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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02M
管理番号 1332655
審判番号 不服2014-17745  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-05 
確定日 2017-09-13 
事件の表示 特願2010- 22902「制御回路、電力変換器の出力を制御するための方法、および電力変換器」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 8月19日出願公開、特開2010-183828〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2010年2月4日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理、2009年2月5日:米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年4月22日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成26年5月7日)、これに対し、平成26年9月5日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出され、当審により平成27年6月30日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成27年7月7日)、これに対し、平成27年11月6日付で意見書及び手続補正書が提出され、当審により平成28年3月1日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成28年3月15日)、これに対し、平成28年8月15日付で意見書及び手続補正書が提出され、当審により平成28年10月13日付で最後の拒絶の理由が通知され(発送日:平成28年10月18日)、これに対し、平成29年2月16日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。


2.平成29年2月16日付の手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年2月16日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由I]
(1)補正の内容
本件補正前の特許請求の範囲は、以下のとおりである。
「【請求項1】
AC/DCまたはDC/DCの電力変換器において使用する制御回路であって、
前記制御回路に結合されるべき電力スイッチの切換を制御するための駆動信号を発生させて、電力変換器出力に結合されるべき1つ以上の負荷の全エネルギ要件に応答して前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するように結合される駆動信号発生器を備え、前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件は、前記制御回路によって受信されるように結合されるべき電気的なフィードバック信号に基づいて決定され、前記制御回路は、さらに、
前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器をパワー低下することにより前記駆動信号発生器を休止状態にするように結合される、無調整の休止モード制御回路を備え、
前記駆動信号発生器は、休止状態であれば、前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答しないように結合され、
前記無調整の休止モード制御回路は、第2の期間の経過後に前記駆動信号発生器をパワー増加するように結合され、それにより、前記駆動信号発生器を、前記第2の期間の経過後に前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答させる、制御回路。
【請求項2】
前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件は、前記制御回路によって受信されるように結合される前記電気的なフィードバック信号の大きさに応答して決定される、請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記電気的なフィードバック信号の大きさは電圧値または電流値である、請求項2に記
載の制御回路。
【請求項4】
前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件は、前記駆動信号のスイッチング周波数に応答して決定される、請求項1に記載の制御回路。
【請求項5】
前記第1の期間は、n個の連続する駆動信号の各々の間の時間が第3の期間を上回ると、前記第2の期間の開始を行うイベントカウンタによって決定される、請求項1に記載の制御回路。
【請求項6】
前記第3の期間は、前記制御回路の一部を形成する発振器回路の50?250サイクルの間の期間である、請求項5に記載の制御回路。
【請求項7】
前記第2の期間は、前記制御回路内にある回路によって決定される、請求項1に記載の制御回路。
【請求項8】
前記制御回路に結合されるべきコンデンサは、前記制御回路用の外部バイパスコンデンサを含む、請求項7に記載の制御回路。
【請求項9】
AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の出力を制御するための方法であって、
1つ以上の負荷の全エネルギ要件に応答して、前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の出力に結合される前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れを調整するための駆動信号を駆動信号発生器を用いて発生させることを備え、前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件は、制御回路によって受信されるように結合されるべき電気的なフィードバック信号に基づいて決定され、前記方法は、さらに、
前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器をパワー低下することと、
前記第2の期間中は前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件に応答しないことと、
前記第2の期間の経過後に、前記駆動信号発生器をパワー増加して前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れの調整を再開することとを含む、方法。
【請求項10】
前記1つ以上の負荷は、組合された検知およびバイアス負荷である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記負荷のうちの1つは、前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の出力端子に結合される負荷と組合される予負荷インピーダンスである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の期間にわたって前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れの調整を中止することは、組合される予負荷および負荷の前記全エネルギ要件が前記第1の期間よりも長く前記しきい値を下回るとエネルギの流れを中止することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の負荷のうちの1つは、前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の出力端子に結合される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の期間にわたって前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れの調整を中止することは、前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の出力端子に結合される前記1つ以上の負荷のうちの1つの全エネルギ要件が前記第1の期間よりも長く前記しきい値を下回るとエネルギの流れを中止することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の出力を制御するための方法であって、
制御回路で駆動信号を発生させて、電力スイッチを制御することにより、電気的なフィードバック信号に応答して前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の前記出力へのエネルギの流れを調整することと、
前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の前記出力へのエネルギの流れが第1の期間よりも長くしきい値を下回る場合に、動作休止状態にすることとを含み、
前記動作休止状態は、前記駆動信号の発生を中止するよう前記制御回路をパワー低下することを含み、前記制御回路は、前記動作休止状態時には前記電気的なフィードバック信号に応答せず、前記制御回路をパワー増加して、前記駆動信号の発生を再開し、第2の期間にわたる前記動作休止状態の後、前記電気的なフィードバック信号に応答して前記エネルギの流れの調整を再開する、方法。
【請求項16】
AC/DCまたはDC/DCの電力変換器であって、
前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の入力と出力との間に結合されるエネルギ伝達要素と、
前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の前記入力から前記出力へのエネルギの伝達を調整するよう前記エネルギ伝達要素に結合されるスイッチと、
前記スイッチの切換えを制御するよう前記スイッチに結合される制御回路とを含み、
前記制御回路は、
前記出力に結合されるべき1つ以上の負荷の全エネルギ要件に応答して前記出力を調整するために、前記スイッチの切換えを制御するべき駆動信号を発生させるよう結合される駆動信号発生器を含み、前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件は、前記制御回路によって受信されるように結合されるべき電気的なフィードバック信号に基づいて決定され、前記制御回路は、さらに、
前記1つ以上の負荷の前記全エネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器をパワー低下することにより前記駆動信号発生器を休止状態にするように結合される無調整の休止モード制御回路とを含み、前記駆動信号発生器は、休止状態であれば、前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答しないように結合され、前記無調整の休止モード制御回路は、第2の期間の経過後に前記駆動信号発生器をパワー増加するように結合され、それにより、前記駆動信号発生器を、前記第2の期間の経過後に前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答させる、AC/DCまたはDC/DCの電力変換器。
【請求項17】
前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器はフライバック変換器である、請求項16に記載のAC/DCまたはDC/DCの電力変換器。
【請求項18】
前記無調整の休止モード制御回路に応答してコンデンサを充電するように結合されるべきレギュレータ回路をさらに含み、
前記レギュレータ回路は、前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件が前記第1の期間よりも長く前記しきい値を下回る場合には前記コンデンサを充電しないように、および、前記第2の期間の経過後に前記コンデンサを再び充電するように結合される、請求項16に記載のAC/DCまたはDC/DCの電力変換器。
【請求項19】
前記電力スイッチは金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)またはバイポーラトランジスタを含む、請求項16に記載のAC/DCまたはDC/DCの電力変換器。
【請求項20】
前記電力スイッチは、エネルギ伝達要素を通る前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するように結合され、
前記エネルギ伝達要素は、前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の入力から絶縁された出力巻線を含み、
前記1つ以上の負荷のうちの1つが前記出力巻線に結合される、請求項16に記載のAC/DCまたはDC/DCの電力変換器。
【請求項21】
前記1つ以上の負荷は、前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の出力端子に結合される負荷および予負荷インピーダンスを含む、請求項20に記載のAC/DCまたはDC/DCの電力変換器。
【請求項22】
前記電力スイッチは、エネルギ伝達要素を通る前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するよう結合され、
前記エネルギ伝達要素は、前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の入力から絶縁されない検知巻線を含み、
前記1つ以上の負荷のうちの1つが前記検知巻線に結合される、請求項16に記載のAC/DCまたはDC/DCの電力変換器。
【請求項23】
前記電力スイッチは、エネルギ伝達要素を通る前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するよう結合され、
前記エネルギ伝達要素は、前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の入力から絶縁されないバイアス巻線を含み、
前記1つ以上の負荷のうちの1つが前記バイアス巻線に結合される、請求項16に記載のAC/DCまたはDC/DCの電力変換器。
【請求項24】
前記電力スイッチは、エネルギ伝達要素を通る前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するよう結合され、
前記エネルギ伝達要素は、
前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の入力から絶縁された出力巻線と、
前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の入力から絶縁されないバイアス巻線とを含み、
前記1つ以上の負荷のうちの1つが前記出力巻線に結合され、前記1つ以上の負荷のうち他の1つが前記バイアス巻線に結合される、請求項16に記載のAC/DCまたはDC/DCの電力変換器。
【請求項25】
前記電力スイッチは、エネルギ伝達要素を通る前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するように結合され、
前記エネルギ伝達要素は、前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の入力から絶縁されない出力巻線を含み、
前記1つ以上の負荷のうちの1つは、前記出力巻線に結合される、組合された検知およびバイアス負荷を含む、請求項16に記載のAC/DCまたはDC/DCの電力変換器。
【請求項26】
前記電力スイッチは、エネルギ伝達要素を通る前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するよう結合され、
前記エネルギ伝達要素は、
前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の入力から絶縁された第1の出力巻線と、
前記AC/DCまたはDC/DCの電力変換器の入力から絶縁されない第2の出力巻線とを含み、
前記1つ以上の負荷のうちの1つは、前記第1の出力巻線に結合され、前記負荷のうち他の1つは、前記第2の出力巻線に結合される、組合された検知およびバイアス負荷を含む、請求項16に記載のAC/DCまたはDC/DCの電力変換器。」

