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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23L
管理番号 1333249
異議申立番号 異議2016-700141  
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-02-19 
確定日 2017-09-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第5770788号発明「選択されたカタラーゼ酵素を有する殺菌過酸組成物及び無菌包装における使用の方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5770788号の請求項1?15に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続の経緯の概略
平成21年 4月17日 原出願(特願2011-504601号、パリ
条約による優先権主張外国庁受理:2008年4
月18日米国、2008年8月4日 米国)
平成25年 6月24日 特許法44条1項の規定による新たな出願(特
願2013-131836号)
平成27年 7月 3日 特許権の設定登録(特許第5770788号)
平成27年 8月26日 特許公報発行
平成28年 2月19日 特許異議の申立て(異議申立人 赤尾直人)
平成28年 4月13日 取消理由通知書
平成28年 7月13日 訂正請求書(以下「本件訂正請求書」といい、
これに係る訂正を「本件訂正」という。)及び意
見書
平成28年 8月 2日 通知書(訂正請求があった旨の通知)
平成28年10月13日 訂正拒絶理由通知書
平成28年12月 7日 意見書
平成29年 1月 5日 取消理由通知書(決定の予告)

なお、平成29年1月5日付けの取消理由通知書(決定の予告)に対し,特許権者から何らの応答はなかった。

第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正の請求は、特許第5770788号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?15について訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤であって、前記カタラーゼ含有製剤中のカタラーゼ酵素は、2.0?2.5のpHで、その活性の50%を1時間以上に亘って維持する、前記カタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「20ppm?100ppmのカタラーゼ酵素であって、前記カタラーゼ酵素は、2.0?2.5のpHで、その活性の50%を1時間以上に亘って維持する、前記カタラーゼ酵素」に訂正する(下線は訂正箇所を示す。以下同様。)。

(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、「前記カタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「前記カタラーゼ酵素」に訂正する。

(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に、「前記カタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「前記カタラーゼ酵素」に訂正する。

(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に、「前記カタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「前記カタラーゼ酵素」に訂正する。

(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に、「前記カタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「前記カタラーゼ酵素」に訂正する。

(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7に、「前記カタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「前記カタラーゼ酵素」に訂正する。

(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項10に、「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤であって、前記カタラーゼ含有製剤中のカタラーゼ酵素は、2.0?2.5のpHで、その活性の50%を1時間以上に亘って維持する、前記カタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「20ppm?100ppmのカタラーゼ酵素であって、前記カタラーゼ酵素は、2.0?2.5のpHで、その活性の50%を1時間以上に亘って維持する、前記カタラーゼ酵素」に訂正し、かつ、特許請求の範囲の請求項10に、「(f)追加のカタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「(f)追加のカタラーゼ酵素」に訂正する。

(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11に、「前記カタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「前記カタラーゼ酵素」に訂正する。

(9) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項12に、「前記カタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「前記カタラーゼ酵素」に訂正する。

(10) 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項13に、「前記カタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「前記カタラーゼ酵素」に訂正する。

(11) 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項15に、「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤であって、前記カタラーゼ含有製剤中のカタラーゼ酵素は、2.0?2.5のpHで、その活性の50%を1時間以上に亘って維持する、前記カタラーゼ含有製剤」と記載されているのを、「20ppm?100ppmのカタラーゼ酵素であって、前記カタラーゼ酵素は、2.0?2.5のpHで、その活性の50%を1時間以上に亘って維持する、前記カタラーゼ酵素」に訂正する。

2 訂正拒絶理由の概要
訂正拒絶理由の概要は次のとおりである。すなわち、訂正事項1?11に係る本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであると認められるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項1号に係る事項を目的としたものではなく、同条9項において準用する同法126条6項の規定に違反するものである。

