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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) B01D |
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管理番号 | 1333279 |
判定請求番号 | 判定2017-600020 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2017-05-15 |
確定日 | 2017-10-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3453709号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号図面ならびにその説明書に示す「エアコンプレッサ専用ドレン処理装置」は、特許第3453709号発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本件に係る手続の経緯は、以下のとおりである。 平成13年 1月15日 特許出願(特願2001-40895号) 平成15年 7月25日 設定登録 平成29年 5月15日付 本件判定請求書の提出 平成29年 6月 8日付 判定請求書副本送付 平成29年 7月12日付 判定請求答弁書(被請求人) 2 請求の趣旨 請求人の請求の趣旨は、判定請求書の全趣旨からみて、イ号図面ならびにその説明書(なお、判定請求書の添付書類は「イ号説明書」と表記されているので、以下、「イ号説明書」という。)に示す型番JDT-22、JDT-37A、JDT-75、JDT-150で示される「エアコンプレッサ専用ドレン処理装置」の使用態様は、特許第3453709号(以下、「本件特許」という。)の請求項1及び2に記載された発明の技術的範囲に属し、同「エアコンプレッサ専用ドレン処理装置」の構成態様は、本件特許の請求項3、4及び5に記載された発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。 3 本件特許発明について 本件特許の請求項1?7に係る発明は、願書に添付された明細書(以下、「本件特許明細書」という。甲第1号証)の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるとおりのものであり、このうち、請求人が上記判定を求める請求項1?5に係る発明(以下「本件特許発明1?5」という。)は、次のとおりである。 なお、当審において、構成要件毎に分説し、符号A?Kを付し、それぞれを「構成要件A」などという。 【請求項1】 A 油水分離の処理前の汚染度と処理後の透明度を比較することを特徴とする B ドレン水の清浄度確認方法。 【請求項2】 C 前記汚染度と前記透明度は目視または光学的に比較することを特徴とする D 請求項1に記載のドレン水の清浄度確認方法。 【請求項3】 E 最上流近傍に処理前の汚染度を確認する汚染度確認手段(11a、51)と、 F 最下流近傍に処理後の透明度を確認する透明度確認手段(41)を配設したことを特徴とする G 油水分離装置。 【請求項4】 H 前記汚染度確認手段(11a、51)と前記透明度確認手段(41)は、目視または光学的に確認可能なように透明であることを特徴とする I 請求項3に記載の油水分離装置。 【請求項5】 J 前記汚染度確認手段(11a)は、ドレン水が油等の異物と水を分離する油分離槽(10)に流入した直後の位置に連通している透明管(11a)であることを特徴とする K 請求項3または請求項4に記載の油水分離装置。 4 イ号装置及びイ号方法について (1)請求人の提出した証拠方法 イ号説明書に加え、請求人の提出した証拠方法は、次のとおりである。 