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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  H02G
審判 全部無効 2項進歩性  H02G
管理番号 1332817
審判番号 無効2015-800209  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2015-11-12 
確定日 2017-10-12 
事件の表示 上記当事者間の特許第5681264号発明「配線ボックス」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件の手続の経緯は以下のとおりである。
平成16年 6月16日 特願2004-178828号(以下「第1
出願」という。優先権主張平成15年7月1
1日)の出願
平成20年 6月30日 第1出願の一部を新たな特許出願とした特願
2008-170268号(以下「第2出願
」という。)の出願
平成22年 4月23日 第2出願の一部を新たな特許出願とした特願
2010-99903号(以下「第3出願」
という。)の出願
平成24年 4月 9日 第3出願の一部を新たな特許出願とした特願
2012-88589号(以下「第4出願」
という。)の出願
平成25年11月 5日 第4出願の一部を新たな特許出願とした特願
2013-229458号(以下「本件出願
」という。)の出願
平成27年 1月16日 本件特許の設定登録(特許第5681264
号)
平成27年11月12日 本件無効審判請求
平成28年 2月 2日 審判事件答弁書の提出
平成28年 4月20日 審理事項通知
平成28年 5月18日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
平成28年 5月18日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
平成28年 5月31日 口頭審理陳述要領書(2)の提出(請求人)
平成28年 5月31日 口頭審理
平成28年 6月 7日 証拠提出書の提出(請求人)


第2 本件特許発明
本件特許第5681264号の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「底壁と、その底壁から立設された側壁とより一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体を備え、同ボックス本体の左側壁及び右側壁の少なくとも一方には、建物内の構造物にボックス本体を固定するための固定ビスを挿通可能な固定部が設けられているとともに、ボックス本体の上側壁及び下側壁には、合成樹脂製の可撓性を有する電線管を接続するための接続孔が形成され、
前記固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上端部及び下端部には、ボックス本体の側方に開口するとともに、前記接続孔に連通する挿入開口がそれぞれ形成されることにより、上下両挿入開口は互いに連通することなく離れて形成され、当該挿入開口に挿入された電線管を、前記固定ビスにより固定部が構造物に押し付けられた方向に沿って移動させることにより、当該電線管を接続孔に挿入可能に形成し、
前記固定部が形成された側壁には、外方へ突出して建物内の構造物に当接する当接座部が形成され、該当接座部が形成された側壁に相対向する側壁の前記挿入開口に連通する前記接続孔は、電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続することを特徴とする配線ボックス。」


第3 当事者の主張及び証拠方法
1 請求人
(1)無効理由
A 無効理由1
本件特許は、特願2012-88589号を原出願とする分割出願に係る特許であるところ、本件分割は不適法な分割であるから、その出願日は遡及せず、現実の出願日である平成25年11月5日となる。
この結果、本件特許発明は、原出願(特願2012-88589号)の公開公報に記載された発明と同一であるから、新規性欠如の無効理由を有する(特許法29条1項3号、同法123条1項2号)。

B 無効理由2
本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明又は配ボックスSM36Aに具現化された公然実施発明、並びに、甲第5号証及び甲第6号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、進歩性欠如の無効理由を有する(特許法第29条第2項、同法123条1項2号)。

(2)証拠方法
請求人は、証拠方法として、審判請求書とともに以下の甲第1号証ないし甲第12号証を、平成28年6月7日提出の証拠提出書とともに甲第12号証の2を提出した。
そのうち、甲第1号証ないし甲第11号証は、写しを原本として提出したものである。
また、甲第12号証は押印のないものを提出していたところ、平成28年6月7日に提出した証拠提出書において、押印のある原本を甲第12号証の2として提出したものである。

甲第1号証 特許第5681264号公報(本件特許公報)
甲第2号証 「2003-2004 電設資材総合カタログ」の抜粋
(表紙、P47?49、奥付)
甲第3号証 「カタログの印刷の発注と納品の証明願」
(株式会社ケーエスアイ)
甲第4号証の1 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(東芝電材マーケティング株式会社)
甲第4号証の2 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(東芝電材マーケティング株式会社)
甲第4号証の3 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(三共電気株式会社)
甲第4号証の4 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(福西電機株式会社)
甲第4号証の5 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(因幡電機産業株式会社)
甲第4号証の6 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(株式会社たけでん)
甲第4号証の7 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(株式会社たけでん)
甲第4号証の8 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(株式会社たけでん)
甲第4号証の9 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(小川電機株式会社)
甲第4号証の10 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(トヨタ工業株式会社)
甲第4号証の11 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(因幡電機産業株式会社)
甲第4号証の12 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(宮地電機株式会社)
甲第4号証の13 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(因幡電機産業株式会社)
甲第4号証の14 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(三和電材株式会社)
甲第4号証の15 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(丸栄電機工業株式会社)
甲第4号証の16 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(広中電機株式会社)
甲第4号証の17 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(広中電機株式会社)
甲第4号証の18 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(広中電機株式会社)
甲第4号証の19 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(大栄金属株式会社)
甲第4号証の20 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(深田電機株式会社)
甲第4号証の21 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(株式会社電器堂)
甲第4号証の22 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(富山電気ビルディング株式会社)
甲第4号証の23 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(東京エレク総業株式会社)
甲第4号証の24 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(森田電機株式会社)
甲第4号証の25 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(ヤマト電機株式会社)
甲第4号証の26 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(トヨタ工業株式会社)
甲第4号証の27 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(外山電気株式会社)
甲第4号証の28 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(桜工業株式会社)
甲第4号証の29 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(株式会社扇港電機)
甲第4号証の30 「カタログの配布と配ボックスSM36Aの御発注・納
品の証明願」(ミツワ電機株式会社)
甲第5号証 実用新案登録第2524247号公報
甲第6号証 特開平9-289720号公報
甲第7号証 無効2011-800003の審決公報
甲第8号証 前件審判における被請求人の平成23年6月30日付け
口頭審理陳述要領書
甲第9号証 特開2012-143153号公報(原出願の公開公
報)
甲第10号証 JIS C 8411(合成樹脂製可とう電線管)、
平成11年4月20日改正
甲第11号証の1 配ボックスSM36Aの設計図面(図面番号:Z00-
0721-1)
甲第11号証の2 配ボックスSM36Aの設計図面(図面番号:Z00-
0721-2)
甲第12号証 写真撮影報告書
甲第12号証の2 写真撮影報告書

被請求人は、甲第1号証ないし甲第11号証の2の成立を認めた。
なお、口頭審理において原本確認したところ、甲第12号証には、その原本には存在する書類作成者の押印がなされていなかったため、被請求人は甲第12号証の成立については不知であるとした。甲第12号証の2は、押印のある原本である。

(3)請求人の主張の概要
請求人は審判請求書、口頭審理陳述要領書及び口頭審理陳述要領書(2)を提出して、概ね以下のとおり主張している。
A 無効理由1に関して
ア 本件特許発明では、側方に開口する「挿入開口」が「固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上端部及び下端部」に形成されると記載されているが、同「挿入開口」を「固定部が形成された側壁」に形成することも許容されているため、本件特許発明は、第2出願の無効審判事件で被請求人(本件の被請求人)が提出した甲第8号証に記載された配線ボックスを含む記載となっている。(審判請求書第5ページ)

イ 甲第8号証に記載された配線ボックスのような構成は、分割出願である本願の原出願である第4出願の出願当初明細書及び図面に記載されておらず、示唆もされていない。(審判請求書第5ページ)

ウ 甲第8号証に記載された配線ボックスを含む本件特許発明は、第4出願の出願当初明細書及び図面の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、第4出願の出願当初明細書及び図面に記載されていない事項を含むものであるから、分割要件に違反するものである。
したがって、本件特許の出願日は、遡及せず、現実の出願日である平成25年11月5日となる。(審判請求書第6ページ)

エ そうすると、本件特許発明は、第4出願の公開公報である甲第9号証に記載されていたものであるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。(審判請求書第7ページ)

B 無効理由2に関して
ア 甲2発明について
(ア)甲第2号証は、請求人が製造販売する製品を記載した電設資材総合カタログ(以下「甲2カタログ」という。)であり、品番「SM36A」(商品コード「25SM36A」)という配線ボックスが記載されている(以下「配ボックスSM36A」という)。(審判請求書第8ページ)
請求人は、平成15年3月ごろ、甲2カタログ3万部の印刷を発注した。
請求人は平成15年5月中旬に甲2カタログを取引先各社に配布し、これを受けて発注された配ボックスSM36Aを平成15年6月下旬に納品した。したがって、取引先各社に対する甲2カタログの配布及び配ボックスSM36Aの納品は、本件特許の優先日である平成15年(2003年)7月11日よりも前に行われた。(審判請求書第8?9、14ページ)

(イ)甲第11号証の2及び甲第12号証によれば、配ボックスSM36Aは、「当接座部が形成された側壁に相対向する側壁寄りに位置する挿入開口に連通する接続孔は、電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続する」という構成を有するものである。(審判請求書第13?14ページ)

(ウ)したがって、甲2カタログに記載された配ボックスSM36Aは、以下の構成を有する。(以下、これを「甲2発明」という。)
「底壁と、その底壁から立設された側壁とより一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体を備え、同ボックス本体の左側壁及び右側壁には、建物内の構造物にボックス本体を固定するためのラッパねじを挿通可能な固定部が設けられているとともに、ボックス本体の上側壁及び下側壁には、合成樹脂製の可撓性を有する電線管を接続するための接続孔が形成され、
同ボックス本体の底壁の上端部及び下端部の各左右両側には、ボックス本体の底壁側に開口するとともに、前記接続孔に連通する挿入開口がそれぞれ形成されることにより、上下両挿入開口は互いに連通することなく離れて形成され、当該挿入開口に挿入された電線管を、開口側に向かって移動させることにより、当該電線管を接続孔に挿入可能に形成し、
前記固定部が形成された側壁には、外方へ突出して建物内の構造物に当接する当接座部が形成され、該当接座部が形成された側壁に相対向する側壁寄りの挿入開口に連通する接続孔は、電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続するようになっている、配ボックス。」(審判請求書第14?15ページ)

(エ)カタログとは、販売促進のために広く配布され、広く知られることを目的とするものであるから、その性質上、そこに記載されている内容に守秘義務はない。
よって、甲2カタログは、特許法第29条第1項第3号所定の「頒布された刊行物」に該当し、同カタログに記載された配ボックスSM36Aに具現化された甲2発明は、本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明といえる。(審判請求書第15?16ページ)

(オ)甲第4号証の1?30に示すとおり、配ボックスSM36Aは、平成15年6月下旬、取引先各社に合計8480個が納品されており、これらの取引先各社は、守秘義務を負わない不特定人である。
よって、配ボックスSM36Aに具現化された甲2発明は、特許法第29条第1項第2号所定の「公然実施をされた発明」といえる。(審判請求書第16ページ)

(カ)以上のとおり、甲2発明は、刊行物に記載された発明(特許法第29条第1項第3号)に該当するとともに、公然実施発明(特許法第29条第1項第2号)にも該当するから、甲2発明は、引用発明としての適格性を有する。(審判請求書第16ページ)

イ 本件特許発明と甲2発明との対比
本件特許発明と甲2発明とを対比すると、両発明は以下の相違点を有する。
[相違点a]
「挿入開口」について、
本件特許発明では、「固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上端部及び下端部には、ボックス本体の側方に開口する」のに対し、
甲2発明では、「底壁の上端部及び下端部の各左右両側には、ボックス本体の底壁側に開口する」点。

[相違点b]
「挿入開口に挿入された電線管」について、
本件特許発明では、「固定ビスにより固定部が構造物に押し付けられた方向に沿って移動させる」のに対し、
甲2発明では、「開口側に向かって移動させ」ており、保護管をラッパねじにより固定部が構造物に押し付けられた方向とは直交する方向に移動させる点。

[相違点c]
「電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続する」接続孔について、
本件特許発明では、「当接座部が形成された側壁に相対向する側壁の挿入開口に連通する」のに対し、
甲2発明では、「当接座部が形成された側壁に相対向する側壁寄りの挿入開口に連通」しており、この挿入開口が側壁に形成されていない点。(審判請求書第22?23ページ)

ウ 各相違点の検討
(ア)相違点aについて、第2出願の無効審判事件の審決において、「左右両側壁」の上端部及び下端部において、ボックス本体の側方に開口するように「挿入開口」を形成することが容易に想到し得たと判断された以上、「固定部が形成された側壁に相対向する側壁」の上端部及び下端部において、ボックス本体の側方に開口するように「挿入開口」を形成することは、尚のこと、容易に想到し得たことというべきである。(審判請求書第23?24ページ)

(イ)相違点bに係る本件特許発明の構成は、相違点aに係る本件特許発明の構成を採用することにより当然になされる構成に過ぎない。(審判請求書第24ページ)

(ウ)相違点cに係る本件特許発明の構成についても、相違点aに係る本件特許発明の構成を採用することにより当然になされる構成に過ぎない。(審判請求書第24ページ)

