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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G21F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G21F
審判 全部申し立て 2項進歩性  G21F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G21F
管理番号 1334360
異議申立番号 異議2017-700081  
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2017-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-01 
確定日 2017-10-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5961572号発明「破損あるいは溶融した核燃料の処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5961572号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について、訂正することを認める。 特許第5961572号の請求項11に係る特許を維持する。 特許第5961572号の請求項1ないし10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5961572号の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、平成28年7月1日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人 政平愛弓(以下「特許異議申立人」という。)より請求項1ないし11に対して特許異議の申立てがされ、平成29年4月12日付けで取消理由が通知され、同年6月19日付けで意見書の提出及び訂正請求がされ、同年7月13日付けで訂正拒絶理由が通知され、同年8月10日付けで意見書の提出及び訂正請求書の手続補正がされたものである。

なお、特許異議申立人は、意見書提出を希望しているが、後記第2のとおり、訂正が、引用する請求項1ないし10のうち、最も上位の発明である請求項1を引用する請求項11について独立形式に書き改める訂正であって、訂正の内容が実質的な判断に影響を与えるものではないから、特許異議申立人に意見書を提出する機会を与えなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1 平成29年8月10日付けの手続補正後の、平成29年6月19日付けの訂正の内容(下線は、特許権者が付与したとおりであって、訂正箇所を示すものである。)は以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10を削除する。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項11に、「請求項1?10の何れか一項に記載の破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、前記燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、「破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリを、熱処理、機械的破砕処理、電気的破砕処理、酸化処理、還元処理、及び、ハロゲン化処理の少なくとも何れか一つの処理により粉体化し、前記燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。」に訂正する。

なお、平成29年6月19日付けの訂正請求における訂正事項12は、平成29年8月10日付けの訂正請求の手続補正により削除された。

2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無及び一群の請求項
(1)訂正事項1ないし10
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1ないし10はそれぞれ特許請求の範囲の請求項1ないし10を削除するものであるから、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1ないし10は、請求項の削除であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 新規事項の有無
訂正事項1ないし10は、請求項の削除であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(2)訂正事項11
ア 訂正の目的の適否
訂正事項11は、訂正前の請求項11が請求項1?10の記載を択一的に引用する記載であるところ、請求項2?10を引用しないものとした上で、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするとともに、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記アのとおり、訂正事項11は実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正前の請求項1ないし11については、特許異議の申立てがされているため、訂正前の請求項1ないし11に係る訂正事項1ないし11に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項に規定する独立特許要件を要しない。

(4)一群の請求項
訂正事項1ないし11に係る訂正前の請求項1ないし11は、当該訂正事項1を含む請求項1の記載を訂正前の請求項2ないし11がそれぞれ引用しているものであるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

3 小括
したがって、特許第5961572号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。

第3 本件訂正発明
上記訂正請求により訂正された訂正後の請求項1ないし11に係る発明(削除された請求項を含む。以下、訂正後の請求項11に係る発明を「本件訂正発明11」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】(削除)
【請求項7】(削除)
【請求項8】(削除)
【請求項9】(削除)
【請求項10】(削除)
【請求項11】
破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリを、熱処理、機械的破砕処理、電気的破砕処理、酸化処理、還元処理、及び、ハロゲン化処理の少なくとも何れか一つの処理により粉体化し、前記燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。」

第4 取消理由および申立て理由の概要
1 取消理由の概要
当審において平成29年4月12日付けで通知した取消理由は、概略以下のとおりである。
なお、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定される発明を、以下、請求項の項番に従い「本件訂正前の請求項1に係る発明」などという。

(1)理由1(特許法第36条第4項第1号)について
本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件訂正前の請求項1ないし11に係る発明を実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
その理由は、下記のとおりである。
ア(ア)本件特許明細書の[0028]には、「粉体化の原理は燃料デブリの上記構成成分毎に熱膨張係数が異なるため成分境界にクラックが発生し分離されて粉体化する」ことが記載されている。
この粉体がどの程度の粒径を有するのか本件特許明細書を参酌してもその定義は不明であるが、仮に、粉体が通常の砂や粉程度のものを意味するのであれば、どのような熱処理条件(加熱温度、冷却温度等)であれば粉体化できるのか、具体的な温度や粉体化後の粒径等について、本件特許明細書には一切説明がなされていない。
具体的に説明すると、図1?図3に示す例では([0029]?[0031])、図1の熱処理、図2の急速加熱処理、図3の急速冷却処理の具体的内容(熱処理の内容、熱処理と急速加熱処理/急速冷却処理の相違、急速の具体的内容、それぞれの加熱/冷却温度、加熱手段、雰囲気、等)が一切記載されていない。
さらに、[0028]には、成分境界にクラックを発生させて粉体化すると記載されているが、ある成分が塊状(例えば、炉内の金属構造物等)であれば、その成分内では熱膨張係数が同じため、クラックは発生せず、同一成分の塊状のデブリは粉体化できないことは明らかである。
このように、本件特許明細書の記載は、本件訂正前の請求項1ないし11に係る発明における熱処理により燃料デブリを粉体化するための具体的手段が不明であり、かつ、その原理も不明瞭である。したがって、仮に第三者が熱処理により燃料デブリを粉体化するための追試や再現実験を行うに際して、多大な試行錯誤を要するものであるから実施可能要件に違反する。
なお、図4?図9に示す熱処理についても、上記と同様に具体的手段が不明であるから、実施可能要件に違反する。