3 本件訂正の適否について
(1) 訂正事項1?6について
ア 訂正事項1は、本件訂正後の請求項1に係る発明の「殺菌組成物」に含まれる成分(i)について特定する訂正であると認められる。
イ 本件訂正前の請求項1に係る発明の「カタラーゼ含有製剤」とは、「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を含むものであると解される(後記第3・3(1)ア)。
このように訂正前の請求項1に係る発明は、「殺菌組成物」がこのような「カタラーゼ含有製剤」を含有するとしていたのに対し、本件訂正は、「カタラーゼ含有製剤」から「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を省き、「殺菌組成物」が含有する成分の一部を削除するものである。
そして、本件訂正前の請求項1に係る発明の「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤殺菌組成物」とは、殺菌組成物全量に対する濃度が20ppm?100ppmであるカタラーゼ含有製剤を意味すると解する余地があるところ(後記第3・4(1))、そのように解した場合、殺菌組成物中の「カタラーゼ酵素」の濃度は、その上限が100ppmよりも低かったのに対し、本件訂正は、上限を100ppmにするものである。このように、本件訂正は、課題の解決に重要な成分である「カタラーゼ酵素」の濃度の範囲を100ppmにまで拡張するものである。
ウ そうすると、訂正事項1に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項1に係る発明の「殺菌組成物」に含まれる成分(i)について、より具体的に特定し、更に限定するものであるとは認められないから、訂正事項1に係る本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであると認められる。
エ 訂正事項2?6は、本件訂正後の請求項2、4?7に係る発明の「殺菌組成物」に含まれる成分(i)について特定する訂正であると認められるが、訂正事項1と同様に、「カタラーゼ含有製剤」から「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を省き、「殺菌組成物」が含有する成分の一部を削除するものである。
よって、訂正事項2?6に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項2、4?7に係る発明の「殺菌組成物」に含まれる成分(i)について、より具体的に特定し、更に限定するものであるとは認められないから、訂正事項2?6に係る本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであると認められる。

(2) 訂正事項7?10について
ア 訂正事項7は、本件訂正後の請求項10に係る発明の「殺菌組成物」に含まれる成分(i)について特定するとともに、工程(f)で追加される成分について特定する訂正であると認められる。
イ まず、「殺菌組成物」に含まれる成分(i)について特定する点は、訂正事項1と同様に、「カタラーゼ含有製剤」から「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を省き、「殺菌組成物」が含有する成分の一部を削除するものであり、殺菌組成物中の「カタラーゼ酵素」の濃度の範囲を100ppmにまで拡張するものである。
そして、工程(f)で追加される成分について特定する点は、本件訂正前の請求項10に係る発明は、「カタラーゼ含有製剤」を追加するとしていたのに対し、本件訂正は、「カタラーゼ含有製剤」から「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を省き、工程(f)で追加する成分の一部を削除するものである。
ウ そうすると、訂正事項7に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項10に係る発明の「殺菌組成物」に含まれる成分(i)及び工程(f)で追加される成分について、より具体的に特定し、更に限定するものであるとは認められないから、訂正事項7に係る本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであると認められる。
エ 訂正事項8?10は、本件訂正後の請求項11?13に係る発明の「殺菌組成物」に含まれる成分(i)について特定するとともに、工程(f)で追加される成分について特定する訂正であると認められるが、訂正事項7と同様に、「カタラーゼ含有製剤」から「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を省き、「殺菌組成物」が含有する成分の一部を削除するものであり、工程(f)で追加する成分の一部を削除するものである。
よって、訂正事項8?10に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項11?13に係る発明の「殺菌組成物」に含まれる成分(i)及び工程(f)で追加される成分について、より具体的に特定し、更に限定するものであるとは認められないから、訂正事項8?10に係る本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであると認められる。