甲第1号証 特許第3453709号公報(本件特許公報) 甲第2号証 カタログ(イ号物件) 甲第3号証 取扱説明書(イ号物件) 甲第4号証の1 簡易設置マニュアル(イ号物件) 甲第4号証の2 同上 甲第4号証の3 同上 甲第4号証の4 同上 甲第5号証 webサイト(イ号物件) 甲第6号証 被請求人「回答書」 甲第7号証 一般刊行物 和田洋六著「よくわかる最新水処理技術の基本としくみ」 甲第8号証 一般刊行物 オルガノ(株)開発センター編「トコトンやさしい水処理の本」 (2)イ号説明書及び甲号証の記載内容 ア イ号説明書には、次の図1及び図2が記載されている。 (甲第3号証より掲載) (甲第5号証より掲載) ここで、図1は、甲第3号証の取扱説明書第4頁の記載に基づく「エアコンプレッサ用ドレン処理(清水化装置)装置」の側面図であり、図2は、甲第5号証のWebサイトの記載に基づく「エア・コンプレッサ専用ドレン水清水化装置」の型番JDT-22、JDT-37A、JDT-75、JDT-150の写真である。 イ イ号説明書の図1には、「エアコンプレッサ用ドレン処理(清水化装置)装置」が、「加圧槽」と、その下部に連結した「処理槽」とを有し、「加圧槽」は、「ドレン入口」と「液面レベルゲージ」を備え、「処理槽」は、「上側処理水出口」、「下側処理水出口」、及び、これらを連結する垂直管を備えることが記載されている。そして、このような構造は、図2に示された、型番JDT-22、JDT-37A、JDT-75、JDT-150の「エア・コンプレッサ専用ドレン水清水化装置」が備えていることが見て取れる。また、甲第2号証の「構造」(第2頁)には、「加圧槽」が「ドレン水とエアの分離」を行うこと、及び、「処理槽」が「吸着材エレメント、活性炭(特殊処理)で構成」され「乳化(エマルジョン化)した油を確実に捕捉し、吸着」することが記載され、さらに、甲第3号証の「●各部の説明(名称と働き)」(第4頁)には、「処理槽:特殊処理をした高性能吸着材でドレン水中の乳化した微細な油分を滞りなく吸着します。」、「加圧槽:ドレン水を押し出すための弱い圧力(エア圧、水圧)の誘導、発生用に設けられています。」、及び、「<16>(当審注:○囲み数字を示す。以下同様。)液面レベルゲージ……目詰まりが出てきた場合、液面上昇を事前に察知します。」と記載されている。これら記載から、「加圧槽」の「液面レベルゲージ」は、「加圧槽」の下部に連結した「処理槽」の吸着材の目詰まりによる液面上昇を確認するものといえる。 ウ イ号説明書の図1には、さらに、「ドレン入口」に「エアチューブ」が接続し、「上側処理水出口」に「排水用透明ホース」が接続することが記載されている。そして、甲第3号証の「●各部の説明(名称と働き)」(第4頁)に、「<7> 上側処理水出口……設置後約2ヶ月間使用します。」、及び、「<8> 下側処理水出口……設置後2ヶ月以降、寿命迄使用します。」と記載され、また、「●設置」(第5頁)に、「(注)設置後約2ヶ月後に上側処理水出口より下側処理水出口に差し替えて下さい。」と記載されていることから、「排水用透明ホース」は、「上側処理水出口」または「下側処理水出口」に接続されるものといえる。 エ 甲第3号証の「●ドレン処理水(清水)の点検」(第7頁)には、 「<1> 日常(1週間程度)点検(油分濃度の目視判定) 透明のビーカーにドレン処理水(清水)を採取し、水道水との間で透明度を目視で比較して下さい。 透明度にほぼ差が無ければ油分濃度(n-ヘキサン抽出物質)が基準値〔5mg/L(ppm)〕以下と判断して問題ありません。透明度に差があるようであればドレン処理水の油分濃度を測定し^(※)、基準値以下であることを確認してください。」と記載されているから、「エアコンプレッサ専用ドレン処理装置」のドレン処理水(清水)の点検は、ビーカーで採取して、水道水との間で透明度を目視で比較するものといえる。 オ 甲第5号証には、「エア・コンプレッサ専用 ドレン水清水化装置「ドレントーレ」は、エア・コンプレッサから出るドレン水を油と水に分離し清水化することにより、環境負荷低減に貢献します。」と記載されているから、「エアコンプレッサ専用ドレン処理装置」は、ドレン水を油と水に分離するドレン処理装置であるといえる。 (3)イ号物件の特定に係る請求人の主張 ア 請求人は、イ号説明書の図1及び図2から、イ号「エアコンプレッサ専用ドレン処理装置」の構成態様及び使用態様に関して、以下の特徴を有していることを主張している(イ号説明書第1頁)。 (ア)イ号「エアコンプレッサ専用ドレン処理装置」は、加圧槽と処理槽とから成り、油分解吸着槽または油分解槽及び油吸着槽として機能する。 (イ)加圧槽は、各機器より圧縮空気と共に流れ込むドレンを減圧及び貯留させることが可能な構成から成り、減圧しながらドレン水と空気とを分離するものであり、且つ、該ドレン水を内部空間へ一定水量貯蔵可能とすることでドレン水に含まれる油分のうち浮上油について製造可能となっている。 (ウ)処理槽は、ドレン水を油等の異物と水とに分離する油分離槽として機能する。 (エ)「エアチューブ」及び「液面(水位)レベルゲージ」は、透明管であって、ドレン処理前の油分が多く含有されたドレンを目視により確認可能となっている。 (オ)処理槽の「処理水出口」には「処理水排水用透明ホース」及び垂直透明管(当審注:上側処理水出口及び下側処理水出口を連結する垂直管を示しているといえる。)が連通され、ドレン処理後の油分の含有がほとんど無い状態の処理水を目視または光学的に確認可能となっている。 イ 請求人は、本件判定請求書において、上記ア(イ)、(エ)及び(オ)に関連して、以下の点を主張している。 (ア)甲第6号証第3頁の記載によれば、被請求人は、少なくとも「処理槽」の交換時期間際になると、「加圧槽」内部のドレン処理前の油分が多く含有されたドレンが、「液面(水位)レベルゲージ」に出現することを自白している。また、甲第3号証第4頁の「<15> 赤テープ・・・目詰まりのごく初期段階を示します。今後の動向に注意して下さい。」との記述を鑑みると、「液面(水位)レベルゲージ」の水位が略2/5程度に至っても「目詰まりのごく初期」程度のものであり、「処理槽」の継続使用に問題ないことが分かる。さらに、「液面(水位)レベルゲージ」である「透明塩ビパイプの上部迄液面が来た時」が処理槽の寿命である。(第4頁第12?19行) (イ)「エアチューブ」または「液面(水位)レベルゲージ」は、「加圧槽」内のドレン処理前の油分が多く含有されたドレンを目視または光学的に確認可能な透明管であって、「油水分離の処理前の汚染度」を目視または光学的に確認するための手段である。(第6頁第6?11行) (ウ)「処理水排水用透明ホース」または垂直透明管は、ドレン処理後の油分の含有がほとんど無い状態の処理水を目視または光学的に確認可能な透明管であって、「処理後の透明度」を目視または光学的に確認するための手段である。(第6頁第12?17行) ウ 請求人は、上記ア及びイの主張を踏まえて、イ号物件〔構成態様〕及び〔使用態様〕をそれぞれ次のとおりに認定している。 ・イ号物件〔構成態様〕 エアコンプレッサ用のドレン処理装置(油水分離装置)であって、 各機器より圧縮空気と共に流れ込むドレンを減圧および貯留させることが可能な構成から成る『加圧槽』と、油吸着材と活性炭が内部に積層されドレンを油等の異物と水とに分離する油分離槽として機能する『処理槽』と、から成り、 a1:『加圧槽』は、ドレン処理前の油分が多く含有されたドレンをそれぞれ目視または光学的に確認可能な透明管であり、『ドレン入口』へ連通する『エアチューブ』と、『液面(水位)レベルゲージ』と、が配設されて成り、 a2:『処理槽』は、『処理水出口』と連通しドレン処理後の油分の含有がほとんど無い状態の処理水をそれぞれ目視または光学的に確認可能な透明管である『処理水排水用透明ホース』及び垂直透明管が配設して成る b1:ドレン処理装置(油分分離装置)。 ・イ号物件〔使用態様〕 a:(「エアチューブ」または「液面(水位)レベルゲージ」によって)油水分離の処理前の汚染度(α)と(「処理水排水用透明ホース」または垂直透明管によって)処理後の透明度(β)を目視または光学的に比較する b:ドレンの清浄度確認方法。 