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審決分類 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 E04F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 E04F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04F
管理番号 1333955
審判番号 不服2016-5074  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-06 
確定日 2017-10-25 
事件の表示 特願2012-530391「照明システムを有する床被覆システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月31日国際公開、WO2011/036614、平成25年 2月21日国内公表、特表2013-506068〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯
本願は、2010年(平成22年)9月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年9月24日、2010年5月19日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年 8月 1日:拒絶理由通知(起案日)
平成26年10月30日:意見書、手続補正書
平成27年 3月31日:拒絶理由通知(最後)(起案日)
平成27年 6月19日:意見書
平成27年12月11日:拒絶査定(起案日)
平成28年 4月 6日:審判請求書、手続補正書


第2 平成28年4月6日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成28年4月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。

[補正前]
「ユーザ側及び反対の裏側を持つPVC床材と、
光を発生する照明システムと、
を有する床被覆システムにおいて、
前記照明システムが、前記PVC床材の裏側に設けられ、前記PVC床材が、前記照明システムにより発生された光に対して、0.5%ないし30%の範囲の光透過率を持つ、
床被覆システム。」

[補正後]
「ユーザ側及び反対の裏側を持つPVC床材と、
光を発生する照明システムと、
を有する床被覆システムにおいて、
前記照明システムが、前記PVC床材の裏側に設けられ、前記PVC床材が、前記照明システムにより発生された光に対して、0.5%ないし30%の範囲の光透過率を持ち、
前記照明システムが、複数の光源を有し、前記PVC床材が、前記PVC床材の裏側に配置された1以上の色混合凹所を持ち、前記1以上の色混合凹所の各々が、異なる色を持つ複数の光源を収容し、前記異なる色を持つ複数の光源によって発せられる光を混合するよう構成される、
床被覆システム。」

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「照明システム」について、上記のとおり「前記照明システムが、複数の光源を有し、前記PVC床材が、前記PVC床材の裏側に配置された1以上の色混合凹所を持ち、前記1以上の色混合凹所の各々が、異なる色を持つ複数の光源を収容し、前記異なる色を持つ複数の光源によって発せられる光を混合するよう構成される」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。

(1) 補正発明
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「補正発明」という。)は、上記1[補正後]に記載したとおりのものである。

(2) 引用例の記載事項
ア 引用例1として原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2007/159814号明細書(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。また、審決で仮訳を付した。)。

(ア) 0002段落
「[0002] Embodiments of the present invention relate to a flooring and a floor panel with a continuous and unbroken front surface, which is at least partially light transmitting, providing for a light sign or pattern at the front face. 」(仮訳;本発明の実施形態は、連続的で完全な表面を有し、少なくとも部分的に透光性であり、表面に光るサイン或いはパターンを提供する、床張りと床パネルに関連する。)

(イ) 0038、0039段落
「[0038] As represented in FIGS. 1 and 2 , embodiments of the invention relate to a floor panel and a flooring, provided with a light sign or pattern. The sign or pattern is preferably not visible when a related lighting means is turned off, and in that state the floor panel or the flooring looks just like a normal floor and all the features related to the lighting are covered. The lighting means is mounted in the floor panel or in a sub-floor. 」(仮訳;図1及び2に示されるように、この発明の実施形態は、光るサインあるいはパターンを提供する床パネル、床張りに関連する。好ましくは、サインあるいはパターンは、関連する照明手段が消されているときは見えず、その状態では床パネルあるいは床は普通の床のごとく見え、照明に関連するすべての特徴物は覆い隠される。照明手段は床パネルか下層床に取り付けられる。)

「[0039]・・・The sign or decoration 9 is preferably only visible when the related lighting means is turned on and the lighting means it self and the aperture is preferably never visible from the front face.・・・」(仮訳;・・・サインあるいは装飾9は、好ましくは関連する照明手段が点けられているときのみ見え、また照明手段自体及び開口は表面から見えることがないことが好ましい。・・・)

