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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1332906
審判番号 不服2017-1106  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-25 
確定日 2017-09-25 
事件の表示 特願2015- 73157「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月10日出願公開、特開2016-190006〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月31日の出願であって、平成28年3月10日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年5月12日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成28年10月24日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年1月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正がなされたものである。

第2 平成29年1月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年1月25日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
所定条件が成立すると、取得情報を取得する取得手段と、
始動条件が成立すると、前記取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、
前記始動条件の成立に応じて、図柄表示手段において所定の図柄を変動させてから停止させることにより、前記特別遊技判定の結果を報知する図柄表示制御手段と、
前記図柄が変動されているときに前記取得手段によって前記取得情報が取得された場合、当該取得情報を記憶して前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と、
前記始動条件が成立する前に、前記取得手段によって取得された取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの判定(以下、事前判定)を行う事前判定手段と、
前記保留記憶手段に保留された特別遊技判定の権利に対応する保留表示を表示する保留表示制御手段と、
前記事前判定の結果に基づいて、前記保留表示の表示態様を変化させることが可能な保留変化制御手段と、を備え、
前記保留変化制御手段は、
特別遊技が行われる期待度を段階的に示すことが可能な複数の表示態様のうち、何れかの表示態様に前記保留表示を変化させる保留変化演出を実行可能な保留変化実行手段と、
前記保留変化実行手段によって前記保留表示が変化される前に、当該保留表示が変化される可能性を示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段と、を含み、
前記複数の表示態様は、第1表示態様と、当該第1表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第2表示態様と、当該第2表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第3表示態様とを少なくとも含み、
前記保留変化実行手段は、前記保留表示を前記第1表示態様から前記第2表示態様に変化させる保留変化演出よりも、前記保留表示を前記第2表示態様から前記第3表示態様に変化させる保留変化演出を実行し難く、
前記示唆演出実行手段は、前記保留表示が、前記期待度が特定の段階を示す表示態様で表示されていると、当該特定の段階を示す表示態様で表示されている保留表示がさらに変化される可能性を示唆する示唆演出を実行しない、遊技機。」
から、
「【請求項1】
A 所定条件が成立すると、取得情報を取得する取得手段と、
B 始動条件が成立すると、前記取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、
C 前記始動条件の成立に応じて、図柄表示手段において所定の図柄を変動させてから停止させることにより、前記特別遊技判定の結果を報知する図柄表示制御手段と、
D 前記図柄が変動されているときに前記取得手段によって前記取得情報が取得された場合、当該取得情報を記憶して前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と、
E 前記始動条件が成立する前に、前記取得手段によって取得された取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの判定(以下、事前判定)を行う事前判定手段と、
F 前記保留記憶手段に保留された特別遊技判定の権利に対応する保留表示を表示する保留表示制御手段と、
G 前記図柄表示手段による図柄の変動中に、当該図柄の変動開始時の特別遊技判定の権利に対応する変動中保留表示を表示する変動中保留表示制御手段と、
H 前記事前判定の結果に基づいて、前記保留表示または前記変動中保留表示の表示態様を変化させることを決定する保留変化制御手段と、
I 前記保留変化制御手段の結果に基づいて、特別遊技が行われる期待度を段階的に示すことが可能な複数の表示態様のうち、何れかの表示態様に前記保留表示または前記変動中保留表示を変化させる保留変化演出を実行可能な保留変化実行手段と、
J 前記保留変化実行手段によって前記保留表示または前記変動中保留表示が変化される前に実行可能な演出であって、当該保留表示または当該変動中保留表示が変化する可能性があることを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段と、を備え、
K 前記複数の表示態様は、第1表示態様と、当該第1表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第2表示態様と、当該第2表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第3表示態様とを少なくとも含み、
L 前記保留変化制御手段は、前記変動中保留表示を前記第1表示態様から前記第2表示態様に変化させる保留変化演出よりも、前記変動中保留表示を前記第2表示態様から前記第3表示態様に変化させる保留変化演出を実行し難くなるように設定し、
M 前記保留変化実行手段は、1回の図柄の変動中において前記変動中保留表示の表示態様を複数回変化させることが可能であり、
N 前記示唆演出実行手段は、1回の図柄の変動中において前記示唆演出を複数回実行可能であり、
O 前記示唆演出実行手段は、前記変動中保留表示が、前記期待度が特定の段階を示す表示態様で表示されていると、当該特定の段階を示す表示態様で表示されている前記変動中保留表示がさらに変化される可能性を示唆する示唆演出を実行しない、遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。また、当審においてA?Oに分説した。)。

2 補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「保留表示制御手段」に関連して、「前記図柄表示手段による図柄の変動中に、当該図柄の変動開始時の特別遊技判定の権利に対応する変動中保留表示を表示する変動中保留表示制御手段」を加えて限定し、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「保留変化制御手段」に関して、「前記保留表示または前記変動中保留表示の表示態様を変化させることを決定する保留変化制御手段」、「前記保留変化制御手段は、前記変動中保留表示を前記第1表示態様から前記第2表示態様に変化させる保留変化演出よりも、前記変動中保留表示を前記第2表示態様から前記第3表示態様に変化させる保留変化演出を実行し難くなるように設定」すると限定し、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「保留変化実行手段」に関して、「前記保留変化制御手段の結果に基づいて、特別遊技が行われる期待度を段階的に示すことが可能な複数の表示態様のうち、何れかの表示態様に前記保留表示または前記変動中保留表示を変化させる保留変化演出を実行可能な保留変化実行手段」、「前記保留変化実行手段は、1回の図柄の変動中において前記変動中保留表示の表示態様を複数回変化させることが可能であり」と限定し、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「示唆演出実行手段」に関して、「前記保留変化実行手段によって前記保留表示または前記変動中保留表示が変化される前に実行可能な演出であって、当該保留表示または当該変動中保留表示が変化する可能性があることを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段」、「前記示唆演出実行手段は、1回の図柄の変動中において前記示唆演出を複数回実行可能であり、」、「前記示唆演出実行手段は、前記変動中保留表示が、前記期待度が特定の段階を示す表示態様で表示されていると、当該特定の段階を示す表示態様で表示されている前記変動中保留表示がさらに変化される可能性を示唆する示唆演出を実行しない」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2014-223208号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1-a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に設けた始動口への遊技球の入賞に基づき表示手段で複数の識別情報を変動表示させる変動表示ゲームを実行し、該変動表示ゲームが予め定めた特別結果となった場合に遊技者に所定の遊技価値を付与することが可能な遊技機において、
前記始動口への遊技球の入賞に基づき乱数を抽出して前記変動表示ゲームを実行するための始動記憶として記憶することが可能な始動記憶手段と、
前記始動記憶手段に記憶された始動記憶に対応する数の保留表示を前記表示手段に設定した保留表示領域に表示させることが可能な保留表示手段と、
前記始動記憶手段に記憶された始動記憶を当該始動記憶に基づく変動表示ゲームの実行以前に事前判定することが可能な事前判定手段と、
前記事前判定手段の判定結果に基づき前記保留表示領域に表示される前記保留表示の表示態様を変化させる保留予告を実行することが可能な保留予告手段と、
前記変動表示ゲームの実行中に可動部材を前記保留表示領域に重ならない初期位置から重なる動作位置に移動させる動作演出を実行することが可能な動作演出手段と、を備え、
前記保留表示手段は、
前記保留予告の実行中に前記可動部材が前記初期位置から前記動作位置に移動する場合には、前記保留表示領域を一時的に前記可動部材とは重ならない特定位置に移動させることを特徴とする遊技機。」

(1-b)「【0061】
特図変動表示ゲームの始動入賞球の検出時には、大当り乱数値や大当り図柄乱数値、各変動パターン乱数値が抽出される。これら乱数値は、遊技制御装置600の特図保留記憶領域(RAMの一部)に特図始動入賞記憶として各々所定回数分(例えば最大で8回分)を限度に記憶される。特図始動入賞記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の特図1保留表示部54や特図2保留表示部55に表示されるとともに、変動表示装置35の表示部35aや後述するサブ表示装置としての表示器480にも表示される。
【0062】
遊技制御装置600は、第1始動入賞口37への入賞若しくは第1始動記憶に基づいて、特図1表示器51で第1特図変動表示ゲーム(第1変動表示ゲーム)を実行する。また、遊技制御装置600は、第2始動入賞口38への入賞若しくは第2始動記憶に基づいて、特図2表示器52で第2特図変動表示ゲーム(第2変動表示ゲーム)を実行する。
【0063】
第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームは、特図1表示器51及び特図2表示器52において識別情報を変動表示した後に所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、変動表示装置35では、各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行される。」

(1-c)「【0427】
〔特図ゲーム処理〕
次に、前述したタイマ割込み処理における特図ゲーム処理(ステップA1109)の詳細について説明する。図49は、本発明の第1の実施の形態の特図ゲーム処理の手順を示すフローチャートである。
【0428】
特図ゲーム処理では、第1通過ゲート部(抽選ゲート)34g及び第2通過ゲート部(固定ゲート)34hの遊技球の通過の監視、第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602による入力信号の監視、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図(識別図柄、識別情報)の表示の設定を行う。
【0429】
遊技制御装置600は、まず、第1通過ゲート部34g及び第2通過ゲート部34hの遊技球の通過を監視する通過検出センサ監視処理を実行する(ステップA1201)。通過検出センサ監視処理では、通過したゲートに応じた大当りラウンドを決定するための乱数を抽出及び保存する処理である。通過検出センサ監視処理の詳細については、図50にて後述する。
【0430】
次に、遊技制御装置600は、第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602の入賞を監視する始動スイッチ監視処理を実行する(ステップA1202)。
【0431】
始動口スイッチ監視処理では、第1始動入賞口37、第2始動入賞口38に遊技球の入賞があると、各種乱数(大当り乱数など)の抽出を行い、当該入賞に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定を行う。なお、始動口スイッチ監視処理の詳細については、図51にて後述する。」

