本件特許発明1についての特許は、無効理由2により無効とすることはできない。

(2)本件特許発明2、3について
本件特許発明2、3は、本件特許発明1の発明特定事項をその発明特定事項の一部とするものであって、上記(1)のとおり、本件特許発明1が、当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないのであるから、同様に本件特許発明2、3は、当業者にとって容易に発明することができたものであるとはいえないから、本件特許発明2、3についての特許は、無効理由2により無効とすることはできない。

3.無効理由3について

(1)本件特許発明1について

ア.対比
本件特許発明1と甲2発明を対比する。
甲2発明の「葉書本体2」は、「POST CARD」の表示が記載されているので、本件特許発明1の「印刷物」に相当する。
甲2発明は、切断予定線11により、カード部1を葉書本体2から容易に切り離すことができるから、甲2発明の「切断予定線11」は本件特許発明1の「切り込み」に相当し、甲2発明の「カード部1」は本件特許発明1の「分離して使用するもの」に相当する。
甲2発明カード部1に設けた二次元コード領域は、印刷されたものであるから、「カード部1」は印刷されているといえる。
甲2発明の「葉書本体2」、「表面シート3」、「裏面シート4」は、それぞれ本件特許発明1の「中央面部」、「『左側面部』又は『右側面部』の一方」、「『右側面部』又は『左側面部』の他方」に相当する。
よって、両者は、
「左側面部と中央面部と右側面部とからなる印刷物であって、
中央面部は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するものが印刷されていること,
当該分離して使用するものの周囲に切り込みが入っていること、
からなる印刷物。」である点で一致し、以下の点において相違する。

[相違点4]
本件特許発明1は、「左側面部の裏面は、当該分離して使用するものの上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分に一過性の粘着剤が塗布されること」、「右側面部の裏面の当該分離して使用するものの上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分に一過性の粘着剤が塗布されること」、「当該左側面部の裏面及び当該右側面部の裏面が、中央面部の裏面及び当該分離して使用するものに貼着していること」であるのに対し、甲2発明は、「Z」の形状に折り曲げて、葉書本体2と表面シート3、及び葉書本体2と裏面シート4をそれぞれ剥離可能に圧着して、葉書Hを形成するものである点。

イ.判断

相違点4について
甲8記載の技術は、上記「第6 8」のとおりであって、甲8記載の技術における「メールホーム」は本件特許発明1における「印刷物」に、相当する。
また、甲8記載の技術は、基材を観音開きするものであるから、左側面部と中央面部と右側面部とからなるものといえる。
しかしながら、甲8記載の技術には、基材には、本件特許発明1のような分離して使用するものが印刷されてはいないのであるから、上記相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではないし、当然、上記の一体不可分の発明特定事項も備えていない。
してみると、甲2発明に甲8発明を適用したとしても、上記相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項を導き出すことはできない。
また、上記2.(1)イのとおりであるから、上記周知の技術事項、及び甲5?7記載の技術は、上記相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではないし、当然、上記の一体不可分の発明特定事項も備えていない。
してみると、甲2発明に上記周知の技術事項、または及び甲5?7記載の技術を適用したとしても、上記相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項を導き出すことはできない。
また、上記相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。
そして、本件特許発明1は、上記相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備することにより、上記の作用効果を奏するものである。
したがって、相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲2発明、甲8発明、上記周知の技術事項、及び甲5?7記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
そして、甲2発明において、他に相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。
よって、甲2発明において、上記相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることについて、当業者が容易に想到し得るものではない。

ウ.小括
よって、甲2発明において、上記相違点4に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることが、当業者にとって容易に想到し得るものではないから、本件特許発明1についての特許は、無効理由3により無効とすることはできない。

(2)本件特許発明2、3について
本件特許発明2、3は、本件特許発明1の発明特定事項をその発明特定事項の一部とするものであって、上記(1)のとおり、本件特許発明1が、当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないのであるから、同様に本件特許発明2、3は、当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないから、本件特許発明2についての特許は、無効理由3により無効とすることはできない。

