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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B64D
管理番号 1334009
審判番号 不服2016-18379  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-07 
確定日 2017-11-27 
事件の表示 特願2013-550900号「航空機用の超軽量シート」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月 9日国際公開、WO2012/104248、平成26年 2月27日国内公表、特表2014-504981号、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)1月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年2月1日 フランス)を国際出願日とする出願であって、平成27年11月26日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月26日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月29日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年12月7日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?12に係る発明(以下「本願発明1」?「本願発明12」という。また、まとめて「本願発明」ということもある。)は、平成28年2月26日にされた手続補正により補正された請求項1?12に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明1は以下のとおりである。
「航空機の乗客用のシートであって、
前記航空機の床に対して取り付けられるよう構成された足(10)及びアーマチュア(12)を含む構造体(1)と、
少なくとも一つの背もたれ(2)と、
少なくとも一つの座面(3)と、を具備し、
前記少なくとも一つの背もたれ、および前記少なくとも一つの座面は、いずれも、前記構造体(1)の前記アーマチュア(12)に対して堅固に固定されており、
前記構造体(1)は、剛性を有し、チューブ状であり、かつ、プラスチックから形成されており、かつ、前記構造体(1)は、取り付けられる前記チューブの端部を取り囲む剛体ブッシュからなる接続部品(30,32,34,35)によって互いに取り付けられた複数のチューブ(20,21,22,23,24)からなることを特徴とするシート。」

第3 原査定の理由の概要
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.米国特許出願公開第2008/0150342号明細書
引用文献2.米国特許第3719389号明細書(周知技術を示す文献)
引用文献3.米国特許第4251106号明細書
引用文献4.特開平4-27531号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開2002-308175号公報(周知技術を示す文献)
引用文献6.特開平6-79775号公報(周知技術を示す文献)
引用文献7.国際公開第2010/112875号

特に本願発明1は、引用文献1に記載された発明の足(support leg 112)及びアーマチュア(cross beam 202, 204及びsupport frame 402)を含む構造体(composite seat pan 200及びcomposite seat back structure 400)を、引用文献2に示されているような周知技術である、剛性を有するチューブ状のプラスチックから形成するとともに、乗客用のシートの構造体に関する引用文献3に記載されている、構造体(first frame)は、取り付けられるチューブの端部を取り囲む剛体ブッシュからなる接続部品(connector member 111)によって互いに取り付けられた複数のチューブ(tubular members 14, 15, 16)からなる構成を採用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 当審の判断
1 引用文献の記載事項並びに引用文献に記載された発明及び技術的事項
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として示された米国特許出願公開第2008/0150342号明細書には、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、当審で作成した翻訳文により表記し、以下翻訳文の用語等を用いることとする。また、下線は当審で付加した。以下同様。
ア 「特許請求の範囲
1.軽量航空機乗客シート用の複合シートバック構造であって、
上端部と下端部とを有する複合支持フレームと、
複合支持フレームの下端に結合された複合トルクボックスであって、複合支持フレームの前後方向の曲げに抵抗し、及び、複合シートバック構造から荷重を軽量航空機乗客シートのシート底面に伝達するように構成された複合トルクボックスと、
を含む複合シートバック構造。」

イ 「[0045] 図1は、本発明の一実施形態に従って構成された軽量航空機乗客シート100の正面斜視図である。シート100は、航空機の乗客シートとして、例えば民間航空機の列として使用するのに適している。・・・シート100は、3連シート組立体として示されているが、本明細書に記載された概念、技術、特徴及び技術は、ダブルシート、4連シート、シングルシート、または乗客何人でも着席できるシート等のどの様な実用的シート構成にも拡張可能で、実用上のサイズの制約、構造材料の特性、及び航空機構造のみにより制限されるものである。・・・
[0046] シート100は通常、軽量の複合支持構造102と、乗客3人用サイズの軽量複合シート底面104と、3つのシートクッション106、3つのシートバック装置108、及び3つのヘッドレスト110を含む。これらの主要構成要素を組み合わせることで、従来の航空機シート組立体と比較して軽量でコンパクトな(前部から後部)の構造になる。この特定の実施形態は、乗客1人が占める位置当たり約18ポンドの重さと推定される(または本明細書のように3連シート組立体当たり54ポンド)。これは、従来の非複合シート設計に対してかなりの重量削減となる。比較として、現在のエコノミークラスで最高のシートは、通常乗客1人あたり24ポンド以上の重量である。」

