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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1332780
審判番号 不服2017-771  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-19 
確定日 2017-09-21 
事件の表示 特願2015- 90156「遊技用装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月27日出願公開、特開2015-155000〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年7月1日に出願した特願2009-156824号の一部を平成25年9月6日に新たな特許出願とした特願2013-184887号の一部を平成27年4月27日に新たな特許出願としたものであって、平成28年3月4日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し同年4月28日付けで手続補正がなされたが、同年10月14日付け(発送日:10月25日)で拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年1月19日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、平成28年4月28日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、補正箇所を示す。)。

(補正前:平成28年4月28日付け手続補正)

「【請求項1】
遊技媒体の計数結果に関する情報を記憶する特定遊技用装置に対応して設けられた遊技用装置であって、
遊技媒体を導入する導入開口部と、
前記導入開口部に導入された遊技媒体を検出する検出手段と、
前記検出手段が遊技媒体を一定期間検出しなかったことに基づいて、前記検出手段の検出結果に基づいて得られる遊技媒体の計数結果を、前記特定遊技用装置に送信する送信手段と、
前記検出手段による前記遊技媒体の検出動作を停止させるための操作手段と、を備え、
前記操作手段が操作された場合に前記送信手段から前記計数結果が送信され、
前記検出手段が遊技媒体を前記一定期間検出しなかった場合に前記送信手段から前記計数結果が送信される
ことを特徴とする遊技用装置。」

(補正後:本件補正である平成29年1月19日付け手続補正)

「【請求項1】
遊技媒体の計数結果に関する情報を記憶する特定遊技用装置に対応して設けられた遊技用装置であって、
遊技媒体を導入する導入開口部と、
前記導入開口部に導入された遊技媒体を検出する検出手段と、
前記検出手段が遊技媒体を一定期間検出しなかったことに基づいて、前記検出手段の検出結果に基づいて得られる遊技媒体の計数結果を、前記特定遊技用装置に送信する送信手段と、
前記導入開口部から導入された前記遊技媒体の計数処理を開始及び停止させるための機能を有する操作手段と、を備え、
前記操作手段の計数処理の開始操作が行われ、当該計数処理が行われているときに計数処理の停止操作が行われた場合に、前記送信手段から前記計数結果が送信され、
前記検出手段が遊技媒体を前記一定期間検出しなかった場合に前記送信手段から前記計数結果が送信される
ことを特徴とする遊技用装置。」

2.補正の適否
(1)補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「操作手段」について、補正前の「前記検出手段による前記遊技媒体の検出動作を停止させるための操作手段」から、補正後の「前記導入開口部から導入された前記遊技媒体の計数処理を開始及び停止させるための機能を有する操作手段」と特定することにより、「操作手段」の機能を限定するものである。

(2)補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された「前記操作手段が操作された場合に前記送信手段から前記計数結果が送信され」ることから、補正後の請求項1に記載された「前記操作手段の計数処理の開始操作が行われ、当該計数処理が行われているときに計数処理の停止操作が行われた場合に、前記送信手段から前記計数結果が送信され」ることと特定することにより、「前記計数結果が送信され」る場合を限定するものである。

補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の特許請求の範囲に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、明細書の段落【0153】、【0186】等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示した次に特定されるとおりのものである(A?Gについては、本願補正発明を分説するため当審で付与した。)。

「A 遊技媒体の計数結果に関する情報を記憶する特定遊技用装置に対応して設けられた遊技用装置であって、

B 遊技媒体を導入する導入開口部と、

C 前記導入開口部に導入された遊技媒体を検出する検出手段と、

D 前記検出手段が遊技媒体を一定期間検出しなかったことに基づいて、前記検出手段の検出結果に基づいて得られる遊技媒体の計数結果を、前記特定遊技用装置に送信する送信手段と、

