ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
---|---|
管理番号 | 1333836 |
審判番号 | 不服2017-3199 |
総通号数 | 216 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2017-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-03-03 |
確定日 | 2017-11-14 |
事件の表示 | 特願2014- 62415「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月22日出願公開、特開2015-185022、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年3月25日の出願であって、平成28年8月30日付けで拒絶理由通知がされ、同年11月7日付けで手続補正がされ、同年11月29日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年3月3日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成28年11月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項 1-4 ・引用文献等 1-6 <引用文献等一覧> 1.特開2012-037979号公報 2.特開2012-133453号公報 3.国際公開第2005/010740号 4.特開2012-160176号公報 5.特開2010-079660号公報 6.特開2012-230567号公報 第3 本願発明 本願請求項1?4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明4」という。)は、平成28年11月7日付け手続補正の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 表面及び背面にタッチセンサを有する電子機器であって、 表示部と制御部とを備え、 前記制御部は、 前記背面のタッチセンサにおける所定時間以上のタッチの検出に基づいて、前記表示部に対する前記背面のタッチセンサの操作を有効化された状態にし、 前記背面のタッチセンサの操作が有効化された状態において、前記表面のタッチセンサへのタッチを検出したとき、前記背面のタッチセンサの操作を無効化された状態にすることを特徴とする電子機器。 【請求項2】 前記背面のタッチセンサに対する押圧を検出する押圧検出部をさらに備え、 前記制御部は、前記背面のタッチセンサにおける前記所定時間以上のタッチの検出に基づいて、前記背面のタッチセンサへの押下を要求する押下要求を前記表示部に表示させ、前記押下要求への応答として前記背面のタッチセンサへの所定の押圧以上の押下を検出したとき、前記表示部に対する前記背面のタッチセンサの操作を有効化された状態にすることを特徴とする、請求項1に記載の電子機器。 【請求項3】 前記背面のタッチセンサにおいて触感を呈示する触感呈示部をさらに備え、 前記制御部は、前記押下の検出に基づいて前記触感呈示部を駆動することを特徴とする、請求項2に記載の電子機器。 【請求項4】 前記背面のタッチセンサにおける操作モードを切り替えるモード切替操作部をさらに備え、 前記制御部は、前記背面のタッチセンサの操作が有効化された状態において、前記モード切替操作部の出力に基づいて、前記背面のタッチセンサの操作モードを前記表示部のスクロールにより実現するスクロールモードと、前記背面のタッチセンサの操作を前記表示部に表示されるポインタを移動させることにより実現するポインタモードとを切り替えることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子機器。」 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。 a)「【0025】 <1.情報処理端末の構成> [情報処理端末の外観例] まず、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る情報処理端末100の概略構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る情報処理端末100の表示面側を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る情報処理端末100の背面側を示す概略斜視図である。 