ウ 「[0047] 軽量複合材支持構造102は、上端部(図1では隠れている)と、航空機の床への取り付け用に適切に構成された下端部とを有する。下端部は、例えば、航空機の床と一体のシート取付レールと適合する様に設計できる。支持構造102の上端部は、留め具、取り付け機構、適切な取り付け材料または組成物などを用いてシート底面104の下側に結合される。実際には、支持構造102は、特定の航空機シート組立体(シート100につき3人の乗客)のシート容量に従って調整することができる。これに関して、支持構造102(及びシート100一般)は、大人の乗客3人に対する構造的支持となり、例えば連邦航空局によって義務付けられた“16G”動的試験のような必要な構造的、静的または動的試験を満たすように適切に構成される。」

エ 「[0049] 複合シート底面104は、上側(シートクッション106がその上に配置される)、軽量コンポジット支持構造102の上端に結合される下側、前側部分、及び後側部分を有する。特定の実施形態では、複合シート底面104は、乗客肘掛けのための構造的支持を提供し、及び/または乗客席シートベルトの構造的取り付け位置を提供する。 複合シート底面104の例示的な構造は、図2?図5を参照して以下により詳細に説明される。
[0050] シートクッション106は、複合シート底面104の上側に配置される。座席100は、別々で物理的に互いと異なるシートクッション 106、または互いに連結されたシートクッション106を含むサブアセンブリを利用することができる。例えば、シートクッション106は、適切に構成されたウェビング、縫い目、または接続材料を介して互いに接合されてもよい。
[0051] シートバック装置108は、必要に応じて前傾及び前傾を可能にするように、複合シート底面104に結合される。この例示的な実施形態では、各シートバック装置108は、それぞれ独立した構成要素であるので、複合シート底面104に対して独立した枢動が可能である。各シートバック装置108は、シートバック構造(図1では隠れている)と、シートバック構造に連結されたシートバッククッション116とを含む。シートバック構造は、それぞれのシートバッククッション116を構造的に支持し、乗客の背中を支える。シートバック構造は、適切な方法で複合シート底面104の後側部分に結合することができる。例えば、複合シート底面104の一体化特徴は、シートバック構造用の取り付け構造(例えば可撓性の「ヒンジ」)として役立つ。シート100と共に使用するのに適したシートバック構造の実施形態が、図26?図31を参照して以下に説明される。」

オ 「[0054] 図2?図5を参照すると、複合シート底面200は一般的に、前方クロスビーム202、後方クロスビーム204、表皮または膜206、及び複数のスプレッダバー208を含む。・・・」

カ 「[0058] 前方クロスビーム202は、アルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または適切な材料または材料の組み合わせから形成することができる。・・・」

キ 「[0061] 後方クロスビーム204は通常、前方クロスビーム202(前方クロスビーム202と共有される後方クロスビーム204の特徴、態様、及び要素はここでは詳細には重複説明しない)について上述したのと同様な構成である。・・・」

ク 「[0063] 表皮206は、上面228とその反対側の下面230とを有する。上面228は、シート底面200の支持面である。図5に最も良く示されているように、下面230は、複合前方クロスビーム202、複合後方クロスビーム204、及びスプレッダバー208に結合される。シート底面200の実施形態では、表皮206は、前方クロスビーム202と後方クロスビーム204の前後方向の曲がりに抵抗する構造要素として構成される。言い換えると、表皮206は、前後方向の荷重経路のためにシート底面200の強度を増加させるように機能する。上述したように、表皮206の構造特性ゆえに、前部クロスビーム202及び後部クロスビーム204を軽量化できるが、それはクロスビーム及びスプレッダバーは、シート底面200の前後方向の強度及び剛性のすべてを提供する必要がないからである。簡単に例えると、表皮206、前方クロスビーム202、後方クロスビーム204は、前後方向に対する構造I形ビームに類似する。」

ケ 「[0066] 表皮206は、複合体として、もしくはアルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または何らかの適切な材料もしくは材料の組み合わせから形成できる。・・・」