4.無効理由4について

(1)本件特許発明1について

ア.対比
本件特許発明1と甲3発明を対比する。
甲3発明の「切断予定線(4)」は「トムソン加工された切り込みを有し」ているから、本件特許発明1の「切り込み」に相当する。
甲3発明の「宛て先を有するカード部」は、「切断予定線で切り離すことができる」から、本件特許発明1の「所定の大きさの分離して使用するもの」に相当し、「印刷されている」といえる。
甲3発明の「葉書」は、通常、郵便番号記入欄等が印刷されているものであるから、本件特許発明1の「印刷物」に相当する。
甲3発明の、「剥離可能に接着する接着層(7)」 は、本件特許発明1の「一過性の粘着剤が塗布されていること」に相当する。
よって、両者は、
「印刷物であって、
所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するものが印刷されていること、
当該分離して使用するものの周囲に切り込みが入っていること、
からなる印刷物」
である点で一致し、以下の点において相違する。

[相違点5]本件特許発明1は、「左側面部と中央面部と右側面部とからなる」印刷物であることに対して、甲3発明は、第1シート(1)と第2シート(2)とからなる印刷物である点。

[相違点6]本件特許発明1は、「中央面部は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するものが印刷されていること」、「左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、「右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、及び「当該左側面部(2)の裏面及び当該右側面部(3)の裏面が、前記中央面部(1)の裏面及び当該分離して使用するもの(4)に貼着していること」であるに対して、甲3発明は、第1シートの裏面と第2シートの裏面とが接着層で接着されている点。

イ.判断
相違点6について
上記3.(1)イのとおりであるから、甲8記載の技術は、上記相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではないし、当然、上記の一体不可分の発明特定事項も備えていない。
また、甲9記載の技術は、上記「第6 9」のとおりであって、甲9記載の技術における「第2紙面部11」は、本件特許発明1における「左側面部(2)」に、相当し、以下同様に、「第1紙面部10」は「中央面部(1)」に、「第3紙面部20」は「右側面部(3)」に、「『ホットメルト型接着剤2』、及び『第2のホットメルト型接着剤』」は「一過性の粘着剤」に、「ダイレクトメール用ハガキ」は「印刷物」に、それぞれ相当する。
甲9記載の技術における「メールホーム」は「印刷物」に、相当する。
しかしながら、甲9記載の技術には、基材には、本件特許発明1のような分離して使用するものが印刷されてはいないのであるから、上記相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではないし、当然、上記の一体不可分の発明特定事項も備えていない。
してみると、甲3発明に甲8、9記載の技術を適用したとしても、上記相違点5に係る本件特許発明1の発明特定事項を導き出すことはできない。
また、上記相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。
そして、本件特許発明1は、上記相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備することにより、上記の作用効果を奏するものである。
したがって、相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲3発明、甲8、9記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
そして、甲3発明において、他に相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。
よって、甲3発明において、上記相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることについて、当業者が容易に想到し得るものではない。

ウ.小括
よって、甲3発明において、上記相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることが、当業者にとって容易に想到し得るものではないから、本件特許発明1についての特許は、無効理由4により無効とすることはできない。

(2)本件特許発明2、3について
本件特許発明2、3は、本件特許発明1の発明特定事項をその発明特定事項の一部とするものであって、上記(1)のとおり、本件特許発明1が、当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないのであるから、同様に本件特許発明2、3は、当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないから、本件特許発明2についての特許は、無効理由4により無効とすることはできない。

