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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1332983
審判番号 不服2016-13978  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-16 
確定日 2017-10-26 
事件の表示 特願2013-555936「半導体装置及び製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 9月 7日国際公開、WO2012/117247、平成26年 4月21日国内公表、特表2014-509781、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年2月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年3月3日、英国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成27年 8月27日 拒絶理由通知(起案日)
平成27年11月27日 意見書及び手続補正書の提出
平成28年 5月11日 拒絶査定(起案日)
平成28年 9月16日 審判請求及び手続補正書の提出
平成29年 6月 9日 当審拒絶理由通知(起案日)
平成29年 9月 7日 意見書及び補正書の提出


第2 原査定の概要
1 拒絶理由通知
平成28年5月11日付けの拒絶査定(以下、「原査定」という。)の根拠となった平成27年8月27日付けの拒絶理由通知の概要は次のとおりである。

「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。

2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
……(中略)……
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

[理由1,2(新規性,進歩性)について]

・請求項1?2,4?15
・引用例1
・備考
引用例1の段落[0070]?[0078]及び図12を参照。請求項5については段落[0020],請求項6については段落[0016],請求項7については段落[0044],請求項14については段落[0053],請求項15については段落[0017]も併せて参照。
本願の請求項1?2,4?15は引用例1と同一であり,また,引用例1から当業者が容易になし得たものである。

[理由2(進歩性)について]

・請求項3
・引用例1?2
・備考
ピラー間とピラー頂部上に半導体材料を成長させる間においてマスク層がピラーの頂部に残されている態様は,引用例2(段落[0020]?[0029]及び図3)に開示された,ピラーアレイを用いた横方向エピタキシャル成長法における公知の態様であり,同じく横方向エピタキシャル成長法である引用例1における具体的な態様として,引用例2に開示された公知の態様を選択することは,当業者が適宜なし得た設計変更である。
したがって,本願の請求項3は引用例1?2から当業者が容易になし得たものである。
……(中略)……
<引用文献等一覧>
1.特表2010-516599号公報
2.特表2008-542183号公報」

2 拒絶査定
原査定の概要は次のとおりである。

「この出願については,平成27年 8月27日付け拒絶理由通知書に記載した理由2によって,拒絶をすべきものです。
なお,意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが,拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

[理由2(特許法第29条第2項)について

・請求項1?7
・引用例1?2
・備考
本願の請求項1と引用例1を比較すると,本願の請求項1では,「前記半導体材料が成長している間に、前記第1のマスク層から形成されたキャップがそれぞれのピラーの頂部に残されている」のに対し,引用例1では,SiO_(2)又はSi_(3)N_(4)誘電材料(本願の「第1のマスク層」に相当)を除去した後に,GaNナノコラムテンプレート(本願の「ピラー」に相当)間の横方向成長及びGaNナノコラム上の高品質ELOG成長を行う点,すなわち,キャップがそれぞれのピラーの頂部に残されていない点,で相違する。
しかしながら,GaNテンプレートの側壁から横方向成長を行って合体させた後,テンプレート上面のマスクを含む全面にGaN薄膜を成長させる技術は,引用例2(段落[0020]?[0029],[0038]?[0042]及び図3?5)に記載された公知の技術である。
そして,引用例1と引用例2はともに,テンプレート上に横方向成長技術を用いてGaN層を形成する技術である点で共通する技術であり,引用例2の技術によれば,横方向成長されたGaN層中の転位密度低減が期待できることから(引用例2の段落[0029],[0036],[0041]),引用例1のGaNナノコラムテンプレートに対し引用例2に開示された公知技術を適用することは,当業者であれば自然に思いつくことであるといえる。
したがって,本願の請求項1は,引用例1?2から当業者が容易になし得たものである。また,本願の請求項2?7についても同様に,引用例1?2から容易になし得たものである。

平成27年11月27日付け意見書において出願人は,
(1)引用例1,2は互いに全く異なる工程が用いられており,これらの相反する技術を組み合わせる動機付けが存在しない,
(2)引用例1において金属マスクは除去されるものであるのに対し,引用例2では誘電材料はコラム頂部に残さなければならず,矛盾を生じてしまうから,引用例1と引用例2から本願発明を想到することは不可能である,
と主張している。
しかしながら,上記検討のとおり,引用例1と引用例2はテンプレート上に横方向成長技術を用いてGaN層を形成する技術である点で共通しており,引用例2の技術を適用することにより転位密度低減の効果が期待できるから,両者を組み合わせる動機付けは十分に存在するものといえる。上記出願人の主張(1)は採用できない。
また,引用例1に引用例2を組み合わせるとは,具体的には,引用例1において「SiO_(2)又はSi_(3)N_(4)誘電材料」(引用例2の「マスク」に相当)を除去するのに代えて,当該誘電材料を残した状態で引用例2に開示された「側面成長」「上方成長」及び「横方向成長」を行うことを意味するものであり,上記主張(2)の矛盾は生じない。上記出願人の主張(2)は採用できない。

以上のとおり,本願の請求項1?7に係る発明は,引用例1?2に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特表2010-516599号公報
2.特表2008-542183号公報」


第3 当審拒絶理由通知の概要
平成29年6月9日付けで当審より通知した拒絶理由通知の概要は次のとおりである。

「この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


……(中略)……
(2)本願明細書の記載事項
ア 前記(1)アより、本願明細書には、
「サファイア、SiCやケイ素などの異質な基板上」で「III族窒化物」をヘテロエピタキシャル成長させると「大変高い転位密度をもたらす」ことから、
これまでは、サファイヤ基板上に形成した半導体層である「GaN層」を縞状マスクでマスクしてテンプレートとして用い、マスク開口部に露出した前記「GaN層」において始まる半導体材料である「GaN」の再成長を、前記縞状マスクを覆うように横方向に進展させるという「従来の横方向エピタキシャル成長(ELOG)」を利用していたが、
前記「従来の横方向エピタキシャル成長(ELOG)」は、前記縞状マスクの寸法をナノメータスケールにまで小さくすることができないため種々の問題が生じる、
ことが「解決しようとする課題」であることが記載されている。

イ 前記(1)イより、本願明細書には、前記「発明が解決しようとする課題」の課題解決手段として、
(ア)「半導体層を持つ半導体ウエハ」を「提供」し、この「半導体層の上」に「第1のマスク層」を「形成」し、「第1のマスク層の上」に「第2のマスク層」を「形成」し、「複数の島を形成するため」に「第2のマスク層のアニーリング」をし、「複数の島をピラーのアレイを形成するためのマスクとして用い、第1のマスク層及び半導体層を介したエッチング」を行い、「さらに、ピラー間及びピラー上部を覆う半導体材料」を「成長」させるという「製造方法を提供する」こと、
(イ)前記「半導体材料は、半導体層を形成する材料(すなわち、ピラー)と同じ材料又は違う材料でも良い」こと、
(ウ)前記「半導体層」は「窒化ガリウム、窒化インジウムガリウム又は窒化アルミニウムガリウム」である「III族窒化物」から形成され、前記「半導体材料もまた、窒化インジウムガリウム又は窒化アルミニウムガリウムのような、III族窒化物とし得る」こと、
が記載されている。