(ウ) 0043、0045段落
「[0043] According to a second aspect of the invention, represented in FIGS. 4b-c, the floor panel comprising a core made of a light transmitting material 40, such as plastic or glass and a surface layer 33 of resin impregnated sheets or wood veneer, which are at least partly light transmitting. The floor panels are mounted on a sub-floor 41, comprising a lighting means 36, preferably a light emitting diode, mounted into an aperture 43 of the sub-floor. ・・・」(仮訳;図4b-cに示される、この発明の第2の側面によれば、床パネルは、樹脂或いはガラスの透光性材料製のコア40と、少なくとも部分的に透光性である、樹脂含浸シートあるいは化粧木板の表面層33よりなる。床パネルは下層床41上に載置され、下層床の開口43内に設けられ、好ましくはLEDである光源手段36を含む。・・・)

「[0045] In a second embodiment, see FIG. 4c, the whole surface layer 33 is light transmitting. The pattern or sign at the font face is in this embodiment formed by the formation of the lighting means 36.・・.」(仮訳;第2の実施形態は、図4cを参照して、表面層33全体が透光性である。表面のパターン或いはサインは、この実施例では、照明手段の配列により形成される。・・・)

(エ) 図4c(「FIG. 4c」)は次のものである。



(オ) 上記(ウ)を踏まえて(エ)の図4cに記載された床の構造をみると、「表面層33」と「コア40」よりなる「床パネル」と、その下に位置する「下層床41」とで床材が形成され、「下層床41」を貫通する「開口43」内に、光るサインあるいはパターンを形成する、LEDの「照明手段36が設けられる、という構造であることがわかる。
そして「床パネル」の下に位置する「下層床41」の「開口43」は、床材の裏側に配置されていることがわかる。

(カ) 上記(ア)ないし(オ)からみて、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「光るサインあるいはパターンを提供する床構造であって、
透光性の表面層33と透光性樹脂のコア40よりなる床パネルと、その下に位置する下層床41より床材が形成され、
前記床材は表面層33側の面と、その裏側の下層床41側の面を有し、
床材の裏側に配置された下層床41を貫通する開口43内にLEDの照明手段36が設けられ、
LEDの照明手段36の配列により表面にパターンあるいはサインが形成され、
LEDの照明手段36をオフにしたときはLEDの照明手段36や開口43は見えなくなる、
床構造。」

イ 引用例2として原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平8-56810号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている)。

(ア) 「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、高度な光透過性をもつ光透過性カーペットおよび発光表示カーペットに関するものであり、さらに詳しくは、床面での発光表示が可能となるカーペットに関するものである。」

(イ) 「【課題を解決するための手段】本発明の骨子は次の通りである。
【0010】本発明の光透過性カーペットは、少なくともパイル、基布およびバッキング樹脂からなるカーペットであって、該基布が、開口率5%以上80%以下である布帛または透明樹脂を含浸した布帛であって、かつ該バッキング樹脂が光透過性樹脂であることを特徴とするものである。
【0011】また本発明の発光表示カーペットは、光透過率が20%以上であるカーペットと光源とで構成されていることを特徴とするものであり、好ましくはかかる光透過性カーペットを光源および/または発光表示媒体と組み合わせることを特徴とするものである。
【0012】さらに本発明の発光表示カーペットは、少なくとも透明樹脂シートと光源からなり、その少なくとも一つの側面に光源が配置された構成である発光表示物に、該発光表示物の発光表示面に、光透過性カーペットのバッキング樹脂面を少なくとも発光表示部分で密着させて積層することを特徴とするものである。」

(ウ) 「【0017】・・・基布としてはこの布帛に透明樹脂を含浸して用いることができる。用いる透明樹脂は特に限定されないが、軟質の物が好ましく、塩化ビニル樹脂、エチレン系共重合樹脂などが好ましく用いられる。
【0018】本発明において用いられるバッキング樹脂は、光透過性樹脂であることが重要である。材質としては通常の透明樹脂、・・・塩化ビニル樹脂など任意の物を用いることができるが、軟質なものが好ましく、エチレン系共重合樹脂、軟質塩化ビニル樹脂などが好ましく用いられ、特に透明性、柔軟性の点からは、エチレン-αオレフィン共重合樹脂、プロピレン-αオレフィン共重合樹脂軟質塩化ビニル樹脂を用いるのが好ましく、エチレン-αオレフィン共重合樹脂を用いるのが最も好ましい。樹脂のカーペット基布へのバッキングの方法は、特に限定されず、通常行われている方法を用いることができる。」

