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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01N
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01N
管理番号 1333674
審判番号 不服2016-18530  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-09 
確定日 2017-11-07 
事件の表示 特願2012-163222「検査装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 3日出願公開、特開2014- 21084、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年7月24日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成27年 1月28日 審査請求
平成28年 2月19日 拒絶理由通知
平成28年 3月23日 意見書・手続補正書
平成28年 9月 7日 拒絶査定
平成28年12月 9日 審判請求・手続補正書
平成29年 7月 6日 拒絶理由通知(当審)
平成29年 9月11日 意見書・手続補正書

第2 本願発明
本願の請求項1ないし12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明12」という。)は、平成29年9月11日付け手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載される事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
基板を回転させる回転部と、
少なくとも基板を覆うチャンバと、
前記基板に光を照射する照明光学系と、
前記基板からの光を検出する検出光学系と、
前記基板の上方より外周部へ供給する第1及び第2の供給部と、
供給された前記媒体を前記基板の外側で排気する第1及び第2の排気部と、を有し、
前記第1及び第2の供給部は、該第1及び第2の供給部のそれぞれから供給される媒体が、それぞれ螺旋状に下降する独立した層流となり、且つ基板上方から見たときに前記基板の回転方向に向かって前記媒体を供給するように構成され、
前記第1の排気部は、前記第1の供給部から供給された媒体によって形成される層流の到達位置に、前記第2の排気部は、前記第2の供給部から供給された媒体によって形成される層流の到達位置に設置され、
前記媒体の供給により前記チャンバの圧力は前記チャンバの下部に向かうに従い低くなり、該圧力の最小値は前記チャンバ外部の圧力より高くなることを特徴とする光学検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学検査装置において、
前記チャンバの上面には開口が形成されており、
前記照明光学系は前記開口を経由して前記基板に前記光を照射し、
前記検出光学系は前記開口を経由した前記基板からの光を検出することを特徴とする光学検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学検査装置において、
前記チャンバの高さは前記光を前記基板にブリュースター角で照明できることが可能な高さであることを特徴とする光学検査装置。
【請求項4】
請求項2に記載の光学検査装置において、
前記第1及び第2の供給部は、前記上面において、前記開口より外側に配置されることを特徴とする光学検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学検査装置において、
前記第1及び第2の供給部は、前記上面から所定の角度を持って前記媒体を供給することを特徴とする光学検査装置。
【請求項6】
請求項4に記載の光学検査装置において、
前記第1及び第2の排気部は、前記基板が配置される場所よりも外側に配置されることを特徴とする光学検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光学検査装置において、
前記第1及び第2の排気部は、前記基板が配置される面に対して所定の角度を持って前記媒体を排気することを特徴とする光学検査装置。
【請求項8】
請求項2に記載の光学検査装置において、
前記第1及び第2の供給部は、前記チャンバの側面に配置されることを特徴とする光学検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光学検査装置において、
前記第1及び第2の排気部は、前記チャンバの側面、かつ前記第1及び第2の供給部より前記基板に近い位置に配置されることを特徴とする光学検査装置。
【請求項10】
請求項1に記載の光学検査装置において、
前記供給される媒体の向きは前記基板の回転と同じであることを特徴とする光学検査装置。
【請求項11】
請求項1に記載の光学検査装置において、
前記チャンバの内面には、前記媒体の摩擦を低減する凹凸があることを特徴とする光学検査装置。
【請求項12】
請求項1に記載の光学検査装置において、
前記第1及び第2の供給部の内部にガイドを有し、
前記第1及び第2の排気部の内部に凹凸を有することを特徴とする光学検査装置。」

第3 原査定について
1 原査定の概要
原査定の概要は、本願の請求項1ないし22(当審注.平成28年 3月23日付け手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし22)に係る発明は、下記引用文献1ないし6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

原査定における引用文献一覧
1.特開2009-16595号公報
2.特開2009-246163号公報
3.特開2000-131028号公報
4.特開2005-136249号公報
5.特開2008-296069号公報
6.特開2008-263048号公報