ウ 前記(1)ウより、本願明細書には、「発明を実施するための形態」として、
(ア)前記「半導体層」として、具体的には「窒化ガリウム(GaN)」を用いるが、「窒化インジウムガリウム(InGaN)又は窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)のような、他のIII族窒化物」でもよいこと、
(イ)前記「半導体材料」は、具体的には「GaN」を用いるが、「AlGaN」でもよいこと、
(ウ)前記「半導体材料」である「GaN270」の「再成長」は、「GaNナノロッド側面」の「GaNが露出している箇所」において「横方向」成長として始まり、その後、前記「GaNの再成長は、SiO2ナノマスク頂部を覆うように、横方向に進行する」こと、
が記載されている。

(3)請求項1の記載
ア これに対して、本願の特許請求の範囲の請求項1には、
「(i)半導体層を有する半導体ウエハを提供し、
(ii)前記半導体層上に二酸化ケイ素と窒化ケイ素の少なくとも一方で形成される第1のマスク層を形成し、
(iii)前記第1のマスク層上に金属で形成される第2のマスク層を形成し、
(iv)島を形成するために前記第2のマスク層をアニールし、
(v)マスクとして島を使用して、前記第1のマスク層と前記第2のマスク層を介してエッチングすることにより、全数のうち90%以上が1000ナノメータ未満の直径を有するピラーアレイを形成し、
(vi)前記島を取り除き、
(vii)ピラー間において半導体材料を成長させ、
(viii)次いでピラーの頂部上に半導体材料を成長させ、前記半導体材料が成長している間に、前記第1のマスク層から形成されたキャップがそれぞれのピラーの頂部に残されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。」

イ 上記のように、請求項1には、「半導体層」と「半導体材料」が、それぞれ、どのような「半導体」で形成されるのか特定されていない。

ウ また、請求項1のステップ「(viii)」においては「次いでピラーの頂部上に半導体材料を成長させ、前記半導体材料が成長している間に」と記載され、「前記」を付すことで、ことさら後者の「半導体材料」が前者の「半導体材料」と同じものであることを特定しているが、ステップ「(viii)」の「ピラーの頂部上」に「成長させ」る「半導体材料」が、ステップ「(vii)」の「ピラー間」において「成長させ」る「半導体材料」と同じものであること、及び、ステップ「(viii)」において「頂部上に半導体材料を成長させ」る「ピラー」が、ステップ「(vii)」において「間において半導体材料を成長させ」る「ピラー」と同じものであることは、特定していない。

(4)判断
ア 前記(3)イから、本願の請求項1に係る発明の「半導体層」及び「半導体材料」は、「半導体」で形成されていれば足り、その材料は特に限定されないと認められる。したがって、本願の請求項1に係る発明の「半導体層」及び「半導体材料」は、ごく一般的な半導体であるシリコンやゲルマニウムであるものを包含すると認められる。
これに対して、本願明細書には、前記(2)アで指摘したとおり、「III族窒化物」半導体を横方向エピタキシャル成長させる場合に生じる問題を解決することが「解決しようとする課題」であると記載されている。
また、前記(2)イ(ア)?(ウ)で指摘したとおり、前記半導体層と前記半導体材料は、同じ材料で形成されていても違う材料で形成されていてもよいが、少なくとも、ともに「III族窒化物」から形成されることが、課題解決手段として記載されている。
そして、前記(2)ウ(ア)?(イ)で指摘したとおり、「発明を実施するための形態」に開示されているのは、前記半導体層には「窒化ガリウム(GaN)」等の「III族窒化物」半導体を用いることだけであり、前記半導体材料には「GaN」を用いるが「AlGaN」を用いてもよいことだけである。
以上から、当業者の技術常識を参酌しても、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された内容を、本願の請求項1に記載された範囲にまで拡張ないし一般化できるとは認められない。

イ 前記(3)ウから、本願の請求項1に係る発明は、ステップ「(viii)」の「ピラーの頂部上」に「成長させ」る「半導体材料」が、ステップ「(vii)」の「ピラー間」において「成長させ」る「半導体材料」とは異なるという態様を包含していると認められる。
また、本願の請求項1に係る発明は、「間において半導体材料を成長させ」る「ピラー」とは異なる「ピラー」については、「頂部上」に異なる「半導体材料を成長させ」るという態様も包含していると認められる。
しかしながら、前記(2)ウ(ウ)で指摘したとおり、本願明細書に記載されているのは、一つの「半導体材料」を、「ピラー間」において「成長させ」、その後、前記「ピラー」の「頂部上」に「成長させ」ることだけであり、「ピラーの頂部上」に「成長させ」る「半導体材料」を、前記「ピラー」の「間」において「成長させ」た「半導体材料」とは異ならせることや、「ピラー」の位置に応じて、「ピラー間」と「ピラーの頂部上」に異なる「半導体材料」を「成長させ」ることは、本願明細書には記載も示唆もされていない。

ウ 以上から、請求項1に係る発明、及び、請求項1を引用する請求項2?7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。」


第4 本願発明
本願の請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成29年9月7日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
(i)III族窒化物で形成されている半導体層を有する半導体ウエハを提供し、
(ii)前記半導体層上に二酸化ケイ素と窒化ケイ素の少なくとも一方で形成される第1のマスク層を形成し、
(iii)前記第1のマスク層上に金属で形成される第2のマスク層を形成し、
(iv)島を形成するために前記第2のマスク層をアニールし、
(v)マスクとして島を使用して、前記第1のマスク層と前記第2のマスク層を介してエッチングすることにより、全数のうち90%以上が1000ナノメータ未満の直径を有するピラーアレイを形成し、
(vi)前記島を取り除き、
(vii)ピラー間においてIII族窒化物で形成されている半導体材料を成長させ、
(viii)次いで前記ピラーの頂部上に前記半導体材料を成長させ、前記半導体材料が成長している間に、前記第1のマスク層から形成されたキャップがそれぞれの前記ピラーの頂部に残されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体層は基板上に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記基板は、少なくともサファイア、シリコン、及び炭化ケイ素の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第2のマスク層はニッケルで形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記半導体材料の成長は前記ピラーの基部周囲に隙間を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記半導体層は基板上に支持され、
隣接する前記ピラーにおける前記半導体材料の成長は前記基板から離れた高さで接触し、前記隙間は前記高さの下で残されることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。」