【0026】 本実施形態に係る情報処理端末100には、筺体110の一面(表示面)に表示部120が設けられ、表示面と反対側の面(背面)に指等の操作体の接触を検出可能なタッチセンサ130が設けられている。表示部120は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を用いることができる。また、タッチセンサ130としては、静電容量式のタッチセンサを用いることができる。なお、本実施形態に係る情報処理端末100は、表示面側にもタッチセンサ(図示せず。)を設けることもできる。 【0027】 [機能構成] 次に、図3に基づいて、本実施形態に係る情報処理端末100の機能構成を説明する。図3は、本実施形態に係る情報処理端末100の機能構成を示す機能ブロック図である。本実施形態に係る情報処理端末100は、図3に示すように、検出部141と、操作制御部142と、タイマー部143と、表示部144と、機能実行部145と、記憶部146と、からなる。 【0028】 検出部141は、情報処理端末100への操作体の接触を検出するセンサであって、図2に示したタッチセンサ130に対応する。本実施形態に係る情報処理端末100では、検出部141は、図1および図2に示したように、少なくとも背面側に設けられる。また、表示面側、その他の位置にも検出部を配置することもできる。 【0029】 操作制御部142は、検出部141の検出結果に基づいて、この操作入力により実行される操作処理の実行の可否を決定する。操作制御部142は、検出部141により検出された操作入力が、ユーザが意図的に行ったものであるか否かを所定のルールに基づき判定し、ユーザが意図的に行った操作ではないと判定したとき、当該操作入力による操作処理を実行しないことを決定する。所定のルールには、例えば、複数の操作入力があった場合には所定の操作入力のみを有効にするものや、操作入力の状態に基づくもの、情報処理端末100の機能状態に基づくもの等がある。詳細な処理については後述する。操作制御部142は、操作入力に対応する操作処理の実行の可否を決定すると、その結果を表示部144、あるいは機能実行部145へ出力する。 【0030】 タイマー部143は、操作制御部142の指示に応じて、時間の経過をカウントし、カウント値を操作制御部142へ出力する。タイマー部143のカウント値は、操作入力による操作処理を実行の可否を決定する際に用いることができる。なお、タイマー部143は必ずしも情報処理端末100に備えられていなくともよい。 【0031】 表示部144は、情報を表示する出力装置であって、図1に示す表示部120に対応する。表示部144には、操作制御部142により決定された表示情報に基づき、情報を表示する。 【0032】 機能実行部145は、操作制御部142において決定された、操作入力による操作処理を実行の可否に基づき、操作処理を実行したり、操作処理の実行を禁止したりする。 【0033】 記憶部146は、操作制御部142において、操作入力による操作処理を実行の可否を決定する際に用いる設定情報を記憶する。設定情報としては、例えば、操作入力による操作処理を実行の可否を決定する所定のルール、所定のルールに基づく判定の際に用いる値等がある。記憶部146に記憶される設定情報は、予め設定されていてもよく、ユーザが設定してもよい。 【0034】 <2.情報処理端末における操作処理の実行判定処理> このような情報処理端末100において、ユーザは端末の背面側に設けられた検出部141に指を接触させて移動させたり、タップしたりすることで、表示面に表示されている情報を操作することができる。しかし、ユーザは操作時に表示面の表示内容を視認しながら操作入力を行うため、背面側に設けられた検出部141を視認しながら操作入力を行うことはできない。このため、検出部141への意図しない接触によって誤動作が生ずる可能性があるため、本実施形態に係る情報処理端末100では、操作制御部142により誤操作と推定される操作入力に対応する操作処理は実行されないようにする。」(【0025】?【0034】の記載。下線は当審で付与。) b)「【0046】 さらに、図5に示すように、複数のタッチポイントが検出された場合において、最初にタッチセンサ130に操作体が接触されたタッチポイントを操作対象とし、2番目以降に操作体が接触されたタッチポイントは操作対象外とするようにしてもよい。この場合、情報処理端末100は、複数の接触点をトラッキング可能な、マルチタッチ式のタッチセンサを備える必要がある。 