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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1333827
審判番号 不服2017-915  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-23 
確定日 2017-11-14 
事件の表示 特願2016-511201「情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月 8日国際公開、WO2015/151176、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成26年3月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成28年 8月 5日付け:拒絶理由の通知
平成28年10月11日 :意見書、及び、手続補正書の提出
平成28年10月27日付け:拒絶査定
平成29年 1月23日 :審判請求書、及び、手続補正書の提出
平成29年 2月 9日 :前置報告


第2 原査定の概要

原査定(平成28年10月27日付け拒絶査定)の概要は次の通りである。

本願請求項4、7-9、12、14、17、19に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2011-22631号公報


第3 審判請求時の補正について

審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
審判請求時の補正によって、補正前の請求項7-9、14、及び、19を削除する補正がなされた。
審判請求時の補正によって、請求項4、9、13(補正前の請求項4、12、17に対応)になされた「前記広告対象の閲覧者であるユーザにより過去に閲覧または指定された対象の情報を含む履歴情報に基づいて、過去の所定期間内に前記ユーザにより閲覧または指定された対象が属するカテゴリに属する対象を前記広告対象と比較される比較対象として特定し」を「前記広告対象の閲覧者であるユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて、過去の所定期間内に前記ユーザにより検索、閲覧、またはブックマーク登録された対象が属するカテゴリに属する対象で、且つ前記広告対象が属するカテゴリに属する対象を前記広告対象と比較される比較対象として特定し」とする補正は、「履歴情報」のうち「過去に閲覧または指定された対象の情報」を「検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴」に限定し、前記限定に表記を合わせるために「閲覧または指定された対象」を「検索、閲覧、またはブックマーク登録された対象」にし、さらに、比較対象として特定される「対象」について「前記広告対象が属するカテゴリに属する」ことをさらに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、「広告対象の閲覧者であるユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて」比較対象として特定することは、当初明細書の段落【0043】に記載されており、「広告対象が属するカテゴリに属する対象を前記広告対象と比較される比較対象として特定」することは、当初明細書の段落【0051】に記載されているから、各補正事項は、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項4、9、13に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。


第4 本願発明

本願請求項4、9、13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明4」、「本願発明9」、「本願発明13」という。)は、平成29年 1月23日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項4、9、13に記載された事項により特定される発明であり、本願発明4、9、13は以下のとおりの発明である。

「【請求項4】
表示画面における広告表示領域に表示される広告対象の情報を取得する第1取得手段と、
前記広告対象の閲覧者であるユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて、過去の所定期間内に前記ユーザにより検索、閲覧、またはブックマーク登録された対象が属するカテゴリに属する対象で、且つ前記広告対象が属するカテゴリに属する対象を前記広告対象と比較される比較対象として特定し、前記比較対象の情報を取得する第2取得手段と、
前記広告対象の情報と、前記比較対象の情報とを比較し、当該比較結果に基づいて前記広告対象の特徴を示す特徴情報を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定される前記特徴情報を前記表示画面に表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。

【請求項9】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
表示画面における広告表示領域に表示される広告対象の情報を取得するステップと、
前記広告対象の閲覧者であるユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて、過去の所定期間内に前記ユーザにより検索、閲覧、またはブックマーク登録された対象が属するカテゴリに属する対象で、且つ前記広告対象が属するカテゴリに属する対象を前記広告対象と比較される比較対象として特定し、前記比較対象の情報を取得するステップと、
前記広告対象の情報と、前記比較対象の情報とを比較し、当該比較結果に基づいて前記広告対象の特徴を示す特徴情報を決定する決定ステップと、
前記決定ステップにより決定される前記特徴情報を前記表示画面に表示させるステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。

【請求項13】
コンピュータを、
表示画面における広告表示領域に表示される広告対象の情報を取得する第1取得手段と、
前記広告対象の閲覧者であるユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて、過去の所定期間内に前記ユーザにより検索、閲覧、またはブックマーク登録された対象が属するカテゴリに属する対象で、且つ前記広告対象が属するカテゴリに属する対象を前記広告対象と比較される比較対象として特定し、前記比較対象の情報を取得する第2取得手段と、
前記広告対象の情報と、前記比較対象の情報とを比較し、当該比較結果に基づいて前記広告対象の特徴を示す特徴情報を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定される前記特徴情報を前記表示画面に表示させる制御手段として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。」


第5 引用文献、引用発明等

引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。)