2 原査定についての当審の判断
(1)原審引用文献及び原審引用発明
ア 原審引用文献1の記載事項及び原審引用発明1
(ア)原審引用文献1の記載事項
原査定において「引用文献1」として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2009-16595号公報(以下「原審引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、クリーン環境で使用される基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に半導体ウエハや液晶基板は、シリコンやガラスなどからなる基板にフォト・リソグラフィ・プロセスを行うことにより製造される。このフォト・リソグラフィ・プロセスにおいて、基板表面に塗布されたレジストに、膜ムラあるいは塵埃の付着などがあると、エッチング後のパターンの線幅不良やパターン内のピンホールなどの欠陥が生じる原因となる。
そのため、エッチング前の基板の製造工程では、このような欠陥の有無を調べる全数検査が行われる。この検査は作業者が目視で観察する方法が多く行われているが、作業者による判断力の差やクリーンルームにおいて作業者の体から出る塵埃の影響が無視できないことから、自動欠陥分類機能等を有する自動基板検査装置を用いることが提案されている。
【0003】
ここで、従来の基板検査装置には、基板を検査する顕微鏡をケース内に収容すると共に、ケース内にクリーンエアのダウンフローを形成することで基板に塵埃などのパーティクルが堆積しないように工夫したものがある(例えば、特許文献1参照)。この種の基板検査装置では、クリーンエアをケースの天井面に形成された孔から下向きに吹き出させ、ケースの底部に形成された孔からケース外に排出させる。
また、基板検査装置には、ケース内を仕切って、基板の欠陥を調べる検出装置が収容される第1領域と、基板を水平移動させるステージが配置される第2領域とを区分けし、第2領域の圧力を第1領域より高くなるように制御したものもある(例えば、特許文献2参照)。第2領域では、誘導パネルによってクリーンエアの流れが基板と略平行になるように整流されている。第1領域と第2領域は観察用の小さい孔で連通されているが、第2領域は第1領域より圧力が高いので、検査装置側の第1領域でパーティクルが発生しても基板側の第2領域に進入することはない。
【特許文献1】実開平7-24437号公報
【特許文献2】特開2005-140778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板に対して検出装置を相対的に移動させたい場合、特許文献1のような基板検査装置では、クリーンエアの流れが乱れてしまったり、流れが遮られてしまったりすることがあった。この場合、基板へのパーティクルの付着を防止することが難しくなる。
また、特許文献2のような基板検査装置では、孔を小さくしないと第1領域と第2領域の間に圧力差をつくれないので、基板に対して検出装置を移動できる範囲が小さかった。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、基板に対して検出ユニットを相対的に移動する構成において、検査位置近傍の清浄度を高く維持できるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決する本発明は、清浄流体供給装置が形成する清浄流体の気流の中に基板の検査を行う検査部が配置される基板検査装置において、前記検査部は、基板を保持する基板ホルダと、前記基板ホルダに保持された基板に対して移動可能に取り付けられ、検査位置に運ばれてきた基板の表面像を取得可能に構成された検出ユニットとを有し、検査位置に向けて清浄流体を案内する可動式の層流形成装置が設けられていることを特徴とする基板検査装置とした。
この基板検査装置では、検出ユニットの位置によって検査位置において清浄流体の気流が遮られ、又は乱されるときに、層流形成装置が気流を検査装置に向けて案内する。これによって、検査位置において層流が形成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、検査位置の近傍に塵埃が浮遊などしている場合でも、層流形成装置によって検査位置に向かって層流が形成されることで、検査位置の清浄度を高く保つことができる。基板への塵埃等の付着が防止されるので、基板の検査を精度良く行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。なお、各実施の形態で同じ構成要素には同一の符号を付してある。また、重複する説明は省略する。
【0008】
図1及び図2に示すように、基板検査装置1は、床面に設置されるケース2を有し、ケース2内に設置された架台3に基板表面の画像を取得する検査部4が搭載されたマクロ検査装置である。この基板検査装置1は、ケース2の天井部2Aに設けられた清浄流体供給装置5から清浄空気を吹き出させてケース2内の清浄度をケース2外より高めるような、いわゆるミニエンバイロンメント構造になっている。ケース2外には、後述する各部の制御を行うための制御装置6を備える。制御装置6には、検査結果を表示するモニタや作業者の操作を受け付ける操作部が設けられている。
【0009】
清浄流体供給装置5は、例えば、基板検査装置1の周囲に存在する外気を取り込んで天井部2Aに形成された複数の孔からケース2内に高清浄部内に噴き出すファンと、外気中の塵埃などを除去するフィルタとを有するフィルタファンユニットになっている。なお、ケース2の底部2Bには、不図示の開口が形成されており、清浄流体供給装置5から吹き出された清浄空気をケース2外に排出できる。このため、ケース2内には、清浄空気によるダウンフローが形成される。
【0010】
検査部4は、基板Wを載置する基板ホルダ11と、基板ホルダ11を1軸方向に搬送する搬送装置12を備え、搬送方向の一端から他端に至るまでの搬送経路中に可動式の検出ユニット13が配置されている。
搬送装置12は、架台3上に固定されたステージベース21と、ステージベース21上に搭載され、1軸方向に往復移動可能なスキャンステージ22とを有する。ステージベース21は、搬送方向である1軸方向に延設されており、その上面にガイドレール23が敷設されている。スキャンステージ22は、このガイドレール23に沿って移動可能に取り付けられている。スキャンステージ22を駆動させる機構としては、例えば、ボールネジ機構や、リニアモータなどがあげられる。
【0011】
基板ホルダ11は、鉛直方向に延びる支柱25がスキャンステージ22に回転自在に支持されており、支柱25の上端にホルダ本体26が固定されている。つまり、基板ホルダ11は回転ステージになっている。ホルダ本体26は、基板Wの外径より小さい径の円板形を有し、上面に基板を吸着するために使用される不図示の吸着部が多数配設されている。支柱25は、スキャンステージ22に内蔵させたモータで回転駆動させることができる。
【0012】
ここで、基板Wを搬送するときの搬送方向の一端側は、不図示のロボットアームなどの基板搬送手段との間で基板Wの受け渡しを行う基板受け渡し位置P1になっている。基板受け渡し位置P1には、基板ホルダ11との間で基板Wを移載するためのリフター31が設置されている。
図1から図3に示すように、リフター31は、基板ホルダ11を避けるように開口が形成されたリフターベース32をモータ33で鉛直方向に昇降可能に支持すると共に、ガイド34が4つ固定された構成を有する。各ガイド34は、基板Wの周縁部の下側を支持する支持部35,36が上下に2つずつ形成されている。各ガイド34の上側の第1支持部35同士と、下側の第2支持部36同士のそれぞれは、基板Wを1枚ずつ支持することができる。各支持部35,36は、基板Wの位置ずれを防ぐために中央に向かって下がるように傾斜させたり、基板Wの外径の略併せて段差を設けたりしてある。
また、基板受け渡し位置P1には、基板Wのアライメント装置として、ノッチセンサ38が設けられている。ノッチセンサ38は、基板Wに設けられたノッチを光学的に検出する装置である。なお、ノッチセンサ38は、この基板検査装置1に必須の構成要素ではない。また、ノッチセンサ38の代わりに、基板Wのアライメントに使用可能な他のセンサを設けても良い。
【0013】
検出ユニット13は、一対の支持部41にアーム42を介して揺動自在に支持されている。一対の支持部41は、搬送経路を挟むようにステージベース21に固定されており、鉛直方向に平行に延びている。各支持部41の上端部には、回転軸が揺動自在に支持されており、この回動軸にアーム42が取り付けられている。アーム42は、回動軸が取り付けられた一端部から細長に延び、他端部に検出ユニット13が固定されている。支持部41には、回動軸を駆動させるための揺動部43が取り付けられている。揺動部43には、例えば、回動軸に減速機を介して接続されるモータが内蔵されている。このため、揺動部43を駆動させると、検出ユニット13を回動軸を中心に揺動させることができる。回動軸の軸線、つまり検出ユニット13の揺動中心は、後述する基板Wの検査位置P2に一致させてある。
【0014】
図3に示すように、検出ユニット13は、回折用光学系51と、受光光学系52とを備える。回折用光学系51は、回折用照明53を有する。回折用照明53としては、例えば、ハロゲンランプやメタルハライドランプなどを1つ又は複数個並べてもよいし、その光を光ファイバなどにより伝送する構成も採用できる。回折用照明53から放射される照明光の光路上には、シリンドリカルレンズ54と折り返しミラー55が順番に設置されている。シリンドリカルレンズ54は、基板Wの搬送方向と直交する方向に所定幅の帯状となる均一な照明光を形成する光学素子である。折り返しミラー55は、光路を90°折り曲げるように傾斜配置されており、折り曲げられた光路上には、ハーフミラー56と、フォーカスレンズ57とが配設されており、検査位置P2にある基板Wの表面に照明光を照射可能になっている。
なお、ハーフミラー56は、平行平面板、プリズムなどのその他の光分岐手段でも良い。フォーカスレンズ57は、不図示のモータによって図3に矢印で示すように光路方向に移動可能になっている。また、ラインセンサカメラ61を光軸方向に前後させる構成にしても良い。
【0015】
受光光学系52は、回折用光学系51と共用するフォーカスレンズ57及びハーフミラー56を有する。ハーフミラー56は、光路に対して45°傾斜させてあり、フォーカスレンズ57を通ってハーフミラー56に入射する光の一部を90°折り返して反射するようになっている。折り返された光路上には、偏光板58と、フィルタ59と、レンズ60と、撮像装置であるラインセンサカメラ61が順番に配置されている。ラインセンサカメラ61は、複数の撮像素子がレンズ60の焦点位置で、かつ基板Wの搬送方向と直交する方向に配列されている。なお、フィルタ59は、観察のために不要な波長成分を制限するための設けられており、例えば、複数のフィルタ59を光路内に適宜切り替えて配置するターレットに保持されている。ターレットを不図示のモータで回転させると光路上に配置されるフィルタ59を切り替えることができる。
【0016】
さらに、この検査部4には、回折光による観察の他に、正反射観察、暗視野観察が可能になっている。このため、正反射観察用のライン照明62と、暗視野用の照明63とが一対の支持部41(図1参照)に支持されている。また、図2に示すように、検査位置P2の周辺の風圧や風量を検出するセンサ64が設けられている。センサ64は、パーティクルカウンタ用の集塵のノズルであっても良い。センサ64で検査位置近傍のクリーンエアの圧力状態や、塵埃などのパーティクルの発生状態をモニタリングすることで検査位置P2の清浄度を知ることができる。これらセンサ64及び照明62,63は、基板Wの搬送時及び検出ユニット13の揺動時に干渉しない位置に配置されている。
【0017】
ここで、ケース2内の高清浄領域には、層流形成装置71,72が設置されている。第1の層流形成装置71は、基板Wの搬送方向において、検査位置P2より一端側(つまり基板受け渡し位置P1側)に配置されている。第2の層流形成装置72は、基板Wの搬送方向において、検査位置P2より他端側に配置されている。これら層流形成装置71,72は、搬送方向で検査位置P2を挟んで略対称な位置に配置されている。しかしながら、層流形成装置71,72の配置は対称に限定されない。
【0018】
各層流形成装置71,72は、架台3に固定された一対のフレーム73に回動自在に支持された回動軸74と、回動軸74に固定された羽板(第1、第2の板状部材)75とを有する。羽板75は、搬送方向に直交する方向の幅が、スキャンステージ22の幅及び基板Wの幅よりも十分に大きく、回動軸74から延びる羽板75の長さは、回動軸74を基点に鉛直上向きに立たせたときでも天井部2A及び清浄流体供給装置5に当たらず、かつ回動軸74を基点に鉛直下向きに下げたときでも基板Wに干渉しない長さである。各層流形成装置71,72の羽板75の向きは、フレーム73に固定されたモータ76で制御できる。モータ76は、層流形成装置71,72ごとに設けられており、各層流形成装置71,72の羽板75の向きを独立して制御可能になっている。なお、フレーム73を用いずに羽板75をケース2に回動自在に支持させても良い。
【0019】
次に、この基板検査装置1の動作について説明する。
基板検査を実施する前に予め清浄流体供給装置5を作動させておく。ケース2内にパーティクルが浮遊していた場合には、清浄空気のダウンフローによってパーティクルがケース2の底部2Bからケース2外に排出され、ケース2内の清浄度が高められる。
【0020】
初期状態では、図1に示すように、検出ユニット13を略水平に配置しておく。このとき、第1の層流形成装置71の第1の板状部材である羽板75は、下向きで、鉛直方向から支持部41、つまり検査位置P2に向けて傾斜させられる。これによって、第1の層流形成装置71の近傍を流れる清浄空気は、第1の層流形成装置71の羽板75にガイドされて、検査位置P2に向かって流れる。検査ユニット13の存在によってフローが滞りがちな検査位置P2に清浄空気のフローが形成される。この領域にパーティクルが浮遊していた場合には、このフローによって排出されるので、清浄度が高く保たれる。一方、第2の層流形成装置72の第2の板状部材である羽板75は、略鉛直上向きになっており、ダウンフローに影響をほとんど与えていない。センサ64で検査位置P2付近の清浄度を測定し、予め設定されている清浄度に達していたら、制御装置6が基板Wの搬入を許可する。
【0021】
基板Wは、不図示の基板搬送手段で基板受け渡し位置P1に搬入される。基板検査装置1は、制御装置6の指令によって予め基板ホルダ11を基板受け渡し位置P1に待機させてある。さらに、基板Wが搬入される前に、リフター31をモータ駆動よって上昇させ、第1支持部35をホルダ本体26より上方で、かつ基板搬送手段の挿入位置の下方まで移動させる。リフター31を移動させたら、基板Wを位置決めして保持した基板搬送手段を基板ホルダ11の上方まで移動させる。基板搬送手段における基板Wの保持を解除させてから、基板搬送手段を下降させて第一支持部35に基板Wを載置させる。基板Wを載置させて、さらに所定量の隙間ができたところで基板搬送手段の下降を止め、後退動作に移る。第1支持部35がホルダ本体26の高さを越えて下降すると、基板Wが第1支持部35から基板ホルダ11に受け渡される。ホルダ本体26の吸着部で基板Wを吸着すると、基板Wの移載が完了する。基板ホルダWを図3の矢印に示すように支柱25回りに回転させ、基板Wのノッチをノッチセンサ38に合わせる。
【0022】
このようにして基板Wを位置決めして保持したら、スキャンステージ22を駆動させ、基板Wを搬送し、検査位置P2で基板Wの外観検査を実施する。ここで、この基板検査装置1では、正反射光、回折光、暗視野、の3つの検査モードが選択可能になる。各モードの選択は、制御装置6に予め設定された順番や組み合わせで実施される。また、制御装置6に設けた操作部で選択可能にしても良い。
正反射光モードでは、図3に示すように、検出ユニット13を傾斜させ、正反射用のライン照明62の照明光が検査位置P2にある基板Wに入射する角度と等しい反射角度に受光光学系52の光軸が一致するように設定される。
回折光モードでは、検出ユニット13内の回折用照明53を使用する。何次の回折光により検査するかに応じて、検出ユニット13の傾斜角度を変更し、その回折光が最適に検出できるようにする。
暗視野モードの場合は、暗視野用の照明63を使用する。回折光を自動検出する工程と同様にして、正反射光も回折光も検出しない角度を自動検出して検出ユニット13の角度を設定する。
そして、これら検査モードに応じて照明角度および照明位置調整が終了すると、使用する照明53,62,63の光量調整が自動的に行われ、検査が開始される。
【0023】
例えば、正反射光モードが選択されたときは、図4に示すように検出ユニット13が基板Wの上方に被さるように傾斜させられる。このとき、第1の層流形成装置71は、羽板75が回動して略鉛直上向きの位置に配置され、ダウンフローに影響をほとんど与えていないようになる。第2の層流形成装置72は、羽板75が下向きで、鉛直方向から支持部41、つまり検査位置P2に向けて傾斜させられる。これによって、第2の層流形成装置72の近傍を流れる清浄空気は、第2の層流形成装置72の羽板75にガイドされて、検査位置P2に向かって流れる。検査ユニット13の存在によってフローが滞りがちな検査位置P2に清浄空気のフローが形成され、これの領域の清浄度が高く保たれる。検査位置の清浄度は、センサ64でモニタされる。予め設定されている清浄度に相当する圧力や風量、パーティクル数に達しているか制御装置6が判定する。所定時間経過しても予定の清浄度に到達しないときはエラー通知を行って検査を停止させる。予定の清浄度を満たしていたら、検査の開始が許可される。
【0024】
このようにして第2の層流形成装置72で清浄度が確保されたら、検査が開始される。正反射用のライン照明62から出射されたライン状の照明光は、検査位置P2にある基板Wの表面で反射し、その反射光が検出ユニット13に導入され、フォーカスレンズ57を通ってハーフミラー56に入射する。ハーフミラー56で折り返された反射光は、偏光板58、フィルタ59を通ってからレンズ60で集光され、ラインセンサカメラ61の撮像素子に入射する。
制御装置6は、ラインセンサカメラ61から出力される信号を処理して、基板表面の画像を作成する。画像は、搬送方向に直交するライン状の画像になる。このような画像をスキャンステージ22を移動させながら取得することで、基板1枚分の表面画像が得られる。得られた画像を使って、検査者が目視で欠陥の有無を確認したり、予め作成してある正常な表面画像とのパターンマッチングを行って自動的に欠陥を抽出したりする。
【0025】
また、回折光モードや暗視野モードを選択したときは、制御装置6が検出ユニット13の傾斜角度を適宜変化させ、いずれかの照明53,62,63の光を検査位置P2に照射させ、ラインセンサカメラ61で受光した光から基板Wの表面画像を作成する。この画像を使って前記と同様に欠陥が抽出される。例えば、回折光モードでは、検出ユニット13内の回折用照明53から出射した光がシリンドリカルレンズ54で帯状の照明光に整形される。折り返しミラー55で折り返され、ハーフミラー56を透過し、フォーカスレンズ57で集光されつつ、検査位置P2にある基板Wの表面に照射される。検査位置P2における回折光が受光光学系52からラインセンサカメラ61に入射する。
【0026】
このようにして基板表面のマクロ検査をしているとき、特に回折光モードや暗視野モードでマクロ検査を実施しているときに、図1に示すように、検出ユニット13が略水平な姿勢まで移動することがある。このとき、制御装置6が検出ユニット13に干渉しないように第2の層流形成装置72を回動させる指令を出力すると共に、第1の層流形成装置71の羽板75を検査位置P2に向けるように回動させる指令を出力する。前記したように第1の層流形成装置71に案内されたクリーンエアで検査位置の清浄度が保持される。
【0027】
第1、第2の層流形成装置71,72の位置は、検出ユニット13の傾斜角度に応じて、一方の層流形成装置71,72の羽板75がクリーンエアを検査位置に案内する向きに配置され、他方の層流形成装置71,72の羽板75が鉛直上向きに退避するようになっている。どちらの層流形成装置71,72で検査位置にクリーンエアを案内するかは、検出ユニット13の傾斜角度に対応付けて予め制御装置6に登録されている。制御装置6は、揺動部43のモータの回転量から検出ユニット13の傾斜角度を検出し、傾斜角度が予め登録されている切り替え角度を超えたら、2つの層流形成装置71,72のモータ76に指令信号を出力する。切り替え角度としては、例えば、検出ユニット13が図1に示す水平姿勢(=0°)から20°に傾斜するまでの間で、2つの層流形成装置71,72で検査位置P2に効率よく送気ができるような角度が予め選択される。
【0028】
なお、クリーンエアを検査位置P2に案内するときの層流形成装置71,72の羽板75の角度は、検査位置P2を通る鉛直方向(ダウンフローに略平行な方向)の仮想線と層流形成装置71,72の羽板75のなす角度が0°より大きく45°以下であることが好ましい。この角度が大きくなりすぎると、クリーンエアの流れを変化させる角度が大きくなりすぎて乱流が発生したり、かえってクリーンエアが供給され難い場所が発生したりするためである。
【0029】
図5に示すように、基板Wの本体側の端部まで検査位置P2に移動させ、必要な領域の表面画像を取得したら、検査済みの基板Wを基板受け渡し位置P1に戻し、次に検査する基板に交換する。基板Wの検査を行っている間に、リフター31の第1支持部35には次に検査を行う新しい基板W1を搭載させておく。検査済みの基板Wは、第1、第2支持部35,36の間に挿入される。基板ホルダ11の吸着保持を解除してからリフター31をさらに上昇させると、第2支持部36の高さが基板ホルダ11を越えたときに基板Wが基板ホルダ11から第2支持部36に受け渡される。このようにして第2支持部36に受け渡された検査済みの基板Wの下方に、基板搬出手段を挿入し、第2支持部36から基板搬出手段に検査済みの基板Wを受け渡す。基板搬出手段が検査済みの基板Wを搬出したら、リフター31を下げる。先に第1支持部35に保持させておいた新しい基板W1も下がって、第2支持部36から基板ホルダ11に基板W1が受け渡される。この基板W1についても前記と同様にしてマクロ検査を行う。以降は、マクロ検査が必要な基板がなくなるまで、この動作を繰り返す。
【0030】
この実施の形態は、搬送方向に検査位置P2(又は検出ユニット13)を挟むように一対の層流形成装置71,72を設け、検出ユニット13の位置に応じていずれか一方の層流形成装置71,72の羽板75を所定の傾斜角度に配置し、クリーンエアを検査位置P2近傍に案内するようにした。検出ユニット13の存在によって検査位置P2にクリーンエアが流れ難くなる場合でも、検査位置P2でクリーンエアの層流を形成することが可能になり、検査中の基板Wにパーティクル等が付着することを防止できる。その結果、基板Wのマクロ検査を精度良く行えるようになる。」
(イ)原審引用発明1
上記(ア)の原審引用文献1の記載及び当該技術分野における技術常識より、原審引用文献1には下記の発明(以下「原審引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「基板を回転させる基板ホルダ11と、
ケース2と、
前記基板に光を照射するライン照明62と、
前記基板からの光を検出する検出ユニット13と、
清浄空気を供給する清浄流体供給装置5と、
供給された前記清浄空気を排気する開口と、
検査位置に向けて前記清浄空気を案内する層流形成装置71、72と、
を有する基板検査装置1。」
イ 原審引用文献2の記載事項及び原審引用発明2
(ア)原審引用文献2の記載事項
原査定において「引用文献2」として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2009-246163号公報(以下「原審引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【請求項1】
側壁に取り囲まれて、内部で基板を処理するための処理チャンバと、
前記処理チャンバの内部で基板を保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段の周囲を取り囲む筒状のカップと、
前記処理チャンバの上方部に配置された給気部および前記処理チャンバの下方部に配置された排気部を有し、前記処理チャンバ内で渦状の気流が形成されるように、前記給気部から、前記処理チャンバの内部に向けて気体を供給するとともに、前記排気部から、前記処理チャンバの内部の雰囲気を排気する給排気手段とを
含む、基板処理装置。
・・・
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などの基板に対して処理を施す基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板などの基板に対して処理液や処理ガスを用いた処理が行われる。たとえば、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置では、処理チャンバ内に、筒状のカップと、カップ内に配置され基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、このスピンチャックに保持された基板の表面に処理液を供給する処理液ノズルとが収容されている。
【0003】
基板に対する処理液処理時には、基板およびスピンチャックの回転によって、スピンチャック周辺に上昇気流が生じるおそれがある。処理液処理時に、その上昇気流によって処理液のミストが舞い上がり、処理液のミストが処理チャンバ内に拡散すると、処理チャンバの内壁や処理チャンバ内の部材が処理液のミストによって汚染される。これが処理室内で乾燥すると、パーティクルとなって雰囲気中に浮遊し、以後に処理される基板を汚染するおそれがある。そこで、処理チャンバの天面の中央部にFFU(ファンフィルタユニット)を設け、このFFUの給気口から、下方に向けてクリーンエアを供給するとともに、カップ底面に形成された排気口からの排気を行い、カップ内に下降気流を形成している。それとともに、カップ外の処理チャンバ内空間での処理液ミスト等の舞い上がりを抑制するために、処理チャンバの底面に形成された排気口から処理チャンバ内雰囲気を排気することにより、排気口へと向かう下降気流を形成して、処理チャンバ内の雰囲気の置換を促進する構成が採用される。
【0004】
処理チャンバ内には、たとえば、スピンチャックに保持される基板の表面(上面)に対向して、その基板の表面上の空間をその周囲から遮断するための遮断板が収容されている。遮断板は円板状に形成されており、スピンチャックの上方に配置されている。
【特許文献1】特開2006-202983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、FFUの給気口が遮断板の上方に形成されていると、遮断板がクリーンエアの流れを阻害して、処理チャンバ内の気流に乱れが生じ、たとえば、処理チャンバ内で雰囲気の対流が生じる。しかも、スピンチャックの回転中には、前述の上昇気流のために、処理チャンバ内の気流が乱される傾向にある。これらが主要因となって、カップ外の処理チャンバ内空間における安定した下降気流の形成は、必ずしも容易ではない。
【0006】
処理チャンバ内の気流を安定化して、その内部雰囲気の置換を促進するためには、処理チャンバの底部の排気口からの排気に大きな排気能力が必要とされる。しかし、基板処理装置が設置される工場において準備可能な排気用力による制限のために、気流安定化のために必要な排気能力の確保が困難な場合もある。
そこで、この発明の目的は、排気口からの排気に大きな排気能力を必要とせずに、処理チャンバ内の雰囲気を良好に置換させることができる基板処理装置を提供することである。
・・・
【0021】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の構成を概念的に示す断面図である。
基板処理装置1は、クリーンルーム内に設置され、処理液を用いて、基板の一例である半導体ウエハW(以下、単に「ウエハW」という。)から汚染物質を除去するための洗浄処理を実行するための装置である。処理液としては、薬液やDIW(脱イオン化された水)を用いることができる。また、薬液が用いられる場合、この薬液として、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)、SPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水混合液)、フッ酸、バファードフッ酸(Buffered HF:フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)、アンモニア水およびポリマ除去液などを例示することができる。
【0022】
この基板処理装置1は、側壁2により区画されたほぼ直方体状の処理チャンバ3内に、ウエハWをほぼ水平に保持するとともに、その中心を通るほぼ鉛直な回転軸線CまわりにウエハWを回転させる基板回転手段としてのスピンチャック4と、このスピンチャック4を収容するカップ5と、スピンチャック4に保持されたウエハWの表面(上面)に向けて、薬液を供給するための薬液ノズル6と、スピンチャック4に保持されたウエハWの表面にDIWを供給するためのDIWノズル7とを備えている。
【0023】
スピンチャック4は、モータ8と、このモータ8の回転駆動力によって鉛直軸線まわりに回転される円盤状のスピンベース9と、スピンベース9の周縁部の複数箇所にほぼ等間隔で設けられ、ウエハWをほぼ水平な姿勢で挟持するための複数個の挟持部材10とを備えている。これにより、スピンチャック4は、複数個の挟持部材10によってウエハWを挟持した状態で、モータ8の回転駆動力によってスピンベース9を回転させることにより、そのウエハWを、ほぼ水平な姿勢を保った状態で、スピンベース9とともに回転軸線Cまわりに回転させることができる。スピンチャック4は、図2Aおよび図2Bに示すように、平面視で、処理チャンバ3の中央部に配置されている。
【0024】
なお、スピンチャック4としては、挟持式のものに限らず、たとえば、ウエハWの裏面を真空吸着することにより、ウエハWを水平な姿勢で保持し、さらにその状態で鉛直な回転軸線まわりに回転することにより、その保持したウエハWを回転させることができる真空吸着式のもの(バキュームチャック)が採用されてもよい。
薬液ノズル6は、たとえば連続流の状態で薬液を吐出するストレートノズルであり、その吐出口を下方に向けた状態で、スピンチャック4の上方でほぼ水平に延びるアーム11の先端に取り付けられている。このアーム11の基端部は、カップ5の側方においてほぼ鉛直に延びたアーム支持軸12の上端部に支持されている。アーム支持軸12には、ノズル駆動機構13が結合されており、このノズル駆動機構13の駆動力によって、アーム支持軸12を回動させて、スピンチャック4の上方でアーム11を揺動させることができるようになっている。
【0025】
薬液ノズル6には、薬液供給源からの薬液が供給される薬液供給管14が接続されている。薬液供給管14の途中部には、薬液ノズル6からの薬液の吐出/吐出停止を切り換えるための薬液バルブ15が介装されている。
DIWノズル7は、たとえば、連続流の状態でDIWを吐出するストレートノズルであり、スピンチャック4の上方で、その吐出口をウエハWの回転中心付近に向けて固定的に配置されている。このDIWノズル7には、DIW供給源からのDIWが供給されるDIW供給管16が接続されている。DIW供給管16の途中部には、DIWノズル7からのDIWの吐出/吐出停止を切り換えるためのDIWバルブ17が介装されている。
【0026】
スピンチャック4の上方には、ウエハWとほぼ同じ径を有する円板状の遮断板(対向部材)20が設けられている。遮断板20の下面には、スピンチャック4に保持されたウエハWの表面(上面)と対向する水平面からなる基板対向面21が形成されている。遮断板20の上面には、スピンチャック4の回転軸線Cと共通の軸線に沿う回転軸23が固定されている。この回転軸23は中空に形成されていて、その内部には、ウエハWの表面の中心部に向けて不活性ガスとしての窒素ガスを供給するための窒素ガス流通路(不活性ガス供給手段)24が形成されている。窒素ガス流通路24は、基板対向面21に開口する窒素ガス吐出口(不活性ガス供給手段)25を有している。この窒素ガス流通路24には、窒素ガスバルブ(不活性ガス供給手段)27を介して窒素ガスが供給されるようになっている。回転軸23は、ほぼ水平に延びて設けられたアーム28の先端付近に取り付けられている。
【0027】
アーム28には、遮断板20を昇降させるための遮断板昇降駆動機構29が結合されている。この遮断板昇降駆動機構29により、遮断板20を、スピンチャック4に保持されたウエハWの表面に近接する近接位置(図1に二点鎖線で示す位置)と、スピンチャック4の上方に離間する離間位置(図1に実線で示す位置)との間で昇降させることができるようになっている。アーム28には、また、遮断板20をスピンチャック4によるウエハWの回転にほぼ同期させて回転させるための遮断板回転駆動機構30が結合されている。
【0028】
