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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
審判 全部申し立て 特29条の2  G01N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01N
管理番号 1333221
異議申立番号 異議2016-700961  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-10-05 
確定日 2017-09-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5917711号発明「錠剤検査装置、錠剤検査方法、錠剤検査プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5917711号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕、4、5について訂正することを認める。 特許第5917711号の請求項1?5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5917711号の請求項1?5に係る特許についての出願は、平成26年3月11日に特許出願され、平成28年4月15日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人 平賀 博(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年2月16日に特許権者と面接を行い、同年3月9日付けで取消理由が通知され、その取消理由通知の指定期間内である同年5月12日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して申立人から同年6月22日付けで意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容(下線部は訂正箇所を示す。)
特許権者は、以下の訂正事項1?5により特定されるとおり訂正することを請求する。

ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1「シートのポケット内に載置された複数の錠剤を検査する錠剤検査装置であって、
近赤外スペクトルカメラにより撮像された複数の錠剤それぞれの複数のスペクトル画像を所定の時間間隔で取得する取得部と、
前記複数のスペクトル画像を波長方向に積分した2次元画像を生成する2次元画像生成部と、
前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出する抽出部と、
前記複数の抽出画像における画素それぞれの強度スペクトルの平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出する正規化部と、
前記複数の抽出画像を順次選択する選択部と、
選択された抽出画像における画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する2次微分算出部と、
前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する判定部と
を備える錠剤検査装置。」を、「シートのポケット内に載置されて一方向に搬送される複数の錠剤を検査する錠剤検査装置であって、
(A)近赤外スペクトルカメラにより撮像され、前記錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で複数取得する取得部と、
(B)前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成する2次元画像生成部と、
(C)前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出する抽出部と、
(D)前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出する正規化部と、
(E)前記複数の抽出画像を順次選択する選択部と、
(F)前記画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する2次微分算出部と、
(G)前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する判定部とを備える錠剤検査装置。」に訂正する。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4「シートのポケット内に載置された複数の錠剤を検査する錠剤検査方法であって、
コンピュータが、
近赤外スペクトルカメラにより撮像された複数の錠剤それぞれの複数のスペクトル画像を所定の時間間隔で取得し、
前記複数のスペクトル画像を波長方向に積分した2次元画像を生成し、
前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出し、
前記複数の抽出画像における画素それぞれの強度スペクトルの平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出し、
前記複数の抽出画像を順次選択し、
選択された抽出画像における画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出し、
前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する錠剤検査方法。」を、「シートのポケット内に載置されて一方向に搬送される複数の錠剤を検査する錠剤検査方法であって、
コンピュータが、
(A)近赤外スペクトルカメラにより撮像され、前記錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で複数取得し、
(B)前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成し、
(C)前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出し、
(D)前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出し、
(E)前記複数の抽出画像を順次選択し、
(F)前記画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出し、
(G)前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する錠剤検査方法。」に訂正する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5「シートのポケット内に載置された複数の錠剤の検査をコンピュータに実行させる錠剤検査プログラムであって、
近赤外スペクトルカメラにより撮像された複数の錠剤それぞれの複数のスペクトル画像を所定の時間間隔で取得し、
前記複数のスペクトル画像を波長方向に積分した2次元画像を生成し、
前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出し、
前記複数の抽出画像における画素それぞれの強度スペクトルの平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出し、
前記複数の抽出画像を順次選択し、
選択された抽出画像における画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出し、
前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する
処理をコンピュータに実行させる錠剤検査プログラム。」を、「シートのポケット内に載置されて一方向に搬送される複数の錠剤の検査をコンピュータに実行させる錠剤検査プログラムであって、
(A)近赤外スペクトルカメラにより撮像され、前記錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で複数取得し、
(B)前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成し、
(C)前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出し、
(D)前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出し、
(E)前記複数の抽出画像を順次選択し、
(F)前記が画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スぺクトルとして算出し、
(G)前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する処理をコンピュータに実行させる錠剤検査プログラム」に訂正する。

エ 訂正事項4
特許明細書の段落【0028】に「具体的には、2次微分算出部908は、画素i∈選択された抽出画像として、選択された抽出画像の平均スペクトルltbl(λ)をltbl(λ)=SUM{lc(λ、i)}/SUM{1}により算出する。さらに、2次微分算出部908は、図8に示されるような2次微分スペクトルDtbl(λ)を、Dtbl(λ)=ltbl(λ+Δλ)-ltbl(λ-Δλ)により算出する。」と記載されているのを、「具体的には、2次微分算出部908は、画素i∈選択された抽出画像として、選択された抽出画像の平均スペクトルltbl(λ)を算出する。さらに、2次微分算出部908は、図8に示されるような2次微分スペクトルDtbl(λ)を、Dtbl(λ)=ltbl(λ+Δλ)+ltbl(λ-Δλ)-2ltbl(λ)により算出する。」と訂正する。

オ 訂正事項5
特許明細書の段落【0007】に「上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、撮像された錠剤のスペクトル画像を所定の時間間隔で取得する取得部と、複数のスペクトル画像を波長方向に積分した2次元画像を生成する2次元画像生成部と、2次元画像における錠剤の所定領域を抽出画像として抽出する抽出部と、抽出画像における画素それぞれの強度スペクトルを正規化した正規化スペクトルを算出する正規化部と、選択された抽出画像における画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する2次微分算出部と、2次微分スペクトルに基づいて、選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する判定部とを備える。」と記載されているのを、「上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で取得する取得部と、複数のスペクトル画像を波長方向に積分した2次元画像を生成する2次元画像生成部と、2次元画像における錠剤の所定領域を抽出画像として抽出する抽出部と、抽出画像における画素それぞれの強度スペクトルを正規化した正規化スペクトルを算出する正規化部と、選択された抽出画像における画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する2次微分算出部と、2次微分スペクトルに基づいて、選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する判定部とを備える。」と訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1?3について
請求項1、4、5に係る訂正事項1?3を便宜上以下のように、訂正事項(1?3)-1?訂正事項(1?3)-6と区分けして検討する。

ア 訂正事項(1?3)-1:訂正後の請求項1、4、5に係る各処理のそれぞれに訂正後の請求項1、4、5における「(A)」、「(B)」、「(C)」、「(D)」、「(E)」、「(F)」、「(G)」なる項番を付加する。

イ 訂正事項(1?3)-2:請求項1、4、5に係る「シートのポケット内に載置された複数の錠剤」を「シートのポケット内に載置されて一方向に搬送される複数の錠剤」と訂正する。

ウ 訂正事項(1?3)-3:請求項1、4、5に係る「近赤外スペクトルカメラにより撮像された複数の錠剤それぞれの複数のスペクトル画像を所定の時間間隔で取得」を「近赤外スペクトルカメラにより撮像され、前記錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で複数取得」と訂正する。

エ 訂正事項(1?3)-4:請求項1、4、5に係る「前記複数のスペクトル画像を波長方向に積分した2次元画像を生成」を「前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成」と訂正する。

オ 訂正事項(1?3)-5:請求項1、4、5に係る「前記複数の抽出画像における画素それぞれの強度スペクトルの平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出」を「前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出」と訂正する。

カ 訂正事項(1?3)-6:請求項1、4、5に係る「選択された抽出画像における画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出」を「前記画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出」と訂正する。