E 前記導入開口部から導入された前記遊技媒体の計数処理を開始及び停止させるための機能を有する操作手段と、を備え、

F 前記操作手段の計数処理の開始操作が行われ、当該計数処理が行われているときに計数処理の停止操作が行われた場合に、前記送信手段から前記計数結果が送信され、

G 前記検出手段が遊技媒体を前記一定期間検出しなかった場合に前記送信手段から前記計数結果が送信されることを特徴とする遊技用装置。」

(2)先願明細書に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日(出願遡及日:平成21年7月1日)前の他の特許出願であって、本願の出願後に出願公開された特願2008-140860号(特開2009-285141号)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技システム全体の構成を示す概略図である。遊技機1に対応して貸出装置2、台毎計数装置(遊技機装置に相当)3が設置されていると共に、2台の遊技機1、貸出装置2、台毎計数装置3に対応して中継装置4が設置されている。事務所には管理装置5が設置されている。中継装置4は、遊技機1、貸出装置2、台毎計数装置3と接続されていると共に、LANを介して管理装置5と接続されている。管理装置5は、中継装置4を介して貸出装置2、台毎計数装置3と情報の送受信を可能とし、貸出装置2等の各種設定等を可能とする。」

(イ)「【0018】
図1において、貸出装置2には、状態表示ランプ12、貨幣受入口13、カードリーダライタ14が設けられている。貨幣受入口13により複数金種の紙幣(貨幣)の受付が可能で、貨幣を受け付けた場合には、入金額、残高を加算し貸出処理を行う。
台毎計数装置3には、状態表示ランプ15、情報表示部16、払出部17、終了釦18、計数部19が設けられている。計数部19には案内腕20が回動可能に支持されており、その案内腕20の先端に玉受下皿11の下方に位置する可動玉受皿21が設けられている。遊技者が遊技にて獲得した玉を、玉受下皿11から可動玉受皿21へと導いた場合には、計数部19てその玉数が計数される。情報表示部16により各種遊技情報が表示可能となっている。」

(ウ)「【0022】
貸出装置2、及び台毎計数装置3は、本発明に関連した記憶領域をそれぞれ備えている。
図4は貸出装置2の記憶領域を示している。記憶領域には、「入金額」、「貸出額」、「残高」、「計数値」、「再遊技玉」、「持玉」、「残払出数」の各項目が設定されており、それらの項目の意味は次の通りである。
入金額:受け付けた貨幣、及び受け付けた計数カードの残高情報により特定される残高の合計値。尚、両者を別々に記憶しても良い。
貸出額:貸出玉に対する対価(1玉4円)の合計値。
残高:入金額-貸出額で、この残高がある状態で貸出操作があった場合に遊技者へと貸出玉を貸し出す。尚、計数カードの発行時にはこの残高を特定可能な残高情報が計数カードに記憶される。
計数値:台毎計数装置3から受信した計数信号により特定される計数値、及び受け付けた計数カードの持玉情報により特定される持玉の合計値。尚、両者を別々に記憶しても良い。
再遊技玉:計数値の内、再遊技処理により遊技者へと払い戻した再遊技玉数の合計値。
持玉:計数値-再遊技玉で、この持玉がある状態で再遊技操作があった場合に遊技者へと再遊技玉を払い戻す。尚、計数カードの発行時にはこの持玉を特定可能な持玉情報を計数カードに記憶する。
残払出数:貸出要求信号の受信に応じて持玉または残高が遊技機1の払出単位(25玉)の5倍以上の対価分あれば「5」として特定(加算)され、なければ対応分だけが特定される値で、払出完了信号の受信に応じて減算される。尚、1回が払出玉25玉に対応し、残高よりも持玉を優先して対価対象とする。」

(エ)「【0023】
図5は、台毎計数装置3の記憶領域を示している。記憶領域には、「払出単位」、「計数玉」、「計数値」、「余り玉」の各項目が設定されており、それらの項目の意味は次の通りである。
【0024】
払出単位:管理装置5にて設定される設定値で、遊技機1の貸出払出単位を示す。
計数玉:計数部19にて計数した計数玉数で、情報表示部16における表示対象。
計数値:計数終了(計数タイマタイムアップ)時に演算される値であり、計数玉を払出単位で割った商。尚、計数信号による特定される値となる。
余り玉:計数終了時に演算される値で、計数玉を払出単位で割った余り。」