エ 甲第5号証及び甲第6号証について
(ア)甲第5号証の段落【0021】には、「上記電設用ボックスAにおいて、保護管保持用口部2や切欠口部22を設ける箇所や数は図示実施例に限定されるものではない。したがって、底壁11に設けておいてもよく、そのようにすることによってボックス本体1の内部空間に導入する電線についての方向性の規制が緩和される。」と記載されている。
下線を付した前段の記載によって、「保護管保持用口部2」と「切欠口部22」とがそれぞれ別個独立に「設ける箇所や数」を自由に変更できることが示唆されていると解するべきである。
そして、後段の記載は、それを前提として、前段の記載によって示唆された範囲内に含まれる一例であると解するべきである。(口頭審理陳述要領書第2?3ページ)
したがって、甲第5号証記載の「保護管保持用口部2」および「切欠口部22」は、それぞれ、本件特許発明の「接続孔」および「挿入開口」に相当するものであり、該「切欠口部22」については、具体的に示されていないものの、必要に応じて図示されている箇所から変更可能であることが示唆されているといえる。(口頭審理陳述要領書第13ページ)

(イ)甲第6号証には、「配線用ボックス1において、壁厚の制限を受けずにケーブル11が挿入することができるように、その取付部3の対向側の側壁7にボックス本体2内を上下方向に貫通する切欠部8が形成され、その切欠開口8aから側壁7を横切るようにケーブル11を挿入する」という技術事項が記載されているところ、上記技術事項の解決課題は、「壁厚の制限を受けずに挿入できるようにする」、すなわち、配線用ボックスの後面と、壁材の内面との間にケーブルを配設するための空間が形成されていなくても、ケーブルを配線用ボックスに挿入できるようにすることであり、配線用ボックスにおける「ケーブル」と「電線管」の類似性からみて、この課題が、電線管を接続する配線用ボックスにも同様に存在することは、当業者において明らかである。(口頭審理陳述要領書第12ページ)

オ 甲第2号証第48ページの「14用(16用も使用可)」の記載に関して
(ア)甲5号証の段落【0020】に記載されているとおり、保護管ないし電線管を弾性変形させて接続孔に接続させることは従来から普通に行っていたことであり、何ら特異なことではない。
また、本件特許発明自体、電線管を弾性変形させて接続孔に接続する場合も包含する。
さらに、そもそも、本件接続孔(被請求人のいう「14・16兼用孔」)は、呼び16の電線管を接続する上で適切なものであり、許容範囲内のものであるから、あたかもそれが不適切な接続であるかのようにいう被請求人の主張はそれ自体失当である。(口頭審理陳述要領書第7ページ)

(イ)審判請求書、第4 1(4)エ?キ〔12?14頁〕に記載したとおり、本件接続孔(14・16兼用孔)に呼び16の電線管を接続すれば必然的に外周面が外方に突出することになる。(口頭審理陳述要領書第8ページ)

2 被請求人
(1)無効理由1に関して
本件発明は第4出願の出願当初明細書等の記載に対して何ら新たな技術的事項を導入していない。したがって、本件出願は、分割要件を満たす適法な分割出願である。このため、無効理由1は、その前提が失当であり、成り立たない。(審判事件答弁書第4?26ページ)
(2)無効理由2に関して
ア 第2出願の無効審判事件の審決について
第2出願の無効審判事件の審決に係る発明と本件特許発明とは異なっている。このため、前件審決の認定を前提とする無効理由2の主張は、そもそも失当であると言わざるを得ない。(審判事件答弁書第26?27ページ)

イ 「電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出する」点について
甲第2号証に「当接座部が形成された側壁に相対向する側壁寄りの挿入開口に連通する接続孔は、電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続するようになっている」という構成が開示されているとは認められない。(審判事件答弁書第27?29ページ)

ウ したがって、本件特許発明と甲第2号証に記載された発明とは以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明では、「接続孔に連通する挿入開口」が、「前記固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上端部及び下端部には、ボックス本体の側方に開口」しているものであるのに対して、甲第2号証に記載された発明では、上記「接続孔に連通する挿入開口」に相当する「接続孔に連通するノック開口」が、「ボックス本体の底壁の上端部及び下端部」おいて「ボックス本体の底壁側に開口する」ものである点。

<相違点2>
本件発明では、「挿入開口に挿入された電線管を」「移動させる」方向が「前記固定ビスにより固定部が構造物に押し付けられた方向」であるのに対し、甲第2号証に記載された発明では、「ノック開口に挿入された保護管を」「移動させる」方向が「底壁側から開口側に向か」う方向である点。

<相違点3>
本件発明は「電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出する」構成を備えているのに対して、甲第2号証に記載された発明は備えていない点。(審判事件答弁書第29?31ページ)

エ 相違点1について
(ア)甲第5号証の段落【0021】で説明するのは、電線保護管ではなく電線に対するボックス本体1の内部空間に導入する方向性の規制の緩和である。つまり、4つの側壁12のうち、対となる長側壁の対向方向に沿って電線が配置されるように対となる長側壁に保護管保持用口部2が形成されてもよいことや、底壁11と直交する方向に沿って電線が配置されるように底壁11に保護管保持用口部2が形成されてもよいことを意図しているものであって、切欠口部22の設置位置のみの変更を意図しているものではない。
したがって、保護管保持用口部2の設置位置を変更しない場合、即ち、保護管保持用口部2の設置位置を右側の側壁12のままとした場合に、切欠口部22の設置位置のみを、底壁11側から、上側の側壁12(長側壁)側に変更することについてまで、上記段落に開示されているとは認めることができない。
よって、甲第2号証に記載された発明において、甲第5号証の記載に基づいて、「接続孔に連通するノック開口」を「ボックス本体の側方に開口する」ものとすることが、当業者にとって容易になし得たことであるということはできない。(審判事件答弁書第31?33ページ)

(イ)甲第6号証は、保護管については何ら記載されておらず、保護管を挿入するための「接続孔に連通するノック開口」を「ボックス本体の側方に開口する」点についても、記載も示唆もされていないから、甲第2号証に記載された発明において、甲第6号証の記載に基づいて、「接続孔に連通するノック開口」を「ボックス本体の側方に開口する」ものとすることが、当業者にとって容易になし得たことであるということはできない。(審判事件答弁書第33?34ページ)


第4 当審の判断
1 無効理由1について
(1)請求人の主張について
A 請求人は、第3の1(1)A及び第3の1(3)Aで述べたとおり、「本件特許発明は、原出願(特願2012-88589号)の公開公報に記載された発明と同一であるから、新規性欠如の無効理由を有する」という無効理由1の根拠として、本件特許発明は、第2出願の無効審判事件で被請求人(本件の被請求人)が提出した甲第8号証に記載された配線ボックスを含む記載となっているところ、甲第8号証に記載された配線ボックスのような構成は、分割出願である本願の原出願である第4出願の出願当初明細書及び図面に記載されておらず、本件出願の分割は適法でないから、本件特許の出願日は遡及しないことを挙げている。
したがって、先ずこの点について検討する。

B 請求人が主張する前記「甲第8号証に記載された配線ボックスのような構成」とは、審判請求書の「しかしながら、甲8配線ボックスのような構成は、原出願の出願当初明細書及び図面に記載されておらず、示唆もされていない。
原出願の出願当初明細書及び図面に記載されているのは、前件審決が認定判断したのと同様、一方向(右側)から2本の「大径の電線管」が挿入できることのみであって、ボックス本体の左右両側壁に「挿入開口」が形成された上、左右両側から「電線管」を挿入した場合に「電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続すること」は記載も示唆もされていない。」(審判請求書第5ページ)という記載から、『ボックス本体の左右両側壁に「挿入開口」が形成された上、左右両側から「電線管」を挿入した場合に「電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続すること」』という構成を指すと認められる。

C 本件特許発明においては、「固定部」は「ボックス本体の左側壁及び右側壁の少なくとも一方」に設けられており、「ボックス本体の側方に開口」して「接続孔に連通する挿入開口」は「前記固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上端部及び下端部」に形成されているから、ボックス本体の左右両側壁に「挿入開口」が形成された構成を、本件特許発明は包含していると認められる。
このことは、本件の特許明細書の段落【0064】における「各実施形態では……右側壁12d,32dのみに挿入開口21,39を形成したが以下のように変更してもよい。例えば、……上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bの両側部に接続孔20,38を形成し、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dにそれぞれ挿入開口21,39を形成してもよい。」という記載に基づくものと認められる。
そして、本件特許発明は、「該当接座部が形成された側壁に相対向する側壁の前記挿入開口に連通する前記接続孔は、電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続する」という構成を備えているから、前記『ボックス本体の左右両側壁に「挿入開口」が形成された上、左右両側から「電線管」を挿入した場合に「電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続すること」』という構成を、本件特許発明は排除していない。
したがって、「甲第8号証に記載された配線ボックスのような構成」を本件特許発明は含むと認められる。

D これに対して、分割出願である本件の原出願である第4出願の出願当初明細書を示す甲第9号証をみると、段落【0067】に「各実施形態では……以下のように変更してもよい。例えば、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dの固定孔15,34の周縁部に固定部が形成されたボックス本体13,33において、上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bの両側部に接続孔20,38を形成し、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dにそれぞれ挿入開口21,39を形成してもよい。」と記載されている。
そして、図11を説明する段落【0050】に「また、第1接続部50aにおいて、ボックス本体13の底壁12側の係合突条22と接続部材52とにより第1接続部50aに電線管10を接続することができるようになっている。さらに、接続部材52を係合突条22から折り取り除去することによって、第1接続部50aには、電線管10よりも大径をなす大径電線管60を接続することができるようになっている。この大径電線管60は、電線管10の凸条部10aより大径をなす凸条部と、電線管10の凹条部10bより大径をなす凹条部とを備える。」と記載され、当該図11には、挿入開口51に連通する接続孔50には電線管10と大径電線管60が挿入接続され、このうち、大径電線管60は、その外周面が挿入開口51よりも外方へ突出していることが記載されている。
したがって、前記「甲第8号証に記載された配線ボックスのような構成」は、本件の原出願の出願当初明細書の記載の範囲内であると認められる。

E したがって、本件特許発明は「甲第8号証に記載された配線ボックスのような構成」を包含しており、前記「構成」は本件の原出願の出願当初の、明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)にも記載されている。
よって、本件特許発明が、本件の原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内にない構成を包含するとの請求人の主張には理由がない。

(2)本件出願の出願日について
A 請求人は無効理由1として、本件特許の「出願日は遡及せず、現実の出願日である平成25年11月5日となる」と主張しているから、本件特許の出願日について検討する。
特許法第44条第1項は「二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。」と規定しており、分割出願が適法であるための実体的な要件としては、もとの出願の明細書等に二以上の発明が包含されていたこと、新たな出願に係る発明はもとの出願の明細書等に記載された発明の一部であることが必要である。そして、同条第2項が「前項の場合は、新たな特許出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなす」と規定していることからすれば、新たな出願に係る発明は、分割直前のもとの出願の明細書等に記載された事項の範囲内であるだけでは足りず、もとの出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であることを要すると解される。
そうすると、原出願(以下、「親出願」という。)から分割出願(以下、「子出願」という。)をし、さらに子出願を原出願として分割出願(以下、「孫出願」という。)をした場合に、孫出願が親出願のときにしたとみなされる出願日の遡及の利益を享受するには、子出願が親出願に対し分割要件を満たし、孫出願が子出願に対し分割要件を満たし、かつ孫出願に係る発明が親出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内のものであることを要するというべきである。
本件出願は第1出願から数えて第5世代目となる分割出願であるので、本件出願が第1出願の出願の時にしたものとみなされるには、上述の例に倣えば、
a 本件出願、第4出願、第3出願、及び第2出願が、それぞれ、もとの出願の分割直前の明細書等に二以上の発明が包含されていたこと、新たな出願に係る発明はもとの出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であること、及び、新たな出願に係る発明はもとの出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であること、
b 本件特許発明が第1出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内のものであること、
という要件を満たさなければならないこととなる。

以下、まず、第2出願、第3出願、第4出願、及び本件出願がそれぞれ前記aの要件を満たすかどうかを検討するが、分割出願が分割当初(すなわち、分割出願の現実の出願日時点)から前記分割要件を満たしていたかでなく、特許請求の範囲や明細書等の補正を経た最終的な特許請求の範囲に記載された発明が前記分割要件を満たしているかどうか、つまり、分割当初から前記分割要件を満たし得るものであったかを検討する。

