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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B60N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60N
管理番号 1334225
審判番号 不服2017-3000  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-01 
確定日 2017-12-04 
事件の表示 特願2013- 73730「カップホルダー」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月23日出願公開、特開2014-198490、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月29日の出願であって、平成28年6月23日付けで拒絶理由通知がされ、同年8月25日付けで手続補正がされ、同年11月21日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年3月1日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成29年8月18日付けで拒絶理由通知がされ、同年9月14日付けで手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、平成29年9月14日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりの発明発明である。
「【請求項1】
飲料容器を上方から挿入して収容保持可能なカップホルダー本体と、
該カップホルダー本体に収容保持された飲料容器の側面を保持可能な容器側面保持部と、を有すると共に、
該容器側面保持部が、
カップホルダー本体の側面に形成された側面開口部を介してカップホルダー本体内へ出入自在となるように設置された可動フラップと、
該可動フラップを前記側面開口部からカップホルダー本体内へ突出する方向へ向けて付勢可能な付勢部材と、を有し、
更に、前記可動フラップが、回転軸を中心に揺動可能に軸支されたカップホルダーにおいて、
前記カップホルダー本体における前記側面開口部には、外側へ向かって突出する周壁部が形成され、
前記回転軸が、前記カップホルダー本体の外面側で、且つ、前記側面開口部の上縁部よりも上側の位置に設置されたことを特徴とするカップホルダー。」

第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2012-46036号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は参考のため当審が付与した。以下も同じ。)。
ア「【0001】
本発明は、例えば、飲料用の容器(この容器には缶,コップ,ペットボトル等を含む)を拘束状態に支持するようにした容器保持装置に関する。」

イ「【0007】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、容器を挿入して容器底面を受け止める収容部を形成しているホルダ本体が周囲の開口部から前記収容部に出没可能に設けられた当接部材、及び前記当接部材を付勢する付勢部材を備え、前記当接部材を容器周囲に当接して該容器の径方向の動きを拘束可能にする容器保持装置において、前記付勢部材は、前記当接部材を連結保持可能に形成され、かつ、前記ホルダ本体に対し該ホルダー本体との間に設けられた取付手段を介して弾性揺動可能に支持されることを特徴としている。なお、以上の取付手段としては、図2や図7に例示されるごとく押し込み操作ないしはワンタッチ操作により互いに係合する関係にある凹ないしは穴状連結部15(係合穴部、受入部、軸穴などを含む)及び凸ないしは片状固定部30(差込部、押入部、軸部などを含む)になっていることが好ましい。」

ウ「【0016】
(構造)形態の容器保持装置は、図1から図3に示されるごとく容器を入れる収容部12を形成しているホルダ本体1が容器Aの径方向の動きを拘束する1以上の当接部材2及び当接部材2と同数の付勢部材3を備えている。なお、この容器保持装置は、例えば船舶や車両に搭載される各種コンソールなどに埋設状態に付設されるタイプであるが、設置箇所及び配置態様については特に制約されない。
【0017】
ここで、ホルダー本体1は、2つの容器Aを並列に載置可能となっており、上側のフランジ部11と、フランジ部11の下側に設けられた対の筒部10と、各筒部10の内側に形成されて容器を入れる凹状収容部12と、両収容部12の中間に設けられた(公報においては「設けらた」と記載されているが、当審で誤記と認めて上記のとおり認定した。)小凹状の中間連結部13と、各収容部12の周囲に設けられた複数(この例では各収容部に3つづつ、合計6個)の開口部14と、各開口部14の上側に対応して各収容部12の外周に設けられた付勢部材用連結部15とを有している。
【0018】
フランジ部11は、各筒部10の上端と一体化していて、例えば設置箇所に設けられる取付用凹所に配置したときに該凹所の上周縁を覆って縁取る形状である。各収容部12は対応する筒部10及び中間連結部13などで区画されて上から挿入される容器Aを底面12aで受け止める。収容部12の径は、飲料用缶、ペットボトル、紙コップなど各種形態で一般的に提供される容器Aのうち、比較的大型の容器外径より若干大きく設定されている。形状は円状以外であってもよい。」

エ「【0020】
これに対し、当接部材2は、図4及び図5に示されるごとく、全体の大きさが開口部14に対応した厚さ及び長さからなるとともに、概略形状が側面視で略二等辺三角形に形成されている。当接部材2のメイン部20は、先端角部つまり矢印状の辺部20aと辺部20cとが交わる容器周囲に当たる頂部20bを有しているとともに、頂部20bと反対側である底辺20dつまり背面が空洞部25に形成されている。空洞部25には係合部26が両内側面に対向して突設されている。各係合部26は、2つの片から構成されて、片同士の隙間27に付勢部材3の他端側被係合部33を摺動可能に係合する。」

