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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01B
管理番号 1334162
審判番号 不服2016-11877  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-05 
確定日 2017-11-28 
事件の表示 特願2013-144868「遮蔽電気ケーブル」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月24日出願公開、特開2013-219054、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年12月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年8月31日 米国)を国際出願日とする出願である特願2013-501236号の一部を、平成25年7月10日に新たな特許出願としたものであって、平成26年6月26日付けで拒絶理由通知がされ、平成27年1月5日付けで手続補正がされ、同年8月28日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年2月29日付けで意見書が提出がされ、同年3月29日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年8月5日に拒絶査定不服審判の請求がされ、平成29年4月25日付けで当審から拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年10月10日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年3月29日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献A、Bに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2006-286480号公報
B.実願昭60-076507号(実開昭61-194218号)のマイクロフィルム


第3 平成29年4月25日付け当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由通知の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2006-286480号公報(拒絶査定時の引用文献A)
2.実願昭60-076507号(実開昭61-194218号)のマイクロフィルム(拒絶査定時の引用文献B)
3.特開2008-77952号公報
4.特開2001-326007号公報

2.請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の記載が不明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

3.請求項2に係る発明は、特許請求の範囲の記載が不明確であり、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


第4 本願発明
本願請求項1-4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は、平成29年10月10日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-4は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ケーブルアセンブリであって、
前記ケーブルの長さに沿って延在し、前記ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各前記導体セットに1つ以上の絶縁導体が含まれている、複数の導体セットと、
前記ケーブルの厚さ方向に互いに対向する当該ケーブルの側に配置されている第1及び第2遮蔽フィルムであって、前記第1及び第2フィルムには、カバー部分及び挟まれた部分が含まれ、これらは横断面において、前記第1及び第2フィルムのカバー部分が組み合わせて各前記導体セットを実質的に包囲し、かつ、前記第1及び第2フィルムの挟まれた部分が一緒に、前記ケーブルの幅方向における各前記導体セットのそれぞれの側で前記ケーブルの前記挟まれた部分を形成するように配置されている、第1及び第2遮蔽フィルムと、
前記ケーブルの前記挟まれた部分で、前記第1遮蔽フィルムを前記第2遮蔽フィルムに結合する第1接着層と、
前記ケーブルの幅を横切って延在する折り目の周りで内側半径が最大で5mmの、少なくとも45°のケーブルの曲げと、を含む遮蔽電気ケーブルであって、
前記複数の導体セットが、隣接する第1及び第2絶縁導体を含む第1導体セットを含み、前記第1及び第2遮蔽フィルムのそれぞれは、第1カバー部分と、第1及び第2挟まれた部分とを有し、これにより横断面において、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記第1カバー部分が一緒に前記第1導体セットを実質的に包囲し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記第1及び第2挟まれた部分が一緒に、前記第1導体セットのそれぞれの側に前記ケーブルの第1及び第2挟まれた部分を形成する、遮蔽電気ケーブルと、
前記ケーブル内の少なくとも前記曲げを包含する電気コネクターであって、前記絶縁導体のうち少なくとも1本が、前記電気コネクターの少なくとも1つの接触に電気的に連結される、電気コネクターと、を含むケーブルアセンブリ。
【請求項2】
前記電気コネクターが、前記曲げ及び前記少なくとも1つの接触を包含する成形物を包含する、請求項1に記載のケーブルアセンブリ。
【請求項3】
前記ケーブルが、前記電気コネクターによって包含されない第2の曲げを更に含み、前記第2の曲げが、前記ケーブルの幅を横切って延在する第2の折り目の周りで少なくとも45°の、最大5mmの内側半径を有する、請求項1又は2に記載のケーブルアセンブリ。
【請求項4】
少なくとも1つの前記導体セットが、少なくとも1Gb/sの最大データ伝送速度のために適合される、請求項1?3のいずれか一項に記載のケーブルアセンブリ。」


第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
平成29年4月25日付け当審拒絶理由通知の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。また、下線は重要箇所に対して当審が付与した(以下同様)。

ア.「【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータデバイスの周辺機器、高解像度の画像の伝送や高速HDDなどの記憶媒体の伝送回路に用いられる差動信号伝送ケーブルに関する。」