B 第2出願が第4の1(2)Aaの要件を満たすかについて
ア 第2出願の分割元の第1出願の分割直前の明細書等に、二以上の発明が包含されていたことは明らかである。

イ 第2出願に係る発明が、第1出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であるかどうか、検討する。
(ア)第2出願については、上記のとおり、第3出願の現実の出願日である平成22年4月23日に特許請求の範囲は補正され、当該補正された特許請求の範囲に記載された発明に係る特許は特許第4575478号として登録されたところ、無効審判(無効2011-800003号)において「特許第4575478号の請求項1?3に係る発明についての特許を無効とする。」との審決がなされ、当該審決は確定している。
特許第4575478号公報の特許請求の範囲の請求項1には、
「底壁と、その底壁から立設された側壁とより一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体を備え、同ボックス本体の左右両側壁には、建物内の構造物にボックス本体を固定するための固定ビスを挿通可能な固定部がそれぞれ設けられているとともに、ボックス本体の上下両側壁の左側部及び右側部には、合成樹脂製の可撓性を有する電線管を接続するための接続孔がそれぞれ形成され、
同ボックス本体の左右両側壁の上端部及び下端部には、ボックス本体の側方に開口するとともに、前記接続孔に連通する挿入開口がそれぞれ形成されることにより、ボックス本体の左右両側壁に設けた固定部は、同ボックス本体の左右両側壁の上端部及び下端部に形成された挿入開口の間に配設され、
当該挿入開口に挿入された電線管を、前記固定ビスにより固定部が構造物に押し付けられた方向に沿って移動させることにより、当該電線管を接続孔に挿入可能に形成したことを特徴とする配線ボックス。」
と記載されていた。
以下、この請求項に記載された発明を「第2出願発明」という。

(イ)第1出願の出願当初の明細書等を示す特開2005-51990号公報には、以下の記載がある。
a 「【0072】
・ 配線ボックス11,30において、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dに形成された固定孔15,34の周縁部に固定部を形成したが、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dのいずれか一方のみに固定孔15,34を形成し、その周縁部を固定部としてもよい。このとき、その固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上部及び下部のいずれか一方に、挿入開口を形成し、その挿入開口に連通する接続孔を形成してもよい。又は、固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上下両部に、挿入開口を形成し、その挿入開口に連通する接続孔を形成してもよい。さらに、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dの上部及び下部にそれぞれ挿入開口を形成し、その挿入開口に連通する接続孔を上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bに2箇所に形成してもよい。さらには、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dの上部又は下部に挿入開口を形成し、その挿入開口に連通する接続孔を上側壁12a,32a又は下側壁12b,32bに2箇所に形成してもよい。なお、上記変更例において円孔18,35等は場合によっては削除される。
【0073】
・ 各実施形態では、上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bの右側部に接続孔20,38を形成し、右側壁12d,32dのみに挿入開口21,39を形成したが以下のように変更してもよい。例えば、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dの固定孔15,34の周縁部に固定部が形成されたボックス本体13,33において、上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bの両側部に接続孔20,38を形成し、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dにそれぞれ挿入開口21,39を形成してもよい。又は上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bの左側部のみに接続孔20,38を形成し、左側壁12c,32cのみに挿入開口21,39を形成してもよい。なお、円孔18,35等は場合によっては削除される。」

(ウ)したがって、第1出願の出願当初の明細書等には、第2出願発明の「同ボックス本体の左右両側壁の上端部及び下端部には、ボックス本体の側方に開口するとともに、前記接続孔に連通する挿入開口がそれぞれ形成されることにより、ボックス本体の左右両側壁に設けた固定部は、同ボックス本体の左右両側壁の上端部及び下端部に形成された挿入開口の間に配設され」る、という発明特定事項が記載されていると認められる。
また、第2出願発明の他の発明特定事項が第1出願の出願当初の明細書等に記載されていることは、明らかである。
よって、第2出願発明は、第1出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。

(エ)第2出願についての特許第4575478号公報の特許請求の範囲の請求項2ないし4に係る発明も、第1出願の出願当初の明細書等の記載から、当該第1出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。

ウ 次に、第2出願発明が、第1出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であるかどうか、検討する。
第1出願の明細書等は、第2出願の分割時である第2出願の現実の出願日において、その特許請求の範囲が補正されるとともに、当該補正に伴って、明細書の段落【0007】?【0011】、【0014】?【0016】、【0075】、【0077】、【0078】が形式的に補正されるとともに、段落【0012】?【0013】、【0017】?【0019】が削除されている。すなわち、第1出願の出願当初明細書において、先に摘記した段落【0072】及び【0073】は補正されていない。
したがって、第2出願発明は、第1出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。
同様に、第2出願についての特許第4575478号公報の特許請求の範囲の請求項2ないし4に係る発明も、第1出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。

エ 以上から、第2出願は第4の1(2)Aaの要件を満たすものと認められる。

C 第3出願が第4の1(2)Aaの要件を満たすかについて
ア 第3出願の分割元の第2出願の分割直前の明細書等に、二以上の発明が包含されていたことは明らかである。

イ 第3出願に係る発明が、第2出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であるかどうか、検討する。
(ア)第3出願については、上記のとおり、第4出願の現実の出願日と平成24年12月18日に補正され、後の補正と同日に請求された拒絶査定不服審判(不服2012-25097号)において「原査定を取り消す。本願の発明は、特許すべきものとする。」との審決がなされて当該審決は確定し、前記後の補正で補正された特許請求の範囲に記載された発明に係る特許は、特許第5450234号として登録されている。
特許第5450234号公報の特許請求の範囲の請求項1には、
「底壁と、その底壁から立設された側壁とより一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体を備え、同ボックス本体の左側壁及び右側壁には、建物内の構造物にボックス本体を固定するための固定ビスを挿通可能な固定部が設けられているとともに、ボックス本体の上側壁及び下側壁には、合成樹脂製の可撓性を有する電線管を接続するための接続孔がそれぞれ一対形成され、
前記一対の接続孔は、一方が前記ボックス本体の上側壁及び下側壁における左端縁から中央部に向かって延びるように形成され、他方が前記ボックス本体の上側壁及び下側壁における右端縁から中央部に向かって延びるように形成され、
前記上側壁及び下側壁は、前記ボックス本体の開口側と前記ボックス本体の底壁側との間を繋ぐ壁面として前記中央部が形成されているのみであって前記左端縁及び右端縁には前記壁面が形成されてなく、
前記左側壁及び右側壁の上端部及び下端部には、ボックス本体の側方に開口するとともに、前記接続孔に連通する挿入開口がそれぞれ形成され、上下両挿入開口は互いに連通することなく離れて形成されることにより、前記左側壁及び右側壁には前記上側壁に形成される前記接続孔と前記下側壁に形成される前記接続孔とを互いに連通する構成が形成されてなく、
前記固定部は、前記左側壁及び右側壁の上端部及び下端部にそれぞれ形成される前記挿入開口の間に配設され、
当該挿入開口に挿入された電線管を、前記固定ビスにより固定部が構造物に押し付けられた方向に沿って移動させることにより、当該電線管を接続孔に挿入可能に形成したことを特徴とする配線ボックス。」
と記載されている。
以下、この請求項に記載された発明を「第3出願発明」という。

(イ)第2出願の出願当初の明細書等を示す特開2008-263778号公報には、以下の記載がある。
a 「【0065】
・ 配線ボックス11,30において、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dに形成された固定孔15,34の周縁部に固定部を形成したが、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dのいずれか一方のみに固定孔15,34を形成し、その周縁部を固定部としてもよい。このとき、その固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上部及び下部のいずれか一方に、挿入開口を形成し、その挿入開口に連通する接続孔を形成してもよい。又は、固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上下両部に、挿入開口を形成し、その挿入開口に連通する接続孔を形成してもよい。さらに、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dの上部及び下部にそれぞれ挿入開口を形成し、その挿入開口に連通する接続孔を上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bに2箇所に形成してもよい。さらには、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dの上部又は下部に挿入開口を形成し、その挿入開口に連通する接続孔を上側壁12a,32a又は下側壁12b,32bに2箇所に形成してもよい。なお、上記変更例において円孔18,35等は場合によっては削除される。
【0066】
・ 各実施形態では、上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bの右側部に接続孔20,38を形成し、右側壁12d,32dのみに挿入開口21,39を形成したが以下のように変更してもよい。例えば、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dの固定孔15,34の周縁部に固定部が形成されたボックス本体13,33において、上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bの両側部に接続孔20,38を形成し、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dにそれぞれ挿入開口21,39を形成してもよい。又は上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bの左側部のみに接続孔20,38を形成し、左側壁12c,32cのみに挿入開口21,39を形成してもよい。なお、円孔18,35等は場合によっては削除される。」

(ウ)したがって、第2出願の出願当初の明細書等には、第3出願発明の「前記左側壁及び右側壁の上端部及び下端部には、ボックス本体の側方に開口するとともに、前記接続孔に連通する挿入開口がそれぞれ形成され、上下両挿入開口は互いに連通することなく離れて形成されることにより、前記左側壁及び右側壁には前記上側壁に形成される前記接続孔と前記下側壁に形成される前記接続孔とを互いに連通する構成が形成されてな」い、という発明特定事項が記載されていると認められる。
また、第3出願発明の他の発明特定事項が第2出願の出願当初の明細書等に記載されていることは、明らかである。
よって、第3出願発明は、第2出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。

(エ)第3出願についての特許第5450234号公報の特許請求の範囲の請求項2ないし4に係る発明も、第2出願の出願当初の明細書等の記載から、当該第2出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。

ウ 次に、第3出願発明が、第2出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であるかどうか、検討する。
第2出願の明細書等は、第3出願の分割時である第3出願の現実の出願日において、その特許請求の範囲が補正されるとともに、当該補正に伴って、明細書の段落【0007】、【0009】、【0010】、【0011】、【0012】、【0070】、【0071】が形式的に補正されるとともに、段落【0008】が削除されている。すなわち、第2出願の出願当初明細書において、先に摘記した段落【0065】及び【0066】は補正されていない。
したがって、第3出願発明は、第2出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。
同様に、第3出願についての特許第5450234号公報の特許請求の範囲の請求項2ないし4に係る発明も、第2出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。

エ 以上から、第3出願は第4の1(2)Aaの要件を満たすものと認められる。

D 第4出願が第4の1(2)Aaの要件を満たすかについて
ア 第4出願の分割元の第3出願の分割直前の明細書等に、二以上の発明が包含されていたことは明らかである。

イ 第4出願に係る発明が、第3出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であるかどうか、検討する。
(ア)第4出願については、上記のとおり、本件出願の現実の出願日である平成25年11月5日に特許請求の範囲は補正され、当該特許請求の範囲に記載された発明に係る特許は、特許第5457490号として登録されている。
特許第5457490号公報の特許請求の範囲の請求項1には、
「底壁と、その底壁から立設された側壁とより一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体を備え、同ボックス本体の左側壁及び右側壁には、建物内の構造物にボックス本体を固定するための固定ビスを挿通可能な固定部が設けられているとともに、ボックス本体の上側壁及び下側壁には、合成樹脂製の可撓性を有する電線管を接続するための接続孔が形成され、
前記側壁の上端部及び下端部には、ボックス本体の側方に開口するとともに、前記接続孔に連通する挿入開口がそれぞれ形成されることにより、上下両挿入開口は互いに連通することなく離れて形成され、当該挿入開口に挿入された電線管を、前記固定ビスにより固定部が構造物に押し付けられた方向に沿って移動させることにより、当該電線管を接続孔に挿入可能に形成し、
前記ボックス本体の左側壁及び右側壁の少なくとも一方には、外方へ突出して建物内の構造物に当接する当接座部が形成され、該当接座部が形成された側壁に相対向する側壁には、前記固定部が前記ボックス本体の奥行き方向へ長孔状に延びるように形成されるとともに、該固定部が上端部の挿入開口と下端部の挿入開口との間の対向領域に配置されていることを特徴とする配線ボックス。」
と記載されている。
以下、この請求項に記載された発明を「第4出願発明」という。

(イ)第3出願の出願当初の明細書等を示す特開2010-172194号公報には、以下の記載がある。
a 「【0016】
次に、前記配線ボックス11について説明する。配線ボックス11は、長方形状をなす底壁12と、その底壁12から立設された上側壁12a、下側壁12b、左側壁12c及び右側壁12dとより、一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体13を備えている。なお、前記開口側をボックス本体13の前面(正面)とし、底壁12側を後面(背面)とする。前記上側壁12aと下側壁12bとは上下に相対向し、左側壁12cと右側壁12dとは左右に相対向している。前記左側壁12cの外面には、一定の厚みを有する当接座部14が外方へ突出形成され、右側壁12dの外面には当接座部14が形成されず平面状に形成されている。また、左側壁12c及び右側壁12dには、それぞれ各側壁12c,12dを貫通する固定孔15が、ボックス本体13の前後方向へ長孔状に延びるように3箇所に形成され、各固定孔15は、それぞれ固定ビス17を挿通可能に形成されている。そして、左側壁12c及び右側壁12dにおいて、前記固定孔15の周縁部は、前記固定ビス17によりボックス本体13を、建物内の構造物に固定するための固定部としてボックス本体13に設けられている。前記固定孔15に挿通された固定ビス17が、構造物に固定されると、その固定ビス17により左側壁12c又は右側壁12dにおける固定孔15の周縁部は構造物に押し付けられる。」
b 「【0018】
図1及び図2に示すように、前記上側壁12a及び下側壁12bの右側部には、それぞれ長孔状をなす接続孔20が各側壁12a,12bを貫通して形成されている。前記各接続孔20は、それぞれ上側壁12a及び下側壁12bの右端縁から中央部に向かって直線状に延びるように形成され、上下各側壁12a,12bの中央部に位置する端縁が円弧状に形成されている。図1及び図3に示すように、右側壁12dの上下両端部には挿入開口21が、当該右側壁12dを貫通して形成され、各挿入開口21は、それぞれボックス本体13の側方となる右方へ開口するように形成されている。また、各挿入開口21は、左側壁12cの固定孔15の周縁部と相対向する右側壁12dに形成されている。そして、前記各接続孔20はそれぞれ挿入開口21と連通するように形成され、各挿入開口21から各接続孔20内に電線管10を挿入可能に形成されている。図4及び図5に示すように、挿入開口21の開口幅は前記電線管10の凸条部10aにおける外径と同じ又はわずかに大きく形成されている。」
c 「【0023】
次に、配線ボックス11の使用方法を具体的に説明する。…(中略)…一方の壁材28を配線ボックス11の前面側となる位置に立設した場合は、ボックス本体13の開口端が、その立設された一方の壁材28の裏面に当接するように配置し、柱16の側面に当接座部14の外面を当接させる。」
e 図1には、ボックス本体13の奥行き方向へ延びる固定孔15が、ボックス本体13の当接座部14が形成された側壁と相対向する側壁において、上端部の挿入開口21と下端部の挿入開口21との間に、2個配置されていることが示されている。