【0047】 また、操作制御部142は、情報処理端末100が所定の機能状態にあるときには、タッチセンサ130による検出があったとしても、当該タッチポイントに応じた操作処理は実行しないようにしてもよい。タッチポイントに応じた操作処理を実行しないとする情報処理端末100の所定の機能状態には、例えば、表示部120が消画状態であるときや、スクリーンセーバーが表示されているとき、プロセッサも消電されるスリープ状態であるとき等がある。 【0048】 また、例えば、情報処理端末100の表示面側と背面側とにそれぞれタッチセンサが設けられているときに、表示面側からはタスクをキャンセルできるが背面側からはキャンセルできない等、所定のタスクが実行中であるときにも、背面側のタッチセンサにより検出されたタッチポイントに応じた操作処理を実行しないようにしてもよい。さらには、表示面側からはタスクをキャンセルできるが背面側からはキャンセルできない等、スクリーンロックされている場合等にも、背面側のタッチセンサにより検出されたタッチポイントに応じた操作処理を実行しないようにしてもよい。 【0049】 例えば、図6に示すように、情報処理端末100の表示部120に、スクリーンロックを解除するための解除アイコン122を表示させてもよい。解除アイコン122は、表示面側のタッチセンサからは操作可能であるが、背面側のタッチセンサでは操作することができないものとする。したがって、表示部120に表示された背面側のタッチセンサにて操作されるカーソル124では、解除アイコン122を押下することができない。このように、スクリーンロックされている場合は、背面側のタッチセンサにより検出されたタッチポイントに応じた操作処理を実行しないようにすることができる。」(【0047】?【0049】の記載。) c)「【0058】 [明示的な動作が付加された場合の操作処理の実行判定処理] 次に、図8に基づいて、明示的な動作が付加された場合の操作処理の実行判定処理について説明する。なお、図8は、明示的な動作が付加された場合の操作処理の実行判定処理を示すフローチャートである。なお、図8においては、情報処理端末100は少なくも背面側にタッチセンサ130を備えていればよい。 【0059】 図8に示すように、まず、操作制御部142は、背面側のタッチセンサ130への入力を取得する(S300)。次いで、操作制御部142は、タッチセンサ130への操作体の接触があったとき、接触後、所定時間内に所定の動作が行われたか否かを判定する(S302)。本例では、ユーザが情報処理端末100を操作するときに、意図的に情報処理端末100に所定の動作を行ったとき、タッチセンサ130への操作入力を有効とする。ここで、所定の動作とは、ユーザがタッチセンサ130への操作入力を有効にする意図的な合図を送るための動作であり、例えば、タップやダブルタップ、円弧や矩形、波型など特定の図形の描写操作、長押し操作等がある。このような動作が検出された場合には、ユーザはタッチセンサ130への操作入力を意図的に行っていると判断し、操作制御部142は、タッチセンサ130からの操作入力を有効にする。 【0060】 なお、ステップS302では、操作開始時に所定の動作が行われたか否かを判定したが、本発明はかかる例に限定されず、例えば、操作体がタッチセンサ130から離隔する直前に所定の動作が行われたか否かを判定するようにしてもよい。ステップS302の判定条件を満たすとき、操作制御部142は、タッチセンサ130への操作入力を有効にする(S304)。一方、ステップS302の判定条件を満たさないときには、操作制御部142は、タッチセンサ130への操作入力を無効にする(S306)。そして、操作制御部142は、ステップS304、S306の判定結果に基づき、操作対象となったタッチポイントに応じた操作処理を実行する(S210)。」(【0058】?【0060】の記載。) 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、情報処理端末として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「筺体110の一面(表示面)に表示部120が設けられ、表示面と反対側の面(背面)に指等の操作体の接触を検出可能なタッチセンサ130が設けられ、表示面側にもタッチセンサを設けることもできる情報処理端末100であり、 情報処理端末100は、検出部141と、操作制御部142と、タイマー部143と、表示部144と、機能実行部145と、記憶部146と、からなり、 