コ 「[0073] 図15は、複合シート底面200における使用に適したスプレッダバー208の斜視図である。図4及び図5は、複合前方クロスビーム202及び複合後方クロスビーム204に結合されたスプレッダバー208を示す。スプレッダバー208は、アルミニウム等の軽量金属、複合材料、高強度成形プラスチック、または任意の適切な材料または材料の組合せから形成できる。・・・」

サ 「[0083] 好ましい実施形態では、各複合支持脚300は軽量でコスト効率の良い方法で生産可能な複合構造を用いる。例えば、各複合支持脚300は、最終重量1.5ポンド未満に製造可能である。図16?図25では、各複合支持脚部300は通常、構造ボックス302と、筋交い304と、前側継手306と、後側継手308とを含む。図16は、(後部継手308が組み立てられていない状態の)支持脚300の一実施形態の斜視側面図である。図16はまたスプレッダバー208を示し、支持脚300がどの様にシート底面200に結合されるかを示す。
[0084] 構造ボックス302は、複合支持脚300の主要構造部品である。構造ボックス302のこの実施形態はほぼ三角形で、シート上端部310、及びシート端部310に対向する足下端部312を有する。シート端部310はシート端部200に結合される端部であり、一方、足端部312は、航空機の床に結合される端部である。・・・
[0085] 外側フレーム314は、互いに結合して略三角形を形成する複数の押出複合フレーム要素(この実施形態では3つ)を含むことができる。・・・代替の実施形態では、外側フレーム314は、アルミニウムやチタンなどの軽量金属、高強度成形プラスチック、非押出複合材、または任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されたフレーム要素を使用することができる。」

シ 「[0091] 複合支持脚300の代替の実施形態は、コア材料320なしで(場合によっては表皮316/318なしで)外側フレーム314を使用する。そのような実施形態は、外側フレーム314に対してより強固な構成を使用可能にし、例えば、外側フレーム314を構造トラスとすることができる、より厚い複合押出成形品を使用できる。」

ス 「[0092] 筋交い304は、複合構造、アルミニウムやチタンなどの軽量金属、高強度成形プラスチック、または任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成することができる。・・・」

セ 「[0096] 動作中、複合筋交い304/336は、複合支持脚300のための張力リンク部材として機能する。図7および図24では、後部継手308を使用して、複合筋交い304/336を航空機の床に結合することができる。後部継手308は、例えば、チタンやアルミニウム等の軽量金属から形成することができる。航空機の床に結合されると、複合筋交い304/336は、シートの前方への移動を防止するように機能する。一実施形態では、複合筋交い304/336は、少なくとも6500ポンドの重量に張力下で耐えるように適切に構成されている。
[0097] 前側継手306は、図16?19に示すように、構造ボックス302の足端312に結合される。ここで、前側継手306は、リベット、ボルト、または何らかの適切な締結具を使用して、足端312に近接した外側フレーム314に結合される。前側継手306のこの実施形態は、シート軌道、シートレール等の航空機搭載機構への堅固な取り付けのために構成される。前側継手306は、例えば、アルミニウムやチタン等の軽量金属から形成することができる。」

ソ 「[0098]
図24と図25は、剛性前側継手306の代わりに使用できる衝撃吸収前側継手344を示している(同様の衝撃吸収継手を剛性後側継手308の代わりに使用してもよい)。前側継手344は、チタンやアルミニウム等の軽量金属、高強度成形プラスチック、複合構造、または任意の適切な材料または材料の組み合わせで形成することができる。・・・」

タ 「[0109] 各複合シートバック構造400は、軽量でコスト効率の良い方法で製造可能な複合構造を用いる。例えば、各複合シートバック構造400は、成形複合物を使用して製造することができ、重量は3.0ポンド未満になる。図26は、複合シートバック構造400aの一実施形態を示し、図30は、複合シートバック構造400bの別の実施形態を示す。
[0110] 図26?図29では、複合シートバック構造400aは通常、支持フレーム402と、支持フレーム402に結合されたトルクボックス404と、トルクボックス404に結合されたアクチュエータリブ406とを含む。図26は複合シートバック構造400aの斜視図であり、図27はトルクボックス404の一実施形態の斜視図であり、図28はトルクボックス404の主要部分の断面の、図26に示す複合シートバック構造400aの斜視断面図であり、図29は、アクチュエータリブ406の一実施形態の斜視図である。
[0111] 支持フレーム402は、複合構造、アルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または何らかの適切な材料または材料の組み合わせから形成することができる。・・・
[0112] 一実施形態では、支持フレーム402は、不均一なゲージを有するチューブ(例えば、正方形または長方形のチューブ)である。・・・」