(エ) 「【0026】本発明の発光表示カーペットはLED表示板と光透過性カーペットを組み合わせたものとすることができる。この場合、表示を自由に変化することができるため好ましい。」

ウ 本願の優先日前に頒布された刊行物である実願昭58-70228号(実開昭59-175536号)のマイクロフィルムには、次の事項が記載されている。

(ア) 「2.実用新案登録請求の範囲・・・合成樹脂製床板材であって、該床板材が透光性合成樹脂の押出成型体であることを特徴とする透光性床板材。」(明細書1頁4から8行)

(イ) 「該床板材1は・・・透明塩化ビニル樹脂等の押出成型によって製せられ、・・・」(明細書3頁8から10行)

エ 本願の優先日前に頒布された刊行物である特開昭60-141943号公報には、次の事項が記載されている。

(ア) 「特許請求の範囲 (1) 透明性のある無機質充てん材が配合されたポリ塩化ビニル等の合成樹脂材料を成形してなる床材。」(1頁左欄4から7行)

(イ) 「本発明による床材は・・・透明性のある無機材料を使用する・・・ものであるので、無機質充てん材によってその透明性が完全に阻害されてしまうことはない。」(2頁左下欄6から13行)」

オ 本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平8-315259号公報には、次の事項が記載されている。

(ア) 「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、避難経路や案内経路に沿って人を誘導する照明装置に関するものである。」

(イ) 「【0028】本発明では、誘導灯20として1灯で複数の表示形態の選択が可能なものを用いている点に特徴がある。ここで、表示形態とは、形(文字、図形、模様)、色、1灯当たりの点滅回数、点滅周期、同時に点灯させる誘導灯20の位置関係、光出力の大きさなどである。表示形態として形の選択を可能とするには発光ダイオードをマトリクス状に配列したものを用いることができ、色の選択を可能とするには赤、緑などの2色の発光ダイオードを1つのパッケージに収納したいわゆる2色発光ダイオードを用いることができる。この種の2色発光ダイオードは周知のように各発光ダイオードをそれぞれ単独で点灯させる場合と交互に点灯させて混色を得る場合とで3色の発光色を選択することができる。・・・」

(3) 対比
補正発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「表面層33側の面」が補正発明の「ユーザー側」に相当し、また引用発明の「下層床41側の面」が補正発明の「裏側」に相当する。
よって、引用発明の「表面層33側の面と、その反対の下層床41側の面を有」する「床材」と、補正発明の「ユーザ側及び反対の裏側を持つPVC床材」とは、「ユーザ側及び反対の裏側を持つ」「床材」で共通する。

イ 引用発明の「LEDの照明手段36」は、補正発明の「光を発生する照明システム」に相当する。

ウ 上記ア、イを踏まえると、引用発明「床材」およびそれに設けられた「LEDの照明手段36」を有する「光るサインあるいはパターンを提供する床構造」は、補正発明の「床材」と「光を発生する照明システム」とを有する「床被覆システム」に相当する。

エ 引用発明の「床材の裏側に配置された下層床41を貫通する開口43内にLEDの照明手段36が設けられ」ることは、補正発明の「照明システムが、」「床材の裏側に設けられ」ることに相当し、また引用発明の「開口43」は補正発明の「凹所」に相当する。
さらに、引用発明は「LEDの照明手段36の配列により床張り表面にパターンあるいはサインが形成され」るもので、「配列」をなすということは、「LEDの照明手段36」及びそれが設けられる「開口43」は複数存在するということである。
よって、引用発明の「床材の裏側に配置された下層床41を貫通する開口43内にLEDの照明手段36が設けられ、LEDの照明手段36の配列により表面にパターンあるいはサインが形成され」ることと、補正発明の「照明システムが、前記PVC床材の裏側に設けられ」、「前記照明システムが、複数の光源を有し、前記PVC床材が、前記PVC床材の裏側に配置された1以上の色混合凹所を持ち、前記1以上の色混合凹所の各々が、異なる色を持つ複数の光源を収容し、前記異なる色を持つ複数の光源によって発せられる光を混合するよう構成される」こととは、「照明システムが」「床材の裏側に設けられ、」「照明システムが、複数の光源を有し、」「床材が、」「床材の裏側に配置された1以上の」「凹所を持ち、前記1以上の」「凹所の各々が」「光源を収容する」点で共通する。