第5 引用された文献及び引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献の記載事項
原査定の根拠となった拒絶理由通知に引用された刊行物である特表2010-516599号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「ナノ構造テンプレートを使用した単結晶半導体材料の製造、単結晶半導体材料、および半導体ナノ構造」(発明の名称)について、図1?図18とともに次の事項が記載されている(下線は参考のため当審において付したもの。以下同様である。)。
ア 「【背景技術】
【0002】
ワイドバンドギャップGaN及びその関連材料は、様々なデバイスに使用するための最も魅力的な化合物半導体のひとつである。これらの材料は、可視領域から紫外領域に及ぶ広いスペクトル領域及び高温/高電力領域で動作する光学電子デバイス及びマイクロ電子デバイスに適している。その他のワイドバンドギャップ半導体に対する窒化物半導体の主要な利点は、光学デバイス又はマイクロ電子デバイスに使用した際に高温及び高電力における劣化が少ないことである。一方、(量子細線及びドットにおける)低次元量子閉じ込め効果が、光学デバイスの性能を向上させるための主要な技術の1つになると考えられている。様々なIII-V族窒化物の低次元構造が、エッチング、再成長、選択領域における成長(オーバーグロース)、傾斜基板上での成長、自己組織化プロセス等によって形成されてきた。
【0003】
過去数年間の技術的進歩にもかかわらず、GaNデバイスのさらなる発展を妨げる主要な障害の1つは、高品質で安価な独立したGaN基板が市販されていないことである。窒化物デバイスでは、サファイアやSiC等の代替基板が一般に使用されている。格子不整合及び成膜された膜と基板(ヘテロエピタキシー)との大きな熱膨張係数の差のために、非常に密度の高い(10^(9)?10^(10)cm^(-2))貫通転位及び望ましくない残留歪みによるウェハの屈曲/クラックが成長させた窒化物層において生じる。これらの要因により、窒化物を使用した光学電子デバイス及びマイクロ電子デバイスの性能と寿命が大きく左右される。
【0004】
エピタキシャル横方向成長法(ELOG及びその変形であるファセット開始エピタキシャル横方向成長(facet initiated epitaxial lateral overgrowth(FIELO))及びPendeo(ラテン語で吊すを意味する))は、屈曲及び材料における貫通転位のほとんどを抑制するために最も広く採用されている方法である。最初に成長させたGaN膜上に成膜したストライプ状の横方向成長酸化物(又は金属)により、転位密度を約2桁減少させる(10^(7)cm^(-2)レベル)ことができる。しかし、欠陥密度の低い材料は合体部に位置する翼領域(wing region)のみで生じ、翼領域はウェハの全表面積の約5分の1のみである。成長領域には合体部の大きな傾斜と引張応力が存在する。
【0005】
現在、欠陥密度の低い独立したGaNは、光学電子デバイス及びマイクロ電子デバイスの所望の仕様を達成するための材料のひとつである。バルク(溶融又は昇華)成長及びハイドライド気相エピタキシャル成長(HVPE)は、欠陥密度の低い独立したGaNを成長させるための2つの主要な技術である。15キロバール以下の非常に高い圧力で行うバルクGaN成長法により、転位密度の低い(<10^(7)cm^(-2))材料を成長させることに成功している。しかしながら、バルクGaN成長法は成長速度が低く、直径の小さな基板への適用に限られており、非常にコストがかかり、商業生産には非経済的である。30mWの出力レベルにおけるCW動作での1万5千時間という記録的な窒化物レーザー寿命が、日亜化学工業株式会社によってHVPE成長基板を使用して最近達成されている。HVPEは、欠陥密度の低いGaNと大口径の独立した市販のGaN基板を提供するために利用できる最も有望な技術の1つである。
【0006】
HVPEは可逆的な平衡に基づくホットウォールプロセスであり、以下の利点を有する。(1)高い成長速度(最大100μm/時、有機金属化学気相成長法(MOCVD)と分子線エピタキシャル成長法(MBE)の100倍超);(2)低いランニングコスト;(3)混合転位の相互消滅により厚いGaNの欠陥密度が低下する。しかし、HVPE法は異種基板上への成長の場合に上述した固有の問題を有する。そのため、HVPEを使用する厚いGaNの成長では、異種基板上での初期GaN厚膜(30?100μm)の屈曲とクラックを減少させ、GaNの欠陥密度を最小化させるという2つの重要な問題を克服しなければならない。
【0007】
異種基板の使用に起因する厚いGaN膜のクラックは、成長及び冷却条件に依存する。GaNのクラック発生の臨界厚みは、HVPEによってサファイア基板上にGaNを直接成長させた場合の10?15μmから、反応性スパッタリングによるAlNバッファ層の使用又はZnOバッファ層の使用によってクラックを生じさせることなく40?80μmに向上させることができる。しかし、この厚みであっても、基板を分離する際の安全な取り扱いには十分ではない。初期成長において厚いGaN膜におけるクラックをさらに減少させるために、ELOG、パターン付き基板への成長、溶融Ga界面層を使用した再成長、GaNにより適合した基板の使用、厚みを減少させ、機械的に脆弱化させたサファイア基板の使用といったその他の成長法も利用されている。
【0008】
欠陥密度(主に貫通転位)及び歪みを減少させ、HVPEによって成長させた厚いGaN膜の表面モフォロジを改良するために、ELOG、低い反応器圧力での成長、TiN中間層を使用した成長、脆弱化させたSi、GaAs、その他のIII-V単結晶ウェハ上での深い逆ピラミッド型エッチピットといった様々な技術が採用されている。しかし、これらの技術を使用した成長プロセスは工数と時間が必要で、コストがかかる。このようにして製造されたGaNは、屈曲及び望ましくない残留歪みという大きな欠点を有している。」

イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述した問題を少なくとも部分的に克服する、優れた品質を有し、平坦で厚い化合物半導体を成長させるための方法を提供することにある。ここで、「厚い」半導体とは、実質的に自立性(self-supporting)であり、約50μmより大きな厚みを有する半導体を意味する。」