5.無効理由5について

(1)本件特許発明1について

ア.対比
本件特許発明1と甲4発明を対比する。
甲4発明の「プリペイドカード付きシートS2」は、有価証券情報を印字するものであるから、本件特許発明1の「印刷物」に相当する。
甲4発明の「一の外紙2」、「中紙3」、「他の外紙4」は、それぞれ本件特許発明1の「左側面部、または右側面部の一方」、「中央面部」、「右側面部または左側面部の一方」に相当する。
甲4発明の「プリペイドカード8」が、本件特許発明1の「所定の大きさの分離して使用するもの」に相当する。
また、甲4発明の「プリペイドカード8」は、印字部が形成されているから、「印刷されている」といえる。
甲4発明は、外紙4の一部に、これをプリペイドカード8として抜き取り可能とする抜き型での加工を施しているから、「プリペイドカード8の周囲に切り込みが入っていること」といえる。
甲4発明の「糊状のもの」は、本件特許発明1の「一過性の粘着剤」に相当する。
よって、両者は、
「左側面部と中央面部と右側面部とからなる印刷物であって,
所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するものが印刷されていること、
当該分離して使用するものの周囲に切り込みが入っていること、
からなることを特徴とする印刷物。」である点で一致し、以下の点において相違する。

[相違点7]本件特許発明1は、「中央面部」は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するものが印刷されていること、「左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、「右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、「当該左側面部の裏面及び当該右側面部の裏面が、中央面部の裏面及び当該分離して使用するものに貼着していること」、「当該左側面部(2)の裏面及び当該右側面部(3)の裏面が、前記中央面部(1)の裏面及び当該分離して使用するもの(4)に貼着していること」に対して、甲4発明は、1枚の用紙1をN型に3つに折畳んでなる、N型3つ折りタイプであり、中紙3と一の外紙2とは剥離可能に擬似的に接着(以下「擬似接着」という。)され、中紙3と他の外紙4をも擬似接着し、一または他の外紙2、4の一部に、これをプリペイドカード8として抜き取り可能とする点。

イ.判断
相違点7について
上記2.(1)イのとおりであるから、甲5発明は、上記相違点7に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではないし、当然、上記の一体不可分の発明特定事項も備えていない。
また、上記相違点7に係る本件特許発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。
そして、本件特許発明1は、上記相違点7に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備することにより、上記の作用効果を奏するものである。
したがって、相違点7に係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲4、5発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
そして、甲4発明において、他に相違点7に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。
よって、甲4発明において、上記相違点7に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることについて、当業者が容易に想到し得るものではない。

ウ.小括
よって、甲4発明において、上記相違点7に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることが、当業者にとって容易に想到し得るものではないから、本件特許発明1についての特許は、無効理由5により無効とすることはできない。

(2)本件特許発明2、3について
本件特許発明2、3は、本件特許発明1の発明特定事項をその発明特定事項の一部とするものであって、上記(1)のとおり、本件特許発明1が、当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないのであるから、同様に本件特許発明2、3は、当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないから、本件特許発明2についての特許は、無効理由5により無効とすることはできない。

6.無効理由6について

(1)本件特許発明1について

ア.対比
本件特許発明1と甲5発明を対比する。
甲5発明の「上部パネル16」、「下部パネル18」、「中間パネル17」、「カード」、「接着剤」、「印刷されている“C”字形状組み立て式パッケージ10」は、それぞれ本件特許発明1の「『左側面部』と『右側面部』のいずれか一方」、「『左側面部』と『右側面部』のいずれか他方」、「中央面部」、「分離して使用するもの」、「一過性の粘着剤」、「印刷物」に相当する。なお、便宜的に、甲5発明の「上部パネル16」、「下部パネル18」を、それぞれ本件特許発明1の「左側面部」、「右側面部」に相当するものとする。
甲5発明の「上部パネル16」、「下部パネル18」は、それぞれ「接着剤地点84」、「接着剤地点85」が設けられ、「折り曲げられて」接着されるから、本件特許発明1の「左側面部(2)の裏面」、「右側面部(3)の裏面」に「粘着剤が塗布されていること」に相当する。
よって、両者は、
「左側面部と中央面部と右側面部とからなる印刷物であって,
中央面部は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するものが設けられていること,
左側面部の裏面は、当該大きさの分離して使用するものの外側に該当する部分に一過性の粘着剤が塗布されていること,
右側面部の裏面は、当該大きさの分離して使用するものの外側に該当する部分に一過性の粘着剤が塗布されていること,
当該右側面部の裏面が、前記中央面部の裏面に貼着していること
からなる印刷物。」である点で一致し、以下の点において相違する。