(2)区分け後の訂正事項1?3についての検討
ア 訂正事項(1?3)-1について、訂正後の請求項1、4、5に係る各処理に項番を付して、これらが異なる処理であることを明確にした訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするもので、新規事項ではなく、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ 訂正事項(1?3)-2について、「複数の錠剤」を「一方向に搬送される」と限定するものであり、また、特許明細書の「【0012】錠剤充填装置130は、プレート180まで搬送されたプラスチックシート300上のポケットに錠剤400を一錠ずつ供給する・・・【0013】ポケットに錠剤400が供給されたプラスチックシート300は、プレート180上のプラスチックシート300に供給された錠剤を照射するように配置された近赤外照明191により近赤外光を照射され、近赤外スペクトルカメラ190により、プレート180の幅方向、すなわち、プラスチックシート300の搬送方向に直交する方向の線上のスペクトルが撮像される。」及び図1の記載から、「シートのポケット内に載置された複数の錠剤」が一方向に搬送されることは明らかであるから、新規事項ではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ 訂正事項(1?3)-3について、「スペクトル画像」を「前記錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有する」と限定するものであり、また、特許明細書に「【0013】・・・供給された錠剤を照射するように配置された近赤外照明191により近赤外光を照射され、近赤外スペクトルカメラ190により、プレート180の幅方向、すなわち、プラスチックシート300の搬送方向に直交する方向の線上のスペクトルが撮像される。」と記載されており、また、スペクトルが波長方向軸を有することは技術常識であるから、新規事項ではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 訂正事項(1?3)-4について、「複数のスペクトル画像」を「積分」することを、「複数のスペクトル画像のそれぞれ」を「積分」することに、「2次元画像」を「前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像」と限定するものであり、また、特許明細書に「【0023】・・・2次元画像生成部903は、複数のスペクトル画像を波長λ方向に積分した2次元画像を生成する(S103)。ここで、2次元画像について説明する。図5は、複数のスペクトル画像をもとに2次元画像生成部903が生成した2次元画像を示す図である。図5に示すように、2次元画像は、幅方向x及び時間方向T(即ち搬送方向y)の2軸を有する画像である。この2次元画像は、包装シート単位で作成されるものとする。」と記載されているから、新規事項ではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

オ 訂正事項(1?3)-5について、「強度スペクトルの平均及び標準偏差」を「前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差」に限定するものであり、また、特許明細書に「【0026】抽出画像の抽出後、正規化部906は、波長と強度スペクトルとの関係を示すグラフである図7に示されるような強度スペクトルの平均及び標準偏差を算出する(S106)。具体的には、2次元画像における全ての抽出画素にについて、i番目の画素の強度スペクトルl(λ、i)の平均lave(i)、標準偏差lstd(i)を、画素iを固定でλを振らせて算出する。次に、正規化部906は、強度スペクトルl(λ、i)を正規化した正規化スペクトルlc(λ、i)を、lc(λ、i)=(l(λ、i)-lave(i))/lstd(i)により算出する(S107)。」と記載されているから、新規事項ではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

カ 訂正事項(1?3)-6について、「選択された抽出画像における画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの」を「前記画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における」と限定するものであり、また、特許明細書に「【0028】次に、2次微分算出部908は、選択された正規化スペクトルの平均スペクトルを算出し、この平均スペクトルの2次微分を2次微分スペクトルとして算出する(S109)。具体的には、2次微分算出部908は、画素i∈選択された抽出画像として、選択された抽出画像の平均スペクトルltbl(λ)をltbl(λ)=SUM{lc(λ、i)}/SUM{1}により算出する。さらに、2次微分算出部908は、図8に示されるような2次微分スペクトルDtbl(λ)を、Dtbl(λ)=ltbl(λ+Δλ)-ltbl(λ-Δλ)により算出する。」と記載されているから、新規事項ではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするもので、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項4について
ア 特許明細書の段落【0028】における「具体的には、2次微分算出部908は、画素i∈選択された抽出画像として、選択された抽出画像の平均スペクトルltbl(λ)をltbl(λ)=SUM{lc(λ、i)}/SUM{1}により算出する。」を「具体的には、2次微分算出部908は、画素i∈選択された抽出画像として、選択された抽出画像の平均スペクトルltbl(λ)を算出する。」とする訂正は、計算内容が明確である「選択された抽出画像の平均スペクトルltbl(λ)」を算出するための明瞭でない数式のみを削除したものであるので、明瞭でない記載の釈明を目的とするもので、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ 特許明細書の段落【0028】における「2次微分スペクトルDtbl(λ)を、Dtbl(λ)=ltbl(λ+Δλ)-ltbl(λ-Δλ)により算出する。」を「2次微分スペクトルDtbl(λ)を、Dtbl(λ)=ltbl(λ+Δλ)+ltbl(λ-Δλ)-2ltbl(λ)により算出する。」とする訂正は、計算内容が明らかである「2次微分スペクトルDtbl(λ)」を算出するための数式の誤記を訂正したものであるが、2次微分の計算内容は自明であるので、新規事項ではなく、誤記の訂正を目的とするもので、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項5について
特許明細書の段落【0007】における「上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、撮像された錠剤のスペクトル画像を所定の時間間隔で取得する取得部」を、「上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で取得する取得部」とする訂正は、上記(2)ウと同様、新規事項ではなく、訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるためのものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、さらに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。


(5)一群の請求項について
訂正事項1は、訂正前の請求項1を訂正するものであるが、訂正前の請求項1を訂正前の請求項2、3が直接的または間接的に引用しているから、訂正前の請求項1?3は一群の請求項である。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に対する訂正である。

(6)明細書又は図面の訂正と関係する請求項について
訂正事項4は「一群の請求項1?3、請求項4、請求項5のそれぞれに関係する訂正である。」として訂正を請求したものであり、訂正事項5は「一群の請求項1?3に関係する訂正である。」として訂正を請求したものであるので、訂正事項4及び5は、特許法第126条第4項の規定に適合する。

(7)小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1?5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1?3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-3〕、4、5について訂正を認める。

第3 本件訂正発明について
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?5に係る発明(以下、「本件訂正発明1」?「本件訂正発明5」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
シートのポケット内に載置されて一方向に搬送される複数の錠剤を検査する錠剤検査装置であって、
(A)近赤外スペクトルカメラにより撮像され、前記錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で複数取得する取得部と、
(B)前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成する2次元画像生成部と、
(C)前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出する抽出部と、
(D)前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出する正規化部と、
(E)前記複数の抽出画像を順次選択する選択部と、
(F)前記画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する2次微分算出部と、
(G)前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する判定部とを備える錠剤検査装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記2次微分スペクトルに基づく主成分分析に基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が前記所定の種別の錠剤であるかを判定することを特徴とする請求項1に記載の錠剤検査装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記複数の錠剤のそれぞれについて中心座標を算出し、該中心座標を基準とする矩形領域を複数の抽出画像として抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の錠剤検査装置。
【請求項4】
シートのポケット内に載置されて一方向に搬送される複数の錠剤を検査する錠剤検査方法であって、
コンピュータが、
(A)近赤外スペクトルカメラにより撮像され、前記錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で複数取得し、
(B)前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成し、
(C)前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出し、
(D)前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出し、
(E)前記複数の抽出画像を順次選択し、
(F)前記画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出し、
(G)前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する錠剤検査方法。
【請求項5】
シートのポケット内に載置されて一方向に搬送される複数の錠剤の検査をコンピュータに実行させる錠剤検査プログラムであって、
(A)近赤外スペクトルカメラにより撮像され、前記錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で複数取得し、
(B)前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成し、
(C)前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出し、
(D)前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出し、
(E)前記複数の抽出画像を順次選択し、
(F)前記が画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スぺクトルとして算出し、
(G)前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する処理をコンピュータに実行させる錠剤検査プログラム。」