オ「【0023】
(組立)以上の構造では、まず、当接部材2と付勢部材3とが連結操作される。この例では、当接部材2と付勢部材3とを連結したものがホルダー本体側の開口部14や連結部15の数だけ、この例だと6組が作られる。この組立操作において、当接部材2は、例えば、図4(a)のごとく当接部材2の底辺20dつまり背面に対し付勢部材3である板ばねを、上側の被係合部31を係合部21に、下側の被係合部33を空洞部25内の係合部26に対向させた状態から、両者を近づけるか、又は、一方を他方に近づける、要は一方向への摺動操作により図4(b)のごとくそれぞれ係合連結させる。以下、このようにして当接部材2と付勢部材3とが係合連結されたものを半組立体と称する。
【0024】
次に、以上の半組立体をホルダー本体1(公報においては「ホルダー半体1」と記載されているが、当審で誤記と認めて上記のとおり認定した。)の連結部15に取り付ける。この操作要領は、半組立体を図2(a)の矢印方向、つまりホルダー本体1の開口部14に向けて平行移動した後、上側の固定部30を開口部14の上側にある連結部15の装着空間16に圧入するよう上移動する。すると、半組立体は、図2(b)のごとく固定部30が装着空間16内に係止爪36を介して係止されて所定固定強度で支持される。当接部材2は、ホルダー本体1に支持された状態で、付勢部材3による収容部12側への付勢力を受けており、それによって揺動端側の延長規制部24が開口部14の下縁付近の外面に圧接されている。このため、この構造では、容器を収容部12に挿入していない状態で振動を受けても固定部30を支点として不用意に揺動されるような虞はない。」

カ「【0028】
(変形例)図7は以上の固定部30及び連結部15からなる取付手段を変更した一例を示している。この説明では、上記形態と同じ箇所に同一符号を付し変更点だけを明らかにする。変形例の取付手段では、当接部材2の上側に設けられた軸ないしは凸部28と、ホルダー本体の筒部10外周にあって開口部14の上側に設けられた軸穴19とからなり、凸部28が軸穴19に枢支される構成である。
【0029】
すなわち、凸部28は、当接部材2の上側延長部21aの外面に突出形成されている。軸穴19は、筒部外周のうち開口部14の上側に位置し、かつ、固定部30の幅寸法より若干大きな間隔で設けられた左右の縦片18に設けられている。そして、当接部材2は、上記したごとく付勢部材3に連結支持した半組立体の状態から、固定部30が縦片18と縦片18との間に弾性変位を伴って一方向に摺動して押し込まれると、両側の凸部28が対応する軸穴19に係合されてホルダー本体1に凸部28を支点として揺動ないしは回動可能に支持される。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「容器を入れる収容部12を形成しているホルダー本体1が容器Aの径方向の動きを拘束する1以上の当接部材2及び当接部材2と同数の付勢部材3を備える容器保持装置であって、
ホルダー本体1は、2つの容器Aを並列に載置可能となっており、上側のフランジ部11と、フランジ部11の下側に設けられた対の筒部10と、各筒部10の内側に形成されて容器を入れる凹状収容部12と、両収容部12の中間に設けられた小凹状の中間連結部13と、各収容部12の周囲に設けられた複数の開口部14と、各開口部14の上側に対応して各収容部12の外周に設けられた付勢部材用連結部15とを有し、
当接部材2は、前記開口部14から前記収容部12に出没可能に設けられるとともに、ホルダー本体1に支持された状態で、付勢部材3による収容部12側への付勢力を受けており、
当接部材2と付勢部材3とが係合連結された半組立体をホルダー本体1の開口部14に向けて平行移動した後、上側の固定部30を開口部14の上側にある連結部15の装着空間16に圧入するよう上移動することで、半組立体をホルダー本体1の連結部15に取り付けるものであって、
当接部材2の上側延長部21aの外面には凸部28が突出形成され、筒部外周のうち開口部14の上側に位置し、かつ、固定部30の幅寸法より若干大きな間隔で設けられた左右の縦片18には軸穴19が設けられ、
当接部材2は、付勢部材3に連結支持した半組立体の状態から、固定部30が縦片18と縦片18との間に弾性変位を伴って一方向に摺動して押し込まれると、両側の凸部28が対応する軸穴19に係合されてホルダー本体1に凸部28を支点として揺動ないしは回動可能に支持される容器保持装置。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2011-57170号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
キ「【0001】
本発明は、自動車、航空機、船舶、鉄道車両等の乗り物において、サイズの異なる様々な飲料容器であっても、確実に支持することが可能な飲料容器支持装置に関するものである。」

