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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B65D
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
管理番号 1334349
異議申立番号 異議2017-700148  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-17 
確定日 2017-09-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5969924号発明「液体用容器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5969924号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?15〕について訂正することを認める。 特許第5969924号の請求項1?15に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5969924号の請求項1?15に係る特許についての出願は、平成24年2月1日(優先権主張 2011年2月1日 日本国)を国際出願日とする出願であって、平成28年7月15日にその特許権の設定登録がされ、その後、その請求項1?15に係る特許について、特許異議申立人前田知子(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、平成29年5月10日付けで取消理由が通知され、平成29年7月11日付けで意見書の提出及び訂正の請求(以下「本件訂正請求」といい、訂正自体を「本件訂正」という。)がなされ、平成29年8月23日付けで申立人から意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
本件訂正の内容は、以下の訂正事項1?4からなる(下線は、訂正箇所を示す)。
ア.訂正事項1
請求項1に
「前記雌螺子部を形成する凸部の頂面は、前記外周面の輪郭線に平行に形成され」とあるのを、
「前記雌螺子部を形成する凸部の頂面は、前記外周面の輪郭線に平行にかつ当該外周面に沿って案内されることが可能に形成され」に訂正する。

イ.訂正事項2
請求項2に
「前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、前記中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に形成された多条螺子であり、
前記第2の係止部は、前記キャップの雌螺子部が前記雄螺子部の螺子山の前記始端から前記終端近傍まで案内される範囲で前記被係止部が当接する位置に形成され、
前記キャップの外径の最大部の寸法が20mmφ以下であり、」とあるのを、
「前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、前記中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、前記中心軸線方向視において前記周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子であり、
前記第2の係止部は、前記キャップの雌螺子部が前記雄螺子部の螺子山の前記始端から前記終端近傍まで案内される範囲で前記被係止部が当接する位置に形成され、
前記キャップの外径の最大部の寸法が20mmφ以下であり、
前記第1の係止部および前記第2の係止部は共に、前記中心軸線方向視において、前記雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されており、」に訂正する。

ウ.訂正事項3
請求項3に
「前記第2の係止部は、前記キャップの雌螺子部が前記雄螺子部の螺子山の前記始端から前記終端近傍まで案内される範囲で前記被係止部が当接する位置に形成され、」とあるのを、
「前記第2の係止部は、前記キャップの雌螺子部が前記雄螺子部の螺子山の前記始端から前記終端近傍まで案内される範囲で前記被係止部が当接する位置に形成され、
前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、前記中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、前記中心軸線方向視において前記周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子であり、
前記第1の係止部および前記第2の係止部は共に、前記中心軸線方向視において、前記雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されており、」に訂正する。

エ.訂正事項4
請求項4に
「前記第2の係止部は、前記被係止部が当接した時に、前記突起部が前記注出口を液密に閉栓するとともに前記キャップの下端と前記胴部との間に上下方向に隙間が形成される位置に形成され、」とあるのを、
「前記第2の係止部は、前記被係止部が当接した時に、前記突起部が前記注出口を液密に閉栓するとともに前記キャップの下端と前記胴部との間に上下方向に隙間が形成される位置に形成され、
前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、前記中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、前記中心軸線方向視において前記周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子であり、
前記第1の係止部および前記第2の係止部は共に、前記中心軸線方向視において、前記雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されており、」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項
ア.訂正事項1
(ア)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された凸部の頂面を、「外周面に沿って案内されることが可能に」形成されるという発明特定事項で更に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
本件特許の明細書の段落【0083】の「この場合、口頸部24の形状が、中心軸線Sを含む面で断面視したときに、雄螺子部31の上方のガイド面32の輪郭線が中心軸線Sに沿う(本実施形態においては略平行な)直線状に形成され、雌螺子部54の凹凸の各凸部58の頂面58aが前記輪郭線に平行な直線状に配置されているので、キャップ23がガイド面32に案内されてその軸線を口頸部24の軸線(中心軸線S)に合致させて口頸部24に被冠される。」という記載から、キャップ23の凸部58の頂面58aが、雄螺子部上方の外周面であるガイド面32に沿って案内されることが明らかである。したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、2.(2)ア.(ア)のとおり、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

イ.訂正事項2
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項2に記載された雄螺子部の螺子山を、「前記中心軸線方向視において前記周方向に互いに重なることなく」形成されたという発明特定事項で更に限定し、また、第1の係止部および第2の係止部を、「共に、前記中心軸線方向視において、前記雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されて」いるという発明特定事項で更に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
訂正事項2は、雄螺子部の螺子山が、口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に形成された場合、2条螺子であれば当然、両螺子山は中心軸線方向視において周方向に互いに重ならないところ、4条以上の多条螺子においても各螺子山が中心軸線方向視において周方向に互いに重ならない配置となるように単に位置関係を特定したものであり、第1、第2の係止部についても、周方向いずれの位置にも設け得るところ、そのうちの、共に中心軸線方向視において雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に設けることを単に特定したにすぎないものであって、これらの特定により新たな技術上の意義が追加されるものではないから、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。
なお、特許権者は訂正請求書の8頁15?19行において「更に図4,図5には、螺子山30、30が、中心軸線Sを間に挟んで互いに反対側となる位置に周方向に互いに重なることなく形成された様子が明確に図示されているとともに、中心軸線Sの方向から視た状態において、第1の係止部33および第2の係止部34が共に、雄螺子部31の同じ螺子山30の始端30aから終端30bまでの範囲内に対応する位置に形成されている様子が明確に図示されている。」と主張するが、願書に添付された図面は特許を受けようとする発明の内容を補足的に説明するためのものであって、設計図のように正確かつ詳細に記載されているわけではないから、その図面の記載をもって訂正事項2の根拠とする主張は採用することができない。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、2.(2)イ.(ア)のとおり、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