(3) 訂正事項11について
ア 訂正事項11は、本件訂正後の請求項15に係る発明の「殺菌組成物」に含まれる成分(i)について特定する訂正であると認められる。
イ この点は、訂正事項1と同様に、「カタラーゼ含有製剤」から「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を省き、「殺菌組成物」が含有する成分の一部を削除するものであり、殺菌組成物中の「カタラーゼ酵素」の濃度の範囲を100ppmにまで拡張するものである。
ウ そうすると、訂正事項11に係る本件訂正は、本件訂正前の請求項15に係る発明の「殺菌組成物」に含まれる成分(i)について、より具体的に特定し、更に限定するものであるとは認められないから、訂正事項11に係る本件訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであると認められる。

(4) なお、特許権者は、平成28年4月13日付けの取消理由通知書において「濃度がカタラーゼ含有製剤とカタラーゼ酵素のいずれを意味するのか不明確である」とし、訂正拒絶理由通知書において「濃度がカタラーゼ含有製剤のみを意味する」としたことは不合理である、訂正前の本件特許請求の範囲がカタラーゼ酵素の濃度範囲を規定していたのだとすれば、本件訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなかったことになる、などと主張している(平成28年12月7日付け意見書)。
しかしながら、同取消理由通知書においては、「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤であって、前記カタラーゼ含有製剤中のカタラーゼ酵素は・・・」と記載されていることや、「製剤」の一般的な意味に照らすと、「カタラーゼ含有製剤」は、「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を含むものであると解されることを触れた上で(第2・1(1))、請求項1、請求項10及び請求項15に記載された「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」に関し、本件特許明細書には「カタラーゼ含有製剤」について実質的に説明がないから、その意味するところが明確でないこと、当該記載は「殺菌組成物全量に対しカタラーゼ含有製剤が20ppm?100ppm」であることを意味すると解されるが、「カタラーゼ含有製剤に対しカタラーゼ酵素が20ppm?100ppm」であるとも解釈し得るから、その意味するところを明確に特定することができないことを指摘し、いずれにせよ、殺菌組成物中のカタラーゼ酵素の濃度が不明であることを指摘したのであって(第3)、当該記載について「濃度がカタラーゼ含有製剤とカタラーゼ酵素のいずれを意味するのか不明確である」と指摘したものではなく、当該記載が殺菌組成物中のカタラーゼ酵素の濃度範囲を規定していると解釈し得るとしたものでもない。
そして、訂正拒絶理由通知書において、同様に「カタラーゼ含有製剤」とは、「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を含むものであると解されることを前提に、本件訂正が、「カタラーゼ含有製剤」から「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を省き、「殺菌組成物」が含有する成分の一部を削除するものであること、「カタラーゼ酵素」の濃度の範囲を100ppmにまで拡張するものであることを指摘したものである。
このように、いずれも、本件特許に係る発明が「カタラーゼ含有製剤」を含むものであると認められることを前提に、取消理由、訂正拒絶理由を指摘したものであって、不合理なところはない。