(ア)
「本発明は、ユーザーに提供する情報を生成する情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピューター・プログラムに係り、特に、各種製品を所持する消費者に対し新製品に関する広告情報を提供する情報処理装置及び情報処理方法、並びにコンピューター・プログラムに関する。」(【0001】)

(イ)
「本発明に係る広告情報提供システムは、広告配信サーバーとして動作する情報処理装置が、各ユーザーが現在使用している所持機器の稼動情報を収集し、所持機器の仕様のクリティカル・ポイントを抽出して、推薦すべき新製品の広告情報を生成(若しくは、ユーザー毎にパーソナライズ)して提供するものである。そして、提供する広告情報は、抽出したクリティカル・ポイントの差異をユーザーが直感的に理解し易い表示内容とする。」(【0039】)

(ウ)
「広告配信サーバーは、任意の方法で、各ユーザーからオペレーション・ログを受け取ると、データベース化して保存する。また、広告配信サーバーには、製造業者(若しくは製造業者から委託を受けた代理業者)などから、新製品の仕様などに関する新製品情報や、その広告情報が供給される。そして、広告配信サーバーは、上述した比較型リコメンドにより、ユーザーに対して広告情報を提供する。
図2には、本実施形態に係る広告情報提供システムにおいて、広告配信サーバーがユーザーに広告情報を提供するための概略的な処理手順をフローチャートの形式で示している。この処理手順は、例えば新しい広告情報が当該システムにプッシュされた場合、若しくは、任意の事象により広告情報をユーザーに提供する旨の要求が発生したことに応じて起動する。
まず、広告情報について広告効果ポイント判別処理を行なう(ステップS1)。具体的には、広告候補となる新製品の仕様を、ユーザーの所持機器の仕様と比較して、新製品にアピールすべき仕様項目すなわち訴求ポイントがあるかどうかを判別する。当該処理は、処理対象とする新製品と同じ製品カテゴリーに属する機器を所持する各ユーザーについて行なう。」(【0042】-【0044】)

(エ)
「次いで、各ユーザーの所持機器のクリティカル・ポイント判別処理を行なう(ステップS2)。具体的には、ユーザーの所持機器のオペレーション・ログに基づいて、所持機器のクリティカル・ポイントとなる仕様項目を抽出する。日常的な使用の際に性能の上限付近となる仕様項目は、向上若しくは改善されることが望まれるクリティカル・ポイントとなる。当該処理は、機器を所持する各ユーザーについて実施する。また、ユーザーが複数の機器を所持する場合には、所持機器毎に当該処理を順次実施する。」(【0046】)

(オ)
「次いで、ステップS1及びS2の結果に基づいて、新製品の仕様の重要度判別処理を行なう(ステップS3)。すなわち、ステップS1において抽出した、広告の対象とする新製品の仕様のうちユーザーの所持機器から大幅に向上した仕様項目が、ステップS2において、当該仕様項目がユーザーにとってのクリティカル・ポイントであるかどうかを判定する。」(【0048】)

(カ)
「そして、ユーザーに対する広告情報を作成し、ユーザーに提供する(ステップS4)。すなわち、ステップS3において重要度が高いと判定された仕様項目を広告のポイントにして、広告情報をパーソナライズする。」(【0050】)

(キ)
「そして、パーソナライズされた広告情報は、提供先に選定された各ユーザー宛てに配信される。但し、本発明の要旨は、特定の配信方法に限定されるものではない。例えば、電子メールの形式で広告情報をユーザーに送信するようにしてもよいし、特定ユーザー向けのホームページを閲覧に供するようにしてもよい。あるいは、チラシ又はその他の広告媒体を配布するようにしてもよい。」(【0077】)