ウ.訂正事項3、4
(ア)訂正の目的について
訂正事項3、4は、訂正前の請求項3、4に記載された雄螺子部の螺子山を、「前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、前記中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、前記中心軸線方向視において前記周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子」であるという発明特定事項で更に限定し、また、第1の係止部および第2の係止部を、「共に、前記中心軸線方向視において、前記雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されて」いるという発明特定事項で更に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
訂正事項3、4のうち、雄螺子部の螺子山が、口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に形成された多条螺子であることは、訂正前の請求項2に記載されていた事項であり、明細書の段落【0052】、【0053】の記載に基づくものであるから、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
また、訂正事項3、4のうち、螺子山が、中心軸線方向視において周方向に互いに重なることなく形成されていること、及び、第1の係止部および第2の係止部が共に、中心軸線方向視において、雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されていることは、上記2.(2)イ.(イ)に示したのと同様の理由により、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
したがって、訂正事項3、4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3、4は、2.(2)ウ.(ア)のとおり、発明特定事項を直列的に付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合する。

エ.一群の請求項
本件訂正前の請求項6?15は請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、本件訂正前の請求項5?8、10?13は請求項2を引用するものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正されるものである。また、本件訂正前の請求項5?14は請求項3を引用するものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。また、本件訂正前の請求項5?14は請求項4を引用するものであって、訂正事項4によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?15は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正請求は一群の請求項に対して請求されたものである。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求が認められることにより、本件特許の請求項1?15に係る発明(以下「本件発明1?15」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