(5) 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項1号に係る事項を目的としたものではなく、同条9項において準用する同法126条6項の規定に違反するものであるから、本件訂正を認めない。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
前記第2のとおり、本件訂正は認められないから、本件特許の請求項1?15に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。以下、本件特許に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明1」などといい、総称して「本件発明」という。
【請求項1】
(a)
(i)20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤であって、前記カタラーゼ含有製剤中のカタラーゼ酵素は、2.0?2.5のpHで、その活性の50%を1時間以上に亘って維持する、前記カタラーゼ含有製剤、
(ii)0.00001質量%?0.5質量%の過酸化水素、
(iii)0.1質量%?20.0質量%のC_(1)-C_(10)カルボン酸、及び
(iv)0.1質量%?2.0質量%のC_(1)-C_(10)ペルカルボン酸
を含む殺菌組成物を使用時に準備する工程;
(b)前記殺菌組成物を40℃?65℃に加熱する工程;並びに
(c)食品パッケージに入れられた最終食物製品を非冷蔵貯蔵条件下での供給販売に適したものにするために十分な量で、前記殺菌組成物を食品パッケージの表面に適用する工程
を含む無菌包装によるパッケージの滅菌方法。
【請求項2】
前記カタラーゼ含有製剤が、少なくとも500ppmの過酸化水素を15分未満で分解することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カタラーゼ酵素が、40℃?65℃の温度並びに2.0?2.5のpHで、その初期触媒活性の50%を1時間以上に亘って維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カタラーゼ含有製剤が一括追加で前記殺菌組成物に追加される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記カタラーゼ含有製剤が順次適用で前記殺菌組成物に追加される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カタラーゼ含有製剤が、前記殺菌組成物中に浮遊している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カタラーゼ含有製剤が、残存殺菌組成物と接触する水不溶性基質に固定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
過酸化水素濃度が、1000ppm未満に維持されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記カルボン酸が、酢酸、オクタン酸、及びそれらの混合物から成る群から選択され、そして前記ペルカルボン酸が、過酢酸、ペルオクタン酸、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(a)
(i)20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤であって、前記カタラーゼ含有製剤中のカタラーゼ酵素は、2.0?2.5のpHで、その活性の50%を1時間以上に亘って維持する、前記カタラーゼ含有製剤、
(ii)0.00001質量%?0.3質量%の過酸化水素、
(iii)酢酸、オクタン酸、及びそれらの混合物から成る群から選択される、0.1質量%?2.0質量%のカルボン酸、及び
(iv)過酢酸、ペルオクタン酸、及びそれらの混合物から成る群から選択される、0.15質量%?0.4質量%のペルカルボン酸
を含む殺菌組成物を液体槽で形成する工程;
(b)前記液体槽で前記組成物を20℃?65℃に加熱する工程;
(c)前記液体槽からパッケージへ毎秒0.01リットル?毎秒5.0リットルで前記殺菌組成物を送り込む工程;
(d)食品パッケージに入れられた最終食物製品を非冷蔵貯蔵条件下での供給販売に適したものにするために十分な量で、前記組成物を食品パッケージの表面に適用する工程;
(e)前記液体槽中の過酸化水素濃度を監視する工程;並びに
(f)追加のカタラーゼ含有製剤を前記液体槽へ追加して、前記過酸化水素濃度を0.1質量%未満に保つ工程
を含む無菌包装によるパッケージの滅菌方法。
【請求項11】
前記カタラーゼ含有製剤が時間に応じて前記液体槽へ追加される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記カタラーゼ含有製剤が順次適用で前記液体槽へ追加される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記カタラーゼ含有製剤が一括追加で前記液体槽へ追加される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記食品パッケージが、ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、アルミニウム、単層フィルム、複層フィルム、ボール紙、スチール、ガラス、複層ボトル、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
(a)
(i)20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤であって、前記カタラーゼ含有製剤中のカタラーゼ酵素は、2.0?2.5のpHで、その活性の50%を1時間以上に亘って維持する、前記カタラーゼ含有製剤、
(ii)0.00001質量%?0.5質量%の過酸化水素、
(iii)0.1質量%?20.0質量%のC_(1)-C_(10)カルボン酸、及び
(iv)0.1質量%?2.0質量%のC_(1)-C_(10)ペルカルボン酸を含む殺菌組成物を使用時に準備する工程;
(b)前記殺菌組成物を40℃?65℃に加熱する工程;
(c)食品パッケージに入れられた最終食物製品を非冷蔵貯蔵条件下での供給販売に適したものにするために十分な量で、前記殺菌組成物を食品パッケージの表面に適用する工程;
(d)前記食品パッケージから前記殺菌組成物を排出させる工程;
(e)すすぎ溶液で前記食品パッケージをすすぐ工程;
(f)前記食品パッケージから前記すすぎ溶液を排出させる工程;
(g)排出されたすすぎ溶液を回収する工程;
(h)回収されたすすぎ溶液を加工して、再利用すすぎ溶液を形成する工程;並びに
(i)前記再利用すすぎ溶液を使用する工程
を含む無菌包装によるパッケージの滅菌方法。

2 取消理由の概要
平成28年4月13日付けの取消理由通知書で通知した取消理由1?5は、概ね、次のとおりである。
(1) 本件特許の請求項1?15に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用例に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。