(ウ)したがって、第3出願の出願当初の明細書等には、第4出願発明の「前記ボックス本体の左側壁及び右側壁の少なくとも一方には、外方へ突出して建物内の構造物に当接する当接座部が形成され、該当接座部が形成された側壁に相対向する側壁には、前記固定部が前記ボックス本体の奥行き方向へ長孔状に延びるように形成されるとともに、該固定部が上端部の挿入開口と下端部の挿入開口との間の対向領域に配置されている」という発明特定事項が記載されていると認められる。
また、第4出願発明の他の発明特定事項が第3出願の出願当初の明細書等に記載されていることは、明らかである。
よって、第4出願発明は、第3出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。

(エ)第4出願についての特許第5457490号公報の特許請求の範囲の請求項2に係る発明も、第3出願の出願当初の明細書等の記載から、当該第3出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。

ウ 次に、第4出願発明が、第3出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であるかどうか、検討する。
第3出願の明細書等は、第4出願の分割時である第4出願の現実の出願日において、その特許請求の範囲が補正されるとともに、当該補正に伴って、明細書の段落【0008】、【0009】、【0012】が形式的に補正されている。すなわち、第3出願の出願当初明細書において、先に摘記した段落【0016】、【0018】及び【0023】は補正されていない。
したがって、第4出願発明は、第3出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。
同様に、第4出願についての特許第5457490号公報の特許請求の範囲の請求項2に係る発明も、第3出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。

エ 以上から、第4出願は第4の1(2)Aaの要件を満たすものと認められる。

E 本件出願が第4の1(2)Aaの要件を満たすかについて
ア 本件出願の分割元の第4出願の分割直前の明細書等に、二以上の発明が包含されていたことは明らかである。

イ 本件特許発明が、第4出願の出願当初の明細書等を示す甲第9号証に記載された事項の範囲内であるかどうか、検討する。
(ア)甲第9号証には以下の記載がある。
a 「【0015】
(第1実施形態)
……(中略)……
【0017】
前記上側壁12a及び下側壁12bの左側部には、それぞれ円孔18が各側壁12a,12bを貫通して形成されている。
……(中略)……
【0018】
図1及び図2に示すように、前記上側壁12a及び下側壁12bの右側部には、それぞれ長孔状をなす接続孔20が各側壁12a,12bを貫通して形成されている。前記各接続孔20は、それぞれ上側壁12a及び下側壁12bの右端縁から中央部に向かって直線状に延びるように形成され、上下各側壁12a,12bの中央部に位置する端縁が円弧状に形成されている。図1及び図3に示すように、右側壁12dの上下両端部には挿入開口21が、当該右側壁12dを貫通して形成され、各挿入開口21は、それぞれボックス本体13の側方となる右方へ開口するように形成されている。」
b 「【0047】
・ 図11に示すように、第1実施形態の配線ボックス11における接続孔20を変更してもよい。すなわち、ボックス本体13の上側壁12a及び下側壁12bにおいて、円孔18が削除され長孔状をなす接続孔50が形成されている。各接続孔50は、それぞれその長さ方向が、ボックス本体13の深さ方向に対して直交する方向へ延びるように形成されている。各接続孔50は上側壁12a及び下側壁12bの左側壁12c側から隣接する右側壁12dに達するまで延びるように形成され、各接続孔50はそれぞれ右側壁12dの上下両端部に挿入開口51が形成されている。」
c 「【0049】
各接続孔50における挿入開口51側の開口幅(接続孔50の幅方向に相対向する内面間の長さ)は、接続孔50における奥側の開口幅(接続孔50の幅方向に相対向する内面間の長さ)より広く形成されている。そして、各接続孔50における挿入開口51側に第1接続部50aが形成され、接続孔50における第1接続部50aよりも奥側に第2接続部50bが形成されている。すなわち、第1接続部50aにおける開口幅が、第2接続部50bにおける開口幅より幅広に形成されている。
【0050】
第1接続部50a及び第2接続部50bを備えた接続孔50において、第2接続部50bには、係合突条22によって第1実施形態と同様に電線管10を接続することができるようになっている。また、第1接続部50aにおいて、ボックス本体13の底壁12側の係合突条22と接続部材52とにより第1接続部50aに電線管10を接続することができるようになっている。さらに、接続部材52を係合突条22から折り取り除去することによって、第1接続部50aには、電線管10よりも大径をなす大径電線管60を接続することができるようになっている。この大径電線管60は、電線管10の凸条部10aより大径をなす凸条部と、電線管10の凹条部10bより大径をなす凹条部とを備える。
……(中略)……
【0052】
なお、第2接続部50bに電線管10を接続した後、接続部材52を除去し、挿入開口51から第1接続部50aに大径電線管60を挿入する。すると、大径電線管60の凹条部に係合突条22が挿入され、大径電線管60の凸条部に係合突条22が係合して第1接続部50aに大径電線管60を接続することができる。すなわち、接続孔50に電線管10と大径電線管60とを接続することが可能となり、しかも、その接続された電線管を、電線管10と大径電線管60の径の異なるものとすることができる。」
d 「【0067】
・ 各実施形態では、上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bの右側部に接続孔20,38を形成し、右側壁12d,32dのみに挿入開口21,39を形成したが以下のように変更してもよい。例えば、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dの固定孔15,34の周縁部に固定部が形成されたボックス本体13,33において、上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bの両側部に接続孔20,38を形成し、左側壁12c,32c及び右側壁12d,32dにそれぞれ挿入開口21,39を形成してもよい。又は上側壁12a,32a及び下側壁12b,32bの左側部のみに接続孔20,38を形成し、左側壁12c,32cのみに挿入開口21,39を形成してもよい。なお、円孔18,35等は場合によっては削除される。」
e 接続孔50が第1接続部50aを有することが記載された図11及び図12には、挿入開口51に連通する前記接続孔50には電線管10と大径電線管60が挿入接続され、前記接続孔50の前記第1接続部50aに接続された大型電線管60の外周面は、前記挿入開口51よりも外方に突出すること、が記載されている。

(イ)したがって、第4出願の出願当初の明細書等には、本件特許発明の、「固定部」を「ボックス本体の左側壁及び右側壁の少なくとも一方」に設け、「ボックス本体の側方に開口」して「接続孔に連通する挿入開口」を「前記固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上端部及び下端部」に形成するとともに「該当接座部が形成された側壁に相対向する側壁の前記挿入開口に連通する前記接続孔は、電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続する」という構成、すなわち、「ボックス本体」の左右両「側壁」に「挿入開口」を形成した上、左右両側から「電線管」を挿入した場合に「電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続」できるという構成が記載されていると認められる。
また、本件特許発明の他の発明特定事項が第4出願の出願当初の明細書等に記載されていることは、明らかである。
よって、本件特許発明は、第4出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。

ウ 次に、本件特許発明が、第4出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であるかどうか、検討する。
第4出願の明細書等は、本件出願の分割時である本件出願の現実の出願日において、その特許請求の範囲が補正されるとともに、当該補正に伴って、明細書の段落【0008】、【0009】、【0012】、【0071】及び【0072】が形式的に補正され、段落【0010】?【0011】が補正されたものである。すなわち、第4出願の出願当初明細書において、先に摘記した段落【0015】?【0018】、【0047】、【0049】?【0052】及び【0067】は補正されていない。
したがって、本件特許発明は、第4出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。

エ 以上から、本件出願は第4の1(2)Aaの要件を満たすものと認められる。

F 本件特許発明が第4の1(2)Abの要件を満たすかについて
(ア)第1出願の出願当初の明細書等を示す特開2005-51990号公報には、以下の記載がある。
a 「【0021】
(第1実施形態)
……(中略)……
【0023】
前記上側壁12a及び下側壁12bの左側部には、それぞれ円孔18が各側壁12a,12bを貫通して形成されている。
……(中略)……
【0024】
図1及び図2に示すように、前記上側壁12a及び下側壁12bの右側部には、それぞれ長孔状をなす接続孔20が各側壁12a,12bを貫通して形成されている。前記各接続孔20は、それぞれ上側壁12a及び下側壁12bの右端縁から中央部に向かって直線状に延びるように形成され、上下各側壁12a,12bの中央部に位置する端縁が円弧状に形成されている。図1及び図3に示すように、右側壁12dの上下両端部には挿入開口21が、当該右側壁12dを貫通して形成され、各挿入開口21は、それぞれボックス本体13の側方となる右方へ開口するように形成されている。」
b 「【0053】
・ 図11に示すように、第1実施形態の配線ボックス11における接続孔20を変更してもよい。すなわち、ボックス本体13の上側壁12a及び下側壁12bにおいて、円孔18が削除され長孔状をなす接続孔50が形成されている。各接続孔50は、それぞれその長さ方向が、ボックス本体13の深さ方向に対して直交する方向へ延びるように形成されている。各接続孔50は上側壁12a及び下側壁12bの左側壁12c側から隣接する右側壁12dに達するまで延びるように形成され、各接続孔50はそれぞれ右側壁12dの上下両端部に挿入開口51が形成されている。」
c 「【0055】
各接続孔50における挿入開口51側の開口幅(接続孔50の幅方向に相対向する内面間の長さ)は、接続孔50における奥側の開口幅(接続孔50の幅方向に相対向する内面間の長さ)より広く形成されている。そして、各接続孔50における挿入開口51側に第1接続部50aが形成され、接続孔50における第1接続部50aよりも奥側に第2接続部50bが形成されている。すなわち、第1接続部50aにおける開口幅が、第2接続部50bにおける開口幅より幅広に形成されている。
……(中略)……
【0058】
なお、第2接続部50bに電線管10を接続した後、接続部材52を除去し、挿入開口51から第1接続部50aに大径電線管60を挿入する。すると、大径電線管60の凹条部に係合突条22が挿入され、大径電線管60の凸条部に係合突条22が係合して第1接続部50aに大径電線管60を接続することができる。すなわち、接続孔50に電線管10と大径電線管60とを接続することが可能となり、しかも、その接続された電線管を、電線管10と大径電線管60の径の異なるものとすることができる。」
d 接続孔50が第1接続部50aを有することが記載された図11及び図12には、前記接続孔50は、ボックス本体13の当接座部14が設けられた側壁の方には開口しておらず、前記当接座部14が設けられた側壁に相対向する側壁の方に開口していること、前記接続孔50の第1接続部50aに接続された大型電線管60の外周面は、前記相対向する側壁の挿入開口51よりも外方に突出すること、が記載されている。

(イ)したがって、第1出願の出願当初の明細書等には、本件特許発明の、「ボックス本体の側方に開口」して「接続孔に連通する挿入開口」は「前記固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上端部及び下端部」に形成されているとともに、「前記固定部が形成された側壁には、外方へ突出して建物内の構造物に当接する当接座部が形成され、該当接座部が形成された側壁に相対向する側壁の前記挿入開口に連通する前記接続孔は、電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続する」という発明特定事項が記載されていると認められる。
また、本件特許発明の他の発明特定事項が第1出願の出願当初の明細書等に記載されていることは、明らかである。
したがって、本件特許発明は、第1出願の出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内のものであると認められる。

G 小括
以上から、第2出願、第3出願、第4出願、及び本件出願は、いずれも、第4の1(2)Aaの要件を満たすとともに、本件特許発明は、第1出願の当初明細書に記載した事項の範囲内のものであるから、第4の1(2)Abの要件を満たす。