(1-d)「【0463】
〔特図始動口スイッチ共通処理〕
次に、前述した始動口スイッチ監視処理における特図始動口スイッチ共通処理(ステップA1302、ステップA1306)の詳細について説明する。図52は、本発明の第1の実施の形態の特図始動口スイッチ共通処理の手順を示すフローチャートである。
【0464】
特図始動口スイッチ共通処理は、第1始動入賞口37や第2始動入賞口38に遊技球が入賞したことによって第1始動口スイッチ601や第2始動口スイッチ602から信号入力があった場合に共通して実行される処理である。
【0465】
遊技制御装置600は、まず、第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602のうち、監視対象の始動口スイッチ(例えば、第1始動口スイッチ601)から信号が入力されたか否かをチェックする(ステップA1401)。監視対象の始動口スイッチから信号が入力されていない場合には(ステップA1401の結果が「N」)、特図始動口スイッチ共通処理を終了する。
【0466】
一方、遊技制御装置600は、監視対象の始動口スイッチから信号が入力された場合には(ステップA1401の結果が「Y」)、監視対象の始動口に対応する乱数ラッチレジスタにラッチデータがあるか否か、すなわち、乱数が抽出されているか否かを判定する(ステップA1402)。乱数が抽出されていない場合には(ステップA1402の結果が「N」)、特図始動口スイッチ共通処理を終了する。
【0467】
遊技制御装置600は、監視対象の始動口に対応する乱数ラッチレジスタにラッチデータがある場合には(ステップA1402の結果が「Y」)、監視対象の始動口スイッチに対応する始動口入賞フラグをRWMの所定の領域にセーブする(ステップA1403)。さらに、監視対象始動口スイッチに対応するハード乱数ラッチレジスタに抽出された大当り乱数をロードし、以降の処理で使用するための準備を行う(ステップA1404)。」

(1-e)「【0479】
〔特図保留情報判定処理〕
次に、前述した特図始動口スイッチ共通処理(図52)における特図保留情報判定処理(ステップA1418)の詳細について説明する。図53は、本発明の第1の実施の形態の特図保留情報判定処理の手順を示すフローチャートである。
【0480】
特図保留情報判定処理は、各始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に当該始動記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定するための先読み処理である。
【0481】
遊技制御装置600は、まず、先読み演出(予告)の実行条件を満たしているか否かを判定する(ステップA1501)。先読み演出の実行条件は、例えば、遊技球が第1始動入賞口37に入賞した場合には、普電サポートなし、かつ、特別遊技状態でないことである。また、遊技球が第2始動入賞口38に入賞した場合には常に先読み演出の実行条件を満たす。通常遊技状態の場合には、また、先読み禁止コマンドを送信する条件、すなわち、停電復帰後、変動表示ゲームの実行回数が8回未満の場合にも先読み演出の実行条件を満たさないと判定してもよい。遊技制御装置600は、先読み演出の実行条件を満たしていない場合には(ステップA1501の結果が「N」)、特図保留情報判定処理を終了する。
【0482】
また、通常遊技状態(非電サポ状態)で普図変動表示ゲームの結果が当りとなった場合に、4/5の確率で可動部材38aが短時間開放する普電ショート開放、又は、1/5確率で可動部材38aが長時間(0.5+5秒)開放する普電ロング開放が選択される仕様では、普電ショート開放発生時に入賞した特図2の始動記憶については先読みを行わない一方、普電ロング開放発生時に入賞した特図2の始動記憶については先読みを行うようにしてもよい。
【0483】
一方、遊技制御装置600は、先読み演出の実行条件を満たしている場合には(ステップA1501の結果が「Y」)、新たに記憶された始動記憶が大当りであるか否かを判定する大当り判定処理を実行する(ステップA1502)。大当り判定処理は、保留中の始動記憶に含まれる大当り乱数値が大当り判定値と一致するか否かを判定することによって、当該始動記憶にかかる変動表示ゲームの結果が大当りであるか否かを判定する。
・・・
【0491】
以上のように、特図保留情報判定処理では、始動記憶に対応する特図変動表示ゲームを実行する前に、特図変動表示ゲームの結果を取得し、演出制御装置700に対して通知することが可能になっている。演出制御装置700は、変動表示装置35に表示されている始動記憶表示の表示態様を変化させるなどして、その特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に遊技者に特図変動表示ゲームの結果を報知する。ここで、遊技制御装置600は事前判定手段として機能し、演出制御装置700は事前報知手段として機能する。」

(1-f)「【0502】
〔特図変動開始処理〕
次に、前述した特図普段処理における特図変動開始処理(ステップA1604、ステップA1609)の詳細について説明する。図55は、本発明の第1の実施の形態の特図変動開始処理の手順を示すフローチャートであり、(A)は第1特図変動表示ゲームの開始時に実行される特図1変動開始処理、(B)は第2特図変動表示ゲームの開始時に実行される特図2変動開始処理である。まず、特図1変動開始処理について説明する。
【0503】
遊技制御装置600は、特図1変動フラグ(変動中フラグ)をRWMの変動図柄判別領域にセーブする(ステップA1701)。次に、最先の始動記憶に対応する第1特図変動表示ゲームの結果が大当りである場合に大当りフラグ1を設定する大当りフラグ1設定処理を実行する(ステップA1702)。
・・・
【0510】
遊技制御装置600は、まず、大当りフラグ1が設定されているか否か、すなわち、対象の第1特図変動表示ゲームの結果が大当りか否かを判定する(ステップA1801a)。大当りフラグ1が設定されている場合には(ステップA1801aの結果が「Y」)、保留数1用、すなわち、変動が開始される始動記憶に対応する特図1大当り図柄乱数格納領域から乱数をロードする(ステップA1802a)。さらに、停止図柄を決定するためのテーブルとして、特図1用の大当り図柄テーブルを設定する(ステップA1803a)。」

(1-g)「【0643】
〔1stCPUメイン処理(演出制御装置)〕
まず、演出制御装置700によって実行されるメイン処理の詳細を説明する。図77は、本発明の第1の実施の形態の演出制御装置700の主制御用マイコン(1stCPU)710によって実行されるメイン処理の手順を示すフローチャートである。メイン処理は、遊技機1に電源が投入されると実行される。」

(1-h)「【0975】
〔保留予告〕
次に、保留表示による先読み予告(保留予告)について説明する。本実施形態における保留予告は、通常遊技状態と普電サポート状態とで異なっており、普電サポート状態では保留表示の変更の他、サブ表示器を利用したり、キャラクタが登場したりする。まず、保留予告の制御について説明する。
【0976】
図135は、本発明の第2の実施の形態の保留予告制御処理の手順を示すフローチャートである。保留予告制御処理は、1stシーン制御処理における事前判定コマンド受信処理(ステップB1320)で実行される。また、遊技制御装置600における事前判定は、通常遊技状態では第1特図変動表示ゲームの始動記憶、普電サポート状態では第2特図変動表示ゲームの始動記憶について実行される。したがって、事前判定コマンドについてもこの場合に送信される。
【0977】
主制御用マイコン710は、まず、先読み予告を実行するための事前判定情報を受信しているか否かを判定する(ステップB8001)。事前判定情報は、事前判定コマンドに含まれる。主制御用マイコン710は、事前判定情報を受信していない場合には(ステップB8001の結果が「N」)、ステップB8007以降の処理を実行する。
【0978】
主制御用マイコン710は、事前判定情報を受信している場合には(ステップB8001の結果が「Y」)、現在の遊技状態が通常遊技状態か否かを判定する(ステップB8002)。現在の遊技状態が通常遊技状態の場合には(ステップB8002の結果が「Y」)、変動パターン情報に基づいて保留表示の表示態様を決定する(ステップB8003)。一方、現在の遊技状態が通常遊技状態でない場合(ステップB8002の結果が「Y」)、すなわち、普電サポート状態の場合には、変動表示ゲームの結果及び変動パターン情報に基づいて保留表示の表示態様を決定する(ステップB8004)。
【0979】
その後、主制御用マイコン710は、ステップB8003又はステップB8004の処理で決定された表示態様と保留記憶数に基づいて、保留予告の予告態様を決定する(ステップB8005)。さらに、対応する保留記憶領域に決定後の表示態様と予告態様を記憶する(ステップB8006)。
【0980】
次に、主制御用マイコン710は、保留記憶領域に記憶されている表示態様及び予告態様に基づいて、保留表示を更新したり、保留予告演出を実行したりする保留表示更新処理を実行する(ステップB8007)。
【0981】
さらに、主制御用マイコン710は、特別遊技状態が発生したか否かを判定する(ステップB8008)。特別遊技状態が発生した場合には(ステップB8008の結果が「Y」)、第1特図変動表示ゲームを実行するための保留記憶に対応する保留予告情報をクリアする(ステップB8009)。
【0982】
なお、通常遊技状態から普電サポート状態に移行する場合には、第1特図変動表示ゲームの始動記憶に対応する先読み予告がクリアされるが、普電サポート状態から通常遊技状態に移行する場合に、第1特図変動表示ゲームの始動記憶に対応する先読み予告はクリアされずにそのまま継続される。
【0983】
続いて、保留表示の変化の態様について説明する。図136は、本発明の第2の実施の形態の保留表示の予告態様を説明する図であり、(A)は遊技状態ごとの態様、(B)は普電サポート状態における予告態様の詳細を示す。
【0984】
まず、(A)を参照しながら通常遊技状態及び普電サポート状態における保留表示の色を変化させる予告について説明する。保留表示の色は、「白」→「青」→「黄」→「赤」→「虹」の順で大当りの期待度が高くなるように設定されている。「虹」は大当り確定となる。
【0985】
通常遊技状態では、前述のように、第1特図変動表示ゲームの始動記憶が対象となる。また、普電サポート状態では、第2特図変動表示ゲームの始動記憶が対象となる。いずれの状態であっても、保留予告が実行される場合には、まず、保留表示がなされたタイミングで始動記憶を示す保留表示が一旦変化する。この場合、色が変化する場合もあれば、保留表示に「?」が表示され、保留予告があることを示すように変化する場合もある。
【0986】
さらに、保留表示がなされた後、特図変動表示ゲームが実行されるたびに保留表示の色が変化することが可能となっている。すなわち、保留数が4の状態であれば、始動入賞時に色が変化し、その後、先行する3回分の特図変動表示ゲームが実行されるたびに保留表示の色が変化する可能性がある。(A)に示した色は、最終的に変化する色であり、先行して実行される特図変動表示ゲームの始動記憶がすべて消化された時点の色となる。なお、通常遊技状態では、特図変動表示ゲームの結果にかかわらず、保留表示の色が「虹」にはならない。また、普電サポート状態では、特図変動表示ゲームの結果によって変化する色が異なるようになっており、具体的には、特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合には「虹」には変化せず、当りの場合には「白」には変化しない。
・・・
【0988】
また、図124(B)等に示したように、普電サポート状態において保留予告の対象となる始動記憶に基づく特図変動表示ゲームが実行されると、第2サブ表示器1580を特2消化中保留演出領域として保留演出が実行される。例えば、(A)に示すように変動表示ゲームが当りとなる期待度やリーチとなる期待度に応じて「☆」が表示される。期待度が高い場合には「☆」の数が多くなるように表示してもよいし、表示される「☆」の種類を変更するようにしてもよい。」