第4 特許異議の申立てについて
1 取消理由通知の概要
(理由1-1) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(理由1-2) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(理由1-3) 本件特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

(1)本件特許発明1について
ア 本件特許発明1の特許請求の範囲には、「近赤外スペクトルカメラにより撮像された複数の錠剤それぞれの複数のスペクトル画像を所定の時間間隔で取得する取得部と、」と記載されている。

ア-1 「プレート180上で搬送されるプラスチックシート300上の錠剤を検査対象」(【0016】)であり、「1列の錠剤に対して、搬送方向に異なる位置で複数のスペクトル画像が撮像される」(【0021】)ことが規定されていないため、(B)「画像を所定の時間間隔で取得する」技術的意味が不明であり、(理由1-1)の要件を満たしていない。

ア-2 さらに(D)「撮像された複数の錠剤それぞれの複数のスペクトル画像」では、各錠剤毎に複数のスペクトル画像を撮像することを意味すると読み取れるが、各錠剤の区別は、この後で行っているので、「それぞれ」は意味が不明で、(理由1-1)の理由がある。

イ 本件特許発明1の特許請求の範囲には、(C)「前記複数のスペクトル画像を波長方向に積分した2次元画像を生成する2次元画像生成部」と記載されている。

イ-1 「スペクトル画像」は横軸に線上の位置をとり、縦軸に波長をとった画像であるから、「スペクトル画像」を波長方向に積分することは理解できるが、「スペクトル画像」を複数まとめて波長方向に積分するとは、いかなることか意味が明確でなく、(理由1-1)の理由がある。

イ-2 「2次元画像生成部」の次元の一つが「前記複数のスペクトル画像を波長方向に積分」したものとなることは理解できるが、他方の次元が何であるか不明であるので、(理由1-1)の理由がある。

ウ 本件特許発明1の特許請求の範囲には、「(E)前記複数の抽出画像における画素それぞれの強度スペクトルの平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出する正規化部と、」と記載されている。

ウー1 上記イの「2次元画像生成部」では(C)「スペクトル画像を波長方向に積分し」てスペクトル成分が消えているが、ここでスペクトルが再度登場するので、本件特許発明1の(E)の特定事項の「抽出画像」が(D)の特定事項で抽出された「抽出画像」であると理解すると意味が通じなくなるから、(理由1-1)の理由がある。

ウ-2 (E)の「正規化スペクトルを算出する正規化部」は、書き出しが「前記複数の抽出画像における画素」であるから、正規化のための「強度スペクトルの平均及び標準偏差」の範囲が、抽出画像全体とも読め、明確でないから、(理由1-1)の理由がある。

エ 本件特許発明1の特許請求の範囲には、「(G) 選択された抽出画像における画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する2次微分算出部」と記載されている。

エ-1 「2次微分算出部」は「選択された抽出画像における」「画素それぞれについて算出された」「正規化スペクトルの」「平均」「の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する」が、「正規化スペクトルの平均」がどの範囲の「平均」を計算するのかが明確でないから、(理由1-1)の理由がある。

エ-2 「2次微分」の計算式として、一般的な2次微分ではない式が発明の詳細な説明【0028】に記載されており、発明の詳細な説明と特許請求の範囲の記載が一致しておらず(理由1-2)の要件を満たしていない。

エ-3 本件特許明細書【0028】の「選択された抽出画像の平均スペクトルltbl(λ)をltbl(λ)=SUM{lc(λ、i)}/SUM{1}により算出する。」も明瞭でないので、SUM{1}が何を意味するか不明であって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、発明を実施できる程度に十分かつ明確に記載されたものではない。
よって、(理由1-3)の理由がある。

(2)本件特許発明2?3、4、5について
本件特許発明を引用する本件特許発明2、3も同様である。
物の発明である本件特許発明1のカテゴリーを「方法」の発明に変えた本件特許発明4、物の発明である本件特許発明1を「プログラム」として記載した本件特許発明5についても同様である。

2 判断
上記訂正事項1?5により、本件特許発明及び発明の詳細な説明が訂正され、取消理由通知で指摘した記載不備は全て解消した。
具体的には、
上記 「第2 1(1)イ 訂正事項(1?3)-2」、「第2 (1)ウ 訂正事項(1?3)-3」により、取消理由のアが解消した。
上記 「第2 (1)エ 訂正事項(1?3)-4」により、取消理由のイが解消した。
上記 「第2 (1)オ 訂正事項(1?3)-5」により、取消理由のウが解消した。
上記 「第2 (1)カ 訂正事項(1?3)-6」、「第2 (3)エ 訂正事項4」により、取消理由のエが解消した。

3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許法第29条第2項について
訂正前の請求項1?5に係る特許は、いずれも、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。

(2)甲号証の記載事項
ア 甲第1号証(特許第5103736号)の記載事項
甲第1号証には、次の事項が記載されている(下線は、当審により付加したもの。)。
(ア)
「【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品(錠剤、カプセル剤等)、ゴム栓等のように、ある一つの固定した形を持つ検査対象物(以下、「対象物」という。)に、同じ形の異種品が混入していないかどうかを検査する技術に関し、特には、搬送される対象物をインラインで全数検査する装置に関するものである。
なお、錠剤とは、素錠(または裸錠)、糖衣錠、フィルムコート錠(腸溶錠等)を含むものであり、カプセル剤としては、硬カプセル剤、軟カプセル剤を含むものである。」

(イ)
「【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明にかかる平面分光器を用いた異種品検出装置の実施形態の構成図である。
・・・
【0027】
次に、前記吸着ドラム式の搬送手段に代えて、コンベア式の搬送手段を用いた場合の構成を図14に示して説明する。
図14において、図1と同じ構成に関しては、同じ符号を付してその説明を省略した。
13はコンベア式の搬送手段であり、対象物収納部が形成された樹脂シート(PTPシート)の前記対象物収納部に収納されて多列搬送される例えば錠剤等の対象物Tを、送り出しロールから受け取りロールへ搬送するように構成されている。図15の正面図に示したように、前記PTPシートによって、搬送方向に直角な方向に複数の前記対象物Tが配列された状態で多列搬送されるように構成されている。
【0028】
なお、6は光量補正板であり、前記ライトガイド4によって近赤外線が照射される位置であって、且つ、前記近赤外線カメラ3の視野内に、前記ライトガイド4と同様に固定されている。
7は、バタツキ防止板であり、前記ライトガイド4によって近赤外線が照射される位置に、前記ライトガイド4や光量補正板6等と同様に固定されている。図18の(A)に示したように、このバタツキ防止板7には、対象物Tの撮像を妨げないように透孔71が形成されている。従って、図18の(B)に示したように、PTPシートで搬送される対象物Tを前記透孔71を通して撮像することができる。
前記平面分光器2では、上記同様に、例えば、横軸が搬送幅方向の位置、縦軸が波長に対応した平面状の分光スペクトルB(図3参照)が得られる。
なお、対象物からの近赤外線の反射光はPTPシートのフィルムを透過するので、PTPシートのフィルムの上から異品種の有無を測定することができる。
【0029】
以上のような吸着ドラム式もしくはコンベア式の搬送手段によって対象物は多列搬送されるように構成されている。
そして、前記平面分光器2にて得られた平面状のスペクトルデータは、近赤外線カメラ3の撮像面上に結像し、例えばCCD素子等の撮像素子によって電気信号に変換され、さらにデジタル信号に変換されて、前記コンピュータ5に送信される。
なお、前記搬送手段によって搬送される対象物が所定の位置に到達したタイミングで得られるトリガー信号に同期して画像を取り込み、前記コンピュータ5に送信するように構成するとよい。
前記コンピュータ5では、送信されたスペクトルデータを、新たに開発した後述するアルゴリズムにより処理し、対象物Tを良品と異品種とに識別する。
後述するアルゴリズムは、スペクトル解析に有効なケモメトリックスの一つである主成分分析を用いたものである。」