検出部141は、情報処理端末100への操作体の接触を検出するセンサであってタッチセンサ130に対応し、検出部141は、少なくとも背面側に設けられ、また、表示面側、その他の位置にも検出部を配置することもでき、 操作制御部142は、検出部141の検出結果に基づいて、この操作入力により実行される操作処理の実行の可否を決定し、検出部141により検出された操作入力が、ユーザが意図的に行ったものであるか否かを所定のルールに基づき判定し、ユーザが意図的に行った操作ではないと判定したとき、当該操作入力による操作処理を実行しないことを決定し、 タイマー部143は、操作制御部142の指示に応じて、時間の経過をカウントし、カウント値を操作制御部142へ出力し、 表示部144は、情報を表示する出力装置であって、表示部120に対応し、 機能実行部145は、操作制御部142において決定された、操作入力による操作処理を実行の可否に基づき、操作処理を実行したり、操作処理の実行を禁止したりし、 記憶部146は、操作制御部142において、操作入力による操作処理を実行の可否を決定する際に用いる設定情報を記憶するものであり、 ユーザは端末の背面側に設けられた検出部141に指を接触させて移動させたり、タップしたりすることで、表示面に表示されている情報を操作することができ、 情報処理端末100の表示面側と背面側とにそれぞれタッチセンサが設けられているときに、表示面側からはタスクをキャンセルできるが背面側からはキャンセルできない等、所定のタスクが実行中であるときにも、背面側のタッチセンサにより検出されたタッチポイントに応じた操作処理を実行しないようにしてもよく、 表示面側からはタスクをキャンセルできるが背面側からはキャンセルできない等、スクリーンロックされている場合等にも、背面側のタッチセンサにより検出されたタッチポイントに応じた操作処理を実行しないようにしてもよく、 例えば、情報処理端末100の表示部120に、スクリーンロックを解除するための解除アイコン122を表示させてもよく、解除アイコン122は、表示面側のタッチセンサからは操作可能であるが、背面側のタッチセンサでは操作することができないものとし、表示部120に表示された背面側のタッチセンサにて操作されるカーソル124では、解除アイコン122を押下することができず、このように、スクリーンロックされている場合は、背面側のタッチセンサにより検出されたタッチポイントに応じた操作処理を実行しないようにすることができ、 明示的な動作が付加された場合の操作処理の実行判定処理では、 まず、操作制御部142は、背面側のタッチセンサ130への入力を取得し、 次いで、操作制御部142は、タッチセンサ130への操作体の接触があったとき、接触後、所定時間内に所定の動作が行われたか否かを判定し、本例では、ユーザが情報処理端末100を操作するときに、意図的に情報処理端末100に所定の動作を行ったとき、タッチセンサ130への操作入力を有効とし、ここで、所定の動作とは、ユーザがタッチセンサ130への操作入力を有効にする意図的な合図を送るための動作であり、例えば、長押し操作等があり、このような動作が検出された場合には、ユーザはタッチセンサ130への操作入力を意図的に行っていると判断し、操作制御部142は、タッチセンサ130からの操作入力を有効にするものであり、 判定条件を満たすとき、操作制御部142は、タッチセンサ130への操作入力を有効にし、一方、判定条件を満たさないときには、操作制御部142は、タッチセンサ130への操作入力を無効にし、 そして、操作制御部142は、判定結果に基づき、操作対象となったタッチポイントに応じた操作処理を実行する 情報処理端末100。」 2.引用文献6について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には、図面とともに以下の事項が記載されている。 d)「【0031】 携帯電話機1は、第1キャビネット10と、第2キャビネット20と、これら第1および第2キャビネット10、20を連結する連結部30とで構成されている。 【0032】 以下、携帯電話機1に対する「右」、「左」、「上」、「下」、「手前」および「奥」の方向は、図1(a)および(b)に示すように設定される。X軸、Y軸およびZ軸の正方向は、それぞれ、上、左および手前方向に対応する。ただし、図2(a)および(b)のチルト状態では、第1キャビネット10の前面が向く方向が第1キャビネット10の「手前」方向であり、第1キャビネット10の第1表示面14の短片方向が第1キャビネット10の「上下」方向である。 