(1-i)「【0995】
図138から図140は、本発明の第2の実施の形態の普電サポート状態における保留予告の一例を説明する図である。(A)から(T)では、メイン表示器35、第1サブ表示器480及び第2サブ表示器1580の表示内容を示している。
【0996】
前述のように、普電サポート状態では、特図変動表示ゲーム(識別情報の変動表示)が第1サブ表示器480を主体として実行され、特図変動表示ゲームに関連する演出画像が、メイン表示器35の上段の変動演出表示領域1241に表示される。メイン表示器35の中段には、特2保留表示領域1240bが割り当てられ、右から順に始動記憶が消化されるようになっている。そして、始動記憶が消化される場合には、第2サブ表示器1580(特2消化中保留演出領域)に保留表示が移動するように表示され、期待度に応じた演出が実行される。
【0997】
さらに、メイン表示器35の下段には、保留予告演出表示領域1242が割り当てられ、特2保留表示領域1240bの保留表示に対してキャラクタがアクションを起こして保留予告を行うようになっている。
【0998】
(A)は、特図変動表示ゲームが終了し、第1サブ表示器480で識別図柄が停止表示されている状態となっている。そして、始動記憶が消化され、右端に表示されている始動記憶が第2サブ表示器1580に移動する演出が実行される。このとき、特2保留表示領域には、予告補助キャラクタが表示されているが、保留表示されている始動記憶の期待度が高くない若しくは保留予告を行わないため、左右に移動を繰り返しているだけとなっている。
【0999】
(B)は、(A)で消化される始動記憶に基づく特図変動表示ゲームが開始された状態を示している。特図変動表示ゲームが開始されると、特2消化中保留演出領域で消化中保留演出が実行され、期待度に応じた演出が実行される。具体的には、期待度に対応した態様の星(☆)の表示を含む演出が実行される。
【1000】
(C)は、特図変動表示ゲームの実行中に新たに始動記憶が追加された状態を示している。このとき、予告補助キャラが新たに追加された始動記憶の保留表示の下で停止し、遊技者に期待度が高い可能性があることを報知している。
【1001】
その後、(D)において、実行中の特図変動表示ゲームが終了し、最先の始動記憶が消化される。そして、保留表示が右に移動し、これにともなって予告補助キャラも移動する。その後、(E)に示すように、特図変動表示ゲームが開始されると、予告補助キャラがアクションを起こし、保留表示の色が「白」から「青」に変化する。そして、通常の変動演出画像ではなく、連続予告画像1が変動演出表示領域1241に表示される。
【1002】
(F)では、特図変動表示ゲームの実行中に、新たに始動記憶が追加され、保留表示された時点で「?」となっている状態である。このとき、予告補助キャラが2体に増加し、新たな始動記憶の保留表示の下にも増加した予告補助キャラが表示される。
【1003】
(G)は、実行中の特図変動表示ゲームが終了し、その後、最先の始動記憶が消化され、(H)において新たな特図変動表示ゲームが開始される。そして、変動開始のタイミングで各予告補助キャラがそれぞれアクションを起こし、保留表示の態様を変化させる。このとき、連続予告画像2が変動演出表示領域1241に表示される。」

(1-j)段落【0061】には、「特図変動表示ゲームの始動入賞球の検出時には、大当り乱数値や大当り図柄乱数値、各変動パターン乱数値が抽出される」と記載され、段落【0466】には、遊技制御装置600が乱数の抽出に関する処理を行うことが記載されているから、刊行物1には、始動入賞球の検出時に、大当り乱数値等を抽出する遊技制御装置600が記載されているといえる。(構成a)

(1-k)段落【0063】には、「第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームは、特図1表示器51及び特図2表示器52において識別情報を変動表示した後に所定の結果態様を停止表示することで行われる。」ことが記載され、段落【0510】には、遊技制御装置600が、第1特図変動表示ゲームの結果が大当りか否かを判定することが記載され、段落【0503】には、最先の始動記憶に対応する第1特図変動表示ゲームであることが記載されているから、刊行物1には、最先の始動記憶に対応する特図変動表示ゲームの結果が大当りかどうかを判定し、特図1表示器51及び特図2表示器52において識別情報を変動表示した後に所定の結果態様を停止表示することで特図変動表示ゲームを行う遊技制御装置600が記載されているといえる。(構成b、c)

(1-l)段落【0061】には、「乱数値は、遊技制御装置600の特図保留記憶領域(RAMの一部)に特図始動入賞記憶として各々所定回数分(例えば最大で8回分)を限度に記憶される」ことが記載され、【請求項1】には「始動口への遊技球の入賞に基づき乱数を抽出して前記変動表示ゲームを実行するための始動記憶として記憶す」ることが記載されているから、上記(1-j)の記載も参照し、これらの用語を整理すると、刊行物1には、始動入賞球の検出時に抽出された大当り乱数値等を始動記憶として記憶する特図保留記憶領域が記載されているといえる。(構成d)

(1-m)段落【0480】には、「特図保留情報判定処理は、各始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングより前に当該始動記憶に対応した結果関連情報(遊技結果情報)を判定するための先読み処理である」ことが記載され、段落【0481】には、先読み演出に関する処理を遊技制御装置600が行うことが記載され、段落【0431】には「特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定を行う。」ことが記載され、段落【0491】には、「始動記憶に対応する特図変動表示ゲームを実行する前に、特図変動表示ゲームの結果を取得し、演出制御装置700に対して通知する」ことが記載されており、先読み処理と事前判定とは同様の意味であるから、刊行物1には、始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングよりも前に当該始動記憶に対応した遊技結果情報を判定する事前判定を行い、演出制御装置700に通知する遊技制御装置600が記載されているといえる。(構成e)

(1-n)段落【0980】には、「主制御用マイコン710は、保留記憶領域に記憶されている表示態様及び予告態様に基づいて、保留表示を更新したり、保留予告演出を実行」することが記載され、段落【0976】には「保留予告制御処理は、1stシーン制御処理における事前判定コマンド受信処理(ステップB1320)で実行される。また、遊技制御装置600における事前判定は、通常遊技状態では第1特図変動表示ゲームの始動記憶、普電サポート状態では第2特図変動表示ゲームの始動記憶について実行される」ことが記載されており、主制御用マイコン710が実行する保留予告演出は特図保留記憶手段に記憶された始動記憶について実行するものといえるから、刊行物1には、前記特図保留記憶領域に記憶された始動記憶についての保留予告演出を実行する主制御用マイコン710が記載されているといえる。(構成f)

(1-o)段落【0996】には、「始動記憶が消化される場合には、第2サブ表示器1580(特2消化中保留演出領域)に保留表示が移動するように表示され、期待度に応じた演出が実行される」と記載され、段落【0999】には、「特図変動表示ゲームが開始されると、特2消化中保留演出領域で消化中保留演出が実行され」と記載され、上記(1-n)で検討したとおり、保留予告演出は主制御用マイコン710が実行するから、刊行物1には、始動記憶が消化される場合には、特2消化中保留演出領域に保留表示が移動するよう表示され、期待度に応じた消化中保留演出を実行する主制御用マイコン710が記載されているといえる。(構成g)

(1-p)段落【0978】には、「主制御用マイコン710は、事前判定情報を受信している場合には(ステップB8001の結果が「Y」)、現在の遊技状態が通常遊技状態か否かを判定する(ステップB8002)。現在の遊技状態が通常遊技状態の場合には(ステップB8002の結果が「Y」)、変動パターン情報に基づいて保留表示の表示態様を決定する(ステップB8003)。」と記載され、段落【0979】には、「主制御用マイコン710は、ステップB8003又はステップB8004の処理で決定された表示態様と保留記憶数に基づいて、保留予告の予告態様を決定する」と記載されており、事前判定の結果は、上記(1-m)で検討したとおり、遊技制御装置600から通知されたものである。
また、段落【0999】には、「特図変動表示ゲームが開始されると、特2消化中保留演出領域で消化中保留演出が実行され、期待度に応じた演出が実行される。具体的には、期待度に対応した態様の星(☆)の表示を含む演出が実行される。」と記載されており、消化中保留演出は、期待度に応じた演出であるから、事前判定の結果に基づくものであるといえる。
よって、刊行物1には、遊技制御装置600から通知された事前判定の結果に基づいて、保留予告または消化中保留演出の表示態様を決定する主制御用マイコン710が記載されているといえる。(構成h)

(1-q)段落【0980】には、「主制御用マイコン710は、保留記憶領域に記憶されている表示態様及び予告態様に基づいて、保留表示を更新したり、保留予告演出を実行」することが記載され、段落【0984】には、「保留表示の色は、「白」→「青」→「黄」→「赤」→「虹」の順で大当りの期待度が高くなるように設定されている。」と記載され、段落【0986】には、「保留表示がなされた後、特図変動表示ゲームが実行されるたびに保留表示の色が変化することが可能となっている」と記載されている。
また、段落【0988】には、消化中保留演出に関して、「変動表示ゲームが当りとなる期待度やリーチとなる期待度に応じて「☆」が表示される」ことが記載され、図136(A)には☆を1?4個表示することが示されている。
よって、刊行物1には、保留予告の保留表示の色は、「白」→「青」→「黄」→「赤」→「虹」の順で大当りの期待度が高くなるように設定されており、特図変動表示ゲームが実行されるたびに保留表示の色を変化させることが可能であり、消化中保留演出は、特図変動表示ゲームが当りとなる期待度に応じて☆を1?4個表示することが可能であるようにする主制御用マイコン710が記載されているといえる。(構成i、k)

