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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1333765
審判番号 不服2017-2602  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-22 
確定日 2017-10-19 
事件の表示 特願2015-118897号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月 5日出願公開、特開2017- 514号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年6月12日の出願であって、平成28年4月26日付けで拒絶理由が通知され、平成28年7月11日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成28年11月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成29年2月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり、平成28年7月11日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、本件補正箇所を示す。)。

(補正前:平成28年7月11日付け手続補正)
「【請求項1】
所定条件の成立を契機に当り抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段での抽選結果に基づいて複数の絵柄を変動表示可能な表示手段と、
遊技者が操作可能な操作手段と、
前記操作手段に関連する操作演出を実行可能な操作演出実行手段と、
前記操作手段の操作検出が無効な検出無効状態と、操作検出が有効な検出有効状態とに切り換え可能な切換手段と、を備え、
前記操作演出実行手段は、
前記検出無効状態中に、遊技者に対して前記検出有効状態への切り換えを示唆する誘導報知を実行可能な誘導報知手段と、
前記検出有効状態中に、少なくとも、遊技者に対して前記操作手段の操作を促すための第1操作報知と、該第1操作報知とは異なる第2操作報知とを実行可能な操作報知手段と、を備え、
前記誘導報知手段は、前記操作報知手段により前記第1操作報知と前記第2操作報知とのいずれが実行される場合においても、前記誘導報知の開始から該第1操作報知又は第2操作報知が開始するまでの期間に亘って、共通の該誘導報知を実行可能であり、
前記誘導報知は、前記操作手段を模した画像が形成されていく表示態様の画像表示であることを特徴とする遊技機。」

(補正後:本件補正である平成29年2月22日付け手続補正)
「【請求項1】
所定条件の成立を契機に当り抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段での抽選結果に基づいて複数の絵柄を変動表示可能な表示手段と、
遊技者が操作可能な操作手段と、
前記操作手段に関連する操作演出を実行可能な操作演出実行手段と、
前記操作手段の操作検出が無効な検出無効状態と、操作検出が有効な検出有効状態とに切り換え可能な切換手段と、を備え、
前記操作演出実行手段は、
前記検出無効状態中に、遊技者に対して前記検出有効状態への切り換えを示唆する誘導報知を実行可能な誘導報知手段と、
前記検出有効状態中に、少なくとも、遊技者に対して前記操作手段の操作を促すための第1操作報知と、該第1操作報知とは異なる第2操作報知とを実行可能な操作報知手段と、を備え、
前記誘導報知手段は、前記操作報知手段により前記第1操作報知と前記第2操作報知とのいずれが実行される場合においても、前記誘導報知の開始から該第1操作報知又は第2操作報知が開始するまでの期間に亘って、共通の該誘導報知を実行可能であり、
前記誘導報知は、前記操作手段を模した画像が徐々に形成されていく表示態様の画像表示であることを特徴とする遊技機。」

2.補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「誘導報知手段」の「誘導報知」について、補正前の「前記誘導報知は、前記操作手段を模した画像が形成されていく表示態様の画像表示であること」なる記載に「徐々に」との限定を付加する補正を行うものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同様第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下に検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A?Iは本件補正発明を分説するため当審で付与した。)。

「A 所定条件の成立を契機に当り抽選を行う抽選手段と、
B 前記抽選手段での抽選結果に基づいて複数の絵柄を変動表示可能な表示手段と、
C 遊技者が操作可能な操作手段と、
D 前記操作手段に関連する操作演出を実行可能な操作演出実行手段と、
E 前記操作手段の操作検出が無効な検出無効状態と、操作検出が有効な検出有効状態とに切り換え可能な切換手段と、を備え、
F 前記操作演出実行手段は、
F-1 前記検出無効状態中に、遊技者に対して前記検出有効状態への切り換えを示唆する誘導報知を実行可能な誘導報知手段と、
F-2 前記検出有効状態中に、少なくとも、遊技者に対して前記操作手段の操作を促すための第1操作報知と、該第1操作報知とは異なる第2操作報知とを実行可能な操作報知手段と、を備え、
G 前記誘導報知手段は、前記操作報知手段により前記第1操作報知と前記第2操作報知とのいずれが実行される場合においても、前記誘導報知の開始から該第1操作報知又は第2操作報知が開始するまでの期間に亘って、共通の該誘導報知を実行可能であり、
H 前記誘導報知は、前記操作手段を模した画像が徐々に形成されていく表示態様の画像表示である
I ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2015-51115号公報(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(ア)「【0032】
[パチンコ遊技機1の操作手段の構成例]
図2に例示されるように、枠部材3には、遊技者が操作する操作手段として、演出ボタン26及び十字キー27が設けられている。演出ボタン26は、遊技者が押下することによって操作情報を入力するための押ボタンである。十字キー27は、遊技者が選択操作を行うためのいわゆる十字キーである。パチンコ遊技機1では、演出ボタン26又は十字キー27の操作に応じた演出が行われる場合がある。」

(イ)「【0045】
まず、図5及び図6を参照して、突出状態を表す示唆画像が表示される場合の演出の一例について説明する。まず、例えば第1始動口11に遊技球が入賞すると、第1特別図柄表示器41において特別図柄の変動表示が開始され、これに伴い、液晶表示装置5に3列表示された装飾図柄が例えば上から下にスクロールするように、装飾図柄50の変動表示が開始される(図6参照)。本実施形態においては、示唆画像を用いるボタン演出は、図柄の変動中に行われる。」

(ウ)「【0071】
メインCPU101は、第1始動口スイッチ111からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第1特別図柄判定を実行する。また、第2始動口スイッチ112からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第2特別図柄判定を実行する。そして、大当たりであると判定した場合には、第1大入賞口制御部118(又は第2大入賞口制御部119)を介して第1大入賞口13(又は第2大入賞口19)を開閉する。」