(ウ)
「【0030】
前記コンピュータ5における解析手段としてのアルゴリズムは以下の処理を含んでいる。
1)前記スペクトルデータを平均化および標準化する前処理、
2)前記スペクトルデータを波長軸方向に対して移動平均する波長軸平均化処理、
3)前記スペクトルデータをラグランジェの2次補間を用いて補間する補間処理、
4)前記スペクトルデータを空間軸方向に積算して対象物のエッジを検出して対象物の中心位置を検出する測定位置最適化処理、
5)前記測定位置最適化処理によって検出された対象物の中心位置の近傍の複数ポイントにおける各波長毎の平均値を求める空間軸平均化処理、
6)前記スペクトルデータを一次微分もしくは二次微分する微分処理、
7)前記スペクトルデータを平滑化し、MSC手法によって補正する処理、
8)予め取得したローディングベクトルデータと、以上の処理によって得られたスペクトルデータとを演算することによって主成分得点を算出する主成分得点算出処理、
9)算出された主成分得点に基づいて異種品もしくは同種品の判定を行う判定処理、
10)測定位置最適化処理を利用して欠品の検出を行う欠品検出処理、
11)条件分岐処理。
なお、処理順番は上記順番に限定されるものではない。
【0031】
次に、前記各処理の計算手法の詳細を説明する。
1)前処理(平均化、標準化)
前記スペクトルデータに以下のような平均化、比率標準化、差分標準化の少なくとも何れかの処理をかける。(後述する空間軸平均化処理の後でもよい。)
平均化と差分標準化を併用することが効果的である。
平均化:スペクトルデータの平均値を各波長のデータより引いて正負のデータに変換する処理。
比率標準化:スペクトルデータを所定値との比に基づいて標準化する処理、具体的には、スペクトルデータの標準偏差で各波長のデータを割って標準化して、各スペクトルデータ間のバラツキの影響を除外する処理。
差分標準化:スペクトルデータを所定値との差分に基づいて標準化する処理、具体的には、スペクトルデータの標準偏差と各波長のデータとの差分を求めて標準化して、各スペクトルデータ間のバラツキの影響を除外する処理。
2)波長軸平均化処理
縦軸に反射率、横軸に波長を示したグラフの波長軸方向に対し、3?20点の移動平均をとり、波形に乗った微小なノイズの影響を減少させる。
3)ラグランジェ補間処理
約4nm間隔で得られたスペクトルデータをラグランジェの2次以上の補間を用いて2nm間隔のより緻密なデータに補間する。
4)測定位置最適化処理
空間軸方向のポイント毎に反射率を積算して積算値を計算し、縦軸に積算値、横軸に空間軸ポイント数を示したプロファイル(図4の(A)参照)に対し一次微分をかけ、その極大値と極小値を対象物の縁(即ち「エッジ」)として認識させ(図4の(B)参照)、両エッジの中点から中心位置と半径とを得る。(図4の(C)参照)
【0032】
5)空間軸平均化処理
前記4)の測定位置最適化処理により求めた対象物の中心より対象物のエッジまでの間の任意のポイント数分において各波長毎の反射率の平均値を求める。この処理によって、対象物の一点のみの反射光ではなく、対象物の複数個所における反射光の平均値に基づいたスペクトルデータを得ることができる。
【0033】
6)変換処理(一次微分もしくは二次微分、平滑化)
スペクトルデータの吸収ピークを強調させる為に、一次微分もしくは二次微分をかける。また、ノイズの影響を減少させる為に、数ポイント?数十ポイント毎に平滑化をかける。一次微分もしくは二次微分、平滑化は例えばSavitzky-Golayの最小二乗法を用いている。
または、MSC手法によって補正処理を行うことは、光の散乱の影響等を排除することに効果的である。
【0034】
7)主成分得点算出処理
予め、検査する全てのサンプルを用いて主成分分析を行い、ローディングベクトル(Loading Vector)データを取得しておく。このローディングベクトルデータと、以上の処理によって補間・前処理・変換を行ったスペクトルデータを、下記の式のように行列計算することにより、インラインでの主成分得点算出を行う。算出した主成分得点は一次元以上のPrincipal Component Analysis(PCA、主成分分析。以下同じ)図にプロットされる。
S=X・La
S:主成分得点 X:スペクトルデータ La:ローディングベクトル
一般的に、二次元の主成分分析を行うことで十分であるが、三次元以上の主成分分析を行うことも可能である。
【0035】
8)判定処理
PCA図にプロットされたデータが予め設定された良品範囲内にあれば良品、前記良品範囲外なら異種品として判定したデータを振り分け装置等に送信する。」


(エ)上記ア(ア)?(ウ)の記載内容を総合すると、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「医薬品(錠剤、カプセル剤等)である検査対象物(以下、「対象物」という。)に、同じ形の異種品が混入していないかどうかを検査する、搬送される対象物をインラインで全数検査する異種品検出装置であって、
対象物収納部が形成された樹脂シート(PTPシート)の前記対象物収納部に収納されて多列搬送される錠剤を、送り出しロールから受け取りロールへ搬送するように構成されており、
平面分光器2では、横軸が搬送幅方向の位置、縦軸が波長に対応した平面状の分光スペクトルBが得られ、
平面分光器2にて得られた平面状のスペクトルデータは、近赤外線カメラ3の撮像面上に結像し、例えばCCD素子等の撮像素子によって電気信号に変換され、さらにデジタル信号に変換されて、コンピュータ5に送信され、
前記コンピュータ5における解析手段として、
空間軸方向のポイント毎に反射率を積算して積算値を計算し、縦軸に積算値、横軸に空間軸ポイント数を示したプロファイルに対し一次微分をかけ、その極大値と極小値を 対象物の縁(即ち「エッジ」)として認識させ、両エッジの中点から中心位置と半径とを得る測定位置最適化処理手段と、
対象物の中心より対象物のエッジまでの間の任意のポイント数分において各波長毎の反射率の平均値を求め、この処理によって、対象物の一点のみの反射光ではなく、対象物の複数個所における反射光の平均値に基づいたスペクトルデータを得ることができる空間軸平均化処理手段と、
スペクトルデータの吸収ピークを強調させる為に、二次微分をかける二次微分手段と、
検査する全てのサンプルを用いて主成分分析を行い、ローディングベクトルデータを取得しておき、このローディングベクトルデータと、以上の処理によって補間・前処理・変換を行ったスペクトルデータからインラインでの主成分得点算出を行う主成分得点算出手段と、
予め設定された良品範囲内にあれば良品、前記良品範囲外なら異種品として判定する判定処理手段と、
を備えた異種品検出装置。」