ウ 「【0039】
金属アニール法によるナノマスクの製造方法は、
(a)例えば半導体層構造を含むテンプレート材料上に誘電材料を成膜し、
(b)誘電体層上に薄い金属材料を成膜し、
(c)制御された周囲温度で金属をアニールして高密度ナノマスクを形成し、
(d)金属ナノマスクを使用して誘電材料に対してドライエッチング及びウェットエッチングを行い、
(e)金属及び誘電体ナノマスクを使用して半導体材料に対してドライエッチング及びウェットエッチングを行って高密度ナノ構造を形成することを含む。
……(中略)……
【0044】
スパッタリング、電子ビーム蒸着又はプラズマ化学気相成長(PECVD)によって成膜することができるSiO_(2)やSi_(3)N_(4)等の誘電材料は、前記方法によって形成したナノマスクの複製パターンを有するマスクとして機能することができる。誘電体層の膜厚は、エッチングする誘電材料と半導体層のエッチング選択性に依存する。
【0045】
このようにして製造したナノ構造は、1よりもかなり大きなアスペクト比(高さ/幅)を有する。エッチングでは、好ましくは基板が完全に露出されるまで半導体層をエッチングする。層構造は、製造したナノ構造の下部と中央部における横方向成長率が上部よりも低くなるように成長させることが好ましい。ナノ構造の層構造の例としては、基板/AlN(?20nm)/n-Al_(0.03)GaN_(0.97)(2μm)/p-GaN(80nm)等の層構造が挙げられる。AlN及びn-Al_(0.03)GaN_(0.97)の表面に沿ったGaNの横方向成長率は、AlGaN内におけるAlの低い拡散率及び微量の酸化アルミニウムの存在のためにp-GaNよりも非常に低い。
【0046】
ナノ構造の寸法は、さらなるウェットエッチングによって変化させることができる。そのような処理により、横方向成長の最適化及び成長した厚膜の独立した化合物半導体材料の基板からの分離のためにナノ構造の直径を微調整することができる。
【0047】
また、ex situ又はin situ窒化処理によって基部におけるナノ構造の合体を防止することができ、ナノ構造の分離メカニズムを最大化し、横方向成長させた上部の膜厚層の欠陥密度とクラックを減少させることができる。ナノ構造の層構造の例としては、(111)Si/非晶質AlN(?200nm)/n-Al_(0.06)GaN_(0.94)(?100nm)/p-GaN(80nm)等の層構造が挙げられる。次に、エッチングによりSiを約500nm露出させることによってナノ構造を製造することができる。SiをSi_(3)N_(4)に変換するNH_(3)を使用した窒化処理は、ナノ構造の底部でのGaNの横方向成長を防止するために有用である。ナノ構造間の空隙の整合性により、その後の横方向エピタキシャル成長時に低い応力と欠陥密度を有する上層の形成が容易となる。
【0048】
ナノ構造を伸長させるためのさらなる成長は、HVPE法、CVD法、MOCVD法又はMBE法によって行うことができる。
……(中略)……
【0053】
本発明に係る代表的な方法では、HVPEを利用し、ナノ構造適応層を使用して高品質の平坦かつ厚い化合物半導体を異種基板上に成長させる。適当なナノ構造の例としては、ナノ構造の長さ全体に沿ってほぼ一定な直径を有するナノコラム(「ナノロッド」又は「ナノ細線」としても知られる)又はナノ構造の寸法全体に沿って異なる直径を有する例えばピラミッド、円錐体又は球体等のその他の構造体を挙げることができる。なお、便宜上、以下ではナノコラムの使用について説明するが、上述したその他の適当なナノ構造も使用することができ、その他の用途にとって有利な場合もある。半導体材料のナノコラムは、MBE法、CVD法、MOCVD(MOVPE)法又はHVPE法によって成長させた化合物半導体層を有する異種基板上に形成することができる。通常、このようなナノコラムは約10?120nmの直径を有することができる。化合物半導体厚膜又はウェハを、MOCVD又はHVPEを使用したエピタキシャル横方向成長によってナノ構造上に成長させることができる。化合物半導体材料と基板との熱膨張係数の差による化合物半導体厚膜及びウェハの屈曲は、基板の衝撃を吸収するエアギャップとナノコラムの均衡のとれた寸法によって最小化することができる。そのため、この技術を使用して厚く平坦な独立した化合物半導体膜を成長させることができる。これらのナノコラムを使用したナノ-Pendeo横方向成長によって、ナノコラムと横方向成長層の界面における欠陥屈曲メカニズムにより上部化合物半導体厚膜の欠陥を最小化することができる。また、ナノコラムの寸法が小さいため、横方向成長層の粒界におけるファセット傾き(facet tilt)を最小化することができる。また、ナノコラムの制御された寸法とナノコラムと横方向成長層との間の局所的な応力によって、厚い半導体(例えばGaN)を急速冷却時に基板から容易に分離することができる。また、エッチングされたナノコラムが薄いp-GaN上層を含む場合、p-GaNの陽極電気化学選択エッチングを使用して基板からGaNを分離することができる。次に、厚いGaNに対してスライス、研削、ラッピング及び研磨を行い、極性及び非極性化合物半導体ウェハを製造することができる。形成されたGaNは、ウェハの中央からエッジまでの均一な結晶方位と低い欠陥密度を有するため、厚い独立したGaNのさらなる成長のシードとして使用することができる。そのため、本発明の方法は、独立した化合物半導体材料の非常に経済的な大量生産技術を提供することができる。
……(中略)……
【0057】
本発明は、HVPE成長法により、ナノ構造適応層を使用して平坦で欠陥密度の低い歪みのない厚い化合物半導体を異種基板上に成長させるための方法を提供する。GaNを成長させるために、例えばナノ構造適応層としてGaNナノコラムを使用する方法にはいくつかの利点がある。カラムの小さな直径と高いアスペクト比(高さ/直径)のために、ナノコラムと上部横方向成長層との間に機械的な閉じ込めが生じる。応力と転位は、GaNナノコラムと上部横方向成長層との界面にほとんど局在化している。そのため、成長によって上部横方向成長層における応力及び転位がほぼなくなる。狭いエアギャップを有するナノコラムの形状により、非常に薄い成長層を合体させることが可能となる。通常は、連続成長したGaN層には0.2μm以下の厚みで十分である。狭いエアギャップにより、非常に迅速な合体が容易となり、ナノコラム上へのAlNのエピタキシャル横方向成長によって連続するAlNを形成することができる。上述した全ての利点によって、ナノコラム適応層上に高品質な厚いGaNを成長させ、ELOG又はPendeo法と比較した場合に、ナノコラムの上部又はエアギャップの上部の合体部における傾斜の少ないGaNとすることができる。」