(エ)「【0158】
リーチ有り演出を行うと決定されたと判定した場合(ステップS1050:YES)、サブCPU131は、変動開始コマンドを受信した時点で取得した演出乱数を用いた抽選処理を行うことによって、ボタン演出の内容(実行の有無、及び、実行する場合には演出ボタン26を突出状態とするか通常状態とするか)を決定する(ステップS1051)。具体的には、演出乱数の値とボタン演出の内容とが対応付けられた、サブROM132に記憶されているボタン演出の演出テーブルの中から、変動開始コマンドを受信した時点で取得した演出乱数に対応する内容を読み出すことによって、ボタン演出の内容を決定する。詳細な説明は省略するが、この演出テーブルとしては、例えば、特別図柄判定の判定結果が「大当たり」の場合に使用するテーブルと、特別図柄判定の判定結果が「ハズレ」であって変動時間が所定時間(例えば60秒)以上の場合に使用するテーブルと、特別図柄判定の判定結果が「ハズレ」であって変動時間が所定時間未満である場合に使用する演出テーブルとが個別に設けられており、遊技制御基板100から受信した変動開始コマンドに含まれている各種設定情報に基づいて選択したいずれかの演出テーブルを参照して、ボタン演出の内容が決定される。
・・・
【0161】
示唆演出を実行しないと判定された場合(ステップS1053:NO)、後述するステップS1060に処理が進められる。一方、示唆演出を実行すると判定した場合(ステップS1053:YES)、サブCPU131は、ボタン演出の内容に応じて示唆演出の演出内容(示唆画像の内容及び表示パターン)を決定する(ステップS1054)。すなわち、ステップS1051において演出ボタン26を突出状態とするボタン演出の実行が決定された場合には、突出状態となる演出ボタン26を表す示唆画像51を、上記明瞭パターンで表示する演出内容に決定される。また、ステップS1051において演出ボタン26を通常状態とするボタン演出の実行が決定された場合には、通常状態となる演出ボタン26を表す示唆画像51を、上記明瞭パターンで表示する演出内容に決定される。」

(オ)「【0187】
ステップS607の処理を実行した場合、又は、ステップS608の処理を実行した場合、ランプCPU151は、ボタンランプ98の点灯開始タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS609)。ここで、ボタンランプ98の点灯開始タイミングは、ボタン演出の開始タイミング、換言すれば、演出ボタン26の有効期間の開始タイミングである。この点灯開始タイミングが到来したか否かは、ボタン画像62又は64(図5及び図7参照)の表示が開始されたことを示す画像音響制御に関するデータをステップS601のデータ受信処理で受信したか否かに基づいて判定することが可能である。」

(カ)「【0192】
[本実施形態の作用効果]
以上に説明した本実施形態によれば、パチンコ遊技機1は、操作可能な操作手段(演出ボタン26)を備え、始動条件の成立に応じて、有利な特別遊技を実行するか否かを判定して当該判定の結果に応じて特別遊技(大当たり遊技)を実行する。ここで、パチンコ遊技機1は、以下の手段を備える。
・所定期間において、演出ボタン26に対する操作を促す操作画像(ボタン画像52又は54)を第1の態様で画面に表示する操作画像表示手段(S1051)
・上記所定期間の前に、上記ボタン画像の表示を示唆するための示唆画像として、ボタン画像と実質的に同じ表示位置に、ボタン画像と実質的に同じ形状の画像を、第2の態様で(半透明で)表示する示唆画像表示手段(S1054)
【0193】
上記の構成によれば、示唆画像による示唆演出によってボタン演出の実行を示唆することによって、ボタン演出が行われるか否かの期待感を遊技者に抱かせ、ボタン演出の演出効果を向上することができる。ここで、ボタン演出を示唆するための示唆演出としては、ボタン画像に関連する(ボタン画像とは異なる)演出画像をボタン演出に先立って表示することも考えられる。しかし、ボタン画像との関連性が低い演出画像を、ボタン画像の表示位置とは異なる位置に表示するとすれば、そのような演出画像では、ボタン演出が開始される(可能性がある)ことを遊技者が認識することができず、示唆演出の効果を発揮できない場合がある。これに対して、上記の構成によれば、示唆画像は、ボタン画像と実質的に同じ位置に表示される、ボタン画像と実質的に同じ形状の画像である。したがって、遊技者は示唆画像を見ることでボタン画像を直感的にイメージすることができ、ボタン演出が行われる可能性があることを、示唆画像の表示時点で容易にイメージすることができる。つまり、上記の構成によれば、遊技者は、操作手段を操作するタイミングの到来を事前にかつ容易に把握することができる。また、ボタン画像52が実際に表示された場合に、遊技者は演出ボタン26に対する操作を慌てることなく行うことができる。
【0194】
また、本実施形態のように、示唆画像を、ボタン画像よりも不明瞭な態様で(半透明で)表示することによって、遊技者は示唆画像とボタン画像とを容易に区別することができる。このとき、示唆画像を見ても遊技者は演出ボタン26に対する操作を促されているとは考えないので、示唆画像の表示期間を演出ボタン26の有効期間と遊技者が誤認識することを防止することができる。
・・・
【0197】
また、上記実施形態においては、上記示唆画像表示手段は、上記第2の態様(半透明)で表示される示唆画像を、所定期間(ボタン画像54の表示期間)が近づくにつれて第1の態様(通常の表示態様)に次第に近づくように表示態様を変化させる。これによれば、示唆画像の表示態様の変化によって、ボタン演出が行われる期待感をより強く遊技者に意識させることができ、ボタン演出の演出効果をより向上することができる。また、遊技者は、示唆画像51の表示態様の変化によって、ボタン演出の開始までの残り時間を感覚的に把握することができる。なお、本実施形態においては、示唆画像の表示態様の変化と共に、演出ボタン26に設けられるボタンランプ98の発光態様(発光パターン)が変化する。そのため、ボタンランプ98の発光態様によっても、ボタン演出が行われる期待感をより強く遊技者に意識させることができ、ボタン演出の演出効果をより向上することができる。」