したがって、上記(ア)ないし(キ)の記載から、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「各ユーザーが現在使用している所持機器の稼動情報を収集し、所持機器の仕様のクリティカル・ポイントを抽出して、推薦すべき新製品の広告情報を生成(若しくは、ユーザー毎にパーソナライズ)して提供する、広告配信サーバーとして動作する情報処理装置であって、
広告配信サーバーには、製造業者(若しくは製造業者から委託を受けた代理業者)などから、新製品の仕様などに関する新製品情報や、その広告情報が供給され、
広告配信サーバーがユーザーに広告情報を提供するために、
広告候補となる新製品の仕様を、ユーザーの所持機器の仕様と比較して、新製品にアピールすべき仕様項目すなわち訴求ポイントがあるかどうかを判別する広告情報について広告効果ポイント判別処理を行ない(ステップS1)、
ユーザーの所持機器のオペレーション・ログに基づいて、所持機器のクリティカル・ポイントとなる仕様項目を抽出する各ユーザーの所持機器のクリティカル・ポイント判別処理を行ない(ステップS2)、
ステップS1において抽出した、広告の対象とする新製品の仕様のうちユーザーの所持機器から大幅に向上した仕様項目が、ステップS2において、当該仕様項目がユーザーにとってのクリティカル・ポイントであるかどうかを判定する新製品の仕様の重要度判別処理を行ない(ステップS3)、
ステップS3において重要度が高いと判定された仕様項目を広告のポイントにして、広告情報をパーソナライズしたユーザーに対する広告情報を作成し、パーソナライズされた広告情報を特定ユーザー向けのホームページで閲覧に供するようにユーザーに提供する(ステップS4)、
広告配信サーバーとして動作する情報処理装置」


第6 対比・判断

1.本願発明4について

1-1.対比

本願発明4と引用発明とを対比する。

(1)
引用発明に係る「新製品の仕様などに関する新製品情報や、その広告情報」は、本願発明4でいうところの『広告対象の情報』に対応することは明らかである。
また、引用発明では、「パーソナライズされた広告情報を特定ユーザー向けのホームページで閲覧に供するようにユーザーに提供する」のであり、引用発明に係る「新製品の仕様などに関する新製品情報や、その広告情報」は、パーソナライズされるものの、「ホームページで閲覧に供」されるのであるから、表示画面に表示されることは明らかである。
そして、引用発明では、「広告配信サーバーには、製造業者(若しくは製造業者から委託を受けた代理業者)などから、新製品の仕様などに関する新製品情報や、その広告情報が供給され」るのであり、引用発明の「広告配信サーバー」が「新製品の仕様などに関する新製品情報や、その広告情報」を取得する手段を備えることは明らかであることから、引用発明と、本願発明4とは、『表示画面に表示される広告対象の情報を取得する第1取得手段』を備える点で一致している。

(2)
引用発明では、「広告候補となる新製品の仕様を、ユーザーの所持機器の仕様と比較して、新製品にアピールすべき仕様項目すなわち訴求ポイントがあるかどうかを判別する広告情報について広告効果ポイント判別処理を行ない」、「ユーザーの所持機器のオペレーション・ログに基づいて、所持機器のクリティカル・ポイントとなる仕様項目を抽出する各ユーザーの所持機器のクリティカル・ポイント判別処理を行な」っているのであるから、引用発明は「ユーザーの所持機器」を広告候補となる新製品と比較される比較対象として特定しているといえる。
そして、引用発明は、「各ユーザーが現在使用している所持機器の稼動情報を収集し、所持機器の仕様のクリティカル・ポイントを抽出して」おり、「ユーザーの所持機器」の情報を取得する手段を備えることは明らかであるから、引用発明と、本願発明4とは、『前記広告対象と比較される比較対象として特定し、前記比較対象の情報を取得する第2取得手段』を備える点で一致している。

(3)
引用発明では、「広告候補となる新製品の仕様を、ユーザーの所持機器の仕様と比較して、新製品にアピールすべき仕様項目すなわち訴求ポイントがあるかどうかを判別する広告情報について広告効果ポイント判別処理を行ない(ステップS1)」、「ステップS1において抽出した、広告の対象とする新製品の仕様のうちユーザーの所持機器から大幅に向上した仕様項目が、ステップS2において、当該仕様項目がユーザーにとってのクリティカル・ポイントであるかどうかを判定」しているのであり、引用発明において、「ユーザーにとってのクリティカル・ポイントである」と判定された仕様項目は、広告の対象とする新製品の仕様のうちの特徴を示す情報であると認められるため、引用発明は、本願発明4でいうところの『前記広告対象の情報と、前記比較対象の情報とを比較し、当該比較結果に基づいて前記広告対象の特徴を示す特徴情報を決定する決定手段』を備えているといえる。