カップ5は、ウエハWの処理に用いられた後の薬液およびDIWを処理するためのものであり、有底円筒容器状に形成されている。カップ5は、その底面から立ち上る円筒部31と、円筒部31の上端から、スピンチャック4によるウエハWの回転軸線Cに向けて傾斜する傾斜部32とを備えている。カップ5の上面には、円筒部31の先端により区画されて、ウエハWが通過するための開口33が形成されている。円筒部31と傾斜部32とによって、スピンチャック4の周囲が包囲されて、ウエハWの周縁から飛散した処理液を受けとめることができるようになっている。
【0029】
図2Aは、図1の切断面線C-Cから見た概念的な断面図である。図2Bは、図1の切断面線D-Dから見た概念的な断面図である。
処理チャンバ3の側壁2は、カップ5の外壁を包囲するそれぞれ平面状の第1内側面61、第2内側面62、第3内側面63および平面状の第4内側面64を備えている。第1?第4内側面61,62,63,64は、平面視で正方形状となるように組み合わされている。互いに隣り合う第1内側面61と第2内側面62との間には、処理カップ5の外壁に対向して、外方に凹む水平断面を有する第1凹湾曲面66が形成されている。互いに隣り合う第2内側面62と第3内側面63との間には、処理カップ5の外壁に対向して、外方に凹む水平断面を有する第2凹湾曲面67が形成されている。互いに隣り合う第3内側面63と第4内側面64との間には、処理カップ5の外壁に対向して、外方に凹む水平断面を有する第3凹湾曲面68が形成されている。互いに隣り合う第4内側面64と第1内側面61との間には、処理カップ5の外壁に対向して、外方に凹む水平断面を有する第4凹湾曲面69が形成されている。
【0030】
第1?第4凹湾曲面66?69は、たとえば、水平断面がそれぞれ円弧形状(図2A,図2Bの例では4分の1円弧形状)を有している。この円弧形状の曲率半径は、高さ方向に関して一様であってもよく、この場合には、第1および第4凹湾曲面66?69は円筒面(部分円筒面)をなすことになる。また、前記円弧形状の曲率半径は、下側ほど小さくなっていてもよく、この場合には、第1および第4凹湾曲面66?69は倒立円錐面(部分円錐面)をなすことになる。各凹湾曲面66?69は、図2Aおよび図2Bで示す回転軸線Cよりも外側にある鉛直軸を中心軸とする部分円筒面または部分円錐面をなすように形成されていてもよい。また、第1および第4凹湾曲面66?69が、たとえば、回転軸線Cを共通の中心軸とする部分円筒面または部分円錐面をなすように形成されていてもよい。
【0031】
以下、図1、図2Aおよび図2Bを参照しつつ説明する。
処理チャンバ3の天面付近の側壁2には、処理チャンバ3内にクリーンエアを供給するための給気部としての一対の給気ユニット41,42(図1では給気ユニット41のみ図示)が配置されている。具体的に説明すると、給気ユニット41は、処理チャンバ3の内部空間に臨む給気口(横方向給気口、内壁方向給気口)43を有している。給気ユニット42は、処理チャンバ3の内部空間に臨む給気口(横方向給気口、内壁方向給気口)44を有している。一対の給気ユニット41,42は、同一の構造、形状、大きさに形成されている。給気ユニット41,42には、その内部に、給気口43に連通する給気路47が形成されている。この給気路47は、それぞれ水平の上面板45および下面板46によって、その上下が区画されている。給気ユニット41,42は、クリーンルーム内のクリーンエアをフィルタによってさらに清浄化して給気するファンフィルタユニット(図示せず)から清浄空気(クリーンエア)の供給を受け、そのクリーンエアを、給気路47を介して、給気口43,44から処理チャンバ3内に供給する構成になっている。そのため、給気口43,44からは、水平方向に向けてクリーンエアが供給される。
【0032】
給気ユニット41は、第3内側面63と第4内側面64とによって形成される隅部に配置されている。また、給気ユニット42は、第1内側面61と第2内側面62とによって形成される隅部に配置されている。つまり、給気ユニット42は、スピンチャック4によるウエハWの回転軸線Cに対して、給気ユニット41の反対側に配置されている。言い換えれば、一対の給気ユニット41,42は、処理チャンバ3内で、平面視で対角位置に配置されている。給気ユニット41は、平面視で、カップ5の外壁よりも外側に位置している。また、給気ユニット42も、平面視で、カップ5の外壁よりも外側に位置している。
【0033】
給気ユニット41の給気口43からは、第4凹湾曲面69に向けて、水平方向に沿ってクリーンエアが供給される。給気ユニット41の給気口43からのクリーンエアは、平面視でカップ5の外壁の外側の領域を、第4内側面64に沿って流れる。そして、第4凹湾曲面69に達したクリーンエアは、この第4凹湾曲面69により案内されて、平面視でカップ5の外壁の外側の領域を、第1凹湾曲面66に向けて第1内側面61に沿って流れるようになる。そして、この第1凹湾曲面66に向けて流れるクリーンエアが第1凹湾曲面66に達すると、この第1凹湾曲面66により案内されて、平面視でカップ5の外壁の外側の領域を、第2凹湾曲面67に向けて第2内側面62に沿って流れるようになる。
【0034】
給気ユニット42の給気口44からは、第2凹湾曲面67に向けて、水平方向に沿ってクリーンエアが供給される。給気ユニット42の給気口44からのクリーンエアは、平面視でカップ5の外壁の外側の領域を、第2内側面62に沿って流れる。そして、第2凹湾曲面67に達したクリーンエアは、この第2凹湾曲面67により案内されて、平面視でカップ5の外壁の外側の領域を、第3凹湾曲面68に向けて第3内側面63に沿って流れる。そして、この第3凹湾曲面68に向けて流れるクリーンエアが第3凹湾曲面68に達すると、この第3凹湾曲面68により案内されて、平面視でカップ5の外壁の外側の領域を、第4凹湾曲面69に向けて第4内側面64に沿って流れるようになる。
【0035】
処理チャンバ3の底部には、処理チャンバ3内の雰囲気を吸い込んで排気するための排気部としての一対の排気ユニット51,52(図1では排気ユニット51のみ図示)が配置されている。具体的に説明すると、排気ユニット51は、処理チャンバ3の内部空間に臨む排気口(横方向排気口、内壁方向排気口)53を有している。排気ユニット52は、処理チャンバ3の内部空間に臨む排気口(横方向排気口、内壁方向排気口)54を有している。一対の排気ユニット51,52は、同一の構造、形状、大きさに形成されている。排気ユニット51,52は、図示しない排気配管を介して、排気ユニット51,52内を強制的に排気する図示しない排気処理設備(たとえば、基板処理装置1が設置される工場の排気処理設備)に接続されており、排気口53,54から排気ユニット51,52内に吸い込まれた雰囲気は、排気配管を通して排気処理設備に導かれる構成になっている。
【0036】
図3Aは、図1の矢印Eから見た図である。図3Bは、図3Aの切断面線F-Fから見た概念的な断面図である。各排気ユニット51,52の構成を、排気ユニット51の構成を例に挙げて説明する。
排気ユニット51には、その内部に、排気口53に連通する排気路57が形成されている。この排気路57は、水平面に対して所定角度(たとえば20?40°)傾斜した上面55および下面56によってその上下が区画されている。上面55および下面56は、回転軸線Cから離れるに従って下方に向けて傾斜している。そのため、排気路57は、回転軸線Cから離れるに従って下方に向かう斜め方向に延び、その途中部において鉛直方向に向けて屈曲して図示しない排気配管に接続されている。処理チャンバ3内の雰囲気は、一対の排気ユニット51,52の排気口53,54から斜め下方に向けて吸い込まれる。
【0037】
排気ユニット51は、第4内側面64と第1内側面61とによって形成される隅部に配置されている。また、排気ユニット52は、第2内側面62と第3内側面63とによって形成される隅部に配置されている。つまり、排気ユニット52は、スピンチャック4によるウエハWの回転軸線Cに対して、排気ユニット51の反対側に配置されている。言い換えれば、一対の排気ユニット51,52は、処理チャンバ3内で、平面視で対角位置に配置されている。さらには、この一対の排気ユニット51,52は、給気ユニット41,42が配置されていない隅部、すなわち、平面視で一対の給気ユニット41,42に重複しない位置に配置されている。排気ユニット51は、平面視で、カップ5の外壁よりも外側に位置している。また、排気ユニット52も、平面視で、カップ5の外壁よりも外側に位置している。
【0038】
排気ユニット51の排気口53には、給気ユニット42の排気口44から供給されたクリーンエアが、カップ5の外壁のまわりを周回した後に吸い込まれる。この排気口53には、第4内側面64に沿う方向から第4凹湾曲面69に向けて処理チャンバ3内の雰囲気が吸い込まれる。また、排気ユニット52の排気口54には、給気ユニット41の排気口43から供給されたクリーンエアが、カップ5のまわりを周回した後に吸い込まれる。この排気口54には、第2内側面62に沿う方向から第2凹湾曲面67に向けて処理チャンバ3内の雰囲気が吸い込まれる。
【0039】
対角位置に配置された一対の給気ユニット41,42から、処理チャンバ3の内部にクリーンエアが供給されるとともに、図外の排気処理設備によって、対角位置に配置された一対の排気ユニット51,52内が強制的に排気されると、一対の給気ユニット41,42から水平方向に向けて供給されたクリーンエアは、カップ5のまわりを周回して、一対の排気ユニット51,52に向けて下降するようになる。このため、処理チャンバ3内に、カップ5のまわりを、上方から見て時計回り方向(図2A,図2Bの矢印ARの方向)に周回しながら下降する渦状の気流が形成される。カップ5の外壁の外側の領域には遮断板20などの障害物が少ない。したがって、この渦状の気流には、遮断板20などの障害物との干渉に起因する乱気流(対流)がほとんど発生せず、そのため安定した渦巻き状下降気流が形成される。また、この渦状の気流の周回方向(図2A,図2Bの矢印ARの方向)とスピンチャック4および遮断板20の回転方向とを一致させるのが好ましい。このようにすれば、さらに乱気流(対流)の発生を抑制し、さらに安定した渦巻き状下降気流を形成することができる。
【0040】
とくに、この実施形態(第1実施形態)では、給気ユニット41,42が、スピンチャック4によるウエハWの回転軸線Cを挟む位置に一対設けられている。また、排気ユニット51,52が、スピンチャック4によるウエハWの回転軸線Cを挟む位置に一対設けられている。そのため、気流に対して効果的にモーメントを与えることができるから、処理チャンバ3内に、より一層強い気流が形成されるようになっており、渦巻き状下降気流のより一層の安定化が図られている。
【0041】
このような構成によって、処理チャンバ3内に安定な渦状下降気流を形成することができ、スピンチャック4の回転によって気流が乱される場合であっても、処理チャンバ3内で対流が生じることを抑制または防止できる。その結果、工場に設けられる排気設備の排気用力が大きくなくても、処理チャンバ3内の気流を安定化できる。これにより、処理チャンバ3内での処理液ミストの巻き上げ等を抑制または防止することができるので、処理チャンバ3内の汚染を抑制できる。したがって、より高品質な(清浄度の高い)基板処理が可能となる。
【0042】
図4は、基板処理装置1の電気的構成を示すブロック図である。
基板処理装置1は、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置35を備えている。この制御装置35には、モータ8、ノズル駆動機構13、遮断板回転駆動機構30、遮断板昇降駆動機構29、薬液バルブ15、DIWバルブ17および窒素ガスバルブ27などが制御対象として接続されている。
【0043】
図5は、基板処理装置1で行われる処理例を説明するためのフローチャートである。
ウエハWに対する処理が行われている間、常に、一対の給気ユニット41,42から処理チャンバ3内にクリーンエアが供給されるとともに、図外の排気処理設備によって、一対の排気ユニット51,52内が強制的に排気される。このため、処理チャンバ3内には、カップ5のまわりを周回しながら下降する渦状の気流が形成されている。
【0044】
処理対象のウエハWは、図示しない搬送ロボットによって基板処理装置1内に搬入されて、その表面を上方に向けた状態でスピンチャック4に保持される(ステップS1)。なお、このウエハWの搬入時においては、その搬入の妨げにならないように、遮断板20が、スピンチャック4のスピンベース7から上方に離間した離間位置に配置されている。
ウエハWがスピンチャック4に保持されると、制御装置35は、モータ8を制御して、スピンチャック4によるウエハW(スピンベース9)の回転を開始させて、ウエハWの回転速度を所定の液処理速度(たとえば1500rpm)まで上昇させる。また、制御装置35は、ノズル駆動機構13を制御してアーム10を揺動し、薬液ノズル6を、スピンチャック4の側方の退避位置からウエハWの上方位置へと移動させる。さらに、制御装置35は、窒素ガスバルブ27を制御して、窒素ガス吐出口25から窒素ガスを吐出させる(ステップS2)。これにより、ウエハWの表面と遮断板20の基板対向面21との間の空間に窒素ガスが供給されて、当該空間がウエハWの側方領域よりも負圧になることが防止されている。
【0045】
ウエハWの回転速度が液処理速度に達すると、制御装置35は、薬液バルブ15を開いて、薬液ノズル6の吐出口からウエハWの表面の回転中心に向けて薬液を吐出させる。ウエハWの表面に供給された薬液は、ウエハWの回転による遠心力によって、ウエハWの周縁に向けて流れる。これにより、ウエハWの表面に薬液を用いた薬液処理が施される(ステップS3)。
【0046】
ウエハWへの薬液の供給開始から所定の薬液処理時間が経過すると、制御装置35は、薬液バルブ15を閉じて、薬液ノズル6からの薬液の吐出を停止させる。また、制御装置35は、ノズル駆動機構12を制御してアーム10を揺動させて、薬液ノズル6を、ウエハWの上方位置からスピンチャック4の側方の退避位置に退避させる。
ウエハWへの薬液の供給が停止されると、制御装置35は、DIWバルブ17を開いて、DIWノズル7の吐出口から回転状態にあるウエハWの表面の回転中心に向けてDIWを吐出させる。ウエハWの表面に供給されたDIWは、ウエハWの回転による遠心力によって、ウエハWの周縁に向けて流れる。これにより、ウエハWの表面に付着している薬液がDIWによって洗い流される(ステップS4)。
【0047】
DIWの供給開始から所定のリンス時間が経過すると、制御装置35は、DIWバルブ17を閉じて、ウエハWへのDIWの供給を停止させる。その後、制御装置35は、遮断板昇降駆動機構29を制御して、遮断板20を、離間位置(図1に実線で示す位置)から近接する近接位置(図1に二点鎖線で示す位置)まで下降させる(ステップS5)。遮断板20が近接位置まで下降されると、ウエハWの表面と基板対向面21との間に狭空間が形成される。窒素ガス吐出口25からの窒素ガスの吐出は継続されているため、ウエハWの表面と基板対向面21との間の狭空間に窒素ガスが供給される。
【0048】
また、制御装置35は、モータ8を制御して、ウエハWの回転速度をスピンドライ回転速度(たとえば3000rpm)まで上げる。これにより、リンス処理後のウエハWの表面に付着しているDIWを遠心力で振り切って乾燥させるスピンドライ処理が実施される(ステップS6)。
さらにまた、スピンドライ処理時には、制御装置35は、遮断板回転駆動機構30を制御して、遮断板20をウエハWの回転に同期して、ウエハWの回転方向と同方向に回転させる。これにより、ウエハWの表面と遮断板20との間の狭空間に安定気流が形成される。
【0049】
スピンドライ処理が所定のスピンドライ時間にわたって行われると、制御装置35は、モータ8を制御して、スピンチャック4の回転を停止させるとともに、遮断板回転駆動機構30を制御して、遮断板20の回転を停止させる。また、制御装置35は、窒素ガスバルブ27を閉じ、窒素ガス吐出口25からの窒素ガスの吐出を停止させる(ステップS7)。さらに、制御装置35は、遮断板昇降駆動機構29を制御して、遮断板20を離間位置まで上昇させる(ステップS7)。その後、図示しない搬送ロボットによってウエハWが搬出される(ステップS8)。
【0050】
図6Aは、本発明の他の実施形態(第2実施形態)に係る基板処理装置70の処理チャンバ71の構成を概念的に示す斜視図である。図6Bは、基板処理装置70の構成を概念的に示す横断面図である。
この第2実施形態において、図1?図5に示す実施形態(第1実施形態)に示された各部に対応する部分には、第1実施形態と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。また、カップ5の内部の構成および処理液供給系の構成については、必要に応じて、図1を併せて参照する。
【0051】
この第2実施形態に係る基板処理装置70は、ほぼ円筒状の側壁72により区画されたほぼ円柱状の処理チャンバ71を備えている。側壁72の内面は、スピンチャック4によるウエハWの回転軸線Cを中心とする円筒面72Aに形成されている。処理チャンバ71内には、前述の第1実施形態と同様に、スピンチャック4(図1参照)、カップ5、薬液ノズル6(図1参照)、遮断板20などが収容されている。
【0052】
処理チャンバ71の天面付近の側壁72には、処理チャンバ71内にクリーンエアを供給するための給気ユニット41が配置されている。給気ユニット41は、平面視で、カップ5の外壁よりも外側に位置している。給気ユニット41の給気口43からは、水平方向に向けて、側壁72の円筒面72Aに沿うようにクリーンエアが供給される。給気ユニット41の給気口43からのクリーンエアは、側壁72の円筒面72Aにより案内されて、平面視でカップ5の外壁の外側の領域を、スピンチャック4によるウエハWの回転軸線Cを中心として円弧を描くように流れるようになる。
【0053】
処理チャンバ71の底部には、処理チャンバ71内の雰囲気を吸い込んで排気するための排気ユニット51が配置されている。具体的に説明すると、排気ユニット51は、正面視で、給気ユニット41のスピンチャックによるウエハWの回転軸線Cに対して反対側に配置されている。排気ユニット51は、平面視で、カップ5の外壁よりも外側に位置している。排気ユニット51の排気口53には、円筒面72Aに沿う方向(渦状の気流の回転方向)から、処理チャンバ71内の雰囲気が吸い込まれる。
【0054】
給気ユニット41から、処理チャンバ71の内部にクリーンエアが供給されるとともに、図外の排気処理設備によって、排気ユニット51内が強制的に排気されると、給気ユニット41から水平方向に向けて供給されたクリーンエアは、カップ5のまわりを周回した後、排気ユニット51に吸い込まれる気流を形成する。このため、処理チャンバ3内に、カップ5のまわりを周回しながら下降する渦状の気流が形成される。カップ5の外壁の外側の領域には遮断板20などの障害物が少ない。したがって、この渦状の気流には、遮断板20などの障害物との干渉に起因する乱気流(対流)がほとんど発生せず、そのため安定した渦巻き状下降気流が形成される。
【0055】
また、この実施形態(第2実施形態)では、給気口41から供給された気体が、円筒面72Aにより案内されて、円弧状に整流される。これにより、処理チャンバ71内に、渦状の気流がより一層形成され易くなる。
図7Aは、本発明の他の実施形態(第3実施形態)に係る基板処理装置80の処理チャンバ81の構成を概念的に示す斜視図である。図7Bは、基板処理装置80の構成を概念的に示す横断面図である。
【0056】
この第3実施形態において、図1?図5に示す実施形態(第1実施形態)に示された各部に対応する部分には、第1実施形態と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。また、カップ5の内部の構成および処理液供給系の構成については、必要に応じて、図1を併せて参照する。
この第3実施形態に係る基板処理装置80は、たとえば下方に向かうに従って狭くなる倒立円錐台状の処理チャンバ81を備えている。処理チャンバ81は、コーン状(倒立円錐状)の側壁82により区画されている。側壁82の内面は、スピンチャック4によるウエハWの回転軸線Cを中心とするコーン状面(倒立円錐面)82Aに形成されている。処理チャンバ81内には、前述の第1実施形態と同様に、スピンチャック4(図1参照)、カップ5、薬液ノズル6(図1参照)、遮断板20などが収容されている。
【0057】
処理チャンバ81の天面付近の側壁82には、処理チャンバ81内にクリーンエアを供給するための給気ユニット41が配置されている。給気ユニット41は、平面視で、カップ5の外壁よりも外側に位置している。給気ユニット41の給気口43からは、水平方向に向けて、側壁82のコーン状面82Aに沿うようにクリーンエアが供給される。給気ユニット41の給気口43からのクリーンエアは、側壁82のコーン状面82Aによって案内されて、平面視でカップ5の外壁の外側の領域を、スピンチャック4(図1参照)によるウエハWの回転軸線Cを中心として円弧を描くように流れるようになる。
【0058】
処理チャンバ81の底部には、処理チャンバ81内の雰囲気を吸い込んで排気するための排気ユニット51が配置されている。具体的に説明すると、排気ユニット51は、正面視で、給気ユニット41のスピンチャックによるウエハWの回転軸線Cに対して反対側に配置されている。排気ユニット51は、平面視で、カップ5の外壁よりも外側に位置している。排気ユニット51の排気口53には、コーン状面82Aに沿う方向(渦状の気流の回転方向)から、処理チャンバ81内の雰囲気が吸い込まれる。
【0059】
給気ユニット41から、処理チャンバ81の内部にクリーンエアが供給されるとともに、図外の排気処理設備によって、排気ユニット51内が強制的に排気されると、給気ユニット41から水平方向に向けて供給されたクリーンエアは、カップ5のまわりを周回して、排気ユニット51に吸い込まれる気流を形成する。このため、処理チャンバ81内に、カップ5のまわりを周回しながら下降する渦状の気流が形成される。カップ5の外壁の外側の領域には遮断板20などの障害物が少ない。したがって、この渦状の気流には、遮断板などの障害物20との干渉に起因する乱気流(対流)がほとんど発生せず、安定した渦巻き状下降気流が形成される。
【0060】
また、この実施形態(第3実施形態)では、給気ユニット41の給気口43から供給されたクリーンエアが、コーン状面82Aにより案内されて、円弧状に整流される。これにより、処理チャンバ81内に、渦状の気流がより一層形成され易くなる。
さらに、コーン状面82Aが下方に向かうに従って狭まっているので、処理チャンバ81の天板付近だけでなく、処理チャンバ81の底部付近においても、比較的強い気流が形成される。これにより、処理チャンバ81内により強い気流を形成することができる。
【0061】
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。
前述の3つの実施形態では、給気ユニット41,42の給気口43,44から、水平方向に向けてクリーンエアが供給されるものとして説明したが、給気ユニット41,42の給気口43,44から、斜め下方に向けてクリーンエアが供給されるものであってもよい。
【0062】
前述の3つの実施形態では、排気ユニット51,52の排気口53,54から、処理チャンバ3,71,81内の雰囲気が、斜め下方に向けて吸い込まれるものとして説明したが、排気ユニット51,52の排気口53,54から、処理チャンバ3,71,81内の雰囲気が水平方向から吸い込まれるものであってもよい。
前述の第1実施形態では、給気ユニット41,42を一対設け、排気ユニット51,52を一対設ける構成を例に挙げて説明した。しかしながら、給気ユニットを3つまたは4つ設けることもできる。この場合、そのうち2つの給気ユニットを、処理チャンバ3の隅部に平面視で対角に配置し、残りの給気ユニットを、処理チャンバ3の残りの隅部に配置してもよい。むろん、5個以上の給気ユニットを設けてもよい。
【0063】
また、第1実施形態において、排気ユニットを3つまたは4つ設けることもできる。この場合、そのうち2つの排気ユニットを、処理チャンバ3の隅部に平面視で対角に配置し、残りの排気ユニットを、処理チャンバ3の残りの隅部に配置してもよい。むろん、5個以上の排気ユニットを設けてもよい。
また、第1実施形態では、平面視でそれぞれ対角に配置された一対の給気ユニット41,42および一対の排気ユニット51,52を、重複しない位置に配置したが、平面視で重複する位置に配置してもよい。
【0064】
また、前述の第1実施形態において給気ユニットを一対設ける場合、一対の給気ユニットを、隣接する隅部に配置してもよい。さらに、排気ユニットを一対設ける場合、一対の排気ユニットを、隣接する隅部に配置してもよい。
また、第1実施形態において、凹湾曲面66?69を、下方に向かうに従って幅広になる形状とすることもできる。この場合、処理チャンバ3の底部付近では、内壁の形状を、平面視で円形に近づけることができる。この構成が採用されることで、渦流を効率的に整流できるので、処理チャンバ3の底部付近でも、比較的強い気流を形成することができる。
【0065】
また、前述の第2および第3実施形態では、排気ユニット51を、平面視で、給気ユニット41と回転軸線Cに対して反対側に配置する構成としたが、排気ユニット51と給気ユニット41との平面視における相対位置はこれに限られない。たとえば、排気ユニット51を、平面視で給気ユニット41と同位置に配置(すなわち、給気ユニットおよび排気ユニットを上下方向に配置)することもできる。
【0066】
また、前述の第2および第3実施形態では、給気ユニット41と排気ユニット51とをそれぞれ1つずつ配置する場合を例に挙げて説明した。しかし、給気ユニット41を2つ以上としてもよい。この場合、給気ユニット41は、回転軸線Cまわりに等角度間隔(つまり、円筒面72Aまたはコーン状面82Aの周方向に沿って等間隔)に配置されることが好ましい。また、排気ユニットを2つ以上としてもよい。この場合、排気ユニット51は、回転軸線Cまわりに等角度間隔(つまり、円筒面72Aまたはコーン状面82Aの周方向に沿って等間隔)に配置されることが好ましい。
【0067】
また、処理チャンバ3,71,81の側壁2,72,82の内面に螺旋状の凸条や凹溝が形成されていて、これらの凸条や凹溝によって、給気ユニットから処理チャンバ3,71,81内に供給されたクリーンエアが案内されて渦状に整流されるようになっていてもよい。
また、第1実施形態では、処理チャンバ3の壁面を整形し、この整形後の壁面を用いて渦状の気流を整流する構成を例に挙げて説明したが、板状の整流部材を、処理チャンバ3の隅部(角部)に配置し、かかる整流部材で処理チャンバ3内の気流を整流する構成を採用することもできる。
【0068】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。」
(イ)原審引用発明2
上記(ア)の原審引用文献2の記載及び当該技術分野における技術常識より、原審引用文献2には下記の発明(以下「原審引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「側壁に取り囲まれて、内部で基板を処理するための処理チャンバと、
前記処理チャンバの内部で基板を保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段の周囲を取り囲む筒状のカップと、
前記処理チャンバの上方部に配置された給気部および前記処理チャンバの下方部に配置された排気部を有し、前記処理チャンバ内で渦状の気流が形成されるように、前記給気部から、前記処理チャンバの内部に向けて気体を供給するとともに、前記排気部から、前記処理チャンバの内部の雰囲気を排気する給排気手段とを
含む、基板処理装置。」
ウ 原審引用文献3の記載事項
原査定において「引用文献3」として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2000-131028号公報(以下「原審引用文献3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0052】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るエッチング深さ測定装置50の構成を示す図である。エッチング深さ測定装置50は、試料Wをその底部に収容するチャンバ51を備えている。チャンバ51の天井部にはチャンバ窓51aが設けられている。また、チャンバ51の上部には中央に開口部が形成され水平方向に移動可能に配置されたテーブル52が設けられている。チャンバ窓51aにはレンズ53を介して光ファイバ54の端部が対向配置されている。この光ファイバ54の他の端部には、紫外光ランプ55、可視光ランプ56、フォトマルチプライヤ57が接続されている。これらレンズ53、光ファイバ54、紫外光ランプ55、可視光ランプ56はテーブル52上に設けられている。
【0053】光ファイバ54には、フォトマルチプライヤ57及び分光器64が接続されている。フォトマルチプライヤ57には、A/D変換器58を介して深さ測定用計算機60が接続され、分光器64には膜厚測定用計算機59が接続されている。また、膜厚測定用計算機59の出力は深さ測定用計算機60に接続されている。
【0054】一方、図1中61は試料Wからの回折光を検出する回折光検出センサを示している。センサ61は制御装置62に接続され、この制御装置62はXYテーブル52を水平方向に移動するテーブル駆動装置63に接続されている。」
エ 原審引用文献4の記載事項
原査定において「引用文献4」として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2005-136249号公報(以下「原審引用文献4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0005】
本発明に係るエッチング処理のモニター装置は、半導体ウエハの表面にプラズマエッチング処理を施す処理チャンバと、処理チャンバの上壁に形成され窓で覆われた開口部と、上壁の上方に所定空間を画定するカバーと、カバー内に配置され開口部を通して処理チャンバ内に配置された半導体ウエハに光ビームを照射すると共に反射された反射光を受光する光学ユニットとを備え、光学ユニットにより得られた情報に基づいてエッチング処理をモニターするエッチング処理のモニター装置であって、上記カバーは、電磁波を遮断する材料により形成され、上記カバーの外側には、光学ユニットを半導体ウエハに沿って二次元的に移動させる駆動機構が設けられている、ことを特徴としている。
この構成によれば、処理チャンバ内に配置された半導体ウエハのモニター位置(例えば、1mm四方のセル領域)に対して、光学ユニットの照射スポットが逸脱している場合に、駆動機構が光学ユニットを半導体ウエハに沿って二次元的に移動させることで、照射スポットをモニター位置に位置合わせすることができる。また、光学ユニットがプラズマエッチングのために用いられる電磁波の雰囲気に曝されても、その駆動機構は、電磁波を遮断するカバーの外側に配置されているため、電磁波の影響を受けることなく安定して駆動制御され、光学ユニットは高精度に位置決めされ得る。」
オ 原審引用文献5の記載事項
原査定において「引用文献5」として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2008-296069号公報(以下「原審引用文献5」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0005】
更に、前記EFEM42および薄板状物処理室43内の上方部には、ファン48と微粒子を除去するULPA・HEPAフィルタより成る高性能フィルタ49とを備えた、または前記ファン48と高性能フィルタ49並びに有害ガスを除去するケミカルフィルタ50の両方を組合せたFFU(ファンフィルタユニット)51(図17のFFUは、高性能フィルタ49とケミカルフィルタ50の両方を備えている)がそれぞれ設けられ、該FFU51より清浄空気52をEFEM42および薄板状物処理室43の清浄空間部53内に層流状に送気して陽圧を維持すると共に、前記EFEM42には、多数の排気開口54を備えた枠状、またはスリット状の支持架台55上にロボットRが配設され、または前記薄板状物処理室43には、多数の排気開口54を備えた枠状、またはスリット状の支持架台55上に薄板状物処理部56が配設されている。そして、前記構成より成るEFEM42および薄板状物処理室43は前記クリーンルーム41内の床面57上に設置されている。」
カ 原審引用文献6の記載事項
原査定において「引用文献6」として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2008-263048号公報(以下「原審引用文献6」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0026】
これに対し、気体が通過する隙間STを有する板BDなどを設置しない場合のミニエン対応装置MD10を図3に示す。クリーンルームCL内にミニエン対応装置MD10を設置した場合、クリーンルームCL内の塵埃がミニエン対応装置MD10の筐体BE内に入らないように、HEPAフィルタHFを介してファンFNによって清浄な空気を取り入れることによって、筐体BE内部の圧力P1を筐体BE外部の圧力(クリーンルームCLの圧力)P2より例えば1?2Pa陽圧としている。」