【請求項1】
先端に注出口が設けられるとともに外周面に雄螺子部が形成された口頸部を有する容器本体と、前記雄螺子部に螺合される雌螺子部が周壁部の内周面に形成されたキャップとを備えた液体用容器において、
前記キャップには、前記注出口に嵌入してこの注出口を閉栓可能な突起部と、前記周壁部の前記内周面の下方に位置する被係止部とが設けられ、
前記容器本体には、前記キャップを嵌着してこれを回動させたときに前記被係止部が当接して乗り越え可能な第1の係止部と、前記被係止部が前記第1の係止部を乗り越えた後、この被係止部が当接して前記キャップの締め方向の更なる回動を阻止する第2の係止部とが形成され、
前記第2の係止部は、前記被係止部が当接した時に前記突起部が前記注出口を液密に閉栓する位置に形成され、
前記口頸部は、この口頸部の中心軸線を含む面で断面視したときに、前記雄螺子部上方の外周面の輪郭線が前記中心軸線に沿う直線状に形成され、
前記雌螺子部を形成する凸部の頂面は、前記外周面の輪郭線に平行にかつ当該外周面に沿って案内されることが可能に形成され、
前記外周面の輪郭線における直線部の長さが、少なくとも隣接する雌螺子部の凸部の中心間の長さである
ことを特徴とする液体用容器。
【請求項2】
先端に注出口が設けられるとともに外周面に雄螺子部が形成された口頸部を有する容器本体と、前記雄螺子部に螺合される雌螺子部が周壁部の内周面に形成されたキャップとを備えた液体用容器において、
前記キャップには、前記注出口に嵌入してこの注出口を閉栓可能な突起部と、前記周壁部の前記内周面の下方に位置する被係止部とが設けられ、
前記容器本体には、前記キャップを嵌着してこれを回動させたときに前記被係止部が当接して乗り越え可能な第1の係止部と、前記被係止部が前記第1の係止部を乗り越えた後、この被係止部が当接して前記キャップの締め方向の更なる回動を阻止する第2の係止部とが形成され、
前記第2の係止部は、前記被係止部が当接した時に前記突起部が前記注出口を液密に閉栓する位置に形成され、
前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、前記中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、前記中心軸線方向視において前記周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子であり、
前記第2の係止部は、前記キャップの雌螺子部が前記雄螺子部の螺子山の前記始端から前記終端近傍まで案内される範囲で前記被係止部が当接する位置に形成され、
前記キャップの外径の最大部の寸法が20mmφ以下であり、
前記第1の係止部および前記第2の係止部は共に、前記中心軸線方向視において、前記雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されており、
点眼薬の収容及び注出に用いられる容器である
ことを特徴とする液体用容器。
【請求項3】
先端に注出口が設けられた中栓、及び前記中栓が嵌着されるとともに外周面に雄螺子部が形成された口頸部を有する容器本体と、前記雄螺子部に螺合される雌螺子部が周壁部の内周面に形成されたキャップとを備えた液体用容器において、
前記キャップには、天板壁と、前記天板壁から下方へ突出し前記注出口に嵌入してこの注出口を閉栓可能な突起部と、前記周壁部の前記内周面において前記雌螺子部の下方に形成された被係止部とが設けられ、
前記容器本体には、前記キャップを嵌着してこれを回動させたときに前記被係止部が当接して乗り越え可能な第1の係止部と、前記被係止部が前記第1の係止部を乗り越えた後、この被係止部が当接して前記キャップの締め方向の更なる回動を阻止する第2の係止部とが形成され、
前記第2の係止部は、前記被係止部が当接した時に、前記突起部が前記注出口を液密に閉栓するとともに前記中栓の上端面と前記天板壁の下面とが接触しない位置に形成され、
前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、前記中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、前記中心軸線方向視において前記周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子であり、
前記第1の係止部および前記第2の係止部は共に、前記中心軸線方向視において、前記雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されており、
点眼薬の収容及び注出に用いられる容器である
ことを特徴とする液体用容器。
【請求項4】
先端に注出口が設けられるとともに外周面に雄螺子部が形成された口頸部、及び上端に前記口頸部が形成された胴部を有する容器本体と、前記雄螺子部に螺合される雌螺子部が周壁部の内周面に形成された筒状のキャップとを備えた液体用容器において、
前記キャップには、前記注出口に嵌入してこの注出口を閉栓可能な突起部と、前記周壁部の前記内周面において前記雌螺子部の下方に形成された被係止部とが設けられ、
前記容器本体には、前記キャップを嵌着してこれを回動させたときに前記被係止部が当接して乗り越え可能な第1の係止部と、前記被係止部が前記第1の係止部を乗り越えた後、この被係止部が当接して前記キャップの締め方向の更なる回動を阻止する第2の係止部とが形成され、
前記第2の係止部は、前記被係止部が当接した時に、前記突起部が前記注出口を液密に閉栓するとともに前記キャップの下端と前記胴部との間に上下方向に隙間が形成される位置に形成され、
前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、前記中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、前記中心軸線方向視において前記周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子であり、
前記第1の係止部および前記第2の係止部は共に、前記中心軸線方向視において、前記雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されており、
点眼薬の収容及び注出に用いられる容器である
ことを特徴とする液体用容器。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の液体用容器において、
前記口頸部は、この口頸部の中心軸線を含む面で断面視したときに、前記雄螺子部上方の外周面の輪郭線が前記中心軸線に沿う直線状に形成され、
前記雌螺子部を形成する凸部の頂面は、前記外周面の輪郭線に平行に形成されていることを特徴とする液体用容器。
【請求項6】
請求項1または5に記載の液体用容器において、
前記外周面の輪郭線における直線部の長さが、少なくとも前記雌螺子部を形成する凸部の頂面の長さであるか、及び/又は少なくとも隣接する雌螺子部の凸部の中心間の長さであることを特徴とする液体用容器。
【請求項7】
請求項5または6に記載の液体用容器において、
前記外周面の輪郭線における直線部の長さが、少なくとも隣接する雌螺子部の凸部の中心間の長さであることを特徴とする液体用容器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の液体用容器において、
乗り越え可能な前記第1の係止部の乗り越え開始位置は、前記雌螺子部が前記雄螺子部の螺子山の始端から終端に向けて案内される途中で前記被係止部が前記第1の係止部に当接する位置に形成され、第2の係止部の係止位置は、前記被係止部が前記第1の係止部を乗り越えた後で前記雌螺子部が前記雄螺子部の前記螺子山の前記始端から前記終端近傍まで案内されたときに前記被係止部が第2の係止部に当接する位置に形成されていることを特徴とする液体用容器。
【請求項9】
請求項1、3または4に記載の液体用容器において、
前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、
前記第2の係止部は、前記キャップの雌螺子部が前記雄螺子部の螺子山の前記始端から前記終端近傍まで案内される範囲で前記被係止部が当接する位置に形成されていることを特徴とする液体用容器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の液体用容器において、前記キャップの開閉時の回動角度が30°以上180°以下であることを特徴とする液体用容器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の液体用容器において、
前記キャップが、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリルスチレンコポリマー樹脂、又はABS樹脂の少なくともいずれか一を含む材料により形成されていることを特徴とする液体用容器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の液体用容器において、
前記キャップは、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリルスチレンコポリマー樹脂、又はABS樹脂の少なくともいずれか一を含む材料により形成された内管と、
金属材料で形成され、前記内管の外面に密着して被冠された外管と、を備えていることを特徴とする液体用容器。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の液体用容器において、
容器本体の容量が35ml以下であることを特徴とする液体用容器。
【請求項14】
請求項1、3または4に記載の液体用容器において、
キャップの外径の最大部の寸法が20mmφ以下であることを特徴とする液体用容器。
【請求項15】
請求項1に記載の液体用容器において、
点眼薬の収容及び注出に用いられる容器であることを特徴とする液体用容器。


(2)取消理由の概要
平成29年5月10日付け取消理由通知の概要は、以下のとおりである。

理由1)本件発明4は、その優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2)本件発明1?15は、その優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


[刊行物]
甲第1号証:特開2006-335454号公報
甲第2号証:特開平11-59707号公報
甲第3号証:特開2001-1389号公報
甲第4号証:特開2000-16445号公報

<理由1:特許法第29条第1項第3号
本件発明4は、甲第1号証記載発明と同一のものである。

<理由2:特許法第29条第2項
(1)本件発明1?15は、甲第1号証記載発明及び甲第2?3号証記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)本件発明1?15に係る発明は、甲第2号証記載発明及び甲第1、3?4号証記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