(オ)「【0032】
遊技者が遊技にて獲得した玉を計数する場合は、獲得玉を可動玉受皿21へ導く。可動玉受皿21に導かれた玉は、台毎計数装置3の計数部19で計数される。
図8は、台毎計数装置3の本発明に関連した処理を示すフローチャートである。台毎計数装置3は、計数部19にて計数が有ったかを判断しており(C1)、計数が有ったときは(C1:YES)、図5の記憶領域における計数玉を加算(計数処理)してから(C2)、計数玉タイマ(1秒)をスタートし(C3)、計数が有るか(C4)、計数タイマがタイムアップ(計数終了条件が成立)したか(C5)、終了釦18が押下げられたか(C6)を判断する。
【0033】
台毎計数装置3は、計数が有る毎に、上述した計数処理を繰り返す。計数処理が終了してタイマがタイムアップしたときは(C5:YES)、終了フラグが「0」であることを確認してから(C8:YES)、図5の記憶領域における払出単位(=25玉)と計数玉に基づき計数値と余り玉とを特定し(特定処理を行い)、計数値と余り玉とにそれぞれ記憶する(C9)。
図5(b)に示す例では、計数玉が1515玉の場合を示しており、計数玉に1515玉、計数値に1500玉、余り玉に15玉が記憶される。尚、計数玉は情報表示部16にて表示する。
【0034】
ここで、余り玉が有ることから(C10:YES)、余り玉を払い出し(C11)、余り玉、計数玉を減算してから(C12)、余り玉が「0」となったか(C13)、計数が有ったか(C14)を判断するようになる。
上述の余り玉払出中に計数があった場合は(C14:YES)、余り玉の払出を中断し、計数値、余り玉を初期化(計数玉はそのまま)してから(C17)、ステップC2へ移行することにより上述した計数処理を再開する。
計数がないまま、余り玉の払出が終了したときは(C13:YES)、計数値を特定可能な計数信号を貸出装置2へ送信してから(C15)、図5の記憶領域(フラグ情報も含む)を初期化する(C16)。」

(カ)「【0052】
貸出釦8押下時に貸出処理よりも再遊技処理を優先したが、遊技終了時に残高を清算する手間を省くために残高を使いきろうとする遊技者のニーズに応えるために、解除釦を別途設け、解除釦操作があった場合は残高に基づいて貸出処理を行っても良い。勿論、貸出処理と再遊技処理を、別々の釦により操作する構成としても良い。
可動玉受皿から計数部までにシャッタを設け、そのシャッタの(閉鎖)操作に応じて計数終了を判定しても良い。勿論、別途計数終了釦を設け、その釦操作に応じて計数終了を判定しても良い。」

上記(ア)?(カ)の記載事項から、以下の事項が導かれる。

(a)上記(ア)【0016】には、遊技機1に対応して貸出装置2、台毎計数装置3が設置されていることが、上記(イ)【0018】には、台毎計数装置3には、計数部19が設けられていることが、上記(ウ)【0022】には、貸出装置2は、記憶領域を備えており、台毎計数装置3から受信した計数信号により特定される計数値を記憶することが、上記(エ)【0023】、【0024】には、計数玉は、計数部19にて計数した計数玉数であること、及び、計数値は、計数終了時に計数玉から演算される値であることが、それぞれ、記載されている。
そうすると、先願明細書には、計数部19で計数した玉数から演算される計数値を記憶する貸出装置2とともに遊技機1に対応して設置された台毎計数装置3が記載されているといえる。

(b)上記(イ)【0018】には、遊技者が遊技にて獲得した玉を、玉受下皿11から可動玉受皿21へと導くことが記載されている。
そうすると、先願明細書には、玉が導かれる可動玉受皿21が記載されているといえる。

(c)上記(オ)【0032】には、可動玉受皿21に導かれた玉は、計数部19で計数されること、及び、台毎計数装置3は、計数部19にて計数が有ったかを判断していることが記載されている。
そうすると、先願明細書には、台毎計数装置3は、可動玉受皿21に導かれた玉を計数する計数部19で計数が有ったかを判断する手段を備えていることが記載されているといえる。