チ 「[0114] トルクボックス404は、複合構造、アルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または何らかの適切な材料または材料の組み合わせから形成することができる。・・・」

(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)イの段落[0045]、エ及びFIG.1の記載からみて、引用文献1の「軽量航空機乗客シート100」は、少なくとも一つのシートバッククッション116と少なくとも一つのシートクッション106とを具備するといえる。また、上記(1)ウ、サ及びFIG.1、2の記載からみて、「複合支持脚300及び複合シートバック構造400と複合シート底面200」は航空機の床に対して取り付けられるよう構成されたものであるといえる。そして、上記(1)イ?エの「複合シート底面104」を詳述しているのが上記(1)オ?コの「複合シート底面200」に係る事項であり、同様に、「シートバック構造」を詳述しているのが上記(1)タ、チの「複合シートバック構造400」に係る事項であり、「複合支持構造102」の「支持脚112」を詳述しているのが上記(1)サ?セの「複合支持脚300」に係る事項であることは明らかである。

以上のことと上記(1)の各記載事項から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「軽量航空機乗客シート100であって、
航空機の床に対して取り付けられるよう構成された複合支持脚300及び複合シートバック構造400と複合シート底面200と、
少なくとも一つのシートバッククッション116と、
少なくとも一つのシートクッション106と、を具備し、
前記少なくとも一つのシートバッククッション116は、複合シートバック構造400に連結され、前記少なくとも一つのシートクッション106は複合シート底面200に配置され、
前記複合支持脚300は、複合押出成形品からなる構造トラスとした外側フレーム314と、複合構造、アルミニウムやチタンなどの軽量金属、高強度成形プラスチック、または任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成される筋交い304と、それぞれアルミニウムやチタン等の軽量金属から形成される前側継手306と、後側継手308とを含み、
前記複合シートバック構造400は、複合構造、アルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または何らかの適切な材料または材料の組み合わせから形成され不均一なゲージを有するチューブからなる支持フレーム402と、前記支持フレーム402に結合され、前記支持フレーム402の前後方向の曲げに抵抗し、及び、前記複合シートバック構造400から荷重を前記複合シート底面200に伝達するように構成され、複合構造、アルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または何らかの適切な材料または材料の組み合わせから形成されるトルクボックス404とを含み、
前記複合シート底面200は、それぞれアルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または適切な材料または材料の組み合わせから形成からなる前方クロスビーム202、後方クロスビーム204、複合体として、もしくはアルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または何らかの適切な材料もしくは材料の組み合わせから形成される表皮206、及び、アルミニウム等の軽量金属、複合材料、高強度成形プラスチック、または任意の適切な材料または材料の組合せから形成される複数のスプレッダバー208とを含む軽量航空機乗客シート100。」

(3)引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2として示された米国特許第3719389号明細書には、図面と共に以下の事項が記載されている。
ア 「特許請求の範囲:
1.複数の管状フレーム部材と、
前記管状部材の少なくともいくつかを相互に確実に相互接続するためのジョイント手段とを含む家具構造であって、前記ジョイント手段は、
応力下の締め付け関係において前記部材のうちの第2の部材を実質的にかつ緊密に囲むための前記部材の1つと一体に形成された弾力性クランプ手段を含み、
前記クランプ手段は、前記1つの管状部材の一体部分を含み、この部分は平坦化されかつ、実質的に閉じた構造に形成され、この閉じた構造は、その内部にクランプされる前記第2の部材の外部断面構造に密接に沿い、
前記クランプ手段は、その内部にクランプされる前記第2の部材の匹敵する寸法と実質的に等しいがそれ以上ではない内寸法を持ち、
それにより、前記クランプ手段の両側の前記第1の管状部材の部分は、互いに離隔して、前記一体の平坦化したクランプ部を弾力的に変形して、前記第2の部材のその内部への挿入を可能にし、またそれにより、前記クランプ手段の弾力性により、前記平坦クランプ部分は、その内部にクランプされる第2の部材を緊密にクランプして囲むようにされ、
前記ジョイント手段は、前記クランプ手段の両側の前記1つの部材の前記部分を互いに対して付勢し、かつ、それらをそのような付勢下で応力を受けた状態に保持してそれにより、前記平坦クランプ部分の固有弾力性による把持作用を強化するための手段と、
を含む家具構造。」(第8欄第7?41行)