(3)無効理由1の検討のまとめ
したがって、無効理由1についての請求人の主張は、本件特許を無効とするその根拠についての主張に誤りがあり、さらに、本件特許出願は適法な分割出願であるから、本件出願の出願日は、第1出願の出願日である平成16年6月16日に遡及する。
そして、第1出願は、平成15年7月11日に出願された特願2003-273745号(以下「先の出願」という。)に基づく優先権主張を伴っているから、本件特許発明に対する特許法第29条第1項第3号の規定の適用については、先の出願の当初明細書等に記載されている発明は前記先の出願の出願のときにされたものと、先の出願の当初明細書等に記載されていない発明は第1出願の出願のときにされたものとみなされることとなる。
そうすると、本件特許発明が、先の出願の出願日ないし第1出願の出願日のいずれよりも後の、平成24年7月26日に公開された本件出願の原出願である第4出願の公開特許公報に記載された発明であると主張する無効理由1は、その前提において誤りであり、理由がない。

2 無効理由2について
(1)本件特許発明が、甲第2号証、甲第5号証及び甲第6号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたかについて
A 書証の記載
ア 甲第2号証
審判請求人は、表紙に「2003-2004 電設資材総合カタログ」と記載され、奧付きに、「日動電工株式会社」及び「このカタログの記載内容は2003年(平成15年)5月現在のものです。」と記載された印刷物の写しを、甲第2号証として提出した。
(ア)甲第2号証の頒布性について
成立に争いがない甲第3号証には、印刷された前記「2003-2004 電設資材総合カタログ」が「平成15年5月上旬の複数日にわたって」請求人に納品されたことが記載されている。
同様に、成立に争いがない甲第4号証の1ないし30には、「平成15年5月中旬」に、請求人から前記「電設資材総合カタログ」の配布を受けたことが記載されている。
ここで、一般にカタログとは、販売促進のために作成者が積極的に配布することで、広く知られることを目的とするものであるから、その性質上、そこに記載されている内容に守秘義務はない。したがって、甲第2号証の前記「電設資材総合カタログ」は、遅くとも「平成15年5月中旬」までに日本国内において頒布されたものと認められる。
すなわち、甲第2号証の前記「電設資材総合カタログ」は、第1出願の優先日である平成15年7月11日の前に日本国内において頒布された刊行物であるといえる。

(イ)甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、以下の事項が記載されている(下線は参考のため、当審において付したもの。以下、同様である。)。
a 47ページ上段には、図面とともに以下の記載がある。
「配(ハイ)ボックスの特長
1.コネクタを使わずにそのままCD管・PFS管・通信用フレキの配管が
できます。
2.36mm厚から27mm厚まで、1個用?4個用まで豊富な商品バリエ-ション
を用意しています。
3.マグネッコ、マグネボーイでボックスの探知ができます。
※全商品にアルミ探知ができるアルミ箔付です。
4.本間仕切、計量間仕切に取り付けできる取付金物や
4mmバー取り付けシステムも充実しています。」

b 47ページ中段には、前記図面とともに以下の記載がある。
「配(ハイ)ボックスは、ケーブル配線を行う場合、保護管として14・16用CD・PFS・通信用フレキの配管が直接できます。」

c 48ページ左上段には、右上の図面とともに以下の記載がある。
「配(ハイ)ボックス(ケーブル配線スイッチBOX)
配ボックスはコネクタなしでそのまま配管ができます。
配管するときは
波付管を直接、配(ハイ)ボックスヘ差し込んでください。
(コネクタ・ジョイナーは必要ありません。)
コーナーノックをペンチなどで折りとり、波付管の“2山目”を図のように強めに押しながら差し込んでください。」

d 第47ページの図面には「配ボックス」の斜視図が記載されており、次の事項を見て取ることができる。
「配ボックス」は、図面内右前方側に開口を有する直方体形状の物体(以下「ボックス本体」という。)からなり、前記ボックス本体は、前記開口が形成された面(以下「開口面」という。)に対向する壁部(以下「底壁」という。)と、前記底壁から立設された4つの側壁(図面の上部、下部、右側、左側にある側壁をそれぞれ「上側壁」、「下側壁」、「右側壁」、「左側壁」という。)を備えることで、四角箱状の形状を有しており、前記4つの側壁は、底壁と開口の間を繋ぐ壁面を構成している。
右側壁には、「ラッパねじ1本付(2個用・3個用は2本付)」との記載とともに、ラッパねじを適用することが示されており、該ラッパねじは第48ページ右上の図面でも確認できるように、前記ボックス本体を構造物に取り付けるために使用されるものである。また、右側壁及び左側壁のそれぞれには、ボックス本体の奥行き方向(前記底壁に垂直な方向)に伸びる複数の長孔状の開口(以下「固定孔」という。)が形成されており、前記ラッパねじを挿通可能な固定部を構成していることは、当業者には明らかである。
そして、右側壁の開口面側には、開口とは反対側の外方に突出するフランジ部が形成されている。
上側壁には、「保護管としてのCD管・PF管・通信用フレキ14・16が配管できます。」との説明とともに、保護管を接続するための一対の開口(以下「接続孔」という。)が形成されている。
前記一対の接続孔のうち、右側の接続孔において、「取付方法 ノック爪部を折って矢印の方向から入れて下さい。」との説明とともに、ボックス本体の図面内左後方に配置した保護管の端部を、ボックス本体の底壁側から開口側に向かう矢印の方向に入れて、ボックス本体に接続することが示されている。接続孔には、ノック爪部が形成されており、保護管を挿入する前にノック爪部を折って除去することによって、保護管を挿入可能な通路を形成するものと認められる。したがって、ノック爪部を除去した後の接続孔は、ボックス本体の上側壁において底壁側端部から開口側に向かって延びるように形成されているものと認められる。
前記一対の接続孔のうち、左側の接続孔には保護管を接続する以外に、ケーブル単独でも挿通可能であることが示されている。そして、図面には下側壁に左側の接続孔を有することは図示されていないが、前記ケーブルが、上側壁及び下側壁を貫いて配置されていることから、下側壁にも上側壁と同様な一対の接続孔が形成されているものと認められる。

e 第48ページ右上の図面には、「配ボックス」を底壁側から見たと認められる斜視図が記載されており、前記cの記載を参照すると、次の事項を見て取ることができる。
「配ボックス」の上側壁には、一対の接続孔が形成されており、前記接続孔近傍の底壁の端部から、上側壁のうち接続孔の底壁側端部にかけて、コーナーノックが形成されており、波付管を接続孔に差し込むためにコーナーノックを折り取った後に、波付管の2山目(2山と3山の谷部。以下、この「2山目」を「端部」という。)を差し込むための、点線で示された開口(以下「ノック開口」という。)が形成されている。また、前記コーナーノック(コーナーノックを折り取った後であればノック開口)は、ボックス本体の底壁上端部の左右両側のみでなく、底壁下端部の左右両側にも形成されている。そして、底壁の左側の上端部と下端部に位置するノック開口は互いに連通することなく離れて形成され、底壁の右側の上端部と下端部に位置するコーナーノックも互いに連通することなく離れて形成されている。
さらに、同図面には、上側壁に形成された一対の接続孔のうち、左側を指して、「14用(16用も使用可)」と、右側を指して、「16用(CD管・PF管・通信用フレキなど)」と記載されている。
また、同図面には、「2山目を差し込む(2山と3山の谷部)」との記載とともに、「波付管」が記載されており、波付管は山と谷が繰り返して形成されており、端部の2山目を差し込むものである。同図面の左側には、「波付管を直接、配(ハイ)ボックスヘ差し込んでください。」及び「波付管の“2山目”を図のように強めに押しながら差し込んでください。」と記載されている。当該記載と同図面とを突き合わせると、波付管の2山と3山の谷部をノック開口に挿入し、接続孔に沿って強めに押しながら差し込むものと認められる。
同図面には、ボックス本体の左側壁(図は底壁側から見た斜視図であるので、図面右側の側壁)には3箇所の突出部とそれらを開口面側でつなぐフランジ部とからなる構成が形成されており、ボックス本体の前記突出部を構造物に接触するようにして、ラッパねじで取り付けることが示されている。

f 第48ページ下側には、「軽量間仕切 C型背面、角管タイプ、木間仕切」、「軽量間仕切 C型開口部」及び「配ボックスにはいろいろな取付方法があります。」という記載とともに、6個の取付方法が図示されている。
左上及び左下の取付方法は、フランジ部が形成された側壁を構造物に「直付け」して取付けるものである。
他の、中上、右上、中下及び右下の取付方法は、すべて、治具を利用することで、配ボックスの側壁及び底壁を構造物から離隔させるものである。そのうち、中上及び右下の取付方法は配ボックスの底壁を前記治具としての「軽量間仕切固定金具」に固定し、右上の取付方法は前記治具としての「4mmバー」に配ボックスの「ツメ」を係止させて固定し、中下の取付方法は配ボックスのフランジ部が形成された側壁を前記治具としての「ワンタッチ留具」に固定することが、それぞれ図示されている。

g 第49ページ右上には、「配(ハイ)ボックス:台付型 SM(ケーブル配線スイッチBOX)」という記載とともに、配ボックスSM36A、SM36A2、SM36A3及びSM36A4のそれぞれについて、正面図と側面図が示されている。このうち、「配ボックスSM36A」の正面図から、当該「配ボックスSM36A」は底壁に1個の接続孔を有することを見て取ることができる。
そして、前記正面図と側面図の下に記載された表には、配ボックスSM36Aは、「商品コード」は「25SM36A」であること、「ご注文品番」は「SM36A」であること、「品名」は「配(ハイ)ボックス台付型・1個用」であること、「側面ノックアウト」は「14用×2個・16用×3個」であること、がそれぞれ記載されている。
ここで、「配ボックスSM36A」は、前記第47ページ及び第48ページの各図面で示された「配ボックス」のうち、特に、前記第49ページの正面図、側面図と表の記載で特徴付けられる配ボックスを指すことは明らかである。

h 第47ページに記載された「保護管」とは「14・16用CD・PFS・通信用フレキ」のことであり、第48ページに記載された「波付管」とは「CD管・PF管・通信用フレキ」のことであるから、「保護管」と「波付管」が同一物を表していることは明らかである。また、フレキとはフレキシブル、即ち可撓性を有することを示すものと認められるから、「保護管」または「波付管」は可撓性を有するものと認められる。また、「保護管」とはケーブルを保護するために用いられるものであることは技術常識である。以下では、「保護管」または「波付管」は、統一して「保護管」と言うものとする。

(ウ)甲2発明1
以上のa?hの記載事項を総合すると、甲第2号証には、次の配ボックス(以下「甲2発明1」という。)が記載されている。

「底壁と、その底壁から立設された側壁とにより、一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体を備える配ボックスSM36Aであって、前記ボックス本体の左側壁及び右側壁には、構造物に前記ボックス本体を固定するためのラッパねじを挿通可能な前記底壁に垂直な方向に伸びる長孔状の固定孔が設けられているとともに、前記ボックス本体の上側壁及び下側壁には、可撓性を有する保護管を接続するための接続孔がそれぞれ一対形成され、
前記一対の接続孔のうち、前記ボックス本体を底壁から見たときの左側は14用(16用も使用可)であり、右側は16用であり、
前記ボックス本体の底壁の上端部及び下端部の各左右両側には、前記ボックス本体の底壁側に開口するとともに、前記接続孔に連通するノック開口がそれぞれ形成されており、
前記一対の接続孔は、それぞれ、前記ボックス本体の上側壁及び下側壁において、前記底壁側端部のノック開口から開口側に向かって延びるように形成され、
前記ボックス本体の底壁の左側の上端部及び下端部に位置するノック開口は互いに連通することなく離れて形成され、底壁の右側の上端部と下端部に位置するノック開口も互いに連通することなく離れて形成されており、
前記ボックス本体の左側壁には3箇所の突出部とそれらを開口面側でつなぐフランジ部とからなる構成が形成されており、ボックス本体の前記突出部を構造物に接触するようにして、前記配ボックスSM36Aは前記ラッパねじで取り付けられ、
前記保護管の2山と3山の谷部を前記ノック開口に挿入し、前記接続孔に沿って前記ボックス本体の底壁側から開口側に向かう方向に強めに押しながら差し込むことで、前記保護管を前記ボックス本体に接続することを特徴とする配ボックスSM36A。」