(d)上記(エ)【0024】には、計数玉は、計数部19にて計数した計数玉数であることが、上記(オ)【0032】?【0034】には、計数タイマがタイムアップすると計数終了条件が成立すること、台毎計数装置3は、計数が有る毎に計数処理を繰り返すこと、計数処理が終了してタイマがタイムアップしたときは、計数玉に基づき計数値を特定すること、及び、計数値を特定可能な計数信号を貸出装置2へ送信することが、それぞれ、記載されている。
そうすると、先願明細書には、台毎計数装置3は、計数が有る毎に繰り返した計数処理が終了してタイマがタイムアップしたときは、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段を備えていることが記載されているといえる。

(e)上記(イ)【0018】には、遊技者が遊技にて獲得した玉を、玉受下皿11から可動玉受皿21へと導いた場合には、計数部19てその玉数が計数されることが、上記(カ)【0052】には、別途計数終了釦を設け、その釦操作に応じて計数終了を判定しても良いことが、それぞれ、記載されている。ここで、上記(イ)【0018】には、「計数部19てその玉数が計数される。」とあるが、上記(オ)【0032】の「・・・玉は、台毎計数装置3の計数部19で計数される。」の記載を参酌すると、「計数部19でその玉数が計数される。」の誤記と認められる。
そうすると、先願明細書には、可動玉受皿21へ導かれた玉の計数部19での計数を、その釦操作に応じて計数終了を判定する計数終了釦を別途設けることが記載されているといえる。

(f)上記(d)、(e)より、先願明細書には、遊技者が遊技にて獲得した玉を、可動玉受皿21へと導いた場合には、計数部19でその玉数が計数され、計数終了釦の釦操作に応じて計数終了を判定すると、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段から送信することが記載されているといえる。

(g)上記(d)より、先願明細書には、台毎計数装置3は、計数が有る毎に繰り返した計数処理が終了してタイマがタイムアップしたときは、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段から送信することが記載されているといえる。

以上、上記(ア)?(カ)の記載事項及び上記(a)?(g)の認定事項を総合すれば、先願明細書には、以下の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている(a?gは発明の構成を分説するため当審で付与した。)。

「a 計数部19で計数した玉数から演算される計数値を記憶する貸出装置2とともに遊技機1に対応して設置された台毎計数装置3であって、

b 玉が導かれる可動玉受皿21と、

c 可動玉受皿21に導かれた玉を計数する計数部19で計数が有ったかを判断する手段と、

d 計数が有る毎に繰り返した計数処理が終了してタイマがタイムアップしたときは、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段と、を備え、

e 可動玉受皿21へ導かれた玉の計数部19での計数を、その釦操作に応じて計数終了を判定する計数終了釦を別途設け、

f 遊技者が遊技にて獲得した玉を、可動玉受皿21へと導いた場合には、計数部19でその玉数が計数され、計数終了釦の釦操作に応じて計数終了を判定すると、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段から送信し、

g 計数が有る毎に繰り返した計数処理が終了してタイマがタイムアップしたときは、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を送信する手段から送信する台毎計数装置3。」

(3)対比
本願補正発明と先願発明とを対比する。なお、見出しは(a)?(g)とし、本願補正発明、先願発明の分説に対応させている。

(a)先願発明の「計数部19で計数した玉数」は、本願補正発明の「遊技媒体の計数結果」に相当するから、先願発明の「計数部19で計数した玉数から演算される計数値」は、本願補正発明の「遊技媒体の計数結果に関する情報」に相当するといえる。
また、先願発明の「貸出装置2」と「台毎計数装置3」は、それぞれが「遊技機1」に対応して設置されたものであるから、「貸出装置2」に対応して設けられた「台毎計数装置3」ということができる。
そして、先願発明の「貸出装置2」及び「台毎計数装置3」は、それぞれ、本願補正発明の「特定遊技用装置」及び「遊技用装置」に相当する。
したがって、先願発明の「計数部19で計数した玉数から演算される計数値を記憶する貸出装置2とともに遊技機1に対応して設置された台毎計数装置3」は、本願補正発明の「遊技媒体の計数結果に関する情報を記憶する特定遊技用装置に対応して設けられた遊技用装置」に相当する。