(3)引用発明
ア.甲第1号証
上記取消理由通知において引用した甲第1号証には以下の事項が記載されている。

「【請求項1】
胴部と、外側面に螺旋状の第1ねじ山が形成され前記胴部から軸方向に延びる円筒状の取付部とを有する容器本体、および
筒状部と、前記筒状部の一方端に設けられる天板と、前記取付部に対向するように前記筒状部内に設けられ前記取付部に対向する面に第2ねじ山が形成される複数の壁部とを有するキャップを備え、
前記取付部に被せた前記キャップを前記胴部側に押すことによって前記第2ねじ山が前記第1ねじ山を乗り越えて前記第1ねじ山に螺合し、前記第2ねじ山が前記第1ねじ山に螺合した状態で前記キャップを回転させることによって前記第1ねじ山と前記第2ねじ山との螺合が外れる、容器。」
「【0017】
まず、図4?図6を参照して、容器本体12について説明する。容器本体12は、たとえば、収容物として点眼液等の液状の薬剤を収容する。
容器本体12は、横断面が非円形の胴部16、胴部16から軸方向(矢印A方向)に延びる円筒状の取付部18、および横断面が非円形の段部20を有する。」
「【0025】
幅広壁32aには、筒状部32の内側面を矢印A方向に延びる突起部40が設けられる。…」
「【0027】
図3をも参照して、肉薄部42bは、キャップ14を容器本体12の取付部18に被せた際に取付部18の外側面に対向する。肉薄部42bの取付部18に対向する面には第2ねじ山44が設けられる。各肉薄部42bに設けられる第2ねじ山44は、全体として断続的な螺旋状に形成され、取付部18の第1ねじ山22に螺合する。
【0028】
また、天板34の中央には吐出部30が嵌入する円筒部46が設けられ、円筒部46の中央には吐出部30の吐出口30aに嵌入する栓体46aが設けられる。さらに、天板34には、壁部42と円筒部46とを繋ぐ板状の補強部48、および幅広壁32aと円筒部46とを繋ぐ板状の補強部50とが設けられる。」
「【0041】
一方、帯部38が切り離されたキャップ14を回転によって容器本体12に取り付ける場合、矢印B2方向への回転に伴って第2ねじ山44が第1ねじ山22に螺合し、外側に広がるように筒状部32が弾性変形して突起部40が滑り部28aを乗り越え嵌合部28に嵌合する。嵌合部28に突起部40が嵌合すれば、突起部40が係止面40aで嵌合部28の係止部28bに接するので(図6参照)、帯部38が切り離されたキャップ14がそれ以上矢印B2方向に回転することはできない。」

【0028】、【0041】の記載と、図1、3、6から看取される、突起部40が係止部28bに接した状態(図6)で吐出口30aに栓体46aが嵌入している点(図3)とから、係止部28bは、突起部40が接した時に栓体46aが取付部18先端の吐出口30aを液密に閉栓する位置に形成されていると認められる。

よって、甲第1号証には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「先端に吐出口30aが設けられるとともに外側面に螺旋状の第1ねじ山22が形成された取付部18を有する容器本体12と、第1ねじ山22に螺合される第2ねじ山44が複数の壁部42の取付部18に対向する面に形成されたキャップ14とを備えた点眼液を収容する容器10において、
キャップ14には、吐出口30aに嵌入してこの吐出口30aを閉栓可能な栓体46aと、筒状部32の内側面に突起部40とが設けられ、
容器本体12には、キャップ14を回転によって取り付ける場合に突起部40が乗り越える滑り部28aと、突起部40が滑り部28aを乗り越えた後、この突起部40が接してキャップ14が矢印B2方向にそれ以上回転することはできない係止部28bとが設けられ、
係止部28bは、第2ねじ山44が第1ねじ山22に螺合して突起部40が接した時に栓体46aが吐出口30aを液密に閉栓する位置に形成される
点眼液を収容する容器10。」

イ.甲第2号証
上記取消理由通知において引用した甲第2号証には以下の事項が記載されている。

「【請求項1】 容器口筒部が螺着筒とその上方に続く押出筒とからなり、螺着筒にキャップを被嵌するようにした押出容器であって、前記螺着筒の上端部周縁にキャップの螺着筒のネジ山に係合する案内部材を突設したことを特徴とする押出容器。」
「【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1において、Aは容器であり、軟質の合成樹脂を素材として成型されており、内容物として、粘液、粘状物が充填される。Bはキャップであり、合成樹脂によって成型されている。
【0007】容器Aは、口筒部1と肩部2、胴部3と底部4を有しており、図2,3に示すように、口筒部1は、螺着筒5とその上方に連設された押出筒6とからなっている。螺着筒5の周面には2条ネジ7が刻設されており、その上端周縁には外周にローレットを刻設した案内環8が突設されている。押出筒6の上端には、押出口9が穿設されており、胴部3を押圧することによって内容物が押出されるようになっている。
【0008】肩部2は、前記口筒部1に続く円形の段部10と該段部10に接続する肩壁11が設けられている。該段部10の外周には、キャップの位置決め用部材12が設けられており、肩壁11の下端は角部を円弧とした菱形形状の下端縁となっている。」
「【0010】図4に示すように、キャップBは、容器Aの胴部3と同形の外周を有する頂壁20と側壁21、側壁21の内側に配設された螺着筒22とを具えている。螺着筒22の内周には、口筒部1外周の2条ネジ7に螺合する2条ネジ23が刻設されており、外周には、位置決め用部材12に係合する二つのストッパ杆24a,bが設けられ、該ストッパ杆24と側壁21との間は支持板25によって連結されている。頂壁20内面中央には、押出口9を閉塞する栓体26が設けられている。
【0011】図5に示すように、口筒部1の案内環8の外径は、キャップBの螺着筒22に刻設した2条ネジ23のネジ山山頂の内径とほぼ同一にしており、栓体26は一定の締め代をもって押出口9に係合するようにされている。
【0012】次に、上記構成による作用効果について説明すると、必要量の内容物を押出した後に、キャップBを被嵌すると、キャップBの2条23の山頂が口筒部1の案内環8の外周に係合し、キャップBの螺着筒22の軸心が口筒部1の軸心と一致するように位置決めされる。次いでキャップBを廻動すると、口筒部1の2条ネジ7と螺着筒22の2条ネジ23は軸線を同一に螺合され、キャップBが軸線方向に正確に下降案内される。
【0013】キャップBの最下降位置では、ストッパ杆24が位置決め部材12に係合し、容器AとキャップBとを周方向に位置決めすると同時に、キャップBの上下方向の位置を正確に位置決めされる。したがって、栓体26は、上下方向に正確に位置決めされ、その軸心を押出口9の軸心に合致させて押出口9に挿入される。」
「【0015】
【発明の効果】本発明は、上記のように構成されているから、次の効果を奏する。容器口筒部に刻設したネジの上方に、キャップのネジの山頂に係合する案内環を設けたので、キャップを口筒部に被嵌螺着するとき軸方線向に正確に下降案内される。…」