イ 甲第5号証
第1出願の優先日である平成15年7月11日の前に日本国内において頒布された刊行物である甲第5号証(実用新案登録第2524247号公報)には、「電設用ボックス」(考案の名称)に関し、図1?図5とともに、以下の記載がある。
a 「【請求項1】 内部空間に電線が導入される合成樹脂製で中空のボックス本体における外壁の所定箇所に、端部近傍箇所に環状溝を有する合成樹脂製の電線保護管における上記環状溝の溝底直径と同一径または略同一径で厚さが上記環状溝に嵌合可能な寸法に定められた保護管保持用口部が設けられ、この保護管保持用口部における周方向の所定箇所に、上記外壁の端縁で開放されて上記保護管を径方向で上記保護管保持用口部に抜き差し可能とする切欠口部が切欠形成され、その切欠口部の開口幅を上記保護管における環状溝の溝底直径よりもやゝ小さい寸法になるように狭めかつ上記保護管の環状溝に嵌合可能な厚さ寸法を有する突片が上記切欠口部と保護管保持用口部との境界箇所に設けられていることを特徴とする電設用ボックス。
【請求項2】 上記保護管保持用口部と上記切欠口部とを塞ぎかつ押圧力を加えることによりそれらの口部から分断される蓋板が、上記ボックス本体と一体に設けられている請求項1に記載の電設用ボックス。」

b 「【0003】従来、住宅用スイッチボックスのような弱電路に用いられる電設用ボックスにおいては、電線の挿通された保護管と上記ボックスとをコネクタを介して接続し、そのコネクタを通して上記電線をボックスの内部空間に導入していた。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】ところが、コネクタを介してボックスと保護管とを接続することは、コネクタが余分に必要になり、それだけコスト高になるという問題があるばかりでなく、コネクタをボックス側や保護管側に接続するという余分な煩わしい作業を行うことを余儀なくされるという問題があった。
【0005】本考案は以上の問題にかんがみてなされたものであり、コネクタやその他の別部品を使わず、当該ボックスに具備された構造だけで保護管を所謂ワンタッチ式にボックスに接続することができるようにすることによって、コネクタを省略してコスト低減を図り、同時に煩わしいコネクタの接続作業を省略することのできる電設用ボックスを提供することを目的とする。」

c 「【0010】
【実施例】図1は請求項1の考案の実施例による合成樹脂製の電設用ボックスAとそれに接続される合成樹脂製の電線保護管Bを示した概略斜視図である。
【0011】保護管Bは同一径のリング状山部91と同一径のリング状谷部92とが繰り返し連続された、比較的剛性の高い可撓性を備える管であり、この保護管Bはコンクリートや地中などに埋設したり、あるいは露出したりして敷設され、その内部に挿通される電線を保護する機能を有している。この保護管Bにおいて、端部近傍箇所の任意の谷部92が後述する環状溝として利用される。したがって、以下の説明では、環状溝に符号92aを付すことにする。
【0012】ボックスAは、その外壁としての底壁11および4つの側壁12…によって一面開放の箱形に成形されたボックス本体1を有しており、その外壁である所定の側壁12に円形の保護管保持用口部2が開設されている。図1には1つの側壁12に大きさの異なる2つの保護管保持用口部2,2が開設されたものを示してあり、各保護管保持用口部2,2の直径はそれぞれに対応する保護管Bの谷部92の谷底直径(すなわち環状溝92aの溝底直径)に合わせてある。すなわち、保護管保持用口部2の直径は、保護管Bにおける環状溝92aの溝底直径と同一径または略同一径に定められている。また、保護管保持用口部2はその周縁部を面取りすることにより薄肉化されており、その薄肉部21の厚さが上記環状溝92aに嵌合可能な寸法に定められている。なお、図1には下側の保護管保持用口部2に対応する保護管Bだけを示してあり、上側の保護管保持用口部2に対応する保護管については図示省略してある。
【0013】上記保護管保持用口部2はその周方向の所定箇所が切欠かれており、その切欠口部22が一様幅で底壁11側に延び出して側壁12の端縁で開放されている。また、底壁11には上記切欠口部22につながる開口部23が開設されている。そして、上記切欠口部22や開口部23の開口幅は、保護管Bにおける環状溝92aの溝底直径に合わせてある。この実施例においては、切欠口部22や開口部23の開口幅を保護管Bにおける谷部92の谷底直径、すなわち環状溝92aの溝底直径と同一か、それよりもわずかに小さな寸法に定めてある。」

d 「【0017】図1?図3において、61はボックス本体1に一体に設けられた取付用座部、62はたとえばスイッチパネル(不図示)を固定するための取付ねじ(不図示)の締付部である。」

e 「【0020】この実施例では、保護管保持用口部2の直径が保護管Bにおける環状溝92aの溝底直径と同一径または略同一径に定められており、しかも、切欠口部22と保護管保持用口部2との境界箇所に突片3,3が設けられているので、保護管Bの環状溝92aの底面が保護管保持用口部2の内周端面と突片3,3とによってがたつきなく、または押圧状態で挾み付けられて保護管Bががたつきなく強固にボックス本体1に接続される。」

f 「【0021】上記電設用ボックスAにおいて、保護管保持用口部2や切欠口部22を設ける箇所や数は図示実施例に限定されるものではない。したがって、底壁11に設けておいてもよく、そのようにすることによってボックス本体1の内部空間に導入する電線についての方向性の規制が緩和される。また、2つの蓋体4,5を一体物としてもよく、さらに突片3,3は1つだけであってもよい。
【0022】
【考案の効果】請求項1の電設用ボックスによれば、保護管をボックス本体側の切欠口部を通して径方向に押し込むことにより、その保護管の環状溝に保護管保持用口部を嵌合させるという作業を行うだけで保護管をボックス本体に接続することができ、しかも接続した状態では、保護管が押し引き作用を受けてボックス本体から離脱したりボックス本体の内部に押し込まれたり、あるいは保護管が切欠口部側へ引き抜かれたりするといった事態が生じないので、保護管をコネクタを使わずにボックス本体に強固にかつ確実に、しかもワンタッチ式に接続することができるという効果がある。
【0023】請求項2の電設用ボックスによれば、蓋板を押し付けて保護管保持用口部や切欠口部が分断することにより、保護管をコネクタを使わずにボックス本体に強固にかつ確実に、しかもワンタッチ式に接続することができるようになるという効果がある。また、使わない保護管保持用口部と切欠口部においては蓋板がごみの侵入などを防ぐ盲蓋として役立つ。さらに、分断されていない蓋板は、使わない保護管保持用口部や切欠口部を設けたことによるボックス本体の強度低下を抑制する強度維持部材としての機能を発揮するため、ボックス本体に多くの保護管保持用口部や切欠口部を設けて多方向からの電線の導入や多数本の電線の導入に対処し得るようにしておいても、ボックス本体の強度がそれほど低下しないという効果がある。」

ウ 甲第6号証
第1出願の優先日である平成15年7月11日の前に日本国内において頒布された刊行物である甲第6号証(特開平9-289720号公報)には、「配線用ボックス」(発明の名称)に関し、図1?図12とともに、以下の記載がある。
a 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建築壁面等に取付けられ、内部にケーブルが配線される配線用ボックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の配線用ボックスを図12に示す。図において、配線用ボックス1は取付部3において取付ネジを使用して木枠の縦桟21に取付けられている。この配線用ボックス1にケーブル11を配線するには、配線用ボックス1の側壁のノックアウト部1aを打抜いた、または、予め設けられた透孔にケーブル11を上方から挿入し、次いで、配線に必要となるケーブル11の余長部11aを巻き束ねて配線用ボックス1内に納め、その後、配線用ボックス1内に収容したケーブル11の余長部11aを壁表に引出してスイッチ等の配線器具に接続するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の配線用ボックス1では、ケーブル11を内部に挿入するためにノックアウト部1aを打抜く必要があり、手間を要した。また、ノックアウト部1aの打抜き後の透孔或いは予め設けられた透孔にケーブル11をその先端部から挿入する作業が面倒であった。更に、余長部11aを丸く束ねて収容する作業も同様に面倒であった。そして、カッターを使用して穿設するときに、誤って束ねられた余長部11aのケーブル11を傷付けてしまうことがあった。
【0004】そこで、本発明は、極めて簡単に、かつ、ケーブルを傷付けることなく、内部にケーブルを配線できる配線用ボックスの提供を課題とするものである。」

b 「【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図1乃至図3に基づいて説明する。図において、配線器具が収容される合成樹脂製の配線用ボックス1はボックス本体2の一側壁に取付部3が設けられており、取付孔4に取付ねじが斜め方向から挿通されて木枠の縦桟21に取付けられるようになっている。そして、前面開口5は室内の壁面22に穿設された壁穴23に臨むようになっており、枠取付孔6において図示しない配線器具取付枠が取付けられるようになっている。
【0009】更に、配線用ボックス1は取付部3の対向側の側壁7にボックス本体2内を上下方向に貫通する切欠部8が形成されており、その切欠開口8aから側壁7を横切るようにケーブル11を挿入できるようになっている。前記切欠部8はケーブル11を挟持する大きさとしてもよく、或いは、切欠開口8aを狭くすることによってケーブル11が外方に抜脱しなければ単に挿通されるだけの大きさとしてもよい。なお、切欠部8はボックス本体2の上下の側壁にノックアウト部が形成されている場合には、それと連通して形成してもよい。また、切欠開口8aの両縁部を丸く面取加工しておけば、ケーブル11の挿入が容易となり、ケーブル11の傷付きを防止することもできる。
【0010】次に、上記のように構成された本実施例の配線用ボックスにおけるケーブルの配線について説明する。予め取付孔4に取付ねじを使用して縦桟21に取付けられた配線用ボックス1にケーブル11を配線するには、上方から配線用ボックス1の周囲にケーブル11を垂下させ、次に、図2のように、ケーブル11の下方を把持してボックス本体2内を横切らせるべく側壁7に対して平行な状態で切欠開口8aから切欠部8内にケーブル11を挿入する。挿入後は、ケーブル11はボックス本体2内に露出した状態で上下方向に貫通することとなる。その後、図3のように、壁穴23の前方からボックス本体2内に貫通しているケーブル11を掴んでその下端部をボックス本体2内に引上げつつ壁穴23から壁表に引出し、ケーブル11の先端部を図示しない配線器具に接続する。以上によって、ケーブル11の配線は完了する。
【0011】このように、上記実施例の配線用ボックスは、ボックス本体2の側壁7を横切るようにケーブル11を挿入して前記ボックス本体内2を貫通させるべく、前記側壁7に切欠部8が形成されたものである。
【0012】したがって、ノックアウト部を打抜いた後の透孔或いは予め設けられた透孔にケーブルを先端部から挿入するといった面倒な作業を行なうことなく、側壁7に対して側方からケーブル11を切欠開口8aに向かって平行にずらして横切らせるだけの極めて簡単な操作で切欠部8内に挿入することができる。また、余長部11aはケーブル11を直線状態のままボックス本体2内に貫通させて保持できるから、従来のように、丸く束ねて収容するという面倒な作業も不要である。そして、余長部11aは束ねた状態で収容されていないので、カッターを使用して穿設するときに、誤って余長部11aのケーブル11を傷付けてしまうこともない。
【0013】ところで、上記実施例では、側壁7に切欠部8を形成しているが、図4に示すように、ボックス本体2の底壁9に形成しても構わない。なお、切欠部8は2個形成しているが、ケーブル11の本数に応じて適宜数とすればよい。但し、前記側壁7に切欠部8を形成した場合には、配線用ボックス1の側方からケーブル11を挿入できるため、壁厚の制限を受けずに挿入することができる。また、前記実施例では、ボックス本体2は箱状に形成されたものを示しているが、図5に示すように、周壁が円形状に形成された場合にも適用することができる。即ち、図において、周壁7aが円形状であるボックス本体2には、これを横切ってケーブル11が挿通されるべく周壁7aに切欠部8が形成されており、この場合にも前記箱状のボックス本体2と同様の作用、効果が期待できる。」

c 「【0019】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明の配線用ボックスは、ボックス本体の周壁面を横切るようにケーブルを挿入して前記ボックス本体内を貫通させるべく、前記周壁面に切欠部が形成されたものである。したがって、ケーブルを周壁面に側方から切欠開口に向かってずらすだけの極めて簡単な操作で切欠部内に挿入し、ボックス本体内に貫通した状態で収容することができる。また、余長部はケーブルを直線状態のままボックス本体内に貫通させて保持できるから、従来のように、丸く束ねて収容するといった面倒な作業が不要である。そして、余長部は束ねた状態で収容されていないので、カッターを使用して穿設するときに、誤って余長部のケーブルを傷付けてしまうこともない。
【0020】請求項2の発明の配線用ボックスは、請求項1に記載の切欠部がボックス本体の側壁に形成されたものである。したがって、特に、配線用ボックスの側方からケーブルを挿入できるため、壁厚の制限を受けずに挿入することができる。」

B 本件特許発明と甲2発明1との対比
ア 甲2発明1の「底壁と、その底壁から立設された側壁とにより、一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体」及び前記「ボックス本体を備える配ボックスSM36A」は、本件特許発明の「底壁と、その底壁から立設された側壁とより一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体」及び「配線ボックス」に相当する。
甲2発明1の「前記ボックス本体の左側壁及び右側壁」に設けられている「構造物に前記ボックス本体を固定するためのラッパねじを挿通可能な前記底壁に垂直な方向に伸びる長孔状の固定孔」と、本件特許発明の「同ボックス本体の左側壁及び右側壁の少なくとも一方」に設けられている「建物内の構造物にボックス本体を固定するための固定ビスを挿通可能な固定部」とは、「同ボックス本体の左側壁及び右側壁の少なくとも一方」に設けられている「構造物にボックス本体を固定するための固定ビスを挿通可能な固定部」である点で共通する。
また、甲2発明1の「前記ボックス本体の上側壁及び下側壁」に「それぞれ一対形成され」る「可撓性を有する保護管を接続するための接続孔」と、本件特許発明の「ボックス本体の上側壁及び下側壁」に「形成され」る「合成樹脂製の可撓性を有する電線管を接続するための接続孔」とは、「ボックス本体の上側壁及び下側壁」に「形成され」る「可撓性を有する電線管を接続するための接続孔」である点で共通する。