イ 甲第2号証(特開2001-33390号公報)の記載事項
甲第2号証(以下、「甲2」という。)には、糖衣錠の剥離の検出において、区画された錠剤の中央部と周縁部とで、互いに異なる条件により剥離部を検出するという技術事項が記載されている。

ウ 甲第3号証(特開平4-36643号公報)の記載事項
甲第3号証(以下、「甲3」という。)には、錠剤検査装置において、錠剤の中心部、中間部、周縁部の3つの判定領域に分割するという技術事項が記載されている。

エ 甲第4号証(特開平10-318930号公報)の記載事項
甲第4号証(以下、「甲4」という。)には、錠剤の外観検査装置において、画像領域(錠剤)の重心を中心とする矩形エリアを設定するという技術事項が記載されている。

(3)対比・判断
ア 本件訂正発明1について
(ア)対比
本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明が
「(B)前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成する2次元画像生成部と、
(C)前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出する抽出部」を備えていない点(以下、「相違点1」という。)、及び、
「(D)前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出する正規化部と、」
「(F)前記画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する2次微分算出部」を備えていない点(以下、「相違点2」という。)、
で相違し、その余の点で一致する。

(イ)判断
事案に鑑み相違点2から検討する。
「(D)前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出する正規化部と、」
「(F)前記画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する2次微分算出部」は、甲2?甲4のいずれにも記載されてなく、また周知技術ともいえない。
したがって、甲1発明及び甲2?甲4記載の技術事項から、相違点2を容易に想到し得るということはできない。

以上のとおり、本件訂正発明1は、相違点1を検討するまでもなく、甲1発明及び甲2?甲4記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

イ 本件訂正発明2?3について
また、本件訂正発明2?3は、本件訂正発明1をさらに限定したものであるので、本件訂正発明1と同様に、本件訂正発明2?3は、当業者が甲1発明及び甲2?甲4記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

ウ 本件訂正発明4、5について
本件訂正発明4は、本件訂正発明1の装置の発明を、カテゴリを変えて方法の発明に書き換えたものであるので、本件訂正発明1と同様に、本件訂正発明4は、当業者が甲1発明及び甲2?甲4記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本件訂正発明5は、本件訂正発明1の装置の発明を、プログラムの発明に書き換えたものであるので、本件訂正発明1と同様に、本件訂正発明5は、当業者が甲1発明及び甲2?甲4記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)特許法第29条の2について
訂正前の請求項1?5に係る特許は、いずれも、先願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(甲第5号証)に記載された発明と同一であるから特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。

(5)甲号証の記載事項
ア 甲第5号証(特開2014-215177号公報)の記載事項
甲第5号証には、次の事項が記載されている(下線は、当審により付加したもの。)。
(ア)
「【0014】
本実施形態に係る検査装置100の検査対象物3としては、食品や医薬品等の原材料や製品等が挙げられる。その中でも、特に、本実施形態に係る検査装置100は、医薬品(錠剤、カプセル剤等)、ゴム栓、食品、容器に入った飲料等のように、ある一つの固定した形を持つ検査対象物3に、異種品又は不良品が混入していないかどうかを検査する技術に好適に用いられる。ここでいう不良品とは、錠剤の欠けのような形状的な不良ではなく、例えば、酸化や吸湿等による物性の変化による不良が生じたものをいう。また、検査装置100では、搬送される検査対象物をインラインで全数検査することに対して好適に用いられる。なお、錠剤とは、素錠(または裸錠)、糖衣錠、フィルムコート錠(腸溶錠等)等が挙げられ、カプセル剤としては、硬カプセル剤、軟カプセル剤等が挙げられる。なお、図1の検査装置100では、検査対象物3が搬送容器31によって搭載された錠剤であって、搬送容器31内に異種品又は不良品の錠剤が混合しているかを検査する場合について説明する。」

(イ)
「【0030】
次に、上記の検査装置100を用いた検査方法について、図3を参照しながら説明する。図3に示すように、まず、ベルトコンベア2上に載置されて移動する検査対象物3を含む照射領域A1に対して光源ユニット10から近赤外光L1を出力することで、検査対象物3により拡散反射された光を含む拡散反射光L2を検出ユニット20において受光することで、視野領域20s(撮像領域)の撮像を行う(S01:撮像ステップ)。これによって、検出ユニット20において得られた画素毎のスペクトルデータは、検出ユニット20から分析ユニット30に送られ、分析ユニット30において取得される(S02)。なお検出ユニット20においてベルトコンベア2の移動に対応して連続して撮像を行い、これを分析ユニット30に対して蓄積することで、分析ユニット30では、各画素が二次元に配置されたハイパースペクトル画像として取得される。
【0031】
分析ユニット30では、これらの画素のうち、検査対象物3を撮像した画素、すなわち、解析対象となる画素(対象画素)を抽出する(S03:画素抽出ステップ)。」

(ウ)
「【0037】
このようにして各画素について対象画素か否かを判定し、その結果抽出された対象画素について、グループ化を行う(S04:スペクトル算出ステップ)。この処理は、例えば検査対象物3が錠剤である場合、1錠の錠剤が複数個の画素によって撮像されると考えられるため、同一の錠剤を撮像したと推測される対象画素を1つのグループとすることを目的として行われる。」

(エ)
「【0042】
検査対象物のスペクトルの算出とは、同一のグループに含まれる画素のスペクトルデータに基づいて、1つのスペクトルデータの算出を行うことである。この過程においては、以下の処理の中から適宜選択して検査対象物のスペクトルデータの算出が行われる。
【0043】
(空間軸平均化処理)
グループ化された対象画素のスペクトルデータの全数を用いて、各波長の反射光の平均値を求める。この処理によって、対象物の一点のみの反射光ではなく、対象物の複数個所における反射光の平均値に基づいたスペクトルデータを得ることができる。
【0044】
(規格化処理)
スペクトルデータに対して、以下のような規格化の少なくとも何れかの処理を行うことで規格化を行う。なお、この処理は、前述の空間軸平均化処理の前に各画素のスペクトルデータ全数を用いることでもよい。また、後述の平滑化処理の後に規格化処理を行う構成としてもよい。
・・・
【0049】
(E)SNV
スペクトルデータの平均値を各波長のデータより減算し、その後スペクトルデータの標準偏差で各波長のデータを除算して、各スペクトルデータ間の強度のバラツキの影響を除外する処理である。
【0050】
(平滑化処理)
対象物のスペクトルデータのうち、近隣の複数波長における反射率の移動平均もしくは重み付け移動平均をとり、スペクトル波形に含まれる微小なノイズの影響を減少させる。
【0051】
(微分処理/一次微分もしくは二次微分)
スペクトルデータの吸収ピークを強調させる為に、一次微分もしくは二次微分を求める。また、ノイズの影響を減少させる為に、数ポイント?数十ポイント毎に平滑化をかける。算出に際しては、例えばSavitzky-Golay法を用いることができる。
【0052】
以上に示すような処理を行うことで、同一のグループに含まれる複数の画素のスペクトルデータから、検査対象物3の分類に用いられる対象物のスペクトルデータを抽出することができる。
【0053】
次に、算出された検査対象物のスペクトルデータに基づいて、分類、すなわち、個々の検査対象物3が異種品又は不良品であるか否かの判断が行われる(S06:分類ステップ)。この判断の際には、例えば、対象画素の算出のときと同様に、スペクトルデータにおいて、ある波長のデータと、それとは別波長のデータに対して四則演算を行い、得点算出を行い、得点が閾値以上か否かで判断する方法や、1次元ベクトルデータを用いて、上記の数式(1)で示した線形結合計算することにより、得点算出を行い、得点が閾値以上か否かで判断する方法等を用いることができる。なお、対象画素の抽出のときと同様に、1次元ベクトルは、PCAやPLS、SVMの1次元ベクトルが複数種類混在していてもよい」