イ.「【0003】
この差動伝送方式によるコンピュータデバイスの周辺機器、高解像度の画像伝送回路、高速HDDなどの信号記憶媒体を繋ぐのに好適な伝送回路として差動信号伝送ケーブルがある。中でも500Mbps以上の高速伝送に用いられる差動信号伝送ケーブルは伝達信号同士の僅かな信号の伝播遅延時間差(スキュー)が問題になる。このため差動信号伝送ケーブルは信号線同士の伝播遅延時間差を限りなくゼロに近づける必要がある。」

ウ.「【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
まず、本発明の実施の形態を図1、図2、図3に基づいて説明する。
【0023】
ここで、図1は本発明の差動信号伝送ケーブルを構成する差動信号対電線の斜視図、図2は差動信号伝送ケーブルの部分拡大断面図、図3は差動信号伝送ケーブルの断面図である。
【0024】
まず、図1に示すように差動信号対電線9は、例えば外径0.254mmの軟銅線からなる中心導体1とこの中心導体1の外周に設けた厚さ0.28mmの難燃ポリオレフィンからなる絶縁層2により構成された絶縁電線3を2本平行に並べ、その両側面に接して平行に配置されたドレイン線4、4を包含するように導電性テープ5が縦添えされシールド層が構成されている。この導電性テープ5は樹脂フィルム層5aの表面に金属層5bを設けさらにその金属層5bの表面上に接着層5cが設けられており、導電性テープ5の接着層5cが絶縁電線3並びにドレイン線4の側に向くように縦添えされている。またドレイン線4は中心導体1に用いたものと同じ外径の軟銅線である。
【0025】
ここで、中心導体1とドレイン線4を軟銅線として説明したが錫メッキや銀メッキを施した軟銅線の単線若しくは撚り線であっても良い。
【0026】
また、絶縁層2は難燃ポリオレフィンに限られるものではなく高周波でも安定した低誘電率特性のあるポリエチレン、TPE、フッ素樹脂や発泡体であっても良い。
【0027】
そして、導電性テープ5は厚さ0.015mmのアルミ蒸着ポリエステルフィルムのアルミ面上にホットメルトタイプの熱可塑性樹脂を接着層としてアルミ面上の全面若しくは部分的に薄くコーティングしたものが良い。ただし導電性テープ5は絶縁フィルム層5aの表面に金属層5bを設けさらにその金属層5bの表面に接着層5cを設けた構成であれば良く上記構成に限定されるものでない。
【0028】
次に、図2及び図3に示すように差動信号伝送ケーブル10は、複数本の差動信号対電線9がコネクターピッチ間隔に合わせて平面状に平行に揃えて並べられ、フィルム層7aと接着層7bから成る絶縁フィルム7、7により両側から貼り合わせられることにより外部絶縁層8が形成されている。
【0029】
ここで絶縁フィルム7はフィルム層7aの表面上に接着層7bを設けたものであれば良く、このような絶縁フィルム7としては例えば厚さ0.3mmのポリエステルテープの表面に熱可塑性樹脂を接着層として全面若しくは部分的に設けたものが良い。
【0030】
さらにコネクターピッチ間隔はコネクタの仕様に合わせ例えば3.81mmの倍数の間隔で平面状に配列されている。
【0031】
このようにして形成された差動信号伝送ケーブル10は、図1に示すように差動信号対電線9のシールド層が導電性テープ5を縦添えすることにより形成されるので、絶縁電線3やドレイン線4が捻られることはなく差動信号対電線の対内スキューは生じない。」

エ.「【0037】
しかし、本実施例の差動信号伝送ケーブル10は差動信号対電線9の配列方向に対して差動伝送ケーブル10の端末を直角に切断することにより各差動信号対電線9の長さを等しくすることができる。そして各差動信号対電線9がコネクタのピッチに合わせて配列されている差動信号伝送ケーブル10は、差動信号対電線9をコネクタのケーブル接続部に接続するために差動信号対電線9の長さを調整することなくコネクタに接続されるので差動信号対電線9の長さのバラツキを概ね等しくすることができることから差動信号対電線間9の対間スキュー並びに対内スキューを小さくすることができる。」

オ.


カ.