イ 「好ましくは、図1に示されるチェアの全ての部分は、以下に詳細に説明する成形及び組立作業を改良容易にするために、所望の耐候性、剛性、弾力性及び熱成形品質を有する適切なプラスチック管から形成される。本発明に関連して使用するのに適した多くの公知のプラスチック材料には、PVC(ポリ塩化ビニルプラスチックまたは樹脂)、ABS(アクリロニトリル - ブタジエン - スチレンプラスチック)、高衝撃PS(ポリスチレンプラスチック)、PP(ポリプロピレンプラスチックまたは樹脂)として知られるもの、及びブチラート、アクリル、セルロース及びアセタールを含む様々な他のプラスチック、が挙げられる。」(第2欄下から6行?第3欄第10行)

(4)引用文献2に記載された技術的事項
上記(3)より、引用文献2には以下の技術的事項が記載されているものと認める。
「プラスチック管から形成される複数の管状フレーム部材と、前記管状フレーム部材の少なくともいくつかを相互に確実に相互接続するためのジョイント手段とを含むチェアであって、前記ジョイント手段は、応力下の締め付け関係において前記管状フレーム部材のうちの第2の部材を実質的にかつ緊密に囲むための1つの管状フレーム部材と一体に形成された弾力性クランプ手段を含み、前記クランプ手段は、前記1つの管状フレーム部材の一体部分を含み、この部分は平坦化されかつ、実質的に閉じた構造に形成され、この閉じた構造は、その内部にクランプされる前記第2の部材の外部断面構造に密接に沿うようにする」技術。

(5)引用文献3の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献3として示された米国特許第4251106号明細書には、図面と共に以下の事項が記載されている。
ア 「特許請求の範囲
1.ラウンジチェアにおいて、組み合わせは、逆V字形部分を一端に有する第1の管状フレーム手段を含み、逆V字形部分の自由端部が前脚を画定し、X形の第2の管状フレーム手段を含み、第2のフレーム手段の管状要素のうちの2つが後脚を画定し、チェアの座部と背もたれとを形成する柔軟なシート材料の引き伸ばしたウェブを含み、X形フレーム手段は下方と後方へ傾斜しており、ウェブの一端をX形フレーム手段の上方へ突出する端部に取り外し可能に固定する手段を含み、第1のフレーム手段の逆V字形部分の頂点は、X形フレーム手段の中間部分の上に配置され、逆V字の管状要素がX形フレーム手段の管状要素に跨りかつ下方と前方に傾斜して前脚を画定し、第1のフレーム手段はまた、V字形部分の頂点から上方に突出する背もたれ支持延長部を含み、前記組み合わせは、前記ウェブの中間部分を前記頂点に隣接する第1のフレーム手段に取り外し可能に固定して座部を画定する手段と、ウェブの他端を前記延長部に取り外し可能に固定して背もたれを画定する手段と、前脚の先端部を後脚の先端部に接続してチェアの転倒を防ぎかつ両前記フレーム手段の限定された傾斜を許容してチェア使用者による模擬ロッキング動作を可能にする手段、とを含む。」(第3欄第52行?第4欄第17行)