以上の記載を総合すると、甲第2号証には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。
「上端に押出口9が穿設されるとともに外周に2条ネジ7が刻設された口筒部1を有する容器Aと、2条ネジ7に螺合される2条ネジ23が螺着筒22の内周に刻設されたキャップBとを備えた内容物として粘液が充填される押出容器において、
キャップBには、押出口9に一定の締め代をもって係合するように挿入してこの押出口9を閉塞する栓体26と、螺着筒22の外周に位置するストッパ杆24a、bとが設けられ、
容器Aには、キャップBを被嵌してこれを廻動させたときにストッパ杆24a、bが係合する位置決め用部材12が設けられ、
位置決め部材12は、2条ネジ23が2条ネジ7に螺合してストッパ杆24a、bが位置決め部材12に係合すると同時に栓体26が押出口9に挿入されて閉塞する位置に設けられ、
口筒部1は、2条ネジ7上方の案内環8が突設され、
2条ネジ23の山頂は、案内環8に係合されて下降案内される、
粘液が充填される押出容器。」

(4)判断
ア.本件発明1について
(ア)引用発明2を主引用発明とする進歩性について
事案に鑑み、まず、引用発明2を主引用発明とする進歩性について判断する。
本件発明1と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「上端」が本件発明1の「先端」に相当する。以下同様に、「押出口9」が「注出口」に、「穿設され」が「設けられ」に、「外周」が「外周面」に、「2条ネジ7」が「雄螺子部」に、「刻設され」及び「設けられ」が「形成され」に、「口筒部1」が「口頸部」に、「容器A」が「容器本体」に、「2条ネジ23」が「雌螺子部」に、「螺着筒22」が「周壁部」に、「内周」が「内周面」に、「粘液が充填される押出容器」が「液体用容器」に、「一定の締め代をもって係合するように挿入」が「嵌入」に、「閉塞する」が「閉栓可能な」及び「液密に閉栓する」に、「栓体26」が「突起部」に、「ストッパ杆24a、b」が「被係止部」に、「被嵌」が「嵌着」に、「廻動」が「回動」に、「2条ネジ23の山頂」が「雄螺子部を形成する凸部の頂面」に、「2条ネジ7上方の案内環8」が「雄螺子部上方の外周面」に、それぞれ相当する。
また、「位置決め用部材12」と、「第1の係止部」および「第2の係止部」とは、被係止部と係合する係止部であるという限りにおいて一致する。
そうすると両者は、
「先端に注出口が設けられるとともに外周面に雄螺子部が形成された口頸部を有する容器本体と、雄螺子部に螺合される雌螺子部が周壁部の内周面に形成されたキャップとを備えた液体用容器において、
キャップには、注出口に嵌入してこの注出口を閉栓可能な突起部と、周壁部に位置する被係止部とが設けられ、
容器本体には、キャップを嵌着してこれを回動させたときに被係止部が係合する係止部が形成され、
係止部は、被係止部が係合した時に突起部が注出口を液密に閉栓する位置に形成され、
雄螺子部を形成する凸部の頂面は、雄螺子部上方の外周面に案内される、
液体用容器。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1.本件発明1では被係止部の位置が、周壁部の内周面の下方であるのに対して、引用発明2では外周面である点
相違点2.本件発明1では係止部が、被係止部が当接して乗り越え可能な第1の係止部と、被係止部が第1の係止部を乗り越えた後、この被係止部が当接してキャップの締め方向の更なる回動を阻止する第2の係止部とから構成されるのに対して、引用発明2ではそのような構成か不明な点
相違点3.本件発明1は、口頸部の中心軸線を含む面で断面視したときに、雄螺子部上方の外周面の輪郭線が中心軸線に沿う直線状に形成され、雌螺子部を形成する凸部の頂面が外周面の輪郭線に平行に形成されているのに対して、引用発明2はそのような構成か不明な点
相違点4.本件発明1は、外周面の輪郭線における直線部の長さが、少なくとも隣接する雌螺子部の凸部の中心間の長さであるのに対して、引用発明2はそのような構成を有さない点

まず、相違点4について検討する。
相違点4に係る本件発明1の構成は、甲第1、3?4号証及び平成29年8月23日付け意見書に添付された甲第5号証(特開2000-85822号公報)のいずれにも記載されていない。そして、本件発明1は相違点4に係る構成により、キャップが傾いた状態で螺着されることを防止できるものである(本件特許の明細書の段落【0018】、【0033】?【0034】)。
したがって、相違点1?3について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明2及び甲第1、3?5号証記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
申立人は、特許異議申立書の44頁下から3行?45頁4行において、相違点4に係る本件発明1の構成が、甲第3号証の図1に記載されていると主張する。しかし、願書に添付された図面は特許を受けようとする発明の内容を補足的に説明するためのものであって、各部の長さなどが設計図のように正確かつ詳細に記載されているわけではない。したがって、甲第3号証の図1に、相違点4に係る本件発明1の構成が記載されているとまではいえない。また、仮に甲第3号証の図1から相違点4に係る本件発明1の構成を看取できたとしても、甲第3号証の図1の該当部分の長さについての技術的意義が何ら示されていない以上、たとえ当業者が甲第3号証に接したとしても、引用発明2において外周面の輪郭線における直線部の長さについて、少なくとも隣接する雌螺子部の凸部の中心間の長さにしようとする動機づけを与えるものではない。