(2)対比
本願発明1と原審引用発明1とを対比する。
ア 原審引用発明1の「基板を回転させる基板ホルダ11」は、本願発明1の「基板を回転させる回転部」に相当するといえる。
イ 上記(1)ア(ア)の原審引用文献1の記載(段落【0008】)及び原審引用文献1の【図1】の記載より、原審引用発明1の「ケース2」は、「少なくとも基板を覆う」ものであり、「チャンバ」であるといえる。
したがって、原審引用発明1の「ケース2」は、本願発明1の「少なくとも基板を覆うチャンバ」に相当するといえる。
ウ 原審引用発明1の「前記基板に光を照射するライン照明62」は、本願発明1の「前記基板に光を照射する照明光学系」に相当するといえる。
エ 原審引用発明1の「前記基板からの光を検出する検出ユニット13」は、本願発明1の「前記基板からの光を検出する検出光学系」に相当するといえる。
オ 上記(1)ア(ア)の原審引用文献1の記載(段落【0009】)及び原審引用文献1の【図1】の記載より、原審引用発明1の「清浄空気を供給する清浄流体供給装置5」は、清浄空気を「基板の上方より外周部へ供給する」ものであるといえる。したがって、原審引用発明1の「清浄空気を供給する清浄流体供給装置5」と、本願発明1の「前記基板の上方より外周部へ供給する第1及び第2の供給部」とは、「前記基板の上方より外周部へ供給する供給部」である点において共通するといえる。
そうすると、本願発明1と原審引用発明1とは、「前記基板の上方より外周部へ供給する供給部」を有する点において共通し、後述する相違点1及び4において相違するといえる。
カ 原審引用発明1の「清浄空気」は本願発明1の「媒体」に相当するといえ、原審引用発明1の「供給された前記清浄空気を排気する開口」と、本願発明1の「供給された前記媒体を前記基板の外側で排気する第1及び第2の排気部」とは、「供給された媒体を排気する排気部」である点において共通するといえる。
そうすると、本願発明1と原審引用発明1とは、「供給された媒体を排気する排気部」を有する点において共通し、後述する相違点2、3及び5において相違するといえる。
キ 原審引用発明1の「基板検査装置1」は、「基板に光を照射するライン照明62」と「前記基板からの光を検出する検出ユニット13」とを備えた検査装置であるから、「光学検査装置」であるといえる。
そうすると、本願発明1と原審引用発明1とは、「光学検査装置」である点において共通するといえる。
ク 以上から、本願発明1と原審引用発明1は、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)の点で相違すると認める。
(ア)一致点
「基板を回転させる回転部と、
少なくとも基板を覆うチャンバと、
前記基板に光を照射する照明光学系と、
前記基板からの光を検出する検出光学系と、
前記基板の上方より外周部へ供給する供給部と、
供給された媒体を排気する排気部と、を有する
光学検査装置。」
(イ)相違点
・相違点1
本願発明1は、「第1及び第2の供給部」を有するのに対し、原審引用発明1は、複数の「供給部」(清浄流体供給装置5)を有するとは特定しない点。
・相違点2
本願発明1は、「第1及び第2の排気部」を有するのに対し、原審引用発明1は、複数の「排気部」(開口)を有するとは特定しない点。
・相違点3
本願発明1の「第1及び第2の排気部」は、媒体を「基板の外側」で排気するのに対し、原審引用発明1は、「排気部」(開口)が、媒体(清浄空気)を「基板の外側」で排気するとは特定しない点。
・相違点4
本願発明1では、「前記第1及び第2の供給部は、該第1及び第2の供給部のそれぞれから供給される媒体が、それぞれ螺旋状に下降する独立した層流となり、且つ基板上方から見たときに前記基板の回転方向に向かって前記媒体を供給するように構成され」るのに対し、原審引用発明1は当該構成を特定しない点。
・相違点5
本願発明1では、「前記第1の排気部は、前記第1の供給部から供給された媒体によって形成される層流の到達位置に、前記第2の排気部は、前記第2の供給部から供給された媒体によって形成される層流の到達位置に設置され」るのに対し、原審引用発明1は当該構成を特定しない点。
・相違点6
本願発明1では、「前記媒体の供給により前記チャンバの圧力は前記チャンバの下部に向かうに従い低くなり、該圧力の最小値は前記チャンバ外部の圧力より高くなる」のに対し、原審引用発明1は当該構成を特定しない点。