・上記エ.には、差動信号伝送ケーブル10と、ケーブル接続部を有するコネクタが接続されることが記載されている。
してみれば、引用文献1には、差動信号伝送ケーブル10と、ケーブル接続部に前記差動信号伝送ケーブル10が接続されるコネクタと、からなるコネクタ付きケーブルが記載されているといえる。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

〈引用発明〉

「複数本の差動信号対電線9がコネクターピッチ間隔に合わせて平面状に平行に揃えて並べられ、フィルム層7aと接着層7bから成る絶縁フィルム7、7により両側から貼り合わせられることにより外部絶縁層8が形成されている差動信号伝送ケーブル10であって、
前記差動信号対電線9は、外径0.254mmの軟銅線からなる中心導体1とこの中心導体1の外周に設けた厚さ0.28mmの難燃ポリオレフィンからなる絶縁層2により構成された絶縁電線3を2本平行に並べ、その両側面に接して平行に配置されたドレイン線4、4を包含するように導電性テープ5が縦添えされシールド層を構成したものである、
前記差動信号伝送ケーブル10と、
ケーブル接続部に前記差動信号伝送ケーブル10が接続されるコネクタと、
からなるコネクタ付きケーブル。」

2.引用文献2について
平成29年10月10日付け当審拒絶理由通知の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア.「(産業上の利用分野)
本考案は通信装置および電子装置用の配線用電線であって、厚さが薄く、平らな形状をしており、床、壁、天井等に貼り付けて配線する電線に関するものである。」(1頁11-15行)

イ.「第1図に示すように、熱可塑性樹脂もしくは加熱硬化性樹脂の絶縁体2により被覆された軟銅線もしくはメッキ付き軟銅線からなる導体1に、さらにもう一層、保護層としてポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂もしくはポリエーテルイミド樹脂等の強靭なプラスチックからなる保護層3で被覆したものを1条として、それを2条ないし4条ずつを密接に引きそろえ、その上下両側から金属テープ4で挾んで融着し、遮蔽体とする。さらにその上に両側から、PE、PVC、PET、PP、PVDF等のプラスチック単体もしくは複数の材質を貼り合わせた保護用プラスチックテープ5で貼り合わせて、平形の電線を作成する。この場合、所要の対数の条数を平行に引きそろえたものに沿わせて1本の軟銅線からなる接地線12を金属テープ4の中に一緒に封入して、導体に沿えた接地線として使用する。」(4頁20行-5頁16行)

ウ.


・上記イ.には、平形の電線において、絶縁体2により被覆された軟銅線からなる導体1を保護層3で被覆したものを1条として、それを2条ずつを密接に引きそろえ、その上下両側から金属テープ4で挾んで融着し、遮蔽体とすること、が記載されている。
・また、図1の記載によれば、上記「上下両側から金属テープ4で挾んで融着」される部分は、「2条」の線の両側部分である。

したがって、引用文献2には、以下の技術的事項(以下、「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。

「平形の電線において、絶縁体2により被覆された軟銅線からなる導体1を保護層3で被覆したものを1条として、それを2条ずつを密接に引きそろえ、その上下両側から金属テープ4で挾んで前記2条の両側部分を融着し、遮蔽体とすること。」

3.引用文献3について
平成29年4月25日付け当審拒絶理由通知の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア.「【0025】
図5は、上述した図1(b),(c)に示される各コネクタ10の接続固定に供されるフラットケーブル2の細部構造を各芯線2aの配列方向に沿って示した断面図である。
【0026】
図5を参照すれば、フラットケーブル2自体は、誘電体による内被部2bで覆われた信号伝送用の正極,負極に係る一対の芯線2aとグランド伝送用のドレイン線2a′との3本をアルペット2cで囲み、更にこれを外被部2dで覆った構造の所定数のものを並設して結合し、その所定領域をテープ2e等を貼り付けて接続保持に供される部分として補強固定して成るものである。
【0027】
図6は、同様に接続加工済みのフラットケーブル2の外観構造を示したもので、同図(a)は中途部分を破断して加工の様子を示した正面図に関するもの,同図(b)は一部を破断して長手方向に沿った要部の切断の様子を示した正面図に関するものである。
【0028】
図6(a),(b)を参照すれば、このようなフラットケーブル2を図1(b),(c)に示したように各コネクタ10への接続に供する場合、先ず図6(a)に示されるように並設結合された外被部2dの所定箇所であって、接続保持に供される両端側とする部分に対してテープ2eを貼り付けて補強固定しておき、その外側において所定の寸法で外被部2d及びアルペット2cを剥がして内被部2bを露呈させ、更にその局所において所定の寸法で芯線2a,ドレイン線2a′を剥き出し状態(但し、内被部2bの露呈部分の両端側を一部残すようにする)にしておいた後、図6(b)に示されるようにテープ2eを貼り付けた部分の中途箇所を局部的に屈曲加工すると共に、芯線2a,ドレイン線2a′を適当な寸法で切断するようにし、こうした状態をフラットケーブル2の両端に形成しておけば良い。尚、ここでのフラットケーブル2は、前述したツインナックス・ドレイン付きタイプのもので、芯線2a及びドレイン線2a′を含むものであるが、他の説明部分ではドレイン線2a′が芯線2aに含まれるものとして図示及び説明を省略する。
【0029】
図7は、上述した各コネクタ10の組み立て手順の初期工程を示したもので、カバーインシュレータ4に対するフラットケーブル2の組み付け状態の様子を示した要部の側面断面図である。
【0030】
ここでは、各コネクタ10の単体の組み立てに際して、初期工程として、カバーインシュレータ4の各溝部6に対して先の図6(b)に示したような切断前状態のフラットケーブル2の各芯線2aが剥き出しになった部分をそれぞれ這わせ、同時にテープ2eの略中央部分にはクランプ7を押圧してカバーインシュレータ4の所定箇所に引っ掛け固定することでテープ2eの中途部分を凹み変形された状態で固定し、その後に各芯線2aを適当な寸法で切断するようにすれば良いことを示している。」