(キ)「【0200】
図23は、上記実施形態の変形例におけるボタン演出及び示唆演出の一例について説明するための説明図である。本変形例において、液晶表示装置5に表示される装飾図柄50の変動が開始された図23後、示唆画像56が表示される(図23(A)参照)点は、上記実施形態と同様である。表示開始時点において、示唆画像56は、図7に示す示唆画像55と同じである。
【0201】
本変形例においては、初期変化期間において、示唆画像56は、突出状態に近づくようにその形状が変化し、さらに、示唆画像56の変化に合わせて演出ボタン26も突出状態に近づくように変化する(図23(B)参照)。なお、図23では示唆画像56の透明度(濃さ)は変化しないが、他の実施形態においては、上記実施形態と同様に示唆画像56の透明度を変化させるようにしてもよい。すなわち、示唆画像56の形状及び透明度の両方を変化させるようにしてもよい。また、図23ではボタンランプ98は点滅しないが、他の実施形態においては、上記実施形態と同様にボタンランプ98を点滅させるようにしてもよい。
【0202】
ここで、本変形例においては、示唆画像56が表示される示唆演出が行われる場合、突出状態でボタン演出が行われる場合(図23(C),(D)参照)と、通常状態でボタン演出が行われる場合(図23(E),(F)参照)とがある。
【0203】
突出状態でボタン演出が行われる場合には、初期変化期間の経過後も、示唆画像56は、突出状態に近づくようにその形状が変化し、演出ボタン26も突出状態に近づくように変化する(図23(C)参照)。そして、ボタン演出が開始されるタイミングで、示唆画像56は、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52に変化し、「押せ!」というメッセージ及びゲージ53が表示される。また、演出ボタン26は突出状態となり、ボタンランプ98は上記実施形態と同様に点灯する(図23(D)参照)。
【0204】
一方、通常状態でボタン演出が行われる場合には、初期変化期間の経過後、示唆画像56は、通常状態に近づくようにその形状が変化し、演出ボタン26も通常状態に近づくように変化する(図23(E)参照)。つまり、示唆画像56及び演出ボタン26は、元の状態(示唆演出開始時の状態)に戻るように変化する。そして、ボタン演出が開始されるタイミングで、示唆画像56は、通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55に変化し、「押せ!」というメッセージ及びゲージ53が表示される。また、演出ボタン26は通常状態となり、ボタンランプ98は上記実施形態と同様に点灯する(図23(F)参照)。
・・・
【0208】
なお、上記実施形態及び変形例においては、示唆演出の実行中に示唆画像が変化する場合を説明したが、他の実施形態においては、示唆演出の実行中に示唆画像の表示形態や形状を変化させずに示唆画像を表示してもよい。また、示唆演出の実行中におけるボタンランプ98の発光パターンは任意であり、示唆演出の実行中においては、ボタンランプ98は発光しなくてもよい。」

なお、上記(カ)の【0192】には「ボタン画像52又は54」と記載され、【0197】には「ボタン画像54」と記載されているものの、下記【0203】の「ボタン画像52」、【0204】の「ボタン画像55」なる記載を参酌すれば、上記【0192】の「ボタン画像52又は54」は「ボタン画像52又は55」の誤記であること、【0197】の「ボタン画像54」は「ボタン画像55」の誤記であることは明らかである(以下、【0192】の「ボタン画像52又は54」は「ボタン画像52又は55」、【0197】の「ボタン画像54」は「ボタン画像55」とする)。

上記(ア)?(キ)の記載事項から、以下の事項がいえる。なお、(a)?(i)は、本件補正発明の構成A?Iに対応した事項を示している。

(a)上記(ウ)の【0071】には「メインCPU101は、第1始動口スイッチ111からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第1特別図柄判定を実行する」と記載されている。
したがって、引用文献1には、第1始動口スイッチ111からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第1特別図柄判定を実行するメインCPU101が記載されているといえる。

(b)上記(イ)の【0045】には「第1始動口11に遊技球が入賞すると、第1特別図柄表示器41において特別図柄の変動表示が開始され、これに伴い、液晶表示装置5に3列表示された装飾図柄が例えば上から下にスクロールするように、装飾図柄50の変動表示が開始される」と記載されている。
したがって、引用文献1には、第1始動口11に遊技球が入賞すると、第1特別図柄表示器41において特別図柄の変動表示が開始され、これに伴い、3列表示された装飾図柄が上から下にスクロールするように、装飾図柄50の変動表示が開始される液晶表示装置5が記載されているといえる。

(c)上記(ア)の【0032】には「演出ボタン26は、遊技者が押下することによって操作情報を入力するための押ボタンである」と記載されている。
したがって、引用文献1には、遊技者が押下することによって操作情報を入力するための押ボタンである演出ボタン26が記載されているといえる。

(d)上記(エ)の【0158】には「サブCPU131は、変動開始コマンドを受信した時点で取得した演出乱数を用いた抽選処理を行うことによって、ボタン演出の内容(実行の有無、及び、実行する場合には演出ボタン26を突出状態とするか通常状態とするか)を決定する(ステップS1051)」、【0161】には「サブCPU131は、ボタン演出の内容に応じて示唆演出の演出内容(示唆画像の内容及び表示パターン)を決定する(ステップS1054)」と記載されている。
したがって、引用文献1には、変動開始コマンドを受信した時点で取得した演出乱数を用いた抽選処理を行うことによって、ボタン演出の内容(実行の有無、及び、実行する場合には演出ボタン26を突出状態とするか通常状態とするか)を決定し、ボタン演出の内容に応じて示唆演出の演出内容(示唆画像の内容及び表示パターン)を決定するサブCPU131が記載されているといえる。

(e)上記(オ)の【0187】には「ボタンランプ98の点灯開始タイミングは、ボタン演出の開始タイミング、換言すれば、演出ボタン26の有効期間の開始タイミングである」と記載されているから、演出ボタン26の有効期間は演出ボタン26が有効な状態中であるといえ、演出ボタン26の有効期間の開始タイミング前は演出ボタン26が有効ではない状態中であるといえる。また、ボタンランプ98の点灯開始タイミングは、演出ボタン26の有効期間の開始タイミングであり、このタイミングで演出ボタン26が有効ではない状態から有効な状態に切り換えられるといえる。そうすると、演出ボタン26の有効ではない状態と有効な状態とを切り換えるにあたり、切り換えを行うための何らかの手段は備えていることは明らかである。
したがって、引用文献1には、演出ボタン26の有効ではない状態と有効な状態とを切り換える手段が記載されているといえる。