オ 引用発明の「床材の裏側に配置された下層床41を貫通する開口43内にLEDの照明手段36が設けられ」、「LEDの照明手段36の配列により表面にパターンあるいはサインが形成され」ることは、「LEDの照明手段36」からの光は「床材」を透過して「表面」に届いているということになるので、補正発明の「PVC床材が、照明システムにより発生された光に対して、0.5%ないし30%の範囲の光透過率を持」つこととは、「床材」が「照明システムにより発生された光」を透過するものである点で共通する。

以上アないしオより、補正発明と引用発明は、下記の点で一致している。

[一致点]
「ユーザ側及び反対の裏側を持つ床材と、
光を発生する照明システムと、
を有する床被覆システムにおいて、
前記照明システムが、前記床材の裏側に設けられ、
前記床材が、前記照明システムにより発生された光を透過するものであり、
前記照明システムが、複数の光源を有し、
前記床材が、前記床材の裏側に配置された1以上の凹所を持ち、前記1以上の凹所の各々が、光源を収容する、
床被覆システム。」

他方、補正発明と引用発明は、下記の点で相違する。

[相違点1]
補正発明の床材は「PVC」とされているのに対し、引用発明の床材は透光性の表面層33と透光性樹脂のコア40よりなるパネルと、下層床41とからなるが、「PVC]との特定がない点。

[相違点2]
補正発明の床材が照明システムにより発生された光に対して有する光透過率は「0.5%ないし30%の範囲」であるのに対して、引用発明の床材は光透過率の限定がない点。

[相違点3]
補正発明では「凹所」は各々「異なる色を持つ」複数の光源を収容し、「前記異なる色を持つ複数の光源によって発せられる光を混合する」「色混合凹所」であるのに対して、引用発明はその特定がない点。

(4) 判断
上記相違点について検討する。

ア 相違点1について
上記(2)イに摘記した引用例2にも記載されているとおり、透光性を有する床材としてPVCを用いることは本願優先日において当業者にとり周知技術(上記(2)ウに摘記した特開昭60-141943号公報、上記(2)エに摘記した実願昭58-70228号(実開昭59-175536号)のマイクロフィルムを参照。)であり、引用発明の透光性の「床パネル」にPVCを採用することは周知技術の採用に過ぎない。ここで、引用発明では「下層床41」の材質が特定されていないが、「床パネル」と同じく周知のPVCとすること、すなわち床材全体を同じ材質からなるものとすることは、当業者が容易に選択できることである。
また、引用発明では「床材」は「透光性の表面層33と透光性樹脂のコア40よりなる床パネルと、その下に位置する下層床41より」という層構造を有するのに対し、補正発明では単に「床材」とされている点について補足すると、床材を2層構造とするか、また表面層を付加するかどうかは、当業者が必要に応じて適宜なし得る設計事項である上、補正発明は層構造、また表面層の付加の有無を特定するものではなく、この点は実質的な相違ではない。加えていうと、床材の裏側に凹所を形成することは、引用例1(図3d)にも開示されている。
以上のように、相違点1に係る補正発明の構成は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に想到し得るものである。