(3)判断
ア 本願発明1について
事案に鑑み、相違点4について検討する。
原審引用文献1ないし6のいずれにも、相違点4に係る構成については記載も示唆もされていない。
そして、本願発明1は、相違点4に係る構成を備えることによって、「乱流を発生することなく、独立した異なる層流を形成し、基板に供給することができる」という、原審引用文献1ないし6に記載された発明からは予測することのできない、格別の効果を奏するものである。
したがって、相違点1ないし3、5及び6について検討するまでもなく、本願発明1は、原審引用文献1ないし6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、上記(1)ア(ア)の原審引用文献1の記載(段落【0004】ないし【0006】及び【0030】)より、原審引用発明1は、「検査位置に向けて清浄流体を案内することによって、検査位置の清純度を高く保つ」ことを目的とするものと認められ、また、上記(1)イ(ア)の原審引用文献2の記載(段落【0038】、【0039】、【0043】、【0052】、【0054】、【0057】及び【0059】)より、原審引用発明2においては、「給気部」(給気ユニット)から供給された「気体」(クリーンエア)が「基板保持手段の周囲を取り囲む筒状のカップ」(カップ5)のまわりを周回したあと「排気部」(排気ユニット)に吸い込まれる気流が形成されるものと認められるところ、原審引用発明1に対して原審引用発明2を適用した場合には、検査位置(基板の上面付近)に清浄流体が供給されず、「検査位置に向けて清浄流体を案内することによって、検査位置の清純度を高く保つ」という原審引用発明1の目的を達成することが困難となることは明らかであるから、原審引用発明1に対して原審引用発明2を適用することの動機付けは存在しない。
イ 本願発明2ないし12について
本願発明2ないし12は、本願発明1の発明特定事項を全て備えたものである。
そうすると、上記アのとおり、本願発明1が、原審引用文献1ないし6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、本願発明2ないし12は、原審引用文献1ないし6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 原査定の理由についてのまとめ
以上のとおり、本願発明1ないし12は、原審引用文献1ないし6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