本件補正により、特許請求の範囲は、以下のように補正された。
「【請求項1】
DC/DCの電力変換器において使用する制御回路であって、
前記制御回路に結合されるべき電力スイッチの切換を制御するための駆動信号を発生させて、電力変換器出力に結合されるべき負荷のエネルギ要件に応答して前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するように結合される駆動信号発生器を備え、前記負荷のエネルギ要件は、前記制御回路によって受信されるように結合されるべき電気的なフィードバック信号に基づいて決定され、前記制御回路は、さらに、
前記負荷のエネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器をパワー低下することにより前記駆動信号発生器を休止状態にするように結合される、無調整の休止モード制御回路を備え、
前記駆動信号発生器は、休止状態であれば、前記負荷のエネルギ要件の変化に応答しないように結合され、
前記無調整の休止モード制御回路は、第2の期間の経過後に前記駆動信号発生器をパワー増加するように結合され、それにより、前記駆動信号発生器を、前記第2の期間の経過後に前記負荷のエネルギ要件の変化に応答させる、制御回路。
【請求項2】
前記負荷のエネルギ要件は、前記制御回路によって受信されるように結合される前記電気的なフィードバック信号の大きさに応答して決定される、請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記電気的なフィードバック信号の大きさは電圧値または電流値である、請求項2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記負荷のエネルギ要件は、前記駆動信号のスイッチング周波数に応答して決定される、請求項1に記載の制御回路。
【請求項5】
前記第1の期間は、n個の連続する駆動信号の各々の間の時間が第3の期間を上回ると、前記第2の期間の開始を行うイベントカウンタによって決定される、請求項1に記載の制御回路。
【請求項6】
前記第3の期間は、前記制御回路の一部を形成する発振器回路の50?250サイクルの間の期間である、請求項5に記載の制御回路。
【請求項7】
前記第2の期間は、前記制御回路内にある回路によって決定される、請求項1に記載の制御回路。
【請求項8】
前記制御回路に結合されるべきコンデンサは、前記制御回路用の外部バイパスコンデンサを含む、請求項7に記載の制御回路。
【請求項9】
DC/DCの電力変換器の出力を制御するための方法であって、
負荷のエネルギ要件に応答して、前記DC/DCの電力変換器の出力に結合される前記負荷へのエネルギの流れを調整するための駆動信号を駆動信号発生器を用いて発生させることを備え、前記負荷のエネルギ要件は、制御回路によって受信されるように結合されるべき電気的なフィードバック信号に基づいて決定され、前記方法は、さらに、
前記負荷のエネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器をパワー低下することと、
第2の期間中(審決注:「前記第2の期間中」は誤記)は前記負荷のエネルギ要件に応答しないことと、
前記第2の期間の経過後に、前記駆動信号発生器をパワー増加して前記負荷へのエネルギの流れの調整を再開することとを含む、方法。
【請求項10】
前記負荷は、組合された検知およびバイアス負荷である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記負荷のうちの1つは、前記DC/DCの電力変換器の出力端子に結合される負荷と組合される予負荷インピーダンスである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の期間にわたって前記負荷へのエネルギの流れの調整を中止することは、組合される予負荷および負荷の前記エネルギ要件が前記第1の期間よりも長く前記しきい値を下回るとエルギの流れを中止することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記負荷のうちの1つは、前記DC/DCの電力変換器の出力端子に結合される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の期間にわたって前記負荷へのエネルギの流れの調整を中止することは、前記DC/DCの電力変換器の出力端子に結合される前記負荷のうちの1つのエネルギ要件が前記第1の期間よりも長く前記しきい値を下回るとエネルギの流れを中止することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
DC/DCの電力変換器の出力を制御するための方法であって、
制御回路で駆動信号を発生させて、電力スイッチを制御することにより、電気的なフィードバック信号に応答して前記DC/DCの電力変換器の前記出力へのエネルギの流れを調整することと、
前記DC/DCの電力変換器の前記出力へのエネルギの流れが第1の期間よりも長くしきい値を下回る場合に、動作休止状態にすることとを含み、
前記動作休止状態は、前記駆動信号の発生を中止するよう前記制御回路をパワー低下することを含み、前記制御回路は、前記動作休止状態時には前記電気的なフィードバック信号に応答せず、前記制御回路をパワー増加して、前記駆動信号の発生を再開し、第2の期間にわたる前記動作休止状態の後、前記電気的なフィードバック信号に応答して前記エネルギの流れの調整を再開する、方法。
【請求項16】
DC/DCの電力変換器であって、
前記DC/DCの電力変換器の入力と出力との間に結合されるエネルギ伝達要素と、
前記DC/DCの電力変換器の前記入力から前記出力へのエネルギの伝達を調整するよう前記エネルギ伝達要素に結合されるスイッチと、
前記スイッチの切換えを制御するよう前記スイッチに結合される制御回路とを含み、
前記制御回路は、
前記出力に結合されるべき負荷のエネルギ要件に応答して前記出力を調整するために、前記スイッチの切換えを制御するべき駆動信号を発生させるよう結合される駆動信号発生器を含み、前記負荷のエネルギ要件は、前記制御回路によって受信されるように結合されるべき電気的なフィードバック信号に基づいて決定され、前記制御回路は、さらに、
前記負荷の前記エネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器をパワー低下することにより前記駆動信号発生器を休止状態にするように結合される無調整の休止モード制御回路とを含み、前記駆動信号発生器は、休止状態であれば、前記負荷のエネルギ要件の変化に応答しないように結合され、前記無調整の休止モード制御回路は、第2の期間の経過後に前記駆動信号発生器をパワー増加するように結合され、それにより、前記駆動信号発生器を、前記第2の期間の経過後に前記負荷のエネルギ要件の変化に応答させる、DC/DCの電力変換器。
【請求項17】
前記DC/DCの電力変換器はフライバック変換器である、請求項16に記載のDC/DCの電力変換器。
【請求項18】
前記無調整の休止モード制御回路に応答してコンデンサを充電するように結合されるべきレギュレータ回路をさらに含み、
前記レギュレータ回路は、前記負荷のエネルギ要件が前記第1の期間よりも長く前記しきい値を下回る場合には前記コンデンサを充電しないように、および、前記第2の期間の経過後に前記コンデンサを再び充電するように結合される、請求項16に記載のDC/DCの電力変換器。
【請求項19】
前記電力スイッチは金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)またはバイポーラトランジスタを含む、請求項16に記載のDC/DCの電力変換器。
【請求項20】
前記電力スイッチは、エネルギ伝達要素を通る前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するように結合され、
前記エネルギ伝達要素は、前記DC/DCの電力変換器の入力から絶縁された出力巻線を含み、
前記負荷が前記出力巻線に結合される、請求項16に記載のDC/DCの電力変換器。
【請求項21】
前記負荷は、前記DC/DCの電力変換器の出力端子に結合される負荷および予負荷インピーダンスを含む、請求項20に記載のDC/DCの電力変換器。
【請求項22】
前記電力スイッチは、エネルギ伝達要素を通る前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するように結合され、
前記エネルギ伝達要素は、前記DC/DCの電力変換器の入力から絶縁されない出力巻線を含み、
前記負荷は、前記出力巻線に結合される、組合された検知およびバイアス負荷を含む、請求項16に記載のDC/DCの電力変換器。」


(2)目的要件
本件補正が、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。
特許法第17条の2第5項第2号の「特許請求の範囲の減縮」は、第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限られる。また、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請され、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。

本件補正前後の請求項1?8は共に制御回路に係るものであり、本件補正前後の請求項1は共に独立項であり、本件補正前後の請求項2?8は共に従属項であって先行する請求項の引用形式も同じであるから、本件補正後の請求項1は本件補正前の請求項1に対応するものとして検討する。

本件補正前の請求項1には、「1つ以上の負荷の全エネルギ要件に応答して前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整する」とあり、負荷のエネルギ要件が複数あって、その複数のエネルギ要件全てに対して応答して電力変換器出力へのエネルギの流れを調整していたものが、本件補正後の請求項1には、「負荷のエネルギ要件に応答して前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整する」とあり、負荷のエネルギ要件に対して応答して電力変換器出力へのエネルギの流れを調整できれば足りることとなる。
そうすると、本件補正前の請求項1は、複数のエネルギ要件全てに対して応答していたものが、本件補正後の請求項1は、負荷の何らかのエネルギ要件に対して応答することとなるから、特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものには該当せず、特許法第17条の2第5項2号の「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。請求項9、16も同様である。

したがって、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正とは認められない。
また、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明を目的としたものでないことも明らかである。