ク「【0013】
前記自動車用飲料容器支持装置1は、図6に示す飲料容器7が収容される容器収容体3に前記飲料容器7の外周面7aに対して接離可能な単数の支持片4が揺動可能に支持され、該支持片4に対して、前記飲料容器7の外周面7aに圧接して、前記飲料容器7を前記容器収容体3に支持可能とした。
【0014】
前記容器収容体3は、前記飲料容器7を二個並設収納可能な中空円筒状の筒部31、31と、該筒部31、31の底に形成されてなることで前記飲料容器7の底を保持可能なる底部32、32(図2及び図3は、一方の底部32しか開示されていないが、筒部31によって隠されているだけで、双方の筒部31,31に形成されてなる。)と、並列状態の前記筒部31、31の間に形成されてなり且つ該筒部31を二分割するように迫り出した頂部33、33と、前記支持片4、4が前記筒部31、31内に出入り可能に切り欠いた切欠部34、34と、前記支持片4,4を回転自在に軸支するよう張り出した舌片35,35,35,35と、前記筒部31,31の開口37,37の外側周辺に張り出されてなる化粧板36とよりなる。符号36aは、該化粧板36に形成された後述する巻きスプリング5の一方端51aを係止する凹部である。
【0015】
前記支持片4は、前記舌片35,35,35,35に形成された貫通孔35a、35a、35a、35aに回転自在に軸支されてなるピン41、41と、該ピン41,41間に形成されてなり且つ図6に示すように、さまざまな直径寸法に形成されてなる飲料容器7,8,9,10,11,12に則り、追従可能なる形状に形成されている支持本体42と、後述する巻きスプリング5の他方端51bを挿入可能なる貫通孔44を有する出っ張り43と、最大の直径寸法に形成されてなる飲料容器13の外周面13aにほぼ合わせて形成されてなる凹部45とよりなる。符号42aは、前記支持本体42と、凹部45との稜線に形成された適宜の曲率よりなるアール部である。」

ケ「【0018】
前記自動車用飲料容器支持装置1の容器収容体3の開口37に、飲料容器7を収容させると、筒部31に沿って飲料容器7が収納され、飲料容器7の外周面7aに対して、支持片4がピン41を中心に揺動することで、飲料容器7の外周面7aに当接したまま支持される。前記巻きスプリング5により、該支持片4に対して付勢力が働くことで、前記飲料容器7の外周面7aに圧接している。前記支持片4の凹部45は、図6に示すように、前記飲料容器7の外周面7aに合致するので、前記容器収容体3に支持可能である。つまり、前記巻きスプリング5により、前記支持片4が、前記飲料容器7を筒部31の内壁に押圧することにより、確実に支持できるにもかかわらず、前記飲料容器7を支持する支持片4が一つであるので、構成する部品点数を少なくて済むことになる。部品点数が少ないから、組み付け工数も削減出来るので、製造原価が低減できる。」

したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「飲料容器7が収容される容器収容体3に前記飲料容器7の外周面7aに対して接離可能な単数の支持片4が揺動可能に支持され、該支持片4に対して、前記飲料容器7の外周面7aに圧接して、前記飲料容器7を前記容器収容体3に支持可能とした自動車用飲料容器支持装置1であって、
容器収容体3は、前記飲料容器7を二個並設収納可能な中空円筒状の筒部31、31と、該筒部31、31の底に形成されてなることで前記飲料容器7の底を保持可能なる底部32、32と、並列状態の前記筒部31、31の間に形成されてなり且つ該筒部31を二分割するように迫り出した頂部33、33と、前記支持片4、4が前記筒部31、31内に出入り可能に切り欠いた切欠部34、34と、前記支持片4,4を回転自在に軸支するよう張り出した舌片35,35,35,35とを備え、
該支持片4は、前記舌片35,35,35,35に形成された貫通孔35a、35a、35a、35aに回転自在に軸支されてなるピン41、41と、該ピン41,41間に形成されてなり、さまざまな直径寸法に形成されてなる飲料容器7,8,9,10,11,12に則り、追従可能なる形状に形成されている支持本体42と、巻きスプリング5の他方端51bを挿入可能なる貫通孔44を有する出っ張り43と、最大の直径寸法に形成されてなる飲料容器13の外周面13aにほぼ合わせて形成されてなる凹部45とよりなり、支持本体42と、凹部45との稜線には適宜の曲率よりなるアール部が形成され、
容器収容体3の開口37に、飲料容器7を収容させると、筒部31に沿って飲料容器7が収納され、飲料容器7の外周面7aに対して、支持片4がピン41を中心に揺動することで、飲料容器7の外周面7aに当接したまま支持され、巻きスプリング5により、該支持片4に対して付勢力が働くことで、前記飲料容器7の外周面7aに圧接する自動車用飲料容器支持装置1。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2009-35038号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
コ「【0001】
本発明は、飲料等が入った容器を倒れないように保持する容器ホルダに関し、特に、外径の異なる容器をそれぞれ保持できるようにする構造の技術分野に属する。」