(オ)上記ア(ア)?(ウ)の記載内容を総合すると、甲第5号証には以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
「医薬品(錠剤、カプセル剤等)である検査対象物3に、異種品又は不良品が混入していないかどうかを検査する技術に好適に用いられ、搬送される検査対象物をインラインで全数検査し、搬送容器31内に異種品又は不良品の錠剤が混合しているかを検査する検査装置100であって、
ベルトコンベア2上に載置されて移動する検査対象物3を含む照射領域A1に対して光源ユニット10から近赤外光L1を出力することで、検査対象物3により拡散反射された光を含む拡散反射光L2を受光することで、視野領域20s(撮像領域)の撮像を行って、画素毎のスペクトルデータを得る検出ユニット20と、
分析ユニット30を備え、
分析ユニット30は、検出ユニット20においてベルトコンベア2の移動に対応して連続して撮像された画素毎のスペクトルデータを蓄積することで、各画素が二次元に配置されたハイパースペクトル画像として取得し、これらの画素のうち、検査対象物3を撮像した画素、すなわち、解析対象となる画素(対象画素)を抽出し、同一の錠剤を撮像したと推測される対象画素を1つのグループとするグループ化を行い、また、同一のグループに含まれる画素のスペクトルデータに基づいて、1つのスペクトルデータの算出を行う、検査対象物のスペクトルの算出処理であって、
グループ化された対象画素のスペクトルデータの全数を用いて、各波長の反射光の平均値を求める空間軸平均化処理、
スペクトルデータの平均値を各波長のデータより減算し、その後スペクトルデータの標準偏差で各波長のデータを除算して、各スペクトルデータ間の強度のバラツキの影響を除外する等の規格化処理、
対象物のスペクトルデータのうち、近隣の複数波長における反射率の移動平均もしくは重み付け移動平均をとり、スペクトル波形に含まれる微小なノイズの影響を減少させる平滑化処理、
スペクトルデータの吸収ピークを強調させる為に、二次微分を求める微分処理、
以上に示すような処理を適宜選択して行うことで、同一のグループに含まれる複数の画素のスペクトルデータから、検査対象物3の分類に用いられる対象物のスペクトルデータを抽出する検査対象物のスペクトルの算出処理を行い、
さらに、算出された検査対象物のスペクトルデータに基づいて、分類、すなわち、個々の検査対象物3が異種品又は不良品であるか否かの判断が行われる判断処理を行う、
検査装置100」

(6)対比・判断
ア 本件訂正発明1について
本件訂正発明1と甲5発明とを対比すると、甲5発明は、本件訂正発明1の「シートのポケット内に載置され」た「複数の錠剤を検査する」構成を備えていない点(以下、「相違点1」という)、
「前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成する2次元画像生成部を備え、抽出部が、2次元画像生成部の生成した二次元画像を用いる」構成を備えていない点(以下、「相違点2」という)、及び、
「前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出する正規化部を備え、前記画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する2次微分算出部」を備えているか不明な点(以下、「相違点3」という)、
で相違し、その余の点で一致する。

したがって、本件訂正発明1は、甲5発明と同一であるとは認められない。

イ 本件訂正発明2?3について
また、本件訂正発明2?3は、本件訂正発明1をさらに限定したものであるので、本件訂正発明1と同様に、本件訂正発明2?3は、甲5発明と同一であるとは認められない。