イ 「図面から分かるように、チェアは、特別に形成されたコネクタ要素によって接続された管状要素から組み立てられかつ分解され得る2つの相互作用するフレームを備え、これにより、可撓性ウェブが2つのフレームの上端の間に懸架され得る。
第1のフレームは一対のコネクタ部材10と11を含み、各々はY字形アレイの管状部材を着脱可能に受け入れるための3つのペグを有する。コネクタ10の下部ペグ上を滑る管状部材12と13は、チェアの前部脚部を含む反転した、下方と前方に傾斜したV字形を形成する。管状部材14は上方に突出した延長部を形成し、コネクタ部材11のペグの1つに取り外し可能に受け入れられる。2つの他の管状部材15と16がソケット11の上部開口に着脱可能に挿入されて、ほぼ直立したV字形を形成する。
第2のフレームは、4つの管受けペグを備えたコネクタ部材17を含む。管状部材18と19は、その上端部がコネクタ17に着脱自在に受容され、チェアの後脚部を形成する下向き及び後向きに傾斜した逆V字形構造を画定する。コネクタ上の上部ペグは、X字形を成す管状部材20と21の下端部を着脱自在に受容するが、同下端部は外向き及び上向きに分岐してそれにより、部材18と19と共に第2フレームはほぼX字形となる。脚部12、13、18及び19の下端部が着脱自在にその上に挿入されたときにパッドが実質的に水平面内にあるように、二対の略円板形状のフットパッド22、23及び24、25には角度をつけたペグがその上部に設けられる。図3Aと図3Bは、脚部18がその上に挿入される上向きに傾斜したペグ26を提供するために成形または鋳造され得る1つのパッド22の構造を示す。これに関連して、チューブ18の下端部の一部に内向きに変形した縦溝を設けることができ、ペグの外面に溝と嵌合する相補的な縦溝27が形成され、所定の位置にあるときペグの捻じれを防止することに注意されたい。好ましくは、パッドの下部には、以下に説明する目的のために半球面29が設けられている。1つのパッドのみが詳細に説明されているが、それらの全てが同様に形成される。さらに、一対のパッド22と23、ならびに対24と25はそれぞれ、可撓性のストラップまたはケーブル30によって互いに結合されているが、これらのストラップまたはケーブル30は、その端部が所定位置に成形されるかもしくはパッドに固定されてそれにより、パッドが所定位置にあるときにそれらは、2つのフレームの下端部の前後の変位を制限してチェアの崩壊を防止する。」(第1欄第50行?第2欄第38行)

(6)引用文献3に記載された技術的事項
上記(5)より、引用文献3には以下の技術的事項が記載されているものと認める。
「ラウンジチェアにおいて、コネクタ部材によって接続された管状部材から組み立てられかつ分解され得る2つの相互作用するフレームを備え、前記管状部材はコネクタ部材に着脱可能に挿入されるものであり、脚部を構成する管状部材には、それらに挿入される上向きに傾斜したペグが設けられるフットパッドを有する」技術。

2 対比・判断
(1)本願発明1と引用発明との対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「軽量航空機乗客シート100」は本願発明の「航空機の乗客用のシート」及び「シート」に相当し、以下同様に、「複合支持脚300」は「足」に、「シートバッククッション116」は「背もたれ」に、「シートクッション106」は「座面」にそれぞれ相当する。
また、本願の請求項1において「アーマチュア」に付された符号が12のみとなっているが、当該アーマチュアには「背もたれ」のみならず「座面」も固定されることが請求項1において特定されていること、及び、本願明細書の段落【0039】の記載からみて、アーマチュアは【発明を実施するための形態】の説明における後方セクション12とベース部分13の両者によって構成されることは明らかである。そうすると、後者の「複合シートバック構造400」及び「複合シート底面200」は前者の「アーマチュア」に相当するといえる。

イ 前者の「構造体」は「足およびアーマチュアを含む」ものであるから、後者の「複合支持脚300及び複合シートバック構造400と複合シート底面200」は、前者の「構造体」を充足するものといえる。
したがって、後者の「航空機の床に対して取り付けられるよう構成された複合支持脚300及び複合シートバック構造400と複合シート底面200と」は、前者の「前記航空機の床に対して取り付けられるよう構成された足およびアーマチュアを含む構造体と」を充足するといえる。
また、後者の「複合支持脚300及び複合シートバック構造400と複合シート底面200」は、航空機の乗客用のシートの技術常識を考慮すれば剛性を有していることは明らかといえる。

ウ 後者の「少なくとも一つのシートバッククッション116」及び「少なくとも一つのシートクッション106」は、航空機の乗客用のシートの技術常識を考慮すれば「複合シートバック構造400」及び「複合シート底面200」に対し堅固に固定されていることは明らかといえるから、後者の「前記少なくとも一つのシートバッククッション116は、複合シートバック構造400に連結され、前記少なくとも一つのシートクッション106は複合シート底面200に配置され」は、前者の「前記少なくとも一つの背もたれ、及び前記少なくとも一つの座面は、いずれも、前記構造体の前記アーマチュアに対して堅固に固定されており」に相当するといえる。