(1-r)段落【1000】には、「予告補助キャラが新たに追加された始動記憶の保留表示の下で停止し、遊技者に期待度が高い可能性があることを報知」することが記載され、段落【1001】には、「そして、保留表示が右に移動し、これにともなって予告補助キャラも移動する。その後、(E)に示すように、特図変動表示ゲームが開始されると、予告補助キャラがアクションを起こし、保留表示の色が「白」から「青」に変化する」ことが記載され、段落【0995】には、これらの演出が保留予告の一例であることが記載されているから、上記(1-p)で検討したとおり、主制御用マイコン710が実行するといえる。
よって、刊行物1には、予告補助キャラが始動記憶の保留表示の下で停止して、遊技者に期待度が高いことを報知し、そして、保留表示が移動すると予告補助キャラも移動し、その後、予告補助キャラがアクションを起こし、保留表示の色を「白」から「青」に変化させる主制御用マイコン710、を備えた点が記載されているといえる。(構成j)

(1-s)段落【0984】には、「「虹」は大当り確定となる」と記載され、段落【0643】には、遊技機1が記載され、図136(F)には、保留表示の色として「虹」までしかないこと、図136(A)には、「虹」に対応する消化中保留演出は「☆が4個」しかないことが図示されている。
よって、刊行物1には、保留表示の色が「虹」は、大当り確定となるものであり、保留表示の色として「虹」までしかないものであり、「虹」に対応する消化中保留演出は「☆が4個」しかない遊技機1が記載されているといえる。(構成o)

上記(1-a)?(1-i)の記載事項及び(1-j)?(1-s)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。

「a 始動入賞球の検出時に、大当り乱数値等を抽出する遊技制御装置600と、
b、c 最先の始動記憶に対応する特図変動表示ゲームの結果が大当りかどうかを判定し、特図1表示器51及び特図2表示器52において識別情報を変動表示した後に所定の結果態様を停止表示することで特図変動表示ゲームを行う遊技制御装置600と、
d 始動入賞球の検出時に抽出された大当り乱数値等を始動記憶として記憶する特図保留記憶領域と、
e 始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングよりも前に当該始動記憶に対応した遊技結果情報を判定する事前判定を行い、演出制御装置700に通知する遊技制御装置600と、
f 前記特図保留記憶領域に記憶された始動記憶についての保留予告演出を実行する主制御用マイコン710と、
g 始動記憶が消化される場合には、特2消化中保留演出領域に保留表示が移動するよう表示され、期待度に応じた消化中保留演出を実行する主制御用マイコン710と、
h 遊技制御装置600から通知された事前判定の結果に基づいて、保留予告または消化中保留演出の表示態様を決定する主制御用マイコン710と、
i、k 保留予告の保留表示の色は、「白」→「青」→「黄」→「赤」→「虹」の順で大当りの期待度が高くなるように設定されており、特図変動表示ゲームが実行されるたびに保留表示の色を変化させることが可能であり、消化中保留演出は、特図変動表示ゲームが当りとなる期待度に応じて☆を1?4個表示することが可能であるようにする主制御用マイコン710と、
j 予告補助キャラが始動記憶の保留表示の下で停止して、遊技者に期待度が高いことを報知し、そして、保留表示が移動すると予告補助キャラも移動し、その後、予告補助キャラがアクションを起こし、保留表示の色を「白」から「青」に変化させる主制御用マイコン710と、を備え、
o 保留表示の色が「虹」は、大当り確定となるものであり、保留表示の色として「虹」までしかないものであり、「虹」に対応する消化中保留演出は「☆が4個」しかない遊技機1。」

(2)刊行物2
前置報告書で新たに引用された特開2015-47167号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(2-a)「【0010】
<全体構成>
まず、図1を用いて、本発明の実施形態1に係るパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。」

(2-b)「【0674】
図86?図89に示す保留アイコン表示態様抽選テーブルでは、増加した保留の変動タイマが属するタイマグループと、保留アイコン表示態様抽選用乱数値とに基づいて、当該保留についての保留アイコン変更シナリオが決定される。増加した保留の変動タイマが属するタイマグループは、第1副制御部400からの先読み結果情報コマンド等に基づいて判定され、保留アイコン表示態様抽選用乱数値は、RAM508に設けられた乱数カウンタから取得される。本例の保留アイコン表示態様抽選用乱数値のとり得る範囲は0?99(数値範囲の幅は100)である。
【0675】
例えば、保留数が3つから4つに増加し、増加した保留の変動タイマがタイマ1?5(タイマグループ1、即はずれ系)である場合、図86に示すように、80%の確率(乱数範囲0?79)で「入賞時:白、1変動後:白、2変動後:白、3変動後:白」という保留アイコン変更シナリオが設定される。すなわち、当該保留に対応する保留アイコンの表示態様は、表示開始当初には白であり、その後、保留が消化されて保留アイコンが消去されるまで白を維持する。なお、保留アイコン表示態様抽選用テーブルの表示態様欄において、「-」はそれ以前に設定された表示態様を維持することを表している。また、同表示態様欄では、当該保留の消化直前の表示態様をグレーの塗り潰しで示している。
【0676】
また例えば、保留数が2つから3つに増加し、増加した保留の変動タイマがタイマ8?10(タイマグループ3、期待小:当り)である場合、図87に示すように、5%の確率(乱数範囲56?60)で「入賞時:白、1変動後:青、2変動後:赤」という保留アイコン変更シナリオが設定される。すなわち、当該保留に対応する保留アイコンの表示態様は、表示開始当初には白であり、1変動後には青に変化し、2変動後(当該保留の消化直前)には赤に変化する。
【0677】
本例の保留アイコンの表示態様は、球系の保留アイコン表示グループでは信頼度(大当り信頼度)の高い方から「赤」、「青」、「白」となっており、箱系の保留アイコン表示グループでは信頼度の高い方から「千両箱」、「箱」となっている。図86?図89に示す保留アイコン表示態様抽選テーブルでは、当り時に選択されるタイマグループ3、5、7の方が、はずれ時に選択されるタイマグループ1、2、4、6よりも信頼度の高い表示態様が選択され易く、また、信頼度の高い表示態様に変化し易くなっている。」

(2-c)「【0740】
図99(b)?図100(c)は、次の特図1変動遊技の変動期間中の状態を示している。特図1表示装置212では、特図1の変動表示が開始される。特図1保留ランプ218は、左端のLEDを消灯することにより、特図1の保留が1から0に減少したことを表示する。ここで、当該変動の当否判定結果は大当り(特図A)であるものとする。
【0741】
装飾図柄表示装置208では、変動開始直後に、画面のほぼ全体が一時的に黒く表示される暗転演出が行われる(図99(b))。暗転演出中において、装飾図柄、変動アイコン、保留アイコン等は、表示されないか、または内部的(制御的)には表示されている(制御的なステータスは表示だが、該表示よりも優先度の高い黒い画像によって覆い隠されている。)が視認することができない。変動開始と同時に保留アイコン901は変動アイコン801となるが、当該変動アイコン801は暗転演出の実行に伴って消去される(変動アイコン801の1回目の消去)。第4図柄表示領域208eでは、暗転演出中においても第4図柄の変動表示が行われ、変動中であることが報知される。
【0742】
その後、暗転演出が終了すると、図柄表示領域208a?208c、変動アイコン表示領域800、保留アイコン表示領域900等が視認できるようになる(図99(c))。本例では、暗転演出中に保留・変動アイコン間の移動アニメーションおよび変化アニメーションが内部的に終了しているため、変動アイコン表示領域800には、表示態様が「青」から「赤」に変化した変動アイコン801が表示されている。
【0743】
その後、図柄表示領域208a、208cにいずれも「装飾3」が表示され、図柄表示領域208bでのみ変動表示が続行されるリーチ状態となる(図99(d))。
【0744】
その後、装飾図柄表示装置208の画面全体の表示が徐々に白く変化し(図99(e))、スーパーリーチ演出(本例では剣豪リーチ演出)用の画面背景に切り替えられる(図99(f))。スーパーリーチ演出の画面背景に切り替えられると、図柄表示領域208a?208cは縮小されて画面右上隅に移動し、変動アイコン表示領域800や保留アイコン表示領域900に表示されていた変動アイコンや保留アイコン(本例では変動アイコン801)は消去される(変動アイコン801の2回目の消去)。第4図柄表示領域208eでは、スーパーリーチ演出用の画面背景への切替中、およびスーパーリーチ演出中においても第4図柄の変動表示が行われ、変動中であることが報知される。
【0745】
その後、画面右上隅の図柄表示領域208a?208cにおいて、当りを報知する図柄組合せ以外の図柄組合せ「装飾3-装飾4-装飾3」が仮停止し、仮停止した図柄組合せの揺れ変動が行われる(図99(g))。スーパーリーチ演出用の画面背景(演出表示領域208d)では、「負け」という文字が表示されるとともに、対決に敗北したことを示唆する動画像が表示される。
【0746】
その後、スーパーリーチ演出用の画面背景から通常の画面背景に戻る(図99(h))。通常の画面背景に戻ると、図柄表示領域208a?208cは拡大されて元の位置に戻る。図柄表示領域208a?208cでは、仮停止した図柄組合せの揺れ変動が続行される。また、変動アイコン表示領域800や保留アイコン表示領域900での変動アイコンや保留アイコンの表示が再開される。本例では、スーパリーチ演出中(変動アイコン消去中)に表示態様が「赤」から「金」に変化した変動アイコン801が表示される。通常の画面背景に戻ったときに、当該変動の当否を高信頼度で報知する変動アイコン801を再び表示することにより、変動がまだ終了しておらずチャンスが残っていることを遊技者に報知できる。
【0747】
その後、通常の画面背景から逆転演出用の画面背景に切り替えられる(図100(a))。逆転演出用の画面背景に切り替えられると、図柄表示領域208a?208cは再び縮小されて画面右上隅に移動し、変動アイコン表示領域800や保留アイコン表示領域900に表示されていた変動アイコンや保留アイコン(本例では変動アイコン801)は消去される(変動アイコン801の3回目の消去)。
【0748】
その後、画面右上隅の図柄表示領域208a?208cにおいて、15R特別大当りを報知する図柄組合せ「装飾3-装飾3-装飾3」が仮停止し、仮停止した図柄組合せの揺れ変動が行われる(図100(b))。逆転演出用の画面背景では、「勝ち」という文字が表示されるとともに、対決に勝利(逆転勝利)したことを示唆する動画像が表示される。
【0749】
その後、逆転演出用の画面背景から通常の画面背景に戻る(図100(c))。通常の画面背景に戻ると、図柄表示領域208a?208cは拡大されて元の位置に戻る。図柄表示領域208a?208cでは、仮停止した図柄組合せの揺れ変動が続行される。また、変動アイコン表示領域800や保留アイコン表示領域900が元の位置に戻る。変動アイコン表示領域800に表示される変動アイコン801は、当該変動の当否を信頼度100%で報知する特別な表示態様「当」に変化している。本例では、変動アイコン801の表示態様は、消去されて表示復帰する度に変化している(青→赤→金→当)。変化後の表示態様の信頼度は、変化前の表示態様の信頼度よりも高いか、または変化前の表示態様の信頼度と同じである。また、必ずしも消去時に表示態様を変更する必要は無い。例えば1回目の変更は消去中に実行し、2回目の変更は表示中に実行しても良い。
【0750】
図100(d)は、当該特図1変動遊技が終了した状態を示している。特図1表示装置212には特図A(15R特別大当り)が停止表示され、図柄表示領域208a?208cには、図柄組合せ「装飾3-装飾3-装飾3」の揺れ変動が終了して停止表示される。第4図柄表示領域208eには、当りを報知する図柄「○」が停止表示される。また、変動アイコン表示領域800では、変動アイコン801の消去アニメーションが開始される (変動アイコン801の4回目の消去)。
【0751】
本例では、変動アイコン801は、変動期間中に3回、変動終了後を含めれば4回消去される。このように、信頼度の高い変動アイコンは、1変動において消去される回数を多くしてもよい。ただし、信頼度の高い変動アイコンは消去回数が多いとしても、当該変動アイコンが表示されている期間の長さは、消去回数の少ない変動アイコンより長くなるようにしてもよい。」