【0033】 閉状態は、図1(a)に示す如く、第1キャビネット10が、第2キャビネット20の前面に重ねられた状態である。開状態は、図1(b)に示す如く、第1キャビネット10が、第2キャビネット20の上側に並べられた状態である。 【0034】 第1キャビネット10は、左右方向に長い平坦な直方体形状を有する。第1キャビネット10の前面には、第1タッチパネル11が配されている。第1タッチパネル11は、第1ディスプレイ12および第1タッチセンサ13を含む。 【0035】 第1ディスプレイ12は、第1画面を表示する。第1ディスプレイ12に備えられるバックライト(図示せず)が点灯されることにより、第1タッチパネル11の外面である第1表示面14を介して、ユーザは第1画面を閲覧できる。 【0036】 第1タッチセンサ13は、長方形状の透明なシートであり、第1ディスプレイ12の上に重ねられて配されている。第1タッチセンサ13は、ユーザが第1表示面14に対して入力したとき、すなわち第1表示面14をタッチしたとき、タッチされた第1表示面14上の位置(入力位置)を検出する。第1タッチセンサ13は、検出した位置に応じた位置信号を出力する。 【0037】 なお、ユーザが第1表示面14を「タッチ」するとは、ユーザが指やペンなどの接触部材によって第1表示面14に触れることである。ユーザが接触部材によって第1表示面14を押したり、撫でたり、第1表示面14に図形や文字を描いたりする場合に「タッチ」が行われる。ユーザが第1表示面14を「タップ」するとは、接触部材や指が第1表示面14を弾くように、第1表示面14のある位置において接触部材や指をタッチさせ、短時間のうちにリリースさせる動作を言う。ユーザが第1表示面14を「スライド」するとは、ユーザが接触部材や指を、第1表示面14に接触したまま、第1表示面14に沿って動かす動作を言う。 【0038】 第1キャビネット10の背面の部分には、第1背面タッチセンサ15が配される。第1 背面タッチセンサ15は、第1表示面14と略同様の大きさの長方形状の透明なシートである。第1背面タッチセンサ15は、第1キャビネット10の手前側から見て、第1表示面14にほぼ重なる位置に配される。第1背面タッチセンサ15は、ユーザが第1背面タッチセンサ15をタッチしたとき、タッチされた位置を検出する。第1背面タッチセンサ15は、検出した位置に応じた位置信号を出力する。 【0039】 第1キャビネット10の、背面部の左側には、動画および静止画の撮像のためのレンズ窓15(図2(b)参照)が配される。 【0040】 第2キャビネット20は、左右方向に長い平坦な直方体形状を有する。第2キャビネット20には、第2タッチパネル21が配されている。第2タッチパネル21の構成は、第1タッチパネル11の構成と同様である。第2タッチパネル21は、第2ディスプレイ22および第2タッチセンサ23を含む。 【0041】 第2ディスプレイ22は、第2画面を表示する。第2ディスプレイ22に備えられるバックライト(図示せず)が点灯されることにより、第2タッチパネル21の外面である第2表示面24を介して、ユーザは第2画面を閲覧できる。 【0042】 第2タッチセンサ23は、長方形状の透明なシートであり、第2ディスプレイ22の上に重ねられて配されている。第2タッチセンサ23は、ユーザが第2表示面24をタッチしたとき、タッチされた第2表示面24上の位置を検出する。第2タッチセンサ23は、検出した位置に応じた位置信号を出力する。 【0043】 第2キャビネット20の背面の部分には、第2背面タッチセンサ25が配される。第2背面タッチセンサ25は、第2表示面24と略同様の大きさの長方形状の透明なシートである。第2背面タッチセンサ25は、第2キャビネット20の手前側から見て、第2表示面24にほぼ重なる位置に配される。第2背面タッチセンサ25は、ユーザが第2背面タッチセンサ25をタッチしたとき、タッチされた位置を検出する。第2背面タッチセンサ25は、検出した位置に応じた位置信号を出力する。」(【0031】?【0043】の記載。) e)「【0169】 上記実施例2?4では、対応関係定義テーブルは、ユーザによる設定により変更されたが、たとえば、携帯電話機1の動作状態に応じて、対応関係定義テーブルが自動的に変更されても良い。たとえば、携帯電話機1の動作状態に応じて、有効領域と無効領域が動的に変化される構成とされ得る。 【0170】 たとえば、ユーザが、第1または第2表示面14、24に対してタッチしているときには、第1および第2背面タッチセンサ15、25の全領域を無効領域とする。