サ「【0010】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る容器ホルダ1を示すものである。この容器ホルダ1は、自動車の車室内に配設されるものであり、2つの収容部2、2を有する容器ホルダ本体3と、収容部2に収容された容器を保持する複数の保持部材4、4、…とを備えている。容器ホルダ本体3は、図2にも示すように、収容部2、2をそれぞれ外側から覆うように形成された2つのセット部材5、5を有している。保持部材4は、セット部材5に固定された状態で容器ホルダ本体3に取り付けられるようになっている。尚、この容器ホルダ1で保持する容器としては、例えば、コップ、缶、ペットボトル等が挙げられる。」

シ「【0017】
保持部材4、4、…は、互いに同じ構造であるため、そのうちの1つについて詳細に説明する。保持部材4は、図2及び図4に示すように、セット部材5に固定される固定部40と、収容部2の貫通孔13から収容部2内へ突出する当接部41と、固定部40及び当接部41を連結する連結部42とを備えている。これら固定部40、当接部41及び連結部42は、例えばPOM等の弾性を有する樹脂材料を用いて一体成形されている。保持部材4は、固定部40が上に位置し、当接部41が下に位置するようにしてセット部材5に固定されるようになっている。

ス「【0019】
当接部41は、爪部43の突出方向と反対側へ向けて突出する山型をなしており、この山型の部分が、収容部2の貫通孔13から収容部2内へ突出するようになっている。当接部41の外形は、貫通孔13よりも若干小さい矩形状とされている。当接部41の収容部2内へ向く面には、当接部41を構成する樹脂材料よりも柔らかい樹脂材料によるコーティング層45が設けられている。当接部41の下端部には、下方へ突出するストッパ46が設けられている。このストッパ46は、保持部材4を容器ホルダ本体3に組み付けた際に、貫通孔13の下縁部に収容部2の外側から当たって当接部41が収容部2内へ入りすぎないように規制するためのものである。尚、当接部41のコーティング層45は、省略してもよい。
【0020】
連結部42は、当接部41を収容部2内へ向けて付勢するバネ性を有しており、固定部40の下端部から当接部41の上端部まで延びる棒状をなしている。連結部42の上半部は、爪部43の突出方向へ向けて下降傾斜して延び、連結部42の下半部は、当接部41の突出方向へ向けて下降傾斜して延びている。従って、連結部42は、爪部43の突出方向へ向けて屈曲している。」
したがって、上記引用文献3には次の技術事項が記載されていると認められる。
「飲料等が入った容器を倒れないように保持する容器ホルダであって、
この容器ホルダ1は、2つの収容部2、2を有する容器ホルダ本体3と、収容部2に収容された容器を保持する複数の保持部材4、4、…とを備え、容器ホルダ本体3は、収容部2、2をそれぞれ外側から覆うように形成された2つのセット部材5、5を有し、保持部材4は、セット部材5に固定された状態で容器ホルダ本体3に取り付けられるものであって、
保持部材4は、セット部材5に固定される固定部40と、収容部2の貫通孔13から収容部2内へ突出する当接部41と、固定部40及び当接部41を連結する連結部42とを備え、当接部41は、爪部43の突出方向と反対側へ向けて突出する山型をなしており、この山型の部分が、収容部2の貫通孔13から収容部2内へ突出するようになっており、連結部42は、当接部41を収容部2内へ向けて付勢するバネ性を有する、容器ホルダ。」