(2) 本件特許の請求項1?15に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用例に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。

(3) 請求項1、10、15において「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」の意味するところが明確でなく、殺菌組成物中のカタラーゼ酵素の濃度が不明であるから、本件特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

(4) 「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」の意味するところが明確でないから、本件特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

(5) 請求項1、10、15において、カタラーゼ酵素の濃度に関し、課題を解決することができない範囲が含まれ、課題を解決するための手段が反映されているとは認められないから、本件特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。

(引用例)
特表2011-517946号公報(異議申立人提出の甲第1号証、原出願に係る公表公報)

3 取消理由1(29条1項3号)及び取消理由2(29条2項)について
(1) 分割要件について
ア 本件特許の特許請求の範囲の請求項1、請求項10及び請求項15には、殺菌組成物が「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」を含む旨記載されている。
この点に関し、本件特許明細書には「カタラーゼ酵素」及び「カタラーゼ」に関する記載が認められるものの、「カタラーゼ含有製剤」について詳細な説明がない。
しかし、請求項1、請求項10及び請求項15に「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤であって、前記カタラーゼ含有製剤中のカタラーゼ酵素は・・・」と記載されていることや、「製剤」の一般的な意味に照らすと、本件発明の「カタラーゼ含有製剤」は、「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を含むものであると解される。
このように解することは、本件特許明細書の記載とも整合する。すなわち、本件特許明細書には、「市販されているカタラーゼには、活性酵素並びに酵素の安定性を高める添加成分の両方が含まれる。いくつかの代表的なカタラーゼ酵素は、Genencor CA-100及びCA-400並びにMitsubishi Gas and Chemical(MGC) ASC super G及びASC super 200である。」(【0021】)と記載され、カタラーゼ酵素として当該「CA-100」、「CA-400」、「ASC super G」及び「ASC super 200」を使用した実施例に関する記載もある(【0099】?【0181】)。
そして、本件特許明細書には「一部の実施形態において、15分で過酸組成物中の過酸化水素を500ppm分解するのに必要なカタラーゼ酵素の濃度は、・・・100ppm未満・・・である。」(【0016】)と記載され、実施例1において100ppmの濃度でカタラーゼ酵素の過酸化水素分解能力を検討し(【0102】?【0105】)、実施例2において20ppmの濃度でカタラーゼ酵素の過酸化水素分解能力を検討している(【0106】?【0108】)。
そうすると、「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」との記載は後記のとおり不明確であるが(後記4?6)、一応、殺菌組成物全量に対する濃度が20ppm?100ppmであるカタラーゼ酵素、を含むカタラーゼ含有製剤(殺菌組成物に含まれるカタラーゼ含有製剤が、殺菌組成物全量に対する濃度が20ppm?100ppmであるカタラーゼ酵素を含むものである)、との趣旨であると解することができる。
このように、本件特許明細書には、「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を含む「カタラーゼ含有製剤」について示唆があり、「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」を使用することについて記載されているといえる。
これに対し、原出願(特願2011-504601号)の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「原出願の当初明細書等」という。前記引用例参照。)には、「カタラーゼ含有製剤」に関し直接的な記載はないが、本件特許明細書と同等の記載があり(【0021】、【0099】?【0181】)、原出願の当初明細書等にも、「カタラーゼ含有製剤」について示唆があり、「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」を使用することについて記載されているといえる。
イ また、原出願の当初明細書等では殺菌組成物中の「カタラーゼ酵素」の濃度が課題との関係で重要であるとされている。
他方、本件発明は「カタラーゼ含有製剤」を含むことを前提とした発明であるが、同様に、カタラーゼ酵素の濃度が課題の解決に重要であることは、本件特許明細書の記載に照らし明らかである。
ウ そうすると、本件発明の殺菌組成物が「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」を含む点は、当業者によって、原出願の当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項といえ、この点を発明を特定するための事項とすることは、原出願の当初明細書等に記載された事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内であると認められる。
よって、本件特許に係る出願は分割要件を満たしている。