(b)先願発明の「玉」は、本願補正発明の「遊技媒体」に相当する。
また、先願発明は、「可動玉受皿21」に「玉が導かれる」ものであるから、先願発明の「可動玉受皿21」は、本願補正発明の「導入開口部」としての機能を有する。
したがって、先願発明の「玉が導かれる可動玉受皿21」は、本願補正発明の「遊技媒体を導入する導入開口部」としての機能を有する。

(c)上記(b)より、先願発明の「可動玉受皿21に導かれた玉」は、本願補正発明の「前記導入開口部に導入された遊技媒体」に相当する。
そして、「玉を計数する計数部19で計数が有ったかを判断する」ためには、「玉」を検出するための何らかの手段が必要であることは技術常識であるから、先願発明の「玉を計数する計数部19で計数が有ったかを判断する手段」は、当然、本願補正発明の「遊技媒体を検出する検出手段」に含まれる。
したがって、先願発明の「可動玉受皿21に導かれた玉を計数する計数部19で計数が有ったかを判断する手段」は、本願補正発明の「前記導入開口部に導入された遊技媒体を検出する検出手段」に相当する。

(d)上記(c)での検討を踏まえれば、先願発明の「計数が有る毎に繰り返した計数処理」は、遊技媒体が検出手段により検出されている期間に繰り返されるものであるから、先願発明の「計数が有る毎に繰り返した計数処理が終了」することは、本願補正発明の「前記検出手段が遊技媒体を」「検出」しなくなることに相当する。
そして、「タイマがタイムアップ」することは、「一定期間」経過することといえるから、先願発明の「計数が有る毎に繰り返した計数処理が終了してタイマがタイムアップしたとき」は、本願補正発明の「前記検出手段が遊技媒体を一定期間検出しなかったこと」に相当するといえる。
また、先願発明の「計数玉」は、本願補正発明の「前記検出手段の検出結果」に相当するから、先願発明の「計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号」は、本願補正発明の「前記検出手段の検出結果に基づいて得られる遊技媒体の計数結果」に相当するといえる。
上記(a)より、先願発明の「貸出装置2」は、本願補正発明の「特定遊技用装置」に相当する。
したがって、先願発明の「計数が有る毎に繰り返した計数処理が終了してタイマがタイムアップしたときは、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段」は、本願補正発明の「前記検出手段が遊技媒体を一定期間検出しなかったことに基づいて、前記検出手段の検出結果に基づいて得られる遊技媒体の計数結果を、前記特定遊技用装置に送信する送信手段」に相当するといえる。

(e)先願発明の「可動玉受皿21へ導かれた玉の計数部19での計数」は、本願補正発明の「前記導入開口部から導入された前記遊技媒体の計数処理」に相当する。
そして、先願発明の「釦操作に応じて計数終了を判定する計数終了釦を別途設け」ることは、本願補正発明と「計数処理を」「停止させるための機能を有する操作手段」を備える点で共通する。
したがって、先願発明の「可動玉受皿21へ導かれた玉の計数部19での計数を、その釦操作に応じて計数終了を判定する計数終了釦を別途設け」ることは、本願補正発明と「前記導入開口部から導入された前記遊技媒体の計数処理を」「停止させるための機能を有する操作手段と、を備え」る点で共通する。

(f)先願発明の「遊技者が遊技にて獲得した玉を、可動玉受皿21へと導いた場合には、計数部19でその玉数が計数され」ることは、本願補正発明と「計数処理の開始操作が行われ」る点で共通する。
そして、「計数終了釦」を「操作」するのは、計数処理が行われているときに計数処理を終了させるためであるから、先願発明の「計数終了釦の釦操作に応じて計数終了を判定する」ときは、本願補正発明の「当該計数処理が行われているときに」「操作手段の」計数処理の停止操作が行われた場合」に相当する。
また、上記(d)より、先願発明の「計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段から送信」することは、本願補正発明の「前記送信手段から前記計数結果が送信され」ることに相当する。
したがって、先願発明の「遊技者が遊技にて獲得した玉を、可動玉受皿21へと導いた場合には、計数部19でその玉数が計数され、計数終了釦の釦操作に応じて計数終了を判定すると、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段から送信」することは、本願補正発明と「計数処理の開始操作が行われ、当該計数処理が行われているときに」「操作手段の」「計数処理の停止操作が行われた場合に、前記送信手段から前記計数結果が送信され」る点で共通する。