エ 「【実施例1】
【0070】
約2?3μmのMOCVD成膜GaNが形成された約2インチ(5.08cm)の直径を有するc面配向のサファイア基板を、HVPE縦型反応器の基板ホルダに載置した。サファイア基板を載置する前に、GaNテンプレートをKOHで数秒間脱脂し、脱イオン水で洗浄し、H_(2)SO_(4)/H_(3)PO_(4)=3:1溶液を使用して80℃で数分間エッチングし、脱イオン水で洗浄した。次に、マスクをテンプレート上に形成した。最初に、SiO_(2)又はSi_(3)N_(4)の薄い誘電体層(200nm以下)をPECVDによってGaNテンプレート上に成膜した。次に、薄いNi金属層(2?6nm)を電子ビーム蒸着又はスパッタリングによって誘電体層上に成膜した。N_(2)ガス下において金属を830℃以下の周囲温度で約1分間高速アニールし、ナノマスクを形成する高密度Niナノドット(図1を参照)を形成した。ニッケル金属の膜厚により、Niナノドットの密度と寸法を制御した。次に、ナノコラムを形成した。ArとCHF_(3)を使用した反応性イオンエッチング(RIE)を行い、Niナノドットを利用して誘電材料をエッチングした。次に、Ar、H_(2)、Cl_(2)又はBCl_(3)の気体混合物を使用したICPエッチングを行って金属及び誘電体ナノマスクを利用してGaN材料をエッチングし、図2、図3、図4に示す高密度ナノコラムを形成した。
【0071】
残ったNiナノドットはHCI溶液を使用して除去した。残ったSiO_(2)又はSi_(3)N_(4)誘電材料は、緩衝酸化物エッチング溶液又はリン酸を使用してそれぞれ除去した。KOHを使用してウェットエッチングを行い、ナノコラムの寸法を微調整した。
【0072】
図5に示すように、シラン及びNH_(3)ガスを使用したPECVDによってex situ窒化処理を行った。窒化された表面は、GaNの横方向成長を抑制する抗界面活性効果を示す。従って、ナノコラムを窒化することにより、ナノコラムを使用することによって達成される分離メカニズムを損なうナノコラムの基部における急速な合体を防止することができる。窒化されたナノコラムの先端はRIEによって僅かにエッチングされた。製造したGaNナノコラムを図6に示す。
【0073】
最初のエピタキシャル横方向成長をMOCVD成長法によって行った。すなわち、窒化されたGaNナノコラムテンプレートを反応器に入れた。次に、基板温度を約1020℃まで上昇させ、NH_(3)の流量を約2000sccmに設定し、トリメチルガリウム(TMG)の流量を約5sccmに設定した。約60分間の成長後、基板温度を約1020℃まで上昇させ、TMGの流量を10sccmに設定して約20分間成長させ、次にTMGの流量を20sccmに設定して約30分間成長させた。連続したGaNが最初の約60分間で完全に合体した。図7は、GaNナノコラム上の高品質ELOG成長GaNのSEM断面を示し、図8は図7に示すSEM断面をより詳細に示す。
【0074】
次に、ELOG成長GaNテンプレートをバルクGaN成長のためにHVPE反応器に入れた。ガスヒーターを約500℃に加熱した。成長室の圧力は約200ミリバールに維持した。全てのガス注入口からN_(2)を約30分間導入して反応器をパージした。次に、ELOG GaNテンプレートを約350℃に加熱した。約1000sccmのNH_(3)流を反応室に導入した。N_(2)内の約10%HClを約800℃に加熱したGaバブラーに通過させることによってGaClガス前駆体を得た。GaCl転化率は約100%だった。次に、テンプレートを約1050℃に加熱した。次に、成長室の圧力を約300ミリバールに上昇させた。成長のための成長室へのガス供給量は、NH_(3)流が約2500sccm、GaCl流が約60sccm、残りがN_(2)及びH_(2)である。約3500sccmの安定したガス総流量を10分間の成長処理にわたって維持した。十分な膜厚を有するGaNエピタキシャル層が形成されるまで成長工程を継続した。成長時には、テンプレートを回転させ、気体出口とバルクGaNの表面との間の距離をほぼ一定に維持した。縦型HVPE反応器内でのV/III比を10?40に設定した成長では、約20?160μm/時の成長率を達成することができた。回転を行わない場合の成長均一性は、2インチ(5.08cm)ウェハのエッジ間において2%よりも良好だった。
【0075】
窒化物成長を停止する際には、GaClガスをオフにし、NH_(3)流を同レべルに維持し、安定したガス総流量とするためにN_(2)流を増加させた。1050℃と500℃の間の第一段階では基板を非常に急速に冷却した。温度が500℃未満になった時にNH_(3)流の導入を停止した。500℃と室温の間では100℃/分よりも速い速度で基板を冷却した。この時、ガスヒーターは約150℃に維持し、基板を成長室から降下させて急速に冷却した。
【0076】
基板を冷却し、反応器から取り除くと、サファイア基板は完全又は部分的に厚いGaNエピタキシャル層から分離されていた。機械的ねじれ操作により、部分的に分離されたGaN層を分離することができた。
【0077】
図9は、GaNナノコラム上の高品質バルク成長GaNのSEM断面を示し、ナノコラムの多くが砕けているように見える。図10は、GaNナノコラム上の高品質バルクGaNを示す平面図である。図11は、GaNナノコラム上の高品質バルクGaNの高解像度断面TEM画像を示す。画像では、僅かな貫通転位のみが上部ELOG/バルク成長GaNに観察される。GaNナノコラムの近傍のELOG GaNの成長表面に平行な積層欠陥が多少あるが、ナノ-Pendeo成長によってELOG GaNとナノコラムの界面において全ての欠陥が強く屈曲している。従って、バルクGaNは僅かな欠陥のみを含む。
【0078】
図12は、窒化されたGaNナノコラム上におけるELOG・バルク成長を示す概略図であり、MOVPEを使用してELOGと合体が行われ、HVPEを使用してバルク成長が行われる。」

オ 「アニールされた高密度Niナノドット」(図面の簡単な説明)を示す図1には、前記「Niナノドット」の平面形状は不定形であり、「エッチングされたGaNナノコラムを示す平面図」(図面の簡単な説明)を示す図2には、前記Niナノドットをマスクとして形成されるGaNナノコラムの平面形状も不定形であることが記載されている。

カ 「GaNナノコラム上における窒化処理を示す概略図」(図面の簡単な説明)である図5には、基板上に形成したGaNナノカラムの「処理前にSiO_(2)を除去」し、次の工程で、「SiNコーティング」を行い、最後に、「GaNコラムの先端をシードとして露出」させることが記載されている。

(2)引用発明
したがって、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「MOCVD成膜GaNが形成されたサファイア基板を、HVPE縦型反応器の基板ホルダに載置し、
SiO_(2)又はSi_(3)N_(4)の薄い誘電体層をGaNテンプレート上に成膜し、
薄いNi金属層を前記誘電体層上に成膜し、
N_(2)ガス下において金属をアニールして、ナノマスクを形成する高密度Niナノドットを形成し、
反応性イオンエッチング(RIE)を行い、前記Niナノドットを利用して前記誘電体層をエッチングし、
ICPエッチングを行って前記Niナノドット及び前記誘電体のナノマスクを利用してGaN材料をエッチングして、約10?120nmの直径を有するナノコラムを形成し、
残った前記Niナノドットと、残った前記SiO_(2)又はSi_(3)N_(4)誘電材料を除去し、
前記ナノコラムの表面を窒化した後に、前記ナノコラムの先端を僅かにエッチングし、
MOCVD成長法によってエピタキシャル横方向成長(ELOG)を行うことで、隣り合う前記ナノカラム間で連続したGaNが合体したELOG成長GaNテンプレートを形成し、
ハイドライド気相エピタキシャル成長(HVPE)を縦型HVPE反応器内で行うことで、十分な膜厚を有するGaNエピタキシャル層を形成する、
ことを特徴とする単結晶半導体材料の製造方法。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
原査定の根拠となった拒絶理由通知に引用された刊行物である特表2008-542183号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「側壁を用いた選択横方向エピタキシャル成長(SLEO)法による無極性および半極性III族窒化物の欠陥低減方法及び装置」(発明の名称)について、図1?図6とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0005】
1.本発明の技術分野
本発明は側壁を用いた選択横方向エピタキシャル成長(SLEO)法による無極性および半極性III族窒化物の欠陥低減方法及び装置に関するものである。
……(中略)……
【0011】
本発明は全ての成長技術の中で、無極性a面およびm面GaNの側壁を用いた選択横方向エピタキシャル成長(SLEO)の、初めての成功例である。ここに記述する本発明の前には、a面およびm面GaNのSLEOは実施されたことがない。」