第4 当審拒絶理由について
1 当審拒絶理由の概要
平成29年7月6日付けで当審より通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりである。
「1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記(引用文献等については引用文献等一覧参照)

(当審注.以下では本願の請求項1ないし22に係る発明を、それぞれ『本願発明1』ないし『本願発明22』という。)

1.理由1(サポート要件)について
(1)本願発明1ないし22について
本願発明1ないし22では媒体が流れる方向が特定されていないから、媒体を略鉛直下向きに供給するもの(いわゆる『ダウンフロー』)も、本願発明1ないし22に包含されるものと認められる。
他方、本願明細書の段落番号[0019]等には、『複数の気流が異なる層流を形成しながら螺旋(らせん)状に下降し、基板の上方より外周部へ供給されるもの』は記載されているが、気流を略鉛直下向きに供給するものは記載されていない。
また、気流を略鉛直下向きに供給するものは、周知技術である『ダウンフロー』と何ら相違するところがないから、本願明細書の段落[0002]ないし[0006]等に記載された本願発明の課題を解決できないことは明らかである。
以上のとおり、本願発明1ないし22は、発明の詳細な説明に記載されていないものを包含し、また、本願発明の課題を解決することができないものを包含するから、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。

(2)本願発明1、10、11、18ないし22について
本願発明1、10、11、18ないし22では、『検査装置』の検査対象や具体的構成が特定されていないから、光学的検査装置(鏡面ウェハ検査装置)以外の検査装置(例えば、半導体素子の電気的特性を検査する装置や、半導体製造装置を検査する装置等)をも包含するものと認められる。
他方、発明の詳細な説明には、光学的検査装置(鏡面ウェハ検査装置)については記載されているものの、その他の検査装置については実質的に記載されておらず、また、発明の詳細な説明に記載された発明を光学的検査装置(鏡面ウェハ検査装置)以外の検査装置に拡張ないし一般化することができるとはいえない。
したがって、本願発明1、10、11、18ないし22は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。

2.理由2(明確性)について
(1)本願発明1ないし22について
本願の請求項1に『媒体を前記チャンバの内面に沿って、前記基板の上方より外周部へ供給する供給部』との記載があるが、『媒体』の移動方向と『チャンバの内面』とが並行である(例えば、『チャンバの内面(側面)』が鉛直であり、『媒体』が鉛直下向きに移動する)ことを意味するのか、それとも、『媒体』が『チャンバの内面』に近接して移動することを意味するのかが不明であり、また、後者の場合には、『媒体』と『チャンバの内面』がどの程度近接している場合に『チャンバの内面に沿って』と言い得るのかが不明であるから、上記記載により特定される技術事項の範囲が不明である。
請求項1を引用する請求項2ないし22についても上記と同様である。
また、請求項11の『チャンバの内面に沿って形成し』との記載についても、上記と同様である。
よって、本願発明1ないし22は明確でない。

(2)本願発明1、10、11、18ないし22について
本願発明1、10、11、18ないし22は『検査装置』に係るものであるが、『検査装置』として機能するために必要な構成を含んでおらず、どのように動作するものであるのかが不明である。
したがって、本願発明1、10、11、18ないし22は明確でない。

(3)本願発明10及び18について
請求項10が引用する請求項1の記載によれば、媒体は基板の上方より供給されるものであり、『供給される媒体の向き』は下向きであると認められるところ、請求項10の『前記供給される媒体の向きは前記基板の回転と同じである』との記載により特定される基板の回転方向を特定することができない。
請求項18についても上記と同様である。
したがって、本願発明10及び18は明確でない。

3.理由3(進歩性)について
(1)本願発明1について
引用文献1の段落[0016]及び[図1]等に記載される『被検査基板(半導体ウエハ)1』は、本願発明1の『基板』に相当するといえる。
引用文献1の段落[0019]及び[図1]等に記載される、『回転機構4』を備えた『ステージ部13』は、本願発明1の『基板を回転させる回転部』に相当するといえる。
引用文献1の段落[0014]ないし[0018]及び[図1]等に記載される『試料室18』は、本願発明1の『少なくとも基板を覆うチャンバ』に相当するといえる。
引用文献1の段落[0016]、[0017]、[0020]、[0022]、[0059]、[図1]等の記載より、引用文献1には、『ファインフィルタユニット(FFU)3』により、『清純空気』を『被検査基板(半導体ウエハ)1』の外周部へ供給することが記載されているといえ、引用文献1に記載された『清純空気』及び『ファインフィルタユニット(FFU)3』は、それぞれ、本願発明1の『媒体』及び『供給部』に相当するといえる(ただし後述の『相違点1』において相違する)。そうすると、本願発明1と引用文献1に記載された発明とは、『媒体を前記基板の外周部へ供給する供給部』を有する点において共通するといえる。
引用文献1の[0016]、[0017]、[0021]、[0029]ないし[0033]、[図1]及び[図2]等の記載より、清純空気(本願発明1の『媒体』に相当)は、『吸気口112』により、被検査基板(半導体ウエハ)1(本願発明1の『基板』に相当)の外側で排気されるものと認められる。そうすると、引用文献1に記載された『吸気口112』は、本願発明1の『供給された前記媒体を前記基板の外側で排気する排気部』に相当するといえる。
引用文献1の段落[0017]等の記載より、『試料室18』(本願発明の『チャンバ』に相当)の圧力の最小値が、外部より高いことは明らかである。そうすると、本願発明1と引用文献1に記載された発明とは、『チャンバの圧力の最小値はチャンバ外部の圧力より高くなる』点において共通し、下記相違点2において相違するといえる。
引用文献1の段落[0015]、[図1]等の記載より、引用文献1には『表面検査装置100』が記載されていると認められるから、本願発明1と引用文献1に記載された発明とは、『検査装置』である点において共通するといえる。
以上から、本願発明1と引用文献1に記載された発明との一致点及び相違点は、以下のとおりであると認められる。
[一致点]
『基板を回転させる回転部と、
少なくとも基板を覆うチャンバと、
媒体を基板の外周部へ供給する供給部と、
供給された前記媒体を前記基板の外側で排気する排気部と、を有し、
前記媒体の供給により前記チャンバの圧力の最小値は前記チャンバ外部の圧力より高くなることを特徴とする検査装置。』
[相違点]
・相違点1 本願発明1における『供給部』は、『媒体を前記チャンバの内面に沿って、前記基板の上方より外周部へ供給する』のに対し、引用文献1に記載された発明は、『供給部』(ファインフィルタユニット(FFU)3)が『媒体』(清純空気)を『チャンバ』(試料室18)の内面にそって基板(被検査基板(半導体ウエハ)1)の上方より外周部へ供給するとは特定しない点。
・相違点2 本願発明1は『前記媒体の供給により前記チャンバの圧力は前記チャンバの下部に向かうに従い低くなる』のに対し、引用文献1に記載された発明は、当該構成について特定しない点。
上記相違点1及び2についてまとめて検討する。引用文献1の段落[0059]には、『また、上述した本発明の実施の形態においては、ウエハチャック7の側方からFFU3によって清浄空気を供給するよう構成したがこれに限られず、ウエハチャック7の上方から清浄空気を供給するよう構成しても良い。』と記載されており、当該記載に基づき、試料室18の上面にFFU3を設け、被検査基板(半導体ウエハ)1の上方から外周部に清浄空気を供給する構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。また、当該構成において、FFU3から吸気口112に向かう下向きの気流が形成されることは明らかであるところ、当該気流は『試料室18』(本願発明1の『チャンバ』に相当)の側面に沿ったものであるといえ、また、『試料室18』(本願発明1の『チャンバ』に相当)の圧力が下部に向かうに従い低くなることは明らかであるから、上記の構成は、相違点1及び2に係る構成を備えたものであるといえる。
なお、引用文献2(段落[0029]ないし[0032]、[図8]及び[図9]等)には、ウエハへの剥離物の付着を防ぐため、ウエハの上方から下向きの旋回流を供給することが記載されている。引用文献1、2に記載された発明は、ウエハへの異物の付着を抑止するために気流を形成する点において共通するものであるから(引用文献1の段落[0009]等、引用文献2の段落[0031]等)、引用文献1に記載された発明に対して引用文献2に記載された発明を適用し、ウエハの上方から下向きの旋回流を供給する構成とすることも、当業者であれば容易になし得たことである。
したがって、本願発明1は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2)本願発明2について
引用文献1の段落[0018]及び[図1]等に記載される『照明光学系2』及び『検出光学系8』はそれぞれ、本願発明2の『照明光学系』及び『検出光学系』に相当するといえる。
本願発明2と引用文献1に記載された発明とを比較すると、本願発明2は『前記チャンバの上面には開口が形成されており、前記照明光学系は前記開口を経由して前記基板に前記光を照射し、前記検出光学系は前記開口を経由した前記基板からの光を検出する』との構成を備えるのに対し、引用文献1に記載された発明は当該構成を特定しない点において相違する。
上記相違について検討する。上記相違に係る構成は、引用文献3(段落[0052]ないし[0054]及び[図1])、引用文献4(段落[0005])等に記載されているように本願出願時において周知であり、当業者であれば適宜採用することができたものである。
その他の点については上記(1)と同様である。
したがって、本願発明2は、引用文献1及び2に記載された発明と、引用文献3及び4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(3)本願発明3について
引用文献1に記載された発明に対して引用文献2及び3に記載された周知技術を適用する際に、『チャンバの高さ』を『光を基板にブリュースター角で照明できることが可能な高さ』とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
その他の点については上記(2)と同様である。
したがって、本願発明3は、引用文献1及び2に記載された発明と、引用文献3及び4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(4)本願発明4について
引用文献1に記載された発明に対して引用文献2及び3に記載された周知技術を適用する際に、開口部が形成されていない試料室18上面の周縁部にFFU3を設けることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
その他の点については上記(2)と同様である。
したがって、本願発明4は、引用文献1及び2に記載された発明と、引用文献3及び4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(5)本願発明5について
引用文献1に記載された発明においても、所定の角度で媒体が提供されることは明らかであるといえる。(なお、『所定の角度』には、『鉛直下向き』も含まれることに留意されたい。)
その他の点については上記(4)と同様である。
したがって、本願発明5は、引用文献1及び2に記載された発明と、引用文献3及び4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(6)本願発明6について
基板が配置される場所よりも外側に排気部を配置することは、引用文献1の[図2]等、引用文献2の[図9]等に記載されている。
その他の点については上記(4)と同様である。
したがって、本願発明6は、引用文献1及び2に記載された発明と、引用文献3及び4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(7)本願発明7
基板が配置される面に対して所定の角度を持って媒体を排気することは、引用文献1の[図2]等、引用文献2の[図9]等に記載されている。(なお、『所定の角度』には、『鉛直下向き』も含まれることに留意されたい。)
その他の点については上記(6)と同様である。
したがって、本願発明7は、引用文献1及び2に記載された発明と、引用文献3及び4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(8)本願発明8
供給部をチャンバの側面に配置することは、引用文献2の[図9]等に記載されている。
その他の点については上記(2)と同様である。
したがって、本願発明8は、引用文献1及び2に記載された発明と、引用文献3及び4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(9)本願発明9
排気部をチャンバの側面に配置すること、及び供給部よりも基板に近い位置に排気部を設けることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
その他の点については上記(8)と同様である。
したがって、本願発明9は、引用文献1及び2に記載された発明と、引用文献3及び4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(10)本願発明10
引用文献1に記載された発明は基板の回転による乱流を抑制することを目的とするものであるから(引用文献1の段落[0008]及び[0009]等)、引用文献1に記載された発明に対して引用文献2に記載された発明を適用する際に、基板の回転方向を考慮して媒体を供給する向きを決定することは、当業者であれば普通になし得たことである。
その他の点については上記(1)と同様である。
したがって、本願発明10は、引用文献1及び2に記載された発明と、引用文献3及び4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(11)本願発明11
清浄空気の流れを層流に近づけることで乱流を抑制することが、引用文献1(段落[0027])に記載され、また、引用文献2の図9等には複数の希釈ガス供給口を設けることが記載されているので、これらの記載に基づき、複数の層流が形成されるよう供給部を配置することは、当業者であれば適宜なし得たことである。
その他の点については上記(1)と同様である。
したがって、本願発明11は、引用文献1及び2に記載された発明と、引用文献3及び4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(12)本願発明12
引用文献1の段落[0018]及び[図1]等に記載される『照明光学系2』及び『検出光学系8』はそれぞれ、本願発明2の『照明光学系』及び『検出光学系』に相当するといえる。
その他の点については上記(1)と同様である。
したがって、本願発明12は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(13)本願発明13について
引用文献1に記載された発明においても、所定の角度で媒体が提供されることは明らかであるといえる。(なお、『所定の角度』には、『鉛直下向き』も含まれることに留意されたい。)
その他の点については上記(12)と同様である。
したがって、本願発明13は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(14)本願発明14について
基板が配置される場所よりも外側に排気部を配置することは、引用文献1の[図2]等、引用文献2の[図9]等に記載されている。
その他の点については上記(12)と同様である。
したがって、本願発明14は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(15)本願発明15について
基板が配置される面に対して所定の角度を持って媒体を排気することは、引用文献1の[図2]等、引用文献2の[図9]等に記載されている。(なお、『所定の角度』には、『鉛直下向き』も含まれることに留意されたい。)
その他の点については上記(12)と同様である。
したがって、本願発明15は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(16)本願発明16について
供給部をチャンバの側面に配置することは、引用文献2の[図9]等に記載されている。
その他の点については上記(12)と同様である。
したがって、本願発明16は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(17)本願発明17について
排気部をチャンバの側面に配置すること、及び供給部よりも基板に近い位置に排気部を設けることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
その他の点については上記(16)と同様である。
したがって、本願発明17は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(18)本願発明18について
引用文献1に記載された発明は基板の回転による乱流を抑制することを目的とするものであるから(引用文献1の段落[0008]及び[0009]等)、引用文献1に記載された発明に対して引用文献2に記載された発明を適用する際に、基板の回転方向を考慮して媒体を供給する向きを決定することは、当業者であれば普通になし得たことである。
その他の点については上記(1)と同様である。
したがって、本願発明18は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(19)本願発明19について
引用文献1に記載された発明に対して引用文献2に記載された発明を適用する際に、流体空気が摩擦により停滞することなくスムーズに供給されるよう、内面の形状を変更することは、当業者であれば適宜なし得たことである。
その他の点については上記(1)と同様である。
したがって、本願発明19は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(20)本願発明20について
引用文献1に記載された発明に対して引用文献2に記載された発明を適用する際に、流体空気が停滞することなくスムーズに供給されるよう、供給部や排気部の形状を変更することは、当業者であれば適宜なし得たことである。
その他の点については上記(1)と同様である。
したがって、本願発明20は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(21)本願発明21について
供給部及び排気部を複数設けることは引用文献2の[図9]等に記載されている。
その他の点については上記(1)と同様である。
したがって、本願発明21は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(22)本願発明22について
供給部と排気部の数を同数とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
その他の点については上記(21)と同様である。
したがって、本願発明22は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2010-236948号公報
2.特開平9-213637号公報
3.特開2000-131028号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2005-136249号公報(周知技術を示す文献)」