エ してみると、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりと認める。
〔一致点〕
「航空機の乗客用のシートであって、
前記航空機の床に対して取り付けられるよう構成された足およびアーマチュアを含む構造体と、
少なくとも一つの背もたれと、
少なくとも一つの座面と、を具備し、
前記少なくとも一つの背もたれ、及び前記少なくとも一つの座面は、いずれも、前記構造体の前記アーマチュアに対して堅固に固定されており、
前記構造体は、剛性を有しているシート。」

〔相違点〕
「構造体」に関し、本願発明が、
「構造体は、チューブ状であり、かつ、プラスチックから形成されており、かつ、前記構造体は、取り付けられる前記チューブの端部を取り囲む剛体ブッシュからなる接続部品によって互いに取り付けられた複数のチューブからなる」
というものであるのに対し、引用発明は、
「前記複合支持脚300は、複合押出成形品からなる構造トラスとした外側フレーム314と、複合構造、アルミニウムやチタンなどの軽量金属、高強度成形プラスチック、または任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成される筋交い304と、それぞれアルミニウムやチタン等の軽量金属から形成される前側継手306と、後側継手308とを含み、
前記複合シートバック構造400は、複合構造、アルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または何らかの適切な材料または材料の組み合わせから形成され不均一なゲージを有するチューブからなる支持フレーム402と、前記支持フレーム402に結合され、前記支持フレーム402の前後方向の曲げに抵抗し、及び、前記複合シートバック構造400から荷重を前記複合シート底面200に伝達するように構成され、複合構造、アルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または何らかの適切な材料または材料の組み合わせから形成されるトルクボックス404とを含み、
前記複合シート底面200は、それぞれアルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または適切な材料または材料の組み合わせから形成からなる前方クロスビーム202、後方クロスビーム204、複合体として、もしくはアルミニウムやチタン等の軽量金属、高強度成形プラスチック、または何らかの適切な材料もしくは材料の組み合わせから形成される表皮206、及び、アルミニウム等の軽量金属、複合材料、高強度成形プラスチック、または任意の適切な材料または材料の組合せから形成される複数のスプレッダバー208とを含む」
というものであって、
「複合シートバック構造400」の構成要素の一部である「支持フレーム402」は「高強度成形プラスチック」を選択肢として含む「不均一なゲージを有するチューブ」であるが、他の構成要素は「高強度成形プラスチック」を選択肢として含むものではあるもののチューブ状であるとの特定はなく、
「複合支持脚300」も構成要素の一部である「筋交い304」が、「高強度成形プラスチック」を選択肢として含むものではあるもののチューブ状であることの特定はなく、「取り付けられる前記チューブの端部を取り囲む剛体ブッシュからなる接続部品によって互いに取り付けられた複数のチューブからなる」ものでなく、「外側フレーム314」は「複合押出成形品」でありさらにチューブ状であることの特定はなく、「取り付けられる前記チューブの端部を取り囲む剛体ブッシュからなる接続部品によって互いに取り付けられた複数のチューブからなる」ものでなく、「前側継手306と、後側継手308」は「アルミニウムやチタン等の軽金属」であり、さらにチューブ状であることの特定はなく、「取り付けられる前記チューブの端部を取り囲む剛体ブッシュからなる接続部品によって互いに取り付けられた複数のチューブからなる」ものでなく、
「複合シート底面200」の各構成要素も、「高強度成形プラスチック」を選択肢として含むものではあるもののチューブ状であることの特定はなく、「取り付けられる前記チューブの端部を取り囲む剛体ブッシュからなる接続部品によって互いに取り付けられた複数のチューブからなる」ものでない点。