[相違点8]本件特許発明1の「左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部の外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されていること 、「右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、右側部の外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、「当該左側面部(2)の裏面の裏面が、前記中央面部(1)の裏面及び当該分離して使用するもの(4)に貼着していること」、「当該右側面部(3)の裏面が、当該分離して使用するもの(4)に貼着していること」であるのに対して、甲5発明は、下部パネル18に設けられた接着剤地点85は下部パネル18を中間パネルに接着させ、上部パネル16に設けられた接着剤地点84は上部パネル16を下部パネル18に接着している点。

[相違点9]本件特許発明1の「分離して使用するもの(4)の周囲に切り込みが入っていること」であるのに対し、甲5発明は、「カード12がカード担体と一体に作られていてカードの購入者が、カードをカード担体から切り離すことができる」ものであるが、上記「切り離す」際に、切り込みが入っているか否か不明である点。

[相違点10]本件特許発明1においては、「分離して使用するもの(4)」が「印刷されている」のに対し、甲5発明においては、その点について、明らかでない点。

イ.判断
相違点8について
甲4発明は、上記5(1)アで検討したとおりであるから、甲4発明は、上記相違点8に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものではないし、当然、上記の一体不可分の発明特定事項も備えていない。
また、上記相違点8に係る本件特許発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。
そして、本件特許発明1は、上記相違点8に係る本件特許発明1の発明特定事項を具備することにより、上記の作用効果を奏するものである。
したがって、相違点8に係る本件特許発明1の発明特定事項は、甲5、4発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
そして、甲5発明において、他に相違点8に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとなすことを、当業者が容易に想到し得たといえる根拠も見当たらない。
よって、甲5発明において、上記相違点8に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることについて、当業者が容易に想到し得るものではない。

ウ.小括
よって、甲5発明において、上記相違点8に係る本件特許発明1の発明特定事項を備えるものとすることが、当業者にとって容易に想到し得るものではないから、本件特許発明1についての特許は、無効理由6により無効とすることはできない。

(2)本件特許発明2、3について
本件特許発明2、3は、本件特許発明1の発明特定事項をその発明特定事項の一部とするものであって、上記(1)のとおり、本件特許発明1が、当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないのであるから、同様に本件特許発明2、3は、当業者にとって容易に発明することができたものとはいえないから、本件特許発明2についての特許は、無効理由6により無効とすることはできない。