4.引用文献4について
平成29年4月25日付け当審拒絶理由通知の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア.「【0034】第2コネクタC2は、中空の断面L字型のハウジング30を有し、このハウジング30にFFC10を保持している。
【0035】FFC10は、その端末が処理されて各導体11の端末が露出され、さらに、FFC端部の撓みを規制する補強板12(補強部材)が当該端部の裏面に積層固定されている。そして、以下のようにしてハウジング30に対して保持されている。」
イ.「【0040】第2コネクタC2の組立て(FFC10の保持)は、まずFFC10の端末を処理して補強板12を固定した後、図2に示すように当て板14に沿ってFFC10を貼り付ける。この際、FFC10を当て板14の端部で180°反転させて貼付け固定することにより上記反転部35を形成する。そして、FFC10の端部を第1パーツ30aの上記導出口38に通した後、両パーツ30a,30bに設けられた固定面34,36によりFFC10の上記反転部35を挟み付けながら第2パーツ30bを第1パーツ30aに嵌合させ、第1パーツ30aのフック44を第2パーツ30bに係止して両パーツ30a,30bを一体化する。」


第6 対比・判断
1.理由1について
(1)本願発明1について
(ア)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明の「コネクタ付きケーブル」は、「差動信号伝送ケーブル10」と「コネクタ」からなる集合体であるから、ケーブルアセンブリといえる。
イ.引用発明の「2本平行に並べ」た「絶縁電線3」は、「セット」といえ、さらに、「複数本」が「コネクターピッチ間隔に合わせて平面状に平行に揃えて並べられ」た「差動信号対電線9」を構成するものであり、また、引用発明の「絶縁電線3」は、本願発明1の「絶縁導体」に相当するから、引用発明の「2本平行に並べ」た「絶縁電線3」は、本願発明1の「前記ケーブルの長さに沿って延在し、かつ前記ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各前記導体セットに1つ以上の絶縁導体が含まれている、複数の導体セット」に相当する。
また、引用発明の「絶縁電線3」は「2本平行に並べ」「導電性テープ5」で「縦添えされ」るものであるから、「2本平行に並べ」た「絶縁電線3」は隣接されているものと認められ、引用発明の「2本平行に並べ」た「絶縁電線3」は、本願発明の「隣接する第1及び第2絶縁導体を含む第1導体セット」に相当する。
ウ.引用発明の「導電性テープ5」は、「絶縁電線3を2本平行に並べ、その両側面に接して平行に配置されたドレイン線4、4を包含するように」「縦添えされシールド層」を「構成」するものであるから、引用発明の「導電性テープ5」と、本願発明1の「前記ケーブルの厚さ方向に互いに対向する当該ケーブルの側に配置されている第1及び第2遮蔽フィルムであって、前記第1及び第2フィルムには、カバー部分及び挟まれた部分が含まれ、これらは横断面において、前記第1及び第2フィルムのカバー部分が組み合わせて各前記導体セットを実質的に包囲し、かつ、前記第1及び第2フィルムの挟まれた部分が一緒に、前記ケーブルの幅方向における各前記導体セットのそれぞれの側で前記ケーブルの前記挟まれた部分を形成するように配置されている、第1及び第2遮蔽フィルム」とは、「横断面において、各導体セットを実質的に包囲する遮蔽部材」の点では共通する。
エ.引用発明の「差動信号伝送ケーブル10」は、「2本平行に並べ」た「絶縁電線3」と「導電性テープ5」からなるものであるから、本願発明の「前記ケーブルの長さに沿って延在し、前記ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各前記導体セットに1つ以上の絶縁導体が含まれている、複数の導体セットと、前記ケーブルの厚さ方向に互いに対向する当該ケーブルの側に配置されている第1及び第2遮蔽フィルムであって、前記第1及び第2フィルムには、カバー部分及び挟まれた部分が含まれ、これらは横断面において、前記第1及び第2フィルムのカバー部分が組み合わせて各前記導体セットを実質的に包囲し、かつ、前記第1及び第2フィルムの挟まれた部分が一