2 当審拒絶理由についての判断
(1)理由1(サポート要件)について
ア 当審拒絶理由の1.(1)において、本願の請求項1ないし22に係る発明は、媒体を略鉛直下向きに供給するもの(いわゆる「ダウンフロー」)を包含するものと認められるところ、そのようなものは発明の詳細な説明には記載されていない旨が指摘された。
これに対し、平成29年9月11日付け手続補正書による補正によって、本願発明1ないし12は「第1及び第2の供給部のそれぞれから供給される媒体が、それぞれ螺旋状に下降する独立した層流とな」るものに限定され、媒体を略鉛直下向きに供給するもの(いわゆる「ダウンフロー」)は包含しないこととなったから、上記の拒絶の理由は解消した。
イ 当審拒絶理由の1.(2)において、本願の請求項1、10、11、18ないし22に係る発明は光学検査装置以外の検査装置を包含するものと認められるところ、そのようなものは発明の詳細な説明には記載されていない旨が指摘された。
これに対し、平成29年9月11日付け手続補正書による補正によって、本願発明1ないし12は「光学検査装置」に限定され、光学検査装置以外の検査装置は包含しないものとなったから、上記の拒絶の理由は解消した。
ウ 以上より、当審拒絶理由の「1.理由1(サポート要件)について」に記載した拒絶の理由は、全て解消した。
(2)理由2(明確性)について
ア 当審拒絶理由の2.(1)において、本願の請求項1の「媒体を前記チャンバの内面に沿って、前記基板の上方より外周部へ供給する供給部」との記載は、「媒体」の移動方向と「チャンバの内面」とが並行である(例えば、「チャンバの内面(側面)」が鉛直であり、「媒体」が鉛直下向きに移動する)ことを意味するのか、それとも、「媒体」が「チャンバの内面」に近接して移動することを意味するのかが不明であり、また、後者の場合には、「媒体」と「チャンバの内面」がどの程度近接している場合に「チャンバの内面に沿って」と言い得るのかが不明であるから、上記記載により特定される技術事項の範囲が不明であり、さらに、本願の請求項11の「チャンバの内面に沿って形成し」との記載も、同様の理由により不明確であるから、請求項1ないし22に係る発明は明確でない旨が指摘された。
これに対し、平成29年9月11日付け手続補正書による補正によって、本願の請求項1ないし12は、「チャンバの内面に沿って」との記載を含まないものとなったから、上記の拒絶の理由は解消した。
イ 当審拒絶理由の2.(2)において、本願の請求項1、10、11及び18ないし22に係る発明は「検査装置」に係るものであるが、「検査装置」として機能するために必要な構成を含んでおらず、どのように動作するものであるのかが不明であるから、本願の請求項1、10、11及び18ないし22に係る発明は明確でない旨が指摘された。
これに対し、平成29年9月11日付け手続補正書による補正によって、本願発明1ないし12は「基板に光を照射する照明光学系」と「基板からの光を検出する検出光学系」を有するものに限定され、検査装置(光学検査装置)として機能するために必要な構成を含むものとなったから、上記の拒絶の理由は解消した。
ウ 当審拒絶理由の2.(3)において、本願の請求項10が引用する請求項1の記載によれば、媒体は基板の上方より供給されるものであり、「供給される媒体の向き」は下向きであると認められるところ、請求項10の「前記供給される媒体の向きは前記基板の回転と同じである」との記載により特定される基板の回転方向を特定することができず、また、請求項18についても同様の理由により不明確であるから、請求項10及び18に係る発明は明確でない旨が指摘された。
これに対し、平成29年9月11日付け手続補正書による補正によって、本願発明1ないし12は「第1及び第2の供給部のそれぞれから供給される媒体が、それぞれ螺旋状に下降する独立した層流とな」るものに限定され、請求項10の「前記供給される媒体の向きは前記基板の回転と同じである」との記載の意味が明確となったから、上記の拒絶の理由は解消した。(なお、当該補正により、請求項18は削除された。)
エ 以上より、当審拒絶理由の「2.理由2(明確性)について」に記載した拒絶の理由は、全て解消した。