(3)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


[理由II]
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるが、仮に本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとして、本件補正後の前記特許請求の範囲に記載されたものが特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)特許法第36条第4項及び第6項
請求項1に、「電力変換器出力に結合されるべき負荷のエネルギ要件に応答して」とあるが、負荷のエネルギ要件とは一般的な用語ではないため構成を特定できず不明であり、又、制御のために応答するべき負荷のエネルギ要件をどの様にして決定するのか不明であり、負荷のエネルギ要件は負荷のエネルギに関する如何なる要件であっても含まれると解せ、明細書の何処に負荷の如何なるエネルギ要件にも対処できることの開示があるのか不明(軽負荷または無負荷についてしか開示がない)であり、又、「応答して」とあるが、応答の仕方は様々なものが考えられ構成が特定できないため、負荷のエネルギ要件にどの様に応答するのか明細書に何等開示が無く不明である。請求項9、16も同様である。
請求項1に係る発明の保護の対象は「制御回路」であって「DC/DCの電力変換器」ではなく、請求項1の制御回路は駆動信号発生器と無調整の休止モード制御回路のみを有していることとなるが、当該構成のみでは、負荷が特定できず使用対象のDC/DCの電力変換器の構成が特定できない(例えば、「DC/DCの電力変換器において使用する」は制御回路の構成を特定するものではなく、制御回路の用途を示すものであって、どの様なDC/DCの電力変換器において使用するかは特定できない。「電力変換器出力に結合されるべき負荷」は制御回路の構成ではなく、どの様な負荷が電力変換器に結合されるかは特定できない。)から、当該構成で何故如何なるDC/DCの電力変換器でも制御できて何故所望の効果を奏することができるのか不明である。
請求項1に、「前記負荷のエネルギ要件は、前記制御回路によって受信されるように結合されるべき電気的なフィードバック信号に基づいて決定され」とあるが、制御回路の構成ではない負荷のエネルギ要件、フィードバック信号で制御回路の構成を特定しようとしているため、構成が特定できず不明[制御回路の端子123(図1参照)は単に信号が入力されるだけであって、制御回路が受信した当該信号がフィードバック信号であるか否か制御回路では特定できず不明(負荷、電力変換器が請求項1に特定されなければフィードバック信号であるとは特定できない。)]であり、又、電気的であればどの様な種類のフィードバック信号であっても良いこととなるが、何故所望の効果を奏するのか不明(音、熱でも電気的な信号に変換されれば良いこととなるが、この場合、どの様に対処するのか。明細書には軽負荷または無負荷を示す信号しか開示がない。)であり、電気的なフィードバック信号の発生源(検出対象)が特定されていないから、制御回路とは無関係の機器の電気的なフィードバック信号でも良いこととなるが、何故この様な電気的なフィードバック信号でも良いのか不明(結合されるべきか否かの判断機能は制御回路は有していない)であり、又、「基づいて」とは様々な基づき方があり、どの様に基づいてどの様に決定されるのか全く不明である。請求項2、3も同様である。
請求項1に、「前記負荷のエネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器をパワー低下することにより前記駆動信号発生器を休止状態にするように結合される」とあるが、負荷のエネルギ要件が、例えば負荷が今現在より更に必要とするエネルギを表すもの[変動する負荷の現在の需要が95であるとき更に5必要である]であれば、第1の期間よりも長くしきい値を下回ったときに駆動信号発生器を休止状態にすれば、負荷に電力を供給できないこととなり、何故この様な制御を行うのか不明である。請求項9、16も同様である。
請求項1に、「第2の期間の経過後」とあるが、図1、図4Aには、制御回路の構成ではないコンデンサの電圧が6Vから3Vになったことを検出するものしか記載が無く、制御回路が期間経過をどの様に判断しているのか不明(コンデンサの電圧を検出せずに期間経過を判断するものの開示が無い)である。請求項16も同様である。
請求項1に、「前記駆動信号発生器を、前記第2の期間の経過後に前記負荷のエネルギ要件の変化に応答させる」とあるが、応答の仕方は様々なものが考えられ、どの様に応答するのか構成を特定できず不明である。請求項16も同様である。
請求項8に、「前記制御回路に結合されるべきコンデンサは、前記制御回路用の外部バイパスコンデンサを含む」とあるが、制御回路の構成ではないではないコンデンサで制御回路の構成を特定しようとしているため、構成が特定できず不明(例えば、図1の端子170は、制御回路単独では、どの様な回路部品に接続されるか特定できず、コンデンサが接続される端子として利用するためには、図1のDC-DC変換器100の全体構成が必要である。)である。
請求項22に「絶縁されない出力巻線」とあって、トランスを用いない出力巻線を意味するが、図面を参照しても、トランスを用いない出力巻線を用いることは開示が無く、具体的にどの様な回路になるのか不明である。

したがって、本件補正後の請求項1-22の記載は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えているので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、かつ、本件補正後の請求項1-22の記載は明確ではないので、特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができない。


(2)特許法第29条第2項
(2-1)本件補正後の請求項9に係る発明
本件補正後の請求項9に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記した平成29年2月16日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項9に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(2)引用例
当審の平成27年6月30日付拒絶の理由に引用された国際公開第2005/006527号(以下、「引用例」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。

a「交流電源(9)が投入されると、定電流供給部(14)は、定電流をコンデンサ(C3)に供給して、コンデンサ(C3)を充電する。コンデンサ(C3)の両端の電圧が所定の電圧以上になると、スイッチ制御部(17)は、スイッチ(13)をオフする。出力電流が低下して軽負荷になると、負荷検出回路(15)は、PWM制御回路(12)の動作を停止させ、タイマ(16)を起動する。タイマ(16)は、起動して、計測した所定時間が経過すると、スイッチ制御部(17)に、スイッチオン信号を供給する。スイッチ制御部(17)は、スイッチオン信号が供給されると、スイッチ(13)をオンする。スイッチ(13)がオンすると、コンデンサ(C3)が再び充電され、PWM制御回路(12)に電圧が印加される。」(【要約】)

b「負荷に供給する電圧を生成する電圧生成部(2,3,4)と、
駆動信号生成に必要な駆動制御用電圧が印加されて駆動信号を生成し、生成した駆動信号を前記電圧生成部(2,3,4)に供給して前記電圧生成部(2,3,4)を駆動制御する駆動制御部(6)と、
起動時、前記駆動制御部(6)に前記駆動制御用電圧を印加し、前記負荷に供給する出力電流が予め設定された電流値未満になると、前記駆動制御部(6)を停止し、前記駆動制御部を停止してから所定時間経過後に前記駆動制御部(6)を作動させる駆動制御用電圧供給部(8)と、を備えた、
ことを特徴とする電源装置。」(【請求項1】)

c「前記トランス(T)に3次巻線(n3)を備え、
前記駆動制御用電圧供給部(8)は、
充電された電圧を駆動制御用電圧として前記駆動制御部(6)に印加するコンデンサ(C3)と、
前記直流電圧入力部(2)が前記トランス(T)の1次巻線への直流電圧の入力を開始したときに、前記電圧生成部(2,3,4)の直流電圧入力部(2)から前記コンデンサ(C3)に電流を供給して前記コンデンサを充電する充電回路部(13、14、R21)と、
前記トランス(T)の3次巻線(n3)に発生した電圧を整流して前記コンデンサ(C3)に印加し、前記コンデンサ(C3)を充電する補助電源部(7)と、
前記駆動制御部(6)に供給する駆動制御用電圧が、予め設定された電圧値以上になると前記充電回路部(13、14、R21)から前記コンデンサ(C3)への充電を停止させる充電制御部(17)と、
前記負荷に供給する出力電流を検出して、検出した出力電流の電流値と予め設定された電流値とを比較し、前記検出した出力電流の電流値が予め設定された電流値未満になると、前記駆動制御部(6)の動作を停止させる動作停止部(15)と、
前記動作停止部(15)が前記駆動制御部(6)の動作を停止させてから時間を計測し、計測してから予め設定された時間が経過したときに、前記充電制御部(17)に前記コンデンサ(C3)への充電を再開させる時間計測部(16)と、を備えた、
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。」(【請求項3】)

d「本発明は、通常の動作状態に戻れるように待機しているときの消費電力を低減することが可能な電源装置及びその制御方法に関する。」(【0001】)

e「実施の形態1に係るコンバータ1は、フライバックコンバータによって構成され、AC-DC変換部2と、電圧変換部3と、整流平滑部4と、出力電圧検出部5と、制御部6と、補助電源部7と、駆動制御用電圧供給部8と、を備えて構成される。」(【0020】)

f「制御部6は、駆動制御用電圧が印加されてトランジスタQ1を駆動する駆動信号としてのパルス信号を生成するものである。制御部6は、出力電圧検出部5が検出した出力電圧が予め設定された電圧となるようにパルス信号のパルス幅を制御(PWM制御)する。そして、制御部6は、生成したパルス信号を駆動信号としてトランジスタQ1のゲートに供給するものである。制御部6は、フォトトランジスタQ21と、PWM制御回路12と、を備える。
フォトトランジスタQ21は、出力電圧検出部5の電圧検出信号を制御部6に供給するものであり、コレクタは、PWM制御回路12に接続され、エミッタは、コンデンサC1の他端に接続される。また、フォトトランジスタQ21は、フォトダイオードD11が発光した光をベースで受光し、受光した光の受光量に応じたレベルのコレクタ電圧(コレクタ-エミッタ間電圧)をPWM制御回路12に印加する。」(【0032】-【0033】)

g「タイマ16は、負荷検出回路15が軽負荷と判定してからの時間を計測するものであり、計測してから予め設定された時間が経過したとき、スイッチ制御部17に、スイッチ13をオンさせるためのスイッチオン信号を供給する。尚、予め設定された時間は、待機中の電力を大きく低減するため、1秒以上であることが望ましい。」(【0043】)

h「PWM制御回路12は、コンパレータ21からハイレベルの信号が供給されると、動作を停止する。
PWM制御回路12の動作が停止すると、トランスTの1次巻線n1には、電圧が印加されず、図5(c)に示すように、出力電圧Voutは低下し、図5(d)に示すように、出力電流Ioutも0になる。また、トランスTの3次巻線n3にも電圧は発生せず、スイッチ13もオフしているため、コンデンサC3は放電し、コンデンサC3の電圧Vc3は、図5(b)に示すように、低下する。
負荷検出回路15のインバータ22は、時刻t21において、コンパレータ21の出力信号を反転させ、ローレベルの信号をタイマ16に供給する。
タイマ16は、負荷検出回路15からローレベルの信号が供給されると、図5(g)に示すように、時刻t22までの所定時間を計測する。そして、時刻t22になると、タイマ16は、スイッチ制御部17にスイッチ13をオンさせるためのスイッチオン信号を供給する。
スイッチ制御部17は、このスイッチオン信号が供給されると、スイッチ13をオンする。スイッチ13がオンすると、定電流供給部14は、コンデンサC3に定電流を供給し、コンデンサC3の電圧Vc3は、再び、上昇する。電圧Vc3が電圧V1以上になると、PWM制御回路12は、動作を開始し、同時にスイッチ制御部17は、スイッチ13をオフする。」(【0062】-【0066】)