(イ)引用発明1を主引用発明とする進歩性について
本件発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「吐出口30a」が本件発明1の「注出口」に相当する。以下同様に、「外側面」が「外周面」に、「第1ねじ山22」が「雄螺子部」に、「取付部18」が「口頸部」に、「第2ねじ山44」が「雌螺子部」に、「点眼液を収容する容器10」が「液体用容器」に、「栓体46a」が「突起部」に、「筒状部32」が「周壁部」に、「内側面」が「内周面」に、「突起部40」が「被係止部」に、「キャップを回転によって取り付ける場合に」は「キャップを嵌着してこれを回動させたときに」に、「滑り部28a」が「第1の係止部」に、「接し」が「当接し」に、「矢印B2方向」が「キャップの締め方向」に、「それ以上回転することはできない」が「更なる回動を阻止する」に、「係止部28b」が「第2の係止部」に、「設けられ」が「形成され」に、それぞれ相当する。
そうすると両者は、
「先端に注出口が設けられるとともに外側面に雄螺子部が形成された口頸部を有する容器本体と、雄螺子部に螺合される雌螺子部が形成されたキャップとを備えた液体用容器において、
キャップには、注出口に嵌入してこの注出口を閉栓可能な突起部と、周壁部の内周面に被係止部とが設けられ、
容器本体には、キャップを嵌着してこれを回動させたときに被係止部が乗り越える第1の係止部と、被係止部が第1の係止部を乗り越えた後、この被係止部が当接してキャップの締め方向の更なる回動を阻止する第2の係止部とが形成され、
第2の係止部は、被係止部が当接した時に突起部が注出口を液密に閉栓する位置に形成される
液体用容器。」
という点で一致し、以下の点で相違する。
相違点5.本件発明1は雌螺子部が周壁部の内周面に形成されているのに対して、引用発明1は雌螺子部が複数の壁部42の内周面に形成されている点
相違点6.本件発明1は、口頸部の中心軸線を含む面で断面視したときに、雄螺子部上方の外周面の輪郭線が中心軸線に沿う直線状に形成され、雌螺子部を形成する凸部の頂面が外周面の輪郭線に平行にかつ当該外周面に沿って案内されることが可能に形成され、外周面の輪郭線における直線部の長さが、少なくとも隣接する雌螺子部の凸部の中心間の長さであるのに対して、引用発明1はそのような構成を有さない点

まず、相違点6について検討する。
相違点6に係る本件発明1の構成は、甲第2?5号証のいずれにも記載されていない。そして、本件発明1は相違点6に係る構成により、キャップが傾いた状態で螺着されることを防止できるものである(本件特許の明細書の段落【0018】、【0033】?【0034】)。
したがって、相違点5について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1及び甲第2?5号証記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、甲第1号証には、キャップの雌螺子部を形成する凸部の頂面を口頸部の外周面に沿って案内する旨の記載はない。申立人は、このように案内することが周知の技術であるとして甲第5号証を提示するが、甲第5号証には案内について何ら記載されていない。

イ.本件発明2について
(ア)引用発明2を主引用発明とする進歩性について
本件発明2と引用発明2とは、上記相違点1?2に加えて以下の点で相違し、その余の点で一致する。
相違点7.本件発明2は雄螺子部の螺子山が、口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、中心軸線方向視において周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子であるのに対して、引用発明2は雄螺子部の螺子山が多条螺子であるにとどまる点
相違点8.本件発明2はキャップの外径の最大部の寸法が20mmφ以下であるのに対して、引用発明2は寸法が不明な点
相違点9.本件発明2は第1の係止部および第2の係止部が共に、中心軸線方向視において、雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されているのに対して、引用発明2はそのような構成を有さない点
相違点10.本件発明2は点眼薬の収容及び注出に用いられるのに対して、引用発明2は点眼薬の収容及び注出に用いられるか不明な点

相違点7について検討する。
相違点7に係る本件発明2の構成は、甲第1、3?5号証のいずれにも記載されていない。そして、本件発明2は相違点7に係る構成により、キャップによる閉栓、開栓をひとひねり操作で行うことができものである(本件特許の明細書の段落【0019】、【0035】)。
したがって、相違点1?2、8?10について検討するまでもなく、本件発明2は、引用発明2及び甲第1、3?5号証記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(イ)引用発明1を主引用発明とする進歩性について
本件発明2と引用発明1とは、上記相違点5に加えて以下の点で相違し、その余の点で一致する。
相違点11.本件発明2は雄螺子部の螺子山が、口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、中心軸線方向視において周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子であるのに対して、引用発明1はそのような構成を有さない点
相違点12.本件発明2はキャップの外径の最大部の寸法が20mmφ以下であるのに対して、引用発明1は寸法が不明な点
相違点13.本件発明2は第1の係止部および第2の係止部が共に、中心軸線方向視において、雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されているのに対して、引用発明1はそのような構成を有さない点