緒に、前記ケーブルの幅方向における各前記導体セットのそれぞれの側で前記ケーブルの前記挟まれた部分を形成するように配置されている、第1及び第2遮蔽フィルムと、前記ケーブルの前記挟まれた部分で、前記第1遮蔽フィルムを前記第2遮蔽フィルムに結合する第1接着層と、前記ケーブルの幅を横切って延在する折り目の周りで内側半径が最大で5mmの、少なくとも45°のケーブルの曲げと、を含む遮蔽電気ケーブル」とは、「前記ケーブルの長さに沿って延在し、前記ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各前記導体セットに1つ以上の絶縁導体が含まれている、複数の導体セットと、横断面において、各前記導体セットを実質的に包囲する遮蔽部材と、を含む遮蔽電気ケーブル」の点では共通する。
オ.引用発明の「コネクタ」は、「ケーブル接続部に前記差動信号伝送ケーブル10が接続される」ものであり、また、「差動信号伝送ケーブル10」の「絶縁電線3」が「ケーブル接続部」に接続されることは明らかであるから、引用発明の「ケーブル接続部」が、本願発明1の「接触」に相当し、さらに、引用発明の「コネクタ」と、本願発明1の「前記ケーブル内の少なくとも前記曲げを包含する電気コネクターであって、前記絶縁導体のうち少なくとも1本が、前記電気コネクターの少なくとも1つの接触に電気的に連結される、電気コネクター」とは、「前記絶縁導体のうち少なくとも1本が、電気コネクターの少なくとも1つの接触に電気的に連結される、電気コネクター」の点では共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「ケーブルアセンブリであって、
前記ケーブルの長さに沿って延在し、前記ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各前記導体セットに1つ以上の絶縁導体が含まれている、複数の導体セットと、
横断面において、各前記導体セットを実質的に包囲する遮蔽部材と、
を含む遮蔽電気ケーブルであって、
前記複数の導体セットが、隣接する第1及び第2絶縁導体を含む第1導体セットを含む、遮蔽電気ケーブルと、
前記絶縁導体のうち少なくとも1本が、電気コネクターの少なくとも1つの接触に電気的に連結される、電気コネクターと、を含むケーブルアセンブリ。」

(相違点1)
一致点の上記「遮蔽部材」が、本願発明1では、「前記ケーブルの厚さ方向に互いに対向する当該ケーブルの側に配置されている第1及び第2遮蔽フィルムであって、前記第1及び第2フィルムには、カバー部分及び挟まれた部分が含まれ、これらは横断面において、前記第1及び第2フィルムのカバー部分が組み合わせて各前記導体セットを実質的に包囲し、かつ、前記第1及び第2フィルムの挟まれた部分が一緒に、前記ケーブルの幅方向における各前記導体セットのそれぞれの側で前記ケーブルの前記挟まれた部分を形成するように配置されている、第1及び第2遮蔽フィルム」であり、「ケーブルの前記挟まれた部分で、前記第1遮蔽フィルムを前記第2遮蔽フィルムに結合する第1接着層」を有しており、さらに、「前記第1及び第2遮蔽フィルムのそれぞれは、第1カバー部分と、第1及び第2挟まれた部分とを有し、これにより横断面において、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記第1カバー部分が一緒に前記第1導体セットを実質的に包囲し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記第1及び第2挟まれた部分が一緒に、前記第1導体セットのそれぞれの側に前記ケーブルの第1及び第2挟まれた部分を形成する」のに対して、引用発明では、「導電性テープ」は、そのような2つのものから構成されておらず、1本のテープで「差動信号対電線9」を縦添えすることで遮蔽するものであり、そのような接着層も有していない点。
(相違点2)
本願発明1では、「遮蔽電気ケーブル」が「前記ケーブルの幅を横切って延在する折り目の周りで内側半径が最大で5mmの、少なくとも45°のケーブルの曲げ」を有し、「電気コネクター」が「前記曲げを包含」するのに対して、引用発明では、「差動信号伝送ケーブル10」はそのような曲げを有するかは不明であり、「コネクタ」は曲げを包含しない点。