上記記載及び図面を参照すると、PWM制御回路12は予め設定された時間中は動作を停止している。

上記記載事項からみて、引用例には、
「通常の動作状態に戻れるように待機しているときの消費電力を低減することが可能なフライバックコンバータの制御方法であって、
出力電圧検出部5が検出した出力電圧が予め設定された電圧となるようにパルス信号のパルス幅を制御(PWM制御)する制御部6を備え、制御部6はフォトダイオードD11が発光した光をフォトトランジスタQ21のベースで受光し、受光した光の受光量に応じたレベルのコレクタ電圧(コレクタ-エミッタ間電圧)をPWM制御回路12に印加し、前記方法は、さらに、
負荷に供給する出力電流が予め設定された電流値未満になると、前記PWM制御回路12を停止して、充電された電圧を駆動制御用電圧として前記制御部6に印加するコンデンサC3を放電してコンデンサC3の電圧を低下することと、
予め設定された時間中は前記PWM制御回路12の動作を停止することと、
前記予め設定された時間経過後に、前記PWM制御回路12の動作を開始することを含む、方法。」
との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「フライバックコンバータ」、「パルス信号」、「PWM制御回路12」、「予め設定された時間」は、それぞれ本願補正発明の「DC/DCの電力変換器」、「駆動信号」、「駆動信号発生器」、「第2の期間」に相当する。

引用発明の「通常の動作状態に戻れるように待機しているときの消費電力を低減することが可能なフライバックコンバータの制御方法」は、本願補正発明の「DC/DCの電力変換器の出力を制御するための方法」に相当する。
引用発明において、出力電圧検出部5が検出した出力電圧は出力のフィードバック値であるから、負荷のエネルギ要件に応答するものであり、出力電圧が予め設定された電圧となるようにパルス信号のパルス幅を制御(PWM制御)するのは、フライバックコンバータ(DC/DCの電力変換器)の出力に結合される負荷へのエネルギの流れを調整するためであるから、引用発明の「出力電圧検出部5が検出した出力電圧が予め設定された電圧となるようにパルス信号のパルス幅を制御(PWM制御)する制御部6を備え」は、本願補正発明の「負荷のエネルギ要件に応答して、前記DC/DCの電力変換器の出力に結合される前記負荷へのエネルギの流れを調整するための駆動信号を駆動信号発生器を用いて発生させることを備え」に相当する。
引用発明において、フォトダイオードD11が発光した光をフォトトランジスタQ21のベースで受光し、受光した光の受光量に応じたレベルのコレクタ電圧(コレクタ-エミッタ間電圧)をPWM制御回路12に印加することは、負荷のエネルギ要件に基づくフィードバック制御を行うことであるから、引用発明の「制御部6はフォトダイオードD11が発光した光をフォトトランジスタQ21のベースで受光し、受光した光の受光量に応じたレベルのコレクタ電圧(コレクタ-エミッタ間電圧)をPWM制御回路12に印加し」は、本願補正発明の「前記負荷のエネルギ要件は、制御回路によって受信されるように結合されるべき電気的なフィードバック信号に基づいて決定され」に相当する。
引用発明において、PWM制御回路12の動作が停止している間はフォトトランジスタQ21が受光しても応答しないから、引用発明の「予め設定された時間中は前記PWM制御回路12の動作を停止すること」は、本願補正発明の「第2の期間中は前記負荷のエネルギ要件に応答しないこと」に相当する。
引用発明の「前記予め設定された時間経過後に、前記PWM制御回路12の動作を開始すること」は、本願補正発明の「前記第2の期間の経過後に、前記駆動信号発生器をパワー増加して前記負荷へのエネルギの流れの調整を再開すること」に相当する。
引用発明において、PWM制御回路12の停止後、充電された電圧を駆動制御用電圧として制御部6に印加するコンデンサC3を放電してコンデンサC3の電圧を低下することは、PWM制御回路12の駆動電源電圧を低下させることであるから、引用発明の「充電された電圧を駆動制御用電圧として前記制御部6に印加するコンデンサC3を放電してコンデンサC3の電圧を低下する」は、本願補正発明の「前記駆動信号発生器をパワー低下する」に相当する。

引用発明の「負荷に供給する出力電流が予め設定された電流値未満になる」と、本願補正発明の「前記負荷のエネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回る」は、「前記負荷のエネルギ要件がしきい値を下回る」点で一致する。

したがって、両者は、
「DC/DCの電力変換器の出力を制御するための方法であって、
負荷のエネルギ要件に応答して、前記DC/DCの電力変換器の出力に結合される前記負荷へのエネルギの流れを調整するための駆動信号を駆動信号発生器を用いて発生させることを備え、前記負荷のエネルギ要件は、制御回路によって受信されるように結合されるべき電気的なフィードバック信号に基づいて決定され、前記方法は、さらに、
前記負荷のエネルギ要件がしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器をパワー低下することと、
第2の期間中は前記負荷のエネルギ要件に応答しないことと、
前記第2の期間の経過後に、前記駆動信号発生器をパワー増加して前記負荷へのエネルギの流れの調整を再開することとを含む、方法。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点〕
負荷のエネルギ要件がしきい値を下回ることに関し、本願補正発明は、負荷のエネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回るのに対し、引用発明は、負荷に供給する出力電流が予め設定された電流値未満になる点。


(4)判断
電気回路の故障検出等の検出回路において、検出回路が検出した所定値を超えた値がイレギュラー・ノイズで発生したものである場合、当該検出値に基づいて電気回路の故障を検出すれば故障と判断すべきではないときに故障と判断することになるから、これを避けるために、所定値を超える期間が所定時間続いた場合又は所定値を超える回数が所定回数に達した場合に、検出回路の検出値が正しいものと判断することは電気回路の分野に於いて周知の事項であるから、引用発明においても、検出回路がイレギュラー・ノイズを検出しないように、負荷のエネルギ要件がしきい値を下回る期間を第1の期間よりも長くすることは当業者が容易に考えられることと認められる。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。


(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条の規定により却下されるべきものである。


3.本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-26に係る発明は、上記した平成28年8月15日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-26に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(1)当審の最後の拒絶の理由
当審で平成28年10月13日付で通知した最後の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「I 平成28年8月15日付でした手続補正(以下、「本件補正」という。)は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。


(1)本件補正後の請求項1には、「AC/DCまたはDC/DCの電力変換器において使用する制御回路」との訳語があり、単なる整流器であるAC/DCの電力変換器において使用する制御回路が含まれることとなる。
そこで、当該補正が、願書に最初に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、
a「電力変換器において使用する制御回路であって、前記制御回路に結合されるべき電力スイッチの切換を制御するための駆動信号を発生させて、電力変換器出力に結合されるべき1つ以上の負荷のエネルギ要件に応答して前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するように結合される駆動信号発生器と、前記1つ以上の負荷のエネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器を休止状態にすることによって、前記駆動信号発生器による前記電力変換器出力へのエネルギの流れの調整を中止するように結合される、無調整の休止モード制御回路とを備え、前記駆動信号発生器は、休止状態であれば、前記1つ以上の負荷のエネルギ要件の変化に応答しないように結合され、前記無調整の休止モード制御回路は、第2の期間の経過後に前記駆動信号発生器をパワーアップするように結合され、前記駆動信号発生器は、前記第2の期間の経過後に前記1つ以上の負荷のエネルギ要件の変化に再び応答するように結合される、制御回路。」(【請求項1】)

b「電力変換器の出力を制御するための方法であって、1つ以上の負荷のエネルギ要件に応答して、前記電力変換器の出力に結合される前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れを調整するための駆動信号を発生させることと、前記1つ以上の負荷のエネルギ要件が第2の期間よりも長くしきい値を下回ると、第1の期間にわたって前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れの調整を中止することと、前記第1の期間中は前記1つ以上の負荷のエネルギ要件に応答しないことと、前記第1の期間の経過後に、前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れの調整を再開することとを含む、方法。」(【請求項22】)
c「電力変換器において使用する制御回路であって、前記制御回路は、電力スイッチの切換を制御するための駆動信号を発生させて、前記電力変換器の出力を調整するように結合される駆動信号発生器と、前記駆動信号の2つのパルス間の時間がしきい値期間を上回るかどうかを示すために前記駆動信号発生器に結合されたパワーダウン検出回路と、前記パワーダウン検出回路に結合されて、前記パワーダウン検出回路が、前記駆動信号のパルス間の時間がしきい値連続回数にわたって前記しきい値期間を上回ったことを示す場合、第1の期間にわたって前記駆動信号発生器を休止状態にするイベント検出回路とを含む、制御回路。」(【請求項29】)