(4)
引用発明では、「ステップS3において重要度が高いと判定された仕様項目を広告のポイントにして、広告情報をパーソナライズしたユーザーに対する広告情報を作成し、パーソナライズされた広告情報を特定ユーザー向けのホームページで閲覧に供するようにユーザーに提供する」のであり、「ステップS3において重要度が高いと判定された仕様項目」は、前記(3)で前述したように、広告の対象とする新製品の仕様のうちの特徴を示す情報である。
そして、当該「仕様項目」を「広告のポイントにして、広告情報をパーソナライズし」、「パーソナライズされた広告情報を特定ユーザー向けのホームページで閲覧に供する」のであるから、引用発明は、本願発明4でいうところの『前記決定手段により決定される前記特徴情報を前記表示画面に表示させる制御手段』を備えているといえる。

したがって、上記(1)から(4)で対比した様に、本願発明4と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。

(一致点)
「表示画面に表示される広告対象の情報を取得する第1取得手段と、
前記広告対象と比較される比較対象として特定し、前記比較対象の情報を取得する第2取得手段と、
前記広告対象の情報と、前記比較対象の情報とを比較し、当該比較結果に基づいて前記広告対象の特徴を示す特徴情報を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定される前記特徴情報を前記表示画面に表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置」

(相違点)
(相違点1)本願発明4では、『広告表示領域』に表示されるのに対し、引用発明では、その旨特定されていない点。

(相違点2)本願発明4では、比較対象として特定される対象が、『前記広告対象の閲覧者であるユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて、過去の所定期間内に前記ユーザにより検索、閲覧、またはブックマーク登録された対象が属するカテゴリに属する対象で、且つ前記広告対象が属するカテゴリに属する対象』であるのに対し、引用発明では、「ユーザーの所持機器」である点。

1-2.相違点についての判断

上記相違点2について検討すると、引用発明では、比較対象として特定される対象を「ユーザーの所持機器」としており、引用文献1の明細書等を参酌しても、「ユーザーの所持機器」以外を比較対象とすることへの記載も示唆もない。
また、引用発明においては、パーソナライズされた広告対象を特定ユーザー向けのホームページで閲覧に供するものの、それはパーソナライズされた広告対象をユーザーに提供するための手段の一つとして示されているものであり、ユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴について何ら考慮されていないことは明らかである。
そして、ユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて、広告を表示する技術が周知技術であったとしても、比較対象として特定される対象を、『前記広告対象の閲覧者であるユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて、過去の所定期間内に前記ユーザにより検索、閲覧、またはブックマーク登録された対象が属するカテゴリに属する対象で、且つ前記広告対象が属するカテゴリに属する対象』とすることは周知技術とはいえない。
そうすると、引用発明には、比較対象として特定される対象を『前記広告対象の閲覧者であるユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて、過去の所定期間内に前記ユーザにより検索、閲覧、またはブックマーク登録された対象が属するカテゴリに属する対象で、且つ前記広告対象が属するカテゴリに属する対象』とする動機付けがなく、また引用発明に前記周知技術を適用したとしても、比較対象として特定される対象を、『前記広告対象の閲覧者であるユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて、過去の所定期間内に前記ユーザにより検索、閲覧、またはブックマーク登録された対象が属するカテゴリに属する対象で、且つ前記広告対象が属するカテゴリに属する対象』とすることは、当業者といえども導き出せるものではない。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明4は、当業者であっても引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明9、13について

本願発明9は、本願発明4に対応する方法の発明であり、本願発明13は、本願発明4に対応するプログラムの発明であり、共に本願発明4の、比較対象として特定される対象を、『前記広告対象の閲覧者であるユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて、過去の所定期間内に前記ユーザにより検索、閲覧、またはブックマーク登録された対象が属するカテゴリに属する対象で、且つ前記広告対象が属するカテゴリに属する対象』とする構成を備えるものであるから、本願発明4と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第7 原査定について

審判請求時の補正により、本願発明4、9、13は、それぞれ比較対象として特定される対象を、『前記広告対象の閲覧者であるユーザの検索履歴、閲覧履歴、またはブックマーク登録履歴に基づいて、過去の所定期間内に前記ユーザにより検索、閲覧、またはブックマーク登録された対象が属するカテゴリに属する対象で、且つ前記広告対象が属するカテゴリに属する対象』とする構成を備えるものであるから、上記「第5 引用文献、引用発明等」から「第6 対比・判断」で言及したとおり、本願発明4、9、13は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1及び周知技術に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。


第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-11-01 
出願番号 特願2016-511201(P2016-511201)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 塩田 徳彦  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 宇多川 勉
相崎 裕恒
発明の名称 情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム  
代理人 特許業務法人 インテクト国際特許事務所  
代理人 奥 和幸  

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