(2) 29条1項3号及び29条2項について
以上のとおり、本件特許に係る出願は分割要件を満たしており、原出願の時にしたものとみなされるから、前記引用例は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物とはいえない。
よって、本件発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明とは認められず、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものとも認められない。

4 取消理由3(36条6項2号)について
(1) 本件特許の特許請求の範囲の請求項1、請求項10及び請求項15に記載された「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」に関し、既に述べたとおり、本件発明の「カタラーゼ含有製剤」は、「カタラーゼ酵素」以外の他の成分を含むものであると解され、「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」とは、殺菌組成物全量に対する濃度が20ppm?100ppmであるカタラーゼ酵素、を含むカタラーゼ含有製剤(殺菌組成物に含まれるカタラーゼ含有製剤が、殺菌組成物全量に対する濃度が20ppm?100ppmであるカタラーゼ酵素を含むものである)との趣旨であると解することができるところ(前記第3・3(1)ア)、現在の記載では、そうであることを明確に特定することができず、殺菌組成物に対するカタラーゼ含有製剤の濃度を特定している、又はカタラーゼ含有製剤に対するカタラーゼ酵素の濃度を特定していると解する余地もあることから、その意味するところを明確に特定することができない。

(2) 以上の点は、請求項1又は請求項10を引用する請求項2?請求項9、請求項11?請求項14においても同様である。
よって、本件発明は明確でない。

5 取消理由4(36条4項1号)について
既に述べたとおり、「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」なる記載はその意味するところを明確に特定することができないにもかかわらず、本件特許明細書には、「カタラーゼ含有製剤」に関する詳細な説明がないから、本件発明を実施することができない。

6 取消理由5(36条6項1号)について
(1) 既に述べたとおり、本件特許の特許請求の範囲の請求項1、請求項10及び請求項15における、殺菌組成物が「20ppm?100ppmのカタラーゼ含有製剤」を含む旨の記載は、殺菌組成物全量に対する濃度が20ppm?100ppmであるカタラーゼ含有製剤が含まれることを意味すると解する余地があるところ、そのように解した場合、殺菌組成物に対するカタラーゼ酵素の濃度が20ppmより低いものも含まれることとなる。
しかし、本件特許明細書には、カタラーゼ酵素の濃度を20ppmとする実施例(実施例2)は記載されているが、20ppmより低くする実施例の記載はなく、本件特許明細書の上記実施例に関する記載や、原出願の当初明細書等の記載に照らすと、課題を解決するためには、殺菌組成物に対するカタラーゼ酵素の濃度が20ppm以上であることが必要であると認められる。
よって、請求項1、請求項10及び請求項15には、カタラーゼ酵素の濃度に関し、課題を解決することができない範囲が含まれ、課題を解決するための手段が反映されているとは認められない。

(2) 以上の点は、請求項1又は請求項10を引用する請求項2?請求項9、請求項11?請求項14においても同様である。

第4 むすび
以上のとおり、本件特許は、特許法36条6項2号、同条4項1号、同条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。
 
異議決定日 2017-05-10 
出願番号 特願2013-131836(P2013-131836)
審決分類 P 1 651・ 536- ZB (A23L)
P 1 651・ 537- ZB (A23L)
P 1 651・ 113- ZB (A23L)
P 1 651・ 121- ZB (A23L)
最終処分 取消  
前審関与審査官 柴原 直司  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 山崎 勝司
窪田 治彦
登録日 2015-07-03 
登録番号 特許第5770788号(P5770788)
権利者 エコラボ インコーポレイティド
発明の名称 選択されたカタラーゼ酵素を有する殺菌過酸組成物及び無菌包装における使用の方法  
代理人 出野 知  
代理人 胡田 尚則  
代理人 古賀 哲次  
代理人 三間 俊介  
代理人 石田 敬  
代理人 青木 篤  
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