相違点11について検討する。
相違点11に係る本件発明2の構成は、甲第2?5号証のいずれにも記載されていない。そして、本件発明2は相違点11に係る構成により、キャップによる閉栓、開栓をひとひねり操作で行うことができものである(本件特許の明細書の段落【0019】、【0035】)。
したがって、相違点5、12及び13について検討するまでもなく、本件発明2は、引用発明1及び甲第2?5号証記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、申立人は特許異議申立書の24頁6?10行において、甲第1号証の図3、4、6、8に、第1ねじ山22の螺子山が取付部18の周方向全周長さの2分の1の長さに形成され、かつ、中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に形成された2条螺子が示されていると主張している。しかし、甲第1号証には第1ねじ山22が2条螺子である旨の記載はなく、各図面を参酌しても第1ねじ山22が2条螺子か否か判然としない。また、仮に第1ねじ山22が2条螺子だとしても、願書に添付された図面は特許を受けようとする発明の内容を補足的に説明するためのものであって、各部の長さなどが設計図のように正確かつ詳細に記載されているわけではないから、甲第1号証の図3、4、6、8に、第1ねじ山22の螺子山を、取付部18の周方向全周長さの2分の1以下とすることが示されているとまではいうことができない。

ウ.本件発明3、4について
(ア)引用発明1を主引用発明とする本件発明4の新規性について
本件発明4と引用発明1とは、少なくとも上記相違点11において相違し、相違点11は実質的な相違点であるから、本件発明4は引用発明1ではない。
(イ)引用発明2を主引用発明とする進歩性について
本件発明3、4と引用発明2とは少なくとも上記相違点7において相違する。そして、相違点7に係る本件発明3、4の構成は、甲第1、3?5号証のいずれにも記載されていないから、本件発明3、4は、引用発明2及び甲第1、3?5号証記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(ウ)引用発明1を主引用発明とする進歩性について
本件発明3、4と引用発明1とは少なくとも上記相違点11において相違する。そして、相違点11に係る本件発明3、4の構成は、甲第2?5号証のいずれにも記載されていないから、本件発明3、4は、引用発明1及び甲第2?5号証記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ.本件発明5?15について
本件発明5?15は、本件発明1?4のいずれかの発明特定事項をすべて含むものであるから、本件発明1?4についてと同様に、引用発明2及び甲第1、3?5号証記載事項、又は、引用発明1及び甲第2?5号証記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

オ.まとめ
よって、本件発明4は、特許法第29条第1項第3号に該当しない。また、本件発明1?15は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。
したがって、本件発明1?15に係る特許は、特許法第113条第2号に該当せず、取り消されるべきものとすることはできない。