エ 請求人の上記主張を検討する。 (ア)加圧槽の内部空間にドレン水を一定水量貯蔵可能である旨を主張している(上記ア(イ)参照)が、加圧槽の内部空間にドレン水を一定水量貯蔵可能であることは、イ号に係る甲第2号証?甲第6号証のいずれにも記載されていないし、そもそも、加圧槽は、上記(2)イに示したとおり、ドレン水とエアの分離を行うものであって、ドレン水と浮上油との分離を行うものでないから、その内部空間にドレン水を一定水量貯蔵するものといえない。 (イ)交換時期間際では液面レベルゲージにドレンが出現し、液面レベルゲージの赤テープの位置(略2/5程度)に至っても、目詰まりのごく初期程度のものであり、処理槽の継続使用に問題なく、液面レベルゲージの透明塩ビパイプの上部に液面が来た時が処理槽の寿命である旨を主張している(上記イ(ア)参照)が、甲第2号証の第4頁の表に、「寿命の判断」は「加圧槽のレベルゲージが赤テープに達した時」と記載されているように、レベルゲージの赤テープを超えて処理槽を継続使用するものといえない。 (ウ)液面レベルゲージは、ドレン処理前の油分が多く含有されたドレンを目視または光学的に確認可能であり、油水分離の処理前の汚染度を確認する手段である旨を主張している(上記ア(エ)、イ(イ)参照)が、液面レベルゲージは、上記(2)イで検討したとおり、処理槽の目詰まりが発生した際の液面上昇を確認するためのものであるし、上記(ア)及び(イ)の検討を踏まえると、ドレン処理装置での油水分離を定常的に実施している場合には、液面レベルゲージに達するような液面上昇はなく、液面レベルゲージ内にドレン水が存在しているといえないから、液面レベルゲージが、ドレン処理前の油分が多く含有されたドレンを目視または光学的に確認するものであるとも、油水分離の処理前の汚染度を確認するものであるともいえない。 (エ)エアチューブが、ドレン処理前の油分が多く含有されたドレンを目視または光学的に確認可能な透明管であって、油水分離の処理前の汚染度を確認するための手段である旨を主張している(上記ア(エ)、イ(イ)参照)が、エアチューブは、ドレン水をドレン処理装置に導入するためのものであるし、エアチューブによってドレン水の汚染度を確認することは、イ号に係る甲第2号証?甲第6号証のいずれにも記載されていないし、さらに、エアチューブ内部のドレンを目視できることが、ドレンの汚染度を確認することであるとの技術常識も存在しないから、エアチューブが、油水分離の処理前の汚染度を確認するものであるといえない。 (オ)処理水排水用透明ホースまたは垂直透明管が、ドレン処理後の油分の含有がほとんど無い状態の処理水を目視または光学的に確認可能な透明管であって、油水分離の処理後の透明度を目視または光学的に確認するための手段である旨を主張している(上記ア(オ)、イ(ウ)参照)が、排水用透明ホース、または、上側処理水出口及び下側処理水出口を連結する垂直管は、処理水をドレン処理装置から排出するためのものであるし、排水用透明ホースまたは垂直管によって処理水の透明度を確認することは、イ号に係る甲第2号証?甲第6号証のいずれにも記載されていないし、さらに、排水用透明ホースまたは垂直管の内部の処理水を目視できることが、処理水の透明度を確認することであるとの技術常識も存在しない。しかも、上記(2)エに示したとおり、ドレン処理水(清水)の点検は、ビーカーで採取して、水道水との間で透明度を目視で比較するから、処理水排水用透明ホース、または、上側処理水出口及び下側処理水出口を連結する垂直管が、油水分離の処理後の透明度を確認するものであるといえない。 (カ)上記(ウ)?(オ)で検討したとおりであるから、液面レベルゲージまたはエアチューブ、及び、処理水排水用透明ホースまたは垂直透明管を用いたドレン水の清浄度の確認を行っているといえない。 (キ)以上のとおり、請求人の主張を採用することはできないから、イ号については、当審にて新たに認定する。 (4)当審によるイ号装置及びイ号方法の認定 上記(2)の記載から、型番JDT-22、JDT-37A、JDT-75、JDT-150で示される「エアコンプレッサ専用ドレン処理装置」の構成態様(以下「イ号装置」という。)及び使用態様(以下、「イ号方法」という。)は、それぞれ以下のとおりのものであると認める。 なお、a、b、e,f,gは、イ号装置及びイ号方法を本件特許発明1及び3に対応する様に分説し、各分説に付した符号であり、それぞれ「構成a」などという。 ・イ号装置 e 加圧槽に、その下部に連結した処理槽の目詰まりによる液面上昇を確認する液面レベルゲージと、ドレン入口とが配設され、ドレン入口に、ドレン水を導入するエアチューブが接続され、 f 処理槽に、上側処理水出口、下側処理水出口、及び、これらを連結する垂直管が配設され、上側処理水出口または下側処理水出口に、排水用透明ホースが接続している g ドレン水を油と水に分離するエアコンプレッサ用ドレン処理装置。 ・イ号方法 a 加圧槽に、その下部に連結した処理槽の目詰まりによる液面上昇を確認する液面レベルゲージと、ドレン入口が配設され、処理槽に、上側処理水出口、下側処理水出口、及び、これらを連結する垂直管が配設されたエアコンプレッサ用ドレン処理装置を用いて、ドレン入口に接続したエアチューブからドレン水を導入し、上側処理水出口または下側処理水出口に接続した排水用透明ホースから処理水を排出し、処理水をビーカーで採取して、水道水との間で透明度を目視で比較する b ドレン処理水(清水)の点検方法。 5 対比、判断 (1)本件特許発明1について ア イ号方法の構成が本件特許発明1の各構成要件を充足するかを検討する。 (ア)構成要件Aについて 本件特許発明1の構成要件Aは、「油水分離の処理前の汚染度と処理後の透明度を比較することを特徴とする」ものであり、油水分離の処理前のドレン水の汚染度を確認するとともに、油水分離の処理後の処理水の透明度を確認した上で、その汚染度と透明度を比較するものといえる。 一方、イ号方法の構成aは、「加圧槽に、その下部に連結した処理槽の目詰まりによる液面上昇を確認する液面レベルゲージと、ドレン入口が配設され、処理槽に、上側処理水出口、下側処理水出口、及び、これらを連結する垂直管が配設されたエアコンプレッサ用ドレン処理装置を用いて、ドレン入口に接続したエアチューブからドレン水を導入し、上側処理水出口または下側処理水出口に接続した排水用透明ホースから処理水を排出し、処理水をビーカーで採取して、水道水との間で透明度を目視で比較する」ものである。 そして、イ号方法の構成aの上側処理水出口及び下側処理水出口を連結する「垂直管」、及び、「排水用透明ホース」は、処理水を排水するものであり、油水分離の処理後のドレン水の透明度を確認するものといえないが、「処理水をビーカーで採取して、水道水との間で透明度を目視で比較する」ことは、油水分離の処理後のドレン水の透明度を確認するものである。 しかしながら、イ号方法の構成aの「液面レベルゲージ」は、「処理槽の目詰まりによる液面上昇を確認する」ためのものであり、「エアチューブ」は、「ドレン水を導入する」ためのものであり、両者とも、油水分離の処理前のドレン水の汚染度を確認するものといえない。 また、イ号方法には、その他に、油水分離の処理前の汚染度を確認することに該当する構成は見当たらない。 したがって、イ号方法は、油水分離の処理前のドレン水の汚染度を確認するものではなく、また、透明度を汚染度と比較するものでもないから、本件特許発明1の構成要件Aを充足しない。 (イ)構成要件Bについて イ号方法の構成bの「ドレン処理水(清水)の点検方法」は、処理されたドレン水の清浄度を確認するものであるから、イ号方法の構成bは、本件特許発明1の構成要件Bを充足する。 イ 以上のとおり、イ号方法は、少なくとも構成要件Aを充足しないから、本件特許発明1の技術的範囲に属しない。 (2)本件特許発明2について イ号方法は、本件特許発明1の技術的範囲に属しないのであるから、本件特許発明1に対して他の構成要件を付加したものである本件特許発明2の技術的範囲にも属しないことは明らかである。 (3)本件特許発明3について ア イ号装置の構成が本件特許発明3の各構成要件を充足するかを検討する。 (ア)構成要件Eについて 本件特許発明3の構成要件Eは、「最上流近傍に処理前の汚染度を確認する汚染度確認手段」を有することであり、油水分離装置の最上流近傍に処理前のドレン水の汚染度を確認する汚染度確認手段を配設したことといえる。 一方、イ号装置の構成eは、「加圧槽に、その下部に連結した処理槽の目詰まりによる液面上昇を確認する液面レベルゲージと、ドレン入口とが配設され、ドレン入口に、ドレン水を導入するエアチューブが接続され」ることである。 そして、イ号装置の構成eの「加圧槽」は、加圧槽とその下部に連結した処理槽からなるドレン処理装置の最上流近傍に位置しているといえるから、構成eの「液面レベルゲージ」及び「エアチューブ」は、ドレン処理装置の最上流近傍に配設されているといえる。 しかしながら、「液面レベルゲージ」は、「処理槽の目詰まりによる液面上昇を確認する」ためのものであり、「エアチューブ」は、「ドレン水を導入する」ためのものであり、両者とも、処理前のドレン水の汚染度を確認するものでない。 また、イ号装置には、その他に、処理前のドレン水の汚染度を確認する汚染度確認手段に該当する構成は見当たらない。 したがって、イ号装置は、本件特許発明3の構成要件Eを充足しない。 (イ)構成要件Fについて 本件特許発明3の構成要件Fは、「最下流近傍に処理後の透明度を確認する透明度確認手段を配設したことを特徴とする」ことであり、油水分離装置の最下流近傍に処理後のドレン水の透明度を確認する透明度確認手段を配設したことといえる。 一方、イ号装置の構成fは、「処理槽に、上側処理水出口、下側処理水出口、及び、これらを連結する垂直管が配設され、上側処理水出口または下側処理水出口に、排水用透明ホースが接続している」ことである。 そして、イ号装置の構成fの処理槽に配設された「上側処理水出口」及び「下側処理水出口」は、ドレン処理装置の最下流近傍に位置しているといえるから、構成fの上側処理水出口及び下側処理水出口を連結する「垂直管」及び「排水用透明ホース」は、ドレン処理装置の最下流近傍に配設されているといえる。 しかしながら、「垂直管」及び「排水用透明ホース」は、処理水を排水するものであり、両者とも、油水分離の処理後のドレン水の透明度を確認するものでない。 また、イ号装置には、その他に、処理後のドレン水の透明度を確認する透明度確認手段に該当する構成は見当たらない。 したがって、イ号装置は、本件特許発明3の構成要件Fを充足しない。 (ウ)構成要件Gについて イ号装置の構成gの「ドレン水を油と水に分離するエアコンプレッサ用ドレン処理装置」は、油水分離装置といえるから、イ号装置の構成gは、本件特許発明3の構成要件Gを充足する。 イ 以上のとおり、イ号装置は、少なくとも構成要件E及びFを充足しないから、本件特許発明3の技術的範囲に属しない。 (4)本件特許発明4及び5について イ号装置は、本件特許発明3の技術的範囲に属しないのであるから、イ号装置が、本件特許発明3に対して他の構成要件を付加したものである本件特許発明4及び5の技術的範囲にも属しないことは明らかである。 6 むすび 以上のとおりであるから、イ号方法及びイ号装置は、本件特許発明1?5の技術的範囲に属しない。 よって、結論のとおり判定する。 |
判定日 | 2017-09-28 |
出願番号 | 特願2001-40895(P2001-40895) |
審決分類 |
P
1
2・
1-
ZB
(B01D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 豊永 茂弘 |
特許庁審判長 |
新居田 知生 |
特許庁審判官 |
大橋 賢一 宮澤 尚之 |
登録日 | 2003-07-25 |
登録番号 | 特許第3453709号(P3453709) |
発明の名称 | ドレン水の清浄度確認方法および油水分離装置 |
代理人 | 特許業務法人あーく特許事務所 |
代理人 | 福田 信雄 |