(f)上記(エ)の【0158】には「サブCPU131は、変動開始コマンドを受信した時点で取得した演出乱数を用いた抽選処理を行うことによって、ボタン演出の内容(実行の有無、及び、実行する場合には演出ボタン26を突出状態とするか通常状態とするか)を決定する(ステップS1051)」、【0161】には「サブCPU131は、ボタン演出の内容に応じて示唆演出の演出内容(示唆画像の内容及び表示パターン)を決定する(ステップS1054)」と記載され、上記(カ)の【0192】には「所定期間において、演出ボタン26に対する操作を促す操作画像(ボタン画像52又は55)を第1の態様で画面に表示する操作画像表示手段(ステップS1051)」、「上記所定期間の前に、上記ボタン画像の表示を示唆するための示唆画像として、ボタン画像と実質的に同じ表示位置に、ボタン画像と実質的に同じ形状の画像を、第2の態様で(半透明で)表示する示唆画像表示手段(ステップS1054)」と記載されているから、サブCPU131は操作画像表示手段と示唆画像表示手段とを備えているといえる。
したがって、引用文献1には、サブCPU131は操作画像表示手段と示唆画像表示手段とを備えていることが記載されているといえる。

(f-1)上記(カ)の【0192】には「上記所定期間の前に、上記ボタン画像の表示を示唆するための示唆画像として、ボタン画像と実質的に同じ表示位置に、ボタン画像と実質的に同じ形状の画像を、第2の態様で(半透明で)表示する示唆画像表示手段(ステップS1054)」、【0193】には「示唆画像による示唆演出によってボタン演出の実行を示唆する」と記載されているから、引用文献1には、所定期間の前に、ボタン演出の実行を示唆する示唆演出を行う示唆画像表示手段が記載されているといえる。
ここで、上記(カ)の【0197】には「上記示唆画像表示手段は、上記第2の態様(半透明)で表示される示唆画像を、所定期間(ボタン画像55の表示期間)が近づくにつれて第1の態様(通常の表示態様)に次第に近づくように表示態様を変化させる」、【0192】には「所定期間において、演出ボタン26に対する操作を促す操作画像(ボタン画像52又は55)を第1の態様で画面に表示する操作画像表示手段(ステップS1051)」と記載されているから、上記「所定期間」とは、ボタン画像55の表示期間であるといえる。次に、上記(キ)の【0204】には「ボタン演出が開始されるタイミングで、示唆画像56は、通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55に変化し、「押せ!」というメッセージ及びゲージ53が表示される。また、演出ボタン26は通常状態となり、ボタンランプ98は上記実施形態と同様に点灯する」と記載されているから、示唆画像56がボタン画像55に変化するとボタンランプ98も点灯するといえる。ここで、上記ボタン画像55の表示期間とは、示唆画像56がボタン画像55に変化してから後の期間であることから、ボタンランプ98の点灯開始タイミングから後の期間のことであるといえる。そして、上記(オ)の【0187】には「ボタンランプ98の点灯開始タイミングは、ボタン演出の開始タイミング、換言すれば、演出ボタン26の有効期間の開始タイミングである」と記載されているから、上記ボタンランプ98の点灯開始タイミングから後の期間は、演出ボタン26の有効期間であるといえる。これらのことから、上記「所定期間」とは、演出ボタン26の有効期間であるといえ、上記「所定期間の前」とは、演出ボタン26の有効期間の開始タイミング前のことであるといえる。よって、上記(e)で言及したように演出ボタン26の有効期間の開始タイミング前は演出ボタン26が有効ではない状態中であるといえるから、上記「所定期間の前」とは、演出ボタン26が有効ではない状態中であるといえる。
また、上記(オ)の【0187】には「ボタンランプ98の点灯開始タイミングは、ボタン演出の開始タイミング、換言すれば、演出ボタン26の有効期間の開始タイミングである」と記載されており、上記(e)で言及したように演出ボタン26の有効期間は演出ボタン26が有効な状態中であるといえ、演出ボタン26の有効期間の開始タイミング前は演出ボタン26が有効ではない状態中であるといえるから、ボタン演出が開始されることにより、演出ボタン26の有効期間も開始されるので、上記「示唆演出」の「ボタン演出の実行」により、演出ボタン26の有効な状態への切り換えも実行されるといえる。そうすると、上記「示唆演出」は、「ボタン演出の実行を示唆する」と同時に演出ボタン26の有効な状態への切り換えも示唆しているといえる。
したがって、引用文献1には、演出ボタン26の有効ではない状態中に、演出ボタン26の有効な状態への切り換えを示唆する示唆演出を示唆画像表示手段が記載されているといえる。

(f-2)上記(カ)の【0192】には「所定期間において、演出ボタン26に対する操作を促す操作画像(ボタン画像52又は55)を第1の態様で画面に表示する操作画像表示手段(ステップS1051)」、【0197】には「第1の態様(通常の表示態様)」と記載されている。
また、上記(キ)の【0202】には「本変形例においては、示唆画像56が表示される示唆演出が行われる場合、突出状態でボタン演出が行われる場合(図23(C),(D)参照)と、通常状態でボタン演出が行われる場合(図23(E),(F)参照)とがある」、【0203】には「突出状態でボタン演出が行われる場合には、初期変化期間の経過後も、示唆画像56は、突出状態に近づくようにその形状が変化し、演出ボタン26も突出状態に近づくように変化する(図23(C)参照)。そして、ボタン演出が開始されるタイミングで、示唆画像56は、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52に変化し、「押せ!」というメッセージ及びゲージ53が表示される。また、演出ボタン26は突出状態となり、ボタンランプ98は上記実施形態と同様に点灯する」、【0204】には「通常状態でボタン演出が行われる場合には、初期変化期間の経過後、示唆画像56は、通常状態に近づくようにその形状が変化し、演出ボタン26も通常状態に近づくように変化する(図23(E)参照)。つまり、示唆画像56及び演出ボタン26は、元の状態(示唆演出開始時の状態)に戻るように変化する。そして、ボタン演出が開始されるタイミングで、示唆画像56は、通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55に変化し、「押せ!」というメッセージ及びゲージ53が表示される。また、演出ボタン26は通常状態となり、ボタンランプ98は上記実施形態と同様に点灯する」と記載されている。
したがって、上記(f-1)で言及したように「所定期間」とは、演出ボタン26の有効期間といえ、上記(e)で言及したように演出ボタン26の有効期間は演出ボタン26が有効な状態中といえるから、引用文献1には、演出ボタン26の有効な状態中に、演出ボタン26に対する操作を促す操作画像である、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55のいずれか一方を第1の態様(通常の表示態様)で画面に表示する操作画像表示手段が記載されている。