逆に、ユーザが、第1および第2背面タッチセンサ15、25に対してタッチしている時には、第1または第2表示面14、24の全領域を無効領域とする。このように、CPU100が、適時、一部のタッチ入力を無効とすることにより、ユーザが意図しないタッチによる誤操作の頻度を低減し得る。また、タッチされているタッチセンサの反対の側面から外部に露出するタッチセンサの領域が無効領域とされてもよい。」(【0169】?【0170】の記載。) 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献6には、以下の技術(以下、「引用文献6記載の技術」という。)が記載されている。 「携帯電話機1は、第1キャビネット10と、第2キャビネット20とで構成され、 第1キャビネット10の前面には、第1タッチパネル11が配され、第1タッチパネル11は、第1ディスプレイ12および第1タッチセンサ13を含み、 第1ディスプレイ12は、第1画面を表示し、第1タッチパネル11の外面である第1表示面14を介して、ユーザは第1画面を閲覧でき、 第1キャビネット10の背面の部分には、第1背面タッチセンサ15が配され、 第2キャビネット20には、第2タッチパネル21が配され、第2タッチパネル21は、第2ディスプレイ22および第2タッチセンサ23を含み、 第2ディスプレイ22は、第2画面を表示し、第2タッチパネル21の外面である第2表示面24を介して、ユーザは第2画面を閲覧でき、 第2キャビネット20の背面の部分には、第2背面タッチセンサ25が配されるものにおいて、 携帯電話機1の動作状態に応じて、有効領域と無効領域が動的に変化される構成とされ得、 たとえば、ユーザが、第1または第2表示面14、24に対してタッチしているときには、第1および第2背面タッチセンサ15、25の全領域を無効領域とし、逆に、ユーザが、第1および第2背面タッチセンサ15、25に対してタッチしている時には、第1または第2表示面14、24の全領域を無効領域とすることにより、適時、一部のタッチ入力を無効とすることにより、ユーザが意図しないタッチによる誤操作の頻度を低減する技術。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明を対比すると次のことがいえる。 ア.引用発明の「情報処理端末100」は「電子機器」ともいい得るものであり、「筺体110の一面(表示面)に表示部120が設けられ、表示面と反対側の面(背面)に指等の操作体の接触を検出可能なタッチセンサ130が設けられ、表示面側にもタッチセンサを設けることもできる」ものであるから、本願発明1の「表面及び背面にタッチセンサを有する電子機器」に相当する。 イ.引用発明の「表示部144は、情報を表示する出力装置であって、表示部120に対応」するものであるから、引用発明の「表示部144」は本願発明1の「表示部」に相当し、また、引用発明の「操作制御部142は、検出部141の検出結果に基づいて、この操作入力により実行される操作処理の実行の可否を決定」するものであり、引用発明の「機能実行部145は、操作制御部142において決定された、操作入力による操作処理を実行の可否に基づき、操作処理を実行したり、操作処理の実行を禁止したり」するものであるから、引用発明の「操作制御部142」と「機能実行部145」とからなる部分は、後述する相違点を除き、本願発明1の「制御部」に相当する。 したがって、引用発明の「情報処理端末100」が「表示部144」、「操作制御部142」、「機能実行部145」を有することは、本願発明1の「電子機器」が「表示部と制御部とを備え」ることに相当する。 ウ.引用発明の「操作制御部142は、タッチセンサ130への操作体の接触があったとき、接触後、所定時間内に所定の動作が行われたか否かを判定し、本例では、ユーザが情報処理端末100を操作するときに、意図的に情報処理端末100に所定の動作を行ったとき、タッチセンサ130への操作入力を有効とし、ここで、所定の動作とは、ユーザがタッチセンサ130への操作入力を有効にする意図的な合図を送るための動作であり、例えば、長押し操作等があり、このような動作が検出された場合には、ユーザはタッチセンサ130への操作入力を意図的に行っていると判断し、操作制御部142は、タッチセンサ130からの操作入力を有効にする」ことは、本願発明1の「前記制御部は、前記背面のタッチセンサにおける所定時間以上のタッチの検出に基づいて、前記表示部に対する前記背面のタッチセンサの操作を有効化された状態」にすることに相当するといえる。 エ.