イ 「【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一般的な目的は、誘電体マスクを通してエッチングされた窒化物材料の側壁を用いた選択横方向成長法を用いて、高品質の(欠陥密度が最小の)無極性a{11-20}面およびm{1-100}面および半極性{10-1n}面を持つIII族窒化物材料を作製することである。この方法は、無極性または半極性III族窒化物テンプレート上にパターニングされたマスクを成膜する工程と、該マスクの開口を通して色々な深さまでテンプレート材料をエッチングする工程と、溝の底から垂直方向に成長する材料が表面に到達する前に、側壁の上部から横方向に成長して合体させることによって無極性または半極性エピタキシャル薄膜を再成長する工程を含むものである。合体した材料はマスクの開口を通って成長し、その後、誘電体マスクの上を横方向に成長して、完全に合体した連続的な薄膜が形成される。」

ウ 「【0019】
本発明はこの材料を用いたデバイスの特性を2つの面で改良する。それは(1)a-{11-20}およびm-{1-100}面をもつ無極性材料、或いは半極性{10-1n}面を持つIII族窒化物材料の自然な構造的利点を利用することによって、分極の効果を除去または低減すること、および(2)独自の、再現性ある、簡単かつ効果のあがるプロセスと成長方法を用いて欠陥を効率よく除去することである。
技術内容に関する説明
本発明によれば、誘電体マスクを通じて、エッチングされた窒化物材料の側壁からのLEOを用いることによって、無極性および半極性窒化物における貫通転位密度が低減する。前述したように、積層欠陥は垂直方向に向いた面の1つであるN面に存在する。本発明によればまた、異方性因子、即ちGa-(0001)面上の成長速度を促進してN-(000-1)面の成長速度を抑制することによって、積層欠陥密度が減少する。色々な成長条件と処理方法を用いて、本発明では、側壁から上方へそして誘電体マスク上へと無極性GaNが横方向成長して合体することが実験的に示された。
【0020】
図3は、パターニングされたマスクを通してエッチングされたテンプレート材料の側壁からの無極性あるいは半極性III族窒化物材料のLEO技術を用いて、無極性あるいは半極性III族窒化物材料中の貫通転位密度を低減する方法を示す概略図を含んだフローチャートである。
【0021】
この実施例では、該方法はA,B,およびCとラベルをした3つのSLEO処理工程と、D,EおよびFとラベルした3つの成長或いは再成長段階を備えている。
【0022】
工程A-テンプレート材料(1)が適当な基板(2)の上に形成される。テンプレート材料(1)は適当な基板(2)の上に成膜される{11-20}または{1-100}面或いは{10-1n}面GaNのような無極性あるいは半極性窒化物エピタキシャル薄膜を含んでいてもよい。
【0023】
工程B-テンプレート材料(1)上にパターニングされたマスク(3)が形成される。パターニングされたマスク(3)は誘電体マスクであってもよく、テンプレート材料(1)上に色々な手段の1つを用いて成膜されてよい。パターニングされたマスク(3)は1つ以上の開口(4)を備えていてもよく、その開口(4)は下地のテンプレート材料(1)に到達できるような開口穴、或いはストライプを備えている。
【0024】
工程C-テンプレート材料(1)はパターニングされたマスク(3)の開口(4)を通してエッチングされて、テンプレート材料(1)内に溝(5)または柱(6)を形成する。溝(5)または柱(6)は側壁(7)を画定する。テンプレート材料(1)がパターニングされたマスク(3)の開口(4)を通してエッチングされるときに、開口(4)の方位は引き続く横方向成長の工程で平坦な側壁(7)を形成するように配向される。
【0025】
工程Cに続いて、テンプレート材料(1)は成長段階のために反応炉内へ装填される。
【0026】
工程D-「側面成長」といえる第1の成長段階が行われる。そこでは{11-20}または{1-100}面或いは{10-1n}面GaNをそなえた無極性あるいは半極性III族窒化物材料が成長されるが、その場合、溝(5)の底(9)から垂直方向に成長する無極性あるいは半極性III族窒化物材料が側壁(7)の上部(8)に到達する前に、(矢印で示したように)側壁(7)の上部(8)から横方向に無極性あるいは半極性III族窒化物材料が先に成長し合体するように成長される。好適には、無極性あるいは半極性III族窒化物材料はテンプレート材料(1)の露出領域からのみ成長し、パターニングされたマスク(3)の上には成長しない。具体的には、無極性あるいは半極性III族窒化物材料は側壁(7)の上部(8)と溝(5)の底(9)の両方で核形成し、そこから成長する。溝(5)の底(9)から垂直方向に成長している無極性あるいは半極性III族窒化物材料はヘテロエピタキシャル界面(10)から成長した、欠陥を含む材料を含んでいてもよい。側壁(7)の上部(8)から横方向に成長している無極性あるいは半極性III族窒化物材料を合体させることによって、溝(5)の底(9)から垂直方向に成長している、欠陥を含む材料の成長を妨げ得る。
【0027】
工程E-「上方成長」といえる第2の成長段階が行われる。ここでは、第1の成長段階或いは合体工程の後に、無極性あるいは半極性III族窒化物材料(11)が(矢印で示したように)開口(4)を通って垂直方向上方に成長する。
【0028】
工程F-「横方向成長」といえる第3の成長段階が行われる。ここでは無極性あるいは半極性III族窒化物材料(12)が(矢印で示したように)パターニングされたマスク(3)の上を横方向に成長して、横方向成長した無極性あるいは半極性III族窒化物材料を形成する。この成長過程は横方向成長材料(12)が完全に合体した連続薄膜を形成するまで続き、すなわち未合体の横方向成長部分が残っていさえすれば続く。
【0029】
図3の方法の結果、この方法を用いて作製されるデバイス、或いは自立ウェーハ、或いは基板、或いは欠陥密度の低減したテンプレートを提供することができる。」