(g)上記(キ)の【0202】には「本変形例においては、示唆画像56が表示される示唆演出が行われる場合、突出状態でボタン演出が行われる場合(図23(C),(D)参照)と、通常状態でボタン演出が行われる場合(図23(E),(F)参照)とがある」、【0200】には「液晶表示装置5に表示される装飾図柄50の変動が開始された図23後、示唆画像56が表示される」、【0203】には「突出状態でボタン演出が行われる場合には、初期変化期間の経過後も、示唆画像56は、突出状態に近づくようにその形状が変化し、演出ボタン26も突出状態に近づくように変化する(図23(C)参照)。そして、ボタン演出が開始されるタイミングで、示唆画像56は、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52に変化し、「押せ!」というメッセージ及びゲージ53が表示される。また、演出ボタン26は突出状態となり、ボタンランプ98は上記実施形態と同様に点灯する」、【0204】には「通常状態でボタン演出が行われる場合には、初期変化期間の経過後、示唆画像56は、通常状態に近づくようにその形状が変化し、演出ボタン26も通常状態に近づくように変化する(図23(E)参照)。つまり、示唆画像56及び演出ボタン26は、元の状態(示唆演出開始時の状態)に戻るように変化する。そして、ボタン演出が開始されるタイミングで、示唆画像56は、通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55に変化し、「押せ!」というメッセージ及びゲージ53が表示される。また、演出ボタン26は通常状態となり、ボタンランプ98は上記実施形態と同様に点灯する」と記載されており、突出状態でボタン演出が行われる場合と通常状態でボタン演出が行われる場合とのいずれの場合においても、示唆画像56が表示される示唆演出が行われる場合には、まず、液晶表示装置5に表示される装飾図柄50の変動が開始された後に示唆画像56が表示され、その後は、変化する示唆画像56が表示されており、ボタン演出が開始されるタイミングで、示唆画像56は、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55に変化して表示されることが記載されているといえるから、引用文献1には、示唆画像56が表示される示唆演出が行われる場合において、突出状態でボタン演出が行われる場合と通常状態でボタン演出が行われる場合とがある場合、液晶表示装置5に表示される装飾図柄50の変動が開始された後に示唆画像56を表示し、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55が表示されるまでの期間にわたって該示唆画像56を表示していることが記載されているといえる。
また、上記(キ)の【0201】には「図23では示唆画像56の透明度(濃さ)は変化しないが、他の実施形態においては、上記実施形態と同様に示唆画像56の透明度を変化させるようにしてもよい。すなわち、示唆画像56の形状及び透明度の両方を変化させるようにしてもよい」、【0208】には「示唆演出の実行中に示唆画像の表示形態や形状を変化させずに示唆画像を表示してもよい」と記載されているから、引用文献1には、示唆画像56が表示される示唆演出が行われる場合において、突出状態でボタン演出が行われる場合と通常状態でボタン演出が行われる場合とがある場合に、該示唆画像を透明度を変化させるようにして形状を変化させずに表示する示唆演出を行うことも記載されているといえる。
したがって、上記(f-1)で言及したように示唆演出を行うのは示唆画像表示手段であるから、引用文献1には、示唆画像表示手段は、示唆画像56が表示される示唆演出が行われる場合において、突出状態でボタン演出が行われる場合と通常状態でボタン演出が行われる場合とがある場合、液晶表示装置5に表示される装飾図柄50の変動が開始された後に示唆画像56を表示し、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55が表示されるまでの期間にわたって該示唆画像56を表示し、該示唆画像を透明度を変化させるようにして形状を変化させずに表示する示唆演出を行うことも記載されているといえる。

(h)上記(カ)の【0193】には「示唆画像による示唆演出によってボタン演出の実行を示唆する」、【0194】には「示唆画像を、ボタン画像よりも不明瞭な態様で(半透明で)表示することによって、遊技者は示唆画像とボタン画像とを容易に区別することができる」、【0197】には「上記示唆画像表示手段は、上記第2の態様(半透明)で表示される示唆画像を、所定期間(ボタン画像55の表示期間)が近づくにつれて第1の態様(通常の表示態様)に次第に近づくように表示態様を変化させる」と記載されている。
したがって、引用文献1には、示唆演出は、示唆画像をボタン画像よりも不明瞭な態様で(半透明で)表示し、上記第2の態様(半透明)で表示される示唆画像を、所定期間(ボタン画像55の表示期間)が近づくにつれて第1の態様(通常の表示態様)に次第に近づくように表示態様を変化させることが記載されているといえる。

(i)上記(カ)の【0192】には「パチンコ遊技機1」と記載されている。
したがって、引用文献1には、パチンコ遊技機1が記載されている。

したがって、上記(ア)?(キ)の記載事項および上記(a)?(i)認定事項を総合すれば、引用文献1には、次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。a?iは引用発明を分説するため当審で付した。)。

「a 第1始動口スイッチ111からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第1特別図柄判定を実行するメインCPU101と、
b 第1始動口11に遊技球が入賞すると、第1特別図柄表示器41において特別図柄の変動表示が開始され、これに伴い、3列表示された装飾図柄が上から下にスクロールするように、装飾図柄50の変動表示が開始される液晶表示装置5と、
c 遊技者が押下することによって操作情報を入力するための押ボタンである演出ボタン26と、
d 変動開始コマンドを受信した時点で取得した演出乱数を用いた抽選処理を行うことによって、ボタン演出の内容(実行の有無、及び、実行する場合には演出ボタン26を突出状態とするか通常状態とするか)を決定し、ボタン演出の内容に応じて示唆演出の演出内容(示唆画像の内容及び表示パターン)を決定するサブCPU131と、
e 演出ボタン26の有効ではない状態と有効な状態とを切り換える手段と、を備え、
f 前記サブCPU131は操作画像表示手段と示唆画像表示手段とを備え、
f-1 演出ボタン26の有効ではない状態中に、演出ボタン26の有効な状態への切り換えを示唆する示唆演出を示唆画像表示手段であり、
f-2 演出ボタン26の有効な状態中に、演出ボタン26に対する操作を促す操作画像である、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55のいずれか一方を第1の態様(通常の表示態様)で画面に表示する操作画像表示手段であり、
g 示唆画像表示手段は、示唆画像56が表示される示唆演出が行われる場合において、突出状態でボタン演出が行われる場合と通常状態でボタン演出が行われる場合とがある場合、液晶表示装置5に表示される装飾図柄50の変動が開始された後に示唆画像56を表示し、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55が表示されるまでの期間にわたって該示唆画像56を表示し、該示唆画像を透明度を変化させるようにして形状を変化させずに表示する示唆演出を行い、
h 示唆演出は、示唆画像をボタン画像よりも不明瞭な態様で(半透明で)表示し、上記第2の態様(半透明)で表示される示唆画像を、所定期間(ボタン画像55の表示期間)が近づくにつれて第1の態様(通常の表示態様)に次第に近づくように表示態様を変化させる
i パチンコ遊技機1。」