(3)刊行物3
新たに引用する特開2014-236814号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(3-a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に設けられる始動領域を遊技球が通過することにより、遊技情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された遊技情報に基づいて、特別遊技を行うか否かを判定する特別遊技判定手段と、
演出表示手段に装飾図柄を変動表示させてから停止表示させることにより前記特別遊技判定手段による判定結果を報知する変動演出を実行する変動演出制御手段と、
前記変動演出制御手段により前記変動演出が実行されているときに前記取得手段により取得された遊技情報を、保留遊技情報として所定上限数まで保留して記憶可能な保留記憶手段と、
前記保留記憶手段により記憶されている前記保留遊技情報に基づいて、前記特別遊技を行うか否かを、前記特別遊技判定手段による判定に先立って事前判定する事前判定手段と、
前記保留記憶手段により記憶されている前記保留遊技情報のそれぞれに対応する保留画像を、前記演出表示手段に表示する保留表示制御手段と、
前記保留画像の表示態様を変化させるために用いられる予告補助画像を前記演出表示手段に表示する予告補助画像表示制御手段とを備え、
前記保留表示制御手段は、
前記事前判定手段による事前判定に基づいて、表示する前記保留画像毎に表示態様を変化させるか否かを判定する保留変化判定手段と、
前記保留変化判定手段により表示態様を変化させると判定された場合、当該判定にかかる保留画像を、前記予告補助画像と連携させて、前記特別遊技判定手段により特別遊技を行うと判定される可能性を示唆する表示態様に変化させる保留変化制御手段とを有し、
前記予告補助画像表示制御手段は、前記事前判定手段による事前判定に基づいて、前記保留変化制御手段により前記保留画像が前記可能性を示唆する表示態様に変化することを前記予告補助画像を用いて示唆する保留変化示唆演出を、前記変動演出制御手段による1回の変動演出実行中に複数回実行することが可能である、遊技機。」

(3-b)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遊技機には、遊技媒体(遊技球)を獲得することによる楽しみばかりではなく、演出による楽しみが強く求められている。そして、現在、上記した保留変化予告演出は、遊技機の価値を左右する重要な演出の1つとなっている。
【0005】
それ故に、本発明の主要な目的は、より斬新な保留変化予告演出を実行できる遊技機を提供することである。」

(3-c)「【0190】
以下では、まず、図21及び図22を用いて、保留画像変化示唆演出について説明する。保留画像変化示唆演出が開始された場合、図20(1)に示すように画像表示部6の右側に星を持った蜂700が表示された後に、アイテム投げ演出が実行される場合には、図21(1)に示すように、保留画像RI0(図示なし)が移動した変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中(報知演出中)において、蜂が緑色の星を投げる。そして、図21(2)に示すように投げた星が保留画像に当った場合には、図21(3)に示すように星が当った通常表示態様の保留画像が星の色と同じ色の先読み予告表示態様に変化する。図21(1)?(3)の例では、アイテム投げ演出として、投げられた緑色の星が白色の保留画像RI3に当って保留画像RI3が緑色の先読み予告表示態様に変化している。このことによって、遊技者は、保留画像RI3に対応する報知演出(特別図柄抽選)において、大当りする可能性が或る程度高いこと(信頼度10%:図19参照)を前もって知り期待して楽しむことができる。
【0191】
一方、図21(4)に示すように投げた星が保留画像に当らなかった場合には、図21(5)に示すように保留画像は先読み予告表示態様に変化することなく保留画像変化示唆演出が終了する場合と、図21(6)に示すように、続いてアイテム落し演出が実行される場合とがある。続いてアイテム落し演出が実行される場合には、図21(6)に示すように、保留画像RI0が移動した変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中において、蜂が保留画像の上まで緑の星を運んで行って落す。そして、図21(7)に示すように落した星が必ず保留画像に当って、図21(8)に示すように、星が当った通常表示態様の保留画像が星の色と同じ色の先読み予告表示態様に変化する。図21(6)?(8)の例では、アイテム落し演出として、運んで落された緑色の星が白色の保留画像RI3に当って保留画像RI3が緑色の先読み予告表示態様に変化している。このことによって、遊技者は、保留画像RI3に対応する報知演出(特別図柄抽選)において、大当りする可能性が或る程度高いこと(信頼度10%:図19参照)を前もって知り期待して楽しむことができる。
【0192】
次に、保留画像変化示唆演出が開始された場合において、図20(1)に示すように画像表示部6の右側に星を持った蜂が表示された後に、アイテム投げ演出が実行されることなく、アイテム落し演出が実行される場合について説明する。この場合、図20(1)に示すように画像表示部6の右側に星を持った蜂が表示された後に、図21(6)?(8)の場合と同様に、アイテム落し演出が実行される。具体的には、図22(1)に示すように、保留画像RI0が移動した変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中において、蜂が保留画像の上まで緑の星を運んで行って落す。そして、図22(2)に示すように落した星が必ず保留画像に当って、図22(3)に示すように、星が当った保留画像が星の色と同じ色の先読み予告表示態様に変化する。図22(1)?(3)の例では、アイテム落し演出として、運んで落された緑色の星が白色の保留画像RI3に当って保留画像RI3が緑色の先読み予告表示態様に変化している。このことによって、遊技者は、保留画像RI3に対応する報知演出(特別図柄抽選)において、大当りする可能性が或る程度高いこと(信頼度10%:図19参照)を前もって知り期待して楽しむことができる。
【0193】
次に、図23を用いて、変動権利画像変化示唆演出について説明する。変動権利画像変化示唆演出が開始された場合、図20(1)に示すように画像表示部6の右側に星を持った蜂が表示された後に、図23(1)に示すように、保留画像RI0(図示なし)が移動した変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中(報知演出中)において、蜂が緑色の星を投げる。そして、図23(2)に示すように投げた星が変動権利画像に当らなかった場合には、図23(3)に示すように変動権利画像は予告表示態様(図17(3)参照)に変化することなく変動権利画像変化示唆演出は終了する。この場合、保留画像RI0が移動した変動権利画像KIに対応する報知演出中において(つまり、現在実行中の報知演出において)、大当りを期待させる擬似連演出は実行されることなく、装飾図柄の全てが完全に停止して特別図柄抽選結果が報知されて、今回の報知演出が終了する。一方、図23(4)に示すように投げた星が変動権利画像に当った場合には、図23(5)に示すように星が当った変動権利画像が予告表示態様に変化して(つまり、装飾図柄の一部を覆い隠すように燃え上がって)、現在実行中の報知演出において擬似連演出が実行されることが報知される。このことによって、遊技者は、現在実行中の報知演出(今回の特別図柄抽選)において、擬似連演出が実行され、大当りする可能性が或る程度高いこと(例えば、信頼度5%)を知って期待して楽しむことができる。その後、変動権利画像が予告表示態様から元の態様に戻って、図23(6)に示すように現在実行中の報知演出において擬似連演出が実行された後に、装飾図柄の全てが完全に停止して特別図柄抽選結果が報知されて今回の報知演出が終了する。
・・・
【0197】
また、以上に説明したように、本実施形態では、保留画像変化示唆演出は1回の報知演出内で実行され、この保留画像変化示唆演出において、保留画像が先読み予告表示態様に変化することを期待させる動作演出(アイテム投げ演出、アイテム落し演出)を、複数回実行する場合がある(図21参照)。このことから、本実施形態によれば、遊技者は、1つの報知演出においてこの動作演出が1回実行されて保留画像が変化しなかった場合でも、この報知演出で2回目の動作演出が実行されるのではないかと期待することができる。つまり、1つの報知演出において、保留画像が先読み予告表示態様に変化するのではないかという遊技者の期待感を長く持続させることができる。また、以上に説明したように、本実施形態では、保留画像変化示唆演出において、特定の動作演出(アイテム落し演出)が実行されると、必ず保留画像が変化する(図21、図22参照)。このことから、本実施形態によれば、保留画像変化示唆演出においてアイテム落し演出が実行されることを期待して楽しむことができる。ここで、保留画像変化示唆演出の開始時点では、アイテム落し演出と、保留画像が変化するとは限らないアイテム投げ演出とが区別ができない。このことから、遊技者は、キャラ画像の動きを注視して演出を楽しむことができる。また、以上に説明したように、本実施形態では、保留画像変化示唆演出において、保留画像が先読み予告表示態様に変化することを期待させる動作演出(アイテム投げ演出、アイテム落し演出)が複数回実行(図21の例では2回)されると、最後の動作演出として(図21の例では2回目の動作演出として)、保留画像が必ず変化するアイテム落し演出が実行されて必ず保留画像が先読み予告表示態様に変化する(図13、図21(1)、(4)、(6)?(8)参照)。このことから、本実施形態によれば、遊技者は、1回目の動作演出が終了する際に、2回目の動作演出が開始することを期待して楽しむことができる。」