エ 「【0038】
最後に、本発明は、選択横方向成長技術を用いて成長することが出来るあらゆるエピタキシャル材料を用いて実行することが出来る。このように、エピタキシャル材料は無極性{11-20}または{1-100}面GaN或いは半極性{10-1n}面GaNのような無極性あるいは半極性III族窒化物材料を含んでいてもよいが、これだけに限定されるものではない。このように、テンプレート材料も、そこからエピタキシャル材料の核形成と成長が達成できるようなあらゆる材料を含んでいてもよい。
実験結果
実施例として、3μmの厚さの無極性a面またはm面GaN薄膜をr面Al_(2)O_(3)基板上に低温成長GaNの核形成層を用いてMOCVD法によって成膜して、テンプレートを形成する。代替法として、薄膜はm面SiC上にAlN核形成層を用いて成膜することも出来る。このテンプレート上に1μmの厚さのSiO_(2)薄膜をプラズマ励起の化学気相成膜法(PECVD)を用いて成膜する。通常のフォトリソグラフィを用いてフォトレジストマスク層をパターニングして幅2μmの開口によって隔てられた幅8μmのストライプパターンを形成する。ストライプの方向はa-GaNに対して<1-100>方向、およびm-GaNに対して<11-20>方向が選ばれる。GaNテンプレートの厚さはマスクの窓の幅との関係で選ばれていて、溝の底が上部に到達する前にGaN側壁の上部が合体するような間隔を持った溝を形成するように選ばれている。パターニングされたマスクは次に誘導結合プラズマ(ICP)エッチングによってドライエッチングされ、露出したSiO_(2)を完全にエッチング除去して垂直なSiO_(2)側壁を実現する。残ったフォトレジストは剥離剤で取り除き、続いて、試料は溶剤で洗浄する。SiO_(2)開口を通して露出した3μmの厚さの無極性GaNは反応性イオンエッチング(RIE)を用いて2μm以上エッチングされる。試料は再成長の前に最後の溶剤で洗浄される。エッチングによって幅2μmの開口によって隔てられた幅8μmのSiO_(2)ストライプとなるようにパターニングされた無極性GaNテンプレートからなるウェーハは再成長のためにMOCVD反応炉の中へ装填される。この特定の再成長の間、横方向成長を促進するために低圧で色々なV/III族比のもとで比較的高い成長温度が用いられる。異なる成長段階で横方向成長速度と垂直方向の成長速度を比較しながら制御するためにV/III族比が変えられる。成長過程では、GaN側壁上と溝の底で露出したGaN材料(またはAl_(2)O_(3)またはSiC)上にGaNが核形成し、エッチングされたGaN側壁の上部で合体し、マスクの開口を通してSiO_(2)マスクの上へ成長する。薄膜はそこでSiO_(2)マスクの上を横方向に成長し、やがて隣り合うGaNストライプと合体する。」


第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「MOCVD成膜GaN」は、本願発明1の「III族窒化物で形成されている半導体層」に相当する。
したがって、引用発明の「MOCVD成膜GaNが形成されたサファイア基板を、HVPE縦型反応器の基板ホルダに載置」することは、本願発明1の「(i)III族窒化物で形成されている半導体層を有する半導体ウエハを提供」することに相当する。

イ 引用発明において、「GaNテンプレート」は「サファイア基板」上に「形成」された「MOCVD成膜GaN」を指すと認められる。
したがって、引用発明の「SiO_(2)又はSi_(3)N_(4)の薄い誘電体層をGaNテンプレート上に成膜」することは、本願発明1の「(ii)前記半導体層上に二酸化ケイ素と窒化ケイ素の少なくとも一方で形成される第1のマスク層を形成」することに相当する。

ウ 引用発明の「薄いNi金属層を前記誘電体層上に成膜」することは、本願発明1の「(iii)前記第1のマスク層上に金属で形成される第2のマスク層を形成」することに相当する。

エ 引用発明の「N_(2)ガス下において金属をアニールして、ナノマスクを形成する高密度Niナノドットを形成」することは、本願発明1の「(iv)島を形成するために前記第2のマスク層をアニール」することに相当する。

オ 引用発明の「ICPエッチングを行って前記Niナノドット及び前記誘電体のナノマスクを利用してGaN材料をエッチングして、約10?120nmの直径を有するナノコラムを形成」することと、本願発明1の「(v)マスクとして島を使用して、前記第1のマスク層と前記第2のマスク層を介してエッチングすることにより、全数のうち90%以上が1000ナノメータ未満の直径を有するピラーアレイを形成」することは、「(v)マスクとして島を使用して、前記第1のマスク層と前記第2のマスク層を介してエッチングすることにより」所定の「直径を有するピラーアレイを形成」する点で共通する。

カ 引用発明の「残った前記Niナノドット」を「除去」することは、本願発明1の「(vi)前記島を取り除」くことに相当する。

キ 引用発明の「MOCVD成長法によってエピタキシャル横方向成長(ELOG)を行うことで、隣り合う前記ナノカラム間で連続したGaNが合体したELOG成長GaNテンプレートを形成」することは、本願発明1の「(vii)ピラー間においてIII族窒化物で形成されている半導体材料を成長させ」ることに相当する。

ク 引用発明においては、「ハイドライド気相エピタキシャル成長(HVPE)を縦型HVPE反応器内で行うことで、十分な膜厚を有するGaNエピタキシャル層を形成する」前に、既に、「残った前記SiO_(2)又はSi_(3)N_(4)誘電材料を除去し」ている。
したがって、引用発明の「ハイドライド気相エピタキシャル成長(HVPE)を縦型HVPE反応器内で行うことで、十分な膜厚を有するGaNエピタキシャル層を形成する」ことと、本願発明1の「(viii)次いで前記ピラーの頂部上に前記半導体材料を成長させ、前記半導体材料が成長している間に、前記第1のマスク層から形成されたキャップがそれぞれの前記ピラーの頂部に残されている」こととは、「(viii)次いで前記ピラーの頂部上に前記半導体材料を成長させ、前記半導体材料が成長している」点で共通する。

ケ 引用発明の「単結晶半導体材料の製造方法」は、以下の相違点を除き、本願発明1の「半導体装置の製造方法」に相当する。

コ 以上から、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「 (i)III族窒化物で形成されている半導体層を有する半導体ウエハを提供し、
(ii)前記半導体層上に二酸化ケイ素と窒化ケイ素の少なくとも一方で形成される第1のマスク層を形成し、
(iii)前記第1のマスク層上に金属で形成される第2のマスク層を形成し、
(iv)島を形成するために前記第2のマスク層をアニールし、
(v)マスクとして島を使用して、前記第1のマスク層と前記第2のマスク層を介してエッチングすることにより、所定の直径を有するピラーアレイを形成し、
(vi)前記島を取り除き、
(vii)ピラー間においてIII族窒化物で形成されている半導体材料を成長させ、
(viii)次いで前記ピラーの頂部上に前記半導体材料を成長させ、前記半導体材料が成長していることを特徴とする半導体装置の製造方法。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1の「ピラーアレイ」は「全数のうち90%以上が1000ナノメータ未満の直径を有する」のに対し、引用発明の「ナノコラム」は「約10?120nmの直径を有する」点。
(相違点2)本願発明1は「前記ピラーの頂部上に前記半導体材料を成長させ、前記半導体材料が成長している間」に「前記第1のマスク層から形成されたキャップがそれぞれの前記ピラーの頂部に残されている」のに対し、引用発明は「ハイドライド気相エピタキシャル成長(HVPE)を縦型HVPE反応器内で行うことで、十分な膜厚を有するGaNエピタキシャル層を形成する」前に、既に、「残った前記SiO_(2)又はSi_(3)N_(4)誘電材料を除去し」ている点。