(2)相違点の判断
上記相違点について検討する。
ア 引用文献2には上記1(4)に示した技術的事項が開示されているといえるが、当該技術的事項は、航空機の乗客用のシートではなく、家具としてのチェアである上、「弾力性クランプ手段」が「1つの管状フレーム部材の一体部分を含み、この部分は平坦化されかつ、実質的に閉じた構造に形成され」ることにより構成されるものであるので、仮に近似する技術分野に属する技術ということで、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用し得たとしても、本願発明1の「取り付けられる前記チューブの端部を取り囲む剛体ブッシュからなる接続部品によって互いに取り付けられた複数のチューブ」という事項を有するものとはならない。
また、引用発明は「トルクボックス404」を有するものであり、当該「トルクボックス404」は全体としてボックス状をなすことからみて、それをチューブ状とすることを当業者が容易になし得たということもできない。
さらに、引用発明は「複合シート底面200」を有するものであり、当該「複合シート底面200」は面を有するものであることからみて、それをチューブ状とすることを当業者が容易になし得たということもできない。
加えて、引用発明は、その「複合支持脚300」が「前側継手306」と「後側継手308」を有するものであり、上記引用文献2に記載された技術的事項は、当該継手に相当する事項を有さないものである。
そして、例えば、上記引用文献2に記載された技術的事項を参酌し、さらに、上記1(1)ソに「前側継手」、「後側継手」の変形例として、それらを衝撃吸収性を持たせるものとし、その材料の選択肢の一つとして高強度成形プラスチックを用いることの記載があることから、引用発明の「前側継手306」と「後側継手308」の材料としてプラスチックを採用することが容易想到といえたとしても、シートを床に支持するための十分な強度が必要なことが明らかである「前側継手306」と「後側継手308」を、あえてチューブ状とすることまでの動機付けがあるということはできない。
したがって、上記引用文献2に記載された技術的事項及び上記引用文献1の記載事項(1(1)ソ)を参酌することにより、「外側フレーム314」をチューブ状かつプラスチックで形成されたものとすることが当業者にとり容易想到といえたとしても、「前側継手306」と「後側継手308」をチューブ状とすることまでも容易想到ということはできない。

なお、原査定で指摘するように、引用文献2に記載された技術的事項が周知技術であったとしても、上記判断に変わりはない。

イ 一方、引用文献3には上記1(6)に示した技術的事項が開示されているといえるが、当該技術的事項は、航空機の乗客用のシートではなく、ラウンジチェアである上、「管状部材」の材質は明らかでないので、仮に近似する技術分野に属する技術ということで、引用発明に引用文献3に記載された技術的事項を適用し得たとしても、「構造体は」、「プラスチックから形成されており」という事項を有するものとはならない。
また、引用文献3に記載された技術的事項において、「航空機の床に対して取り付けられるよう構成された」という事項を除けば本願発明1の「足」に対応するのは、「脚部」及び「フットパッド」であるが、引用文献3のFIG.3A、3Bの記載から「フットパッド」は「ペグ」も含めて管状部材をなしていないことが明らかであり、この点からみても、引用発明に引用文献3に記載された技術的事項を適用したとしても、本願発明の「足」を含む「構造体」が「チューブ状」であるという事項を有するものには至らない。
さらに、引用発明は「トルクボックス404」や「複合シート底面200」を有するものであり、上記アと同様の理由により、それらをチューブ状とすることを当業者が容易になし得たということもできない。

ウ また、仮に引用文献2から「弾性クランプ手段」に関する事項を除いて、「チェアを構成する管状フレーム部材をプラスチック管から形成する」という技術的事項のみを把握することができたとしても、引用発明に当該技術的事項を適用して、引用発明の「構造体」に相当する各部材を「チューブ状であり、かつ、プラスチックから形成され」たものとした上で、さらに、「チューブの端部を取り囲む剛体ブッシュからなる接続部品」という事項に対応する引用文献3に記載された技術的事項を適用するということになり、いわゆる容易の容易ということになって、当業者であっても容易に想到し得たということはできない。
仮にそこまでは容易に想到し得たとしても、引用発明の「トルクボックス404」や「複合シート底面200」や「複合支持脚300」の「前側継手306」と「後側継手308」については、上記ア、イで説示したとおりであって、それらまでをチューブ状とすることは、当業者であっても容易に想到し得たということはできない。

エ なお、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4?7は、いずれも本願の請求項1を引用する請求項に対するものであり、上記相違点に係る本願発明1の事項を容易想到とするような事項の開示は見当たらない。

(3)まとめ
したがって、本願発明1は、当業者が引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。
本願発明2?12は、本願発明1の発明特定事項を全て含みさらに限定したものであるので、本願発明1と同様に、当業者が引用発明及び引用文献2?7に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明1?12は、当業者が引用発明及び引用文献2?7に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたとはいえないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-11-10 
出願番号 特願2013-550900(P2013-550900)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B64D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 志水 裕司  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
出口 昌哉
発明の名称 航空機用の超軽量シート  
代理人 阿部 達彦  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  
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