(g)上記(d)より、先願発明の「計数が有る毎に繰り返した計数処理が終了してタイマがタイムアップしたとき」は、本願補正発明の「前記検出手段が遊技媒体を一定期間検出しなかった」ときに相当し、先願発明の「計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号」は、本願補正発明の「前記計数結果」に相当するといえる。
そして、上記(a)より、先願発明の「台毎計数装置3」は、本願補正発明の「遊技用装置」に相当する。
したがって、先願発明の「計数が有る毎に繰り返した計数処理が終了してタイマがタイムアップしたときは、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を送信する手段から送信する台毎計数装置3」は、本願補正発明の「前記検出手段が遊技媒体を前記一定期間検出しなかった場合に前記送信手段から前記計数結果が送信される」「遊技用装置」に相当するといえる。

上記(a)?(g)の対比により、本願補正発明と先願発明とは、

「A 遊技媒体の計数結果に関する情報を記憶する特定遊技用装置に対応して設けられた遊技用装置であって、

B 遊技媒体を導入する導入開口部と、

C 前記導入開口部に導入された遊技媒体を検出する検出手段と、

D 前記検出手段が遊技媒体を一定期間検出しなかったことに基づいて、前記検出手段の検出結果に基づいて得られる遊技媒体の計数結果を、前記特定遊技用装置に送信する送信手段と、を備え、

E’ 前記導入開口部から導入された前記遊技媒体の計数処理を停止させるための機能を有する操作手段と、を備え

F’ 計数処理の開始操作が行われ、当該計数処理が行われているときに、操作手段の計数処理の停止操作が行われた場合に、前記送信手段から前記計数結果が送信され、

G 前記検出手段が遊技媒体を前記一定期間検出しなかった場合に前記送信手段から前記計数結果が送信される遊技用装置。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
操作手段が、本願補正発明では、遊技媒体の計数処理を開始及び停止させるための機能を有するのに対し、先願発明では、遊技媒体の計数処理を停止させるための機能は有するものの開始させるための機能を有するか明らかでない点。

[相違点2]
本願補正発明では、操作手段の計数処理の開始操作が行われているのに対し、先願発明では、このような特定はされていない点。

(4)判断
上記[相違点1]及び[相違点2]は関連するのでまとめて検討する。
上記(3)(f)でも述べたように、先願発明も「玉を、可動玉受皿21へと導いた場合には、計数部19でその玉数が計数され」ることから、何らかの計数処理の開始操作が行われるものである。
また、遊技用装置の技術分野において、遊技媒体の計数処理を行う装置に、遊技媒体の計数処理を開始及び停止させるための機能を有する操作手段を備え、計数処理の開始操作、及び停止操作を操作手段にて行うことは、本願の出願遡及日前に周知技術である(必要があれば、特開平10-85442号公報(【0028】、【0032】等。)、実願平3-15056号(実開平5-24086号)のCD-ROM(【0016】、図7等。)、特開2003-102933号公報(【0116】等。)等参照のこと。)。
そして、先願発明も、計数処理の開始及び停止を遊技者による操作により任意のタイミングで行うことができるものであるから、先願発明に、上記周知技術を適用して、遊技媒体の計数処理を開始及び停止させるための機能を有する操作手段を備え、計数処理の停止操作に加え、計数処理の開始操作も操作手段にて行うことで、当該相違点1、2に係る構成とすることは、課題解決のための具体化手段における微差にすぎず、また、それによって新たな効果を奏するものではない。
したがって、本願補正発明と先願発明は実質的に同一である。