(4)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(o)は、刊行物1発明の構成に対応している。)。

(a)刊行物1発明の「始動入球の検出時」、「大当り乱数等」は、本願補正発明の「所定条件が成立」する時、「取得情報」に、それぞれ、相当するから、刊行物1発明の「始動入賞球の検出時に、大当り乱数値等を抽出する遊技制御装置600」は、本願補正発明の「所定条件が成立すると、取得情報を取得する取得手段」に相当する。

(b、c)構成dには、始動記憶には始動入賞球の検出時に抽出された大当り乱数値等が記憶されていることが開示されているから、刊行物1発明において、大当りかどうかの判定は、始動入賞球の検出時に抽出された大当り乱数値等(取得情報)に基づいて行われているといえる。また、刊行物1発明の「最先の始動記憶となる」ことが、本願補正発明の「始動条件が成立する」ことに相当する。
そして、刊行物1発明の「特図1表示器51及び特図2表示器52において識別情報を変動表示した後に所定の結果態様を停止表示すること」は、本願補正発明の「図柄表示手段において所定の図柄を変動させてから停止させること」に相当する。
よって、刊行物1発明の「最先の始動記憶に対応する特図変動表示ゲームの結果が大当りかどうかを判定し、特図1表示器51及び特図2表示器52において識別情報を変動表示した後に所定の結果態様を停止表示することで特図変動表示ゲームを行う遊技制御装置600」は、本願補正発明の「始動条件が成立すると、前記取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う判定手段」及び「前記始動条件の成立に応じて、図柄表示手段において所定の図柄を変動させてから停止させることにより、前記特別遊技判定の結果を報知する図柄表示制御手段」に相当する。

(d)一般に、遊技機において大当り乱数値等を始動記憶として記憶するのは、図柄が変動されているときであることは、自明な事項である。また、刊行物1発明の「大当り乱数値等」、「始動記憶」は、それぞれ、本願補正発明の「取得情報」、「特別遊技判定の権利」に相当する。
よって、刊行物1発明の「始動入賞球の検出時に抽出された大当り乱数値等を始動記憶として記憶する特図保留記憶領域」は、本願補正発明の「前記図柄が変動されているときに前記取得手段によって前記取得情報が取得された場合、当該取得情報を記憶して前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段」に相当する。

(e)刊行物1発明の「始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミング」とは、上記(b、c)で検討した「最先の始動記憶となる」ときと同様の時期であるから、「本願補正発明の「始動条件が成立する」ときに相当する。また、刊行物1発明の「始動記憶に対応した遊技結果情報を判定する事前判定」における「始動記憶」には、始動入賞球の検出時に抽出された大当り乱数値等が記憶されているから、大当り乱数値等(取得情報)に基づいて判定しているといえる。
よって、刊行物1発明の「始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始タイミングよりも前に当該始動記憶に対応した遊技結果情報を判定する事前判定を行い、演出制御装置700に送信する遊技制御装置600」は、本願補正発明の「前記始動条件が成立する前に、前記取得手段によって取得された取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの判定(以下、事前判定)を行う事前判定手段」に相当する。

(f)刊行物1発明の「特図保留記憶領域に記憶された始動記憶についての保留予告」は、本願補正発明の「保留記憶手段に保留された特別遊技判定の権利に対応する保留表示」に相当するから、刊行物1発明の「前記特図保留記憶領域に記憶された始動記憶についての保留予告演出を実行する主制御用マイコン710」は、本願補正発明の「前記保留記憶手段に保留された特別遊技判定の権利に対応する保留表示を表示する保留表示制御手段」に相当する。

(g)遊技機において「始動記憶が消化される」と当該始動記憶に対応する図柄が変動することは、自明な事項であるから、「特2消化中保留演出領域1580に保留表示が移動するよう表示」するのは、図柄の変動中であり、当該表示は、消化された始動記憶に対応するものといえる。
よって、刊行物1発明の「始動記憶が消化される場合には、特2消化中保留演出領域に保留表示が移動するよう表示され、期待度に応じた消化中保留演出を実行する主制御用マイコン710」は、本願補正発明の「図柄表示手段による図柄の変動中に、当該図柄の変動開始時の特別遊技判定の権利に対応する変動中保留表示を表示する変動中保留表示制御手段」に相当する。

(h)刊行物1発明の「保留予告または消化中保留演出の表示態様」は、本願補正発明の「保留表示または変動中保留表示の表示態様」に相当するから、刊行物1発明の「遊技制御装置600から通知された事前判定の結果に基づいて、保留予告または消化中保留演出の表示態様を決定する主制御用マイコン710」は、本願補正発明の「前記事前判定の結果に基づいて、前記保留表示または前記変動中保留表示の表示態様を変化させることを決定する保留変化制御手段」に相当する。

(i、k)刊行物1発明において「保留予告の保留表示の色は、「白」→「青」→「黄」→「赤」→「虹」の順で大当りの期待度が高くなるように設定されて」いるから、期待度を段階的に示すことが可能な複数の表示態様のうちの何れかの表示態様に変化させる保留変化演出を実行可能であるといえる。また、「消化中保留演出は、特図変動表示ゲームが当りとなる期待度に応じて☆が1?4個表示することが可能である」から、期待度を段階的に示すことが可能な複数の表示態様のうちの何れかの表示態様に変化させる保留変化演出を実行可能であるといえる。
よって、刊行物1発明の「保留予告の保留表示の色は、「白」→「青」→「黄」→「赤」→「虹」の順で大当りの期待度が高くなるように設定されており、特図変動表示ゲームが実行されるたびに保留表示の色を変化させることが可能であり、消化中保留演出は、特図変動表示ゲームが当りとなる期待度に応じて☆が1?4個表示することが可能であるようにする主制御用マイコン710」は、本願補正発明とは「前記保留変化制御手段の結果に基づいて、特別遊技が行われる期待度を段階的に示すことが可能な複数の表示態様のうち、何れかの表示態様に前記保留表示または前記変動中保留表示を変化させる保留変化演出を実行可能な保留変化実行手段」に相当する。
また、刊行物1発明において、例えば、保留予告の「白」、「青」、「赤」、または消化中保留演出の「☆が1個」、「☆が2個」、「☆が3個」は、それぞれ、本願補正発明の「第1表示態様」、「第2表示態様」、「第3表示態様」に相当するから、刊行物1発明の構成i,kは、本願補正発明の「前記複数の表示態様は、第1表示態様と、当該第1表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第2表示態様と、当該第2表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第3表示態様とを少なくとも含み」の構成を有している。

(j)刊行物1発明の「予告補助キャラが始動記憶の保留表示の下で停止して、遊技者に期待度が高いことを報知」する演出は、遊技者に期待度が高いことを報知するものであるから、その保留表示が変化する前に保留表示が変化する可能性があることを示唆しているといえる。
また、「予告補助キャラがアクションを起こ」す演出も、保留表示が変化する前の演出であり、保留表示が変化する可能性があることを示唆する示唆演出であるといえる。
よって、刊行物1発明の「予告補助キャラが始動記憶の保留表示の下で停止して、遊技者に期待度が高いことを報知し、そして、保留表示が移動すると予告補助キャラも移動し、その後、予告補助キャラがアクションを起こし、保留表示の色を「白」から「青」に変化させる主制御用マイコン710」と、本願補正発明の「前記保留変化実行手段によって前記保留表示または前記変動中保留表示が変化される前に実行可能な演出であって、当該保留表示または当該変動中保留表示が変化する可能性があることを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段」とは、「前記保留変化実行手段によって前記保留表示が変化される前に実行可能な演出であって、当該保留表示が変化する可能性があることを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段」
である点で共通する。

したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「A 所定条件が成立すると、取得情報を取得する取得手段と、
B 始動条件が成立すると、前記取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、
C 前記始動条件の成立に応じて、図柄表示手段において所定の図柄を変動させてから停止させることにより、前記特別遊技判定の結果を報知する図柄表示制御手段と、
D 前記図柄が変動されているときに前記取得手段によって前記取得情報が取得された場合、当該取得情報を記憶して前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と、
E 前記始動条件が成立する前に、前記取得手段によって取得された取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの判定(以下、事前判定)を行う事前判定手段と、
F 前記保留記憶手段に保留された特別遊技判定の権利に対応する保留表示を表示する保留表示制御手段と、
G 前記図柄表示手段による図柄の変動中に、当該図柄の変動開始時の特別遊技判定の権利に対応する変動中保留表示を表示する変動中保留表示制御手段と、
H 前記事前判定の結果に基づいて、前記保留表示または前記変動中保留表示の表示態様を変化させることを決定する保留変化制御手段と、
I 前記保留変化制御手段の結果に基づいて、特別遊技が行われる期待度を段階的に示すことが可能な複数の表示態様のうち、何れかの表示態様に前記保留表示または前記変動中保留表示を変化させる保留変化演出を実行可能な保留変化実行手段と、
J’ 前記保留変化実行手段によって前記保留表示が変化される前に実行可能な演出であって、当該保留表示が変化する可能性があることを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段と、を備え、
K 前記複数の表示態様は、第1表示態様と、当該第1表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第2表示態様と、当該第2表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第3表示態様とを少なくとも含む、遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
保留変化実行手段に関して、本願補正発明は、「1回の図柄の変動中において変動中保留表示の表示態様を複数回変化させることが可能」であるのに対して、刊行物1発明はそのように特定されていない点。(構成M)