(3)対比・判断
本件補正発明と引用発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)?(i)は引用発明の分説構成と対応させた。

(a)引用発明の「第1始動口スイッチ111からの検知信号が入力され」ること、「取得した乱数を用いて第1特別図柄判定を実行する」ことは、それぞれ本件補正発明の「所定条件の成立」、「当り抽選を行う」ことに相当するから、引用発明の「メインCPU101」は、本件補正発明の「抽選手段」に相当する。
したがって、引用発明の「第1始動口スイッチ111からの検知信号が入力されたタイミングで取得情報としての各種乱数を取得し、取得した乱数を用いて第1特別図柄判定を実行するメインCPU101」は、本件補正発明の「所定条件の成立を契機に当り抽選を行う抽選手段」に相当する。

(b)引用発明の「3列表示された装飾図柄」は、本件補正発明の「複数の絵柄」に相当する。また、引用発明の「装飾図柄50の変動表示が開始される」ことは、変動表示することが可能であるといえるから、本願発明の「複数の絵柄を変動表示可能」であることに相当する。これらのことから、引用発明の「3列表示された装飾図柄が上から下にスクロールするように、装飾図柄50の変動表示」することは、本件補正発明の「複数の絵柄を変動表示可能」であることに相当する。
また、引用発明の「第1特別図柄表示器41において特別図柄の変動表示が開始され」ることが、上記(a)で言及した引用発明の「メインCPU101」による「第1特別図柄判定」の結果に基づいているといえるので、「これに伴」う、引用発明の「3列表示された装飾図柄が上から下にスクロールするように、装飾図柄50の変動表示が開始される」こともまた、上記(a)で言及した引用発明の「メインCPU101」による「第1特別図柄判定」の結果に基づいているといえる。
したがって、上記(a)で言及したように引用発明の「メインCPU101」は、本件補正発明の「抽選手段」に相当するから、引用発明の「第1始動口11に遊技球が入賞すると、第1特別図柄表示器41において特別図柄の変動表示が開始され、これに伴い、3列表示された装飾図柄が上から下にスクロールするように、装飾図柄50の変動表示が開始される液晶表示装置5」は、本件補正発明の「前記抽選手段での抽選結果に基づいて複数の絵柄を変動表示可能な表示手段」に相当する。

(c)引用発明の「遊技者が押下すること」は、押下することが可能であるといえるから、本件補正発明の「遊技者が操作可能」であることに相当する。このため、引用発明の「演出ボタン26」は、本件補正発明の「操作手段」に相当する。
したがって、引用発明の「遊技者が押下することによって操作情報を入力するための押ボタンである演出ボタン26」は、本件補正発明の「遊技者が操作可能な操作手段」に相当する。

(d)引用発明の「ボタン演出の内容(実行の有無、及び、実行する場合には演出ボタン26を突出状態とするか通常状態とするか)を決定し、ボタン演出の内容に応じて示唆演出の演出内容(示唆画像の内容及び表示パターン)を決定する」ことは、演出ボタン26のボタン演出を実行しているといえ、実行することが可能であるともいえるので、本件補正発明の「前記操作手段に関連する操作演出を実行可能」であることに相当する。このため、引用発明の「サブCPU131」は、本件補正発明の「操作演出実行手段」に相当する。
したがって、引用発明の「変動開始コマンドを受信した時点で取得した演出乱数を用いた抽選処理を行うことによって、ボタン演出の内容(実行の有無、及び、実行する場合には演出ボタン26を突出状態とするか通常状態とするか)を決定し、ボタン演出の内容に応じて示唆演出の演出内容(示唆画像の内容及び表示パターン)を決定するサブCPU131」は、本件補正発明の「前記操作手段に関連する操作演出を実行可能な操作演出実行手段」に相当する。

(e)引用発明の「演出ボタン26の有効ではない状態」、「演出ボタン26の」「有効な状態」は、それぞれ本件補正発明の「前記操作手段の操作検出が無効な検出無効状態」、「操作検出が有効な検出有効状態」に相当する。
したがって、引用発明の「演出ボタン26の有効な状態と有効ではない状態とを切り換える手段」は、本件補正発明の「前記操作手段の操作検出が無効な検出無効状態と、操作検出が有効な検出有効状態とに切り換え可能な切換手段」に相当する。

(f)上記(d)で言及したように引用発明の「サブCPU131」は、本件補正発明の「操作演出実行手段」に相当し、下記(f-1)、(f-2)で言及するように引用発明の「示唆画像表示手段」、「操作画像表示手段」は、本件補正発明の「誘導報知手段」、「操作報知手段」に相当する。
したがって、引用発明の「前記サブCPU131は操作画像表示手段と示唆画像表示手段とを備え」ることは、本件補正発明の「前記操作演出実行手段は、」「誘導報知手段と、」「操作報知手段と、を備え」ることに相当する。

(f-1)引用発明の「演出ボタン26の有効ではない状態」、「示唆演出」は、それぞれ、本件補正発明の「前記検出無効状態」、「誘導報知」に相当する。
次に、引用発明の「示唆演出を行う」ことは、示唆演出を実行することが可能であるといえるから、本願発明の「誘導報知を実行可能」であることに相当するので、引用発明の「示唆画像表示手段」は、本件補正発明の「誘導報知手段」に相当する。
したがって、引用発明の「演出ボタン26の有効ではない状態中に、演出ボタン26の有効な状態への切り換えを示唆する示唆演出を示唆画像表示手段」は、本件補正発明の「前記検出無効状態中に、遊技者に対して前記検出有効状態への切り換えを示唆する誘導報知を実行可能な誘導報知手段」に相当する。