4.むすび
以上のとおり、上記取消理由によっては、本件発明1?15に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明1?15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に注出口が設けられるとともに外周面に雄螺子部が形成された口頸部を有する容器本体と、前記雄螺子部に螺合される雌螺子部が周壁部の内周面に形成されたキャップとを備えた液体用容器において、
前記キャップには、前記注出口に嵌入してこの注出口を閉栓可能な突起部と、前記周壁部の前記内周面の下方に位置する被係止部とが設けられ、
前記容器本体には、前記キャップを嵌着してこれを回動させたときに前記被係止部が当接して乗り越え可能な第1の係止部と、前記被係止部が前記第1の係止部を乗り越えた後、この被係止部が当接して前記キャップの締め方向の更なる回動を阻止する第2の係止部とが形成され、
前記第2の係止部は、前記被係止部が当接した時に前記突起部が前記注出口を液密に閉栓する位置に形成され、
前記口頸部は、この口頸部の中心軸線を含む面で断面視したときに、前記雄螺子部上方の外周面の輪郭線が前記中心軸線に沿う直線状に形成され、
前記雌螺子部を形成する凸部の頂面は、前記外周面の輪郭線に平行にかつ当該外周面に沿って案内されることが可能に形成され、
前記外周面の輪郭線における直線部の長さが、少なくとも隣接する雌螺子部の凸部の中心間の長さである
ことを特徴とする液体用容器。
【請求項2】
先端に注出口が設けられるとともに外周面に雄螺子部が形成された口頸部を有する容器本体と、前記雄螺子部に螺合される雌螺子部が周壁部の内周面に形成されたキャップとを備えた液体用容器において、
前記キャップには、前記注出口に嵌入してこの注出口を閉栓可能な突起部と、前記周壁部の前記内周面の下方に位置する被係止部とが設けられ、
前記容器本体には、前記キャップを嵌着してこれを回動させたときに前記被係止部が当接して乗り越え可能な第1の係止部と、前記被係止部が前記第1の係止部を乗り越えた後、この被係止部が当接して前記キャップの締め方向の更なる回動を阻止する第2の係止部とが形成され、
前記第2の係止部は、前記被係止部が当接した時に前記突起部が前記注出口を液密に閉栓する位置に形成され、
前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、前記中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、前記中心軸線方向視において前記周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子であり、
前記第2の係止部は、前記キャップの雌螺子部が前記雄螺子部の螺子山の前記始端から前記終端近傍まで案内される範囲で前記被係止部が当接する位置に形成され、
前記キャップの外径の最大部の寸法が20mmφ以下であり、
前記第1の係止部および前記第2の係止部は共に、前記中心軸線方向視において、前記雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されており、
点眼薬の収容及び注出に用いられる容器である
ことを特徴とする液体用容器。
【請求項3】
先端に注出口が設けられた中栓、及び前記中栓が嵌着されるとともに外周面に雄螺子部が形成された口頸部を有する容器本体と、前記雄螺子部に螺合される雌螺子部が周壁部の内周面に形成されたキャップとを備えた液体用容器において、
前記キャップには、天板壁と、前記天板壁から下方へ突出し前記注出口に嵌入してこの注出口を閉栓可能な突起部と、前記周壁部の前記内周面において前記雌螺子部の下方に形成された被係止部とが設けられ、
前記容器本体には、前記キャップを嵌着してこれを回動させたときに前記被係止部が当接して乗り越え可能な第1の係止部と、前記被係止部が前記第1の係止部を乗り越えた後、この被係止部が当接して前記キャップの締め方向の更なる回動を阻止する第2の係止部とが形成され、
前記第2の係止部は、前記被係止部が当接した時に、前記突起部が前記注出口を液密に閉栓するとともに前記中栓の上端面と前記天板壁の下面とが接触しない位置に形成され、
前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、前記中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、前記中心軸線方向視において前記周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子であり、
前記第1の係止部および前記第2の係止部は共に、前記中心軸線方向視において、前記雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されており、
点眼薬の収容及び注出に用いられる容器である
ことを特徴とする液体用容器。
【請求項4】
先端に注出口が設けられるとともに外周面に雄螺子部が形成された口頸部、及び上端に前記口頸部が形成された胴部を有する容器本体と、前記雄螺子部に螺合される雌螺子部が周壁部の内周面に形成された筒状のキャップとを備えた液体用容器において、
前記キャップには、前記注出口に嵌入してこの注出口を閉栓可能な突起部と、前記周壁部の前記内周面において前記雌螺子部の下方に形成された被係止部とが設けられ、
前記容器本体には、前記キャップを嵌着してこれを回動させたときに前記被係止部が当接して乗り越え可能な第1の係止部と、前記被係止部が前記第1の係止部を乗り越えた後、この被係止部が当接して前記キャップの締め方向の更なる回動を阻止する第2の係止部とが形成され、
前記第2の係止部は、前記被係止部が当接した時に、前記突起部が前記注出口を液密に閉栓するとともに前記キャップの下端と前記胴部との間に上下方向に隙間が形成される位置に形成され、
前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、かつ、前記中心軸線を間に挟んで互いに反対側となる位置に、前記中心軸線方向視において前記周方向に互いに重なることなく形成された多条螺子であり、
前記第1の係止部および前記第2の係止部は共に、前記中心軸線方向視において、前記雄螺子部の同じ螺子山の始端から終端までの範囲内に対応する位置に形成されており、
点眼薬の収容及び注出に用いられる容器である
ことを特徴とする液体用容器。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の液体用容器において、
前記口頸部は、この口頸部の中心軸線を含む面で断面視したときに、前記雄螺子部上方の外周面の輪郭線が前記中心軸線に沿う直線状に形成され、
前記雌螺子部を形成する凸部の頂面は、前記外周面の輪郭線に平行に形成されていることを特徴とする液体用容器。
【請求項6】
請求項1または5に記載の液体用容器において、
前記外周面の輪郭線における直線部の長さが、少なくとも前記雌螺子部を形成する凸部の頂面の長さであるか、及び/又は少なくとも隣接する雌螺子部の凸部の中心間の長さであることを特徴とする液体用容器。
【請求項7】
請求項5または6に記載の液体用容器において、
前記外周面の輪郭線における直線部の長さが、少なくとも隣接する雌螺子部の凸部の中心間の長さであることを特徴とする液体用容器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の液体用容器において、
乗り越え可能な前記第1の係止部の乗り越え開始位置は、前記雌螺子部が前記雄螺子部の螺子山の始端から終端に向けて案内される途中で前記被係止部が前記第1の係止部に当接する位置に形成され、第2の係止部の係止位置は、前記被係止部が前記第1の係止部を乗り越えた後で前記雌螺子部が前記雄螺子部の前記螺子山の前記始端から前記終端近傍まで案内されたときに前記被係止部が第2の係止部に当接する位置に形成されていることを特徴とする液体用容器。
【請求項9】
請求項1、3または4に記載の液体用容器において、
前記雄螺子部の螺子山が、前記口頸部の周方向全周長さの2分の1以下の長さに形成され、
前記第2の係止部は、前記キャップの雌螺子部が前記雄螺子部の螺子山の前記始端から前記終端近傍まで案内される範囲で前記被係止部が当接する位置に形成されていることを特徴とする液体用容器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の液体用容器において、前記キャップの開閉時の回動角度が30°以上180°以下であることを特徴とする液体用容器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の液体用容器において、
前記キャップが、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリルスチレンコポリマー樹脂、又はABS樹脂の少なくともいずれか一を含む材料により形成されていることを特徴とする液体用容器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の液体用容器において、
前記キャップは、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリルスチレンコポリマー樹脂、又はABS樹脂の少なくともいずれか一を含む材料により形成された内管と、
金属材料で形成され、前記内管の外面に密着して被冠された外管と、を備えていることを特徴とする液体用容器。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の液体用容器において、
容器本体の容量が35ml以下であることを特徴とする液体用容器。
【請求項14】
請求項1、3または4に記載の液体用容器において、
キャップの外径の最大部の寸法が20mmφ以下であることを特徴とする液体用容器。
【請求項15】
請求項1に記載の液体用容器において、
点眼薬の収容及び注出に用いられる容器であることを特徴とする液体用容器。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-09-21 
出願番号 特願2012-555928(P2012-555928)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (B65D)
P 1 651・ 121- YAA (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 谿花 正由輝白川 敬寛  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 小野田 達志
井上 茂夫
登録日 2016-07-15 
登録番号 特許第5969924号(P5969924)
権利者 ロート製薬株式会社
発明の名称 液体用容器  
代理人 小谷 昌崇  
代理人 福成 勉  
代理人 小谷 悦司  
代理人 小谷 悦司  
代理人 小谷 昌崇  
代理人 福成 勉  
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