(3)理由3(進歩性)について
ア 当審引用文献及び当審引用発明
(ア)当審引用文献1の記載事項及び当審引用発明
a 当審引用文献1の記載事項
当審拒絶理由において「引用文献1」として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2010-236948号公報(以下「当審引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、表面検査装置及び表面検査方法に関し、例えば、半導体ウエハ、磁気ディスク、或いは液晶表示素子等の基板を検査対象として検査する表面検査装置及び表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程においては、基板(半導体ウエハ)上に異物が存在すると、配線の絶縁不良や短絡等の不良の原因となる。これらの異物は、搬送装置等の可動部から発生するものや、人体から発生するもの、プロセスガスにより処理装置内で反応生成されたもの、薬品や材料の混入していたもの等種々の状態で混入される。磁気ディスクや液晶表示素子の製造工程においても同様であり、発生した異物の基板(磁気ディスク、又は液晶表示素子)への付着は不良の原因となる。
【0003】
そこで、製造工程においては表面検査装置を用いて基板表面の異物を検出し、管理することにより、各製造装置の発塵状況や各工程の清浄度などを監視・制御し、製品の品質低下や歩留り低下等の抑制を図っている。しかし、そのような表面検査装置においても、可動部等からの異物の発生は皆無ではなく、他の工程と同様に検査対象の基板(被検査基板)への異物の付着が懸念される。
【0004】
このような被検査基板への異物の付着を抑制する従来技術としては、特許文献1に記載のように、ケーシング内の支持基台上に配置されたXYステージ(ステージ)上に載置した被検査基板をレーザ顕微鏡で検査する装置において、ステージ上に載置された被検査基板の上方に通風口を設けるとともに、ファンが接続された2つの吸気口をステージの側方と支持基台の下方に配置することにより、被検査基板の上方から下方への空気の流れ(ダウンフロー)を発生させ、ステージの可動部から生じる異物の被検査基板への付着を抑制するものが知られている。
【0005】
また、特許文献2には、クリーンボックス内に配置されたXYステージ(ステージ)上に載置した被検査基板を光学ユニットで撮像して検査する装置において、クリーンボックスのステージの側方に位置する側面部に外部に通じる開口領域を設けるとともに、クリーンボックス内部のステージの下端部と略等しい高さ位置にステージ側に向かって張り出す張出部を設けることにより、クリーンボックス内に清浄な空気を供給するクリーンエアユニットからの空気をステージ方向に導いて被検査基板上を通過させ、クリーンボックス内に発生した異物の被検査基板への付着を抑制するものが開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、ケース内に配置されたXYステージ(ステージ)上に載置した被検査物を照明装置と検出装置により検査する装置において、吸引装置によりケース内に供給された空気を、空気誘導パネルにより被検査物上を平行に誘導するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-230037号公報
【特許文献2】特開2001-118896号公報
【特許文献3】特開2005-140778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、被検査基板を高速回転させつつ直線駆動して、被検査基板の表面を螺旋状・同心円状に走査するような装置においては、高速回転する被検査基板の周辺にエクマン螺旋渦流やカルマン渦流などによる気流の乱れ(以下、乱流と称する)が生じ、この乱流によって、可動部等から生じた異物が被検査基板周辺に巻き上げられ、又は滞留し、その被検査基板に付着することが懸念される。
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、被検査基板の周辺に生じる乱流を抑制することで被検査基板への異物の付着を抑制することができる表面検査装置及び表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、クリーンボックス内に設けられたステージに載置された被検査基板を検査する表面検査装置において、前記クリーンボックス内の前記被検査基板の周辺に清浄な空気を供給する空気供給手段と、前記被検査基板を回転駆動する回転駆動手段と、前記被検査基板の周辺に生じる乱流を抑制する乱流抑制手段とを備えたものとする。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、被検査基板の周辺に生じる乱流を抑制することで被検査基板への異物の付着を抑制することができる。
・・・
【0014】
<第1の実施の形態>
図1は、本実施の形態に係る表面検査装置の全体構成を示す透視側面図である。
【0015】
図1において、本実施の形態の表面検査装置100は、表面検査装置100の内外を隔てるケース15と、そのケース15の内部に設けられ、被検査基板の表面検査を行う検出ユニット14とを備えている。
【0016】
ケース15は、その上部に設けられ、外部の空気をケース15の内部に供給するファン(図示せず)及びファンにより供給される空気を清浄するフィルタ(図示せず)を備えたファインフィルタユニット(FFU)9を備えている。また、検出ユニット14は、被検査基板(例えば、半導体ウエハ)1が配置され表面検査が施される試料室18の内部にケース15内の空気を供給するファン(図示せず)及びファンにより供給される空気を清浄するフィルタ(図示せず)を備えたファインフィルタユニット(FFU)3と、試料室18内の空気を吸引する開口部を設けた吸気口12と、吸気口12を介して試料室18内の空気を吸引しケース15の外部に排出する排気ファンユニット11とを備えている。FFU9により清浄されケース15内に供給された空気(清浄空気)は、ケース15内の各部を通過し、ケース15の下部に設けられた排気口(図示せず)から外部に排出される。また、FFU9からケース15内に供給された清浄空気の一部分は、検出ユニット14に設けられた吸気口12及び排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。このように、FFU3,9によって清浄な空気が供給されることにより、ケース15及び検出ユニット14内部は高い清浄度に保たれる。つまり、ケース15及び検出ユニット14は、その内部が高い清浄度に保たれたクリーンボックスとして機能する。
【0017】
ここで、ケース15に設けられたFFU9の空気供給量や、ケース15に設けられた排気口(図示せず)及び検出ユニット14に設けられた排気ファンユニット11の空気排出量は、外部から塵埃等の異物を含んだ空気がケース15の内部に侵入するのを抑制するために、ケース15内部の気圧が外部と比較して正圧(陽圧)に保たれるように調整されている。つまり、排気ファンユニット11を動作させ、FFU3により試料室18内に供給された清浄空気の一部分を吸気口12を介して強制的にケース15の外部に排出した場合においても、ケース15内部の気圧が外部と比較して正圧(陽圧)に保たれるように調整されている。また、排気ファンユニット11を動作させない場合においては、FFU3により試料室18内に供給された清浄空気の一部分は、ケース15外部との気圧差によって吸気口12及び排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。なお、FFU3により試料室18内に供給された清浄空気のうち、吸気口12及び排気ファンユニット11を介してケース15内に排出されない一部の清浄空気は、試料室18の有する隙間等からケース15内に再度導かれ、ケース15の下部に設けられた排出口(図示せず)からケース15の外部に排出される。
【0018】
検出ユニット14は、被検査基板の一例である半導体ウエハ(以下、単にウエハと記載する)1を載置するステージ部13と、ステージ部13を支持する支持部16と、ステージ部13に載置されたウエハ(被検査基板)1に照明光を照射する照明光学系2と、ウエハ1からの光(散乱光、回折光、反射光など)を検出する検出光学系8と、照明光学系2及び検出光学系8を支持する光学系支持部17とを備えている。また、検出ユニット14において、ウエハ1が配置され表面検査が施される空間である試料室18はカバー(図示せず)により囲まれており、そのカバーと、支持部16、及び、光学系支持部17により試料室18が画定されている。
【0019】
ステージ部13は、ウエハ1を吸着(例えば、真空吸着)し保持する円板状のウエハチャック7と、ウエハチャック7を周方向に回転駆動させる回転機構4と、回転機構4を鉛直方向に移動させる垂直方向移動機構6と、垂直方向移動機構6を水平方向に移動させる水平方向移動機構5とを備えている。表面検査では、照明光学系2からウエハ1の表面に照明光を照射した状態で、ウエハ1を吸着したウエハチャック7を回転機構4で周方向に高速で回転させつつ水平方向移動機構5で水平移動させることにより、ウエハ1の表面を照明光により走査する。
【0020】
FFU3は、試料室18の側面に清浄空気を供給する給気口をステージ部13の方向に向けて設けられており、その供給する清浄空気がウエハチャック7の上側(言い換えるとウエハチャック7に載置されたウエハ1の上側)とウエハチャック7の下側に跨って供給されるように配置されている。また、FFU3の供給口の幅方向(図1中紙面に垂直な方向)の大きさがウエハチャック7の直径よりも大きくなるよう設けられており、ウエハチャック7(或いは、ウエハ1)の全体に清浄空気が供給されるように配置されている。
【0021】
吸気口12は、試料室18内の空気を吸引するための複数の開口部を有しており、ウエハチャック7のFFU3に対して反対側の端部(外周部)の下方に、その開口部を上側に向けて配置されている。また、吸気口12は、その複数の開口部がウエハチャック7の外周部の内側の下部から外側の下部に亘って分布するよう配置されている。吸気口12により吸引された空気は、吸気口12内で1つの流れとなり、排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。
【0022】
以上のように構成した表面検査装置において、FFU3のウエハチャック7よりも上方から試料室18内部に供給された清浄空気は、ウエハ1の上側をFFU3側(図1中左側)から吸気口12側(図1中右側)に通過し、ウエハチャック7の右側の端部付近から吸気口12が配置された下方へ流れ、吸気口12に吸引され、排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。また、FFU3のウエハチャック7よりも下方から試料室18内部に供給された清浄空気は、ウエハ1が載置されたウエハチャック7の下側をFFU3側(図1中左側)から吸気口12側(図1中右側)側に通過し、ウエハチャック7の右側の端部付近から吸気口12が配置された下方へ流れ、吸気口12に吸引され、排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。
【0023】
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
【0024】
従来技術の表面検査装置においては、表面検査を行う場合などにウエハ(被検査基板)1を周方向に高速回転させる(つまり、ウエハチャック7を周方向に高速回転させる)と、ウエハ1の周辺にエクマン螺旋渦流やカルマン渦流などによる気流の乱れ(乱流)が生じ、この乱流によって可動部等から生じた異物がウエハ1の周辺に滞留し、付着することが懸念された。
【0025】
これに対し、本実施の形態においては、ウエハチャック7のFFU3に対して反対側の端部(外周部)の下方に、その開口部を上側に向けて吸気口12を配置し、試料室18の側面に設けられたFFU3から供給され、ウエハチャック7の上側及び下側を通過した清浄空気を吸気口12により吸引するよう構成したので、ウエハチャック7周辺の清浄空気の流れの乱れを抑制して層流に近づけることができる。すなわち、高速回転するウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制することにより、ウエハ1に異物が付着するのを抑制することができる。
【0026】
また、FFU3から供給され、ウエハチャック7の下側を通過した清浄空気をウエハチャック7の下方に設けた吸気口12により吸引するように構成したので、ステージ部13の下方に配置された可動部から生じる塵埃がウエハ1の方向へ流れるのを抑制することができ、ウエハ1への異物の付着を抑制することができる。
【0027】
さらに、吸気口12の複数の開口部をウエハチャック7の外周部の内側の下部から外側の下部に亘って分布するよう配置したので、ウエハチャック7の上側を通過した清浄空気と下側を通過した清浄空気の流れが互いに干渉しにくく、FFU3から供給された清浄空気のウエハチャック7の周辺における流れの乱れをより効率良く抑制して層流に近づけることができる。つまり、高速回転するウエハチャック7の周辺に生じる乱流をより効率良く抑制することができ、ウエハ1に異物が付着するのを抑制することができる。
【0028】
なお、本実施の形態においては、吸気口12が複数の開口部を有する場合を例に説明したが、これに限られず、例えば、吸気口12が1つの開口部を有し、その開口部がウエハチャック7の外周部の内側の下部から外側の下部に亘って分布する構成としても良い。
【0029】
<変形例>
第1の実施の形態の変形例を図2を用いて説明する。図中、図1に示した部材と同等の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。この変形例の実施の形態は、吸気口112を、その複数の開口部がウエハチャック7の外周部の下方に位置するよう配置し、ウエハチャック7の外周部の空気を吸気口112により吸引することによって、乱流を抑制した場合のものである。
【0030】
図2は、本変形例における、吸気口112とウエハチャック7の位置関係を示す図である。
【0031】
図2において、吸気口112は、試料室18内の空気を吸引するための複数の開口部を有しており、ウエハチャック7の外周部の下方に、その開口部を上側に向けて配置されている。吸気口112により吸引された空気は、吸気口112内で1つの流れとなり、排気ファンユニット11を介してケース15の外部に排出される。
【0032】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0033】
以上のように構成した本変形例においては、ウエハチャック7の外周部の清浄空気を吸気口112によって吸引することにより、高速回転するウエハチャック7の外周部の空気の流れの乱れ(乱流)を抑制して層流に近づけ、ウエハ1に異物が付着するのを抑制することができる。
・・・
【0059】
<その他の実施の形態>
以上に本発明の幾つかの実施の形態を説明したが、これら実施の形態は本発明の精神の範囲内で種々の変形・組み合わせが可能である。例えば、図6に示した第1の実施の形態(又は変形例)は、ウエハチャック7の下方に吸気口12を配置し、吸気口12によって空気を吸引することによりウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制したものであるが、図4に示した第3実施の形態及び図6に示した第3の実施の形態及び第4の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、ウエハチャック7の下方に吸気口12を配置し、吸気口12によって空気を吸引することによりウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制することができる。また、図7に示した第5の実施の形態は、ウエハチャック7の下方に気流吸収減衰板512を配置し、気流吸収減衰板512によってウエハチャック7の周辺に生じる乱流を吸収することにより抑制したものであるが、図4に示した第3実施の形態及び図6に示した第3の実施の形態及び第4の実施の形態においても、ウエハチャック7の下方に気流吸収減衰板512を配置し、気流吸収減衰板512によってウエハチャック7の周辺に生じる乱流を吸収することにより抑制することができる。また、図4に示した第4の実施の形態は、ウエハチャック7の外周部にフィン312を配置し、フィン312によってウエハチャック7の外周部の空気を下方に導くことによりウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制したものであるが、図6図6に示した第3の実施の形態においても、ウエハチャック7の外周部にフィン312を配置し、フィン312によってウエハチャック7の外周部の空気を下方に導くことによりウエハチャック7の周辺に生じる乱流を抑制することができる。また、上述した本発明の実施の形態においては、ウエハチャック7の側方からFFU3によって清浄空気を供給するよう構成したがこれに限られず、ウエハチャック7の上方から清浄空気を供給するよう構成しても良い。」
b 当審引用発明
上記aの当審引用文献1の記載及び当該技術分野における技術常識より、当審引用文献1には下記の発明(以下「当審引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ウエハ1を吸着し保持するウエハチャック7と、
ウエハチャック7を周方向に回転駆動させる回転機構4と、
試料室18と、
ウエハ1に照明光を照射する照明光学系2と、
ウエハ1からの光を検出する検出光学系8と、
ウエハ1に清浄空気を供給するFFU3と、
供給された前記清浄空気を排気する吸気口112と、
を有する表面検査装置100。」
(イ)当審引用文献2の記載事項
当審拒絶理由において「引用文献2」として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開平9-213637号公報(以下「当審引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0029】実施の形態6.図8はこの発明の一実施の形態による薄膜形成装置の円筒状反応室を示す断面図である。図において、1は反応室、4は反応室1内へ反応ガスを供給する反応ガス供給口、30は反応室1内で未反応の反応ガス及び希釈ガスを排出する排気口で、円筒状反応室1の下流部端の底面全体に設けたものである。また、9は成膜時の被処理物である複数の半導体ウエハ、10は半導体ウエハ9を保持する円盤状のトレイであり、11はそのトレイ10を回転することのできる円盤状のサセプタである。20は希釈ガスを円筒状反応室1の接線方向に流すことができるように排気口30より上流部に設けた希釈ガス供給口である。
【0030】次に動作について説明する。希釈ガス供給口20から希釈ガスを導入し、導入されたガスを排気口30から排出することで反応室1内に旋回流40を生成する。排気口30を反応室1の下流部端の底面全体に備えたことで、旋回流40を効率的に吸引でき、反応室1内全域にわたって安定した旋回流40を生成できる。この旋回流40によって、より効率よく反応室1内の付着膜、付着物を舞上げ、除去できる。例えば、半導体ウエハ(被処理物)9を処理できる薄膜形成装置の場合には、ウエハ9を反応室1に搬送する前に、希釈ガス供給口20から大流量のH_(2)ガスを流すと同時に、真空排気口30から反応室1内のガスを排出することで、反応室1内壁に沿って大流速の旋回流40が生成し、反応室1内の付着膜、付着物を舞上げ、除去することができる。また、ウエハ9上への成膜処理中には、反応室1内壁に沿う希釈ガスによる旋回流40のために反応室1内壁上へ付着膜、付着物が形成されるのを抑制できる。
【0031】以上に述べたように、この実施の形態によれば、成膜処理前には、薄膜形成装置内に形成された付着膜や反応副生成物による付着物を、当該薄膜形成装置を分解してメンテナンスすることなく、均一かつ効率的に除去することができる。また成膜処理時には、反応室1内壁上への反応副生成物の付着を抑制すると同時に、壁面からの剥離物がウエハ9上に付着するのを抑制することができる。そして、付着物等の取れ残りや各種部材の腐食による異物発生を飛躍的に防止できると共に、製造するデバイスの特性劣化或いは不良品発生をなくして製造歩留りを向上することができる。
【0032】また、図9に示すように排出口31を底面外周縁部に設けたもの、あるいは底面外周縁部に円筒状反応室1の中心から等角度に複数の排出口を設けても同様の効果を得ることができる。さらに、実施の形態1から7では旋回流40の軸が、半導体ウエハ9の面に対して垂直方向になっているが、図10に示すように旋回流40の軸が、半導体ウエハ9の面に対して平行方向になるようにしても良い。」
(ウ)当審引用文献3の記載事項
当審拒絶理由において「引用文献3」として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2000-131028号公報(原査定において「引用文献3」として引用された文献(原審引用文献3)と同一のものであり、以下では「当審引用文献3」という。)には、図面とともに、上記第3の2(1)ウに摘記したとおりの事項が記載されている。
(エ)当審引用文献4の記載事項
当審拒絶理由において「引用文献4」として引用され、本願の出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2005-136249号公報(原査定において「引用文献4」として引用された文献(原審引用文献4)と同一のものであり、以下では「当審引用文献4」という。)には、図面とともに、上記第3の2(1)エに摘記したとおりの事項が記載されている。
イ 対比
本願発明1と当審引用発明とを対比する。
(ア)当審引用発明の「ウエハ1」は、本願発明1の「基板」に相当するといえ、当審引用発明の「ウエハチャック7を周方向に回転駆動させる回転機構4」は、本願発明1の「基板を回転させる回転部」に相当するといえる。
(イ)上記ア(ア)aの当審引用文献1の記載(段落【0018】)及び当審引用文献1の【図1】の記載より、当審引用発明の「試料室18」は、「少なくとも基板を覆う」ものであり、また、「チャンバ」であるといえる。
したがって、当審引用発明の「試料室18」は、本願発明1の「少なくとも基板を覆うチャンバ」に相当するといえる。
(ウ)当審引用発明の「ウエハ1に照明光を照射する照明光学系2」は、本願発明1の「前記基板に光を照射する照明光学系」に相当するといえる。
(エ)当審引用発明の「ウエハ1からの光を検出する検出光学系8」は、本願発明1の「前記基板からの光を検出する検出光学系」に相当するといえる。
(オ)当審引用発明の「ウエハ1に清浄空気を供給するFFU3」と、本願発明1の「前記基板の上方より外周部へ供給する第1及び第2の供給部」とは、「基板へ供給する供給部」である点において共通するといえる。
そうすると、本願発明1と当審引用発明とは、「基板へ供給する供給部」を有する点において共通し、後述する相違点1ないし3において相違するといえる。
(カ)当審引用発明の「清浄空気」は本願発明1の「媒体」に相当するといえる。また、上記ア(ア)aの当審引用文献1の記載(段落【0031】)及び当審引用文献1の【図2】の記載より、当審引用発明の「供給された前記清浄空気を排気する吸気口112」は、2以上の開口を有し、かつ、供給された前記清浄空気を「基板の外側」で排気するものであるといえる。
したがって、当審引用発明の「供給された前記清浄空気を排気する吸気口112」は、本願発明1の「供給された前記媒体を前記基板の外側で排気する第1及び第2の排気部」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と当審引用発明とは、「供給された前記媒体を前記基板の外側で排気する第1及び第2の排気部」を有する点において共通し、後述する相違点4において相違するといえる。
(キ)当審引用発明の「表面検査装置100」は、「ウエハ1に照明光を照射する照明光学系2」と「ウエハ1からの光を検出する検出光学系8」とを備えた検査装置であるから、「光学検査装置」であるといえる。
そうすると、本願発明1と当審引用発明とは、「光学検査装置」である点において共通するといえる。
(ク)以上から、本願発明1と当審引用発明は、下記aの点で一致し、下記bの点で相違すると認める。
a 一致点
「基板を回転させる回転部と、
少なくとも基板を覆うチャンバと、
前記基板に光を照射する照明光学系と、
前記基板からの光を検出する検出光学系と、
前記基板へ供給する供給部と、
供給された媒体を前記基板の外側で排気する第1及び第2の排気部と、
を有する光学検査装置。」
b 相違点
・相違点1
本願発明1は、「第1及び第2の供給部」を有するのに対し、当審引用発明は、複数の「供給部」(FFU3)を有するとは特定しない点。
・相違点2
本願発明1の「第1及び第2の供給部」は、「基板の上方より外周部へ供給する」のに対し、当審引用発明は、「基板の上方より外周部へ供給する」とは特定しない点。
・相違点3
本願発明1では、「前記第1及び第2の供給部は、該第1及び第2の供給部のそれぞれから供給される媒体が、それぞれ螺旋状に下降する独立した層流となり、且つ基板上方から見たときに前記基板の回転方向に向かって前記媒体を供給するように構成され」るのに対し、当審引用発明は当該構成を特定しない点。
・相違点4
本願発明1では、「前記第1の排気部は、前記第1の供給部から供給された媒体によって形成される層流の到達位置に、前記第2の排気部は、前記第2の供給部から供給された媒体によって形成される層流の到達位置に設置され」るのに対し、当審引用発明は当該構成を特定しない点。
・相違点5
本願発明1では、「前記媒体の供給により前記チャンバの圧力は前記チャンバの下部に向かうに従い低くなり、該圧力の最小値は前記チャンバ外部の圧力より高くなる」のに対し、当審引用発明は当該構成を特定しない点。
ウ 判断
(ア)本願発明1について
事案に鑑み、相違点3について検討する。
当審引用文献1ないし4のいずれにも、相違点3に係る構成については記載も示唆もされていない。
そして、本願発明1は、相違点3に係る構成を備えることによって、「乱流を発生することなく、独立した異なる層流を形成し、基板に供給することができる」という、当審引用文献1ないし4に記載された発明からは予測することのできない、格別の効果を奏するものである。
したがって、相違点1、2、4及び5について検討するまでもなく、本願発明1は、当審引用文献1ないし4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(イ)本願発明2ないし12について
本願発明2ないし12は、本願発明1の発明特定事項を全て備えたものである。
そうすると、上記(ア)のとおり、本願発明1が、当審引用文献1ないし4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、本願発明2ないし12は、当審引用文献1ないし4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
エ 理由3(進歩性)についてのまとめ
以上のとおり、本願発明1ないし12は、当審引用文献1ないし4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえないから、当審拒絶理由の理由3によっては、本願を拒絶することはできない。

3 当審拒絶理由についてのまとめ
以上のとおり、当審拒絶理由の理由1ないし3によっては、本願を拒絶することはできないから、当審拒絶理由によっては、もはや本願を拒絶することはできない。

第5 結言
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-10-24 
出願番号 特願2012-163222(P2012-163222)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01N)
P 1 8・ 537- WY (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 樫本 剛堀江 義隆  
特許庁審判長 飯田 清司
特許庁審判官 小田 浩
須藤 竜也
発明の名称 検査装置  
代理人 岩崎 重美  
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