(2)相違点についての判断
ア 事案に鑑みて、相違点2について検討する。
引用文献2には、第5の2(1)ウで摘記したように、「無極性あるいは半極性III族窒化物材料(12)が(矢印で示したように)パターニング」された「誘電体マスク」である「マスク(3)の上を横方向に成長して、横方向成長した無極性あるいは半極性III族窒化物材料を形成する。」(段落【0023】及び【0028】)ことが記載されている。
上記の「横方向成長した無極性あるいは半極性III族窒化物材料」層は、第5の2(1)ウで摘記した前記「マスク(3)の開口(4)を通してエッチングされて」形成された「柱(6)」(段落【0024】)の上の前記「誘電体マスク」上で成長する層であるから、相違点2に係る構成は引用文献2に記載されていると認められる。

イ しかしながら、引用文献1には、第5の1(1)ウで摘記したように、「エッチングでは、好ましくは基板が完全に露出されるまで半導体層をエッチングする。層構造は、製造したナノ構造の下部と中央部における横方向成長率が上部よりも低くなるように成長させることが好ましい。」(段落【0045】)と記載され、第5の1(1)カで記載したように、基板上に形成したGaNナノカラムの窒化「処理前にSiO_(2)を除去」した後で「SiNコーティング」を行い、その後、「GaNコラムの先端をシードとして露出」させることが記載されている。
そうすると、引用発明において、「十分な膜厚を有するGaNエピタキシャル層を形成する」前に、「前記ナノコラムの表面を窒化した後に、前記ナノコラムの先端を僅かにエッチング」するとともに「残った前記SiO_(2)又はSi_(3)N_(4)誘電材料を除去し」ているのは、「MOCVD成長法によってエピタキシャル横方向成長(ELOG)を行うことで、隣り合う前記ナノカラム間で連続したGaNが合体したELOG成長GaNテンプレートを形成」する際に、「前記ナノコラム」の先端の「MOCVD成膜GaN」を露出させたGaN層を「ELOG成長GaNテンプレートを形成」するための「シード」とするためであると認められる。
したがって、引用発明において、「十分な膜厚を有するGaNエピタキシャル層を形成する」前に、引用文献2に記載されるように、「残った前記SiO_(2)又はSi_(3)N_(4)誘電材料を除去し」ないことには、阻害要因があると認められる。

ウ 一方、引用文献2には、金属で形成された島をマスクとして利用して「柱(6)」のアレイを形成することは記載されていない。
しかし、引用文献2には、第5の2(1)アで摘記したように「本発明は全ての成長技術の中で、無極性a面およびm面GaNの側壁を用いた選択横方向エピタキシャル成長(SLEO)の、初めての成功例である。」(段落【0011】)と記載され、第5の2(1)イで摘記したように「本発明の一般的な目的は、誘電体マスクを通してエッチングされた窒化物材料の側壁を用いた選択横方向成長法を用いて、高品質の(欠陥密度が最小の)無極性a{11-20}面およびm{1-100}面および半極性{10-1n}面を持つIII族窒化物材料を作製することである。」(段落【0012】)と記載されている。
すなわち、「誘電体マスクを通してエッチングされた窒化物材料の側壁を用いた選択横方向成長法を用いて、高品質の(欠陥密度が最小の)無極性a{11-20}面およびm{1-100}面および半極性{10-1n}面を持つIII族窒化物材料を作製する」ことは、引用文献2において必須の構成であると認められる。そして、「誘電体マスクを通してエッチングされた窒化物材料の側壁を用いた選択横方向成長法」を用いて「無極性a{11-20}面およびm{1-100}面および半極性{10-1n}面を持つIII族窒化物材料を作製する」ためには、前記「誘電体マスク」の側面は「III族窒化物材料」の「無極性a{11-20}面およびm{1-100}面および半極性{10-1n}面」と整合していることが必要であると認められる。
これに対して、引用文献1に記載されたNiナノドットは、第5の1(1)オで記載したように不定形の平面形状を有しているから、「反応性イオンエッチング(RIE)を行い、前記Niナノドット」を利用して「エッチング」で形成された引用発明の「前記誘電体層」も不定形の平面形状を有していると認められる。
そうすると、「誘電体マスク」の側面が「III族窒化物材料」の「無極性a{11-20}面およびm{1-100}面および半極性{10-1n}面」と整合していることが必要である引用文献2に記載された技術を、不定形の平面形状を有している「前記Niナノドット及び前記誘電体のナノマスクを利用してGaN材料をエッチング」して「ナノコラムを形成」することを特徴とする引用発明に適用することには、阻害要因があると認められる。

エ 以上から、「誘電体マスク」を用いて形成された「柱(6)」の上の前記「誘電体マスク」上で「横方向成長した無極性あるいは半極性III族窒化物材料」層を成長させるという相違点2に係る構成が、引用文献2に記載されているからといって、この引用文献2に記載された技術を引用発明に適用することを当業者が想起したとは認められない。
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、引用文献2に記載された技術を参照したとしても、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし本願発明6について
本願発明2ないし本願発明6は、本願発明1の記載を引用する発明であり、本願発明1をさらに限定した発明である。
したがって、本願発明1と同じ理由により、本願発明2ないし本願発明6は、引用文献2に記載された技術を参照したとしても、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。


第7 原査定についての判断
平成29年9月7日に提出された手続補正書により補正された請求項1は、相違点2に係る構成を備えており、上記のとおり、本願発明1ないし6は、引用文献2に記載された技術を参照したとしても、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
したがって、もはや原査定を維持することはできない。


第8 当審拒絶理由について
当審では、平成29年6月9日付けの当審よりの拒絶理由通知で、本願の請求項1に係る発明の「半導体層」及び「半導体材料」は、「半導体」で形成されていれば足り、その材料は特に限定されておらず、また、ステップ「(viii)」の「ピラーの頂部上」に「成長させ」る「半導体材料」と、ステップ「(vii)」の「ピラー間」において「成長させ」る「半導体材料」との関係が記載されていないから、「請求項1に係る発明、及び、請求項1を引用する請求項2?7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない」との拒絶の理由を通知した。
これに対して、平成29年9月7日に提出された手続補正書により、本願の請求項1ににおいて、「(i)III族窒化物で形成されている半導体層を有する半導体ウエハを提供し」、「(vii)ピラー間においてIII族窒化物で形成されている半導体材料を成長させ」、「(viii)次いで前記ピラーの頂部上に前記半導体材料を成長させ、前記半導体材料が成長している間に、前記第1のマスク層から形成されたキャップがそれぞれの前記ピラーの頂部に残されている」と補正された。
したがって、前記の当審拒絶理由は解消した。


第9 むすび
以上のとおり、本願発明1-6は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-10-13 
出願番号 特願2013-555936(P2013-555936)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 537- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小川 将之  
特許庁審判長 飯田 清司
特許庁審判官 鈴木 匡明
加藤 浩一
発明の名称 半導体装置及び製造方法  
代理人 北澤 一浩  
代理人 小泉 伸  
代理人 市川 朗子  
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