d「電力変換器制御回路は、多くの目的および用途に用いられ得る。電力変換器のエネルギ消費を減らすことができる制御回路機能が求められている。具体的には、軽負荷または無負荷状態下で電力変換器のエネルギ消費を低減させる制御回路が特に求められている。これが求められているのは、電力変換器のいくつかの用途においては、長期間にわたってエネルギの送出がほとんどまたは全く必要とされていないためである。このような用途の一例として、携帯電話用のAC-DC充電器が挙げられる。AC-DC充電器は、携帯電話自体がAC-DC充電器の出力ケーブルから完全に外されている場合でも、しばしば、家またはオフィスにあるAC電源コンセントに接続されたままにされる。このような状態はしばしば無負荷状態と称される。さらに、携帯電話やデジタルスチルカメラ等の用途においては、ユニット内のバッテリが完全に充電されると、AC-DC充電器の出力によって電力供給されているユニットが停止する。これらの状態では、ユニットのエネルギ要件が劇的に低下するので、AC-DC充電器にとって非常に軽い負荷状態となる。この状態は、しばしばスタンバイまたはスリープモードと称され、長期間存在し得る。したがって、これらの非常に軽い負荷のスタンバイまたはスリープモード状態で、AC-DC充電器を高効率で、または言い換えれば可能な限り低いエネルギ消費で動作させることも求められている。」(【0003】)
e「切換えモード電力変換器のための既存の制御回路は、典型的には、制御回路に結合された電源スイッチのスイッチング周波数を下げてスイッチング損失と呼ばれる一種のエネルギ損失を低減させることによって、電力変換器のエネルギ消費を低減させる。スイッチング周波数を下げている間、制御回路は、電力供給されるべきユニット(たとえば、携帯電話ハンドセットまたはデジタルスチルカメラ)が、AC-DC充電器出力に接続されるとすぐに、またはスリープ/スタンバイモードを終えてより多くのエネルギを要求するとすぐにエネルギを受取ることができるように電力変換器の出力電圧を維持することによって、稼動したままにされる。」(【0004】)

f「無調整の休止動作モードを用いることによって軽負荷または無負荷状態下で電力変換器のエネルギ消費を低減させるための制御回路をここで説明する。本発明の例は、軽負荷または無負荷状態下で電力変換器のエネルギ消費を低減させるために無調整の休止動作モードを実現する方法および装置を含む。以下の説明においては、たとえば携帯電話が電力変換器の出力に接続され、そのバッテリを充電している場合にあり得る通常の動作状態下で、電力変換器の入力からその出力へのエネルギの流れを調整するさまざまな電力変換器回路において用いられるいくつかの例示的な制御回路を詳述する。電力変換器の入力から出力へのエネルギの流れは、電力変換器内に変圧器を含み得るがいくつかの電力変換器構成においては単純なインダクタであり得るエネルギ伝達要素を通るエネルギの流れとしても説明することができる。この説明では、電力変換器の出力が無負荷または軽負荷状態下にあると確認される場合、たとえば、制御回路が用いられているAC-DC充電器の出力から携帯電話が物理的に外されている場合、記載された例示的な制御回路が、電力変換器の入力から出力までのエネルギの流れがもはや調整されない動作モードに如何に移行するかを詳述する。これらの状態下では、電力変換器の入力から出力までのエネルギ伝達は、制御回路のユーザによってプログラムされているかまたは制御回路自体の内部にあるタイマ回路を用いて予めプログラムされている期間にわたって実質的にゼロにまで減らされる。この期間中、回路は、この開示の名称で言及されている無調整の休止動作モードにある。この無調整の休止モード期間中、エネルギを節約するために制御回路自体の電力消費が可能な限り抑えられる。この説明では、この無調整の休止動作モード期間の後に、制御回路が、電力変換器の入力から出力へのエネルギの流れを如何に再開させ、再び調整するかを詳述する。しかしながら、非常に軽い負荷または無負荷状態が依然として存在している場合、制御回路は再びこれを検出し、無調整の休止モード動作期間を再開させることとなる。」(【0009】)

g「図示される例に示されるように、制御回路115は駆動信号発生器ブロック154を含み、これは、電力スイッチ105を駆動するために結合されるべき駆動信号122を発生させる。一例においては、電力スイッチ105は金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、バイポーラトランジスタなどである。電力スイッチ105は、DC入力電圧101および出力電力ダイオード117に結合されるエネルギ伝達要素109の入力巻線103に結合される。一例においては、DC入力電圧101は、図示されないAC電圧のソースに結合された整流回路の出力である。コンデンサ106は、電力変換器入力端子190および191に結合されており、電力スイッチ105がオン状態にあるときに、第1および第2の入力端子190および191、エネルギ伝達要素109、巻線103ならびに電力スイッチ105を流れる電流を切換えるための低インピーダンス源をもたらす。一例においては、制御回路115およびスイッチ105は、ハイブリッドまたはモノリシック集積回路として製造され得る集積回路の一部を形成し得る。図示される例に示されるように、制御回路115はフィードバック信号114を受信するように結合され、これは、一例では電圧信号であるが、他の例では、電流信号、または、本発明の教示内容から利益を得つつ電力変換器100出力のパラメータを表わす他の信号であってもよい。」(【0011】)

h「図3は、本発明の教示内容から利益を得る制御回路315を用いた別の例示的な電力変換器回路300を示す。図3に示される例示的な電力変換器300の機能は、図2に示される電力変換器回路と多くの局面が共通している。図2の電力変換器回路200と比較したときの相違点は、ダイオード213およびコンデンサ275が除かれていることである。したがって図2の電力変換器回路200と共通しているのは、通常の動作状態下での制御回路315の動作電流がレギュレータ回路335を通じて得られることである。さらに、エネルギ伝達要素の巻線308は、一次接地電位ノード307に対して相対的にノード313のAC電圧を与える。結果として、フィードバック電流IFB331は、電力スイッチ305の切換サイクル中に正負両方の値を有する。IFB331は、電力スイッチ305のオン時間中は実質的に常に負の電流となり、電力スイッチ305のオフ時間のうち少なくとも或る一期間には正の電流となる。しかしながら、負荷321が必要とするエネルギが、しきい値期間よりも長期にわたってしきい値を下回る場合があるが、これは一例では電力スイッチ305のスイッチング周波数が予め定められた期間にわたってしきい値を下回ることによって検出されるものであり、この場合の動作は、図1および図2の例示的な電力変換器回路の動作と同様である。それらの状況では、無調整の休止動作モードが開始され、一例ではレギュレータ回路335が無効になり、無調整の休止モード制御回路340の一部を除く制御回路315の実質的にすべての回路ブロックが供給レール332から切断されるのに対して、外部バイパスコンデンサ333の電圧は、その通常の動作電圧から、無調整の休止モード制御回路340によって検出されるパワーアップしきい値電圧にまで放電する。次いで、バイパスコンデンサ333は、一例では約5.8ボルトであるその通常の動作電圧レベルにまで再充電され、電力スイッチ305の切換が再開される。」(【0027】)

i「図4の例においては、制御回路415は駆動信号発生器454を含み、これは、この例ではオン/オフ制御回路を含むものとして図示されている。図示される例では、駆動信号発生器454のオン/オフ制御回路は、FBブロック451から出力されるEN信号456を受信するように結合される。FBブロック451は、FB端子423においてフィードバック信号を受信するように結合される。図示される例では、FBブロック451は、電力スイッチ405の切換が必要でないときは出力EN信号456をローとして発生させるが、電力スイッチ405の切換が必要であるときはハイとして発生させる。他の例では、FB端子423およびFBブロック451は、図1、図2および/または図3を参照して上述したように、外部の回路構成に応じてDCまたはACフィードバック信号を受信および処理するよう適合され得る。」(【0030】)
と記載されるにすぎず、交流(AC)を一旦直流(DC)にして、当該直流(DC)を異なった値の直流(DC)に変換する電力変換器に関する記載はあっても、交流(AC)を直接直流(DC)に変換する所謂整流器の電力変換器については記載も示唆も無い。
したがって、本件補正後の請求項1の上記記載事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
なお、請求項9、11、13-26も同様である。

(2)本件補正後の請求項1には、「1つ以上の負荷の全エネルギ要件に応答して前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整する」との訳語があり、負荷のエネルギ要件が複数あって、その複数のエネルギ要件全てに対して応答して電力変換器出力へのエネルギの流れを調整できることとなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、
A「【請求項1】電力変換器において使用する制御回路であって、前記制御回路に結合されるべき電力スイッチの切換を制御するための駆動信号を発生させて、電力変換器出力に結合されるべき1つ以上の負荷のエネルギ要件に応答して前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するように結合される駆動信号発生器と、前記1つ以上の負荷のエネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器を休止状態にすることによって、前記駆動信号発生器による前記電力変換器出力へのエネルギの流れの調整を中止するように結合される、無調整の休止モード制御回路とを備え、前記駆動信号発生器は、休止状態であれば、前記1つ以上の負荷のエネルギ要件の変化に応答しないように結合され、前記無調整の休止モード制御回路は、第2の期間の経過後に前記駆動信号発生器をパワーアップするように結合され、前記駆動信号発生器は、前記第2の期間の経過後に前記1つ以上の負荷のエネルギ要件の変化に再び応答するように結合される、制御回路。
【請求項2】前記1つ以上の負荷のエネルギ要件は、前記制御回路によって受信されるように結合されるフィードバック信号に応答して決定される、請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】前記1つ以上の負荷のエネルギ要件は、前記制御回路によって受信されるように結合される前記フィードバック信号の大きさに応答して決定される、請求項2に記載の制御回路。」

B「【請求項6】前記1つ以上の負荷のエネルギ要件は、前記駆動信号のスイッチング周波数に応答して決定される、請求項1に記載の制御回路。」

C「【請求項12】前記無調整の休止モード制御回路に応答して前記コンデンサを充電するように結合されるべきレギュレータ回路をさらに含み、前記レギュレータ回路は、前記1つ以上の負荷のエネルギ要件が前記第1の期間よりも長く前記しきい値を下回る場合には前記コンデンサを充電しないように、および、前記第2の期間の経過後に前記コンデンサを再び充電するように結合される、請求項10に記載の制御回路。」

D「【請求項22】電力変換器の出力を制御するための方法であって、1つ以上の負荷のエネルギ要件に応答して、前記電力変換器の出力に結合される前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れを調整するための駆動信号を発生させることと、前記1つ以上の負荷のエネルギ要件が第2の期間よりも長くしきい値を下回ると、第1の期間にわたって前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れの調整を中止することと、前記第1の期間中は前記1つ以上の負荷のエネルギ要件に応答しないことと、前記第1の期間の経過後に、前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れの調整を再開することとを含む、方法。」