イ 甲2発明1において「前記ボックス本体の底壁の上端部及び下端部の各左右両側には、前記ボックス本体の底壁側に開口するとともに、前記接続孔に連通するノック開口がそれぞれ形成され」ることと、本件特許発明の「前記固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上端部及び下端部には、ボックス本体の側方に開口するとともに、前記接続孔に連通する挿入開口がそれぞれ形成される」こととは、「ボックス本体」の「壁」の「上端部及び下端部」には「前記接続孔に連通する挿入開口がそれぞれ形成される」点で共通する。
甲2発明1の「前記ボックス本体の底壁の左側の上端部及び下端部に位置するノック開口は互いに連通することなく離れて形成され、底壁の右側の上端部と下端部に位置するノック開口も互いに連通することなく離れて形成され」ていることと、本件特許発明の「上下両挿入開口は互いに連通することなく離れて形成され」ていることとは、「上下両挿入開口は互いに連通することなく離れて形成され」ている点で一致する。
甲2発明1において「前記保護管の2山と3山の谷部を前記ノック開口に挿入し、前記接続孔に沿って前記ボックス本体の底壁側から開口側に向かう方向に強めに押しながら差し込むことで、前記保護管を前記ボックス本体に接続する」ことと、本件特許発明において「当該挿入開口に挿入された電線管を、前記固定ビスにより固定部が構造物に押し付けられた方向に沿って移動させることにより、当該電線管を接続孔に挿入可能に形成」することとは、「当該挿入開口に挿入された電線管」を「移動させることにより、当該電線管を接続孔に挿入可能に形成」する点で共通する。

ウ 甲2発明1において、「構造物に前記ボックス本体を固定するためのラッパねじを挿通可能な前記底壁に垂直な方向に伸びる長孔状の固定孔」は「前記ボックス本体の左側壁及び右側壁」に設けられている。
したがって、甲2発明1の「前記ボックス本体の左側壁」に「形成され」た「3箇所の突出部とそれらを開口面側でつなぐフランジ部とからなる構成」と、本件特許発明の「前記固定部が形成された側壁」に「形成され」た「外方へ突出して建物内の構造物に当接する当接座部」とは、「前記固定部が形成された側壁」に「形成され」た「外方へ突出」して「構造物に当接する当接座部」である点で共通する。
そして、甲2発明1の「前記ボックス本体の底壁の上端部及び下端部の各左右両側には、前記ボックス本体の底壁側に開口するとともに、前記接続孔に連通するノック開口」と、本件特許発明の「該当接座部が形成された側壁に相対向する側壁の前記挿入開口に連通する前記接続孔」とは、「前記挿入開口に連通する前記接続孔」である点で共通する。

エ 甲2発明1の「配ボックスSM36A」は、本件特許発明の「配線ボックス」に相当する。

オ 以上から、本件特許発明と甲2発明1とは、以下の点で一致するとともに、以下の点で相違している。
(一致点)
「底壁と、その底壁から立設された側壁とより一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体を備え、同ボックス本体の左側壁及び右側壁の少なくとも一方には、構造物にボックス本体を固定するための固定ビスを挿通可能な固定部が設けられているとともに、ボックス本体の上側壁及び下側壁には、可撓性を有する電線管を接続するための接続孔が形成され、
壁の上端部及び下端部には、前記接続孔に連通する挿入開口がそれぞれ形成されることにより、上下両挿入開口は互いに連通することなく離れて形成され、当該挿入開口に挿入された電線管を移動させることにより、当該電線管を接続孔に挿入可能に形成し、
前記固定部が形成された側壁には、外方へ突出して構造物に当接する当接座部が形成され、前記挿入開口に連通する前記接続孔を有することを特徴とする配線ボックス。」

(相違点1)
本件特許発明の「構造物」は「建物内」にあるのに対して、甲2発明1の「構造物」はどこにあるか特定されていない点。

(相違点2)
本件特許発明の「電線管」は「合成樹脂製」であるのに対して、甲2発明1の「保護管」はこの点について特定されていない点。

(相違点3)
本件特許発明においては、「挿入開口」は「前記固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上端部及び下端部には、ボックス本体の側方に開口」して形成され、「接続孔」は「ボックス本体の上側壁及び下側壁」に「当接座部が形成された側壁に相対向する側壁の前記挿入開口に連通」して形成することで、「当該挿入開口に挿入された電線管を、前記固定ビスにより固定部が構造物に押し付けられた方向に沿って移動させる」のに対して、甲2発明1においては、「ノック開口」は「前記ボックス本体の底壁の上端部及び下端部の各左右両側には、前記ボックス本体の底壁側に開口」して形成され、「接続孔」は「前記ボックス本体の上側壁及び下側壁」に「ノック開口」に「連通」して形成されることで「前記保護管の2山と3山の谷部を前記ノック開口に挿入し、前記接続孔に沿って前記ボックス本体の底壁側から開口側に向かう方向に強めに押しながら差し込む」点。

(相違点4)
本件特許発明においては、「接続孔」は「電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続する」のに対して、甲2発明1においては、「接続孔」に沿って「差し込む」ことで「前記ボックス本体に接続」された「前記保護管」の外周面が前記「ノック開口」よりも外方へ突出するかどうか不明である点。

C 相違点についての判断
上記相違点1?4のうち、相違点3について検討する。

甲2発明1は、「ノック開口」を「前記ボックス本体の底壁の上端部及び下端部の各左右両側には、前記ボックス本体の底壁側に開口」して形成し、「接続孔」は「前記ボックス本体の上側壁及び下側壁」に「ノック開口」に「連通」して形成することで「前記保護管の2山と3山の谷部を前記ノック開口に挿入し、前記接続孔に沿って前記ボックス本体の底壁側から開口側に向かう方向に強めに押しながら差し込む」ものである。
この構成を、甲第5号証または甲第6号証の記載に基づいて、本件特許発明のように、前記「ノック開口」を「固定孔」が形成された「側壁」に相対向する「側壁」に「ボックス本体の側方に開口」して形成し、「接続孔」を「ボックス本体の上側壁及び下側壁」に「3箇所の突出部」が形成された「ボックス本体の左側壁」に相対向する「右側壁」の「ノック開口」と連通して形成することで、当該「ノック開口」に挿入された「保護管」を「ラッパねじ」により「固定孔」が「構造物」に押し付けられた方向に沿って移動させる構成とすることが、当業者が容易になし得たことであるかについて、以下検討する。

ア 甲第2号証の検討
甲第2号証には、「接続孔」や「ノック開口」を、同号証に開示されている位置とは異なる位置に形成することは、記載も示唆もされていない。
したがって、甲第2号証自体からは、「接続孔」や「ノック開口」を、同号証に開示されている位置とは異なる位置に形成すること、「保護管」の挿入方向を変更すること、についての動機付けを見出すことはできない。

イ 甲第5号証の記載に基づいた検討
(ア)甲第5号証には、第4の2(1)Aイで摘記したように、「コネクタやその他の別部品を使わず、当該ボックスに具備された構造だけで保護管を所謂ワンタッチ式にボックスに接続することができるようにすることによって、コネクタを省略してコスト低減を図り、同時に煩わしいコネクタの接続作業を省略することのできる電設用ボックスを提供することを目的とする」(段落【0005】)ことが記載され、当該目的を達成するために「内部空間に電線が導入される合成樹脂製で中空のボックス本体における外壁の所定箇所に、端部近傍箇所に環状溝を有する合成樹脂製の電線保護管における上記環状溝の溝底直径と同一径または略同一径で厚さが上記環状溝に嵌合可能な寸法に定められた保護管保持用口部が設けられ、この保護管保持用口部における周方向の所定箇所に、上記外壁の端縁で開放されて上記保護管を径方向で上記保護管保持用口部に抜き差し可能とする切欠口部が切欠形成され、その切欠口部の開口幅を上記保護管における環状溝の溝底直径よりもやゝ小さい寸法になるように狭めかつ上記保護管の環状溝に嵌合可能な厚さ寸法を有する突片が上記切欠口部と保護管保持用口部との境界箇所に設け」(実用新案登録請求の範囲の請求項1)たものである。
そして、その段落【0021】には、「上記電設用ボックスAにおいて、保護管保持用口部2や切欠口部22を設ける箇所や数は図示実施例に限定されるものではない。したがって、底壁11に設けておいてもよく、そのようにすることによってボックス本体1の内部空間に導入する電線についての方向性の規制が緩和される。」と記載されている。
すなわち、甲第5号証の段落【0021】には、「ボックス本体における外壁の所定箇所」に設ける「保護管保持用口部」や、「保護管保持用口部における周方向の所定箇所」を「切欠形成」して「上記外壁の端縁で開放され」る「切欠口部」を設ける箇所は、図1のような右側の側壁12に限定されず、「底壁11」や他の側壁であってもよいことが示唆されている。そして、「そのようにする」こと、すなわち、前記「保護管保持用口部」や前記「切欠口部」を「設ける箇所や数」を「限定」しないことによって「ボックス本体1の内部空間に導入する電線についての方向性の規制が緩和される」ことが記載されている。

(イ)ここで、上記のように、「ボックス本体1の内部空間に導入する電線についての方向性」を変更する場合、前記「電線」は「保護管」内に挿入されて「ボックス本体1の内部空間に導入」されるから、前記「保護管保持用口部」を設ける箇所を「ボックス本体」における別の「外壁」に変更することが必要である。そして、前記「保護管保持用口部」を設ける箇所を別の「外壁」に変更する場合、当該変更に伴って、前記「切欠口部」を設ける箇所ないし「開口」形態も変更されることは明らかである。
しかしながら、前記「保護管保持用口部」を設ける箇所を変更しない場合、すなわち、前記「保護管保持用口部」を設ける箇所を図1のように右側の側壁12のままとして、「ボックス本体1の内部空間に導入する電線」の「方向性」は変更せずに、「切欠口部」だけを底壁11側から上側の側壁12側に「開口」するように変更して、「ボックス本体1の内部空間に導入」される「電線保護管」挿入の「方向性」を変更することについてまで、前記段落【0021】に記載ないし示唆されているとは認めることはできない。
また、甲第5号証の全体を精査しても、前記「保護管保持用口部」が右側の側壁12に設けられている場合に、「切欠口部」を設ける箇所のみを、底壁11側から、上側の側壁12側に変更することについて示唆する記載を発見することができない。

(ウ)なお、甲第5号証において、「保護管保持用口部」を設ける「ボックス本体における外壁」として「底壁11」を選択し、これに伴い、前記「底壁11」の端縁で開放される「切欠口部」を上側の側壁12側に向かって開放させた場合、当該「切欠口部」に挿入された「電線保護管」は、甲第5号証の図1において、取付ねじにより取付用座部61が構造物に押し付けられた方向に沿って移動することにより「保護管保持用口部」に挿入されることとなると認められる。
しかし、この場合、「保護管保持用口部」は「底壁11」に設けられるから、仮に、甲2発明1に甲第5号証の構成を組み合わせることができたとしても、本件特許発明の「接続孔」に対応する前記「保護管保持用口部」が「ボックス本体の上側壁及び下側壁」に形成されるという、本件特許発明の構成を得ることはできない。

(エ)よって、甲2発明1において、甲第5号証の記載に基づいて、「ノック開口」を「固定孔」が形成された「側壁」に相対向する「側壁」に「ボックス本体の側方に開口」して形成すること、「接続孔」を「ボックス本体の上側壁及び下側壁」に「3箇所の突出部」が形成された「ボックス本体の左側壁」に相対向する「右側壁」の「ノック開口」と連通して形成すること、これらにより、「ノック開口」に挿入された「保護管」を「ラッパねじ」により「固定孔」が「構造物」に押し付けられた方向に沿って移動させる構成とすることが、当業者が容易になし得たことであるということはできない。

ウ 甲第6号証の記載に基づいた検討
(ア)第4の2(1)Aウで摘記した記載を総合すると、甲第6号証には、「従来の配線用ボックス1では、ケーブル11を内部に挿入するためにノックアウト部1aを打抜く必要があり、手間を要した。また、ノックアウト部1aの打抜き後の透孔或いは予め設けられた透孔にケーブル11をその先端部から挿入する作業が面倒であった。」(段落【0003】)ので、「極めて簡単に、かつ、ケーブルを傷付けることなく、内部にケーブルを配線できる配線用ボックスの提供を課題とする」(段落【0004】)こと、「配線用ボックス1は取付部3の対向側の側壁7にボックス本体2内を上下方向に貫通する切欠部8が形成されており、その切欠開口8aから側壁7を横切るようにケーブル11を挿入できる」(段落【0009】)ようにしたこと、「側壁7に切欠部8を形成しているが、図4に示すように、ボックス本体2の底壁9に形成しても構わない。」(段落【0013】)こと、これらの構成により、「ケーブルを周壁面に側方から切欠開口に向かってずらすだけの極めて簡単な操作で切欠部内に挿入し、ボックス本体内に貫通した状態で収容することができる」(段落【0019】)こと、また、「側壁7に切欠部8を形成」した場合には「配線用ボックスの側方からケーブルを挿入できるため、壁厚の制限を受けずに挿入することができる」(段落【0020】)という効果を奏すること、が記載されている。