(イ)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
上記「第5」2.の引用文献2には、上述したとおり平形の電線において、絶縁体2により被覆された軟銅線からなる導体1を保護層3で被覆したものを1条として、それを2条ずつを密接に引きそろえ、その上下両側から金属テープ4で挾んで前記2条の両側部分を融着し、遮蔽体とする、という技術事項が記載されている。
また、引用文献2の金属テープ4は、2条の線を遮蔽する遮蔽部材であるから、引用発明における遮蔽部材である「導電性テープ5」に代え用いることは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。
さらに、結合手段として接着を用いることは常套手段と認められる。
しかしながら、引用文献2の、金属テープを融着して構成した遮蔽体において、接着層により金属テープを結合した場合、金属テープ間の接着層により遮蔽体としての性能に影響が及ぶことは明らかであるから、結合手段として融着以外の手段を用いる動機が存在しないから、上記相違点2に係る構成は引用文献2に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
また、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用文献3、4にも記載されていない。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2記載の技術事項、及び引用文献3、4の記載事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。


(2)本願発明2-4について
本願発明2-4も、本願発明1の「前記ケーブルの厚さ方向に互いに対向する当該ケーブルの側に配置されている第1及び第2遮蔽フィルムであって、前記第1及び第2フィルムには、カバー部分及び挟まれた部分が含まれ、これらは横断面において、前記第1及び第2フィルムのカバー部分が組み合わせて各前記導体セットを実質的に包囲し、かつ、前記第1及び第2フィルムの挟まれた部分が一緒に、前記ケーブルの幅方向における各前記導体セットのそれぞれの側で前記ケーブルの前記挟まれた部分を形成するように配置されている、第1及び第2遮蔽フィルムと、前記ケーブルの前記挟まれた部分で、前記第1遮蔽フィルムを前記第2遮蔽フィルムに結合する第1接着層」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2記載の技術的事項、及び引用文献3、4の記載事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


2.理由2.、及び理由3.について
平成29年10月10日付けの手続補正により、請求項1の「前記第1及び第2遮蔽フィルムは、複数の第1カバー部分と、複数の第1挟まれた部分とを有し、これにより横断面において、前記複数の第1カバー部分が一緒に前記第1導体セットを実質的に包囲し、前記複数の第1挟まれた部分が一緒に前記第1導体セットの一方の側に第1挟まれたケーブル部分を形成する」という記載は、「前記第1及び第2遮蔽フィルムのそれぞれは、第1カバー部分と、第1及び第2挟まれた部分とを有し、これにより横断面において、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記第1カバー部分が一緒に前記第1導体セットを実質的に包囲し、前記第1及び第2遮蔽フィルムの前記第1及び第2挟まれた部分が一緒に、前記第1導体セットのそれぞれの側に前記ケーブルの第1及び第2挟まれた部分を形成する」に補正され、さらに、請求項2の「前記電気コネクターが、前記ケーブル上に形成された成形物を包含する」という記載は、「前記電気コネクターが、前記曲げ及び前記少なくとも1つの接触を包含する成形物を包含する」と補正されており、理由2、及び理由3は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-11-14 
出願番号 特願2013-144868(P2013-144868)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H01B)
P 1 8・ 121- WY (H01B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 和田 財太  
特許庁審判長 新川 圭二
特許庁審判官 山田 正文
山澤 宏
発明の名称 遮蔽電気ケーブル  
代理人 池田 成人  
代理人 酒巻 順一郎  
代理人 柳 康樹  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 阿部 寛  
代理人 清水 義憲  
代理人 鈴木 英彦  
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