E「【請求項26】前記第1の期間にわたって前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れの調整を中止することは、組合される予負荷および負荷のエネルギ要件が前記第2の期間よりも長く前記しきい値を下回るとエネルギの流れを中止することを含む、請求項25に記載の方法。」

F「【請求項28】前記第1の期間にわたって前記1つ以上の負荷へのエネルギの流れの調整を中止することは、前記電力変換器の出力端子に結合される前記1つ以上の負荷のうちの1つのエネルギ要件が前記第2の期間よりも長く前記しきい値を下回るとエネルギの流れを中止することを含む、請求項27に記載の方法。」

G「【請求項32】前記駆動信号発生器が休止状態であり、前記第1の期間の経過後に負荷のエネルギ要件の変化に応答する場合、前記駆動信号発生器は、前記負荷のエネルギ要件の変化に応答しないように結合される、請求項31に記載の制御回路。」

H「電力変換器制御回路は、多くの目的および用途に用いられ得る。電力変換器のエネルギ消費を減らすことができる制御回路機能が求められている。具体的には、軽負荷または無負荷状態下で電力変換器のエネルギ消費を低減させる制御回路が特に求められている。これが求められているのは、電力変換器のいくつかの用途においては、長期間にわたってエネルギの送出がほとんどまたは全く必要とされていないためである。このような用途の一例として、携帯電話用のAC-DC充電器が挙げられる。AC-DC充電器は、携帯電話自体がAC-DC充電器の出力ケーブルから完全に外されている場合でも、しばしば、家またはオフィスにあるAC電源コンセントに接続されたままにされる。このような状態はしばしば無負荷状態と称される。さらに、携帯電話やデジタルスチルカメラ等の用途においては、ユニット内のバッテリが完全に充電されると、AC-DC充電器の出力によって電力供給されているユニットが停止する。これらの状態では、ユニットのエネルギ要件が劇的に低下するので、AC-DC充電器にとって非常に軽い負荷状態となる。この状態は、しばしばスタンバイまたはスリープモードと称され、長期間存在し得る。したがって、これらの非常に軽い負荷のスタンバイまたはスリープモード状態で、AC-DC充電器を高効率で、または言い換えれば可能な限り低いエネルギ消費で動作させることも求められている。」(【0003】)

I「上述のように、図1の例では、電力スイッチ105のスイッチング周波数は、エネルギ伝達要素109を通るエネルギの流れを調整するのに用いられる変数であるため、スイッチング周波数は、エネルギ伝達要素109の巻線108および110に結合される回路素子の総エネルギ要件または要求を示すものである。したがって、図示される例においては、電力スイッチ105のスイッチング周波数がしきい値を下回ると、これは、出力電流120が実質的にゼロにまで低下したことと、このため、負荷121が実質的にエネルギを全く必要としない無負荷または非常に軽い負荷状態が存在することとを示すものとして用いられる。言い換えれば、負荷121のエネルギ要件がしきい値を下回ると、無負荷または非常に軽い負荷状態が確認されたことになる。
これらの状態下で、制御回路115は一例では無調整の休止モード制御回路140を含む。無調整の休止モード制御回路140は、負荷121のエネルギ要件が或るしきい値期間よりも長期にわたってしきい値を下回っていた場合、ある期間にわたって駆動信号発生器154をパワーダウンすることによって駆動信号発生器154を休止状態にするよう結合されるパワーダウン/リセット信号157を発生させるように結合される。駆動信号発生器154がパワーダウンされているこの期間中、駆動信号発生器154は駆動信号122をもはや発生させず、エネルギ伝達要素109を通るエネルギの流れをもはや調整しない。一例においては、駆動信号発生器154がパワーダウンされて電力スイッチ105の切換が無効になっている期間の長さは、バイパスコンデンサ133が、一例では5.8?6.4ボルトの範囲内にある通常の動作電圧から、一例では3ボルトであり得るより低い電圧にまで放電するのにかかる時間の長さによって決定される。この時間中、出力コンデンサ118も予負荷インピーダンス194を介して放電し、このため、出力電圧119も低下する。したがって、この例においては、バイパスコンデンサ133はタイマの一部としても機能して、出力電流120が実質的にゼロにまで低下し、このため無負荷または非常に軽い負荷状態が存在することが示されることに応答して期間を決定する。この時間中、コンデンサ175も抵抗器171および111を介して放電し、このため、コンデンサ175両端の電圧も低下する。別の例では、駆動信号発生器154がパワーダウンされて電力スイッチ105の切換が無効になっている期間の長さは、制御回路115の外部にあるがバイパスコンデンサ133ではないコンデンサを備えるタイマ回路によって決定され得る。さらなる例においては、駆動信号発生器154がパワーダウンされて電力スイッチ105の切換が無効になっている期間の長さは、制御回路115内に完全に集積されているためこの目的のための外部コンデンサを必要としないタイマ回路によって決定され得る。」(【0017】-【0018】)

J「一例においては、負荷121のエネルギ要件がしきい値期間よりも長期にわたってしきい値を下回った場合にのみ、無調整の休止モード期間が開始されるので、短期間の過渡的なエネルギ要件の状態または事象が電力変換器100の出力において無荷重状態として誤って解釈されることがなくなる。一例においては、このような負荷過渡事象は、負荷121として電力変換器100の出力に結合された携帯電話バッテリの完全充電から携帯電話バッテリの細流充電への突然の変化によってもたらされるおそれがある。この種の負荷過渡事象は、しばしば、携帯電話の充電への応用時に発生し、その後、携帯電話ハンドセットが完全充電に戻ると直ちに負荷が急上昇する可能性がある。このような負荷またはエネルギ要件の過渡事象は負荷121によって制御され、このため、制御回路115が正確に応答しなければならない負荷121のエネルギ要件が変化する。制御回路115が負荷エネルギ要件の突然の低下に直ちに反応した場合、一例ではバッテリ負荷の充電速度に影響を及ぼすために望ましい条件ではない高いエネルギが負荷によって要求されると、制御回路115は無調整の休止モード期間に入っただろう。負荷121のエネルギ要件がしきい値期間よりも長期にわたってしきい値を下回った場合にのみ無調整の休止モード期間が開始されることを確実にすることにより、過渡負荷事象を誤って解釈するリスクが低減される。」(【0020】)

K「したがって、図示される例では、バイパスコンデンサ133は、パワーダウン/リセット信号157に応答して制御回路115の起動動作が再開されると再充電される。バイパスコンデンサ133は、レギュレータ回路135を流れる電流を用いて再充電され、バイパスコンデンサ133両端の電圧が、制御回路115の正確な動作のために必要な不足電圧しきい値電圧(一例では約6V)を再び上回ると、駆動信号発生器154がパワーアップされ、駆動信号122を発生させて電力スイッチ105の切換を再開する。この時点で、駆動信号発生器154は、端子123において受信されるフィードバック信号に再び応答し、エネルギが再びエネルギ伝達要素109を流れて、コンデンサ175および118で失われたエネルギを補充する。この時間中、電力スイッチ105のスイッチング周波数は高くなるだろう。しかしながら、コンデンサ175および118のエネルギが補充された後、負荷121が依然としてエネルギを実質的に全く必要としない場合、スイッチング周波数は再びしきい値を下回ることとなり、この状態がしきい値期間よりも長く持続する場合、再びパワーダウン/リセット信号157のパワーダウンを開始させることとなり、これにより、上述のように、再び制御回路115の駆動信号発生器154が、エネルギ伝達要素109を通るエネルギの流れの調整を中止することになる。ある期間にわたってパワーダウンして休止状態になり、その後に起動および再開切換期間が続くこの動作は、負荷121のエネルギ要件が再び増大するまで継続的に繰返される。このため、電力スイッチのスイッチング周波数がしきい値よりも高く維持され、そして、制御回路115が、エネルギ伝達要素巻線108および110に対する総負荷が必要とするエネルギに従ってエネルギ伝達要素を通るエネルギの流れを継続的に調整する。」(【0022】)