ウ 本件訂正発明4、5について
本件訂正発明4は、本件訂正発明1の装置の発明を、カテゴリを変えて方法の発明に書き換えたものであるので、本件訂正発明1と同様に、本件訂正発明4は、甲5発明と同一であるとは認められない。
また、本件訂正発明5は、本件訂正発明1の装置の発明を、プログラムの発明に書き換えたものであるので、本件訂正発明1と同様に、本件訂正発明5は、甲5発明と同一であるとは認められない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
錠剤検査装置、錠剤検査方法、錠剤検査プログラム
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、錠剤を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品の製造過程において、PTP(Press Through Package)包装装置によってPTPシートに載置された錠剤について、PTPシートに包装すべき錠剤とは種別が異なる異種錠剤を検出する検査が知られている。このような検査においては、可視光領域に感度を持つカラーカメラを用いて、錠剤の色を判定する検査装置が用いられている。また、上述の異種錠剤の検出においては、近赤外光検出器とガルバノミラーを組み合わせて、各錠剤の近赤外スペクトルを取得して異種錠剤を検出する検査装置が用いられている。
【0003】
なお、関連する技術として、特許文献1が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-112887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、錠剤の色を判別することにより異種錠剤を検出する方法は、同色の異種の錠剤については適用することができない。また、近赤外スペクトルを取得することにより異種錠剤を検出する方法によれば、検査対象である錠剤は搬送されて動いていることから、ガルバノミラーを適切な角度に調整して錠剤表面の光を近赤外線検出器に導くことが難しく、安定して異種錠剤を検出することができない。つまり、従来の異種錠剤を検出する検査によれば、特に同色の異種錠剤が含まれ得るような場合、安定して異種錠剤を検出することができない、という問題があった。
【0006】
本発明の実施形態は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、安定して異種錠剤を検出することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で取得する取得部と、複数のスペクトル画像を波長方向に積分した2次元画像を生成する2次元画像生成部と、2次元画像における錠剤の所定領域を抽出画像として抽出する抽出部と、抽出画像における画素それぞれの強度スペクトルを正規化した正規化スペクトルを算出する正規化部と、選択された抽出画像における画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する2次微分算出部と、2次微分スペクトルに基づいて、選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する判定部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】錠剤包装システムの構成を示す概略図である。
【図2】錠剤検査装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】錠剤検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】時系列に並べたスペクトル画像を示す図である。
【図5】複数のスペクトル画像に基づく2次元画像を示す図である。
【図6】矩形領域を示す図である。
【図7】波長と強度スペクトルとの関係を示すグラフである。
【図8】2次微分スペクトルを示すグラフである。
【図9】錠剤Aの2次微分スペクトルの第1主成分と第2主成分の2次元空間における分布を示す図である。
【図10】錠剤Bの2次微分スペクトルの第1主成分と第2主成分の2次元空間における分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。まず、本実施の形態に係る錠剤検査装置が組み込まれた錠剤包装システムの構成について、図1を参照しつつ説明する。図1は、錠剤包装システムの構成を示す概略図である。
【0010】
図1に示されるように、錠剤包装システム100は、プラスチックシート搬送部110、加熱装置120、成形装置121、錠剤充填装置130、蓋シート搬送部140、シール装置150、包装シート切り出し部160、取り出し部170、プレート180、近赤外スペクトルカメラ190、近赤外線照明191、錠剤検査装置90を有する。以下、錠剤包装システム100による錠剤の包装過程を簡単に説明する。
【0011】
透明な塩化ビニル等からなるプラスチックシート300は、紙部材等からなるコイルに巻き付いた状態であり、プラスチックシート搬送部110は、このプラスチックシート300を、コイルから巻き解きつつ、加熱装置120、成形装置121へ搬送する。加熱装置120は、搬送されたプラスチックシート300を加熱し、成形装置121は、加熱されたプラスチックシート300に、錠剤を一錠ずつ入れるための複数の凹部(以後、ポケットと称する)を空圧と鋳型とを用いて一定間隔で形成する。ポケットが形成されたプラスチックシート300は、複数の搬送ローラを経由してプレート180まで搬送される。
【0012】
錠剤充填装置130は、プレート180まで搬送されたプラスチックシート300上のポケットに錠剤400を一錠ずつ供給する。なお、本実施の形態における錠剤400としては、素錠、コーティング錠などが挙げられ、カプセル剤であっても良い。
【0013】
ポケットに錠剤400が供給されたプラスチックシート300は、プレート180上のプラスチックシート300に供給された錠剤を照射するように配置された近赤外照明191により近赤外光を照射され、近赤外スペクトルカメラ190により、プレート180の幅方向、すなわち、プラスチックシート300の搬送方向に直交する方向の線上のスペクトルが撮像される。この撮像された画像は、後述の錠剤検査装置90により処理演算され、異種錠剤を判定するために用いられる。なお、近赤外スペクトルカメラ190は、少なくとも1000nm?2300nmの波長に感度を持つものとし、近赤外スペクトルカメラ190による撮像は、10msec毎に行われるものとする。
【0014】
このように撮像された後、プラスチックシート300はシール装置150へ搬送される。蓋シート搬送部140は、巻回されたアルミ箔等からなる蓋シート141を供給し、シール装置150まで搬送する。シール装置150は、蓋シート141と、ポケットに錠剤400が供給されたプラスチックシート300とを接合(シール)し、PTPシート500とする。
【0015】
包装シート切り出し部160は、蓋シート141とプラスチックシート300とがシールされたPTPシート500を、所定の大きさ、すなわち錠剤の数が所定の数となるように切り出す。この切り出されたシートを包装シートと称する。取り出し部170は、切り出された包装シートを選別する。ここで、取り出し部170は、異種の錠剤、すなわち、PTPシート500に包装すべき錠剤とは種別が異なる錠剤を含むと錠剤検査装置90に判定された包装シートを取り除く。
【0016】
錠剤検査装置90は、CPU(Central Processing Unit)910、主記憶装置であるメモリ911、不揮発性の記憶装置912を少なくとも有するコンピュータであり、プレート180上で搬送されるプラスチックシート300上の錠剤を検査対象とし、近赤外スペクトルカメラ190によって撮像された画像に対して処理演算することで、包装シートに異種の錠剤が含まれているか否かを判定する。
【0017】
次に、錠剤検査装置の機能構成を、図2を参照して説明する。図2は、錠剤検査装置の機能構成を示すブロック図である。
【0018】
錠剤検査装置90は、取得部901、シェーディング補正部902、2次元画像生成部903、検出部904、抽出部905、正規化部906、選択部907、2次微分算出部908、判定部909を備える。これらの各機能は、予め上述の不揮発性の記憶装置912に保存されているプログラムが上述のメモリ911にロードされ、上述のCPU910がロードされたプログラムを演算実行することで実現される。
【0019】
取得部901は、近赤外スペクトルカメラ190により10msec毎に撮像される錠剤のスペクトル画像を順次取得する。シェーディング補正部902は、取得部901に取得されたスペクトル画像のそれぞれに対してシェーディング補正を行う。2次元画像生成部903は、シェーディング補正がなされたスペクトル画像を波長方向に積分した2次元画像を生成する。検出部904は、生成された2次元画像を2値化することにより2次元画像による錠剤位置を検出する。抽出部905は、2次元画像における各錠剤の中心近傍の矩形領域を抽出画像として抽出する。正規化部906は、各錠剤の抽出画像における画素(以降、サンプル画素と称する)の強度スペクトルの平均、標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出する。選択部907は、2次元画像から抽出された各錠剤を順次選択する。2次微分算出部は、選択された錠剤内の各画素の正規化スペクトルを錠剤内で平均化した平均スペクトルを算出し、この平均スペクトルを2次微分した2次微分スペクトルを算出する。判定部909は、2次微分スペクトルに基づく主成分分析を行い、選択された抽出画像に対応する錠剤が異種の錠剤であるか否かを判定する。
【0020】
次に、錠剤検査装置の動作について説明する。図3は、錠剤検査装置の動作を示すフローチャートである。
【0021】
図3に示すように、まず、取得部901は、近赤外スペクトルカメラ190により撮像された錠剤のスペクトル画像を取得する(S101)。ここで、取得部901により取得されるスペクトル画像について説明する。図4は、時系列に並べたスペクトル画像を示す図である。スペクトル画像は、上述したように、近赤外スペクトルカメラ190によりプレート180の幅方向の線上のスペクトルが10msec毎に撮像されたものであり、また、ポケットに錠剤400が供給されたプラスチックシート300は、プレート180の幅方向に直交する方向に搬送されている。このため、図4に示すように、1列の錠剤に対して、搬送方向に異なる位置で複数のスペクトル画像が撮像される。また、スペクトル画像のそれぞれは、プレート180の幅方向xと波長方向λの2軸に画素が配列された画像となる。
【0022】