(イ)本件特許の図面の図13?図15及びこれらに対応する本件特許明細書の記載を参照すると、燃料デブリを水素化処理のみ、酸化処理のみ又は還元処理のみで粉体化できることが記載されている。しかしながら、これらの処理によって、燃料デブリが水素化(水素化物)、酸化(酸化物)、又は還元化(還元物)されたとしても、技術常識からして、それらが、即粉体の形態をとることは考えられない。
また、本件特許明細書を参酌すると、空気、酸素([0041])、窒素([0042])を用いて、酸化又は還元を行うことが記載されているが、これらの気体を燃料デブリに供給しても、表面だけが酸化又は還元されるだけで、燃料デブリの内部が酸化又は還元されることは現実的にあり得ないものである。
このように、本件特許明細書の記載は、本件訂正前の請求項1、6、7、8、9に係る発明における酸化処理又は還元処理により燃料デブリを粉体化するという構成は、その具体的手段が不明で、かつ技術的に意味不明であるから、実施可能要件に違反する。

(ウ)本件訂正前の請求項8に係る発明では、前記燃料デブリ中の核燃料成分以外の不純物に対し各種処理を行うことが規定されているが、本件特許明細書の記載を参酌しても、どのように核燃料成分と不純物を分けるのかについては一切記載がない。
したがって、本件特許明細書の記載は、本件訂正前の請求項8に係る発明を実施するための具体的手段が不明であり、実施可能要件に違反する。
また、本件訂正前の請求項6に係る発明でも熱処理後に燃料デブリ中の核燃料成分以外の不純物に対し各種処理を行うことが規定されているが、どのように核燃料成分と不純物を分けるのかが同様に不明であるから、本件特許明細書の記載は、本件訂正前の請求項6に係る発明を実施するための具体的手段も不明であり、実施可能要件に違反する。

(エ)本件特許明細書の[0045]には、燃料デブリのハロゲン化処理により燃料デブリ中のウランやB_(4)Cが揮発性ガスであるUF_(6)やBF_(3)、CF_(4)になることが記載されているものの、粉体になることは記載されていない。また、同段落に記載の多孔質セラミックからなる残量物も、それ自体粉体ではなく、その後の処理で粉体化されるものである。
したがって、本件特許明細書の記載は、本件訂正前の請求項1に係る発明におけるハロゲン化処理により燃料デブリを粉体化するという具体的手段が不明であるから、実施可能要件に違反する。

イ 本件特許明細書の段落【0013】によれば、使用済燃料を粉体化する酸化還元法を用いて、「破損状態あるいは溶融状態の燃料デブリを粉体化することは困難であ」るところ、実施例8では燃料デブリを、「酸化処理のみによって粉体化する事もできる」(段落【0053】)、「還元処理のみによって粉体化する事もできる」(段落【0054】)、並びに、「酸化処理と還元処理を反復して少なくとも1回実施する事によって、燃料デブリを粉体化することができる」(段落【0055】)としているが、「処理」が具体的にどのように相違し、燃料デブリを粉体化できるようになったのか、当業者が理解できるように記載されていない。
よって、本件訂正前の請求項1ないし11に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(2)理由2(特許法第36条第6項第1号及び同項第2号)について
ア 上記「(1)」のとおり、本件特許明細書の記載は不明瞭でかつ実施可能性を十分に説明したものではない。
したがって、これらの記載を基にした本件訂正前の請求項1ないし11に係る発明も明細書にサポ-トされておらず、かつ、技術的に意味不明であるから、本件訂正前の請求項1?11の記載は、特許法第36条第6項第1号(サポート要件)又は第2号(明確性要件)の規定に違反する。
例えば、本件訂正前の請求項1及びそれを引用する本件訂正前の請求項2?11に係るハロゲン化処理による粉体化は、上記「(1)」「ア」「(ウ)」で述べた理由で明確ではなく、かつ、本件特許明細書の[0045]の記載と矛盾する。
また、本件訂正前の請求項6及び8では、前記燃料デブリ中の核燃料成分以外の不純物に対し各種処理を行うことが規定されているが、本件特許明細書の記載を参酌しても、燃料デブリ中の核燃料成分以外の不純物にのみ各種処理を行う手段が不明であるから、本件訂正前の請求項6及び8の記載は、サポート要件及び明確性要件に違反する。
さらに、本件訂正前の請求項8及びそれを引用する本件訂正前の請求項10?11については、本件特許明細書の段落[0040]及び[0042]の記載を参酌すると、酸化処理又は還元処理を行う前に熱処理を行うことが開示されているものの、熱処理を行わずに核燃料成分以外の不純物に対して酸化処理又は還元処理を行うことについては一切開示がないから、本件訂正前の請求項8及びそれを引用する本件訂正前の請求項10?11の記載はサポート要件にも違反する。