(5)審判請求人の主張について
審判請求書において、請求人は、本願補正発明の作用効果として下記のように主張している(4頁10?24行)。
a.「計数処理の開始と停止の機能を有する操作手段を用いれば、任意に計数の開始と停止を行うことが出来るため、例えば、導入開口部から導入された遊技媒体が上手く流れず、検出手段が検出し難い状況であっても、遊技媒体が上手く流れたときに計数処理の開始を行うことが出来るため、無駄に計数処理が実行されることがない。
一方で、計数開始操作によって開始された計数処理は、任意のタイミングで遊技媒体の計数処理を停止させてそれまでに計数された計数結果を送信させることができるため、遊技媒体が計数されたタイミングで計数を停止させることで無駄な計数処理を継続することがない。
このような無駄を省くことで、営業時間に限りのある遊技場において遊技者の遊技時間を低減させるような不利益を生じさない。」
b.「また、操作手段が操作されなかった場合には、全ての遊技媒体を計数終了した後に、検出手段が遊技媒体を一定期間検出しなかったことに基づいて、計数結果を送信させることができるため、遊技者が席を離れている間に計数を終了することも可能である。」
これらの主張について検討すると、上記a.については、上記(4)で検討したとおり、先願発明も、計数処理の開始及び停止を遊技者による操作により任意のタイミングで行うことができるものであり、新たな作用効果とはいえない。また上記b.については、上記(3)(g)等で検討したとおり、先願発明の構成gにより同様の作用効果が奏されるものである。
よって、請求人の主張は採用できない。

(6)小括
よって、本願補正発明は先願発明と実質的に同一であり、特許法第29条の2の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明

1.請求項1に係る発明
本願補正発明は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年4月28日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で補正前として記載されたとおりのものである(A?Gについては、本願発明を分説するため当審で付与した。A?D、Gについては、上記第2の3.(1)で本願補正発明として記載されたものと共通するので同一の符号を付与し、E1、F1については、E、Fとの共通構成を考慮して付与した。)。

「A 遊技媒体の計数結果に関する情報を記憶する特定遊技用装置に対応して設けられた遊技用装置であって、

B 遊技媒体を導入する導入開口部と、

C 前記導入開口部に導入された遊技媒体を検出する検出手段と、

D 前記検出手段が遊技媒体を一定期間検出しなかったことに基づいて、前記検出手段の検出結果に基づいて得られる遊技媒体の計数結果を、前記特定遊技用装置に送信する送信手段と、

E1 前記検出手段による前記遊技媒体の検出動作を停止させるための操作手段と、を備え、

F1 前記操作手段が操作された場合に前記送信手段から前記計数結果が送信され、

G 前記検出手段が遊技媒体を前記一定期間検出しなかった場合に前記送信手段から前記計数結果が送信されることを特徴とする遊技用装置。」

2.先願明細書に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された先願明細書の記載事項は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。
上記の記載事項から以下の事項が導かれる。

(a?d)上記第2の3.(2)(a?d)に記載したとおりである。

(e1)上記第2の3.(2)(イ)【0018】には、遊技者が遊技にて獲得した玉を、玉受下皿11から可動玉受皿21へと導いた場合には、計数部19てその玉数が計数されることが、上記第2の3.(2)(カ)【0052】には、別途計数終了釦を設け、その釦操作に応じて計数終了を判定しても良いことが、それぞれ、記載されている。ここで、上記第2の3.(2)(イ)【0018】には、「計数部19てその玉数が計数される。」とあるが、上記第2の3.(2)(オ)【0032】の「・・・玉は、台毎計数装置3の計数部19で計数される。」の記載を参酌すると、「計数部19でその玉数が計数される。」の誤記と認められる。
そうすると、先願明細書には、その釦操作に応じて、計数部19での玉数の計数終了を判定する計数終了釦が記載されているといえる。

(f1)上記第2の3.(2)及び上記(e1)より、先願明細書には、計数終了釦の釦操作に応じて計数終了を判定すると、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段から送信することが記載されているといえる。