イ 相違点2について
相違点2に係る補正発明の構成である、床材の光透過率の「0.5%ないし30%の範囲」という数値限定に関して、発明の詳細な説明をみると、「【0011】照明システムにより発生された光に対して、0.5%ないし30%の光透過率を持ち、PVC床材及びラミネート床材からなるグループから選択される、本発明による床被覆が、これらの基準の1以上を満たすことができることがわかった。」、「【0015】・・・ここで、前記床被覆システムは、光を提供するオプションをも提供し、他方で、前記床被覆の透過性は、光が発せられない場合に前記照明システムが見えないように選択される。したがって、前記床被覆システムは、光を生成することができるが、前記床被覆の後ろの光源は、見えない。好ましくは、透過率は、0.5%ないし20%の範囲、例えば1%ないし20%である。特に、透過率は、15%以下であり、例えば10%以下であり、例えば1%ないし10%又は1%ないし5%である。したがって、示された透過率範囲は、一方で、前記床被覆を通る十分な透過率を提供することができ、特に従来のLED、好ましくは半導体LEDを仮定して、例えば典型的なオフィス照明条件下で照明効果を更に見えるようにするが、他方で、前記床被覆の下の要素(例えば光源)の可視性を実質的に防ぐ。・・・」、「【0042】本発明は、他の態様において、本発明による床被覆システムにおいて使用され、光に対して0.5%ないし30%の範囲、特に1%ないし20%の範囲の光透過率を持つ(上記を参照)床被覆自体をも提供し、前記床被覆は、PVC床材及びラミネート床材からなるグループから選択される。」、「【0080】 床被覆システム10、より正確には床被覆100のユーザ側101に立つ又は歩く人は、好ましくは、上から(オフ状態である場合に)照明システム200を見ることができない。これは、特に、多くとも約15%、好ましくは多くとも約10%、例えば5%以下の比較的低い透過率によって達成されることができる。」と説明されている。
これらの説明より、該数値限定は、「床材」が、「光源」からの光を通すのに十分で、かつ「光源」のオフ状態では照明システム(LED)が見えない低さの範囲の光透過率を有するものであるということと解される。
これに対し、引用発明は「光るサインあるいはパターンを提供」し、かつ「LEDの照明手段36をオフにしたときはLEDの照明手段36や開口43は見えなくなる」ものであるから、「床パネル」の光透過率もこれを可能とする範囲とされることは当業者ならば容易に読み取れる。すなわち、床材の光透過率を、光源からの光を通すのに十分で、かつ光源のオフ状態では照明システム(LED)が見えない低さの範囲とすることは、当業者であれば引用発明から容易に読み取れる。なお、引用発明において、「下層床41」を「床パネル」と同じ材質とすることは、先に述べたように当業者が容易に成し得たことである。

ここで、引用発明では具体的な光透過率の数値までは特定されていないのに対し、補正発明では具体的臨界値(上限値、下限値)が特定されているので、その意義について検討する。
該意義に関し発明の詳細な説明を参照すると、上記摘記のように上限値、下限値の例は列挙されていても、それら臨界値内外における際だって優れた効果あるいは異質な効果の具体的説明もなく、よって当業者の通常の創作能力の発揮である課題解決のための数値範囲の最適化又は好適化以上のものとは認められない。

以上のように、相違点2に係る補正発明の構成は、当業者が引用発明に基づいて容易に想到し得るものである。

ウ 相違点3について
LEDを用いて文字や図形や模様を表示するにあたり、異なる色を持つLEDを一つのパッケージに収納し、前記異なる色を持つLEDによる光を混色することは周知技術であり(上記(2)オに摘記した特開平8-315259号公報参照。)、引用発明における「開口43」内のLEDを、異なる色を持つLEDを一つのパッケージに収納したものとして、相違点3に係る補正発明の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得ることである。
以上のように、相違点3に係る補正発明の構成は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に想到し得るものである。

エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ したがって、補正発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5) 本件補正の適否についてのむすび
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成26年10月30日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の1[補正前]に記載のとおりのものである。

2 引用例
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1及びその記載事項は、前記第2の2(2)に記載したとおりである。

3 対比・判断
上記第2の1に記載したように、本願発明は、上記第2の2で検討した補正発明から、「照明システム」に係る限定事項を削除したものであり、また上記第2の2(3)の相違点3の内容は該限定事項に対応するものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む補正発明が、上記第2の2(4)で説示したとおり、「照明システム」に係る限定事項すなわち相違点3を除くと、当業者が引用発明及び引用例2に記載される周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が引用発明と周知技術に基づいて容易に発明することができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が本願優先日前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-05-29 
結審通知日 2017-05-31 
審決日 2017-06-13 
出願番号 特願2012-530391(P2012-530391)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (E04F)
P 1 8・ 573- Z (E04F)
P 1 8・ 121- Z (E04F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 敏行油原 博  
特許庁審判長 小野 忠悦
特許庁審判官 前川 慎喜
住田 秀弘
発明の名称 照明システムを有する床被覆システム  
代理人 柴田 沙希子  
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