第4 対比・判断
1.本願発明について
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明1における「容器A」は、本願発明における「飲料容器」に相当する。
以下同様に、引用発明1における、「ホルダー本体1」、「開口部14」は、本願発明における、「カップホルダー本体」、「側面開口部」に相当する。
引用発明1における「当接部材2」は、開口部14から収容部12を有するホルダー本体1に出没可能に設けられているから、本願発明における「可動フラップ」に相当する。
引用発明1における「付勢部材3」は、当接部材2が付勢部材3による収容部12側への付勢力を受けているところから、本願発明における「付勢部材」に相当する。
引用発明1における「半組立体」は、「当接部材2と付勢部材3とが係合連結」されたものであって、該「半組立体」が、ホルダー本体1の連結部15に取り付けられると、「当接部材2」は、付勢部材3による収容部12側への付勢力を受けて、収容部12の周囲に設けられた開口部14から収容部12に出没可能に設けられるよう構成されている。そして、本願発明における「容器側面保持部」が「可動フラップ」と「付勢部材」を有し、該可動フラップがカップホルダー本体の側面に形成された側面開口部を介して、側面開口部からカップホルダー本体内へ突出する方向へ向けて付勢する付勢部材の付勢力によって、カップホルダー本体内へ出入自在となるように構成されていることを踏まえると、引用発明1における「半組立体」は、本願発明における「容器側面保持部」に相当することは、当業者にとって自明である。
引用発明1における「凸部28」は、当接部材2が凸部28を支点として揺動ないしは回動可能に支持されるのであるから、本願発明の「回転軸」に相当する。
また、引用発明1における「凸部28」は、筒部外周のうち開口部14の上側に位置する左右の縦片18に設けられた軸穴19に係合するものであって、ホルダー本体1が「筒部」を有していることを踏まえると、引用発明1は、本願発明の発明特定事項である「回転軸が、(前記)カップホルダー本体の外面側で、且つ、(前記)側面開口部の上縁部よりも上側の位置に設置されている」に相当する構成を有していることは、当業者にとって自明である。
したがって、本願発明と引用発明1との間には、次の一致点、相違点がある。
(一致点)
「飲料容器を上方から挿入して収容保持可能なカップホルダー本体と、
該カップホルダー本体に収容保持された飲料容器の側面を保持可能な容器側面保持部と、を有すると共に、
該容器側面保持部が、
カップホルダー本体の側面に形成された側面開口部を介してカップホルダー本体内へ出入自在となるように設置された可動フラップと、
該可動フラップを前記側面開口部からカップホルダー本体内へ突出する方向へ向けて付勢可能な付勢部材と、を有し、
更に、前記可動フラップが、回転軸を中心に揺動可能に軸支されたカップホルダーにおいて、
前記回転軸が、前記カップホルダー本体の外面側で、且つ、前記側面開口部の上縁部よりも上側の位置に設置されたことを特徴とするカップホルダー。」

(相違点)
本願発明は「カップホルダー本体における(前記)側面開口部の上部には、外側へ向かって突出する周壁部が形成」されているのに対し、引用発明1ではそのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
引用発明2、引用文献3に記載された技術事項のいずれも、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項について、記載も示唆もない。
そして、本願発明は、上記相違点に係る発明特定事項を備えることによって、「回転軸9や付勢部材支持軸部7aやガイド突起24などへの液掛かりを防止する機能を有する」(段落【0038】)との作用効果を奏するものである。
したがって、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、引用発明1と引用発明2及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて当業者が容易になし得たことではない。
また,相違点に係る本願発明の発明特定事項が,本願出願前において周知技術であるともいえないし,当業者にとって設計的事項とする根拠もない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1乃至4について上記引用文献1乃至3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、平成29年8月1日付け手続補正により補正された請求項1は、「カップホルダー本体における前記側面開口部には、外側へ向かって突出する周壁部が形成」される構成を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明は、上記引用発明1と引用発明2及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
特許法第36条第6項第2号について
当審では、請求項1の「屈曲部」及び「カップホルダー本体における前記側面開口部の上部には、外側へ向かって突出する周壁部が形成され」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成29年8月1日付けの補正において、前者については削除され、後者については「カップホルダー本体における前記側面開口部には、外側へ向かって突出する周壁部が形成」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-11-21 
出願番号 特願2013-73730(P2013-73730)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B60N)
P 1 8・ 537- WY (B60N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 一浩金丸 治之  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 畑井 順一
吉村 尚
発明の名称 カップホルダー  

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