7.無効理由7について

(1)本件請求項1には、分離して使用するもの(4)に関して、「中央面部(1)は、所定の箇所に所定の大きさの分離して使用するもの(4)が印刷されていること」、「左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、「右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、「当該分離して使用するもの(4)の周囲に切り込みが入っていること」とのみ記載されていることからみて、分離して使用するもの(4)は、中央面部(1)の所定の箇所に印刷され、分離して使用するものの周囲は切り込みが入っており、上部、下部、左側部、右側部を備え、上部、下部、左側部の内側に左側面部(2)の裏面が貼着され、上部、下部、右側部の内側に右側面部(3)の裏面が貼着されるものと記載されており、請求項1における分離して使用するもの(4)に関する記載は、明確である。
そして、分離して使用するもの(4)の外形は、その周囲に切り込みが入っており、上部、下部、左側部、及び右側部から構成されるものといえる。
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、「本図面ではこの分離して使用するもの4は四角形をしているが、丸でも三角形でも良く形状は問わない。」(段落【0013】)と記載され、分離して使用するもの(4)として、例えば、丸や三角形を挙げ、その良く形状は問わないとしているが、上記のとおり、分離して使用するもの(4)は、上部、下部、左側部、及び右側部から構成されるものであるから、これらの部位を備えない形状のものは、分離して使用するもの(4)に包含されないといえる。
また、上記のとおり、分離して使用するもの(4)は、中央面部(1)の所定の箇所に印刷され、その周囲は切り込みが入って、分離して使用するもの(4)の領域と他の中央面部(1)の領域とを区分しており、分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部、及び右側部の内側とは、分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部、及び右側部における切り込みの分離して使用するもの(4)側を意味し、分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部、及び右側部の外側とは、分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部、及び右側部における切り込みの中央面部(1)側を意味していることは、明らかである。
また、本件特許明細書の発明の詳細な説明の「【0006】そこで、本発明は、葉書、チケット、クーポン券等の分離して使用するものを広告等の印刷物より切り取る必要がなく、かつその周囲に切り込みが入っているにもかかわらず、広告等の印刷物に付いていて紛失させることなく、しかも手間がかからず葉書、チケット、クーポン券等の分離して使用するものを利用することが出来る印刷物を提供することを目的とする。」、「【0012】本発明は以上の構成を有するので、印刷物に付いている葉書、チケット、クーポン券等を切り取ろうとする意思を持たずに、印刷物を開くと自動的に手にすることになる。したがって、分離して使用するものに対する使用者のアピール力が高く、例えば葉書の場合には、すぐに葉書を出してもらえるというレスポンス向上の期待がさらに多くなり、又チケット・クーポン券等の場合はそれらを利用してもらえるということが多くなる、という効果が生じるものである。」、「【0014】左側面部2の裏面に当該分離して使用するもの4の裏面又は表面(都合により裏面でも表面でも良い。)の上部、下部、左側部の内側に該当する部分5、外側に該当する部分6に一過性の粘着剤が塗布されているので、左側面部2を中央面部1の方に折って重ねると、左側面部2は分離して使用するもの4及び中央面部1の左側に貼着される。なお、本図面では図示していないが、左側面部2の裏面の上部、下部、左側部、右側面部3の裏面の上部、下部、右側部、又は中央面部1の裏面の上部、下部にも一過性の粘着剤を塗布して良い。」、「【0017】図3は左側面部2と右側面部3を開いた状態を示す図である。本図面では左側面部2から開いたので、右側面部3の裏面に分離して使用するもの4が貼着したまま附いており、左側面部2には分離して使用するもの4が附いていない状態を示している。右側面部3から開いた場合には左側面部2の裏面に分離して使用するもの4が貼着するのである。分離して使用するもの4が中央面部1から切り離されたことにより、分離して使用するもの4があった部分は四角形の穴9になっている。」との記載からみれば、請求項1の「左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されていること」及び「右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されていること」の技術的意義は、分離して使用するもの(4)が欠落することなく、また左側面部と右側面部を中央面部からはがして開いた場合には左側面部または右側面部の一方に分離して使用するものが貼着されて自動的に手にすることができることにある。
してみれば、上記の技術的意義を鑑みれば、上記請求項1の「内側」、及び「外側」の範囲とは、上記のように分離して使用するもの(4)が欠落することなく、また左側面部と右側面部を中央面部からはがして開いた場合には左側面部または右側面部の一方に分離して使用するものが貼着されて自動的に手にすることができる程度の範囲と理解することができる。