[相違点2]
示唆演出実行手段に関して、本願補正発明は、保留変化実行手段によって「保留表示または変動中保留表示」が変化される前に実行可能な演出であって、「当該保留表示または当該変動中保留表示」が変化する可能性があることを示唆する示唆演出を実行可能であるのに対し、刊行物1発明は、変動中保留表示に関する示唆演出を実行可能かどうか不明である点。(構成J’)

[相違点3]
示唆演出実行手段に関して、本願補正発明は、1回の図柄の変動中において示唆演出を複数回実行可能であるのに対して、刊行物1発明は、そのような構成を有していない点。(構成N)

[相違点4]
本願補正発明は、「保留変化制御手段が、変動中保留表示を第1表示態様から第2表示態様に変化させる保留変化演出よりも、変動中保留表示を第2表示態様から第3表示態様に変化させる保留変化演出を実行し難くなるように設定する」のに対し、刊行物1発明は、そのような設定が明示されていない点。(構成L)

[相違点5]
示唆演出実行手段に関して、本願補正発明は、変動中保留表示が、期待度が特定の段階を示す表示態様で表示されていると、当該特定の段階を示す表示態様で表示されている変動中保留表示がさらに変化される可能性を示唆する示唆演出を実行しないのに対して、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。(構成O)

(5)判断
ア 上記相違点1について検討する。
刊行物2には「1回の図柄の変動中において変動アイコンの表示態様を赤から金に変化させ、その後、金から当に変化させるパチンコ機100」が記載されており(段落【0010】、【0740】、【0746】、【0749】、図99、図100、以下「刊行物2記載の事項」という。)、この記載は、1回の図柄の変動中において変動中保留表示の表示態様を複数回変化させることを意味するものである。
そして、刊行物1発明と刊行物2記載の事項とは、図柄の変動中に変動中保留表示を行う遊技機である点で共通するものであるから、刊行物1発明に刊行物2記載の事項を適用し、1回の図柄の変動中において前記変動中保留表示の表示態様を複数回変化させ、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは当業者であれば容易になし得たことである。

イ 上記相違点2について検討する。
遊技機の技術分野において、変動中保留表示が変化する前に、変動中保留表示が変化する可能性があることを示唆する示唆演出を実行することは、本願出願前において、周知の技術である(例えば、特開2014-208082号公報の請求項1、段落【0081】?【0091】、図8?10の現在変動中の保留画像52aが変化することをサブ液晶表示装置6に出現するアイテム62の色により示唆する示唆演出を実行すること、刊行物3の段落【0193】、図23の変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中に蜂が緑色の星を投げ、投げた星が変動権利画像に当たったか否かによる変動権利画像示唆演出を実行することを参照のこと。以下「周知技術1」という。)。
そして、刊行物1発明と周知技術1とは、図柄の変動中保留表示を行う遊技機であるとともに、示唆演出を実行する点で共通するものであるから、刊行物1発明に周知技術1を適用し、示唆演出に関して、保留変化実行手段によって「保留表示または変動中保留表示」が変化される前に実行可能な演出であって、「当該保留表示または当該変動中保留表示」が変化する可能性があることを示唆する示唆演出を実行可能とし、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

ウ 上記相違点3について検討する。
刊行物3には、「保留変化制御手段により保留画像が特別遊技を行うと判定される可能性を示唆する表示態様に変化することを、予告補助画像を用いて示唆する保留変化示唆演出が変動演出制御手段による1回の変動演出実行中に複数回実行可能である遊技機」が記載されている(請求項1、段落【0190】、【0191】、以下「刊行物3記載の事項」という)。
刊行物1発明と刊行物3記載の事項とは、ともに事前判定の結果に基づいて保留表示の表示態様を変化させる保留予告を行う遊技機である点で共通するものである。そして、刊行物3記載の事項における発明が解決しようとする課題である「より斬新な保留変化予告演出を実行できる遊技機を提供すること」は、刊行物1発明においても内在する課題であるといえる。
よって、刊行物1発明において、より斬新な保留変化予告演出を実行するために、刊行物3記載の事項を適用し、保留変化示唆演出を1回の変動演出実行中に複数回実行させて、上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは当業者であれば容易になし得たことである。

さらに、上記相違点3における「1回の図柄の変動中において前記示唆演出を複数回実行可能である」ことが、変動中保留表示の表示態様が複数回変化することに関連して実行するものと解した場合について以下に検討する。
上記アで検討したとおり、刊行物2記載の事項には、「1回の図柄の変動中において前記変動アイコンの表示態様を赤から金に変化させ、その後、金から当に変化させる」点、すなわち、1回の図柄の変動中において前記変動中保留表示の表示態様を複数回変化させることが開示されている。
また、上記イで検討したとおり、遊技機の技術分野において、変動中保留表示が変化する前に、変動中保留表示が変化する可能性があることを示唆する示唆演出を実行することは、周知技術1であるといえる。
そして、上記周知技術1に示された示唆演出は、変動中保留表示が変化する前に行うものであるから、当該変動中保留表示を複数回実行する場合に、その変動表示の回数に応じて、示唆演出を複数回実行することは、当業者が適宜なし得ることである。
よって、刊行物1発明に刊行物2記載の事項及び周知技術1を併せて適用し、刊行物2記載の事項における変動中保留表示が変化する可能性を示唆する示唆演出を実行した後に、変動中保留表示の表示態様を変化させ、これらを複数回実行するように構成することは、当業者が容易になし得たことである。

エ 上記相違点4について検討する。
前示のとおり、刊行物2記載の事項には「1回の図柄の変動中において前記変動アイコンの表示態様を赤から金に変化させ、その後、金から当に変化させる」点が開示されており、刊行物2記載の事項の「赤」、「金」、「当」は、それぞれ、「第1表示態様」、「第2表示態様」、「第3表示態様」と解することができるから、刊行物2記載の事項は、変動中保留表示を第1表示態様から第2表示態様に変化させる保留変化演出と、変動中保留表示を第2表示態様から第3表示態様に変化させる保留変化演出を開示するものといえる。
一方、遊技機の技術分野において、保留表示を第1表示態様から、第1表示態様よりも期待度が高い第2表示態様に変化させるよりも、第2表示態様から、第2表示態様よりも期待度が高い第3表示態様に変化させる方が実行し難くなるように設定することは、本願出願前において、周知の技術である(例えば、刊行物2の図86において、入賞時「白」から「青」に変化する割合よりも、入賞時「青」から「赤」に変化する割合の方が低いこと(タイマグループ1では、入賞時「白」→「青」は、乱数値範囲で80?87(8個)、入賞時「青」→「赤」は、乱数値範囲なし、タイマグループ2では、入賞時「白」→「青」は、乱数値範囲で69?80(12個)、入賞時「青」→「赤」は、乱数値範囲なし、タイマグループ3では、入賞時「白」→「青」は、乱数値範囲で15?34(20個)、入賞時「白」→「青」→「赤」は、乱数値範囲で40?49(10個)、入賞時「青」→「赤」は、乱数値範囲で50?74(25個)、タイマグループ4では、入賞時「白」→「青」は、乱数値範囲で67?75(9個)、入賞時「白」→「青」→「赤」は、乱数値範囲で79?80(2個)、入賞時「青」→「赤」は、乱数値範囲で81(1個))、特開2013-212136号公報の図23も同様に、入賞時「白」から「青」に変化する割合よりも、入賞時「青」から「赤」に変化する割合の方が低いこと、特開2013-291号公報の段落【0095】、図13において、保留情報が3から4に変化する割合よりも、保留情報が4から5に変化する割合の方が低いこと(保留変化情報が2である場合に、初期保留情報が3で保留変化レンジ情報が3?4の抽選値128?199(72個)は、初期保留情報が4で保留変化レンジ情報が4?5の抽選値200?255(56個))を参照のこと。以下「周知技術2」という。)。
そして、変動中保留表示と保留表示とは、共にその表示形態により特別遊技が行われる期待度を示すものであり、変動中保留表示と保留表示のどちらを行う場合であっても特別遊技が行われる確率は変わらないから、変動中保留表示を行う場合においても、上記周知技術2として示した保留表示を行う場合と同様に、より期待度の高い表示形態に変化させることが実行し難くなるように設定することは、当業者が適宜なし得たことに過ぎない。
以上を踏まえると、刊行物1発明と刊行物2記載の事項とは、図柄の変動中に変動中保留表示を行う遊技機である点で共通するものであるから、刊行物1発明に刊行物2記載の事項の変動中保留表示を適用するとともに、当該変動中保留表示を周知技術2として示した第1表示態様から第2表示態様に変化させる保留変化演出よりも、変動中保留表示を第2表示態様から第3表示態様に変化させる保留変化演出を実行し難くなるように設定し、上記相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは当業者であれば容易になし得たことである。

オ 上記相違点5について検討する。
刊行物1発明において、大当り確定となる「虹」に対応する消化中保留演出は「☆が4個」しかないというものであり、このことは、変動中保留表示が、大当り確定となる「☆が4個」という期待度が特定の段階を示す表示態様で表示されているときには、さらに変化することはないことを意味するものである。
一方、上記イで検討したとおり、遊技機の技術分野において、変動中保留表示が変化する前に、変動中保留表示が変化する可能性があることを示唆する示唆演出を実行することは、周知技術1である。
そして、刊行物1発明に周知技術1を適用し、変動中保留表示に対して示唆演出を実行する場合において、期待度が特定の段階を示し、さらに変化することがない変動中保留表示に対して、示唆演出を実行しないように構成し、上記相違点5に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