L「 図4Aに示されるように、制御回路415の無調整の休止モード制御回路440の一例は、図示のとおり結合されるパワーダウン(PD(power down))検出ブロック458、イベントカウンタ498、パワーアップ(PU(power up))検出ブロック442、およびラッチ回路459を含む。電力変換器の出力においてエネルギ伝達要素に結合される1つ以上の負荷、たとえば図1、図2および図3におけるそれぞれの負荷121、221および331など、のエネルギ要件がしきい値を下回ると、内部EN信号456は、発振器452の128サイクルより長い間ローであり続けることになる。図示される例では、PD検出ブロック458は、128分割回路として機能する7ビットカウンタを含む。他の例では、PD検出ブロック458が50?250の発振器サイクル範囲にわたって分割回路としての役割を果たすよう設計され得ることが認識される。したがって、無調整の休止モード制御回路440のPD検出ブロック458の7ビットカウンタが128の発振器サイクルにわたってハイのEN信号456を受信しない場合、PD検出ブロック458は論理ハイ状態のパルス461を出力し、イベントカウンタ回路ブロック498への入力を計測し、ブロック498に内蔵されたカウンタを1ずつ増分する。次いで、駆動信号422が再びハイになって、電力変換器の出力においてエネルギ伝達要素に結合された負荷(または複数の負荷)がより多くのエネルギを必要とすることをFB端子423におけるフィードバック信号が示していることが示される場合、PD検出ブロック458がリセットされる。したがって、EN信号456がハイになり、駆動信号422が次いでハイになる。この例では、駆動信号422もイベントカウンタブロック498に結合される。一例においては、駆動信号422が128の発振器カウント以下で複数回にわたってハイになる場合、イベントカウンタ498もリセットされる。というのも、このことは、PD検出ブロック458からの論理ハイパルスを生成するのに十分なエネルギ要件の事前の如何なる減少も過渡事象であったこと、かつ、駆動信号422が128未満の発振器452のサイクルにわたってローとなる状態でゲート駆動信号が再び生成されていることを示しているからである。しかしながら、128以下の発振器452カウントでイベントカウンタブロック498が駆動信号422のパルスを1つしか受信しないのであれば、イベントカウンタはリセットされない。無調整の休止モード制御回路440のPD検出ブロック458の7ビットカウンタが、128回の発振器サイクルにわたってハイのEN信号456を受信しないのであれば、PD検出ブロック458は再び、イベントカウンタ回路ブロック498への入力として用いられるパルス461を論理ハイ状態で出力し、ブロック498に内蔵されたカウンタを別の1ずつ増分する。イベントカウンタブロック498のカウンタが、n(一例では4)までカウントする場合、ブロック498が論理ハイ信号497を出力し、ラッチ回路459をトリガして、制御回路415のほとんどの内部回路ブロックにパワーダウン/リセット信号457を送信する。図示される例では、パワーダウン/リセット信号457を受信するよう結合されたこれらのブロックは、フィードバック回路ブロック451、発振器回路ブロック452、電力スイッチ405を流れる電流を検出する過電流検出回路ブロック453、駆動信号発生器ブロック454、および7ビットカウンタ458を含む。一例では、パワーダウン/リセット信号457に応答してこれらのすべてのブロックがパワーダウンされると、コントローラ415は、電流ICC480をわずかに2?5μAしか消費しない。」(【0031】)

M「図5Aおよび図5Bは、一例では上述の図4Aにおけるバイパスコンデンサ433のバイパス電圧450に該当する例示的な電圧波形を示す。図5Bは、図5Aの波形500からの領域502の拡大図である波形501を示す。この例では、図5Aおよび図5Bに示される時間では、無調整の休止モード期間503中、バイパスコンデンサ433の値は10μF、発振器452の周波数は100kHz、電流消費(ICC480)は2μAである。また、レギュレータ回路435は、期間504中にバイパスコンデンサ433を3Vから6Vにまで再充電する際に、バイパスコンデンサ433を2mAで充電するものと仮定される。期間505は未定の値「x」ミリセカンドである。というのも、これは、たとえばコンデンサ118、218または318などの出力コンデンサ、ならびにたとえばコンデンサ175および275などの、補助エネルギ伝達要素巻線に結合される他のキャパシタンスを再充電するのにかかる期間であるからである。したがって、期間505はこれらのコンデンサの選択関数であるが、典型例では5?20ミリセカンドの範囲であり得る。期間506は、100kHzの発振器が128サイクルまでカウントするのにかかる時間であり、次いで、イベントカウンタをn倍(この例ではn=4)に増分してから、図示の例において、負荷のエネルギ要件がしきい値より低く、期間506にわたってそうであったことを再び認識し、さらに、制御回路が本発明の教示内容に従った無調整の休止モード動作期間を再開する。一例では、図4Aに関して上述したように、期間506が、連続した駆動信号422のハイ/ローのイベントが128の発振器サイクルを上回る期間で分離されている一連のn個のイベントで構成されていることが認識される。」(【0038】)

N「図8は、デューティサイクル801対Ic802電流特性の例を示しており、これは一例では、図6を参照した上述の回路構成に当てはまり得る。図8の例示的な特性が示すように、軽負荷/無負荷状態の検出は電力スイッチのスイッチング周波数を検出することに限定されない。図8の例示的な特性に示されるように、電力変換器の出力に対する負荷の低下は、ラベル804によって示されるようにIc802電流の増加によって示される。したがって、デューティサイクルが実質的にゼロにまで低下するしきい値Ic電流805の検出は、イベントカウンタまたはタイマと組合わせて、電力変換器の出力における負荷のエネルギ要件が或る期間にわたってしきい値を下回っていたことを示すものとして使用可能であり、このため、本発明の教示内容に従った無調整の休止モード動作期間を開始するのに使用され得る。他の制御体系を用いれば、軽負荷/無負荷状態を示すのに使用することができ、したがって本発明の教示内容に従った無調整の休止動作モードを開始するのに用いることができる、他の方法があることが認識される。
図9は、本発明に従った無調整の休止動作モードを電力変換器内で実現する1つの例示的な方法を説明するフローチャート900を概略的に示す。この例に示されるように、ブロック901において電力変換器を起動し、ブロック902においてエネルギを負荷に送出する。ブロック903において、負荷のエネルギ要件に関するフィードバック情報を受信し、ブロック904において、負荷のエネルギ要件が、軽負荷/無負荷状態を示し得るしきい値未満であるかどうかを判定する。しきい値未満でない場合、ブロック905においてエネルギ送出を調整し、ブロック903において再びフィードバック情報を受信する。しかしながら、ブロック904において、負荷のエネルギ要件が、軽負荷/無負荷状態を示し得るしきい値未満であると判定された場合、ブロック910において、この状態が予め定められた期間よりも長く存在していたかどうかを判断する。存在していた場合、ブロック906においてエネルギ送出の調整を中止し、ブロック907において無調整の休止モード期間を開始する。ブロック906または907のいずれにおいても、無調整の休止モード期間中のエネルギ消費を減らすために、不要な回路ブロックはパワーダウンされる。ブロック908において、無調整の休止モード期間が完了しているかどうかを判定する。完了している場合、ブロック909において電力変換器をリスタートし、その後ブロック902に戻って、エネルギを負荷に送出する。一例では、ブロック908におけるYES判定が、電力変換器の当初の起動が行われるブロック901に直接的に接続されている場合、ブロック909が省かれ得ることが認識される。しかしながら、ブロック909があれば、無調整の休止モード動作期間が完了したときに異なる起動モードが可能となり、これはたとえば、電源の通常の起動よりも低いエネルギ消費状態での起動を含み得、これによって、たとえば制御回路ブロックのすべてが稼動状態になくても軽負荷または無負荷状態の有無を確かめることができ、したがって、エネルギ消費をさらに減らすことができる。ブロック904において、負荷のエネルギ要件がしきい値未満でない場合、または、ブロック910において、しきい値未満である負荷のエネルギ要件の状態がしきい値期間よりも長く存在していなかった場合、ブロック905において、負荷へのエネルギの送出が再び調整され、ブロック903において、負荷のエネルギ要件に関する情報が受信される。」(【0044】-【0045】)
と記載されるにすぎず、負荷が無負荷又は軽負荷になったこと(実施例ではフィードバック電流を検出している)に応じて電力変換器のエネルギの流れを調整することは記載はあるが、負荷のエネルギ要件が複数あって、その複数のエネルギ要件全てに対して応答して電力変換器出力へのエネルギの流れを調整できることは記載も示唆も無い。
したがって、本件補正後の請求項1の上記記載事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
なお、請求項2、4、9、12、16、18も同様である。


II この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。


(1)この出願の発明の構成が不明である。例えば、請求項1に「AC/DCまたはDC/DCの電力変換器において使用する制御回路」との訳語があり、単なる整流器であるAC/DCの電力変換器において使用する制御回路が含まれることとなるが、図面等に示される制御回路をどの様に適用するのか何ら開示が無く不明である。請求項9、11、13-26も同様である。
更に、請求項1に「1つ以上の負荷の全エネルギ要件に応答して前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するように結合される駆動信号発生器」との訳語があるが、全エネルギ要件とはどの様なものか何ら開示が無く不明(エネルギ要件が複数あると判断できるが、どの様なものか。)であり、全エネルギ要件に対しどの様に応答してエネルギの流れを調整するのか何ら開示が無く不明(当初明細書では、負荷が無負荷又は軽負荷になったことに応じて電力変換器のエネルギの流れを調整しているだけである。)であり、又、「前記駆動信号発生器は、休止状態であれば、前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答しないように結合」との訳語があるが、1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答しないとはどの様なことか何ら開示が無く不明であり、当該日本語の意味は「複数のエネルギ要件全てが変化した場合に応答しない」意味か、「複数のエネルギ要件のいずれか1つの変化には応答しない」意味か、それ以外か特定できず不明であり、しかも当初明細書等の何処に記載があるのか不明であり、又、「前記駆動信号発生器を、前記第2の期間の経過後に前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答させる」との訳語があるが、1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答させるとはどの様なことか何ら開示が無く不明であり、当該日本語の意味がどの様な意味か特定できず不明である。請求項2、4、9、12、16、18も同様である。
更に、請求項15は、全エネルギ要件が発明の構成要件となっていないが、この場合どの様にして所望の効果を奏するのか不明(請求項15が所望の効果を奏するのであれば、全エネルギ要件を発明の構成要件とするものは何故所望の効果を奏するのか不明。)である。」


(2)最後の拒絶の理由についての判断
Iについて
請求項1には、「AC/DCまたはDC/DCの電力変換器において使用する制御回路」とあり、単なる整流器であるAC/DCの電力変換器において使用する制御回路が含まれることとなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、a?iの記載があるにすぎず、交流(AC)を一旦直流(DC)にして、当該直流(DC)を異なった値の直流(DC)に変換する電力変換器に関する記載はあっても、交流(AC)を直接直流(DC)に変換する所謂整流器の電力変換器については記載も示唆も無い。
したがって、請求項1の上記記載事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
なお、請求項9、11、13-26も同様である。