(f-2)引用発明の「演出ボタン26に対する操作を促す操作画像である突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52」「を第1の態様(通常の表示態様)で画面に表示する」ことは、本件補正発明の「遊技者に対して前記操作手段の操作を促すための第1操作報知」に相当する。また、引用発明の「演出ボタン26に対する操作を促す操作画像である」「通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55」「を第1の態様(通常の表示態様)で画面に表示する」ことは、「通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55」は「突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52」とは異なるので、本件補正発明の「該第1操作報知とは異なる第2操作報知」に相当する。このため、引用発明の「操作画像表示手段」は、本件補正発明の「操作報知手段」に相当する。
また、引用発明の「演出ボタン26に対する操作を促す操作画像である突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55のいずれか一方を第1の態様(通常の表示態様)で画面に表示する」ことは、ボタン画像52又はボタン画像55のいずれか一方を第1の態様で画面に表示することが可能であるといえるから、本願発明の「第1操作報知と、該第1操作報知とは異なる第2操作報知とを実行可能」であることに相当する。
したがって、引用発明の「演出ボタン26の有効な状態中に、演出ボタン26に対する操作を促す操作画像である、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55のいずれか一方を第1の態様(通常の表示態様)で画面に表示する操作画像表示手段」は、本件補正発明の「前記検出有効状態中に、少なくとも、遊技者に対して前記操作手段の操作を促すための第1操作報知と、該第1操作報知とは異なる第2操作報知とを実行可能な操作報知手段」に相当する。

(g)第一に、上記(f-2)で言及したように引用発明の「演出ボタン26に対する操作を促す操作画像である突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52」「を第1の態様(通常の表示態様)で画面に表示する」こと、「演出ボタン26に対する操作を促す操作画像である」「通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55」「を第1の態様(通常の表示態様)で画面に表示する」ことは、それぞれ、本件補正発明の「遊技者に対して前記操作手段の操作を促すための第1操作報知」、「該第1操作報知とは異なる第2操作報知」に相当する。
第二に、引用発明の「液晶表示装置5に表示される装飾図柄50の変動が開始された後に示唆画像56を表示」することについて、示唆演出は示唆画像56による演出であり、装飾図柄50の変動が開始された後に示唆画像56を表示することは示唆演出の開始であるといえるので、本件補正発明の「前記誘導報知の開始」に相当する。よって、引用発明の「液晶表示装置5に表示される装飾図柄50の変動が開始された後に示唆画像56を表示し、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55が表示されるまでの期間」は、本件補正発明の「前記誘導報知の開始から該第1操作報知又は第2操作報知が開始するまでの期間」に相当する。
第三に、引用発明の「該示唆画像を透明度を変化させるようにして形状を変化させずに表示する示唆演出を行」うこととは、示唆演出における示唆画像56が形状を変化させずに透明度のみを変化させるから、突出状態でボタン演出が行われる場合と通常状態でボタン演出が行われる場合とのいずれの場合でも、示唆画像56は、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55のいずれかに変化して表示されるまでは、透明度のみが変化して形状が変化しないので、示唆演出における示唆画像56は共に同じ内容のものであるといえる。よって、引用発明の「該示唆画像を透明度を変化させるようにして形状を変化させずに表示する示唆演出」は、本件補正発明の「共通の該誘導報知」に相当する。
第四に、引用発明の「示唆演出を行」うこととは、示唆演出を実行することが可能であるといえるから、本願発明の「該誘導報知を実行可能であ」ることに相当する。
したがって、引用発明の「示唆画像表示手段は、示唆画像56が表示される示唆演出が行われる場合において、突出状態でボタン演出が行われる場合と通常状態でボタン演出が行われる場合とがある場合、液晶表示装置5に表示される装飾図柄50の変動が開始された後に示唆画像56を表示し、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55が表示されるまでの期間にわたって該示唆画像56を表示し、該示唆画像を透明度を変化させるようにして形状を変化させずに表示する示唆演出を行」うことは、本件補正発明の「前記誘導報知手段は、前記操作報知手段により前記第1操作報知と前記第2操作報知とのいずれが実行される場合においても、前記誘導報知の開始から該第1操作報知又は第2操作報知が開始するまでの期間に亘って、共通の該誘導報知を実行可能であ」ることに相当する。

(h)引用発明の「示唆画像をボタン画像よりも不明瞭な態様で(半透明で)表示し、上記第2の態様(半透明)で表示される示唆画像を、所定期間(ボタン画像55の表示期間)が近づくにつれて第1の態様(通常の表示態様)に次第に近づくように表示態様を変化させる」ことは、ボタン画像よりも不明瞭な態様から、第1の態様(通常の表示態様)に次第に近づくように表示態様を変化させていることから、ボタン画像よりも不明瞭な態様から、第1の態様(通常の表示態様)にボタン画像が徐々に形成されているといえるので、本件補正発明の「前記操作手段を模した画像が徐々に形成されていく表示態様の画像表示である」ことに相当する。
したがって、引用発明の「示唆演出は、示唆画像をボタン画像よりも不明瞭な態様で(半透明で)表示し、上記第2の態様(半透明)で表示される示唆画像を、所定期間(ボタン画像55の表示期間)が近づくにつれて第1の態様(通常の表示態様)に次第に近づくように表示態様を変化させる」ことは、本件補正発明の「前記誘導報知は、前記操作手段を模した画像が徐々に形成されていく表示態様の画像表示である」ことに相当する。

(i)引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。

上記(a)?(i)の検討より、本件補正発明と引用発明とは、

「A 所定条件の成立を契機に当り抽選を行う抽選手段と、
B 前記抽選手段での抽選結果に基づいて複数の絵柄を変動表示可能な表示手段と、
C 遊技者が操作可能な操作手段と、
D 前記操作手段に関連する操作演出を実行可能な操作演出実行手段と、
E 前記操作手段の操作検出が無効な検出無効状態と、操作検出が有効な検出有効状態とに切り換え可能な切換手段と、を備え、
F 前記操作演出実行手段は、
F-1 前記検出無効状態中に、遊技者に対して前記検出有効状態への切り換えを示唆する誘導報知を実行可能な誘導報知手段と、
F-2 前記検出有効状態中に、少なくとも、遊技者に対して前記操作手段の操作を促すための第1操作報知と、該第1操作報知とは異なる第2操作報知とを実行可能な操作報知手段と、を備え、
G 前記誘導報知手段は、前記操作報知手段により前記第1操作報知と前記第2操作報知とのいずれが実行される場合においても、前記誘導報知の開始から該第1操作報知又は第2操作報知が開始するまでの期間に亘って、共通の該誘導報知を実行可能であり、
H 前記誘導報知は、前記操作手段を模した画像が徐々に形成されていく表示態様の画像表示である
I 遊技機。」
である点で一致し、相違点がない。