さらに、上記相違点5における「変動中保留表示が、期待度が特定の段階を示す表示態様で表示される」ことが、変動中保留表示の表示態様が複数回変化することを前提とした場合についても以下に検討する。
上記アで検討したとおり、刊行物2記載の事項には、「1回の図柄の変動中において前記変動アイコンの表示態様を赤から金に変化させ、その後、金から当に変化させる」点、すなわち、1回の図柄の変動中において前記変動中保留表示の表示態様を複数回変化させることが開示されている。
そして、刊行物2記載の事項における「当」は、変動の当否を信頼度100%で報知する特別な表示態様であるから(段落【0749】参照)、さらに変化することはないことを意味するものである。
よって、刊行物1発明に刊行物2記載の事項を適用した、変動中保留表示の表示態様が複数回変化するものにおいて、周知技術1として示した示唆演出を行う場合に、期待度が特定の段階を示し、さらに変化することがない変動中保留表示に対して、示唆演出を実行しないように構成することは、当業者が容易になし得たことである。

カ 本願補正発明が奏する効果について
上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明、刊行物2記載の事項、刊行物3記載の事項及び周知技術1、2から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

キ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「(4)また、引用文献1および2には、変動中保留表示を第1表示態様から第2表示態様に変化させる保留変化演出よりも、変動中保留表示を第2表示態様から第3表示態様に変化させる保留変化演出を実行し難くすることは記載も示唆もされていません。(5)また、引用文献1および2には、変動中保留表示が、期待度が特定の段階を示す表示態様で表示されていると、当該特定の段階を示す表示態様で表示されている変動中保留表示がさらに変化される可能性を示唆する示唆演出を実行しないことは、記載も示唆もされていません。 」と主張する(第5頁第24?第6頁4行)。
しかしながら、前者の変動中保留表示を第1表示態様から第2表示態様に変化させる保留変化演出よりも、変動中保留表示を第2表示態様から第3表示態様に変化させる保留変化演出を実行し難くすることについては、上記(5)エで検討したとおり、刊行物1発明、刊行物2記載の事項及び周知技術2に基づいて適宜なし得たことであり、後者の変動中保留表示が、期待度が特定の段階を示す表示態様で表示されていると、当該特定の段階を示す表示態様で表示されている変動中保留表示がさらに変化される可能性を示唆する示唆演出を実行しないことについては、上記(5)オで検討したとおり、刊行物1発明及び周知技術1に基づいて適宜なし得たことである。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明、刊行物2記載の事項、刊行物3記載の事項及び周知技術1、2に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年5月12日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】
所定条件が成立すると、取得情報を取得する取得手段と、
始動条件が成立すると、前記取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、
前記始動条件の成立に応じて、図柄表示手段において所定の図柄を変動させてから停止させることにより、前記特別遊技判定の結果を報知する図柄表示制御手段と、
前記図柄が変動されているときに前記取得手段によって前記取得情報が取得された場合、当該取得情報を記憶して前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と、
前記始動条件が成立する前に、前記取得手段によって取得された取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの判定(以下、事前判定)を行う事前判定手段と、
前記保留記憶手段に保留された特別遊技判定の権利に対応する保留表示を表示する保留表示制御手段と、
前記事前判定の結果に基づいて、前記保留表示の表示態様を変化させることが可能な保留変化制御手段と、を備え、
前記保留変化制御手段は、
特別遊技が行われる期待度を段階的に示すことが可能な複数の表示態様のうち、何れかの表示態様に前記保留表示を変化させる保留変化演出を実行可能な保留変化実行手段と、
前記保留変化実行手段によって前記保留表示が変化される前に、当該保留表示が変化される可能性を示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段と、を含み、
前記複数の表示態様は、第1表示態様と、当該第1表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第2表示態様と、当該第2表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第3表示態様とを少なくとも含み、
前記保留変化実行手段は、前記保留表示を前記第1表示態様から前記第2表示態様に変化させる保留変化演出よりも、前記保留表示を前記第2表示態様から前記第3表示態様に変化させる保留変化演出を実行し難く、
前記示唆演出実行手段は、前記保留表示が、前記期待度が特定の段階を示す表示態様で表示されていると、当該特定の段階を示す表示態様で表示されている保留表示がさらに変化される可能性を示唆する示唆演出を実行しない、遊技機。」

2 刊行物
刊行物1及びその記載事項、並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(1)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「保留表示制御手段」に関連する「前記図柄表示手段による図柄の変動中に、当該図柄の変動開始時の特別遊技判定の権利に対応する変動中保留表示を表示する変動中保留表示制御手段」を省き、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「保留変化制御手段」に関して、「前記保留表示または前記変動中保留表示の表示態様を変化させることを決定する保留変化制御手段」、「前記保留変化制御手段は、前記変動中保留表示を前記第1表示態様から前記第2表示態様に変化させる保留変化演出よりも、前記変動中保留表示を前記第2表示態様から前記第3表示態様に変化させる保留変化演出を実行し難くなるように設定」することから変動中保留表示に関する限定を省き、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「保留変化実行手段」に関して、「前記保留変化制御手段の結果に基づいて、特別遊技が行われる期待度を段階的に示すことが可能な複数の表示態様のうち、何れかの表示態様に前記保留表示または前記変動中保留表示を変化させる保留変化演出を実行可能な保留変化実行手段」、「前記保留変化実行手段は、1回の図柄の変動中において前記変動中保留表示の表示態様を複数回変化させることが可能であり」から変動中保留表示に関する限定を省き、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「示唆演出実行手段」に関して、「前記保留変化実行手段によって前記保留表示または前記変動中保留表示が変化される前に実行可能な演出であって、当該保留表示または当該変動中保留表示が変化する可能性があることを示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段」、「前記示唆演出実行手段は、1回の図柄の変動中において前記示唆演出を複数回実行可能であり、」、「前記示唆演出実行手段は、前記変動中保留表示が、前記期待度が特定の段階を示す表示態様で表示されていると、当該特定の段階を示す表示態様で表示されている前記変動中保留表示がさらに変化される可能性を示唆する示唆演出を実行しない」ことから変動中保留表示に関する限定を省くものである。

本願発明と刊行物1発明とを対比する。上記「第2 3(4)」で検討した事項を踏まえると、本願発明と刊行物1発明とは、
「所定条件が成立すると、取得情報を取得する取得手段と、
始動条件が成立すると、前記取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行う判定手段と、
前記始動条件の成立に応じて、図柄表示手段において所定の図柄を変動させてから停止させることにより、前記特別遊技判定の結果を報知する図柄表示制御手段と、
前記図柄が変動されているときに前記取得手段によって前記取得情報が取得された場合、当該取得情報を記憶して前記特別遊技判定の権利として保留する保留記憶手段と、
前記始動条件が成立する前に、前記取得手段によって取得された取得情報に基づいて、特別遊技を行うか否かの判定(以下、事前判定)を行う事前判定手段と、
前記保留記憶手段に保留された特別遊技判定の権利に対応する保留表示を表示する保留表示制御手段と、
前記事前判定の結果に基づいて、前記保留表示の表示態様を変化させることが可能な保留変化制御手段と、を備え、
前記保留変化制御手段は、
特別遊技が行われる期待度を段階的に示すことが可能な複数の表示態様のうち、何れかの表示態様に前記保留表示を変化させる保留変化演出を実行可能な保留変化実行手段と、
前記保留変化実行手段によって前記保留表示が変化される前に、当該保留表示が変化される可能性を示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段と、を含み、
前記複数の表示態様は、第1表示態様と、当該第1表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第2表示態様と、当該第2表示態様よりも前記期待度が高いことを示す第3表示態様とを少なくとも含む、遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1’]
本願発明は、「保留変化実行手段は、保留表示を第1表示態様から第2表示態様に変化させる保留変化演出よりも、保留表示を第2表示態様から第3表示態様に変化させる保留変化演出を実行し難くなるように設定する」のに対し、刊行物1発明は、そのような設定が明示されていない点。

[相違点2’]
本願発明は、「示唆演出実行手段は、保留表示が、期待度が特定の段階を示す表示態様で表示されていると、当該特定の段階を示す表示態様で表示されている保留表示がさらに変化される可能性を示唆する示唆演出を実行しない」のに対し、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。

上記相違点1’について検討する。
上記「第2 3(5)エ」で検討したとおり、遊技機の技術分野において、保留表示を第1表示態様から、第1表示態様よりも期待度が高い第2表示態様に変化させるよりも、第2表示態様から、第2表示態様よりも期待度が高い第3表示態様に変化させる方が実行し難くなるように設定することは、周知技術2である。
そして、刊行物1発明と周知技術2とは、ともに期待度を段階的に示すことが可能な複数の表示態様に保留表示を変化させる演出を行う遊技機である点で共通するものであるから、刊行物1発明に周知技術2を適用し、上記相違点1’に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

上記相違点2’について検討する。
刊行物1発明において、保留表示の色が「虹」は、大当り確定となるものであり、保留表示の色として「虹」までしかないから、このことは、保留表示が大当り確定となる「虹」という期待度が特定の段階を示す表示態様で表示されているときには、さらに変化することはないことを意味するものである。
ここで、刊行物1発明は、予告補助キャラが停止、又はアクションを起こすことにより保留表示に対して示唆演出を実行可能な示唆演出実行手段を備えるものである。
そして、刊行物1発明において、保留表示に対して示唆演出を実行する場合に、期待度が特定の段階を示し、さらに変化することがない保留表示に対しては、示唆演出を実行する必要がないから、当該保留表示に対して示唆演出を実行しないように構成し、上記相違点2’に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-02 
結審通知日 2017-08-03 
審決日 2017-08-15 
出願番号 特願2015-73157(P2015-73157)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 平城 俊雅
萩田 裕介
発明の名称 遊技機  
代理人 小沢 昌弘  
代理人 寺本 亮  

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