(2)小括
よって、本件特許の請求項1、及びこれを引用する請求項2、及び3の記載は、明確であるから、無効理由7により本件特許を無効とすることはできない。

8.無効理由8について
(1)請求項1には、「左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されている」、「右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されている」、「当該左側面部(2)の裏面及び当該右側面部(3)の裏面が、前記中央面部(1)の裏面及び当該分離して使用するもの(4)に貼着している」と記載されていることからみて、左側面部(2)の裏面において、一過性の粘着材は、上部、下部、左側部の内側及び外側の全ての部位に塗布され、右側面部(3)の裏面において、一過性の粘着材は、上部、下部、右側部の内側及び外側の全ての部位に塗布されるものである。本件特許明細書の発明の詳細な説明には、「【0014】左側面部2の裏面に当該分離して使用するもの4の裏面又は表面(都合により裏面でも表面でも良い。)の上部、下部、左側部の内側に該当する部分5、外側に該当する部分6に一過性の粘着剤が塗布されているので、左側面部2を中央面部1の方に折って重ねると、左側面部2は分離して使用するもの4及び中央面部1の左側に貼着される。なお、本図面では図示していないが、左側面部2の裏面の上部、下部、左側部、右側面部3の裏面の上部、下部、右側部、又は中央面部1の裏面の上部、下部にも一過性の粘着剤を塗布して良い。」、「【0015】右側面部3の裏面も同様に、当該分離して使用するもの4の裏面又は表面(都合により裏面でも表面でも良い。)の上部、下部、左側部の内側に該当する部分7、外側に該当する部分8に一過性の粘着剤が塗布されているので、右側面部3を中央面部1の方に折って重ねると、右側面部3は分離して使用するもの4及び中央面部1の右側に貼着される。」と記載されており、上記請求項1の記載と整合するものである。
また、本件特許明細書の発明の詳細な説明の、「【0004】しかし、特許文献1には葉書が付いておらず、特許文献2は葉書が付いていて広告としての機能を効果的に発揮することが出来るが、なお、葉書を切り取らなければならないという手間が依然として残っていた。」、「【0005】又、広告等にチケット、クーポン券等が付いている場合があるがこれら等も広告から切り取らなければならないという問題点があった。」、「【0006】そこで、本発明は、葉書、チケット、クーポン券等の分離して使用するものを広告等の印刷物より切り取る必要がなく、かつその周囲に切り込みが入っているにもかかわらず、広告等の印刷物に付いていて紛失させることなく、しかも手間がかからず葉書、チケット、クーポン券等の分離して使用するものを利用することが出来る印刷物を提供することを目的とする。」、「【0012】本発明は以上の構成を有するので、印刷物に付いている葉書、チケット、クーポン券等を切り取ろうとする意思を持たずに、印刷物を開くと自動的に手にすることになる。したがって、分離して使用するものに対する使用者のアピール力が高く、例えば葉書の場合には、すぐに葉書を出してもらえるというレスポンス向上の期待がさらに多くなり、又チケット・クーポン券等の場合はそれらを利用してもらえるということが多くなる、という効果が生じるものである。」との記載からみれば、本件特許発明の課題は、「分離して使用するもの(4)が欠落することなく、印刷物に付いている分離して使用するもの(4)を切り取ろうとする意思を持たずに、印刷物を開くと自動的に手にすること」であり、当該課題を解決する手段として、本件特許発明1は「左側面部(2)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、左側部の内側及び外側に該当する部分(5,6)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、「右側面部(3)の裏面は、当該分離して使用するもの(4)の上部、下部、右側部の内側及び外側に該当する部分(7,8)に一過性の粘着剤が塗布されていること」、「当該左側面部(2)の裏面及び当該右側面部(3)の裏面が、前記中央面部(1)の裏面及び当該分離して使用するもの(4)に貼着していること」、及び「当該分離して使用するもの(4)の周囲に切り込みが入っていること」と特定している。
してみると、当業者は、本件特許発明1が、発明の詳細な説明において、上記の課題を解釈できると理解することができるものである。

(2)小括
よって、本件特許の請求項1、及びこれを引用する請求項2、及び3の記載は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、無効理由8により本件特許を無効とすることはできない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、請求人が主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件特許発明1ないし3についての特許を無効とすることはできない。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-06-15 
結審通知日 2016-06-21 
審決日 2016-07-05 
出願番号 特願2004-48392(P2004-48392)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (B42D)
P 1 113・ 113- Y (B42D)
P 1 113・ 537- Y (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 砂川 充  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 畑井 順一
藤本 義仁
登録日 2009-05-22 
登録番号 特許第4310416号(P4310416)
発明の名称 印刷物  
代理人 藤枡 裕実  
代理人 生田 哲郎  
代理人 佐野 辰巳  
代理人 高橋 隆二  
代理人 櫻井 彰人  
代理人 金山 聡  
代理人 中所 昌司  
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