(イ)甲第2号証に記載された配ボックスSM36Aにおいて、配ボックス内にケーブルを挿入するためには、配ボックスの「接続孔」に「保護管」を接続してケーブルを挿入する方法と、甲第2号証の第47ページの図に記載されているように、「保護管」を用いずにケーブルを直接配ボックスに挿入する方法のいずれかを採用することができる。
一方、甲第6号証は、配線用ボックスに上下方向に貫通する切欠部を形成することによって、切欠部の切欠開口から側壁または底壁を横切るように保護管を用いずにケーブルを簡単に挿入できるようにしたものであり、仮に、配線用ボックスに保護管を接続すると、ケーブルの簡単な挿入ができなくなることは明らかだから、配線用ボックス内にケーブルを導くために保護管を用いないことが甲第6号証の前提となっている。
そして、甲第6号証には、保護管については何ら記載されておらず、保護管を挿入するための「ノック開口」を設けることについても、記載も示唆もされていないから、甲2発明1において、甲第6号証の記載に基づいて、本件特許発明の構成を得ることが、当業者にとって容易になし得たことであるということはできない。
さらに、甲第6号証において、保護管を設けた場合、当該保護管の透孔にケーブル11をその先端部から挿入する作業が必要であるから、甲第6号証の前記段落【0003】?【0004】の記載を参酌すれば、甲2発明1に甲第6号証に開示された技術を適用することには、阻害要因があると認められる。

エ 相違点についての検討のまとめ
以上、上記ア?ウの検討によれば、甲2発明1において、相違点3に係る本件特許発明の構成を採用する動機付けがあるとは認められないから、甲2発明1に甲第5号証ないし甲第6号証に開示された技術を適用することを、当業者が想起したとは認められない。
また、仮に甲2発明1に甲第5号証ないし甲第6号証に開示された技術を適用することを当業者が想起したとしても、相違点3に係る本件特許発明の構成を採用することが、当業者にとって容易になし得たことであるということはできない。
そして、相違点3に係る構成を有することにより、本件特許発明は、特許明細書(甲第1号証)の段落【0010】に記載された「ボックス本体の側方から電線管を接続することができるとともに、電線管をボックス本体に接続する際に固定ビスに発生する不具合を無くすことができる。」という、甲第2号証、甲第5号証ないし甲第6号証は記載されていない効果を奏するものと認められる。

D 小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明は、甲2発明1と甲第5号証ないし甲第6号証の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)本件特許発明が、甲第2号証の配ボックスSM36Aに具現化された公然実施発明に基づいて容易に発明をすることができたかについて
A 書証の記載
甲第2号証、甲第5号証及び甲第6号証の記載については、それぞれ、第4の2(1)Aア(イ)、第4の2(1)Aイ、及び、第4の2(1)Aウで指摘した通りである。
一方、請求人は、平成28年6月6日付け証拠提出書(提出日は平成28年6月7日)で甲第12号証の2を提出している。
なお、甲第12号証の2は、審判請求書に添付された甲第12号証と比較して、各号証の写真撮影報告書の報告者である請求人代理人弁理士木村俊之の押印があるだけで、それぞれの内容は同一のものと認められるから、甲第12号証の2の提出により審判請求書の要旨を変更するものでないことは明らかである。

ア 甲第12号証の2の記載
甲第12号証の2は、配ボックスSM36Aの、甲第2号証に「14用(16用も使用可)」と記載された接続孔に「呼び16のPF管」を接続したときの状態を写真撮影した結果を記載した写真撮影報告書である。
この甲第12号証の2には、以下の事項が記載されている。
a 1/4ページには、
「(撮影日) 平成27年10月23日
(撮影場所) 大阪市北区太融寺町5番15号 梅田イーストビル2階
大阪国際鈴江特許事務所内
(撮影者) 請求人代理人 弁理士 木村俊之
(被写体)
配線ボックス 配ボックスSM36A
電線管 未来工業株式会社製 型番MFS-16(呼び16のPF管)」
と記載されている。
b 配ボックスを底壁上方の斜め方向から見た、2/4ページの「(1)全体写真」、3/4ページの「(2)要部拡大写真1」及び「(3)要部拡大写真2」のいずれにも、底壁から見て左側のノック開口から挿入された保護管の外周面は、前記ノック開口部分の底壁より外周に突出するように接続されていることが示されている。
c 4/4ページの「(4)配ボックスSM36A」の写真には、2つの接続孔が形成された側壁の右上部に「ニチドウ」のロゴの横に「SM36A」の型番を見て取ることができる。
d 4/4ページの下部には、「(5)使用した「呼び16のFP管」(未来工業株式会社性;型番MFS-16)」の写真が示されている。
(審決注:上記「呼び16のFP管」 における「FP管」の記載は、甲第10号証のJIS規格を参照すると、「PF管」の誤記であると認められる。)

B 甲第2号証の配ボックスSM36Aに具現化された公然実施発明
ア 甲2発明2
甲第2号証に記載された配ボックスSM36Aにおいて、「14用(16用も使用可)」と記載された接続孔に「呼び16のPF管」を接続することは、甲第2号証の記載からみて、予定されていた実施形態であると認められる。
そうすると、甲第2号証に記載された配ボックスSM36Aを通常の形態で使用した場合、第4の2(1)Aア(イ)?(ウ)での検討と、第4の2(2)Aアの記載とからみて、下記の発明(以下「甲2発明2」という。)が具現化されると認められる。

「底壁と、その底壁から立設された側壁とにより、一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体を備える配ボックスSM36Aであって、前記ボックス本体の左側壁及び右側壁には、構造物に前記ボックス本体を固定するためのラッパねじを挿通可能な前記底壁に垂直な方向に伸びる長孔状の固定孔が設けられているとともに、前記ボックス本体の上側壁及び下側壁には、可撓性を有する保護管を接続するための接続孔がそれぞれ一対形成され、
前記一対の接続孔のうち、前記ボックス本体を底壁から見たときの左側は14用(16用も使用可)であり、右側は16用であり、
前記ボックス本体の底壁の上端部及び下端部の各左右両側には、前記ボックス本体の底壁側に開口するとともに、前記接続孔に連通するノック開口がそれぞれ形成されており、
前記一対の接続孔は、それぞれ、前記ボックス本体の上側壁及び下側壁において、前記底壁側端部のノック開口から開口側に向かって延びるように形成され、
前記ボックス本体の底壁の左側の上端部及び下端部に位置するノック開口は互いに連通することなく離れて形成され、底壁の右側の上端部と下端部に位置するノック開口も互いに連通することなく離れて形成されており、
前記ボックス本体の左側壁には3箇所の突出部とそれらを開口面側でつなぐフランジ部とからなる構成が形成されており、ボックス本体の前記突出部を構造物に接触するようにして、前記配ボックスSM36Aは前記ラッパねじで取り付けられ、
前記保護管の2山と3山の谷部を前記ノック開口に挿入し、前記接続孔に沿って前記ボックス本体の底壁側から開口側に向かう方向に強めに押しながら差し込むことで、前記保護管を前記ボックス本体に接続し、
前記14用(16用も使用可)の接続孔は、呼び16の前記保護管を接続する場合は、呼び16の前記保護管の外周面を前記ノック開口部分の底壁より外周に突出して接続することを特徴とする配ボックスSM36A。」

イ 甲2発明2の公然性
成立に争いがない甲第4号証の1ないし30には、「平成15年6月下旬」に、取引先各社が請求人から「配ボックスSM36A」の現物の納品を受けたことが記載されている。
そして、甲第4号証の1ないし30のいずれにも、前記「配ボックスSM36A」の現物の内容について、請求人が取引先各社に守秘義務を課したことは、何ら記載されていない。また、請求人が取引先各社に守秘義務を課す必要があったとする特段の事情があったとも認められない。
したがって、甲第4号証の1ないし30にそれぞれ記載された取引先各社は、前記「配ボックスSM36A」に具現化された発明に関し、秘密にすべき義務を負わない不特定人であると認められる。
以上から、前記「配ボックスSM36A」に具現化された甲2発明2は、第1出願の優先日である平成15年7月11日の前に日本国内において公然実施をされた発明であるといえる。

C 本件特許発明と甲2発明2との対比
本件特許発明と甲2発明2との対比すると、第4の2(1)Bの検討から、以下の点で一致するとともに、以下の点で相違している。
(一致点)
「底壁と、その底壁から立設された側壁とより一面に開口を有する四角箱状に形成されたボックス本体を備え、同ボックス本体の左側壁及び右側壁の少なくとも一方には、構造物にボックス本体を固定するための固定ビスを挿通可能な固定部が設けられているとともに、ボックス本体の上側壁及び下側壁には、可撓性を有する電線管を接続するための接続孔が形成され、
壁の上端部及び下端部には、前記接続孔に連通する挿入開口がそれぞれ形成されることにより、上下両挿入開口は互いに連通することなく離れて形成され、当該挿入開口に挿入された電線管を移動させることにより、当該電線管を接続孔に挿入可能に形成し、
前記固定部が形成された側壁には、外方へ突出して構造物に当接する当接座部が形成され、前記挿入開口に連通する前記接続孔は、電線管の外周面が前記挿入開口よりも外方へ突出するように該電線管を接続することを特徴とする配線ボックス。」

(相違点1)
本件特許発明の「構造物」は「建物内」にあるのに対して、甲2発明1の「構造物」はどこにあるか特定されていない点。

(相違点2)
本件特許発明の「電線管」は「合成樹脂製」であるのに対して、甲2発明1の「保護管」はこの点について特定されていない点。

(相違点3)
本件特許発明においては、「挿入開口」は「前記固定部が形成された側壁に相対向する側壁の上端部及び下端部には、ボックス本体の側方に開口」して形成され、「接続孔」は「ボックス本体の上側壁及び下側壁」に「当接座部が形成された側壁に相対向する側壁の前記挿入開口に連通」して形成することで、「当該挿入開口に挿入された電線管を、前記固定ビスにより固定部が構造物に押し付けられた方向に沿って移動させる」のに対して、甲2発明1においては、「ノック開口」は「前記ボックス本体の底壁の上端部及び下端部の各左右両側には、前記ボックス本体の底壁側に開口」して形成され、「接続孔」は「前記ボックス本体の上側壁及び下側壁」に「ノック開口」に「連通」して形成されることで「前記保護管の2山と3山の谷部を前記ノック開口に挿入し、前記接続孔に沿って前記ボックス本体の底壁側から開口側に向かう方向に強めに押しながら差し込む」点。

D 相違点についての判断
相違点3について検討する。
第4の2(1)Cで検討したと同じ理由により、甲2発明2において、相違点3に係る本件特許発明の構成を採用する動機付けがあるとは認められないから、甲2発明2に甲第5号証ないし甲第6号証に開示された技術を適用することを、当業者が想起したとは認められない。
また、仮に甲2発明2に甲第5号証ないし甲第6号証に開示された技術を適用することを当業者が想起したとしても、相違点3に係る本件特許発明の構成を採用することが、当業者にとって容易になし得たことであるということはできない。
そして、相違点3に係る構成を有することにより、本件特許発明は、特許明細書(甲第1号証)の段落【0010】に記載された「ボックス本体の側方から電線管を接続することができるとともに、電線管をボックス本体に接続する際に固定ビスに発生する不具合を無くすことができる。」という、甲第2号証、甲第5号証ないし甲第6号証は記載されていない効果を奏するものと認められる。

E 小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明は、甲2発明2と甲第5号証ないし甲第6号証の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3 無効理由2の検討のまとめ
以上のとおりであるから、請求人の主張によっては、本件特許発明は、甲第2号証に記載された発明、または、「配ボックスSM36A」に具現化された公然実施発明と、甲第5号証ないし甲第6号証の記載に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
よって、無効理由2には、理由がない。

第5 むすび
以上のとおり、無効理由1及び無効理由2には理由がなく、請求人が主張する理由及び証拠方法によっては、本件特許を無効とすることはできない。

審判に関する費用は、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第64条の規定により、請求人の負担とする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-24 
結審通知日 2016-10-28 
審決日 2016-11-09 
出願番号 特願2013-229458(P2013-229458)
審決分類 P 1 113・ 113- Y (H02G)
P 1 113・ 121- Y (H02G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北嶋 賢二  
特許庁審判長 飯田 清司
特許庁審判官 深沢 正志
鈴木 匡明
登録日 2015-01-16 
登録番号 特許第5681264号(P5681264)
発明の名称 配線ボックス  
代理人 木村 俊之  
代理人 岡田 恭伸  
代理人 鈴江 正二  
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