(4)審判請求人の主張について
平成29年2月22日付け審判請求書において請求人は
「上記相違点について検討すると、引用発明1では、共通の誘導報知として、ボタン画像である示唆画像56を表示しているが、この示唆画像56の表示は、最初からボタンを模した画像(完成形のボタン画像)の表示である。このため、示唆画像56が表示された時点で検出有効状態(ボタン操作検出が有効)になったものと遊技者が誤解することがある。
引用発明1の[0201]には、「なお、図23では示唆画像56の透明度(濃さ)は変化しないが、他の実施形態においては、上記実施形態と同様に示唆画像56の透明度を変化させるようにしてもよい。すなわち、示唆画像56の形状及び透明度の両方を変化させるようにしてもよい。」と記載されている。
しかし、引用発明1において、「形状の変化」は、通常状態(平らな状態)から突出状態への変化、「透明度の変化」は、ボタン画像の透明度の変化(徐々に鮮明になる)であり、いずれの変化でも、最初に表示される画像はボタンであると分かる画像(示唆画像56)である。
したがって、示唆画像56が表示された時点で検出有効状態(ボタン操作検出が有効)になったものと遊技者が誤解してしまう。 」と主張(以下、主張1という)し、
「通常状態(平らな状態)のボタン画像(図23(A))は、完成形のボタン画像ではなく、突出状態のボタン画像(図23(D))が完成形であるとしても、非完成形の通常状態のボタン画像でもボタンを模した画像であると認識される。このため、最初に非完成形の通常状態のボタン画像が表示された時点で検出有効状態(ボタン操作検出が有効)になったものと遊技者が誤解することがある。」と主張(以下、主張2という)し、
「また、「透明度の変化」は、形状の変化はないものであり、本願発明の「徐々に形成されていく(形状が変化する)」ものとは異なる表示態様である。」と主張(以下、主張3という)している。

請求人の上記主張1、3について検討すると、「誘導報知」については、本件補正発明は「前記誘導報知は、前記操作手段を模した画像が徐々に形成されていく表示態様の画像表示である」と特定されるのみであるから、本件補正発明において、誘導報知で最初に表示される画像が、操作手段であると分からない画像に限定されていない。さらに、上記「誘導報知」については、本件補正発明は、操作手段であると分からない画像から形状が変化して操作手段を模した画像が徐々に形成されていくことまで特定するものではないため、請求人の上記主張1、3は採用できない。
また、本願明細書の記載を参酌するに、【0357】に記載される「ボタンのような形状の画像が徐々に形成されていき、操作ボタン13の有効化状態への切り換えを示唆するフェードイン(以下、FIという)画像321(図37参照)を表示する」様子については、画像が具体的にどのように形成されて表示されるのか(例えば、ボタンであると分からない画像から形状が変化してボタンのような形状の画像が徐々に形成されていき、フェードイン画像321を表示するような様子等)については記載されていない。
なお、引用文献1の【0194】には「また、本実施形態のように、示唆画像を、ボタン画像よりも不明瞭な態様で(半透明で)表示することによって、遊技者は示唆画像とボタン画像とを容易に区別することができる。このとき、示唆画像を見ても遊技者は演出ボタン26に対する操作を促されているとは考えないので、示唆画像の表示期間を演出ボタン26の有効期間と遊技者が誤認識することを防止することができる」と記載されており、示唆画像を、ボタン画像よりも不明瞭な態様で(半透明で)表示することによって、示唆画像の表示期間を演出ボタン26の有効期間と遊技者が誤認識することは防止されている。
次に、請求人の上記主張2について検討すると、上記「第2 3.(2)」に示したとおり、引用文献1の【0201】の「図23では示唆画像56の透明度(濃さ)は変化しないが、他の実施形態においては、上記実施形態と同様に示唆画像56の透明度を変化させるようにしてもよい。すなわち、示唆画像56の形状及び透明度の両方を変化させるようにしてもよい」、【0208】の「示唆演出の実行中に示唆画像の表示形態や形状を変化させずに示唆画像を表示してもよい」なる記載に基づき、引用発明の構成gは、「示唆画像表示手段は、示唆画像56が表示される示唆演出が行われる場合において、突出状態でボタン演出が行われる場合と通常状態でボタン演出が行われる場合とがある場合、液晶表示装置5に表示される装飾図柄50の変動が開始された後に示唆画像56を表示し、突出状態の演出ボタン26を表すボタン画像52又は通常状態の演出ボタン26を表すボタン画像55が表示されるまでの期間にわたって該示唆画像56を表示しており、該示唆画像は透明度を変化させるようにして形状を変化させずに表示」するものであるから、請求人の上記主張2は採用できない。
よって、請求人の主張1-3は採用できない。

(5)小括
本件補正発明は、引用発明と同一である。また、仮に相違点があったとしても、本件補正発明は、引用発明から当業者が容易に発明できたものである。
よって、本件補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し又は特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正発明は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成28年7月11日付けの手続補正書により補正された、上記「第2 1.」の本件補正の概要において示したとおりのものである。

1.引用文献1
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記「第2 3.(2)」において示したとおりのものである。

2.対比・判断
本願発明は、本件補正発明の発明を特定するために必要な事項である「誘導報知手段」の「誘導報知」について、「前記誘導報知は、前記操作手段を模した画像が徐々に形成されていく表示態様の画像表示であること」なる記載について、上記「第2 1.」の下線部の「徐々に」と限定する補正をした記載を省いたものである。
そうすると、上記「第2 3.(3)」において示したとおり、本件補正発明と引用発明とに相違点はないから、本願発明と引用発明との相違点もない。
したがって、本願発明は、引用発明と同一であり、引用文献1に記載された発明であるということができる。また、仮に相違点があったとしても、本願発明は、引用発明から当業者が容易に発明できたものである。

3.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。または、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-21 
結審通知日 2017-08-22 
審決日 2017-09-05 
出願番号 特願2015-118897(P2015-118897)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 阿部 知  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 川崎 優
青木 洋平
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人創成国際特許事務所  

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