(g)上記第2の3.(2)(g)に記載したとおりである。

以上、上記第2の3.(2)に記載した記載事項及び上記(a)?(g)の認定事項を総合すれば、先願明細書には、以下の発明(以下、「先願発明1」という。)が記載されている(a?gは発明の構成を分説するため当審で付与した。a?d、gについては、上記第2の3.(2)で先願発明として記載されたものと共通するので同一の符号を付与し、e1、f1については、e、fとの共通構成を考慮して付与した。)。

「a 計数部19で計数した玉数から演算される計数値を記憶する貸出装置2とともに遊技機1に対応して設置された台毎計数装置3であって、

b 玉が導かれる可動玉受皿21と、

c 可動玉受皿21に導かれた玉を計数する計数部19で計数が有ったかを判断する手段と、

d 計数が有る毎に繰り返した計数処理が終了してタイマがタイムアップしたときは、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段と、

e1 その釦操作に応じて、計数部19での玉数の計数終了を判定する計数終了釦と、を備え、

f1 計数終了釦の釦操作に応じて計数終了を判定すると、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段から送信し、

g 計数が有る毎に繰り返した計数処理が終了してタイマがタイムアップしたときは、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を送信する手段から送信する台毎計数装置3。」

3.対比
本願発明と先願発明1を対比する。なお、見出しは(a)?(g)とし、本願発明、先願発明1の分説に対応させている。

(a?d)上記第2の3.(3)(a?d)に記載したとおりである。

(e1)上記第2の3.(3)(c)でも述べたように、「計数部19で」「玉数の計数」をするためには、「玉」を検出するための何らかの手段が必要であることは技術常識であるから、先願発明1の「計数部19で」「玉数の計数」をするということは、本願発明の「前記検出手段による前記遊技媒体の検出動作」をすることに相当するといえる。
そうすると、先願発明1の「その釦操作に応じて」「計数終了を判定する」ことは、本願発明の「検出動作を停止させる」ことに相当するから、先願発明1の「計数終了釦」は、本願発明の「操作手段」に相当する。
したがって、先願発明1の「その釦操作に応じて、計数部19での玉数の計数終了を判定する計数終了釦」は、本願発明の「前記検出手段による前記遊技媒体の検出動作を停止させるための操作手段」に相当するといえる。

(f1)先願発明1の「計数終了釦の釦操作に応じて計数終了を判定する」ときは、本願発明の「前記操作手段が操作された場合」に相当する。
そして、上記第2の3.(3)(d)より、先願発明1の「計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段から送信」することは、本願発明の「前記送信手段から前記計数結果が送信され」ることに相当する。
したがって、先願発明1の「計数終了釦の釦操作に応じて計数終了を判定すると、計数玉に基づいて特定された計数値を特定可能な計数信号を、貸出装置2へ送信する手段から送信」することは、本願発明の「前記操作手段が操作された場合に前記送信手段から前記計数結果が送信され」ることに相当する。

(g)上記第2の3.(3)(g)に記載したとおりである。

上記(a)?(g)の対比により、本願発明と先願発明1とは、

「A 遊技媒体の計数結果に関する情報を記憶する特定遊技用装置に対応して設けられた遊技用装置であって、

B 遊技媒体を導入する導入開口部と、

C 前記導入開口部に導入された遊技媒体を検出する検出手段と、

D 前記検出手段が遊技媒体を一定期間検出しなかったことに基づいて、前記検出手段の検出結果に基づいて得られる遊技媒体の計数結果を、前記特定遊技用装置に送信する送信手段と、

E1 前記検出手段による前記遊技媒体の検出動作を停止させるための操作手段と、を備え、

F1 前記操作手段が操作された場合に前記送信手段から前記計数結果が送信され、

G 前記検出手段が遊技媒体を前記一定期間検出しなかった場合に前記送信手段から前記計数結果が送信される遊技用装置。」

である点で一致しており、相違点はない。

4.判断
したがって、本願発明は先願発明1と実質的に同一である。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条の2の規定に基づいて特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項である請求項2、3について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-13 
結審通知日 2017-07-18 
審決日 2017-07-31 
出願番号 特願2015-90156(P2015-90156)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 161- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 貴理  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 蔵野 いづみ
長井 真一
発明の名称 遊技用装置  
代理人 特許業務法人タス・マイスター国際特許事務所  
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