スペクトル画像が取得された後、取得されたスペクトル画像のそれぞれに対して、シェーディング補正がなされる(S102)。このシェーディング補正は、スペクトル画像のx方向の強度のバラつきと波長ごとの感度のバラつきを補正する輝度補正処理である。具体的には、シェーディング補正は、予め近赤外スペクトルカメラ190により撮像されたホワイトの基準版の撮像画像をB(x,λ)、同様に予め撮像されたダークの基準版の撮像画像をD(x,λ)、ポケットに錠剤400が供給されたプラスチックシート300の撮像画像をF(x,λ)、補正係数をK(x,λ)=B0/(B(x,λ)-D(x,λ))とした場合、シェーディング補正画像Fc(x,λ)は、Fc(x,λ)=(F(x,λ)-D(x,λ))・K(x,λ)の式で示される補正処理である。
【0023】
シェーディング補正後、2次元画像生成部903は、複数のスペクトル画像を波長λ方向に積分した2次元画像を生成する(S103)。ここで、2次元画像について説明する。図5は、複数のスペクトル画像をもとに2次元画像生成部903が生成した2次元画像を示す図である。図5に示すように、2次元画像は、幅方向x及び時間方向T(即ち搬送方向y)の2軸を有する画像である。この2次元画像は、包装シート単位で作成されるものとする。
【0024】
2次元画像の生成後、検出部904は、2次元画像を所定の閾値によって2値化し、2次元画像を構成する画素が錠剤部分かそれ以外の部分かを分類することにより、2次元画像における錠剤部分を検出し、各錠剤部分の領域をラベリングする(S104)。
【0025】
次に、抽出部905は、2次元画像における全ての錠剤部分それぞれについて、その中心の座標(xc,yc)を算出し、この座標を中心とする矩形領域内の画像を抽出画像として抽出する(S105)。ここで、矩形領域について説明する。図6は、矩形領域を示す図である。図6に示すように、矩形領域は、少なくともいずれの錠剤部分内にも収まる大きさとし、矩形領域内の画素において中心の座標近傍の画素がより多くなるような大きさが望ましい。
【0026】
抽出画像の抽出後、正規化部906は、波長と強度スペクトルとの関係を示すグラフである図7に示されるような強度スペクトルの平均及び標準偏差を算出する(S106)。具体的には、2次元画像における全ての抽出画素にについて、i番目の画素の強度スペクトルl(λ,i)の平均lave(i)、標準偏差lstd(i)を、画素iを固定でλを振らせて算出する。次に、正規化部906は、強度スペクトルl(λ,i)を正規化した正規化スペクトルlc(λ,i)を、lc(λ,i)=(l(λ,i)-lave(i))/lstd(i)により算出する(S107)。
【0027】
次に、選択部907は、包装シートにおける錠剤を順次選択する(S108)。具体的には、選択部907は、撮像画像における錠剤部分に対応する正規化スペクトルを順次選択する。
【0028】
次に、2次微分算出部908は、選択された正規化スペクトルの平均スペクトルを算出し、この平均スペクトルの2次微分を2次微分スペクトルとして算出する(S109)。具体的には、2次微分算出部908は、画素i∈選択された抽出画像として、選択された抽出画像の平均スペクトルltbl(λ)を算出する。さらに、2次微分算出部908は、図8に示されるような2次微分スペクトルDtbl(λ)を、Dtbl(λ)=ltbl(λ+Δλ)+ltbl(λ-Δλ)-2ltbl(λ)により算出する。
【0029】
次に、判定部909は、選択された錠剤、すなわち、選択された抽出画像に対応する錠剤が異種の錠剤であるか否かを判定する(S110)。ここで、判定部909は、選択された抽出画像の2次微分スペクトルDtbl(λ)の主成分を主成分分析法を用いて算出し、この選択された錠剤の主成分と予め算出した錠剤種ごとの2次微分スペクトルの主成分との隔たりが所定の閾値以上である場合、選択された錠剤が異種の錠剤であると判定する。この判定において、錠剤種ごとの2次微分スペクトルの主成分とは、特定の錠剤種について検査対象とする錠剤と同様に算出された、図9及び10に示すような2次微分スペクトルの主成分を示す。ここで、図9、10は、それぞれ、錠剤Aの2次微分スペクトルの第1主成分と第2主成分の2次元空間における分布、錠剤Bの2次微分スペクトルの第1主成分と第2主成分の2次元空間における分布を示し、いずれの図においても、横軸は第1主成分、縦軸は第2主成分である。
【0030】
これらの処理によって、包装シート内に異種の錠剤が含まれるか否かを判定することができ、異種の錠剤が含まれる包装シートは取り出し部170により取り除かれる。
【0031】
以上説明した錠剤検査装置によれば、同色の錠剤についても異種の錠剤であるかを判別することができる。また、近赤外光検出器とガルバノミラーを用いた検査装置に比べて、安定して錠剤の検査を行うことができ、複雑な装置構成を必要としないことから、錠剤検査を行うまでの装置の設定を容易にすることが可能となる。
【0032】
本実施の形態において、錠剤検査プログラムは上述した錠剤検査装置90の内部に予めインストールされているものとして記載したが、本発明における錠剤検査プログラムは記憶媒体に記憶されたものも含まれる。ここで記憶媒体とは、磁気テープ、磁気ディスク(ハードディスクドライブ等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク等)、光磁気ディスク(MO等)、フラッシュメモリ等、錠剤検査装置90に対し脱着可能な媒体や、さらにネットワークを介することで伝送可能な媒体等、上述した錠剤検査装置90におけるコンピュータで読み取りや実行が可能な全ての媒体をいう。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
90 錠剤検査装置、901 取得部、903 2次元画像生成部、905 抽出部、906 正規化部、907 選択部、908 2次微分算出部、909 判定部。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートのポケット内に載置されて一方向に搬送される複数の錠剤を検査する錠剤検査装置であって、
(A)近赤外スペクトルカメラにより撮像され、前記錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で複数取得する取得部と、
(B)前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成する2次元画像生成部と、
(C)前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出する抽出部と、
(D)前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出する正規化部と、
(E)前記複数の抽出画像を順次選択する選択部と、
(F)前記画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出する2次微分算出部と、
(G)前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する判定部と
を備える錠剤検査装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記2次微分スペクトルに基づく主成分分析に基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が前記所定の種別の錠剤であるかを判定することを特徴とする請求項1に記載の錠剤検査装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記複数の錠剤のそれぞれについて中心座標を算出し、該中心座標を基準とする矩形領域を複数の抽出画像として抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の錠剤検査装置。
【請求項4】
シートのポケット内に載置されて一方向に搬送される複数の錠剤を検査する錠剤検査方法であって、
コンピュータが、
(A)近赤外スペクトルカメラにより撮像され、前記錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で複数取得し、
(B)前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成し、
(C)前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出し、
(D)前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出し、
(E)前記複数の抽出画像を順次選択し、
(F)前記画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出し、
(G)前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する錠剤検査方法。
【請求項5】
シートのポケット内に載置されて一方向に搬送される複数の錠剤の検査をコンピュータに実行させる錠剤検査プログラムであって、
(A)近赤外スペクトルカメラにより撮像され、前記錠剤の搬送方向に直交する幅方向線上のスペクトルを、幅方向軸と波長方向軸とを有するスペクトル画像として所定の時間間隔で複数取得し、
(B)前記複数のスペクトル画像のそれぞれを波長方向に積分し、前記幅方向軸及び前記搬送方向軸を有する2次元画像を生成し、
(C)前記2次元画像における複数の錠剤それぞれの所定領域を複数の抽出画像として抽出し、
(D)前記複数の抽出画像における画素それぞれについて、前記複数のスペクトル画像のうち対応する強度スペクトルの波長方向の平均及び標準偏差に基づいて正規化した正規化スペクトルを算出し、
(E)前記複数の抽出画像を順次選択し、
(F)前記が画素それぞれについて算出された正規化スペクトルの、選択された抽出画像における平均の2次微分を2次微分スペクトルとして算出し、
(G)前記2次微分スペクトルに基づいて、前記選択部により選択された抽出画像に対応する錠剤が所定の種別の錠剤であるかを判定する
処理をコンピュータに実行させる錠剤検査プログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-08-22 
出願番号 特願2014-542042(P2014-542042)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (G01N)
P 1 651・ 16- YAA (G01N)
P 1 651・ 121- YAA (G01N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森口 正治  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 信田 昌男
▲高▼見 重雄
登録日 2016-04-15 
登録番号 特許第5917711号(P5917711)
権利者 東芝ソリューション株式会社 株式会社東芝
発明の名称 錠剤検査装置、錠剤検査方法、錠剤検査プログラム  
代理人 赤澤 日出夫  
代理人 赤澤 日出夫  
代理人 赤澤 日出夫  

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