引用発明が「判定条件を満たさないときには、操作制御部142は、タッチセンサ130への操作入力を無効」にするものであることは、本願発明1の「前記制御部は、」「前記背面のタッチセンサの操作が有効化された状態において、前記表面のタッチセンサへのタッチを検出したとき、前記背面のタッチセンサの操作を無効化された状態にすること」と「前記制御部は、」「特定の状態のとき、前記背面のタッチセンサの操作を無効化された状態にすること」である点では共通するといえる。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、以下の一致点と相違点があるといえる。 〈一致点〉 「表面及び背面にタッチセンサを有する電子機器であって、 表示部と制御部とを備え、 前記制御部は、 前記背面のタッチセンサにおける所定時間以上のタッチの検出に基づいて、前記表示部に対する前記背面のタッチセンサの操作を有効化された状態にし、 特定の状態のとき、前記背面のタッチセンサの操作を無効化された状態にする電子機器。」 〈相違点〉 「前記背面のタッチセンサの操作を無効化された状態にする」ときが、本願発明1は「前記背面のタッチセンサの操作が有効化された状態において、前記表面のタッチセンサへのタッチを検出したとき」であるのに対し、引用発明は、「背面側のタッチセンサ130への操作体の接触があったとき、接触後、所定時間内に所定の動作が行われたか否かを判定」するものにおいて「判定条件を満たさないとき」である点。 (2)相違点についての判断 引用文献6記載の技術における、「ユーザが、第1または第2表示面14、24に対してタッチしているときには、第1および第2背面タッチセンサ15、25の全領域を無効領域」とすることは、上記相違点に係る本願発明1の「表面のタッチセンサへのタッチを検出したとき、背面のタッチセンサの操作を無効化された状態にする」ものといい得るものである。 しかしながら、引用文献6記載の技術は、「逆に、ユーザが、第1および第2背面タッチセンサ15、25に対してタッチしている時には、第1または第2表示面14、24の全領域を無効領域とする」ものでもあるから、背面のタッチセンサの操作が有効化された状態において、表面のタッチセンサを無効とするものといえ、引用文献6記載の技術の上記「ユーザが、第1または第2表示面14、24に対してタッチしているときには、第1および第2背面タッチセンサ15、25の全領域を無効領域」ことは、上記相違点に係る本願発明1の「背面のタッチセンサの操作が有効化された状態において、表面のタッチセンサへのタッチを検出したとき」に背面のタッチセンサの操作を無効化された状態にするものといえるものではない。 よって、引用文献6には、上記相違点に係る本願発明1の「前記背面のタッチセンサの操作が有効化された状態において、前記表面のタッチセンサへのタッチを検出したとき、前記背面のタッチセンサの操作を無効化された状態にする」構成が記載または示唆されているとはいえない。 また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2?5のいずれにも、上記相違点に係る本願発明1の「前記背面のタッチセンサの操作が有効化された状態において、前記表面のタッチセンサへのタッチを検出したとき、前記背面のタッチセンサの操作を無効化された状態にする」構成は記載または示唆されておらず、本願出願日前において、周知技術であったともいえない。 したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 2.請求項2?4について 本願発明2?4は、本願発明1を直接あるいは間接的に引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同じ理由により、引用発明及び引用文献2?6に記載された技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1?4は、当業者が引用発明及び引用文献2?6に記載された技術に基づいて容易に発明することができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する |
審決日 | 2017-10-30 |
出願番号 | 特願2014-62415(P2014-62415) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 菅原 浩二 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 山田 正文 |
発明の名称 | 電子機器 |
代理人 | 太田 昌宏 |
代理人 | 杉村 憲司 |