請求項1には、「1つ以上の負荷の全エネルギ要件に応答して前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整する」とあり、全エネルギ要件とあるから、負荷のエネルギ要件が複数あって、その複数のエネルギ要件全てに対して応答して電力変換器出力へのエネルギの流れを調整できることとなる。
そこで、当該補正が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものか否か検討する。
当初明細書等には、A?Nの記載があるにすぎず、負荷が無負荷又は軽負荷になったこと(実施例ではフィードバック電流を検出している)に応じて電力変換器のエネルギの流れを調整することは記載はあるが、負荷のエネルギ要件が複数あって、その複数のエネルギ要件全てに対して応答して電力変換器出力へのエネルギの流れを調整できることは記載も示唆も無い。
したがって、請求項1の上記記載事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
なお、請求項2、4、9、12、16、18も同様である。

したがって、平成28年8月15日付でした手続補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

IIについて
請求項1に「AC/DCまたはDC/DCの電力変換器において使用する制御回路」とあり、単なる整流器であるAC/DCの電力変換器において使用する制御回路が含まれることとなるが、図面等に示される制御回路をどの様に単なる整流器であるAC/DCの電力変換器に適用するのか明細書に何ら開示が無く不明である。請求項9、11、13-26も同様である。
請求項1に「1つ以上の負荷の全エネルギ要件に応答して前記電力変換器出力へのエネルギの流れを調整するように結合される駆動信号発生器」とあるが、全エネルギ要件とはどの様なものか何ら開示が無く不明(エネルギ要件が複数あると判断できるが、どの様なものか。)であり、様々なエネルギ要件があるにもかかわらず、全エネルギ要件に対しどの様に応答してエネルギの流れを調整するのか明細書に何ら開示が無く不明であり、又、「前記駆動信号発生器は、休止状態であれば、前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答しないように結合」とあるが、1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答しないとはどの様なことか何ら開示が無く不明であり、当該意味は「複数のエネルギ要件全てが変化した場合に応答しない」意味か、「複数のエネルギ要件のいずれか1つの変化には応答しない」意味か、それ以外か特定できず不明であり、しかも当初明細書等の何処に記載があるのか不明であり、又、「前記駆動信号発生器を、前記第2の期間の経過後に前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答させる」とあるが、1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答させるとはどの様なことか明細書に何ら開示が無く不明であり、駆動信号発生器のどの様な動作を意味するのか特定できず不明である。請求項2、4、9、12、16、18も同様である。

したがって、請求項1-26の記載は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えているので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、かつ、請求項1-26の記載は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、かつ、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。


(3)当審の平成28年3月1日付拒絶の理由
当審で平成28年3月1日付で通知した拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。


・・・略・・・
更に、請求項1において、「前記1つ以上の負荷のエネルギ要件は、前記制御回路によって受信されるように結合されるべきフィードバック信号に基づいて決定され」との訳語があるが、制御回路の構成ではない負荷のエネルギ要件、フィードバック信号で制御回路の構成を特定しようとしているため、構成が特定できず不明(例えば、図1の端子123は、制御回路単独では、外部からの信号を受けるだけの機能しか有さず、当該信号をフィードバック信号として利用するためには、図1のDC-DC変換器100の全体構成が必要である。)であり、また、どの様な種類のフィードバック信号であっても良いのか否か不明(音、熱でも良いのか。この場合、どの様に対処するのか。軽負荷または無負荷を示す信号しか開示がない)であり、フィードバック信号の発生源(検出対象)が特定されていないから、制御回路とは無関係の機器のフィードバック信号でも良いこととなるが、何故この様なフィードバック信号でも良いのか不明(結合されるべきか否かの判断機能は制御回路には無い)である。請求項2、9、15、16も同様である。
更に、請求項1において、「前記1つ以上の負荷のエネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器をパワー低下することにより前記駆動信号発生器を休止状態にする」との訳語があるが、負荷のエネルギ要件が5つある場合、5つ全てが第1の期間よりも長くしきい値を下回る必要があるのか、1つだけで良いのか、それ以外か、何ら開示が無く不明であり、また、負荷のエネルギ要件が、例えば電力変換器の負荷に対する今現在の更なる供給可能なエネルギを表すもの[電力変換器の残りの余裕。電力変換器の出力可能エネルギを100、変動する負荷の現在の需要が95であるときの、5(=100-95)]であれば、第1の期間よりも長くしきい値を下回ったときに駆動信号発生器を休止状態にすれば、負荷に電力を供給できないこととなり、何故この様な制御を行うのか不明である。請求項9、15、16も同様である。
・・・略・・・
更に、請求項1において、「第2の期間の経過後」との訳語があるが、図1には、コンデンサ133の電圧が6Vから3Vになったことを検出するものしか記載が無く、期間経過をどの様に判断しているのか不明(コンデンサの電圧を検出するものは請求項1の技術範囲に含まれないのか。)であり、図1のようにコンデンサの電圧を検出するものは、制御回路単独では、第2の期間の経過を判断できず、どの様に判断するのか不明(図1のコンデンサ133は制御回路には含まれない)である。請求項9、15、16も同様である。
更に、請求項1において、「前記1つ以上の負荷のエネルギ要件の変化に再び応答」との訳語があるが、応答の仕方は様々なものが考えられ、どの様に応答するのか構成を特定できず不明である。請求項9、15、16も同様である。
更に、請求項7において、「前記第2の期間は、前記制御回路内にあり、前記制御回路に結合されるべきコンデンサを検知するように構成された回路によって決定される」との訳語があるが、制御回路の構成ではないではないコンデンサで制御回路の構成を特定しようとしているため、構成が特定できず不明(例えば、図1の端子170は、制御回路単独では、どの様な回路部品に接続されるか特定できず、コンデンサが接続される端子として利用するためには、図1のDC-DC変換器100の全体構成が必要である。)である。請求項8も同様である。」


(4)平成28年3月1日付拒絶の理由についての判断
請求項1において、「前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件は、前記制御回路によって受信されるように結合されるべき電気的なフィードバック信号に基づいて決定され」とあり、請求項1の発明の保護の対象は制御回路であるが、制御回路の構成ではない負荷の全エネルギ要件、フィードバック信号で制御回路の構成を特定しようとしているため、構成が特定できず不明であり、また、どの様な種類のフィードバック信号であっても良いのか否か不明(負荷のエネルギ要件に関連する音、熱でも良いこととなるが、この場合、どの様に対処するのか。明細書には軽負荷または無負荷を示す信号しか開示がない。)であり、フィードバック信号の発生源(検出対象)が特定されていないから、制御回路とは無関係の機器のフィードバック信号でも良いこととなるが、何故この様なフィードバック信号でも良いのか不明(結合されるべきか否かの判断機能は制御回路には無い)である。請求項2、9、15、16も同様である。
請求項1において、「前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回ると、前記駆動信号発生器をパワー低下することにより前記駆動信号発生器を休止状態にする」とあるが、負荷のエネルギ要件が5つ(過負荷、重負荷、定格負荷、軽負荷、無負荷等)ある場合、5つ全てのエネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回るのか、1つのエネルギ要件だけで良いのか、それ以外か、明細書に何ら開示が無く不明であり、仮に、5つ全てのエネルギ要件が第1の期間よりも長くしきい値を下回る場合、過負荷、重負荷、定格負荷、軽負荷、無負荷等のエネルギ要件が同時に第1の期間よりも長くしきい値を下回ることは考えられず、どの様なことを意味するのか不明であり、又、また、負荷のエネルギ要件が、例えば負荷が今現在より更に必要とするエネルギを表すもの[変動する負荷の現在の需要が95であるとき更に5必要である]であれば、第1の期間よりも長くしきい値を下回ったときに駆動信号発生器を休止状態にすれば、負荷に電力を供給できないこととなり、何故この様な制御を行うのか不明である。請求項9、15、16も同様である。
請求項1において、「第2の期間の経過後」とあるが、図1には、コンデンサ133の電圧が6Vから3Vになったことを検出するものしか記載が無く、制御回路が期間経過をどの様に判断しているのか不明であり、図1のようにコンデンサの電圧を検出するものは、制御回路単独では、第2の期間の経過を判断できず、どの様に判断するのか不明(図1のコンデンサ133は制御回路には含まれない)である。請求項9、15、16も同様である。
請求項1において、「前記1つ以上の負荷の全エネルギ要件の変化に応答させる」とあるが、応答の仕方は様々なものが考えられ、どの様に応答するのか構成を特定できず不明である。請求項9、15、16も同様である。
請求項8において、「前記制御回路に結合されるべきコンデンサは、前記制御回路用の外部バイパスコンデンサを含む」とあるが、制御回路の構成ではないコンデンサで制御回路の構成を特定しようとしているため、構成が特定できず不明である。

したがって、請求項1-26の記載は発明の詳細な説明に記載した範囲を超えているので、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、かつ、請求項1-26の記載は明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、かつ、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。


(5)むすび
したがって、平成28年8月15日付でした手続補正は特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず、請求項1-26の記載は特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、かつ、発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-03-31 
結審通知日 2017-04-04 
審決日 2017-04-27 
出願番号 特願2010-22902(P2010-22902)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (H02M)
P 1 8・ 536- WZ (H02M)
P 1 8・ 121- WZ (H02M)
P 1 8・ 537- WZ (H02M)
P 1 8・ 55- WZ (H02M)
P 1 8・ 572- WZ (H02M)
P 1 8・ 536- WZ (H02M)
P 1 8・ 575- WZ (H02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中里 翔平永田 和彦  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 矢島 伸一
堀川 一郎
発明の名称 制御回路、電力変換器の出力を制御するための方法、および電力変換器  
代理人 堀井 豊  
代理人 荒川 伸夫  
代理人 佐々木 眞人  
代理人 仲村 義平  
代理人 深見 久郎  

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