イ 本件訂正前の請求項1?2、4?7、9?8に係る発明は「粉体化すること」を発明特定事項とする。
当該「粉体化すること」について、本件特許明細書の[0028]には、「粉体化の原理は燃料デブリの上記構成成分毎に熱膨張係数が異なるため成分境界にクラックが発生し分離されて粉体化すること」と記載されている。
当該「粉体」がどの程度の粒径を有するのか本件特許明細書を参酌してもその定義は不明であるが、仮に、粉体が通常の砂や粉程度のものを意味するのであれば、どのような熱処理条件(加熱温度、冷却温度等)であれば粉体化できるのか、具体的な温度や粉体化後の粒径等について、本件特許明細書には一切説明がなされていない。
したがって、上記発明特定事項を含み、あるいは、引用する本件訂正前の請求項1ないし11に係る発明は不明確である。

ウ 燃料デブリは、本件特許明細書の段落【0008】?【0012】に記載のとおり、その場所によって、ウラン等核燃料が主たるもの、ジルコニウム等の被覆管が主たるもの、あるいは、コンクリート等その他の材料が主たるものがあり、組成が多様で、化学的、物理的性質が大きく異なるものを含むと理解されるが、本件特許明細書の発明の詳細な説明及び図面には、これら多種な組成の燃料デブリのいずれであっても、本件訂正前の請求項1ないし11に係る発明の「処理」を適用すれば「粉体化すること」ができたとの具体的な実施例の記載はない。
したがって、燃料デブリの組成に拘わらず、本件訂正前の請求項1ないし11に係る発明の「処理」を適用すれば「粉体化すること」ができたことまでが本件特許明細書及び図面に記載されていたとは認められないから、燃料デブリを特定しない本件訂正前の請求項1ないし11に係る発明は、発明の詳細な説明及び図面に記載されたものとは認められない。

エ よって、本件訂正前の請求項1ないし11に係る特許は、特許法第36条第6項第1号及び同項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

(3)理由3(特許法第29条第1項第3号)について
本件特許の下記請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
ア 本件訂正前の請求項1 引用文献1ないし3
イ 本件訂正前の請求項2 引用文献2
ウ 本件訂正前の請求項8 引用文献1

(4)理由4(特許法第29条第2項)について
本件特許の下記請求項に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内または外国において頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
ア 本件訂正前の請求項1
(ア)引用文献1
(イ)引用文献2
(ウ)引用文献3及び4ないし6
(エ)引用文献1及び5
(オ)引用文献1及び6
イ 本件訂正前の請求項2 引用文献2
ウ 本件訂正前の請求項3 引用文献5
エ 本件訂正前の請求項4 引用文献5
オ 本件訂正前の請求項5 引用文献5
カ 本件訂正前の請求項6 引用文献6
キ 本件訂正前の請求項7 引用文献1及び6
ク 本件訂正前の請求項8 引用文献1及び6
ケ 本件訂正前の請求項9 引用文献4ないし6
コ 本件訂正前の請求項10 引用文献5
サ 本件訂正前の請求項11 引用文献1ないし6

・引用文献1:E.J.Karell,他著″Electrometallurgical Treatment of TMI-2Fuel Debris″,米国,1997年発行(特許異議申立人提出の甲第1号証)
・引用文献2:特開平5-203779号公報(特許異議申立人提出の甲第2号証)
・引用文献3:特開平11-304979号公報(特許異議申立人提出の甲第3号証)
・引用文献4:特開2002-40189号公報(特許異議申立人提出の甲第4号証)
・引用文献5:特表2008-501113号公報(特許異議申立人提出の甲第5号証)
・引用文献6:特開平11-337687号公報(特許異議申立人提出の甲第6号証)
・引用文献7:JAEA(日本原子力研究開発機構)図書館所蔵レポートリスト(特許異議申立人提出の甲第7号証)

2 各引用文献に記載された発明及び記載された事項
引用文献1ないし6には下記に示した事項が記載され、下記の発明が記載されていると認められる。
(1)本件特許の優先日前に頒布された引用文献1には、下記アに示した事項が記載され(訳は、特許異議申立書に添付された訳を踏まえて、当審が作成した。)、下記イの発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
ア(ア)「ABSTRACT
Argonne National Laboratory (ANL) has developed an electrometallurgical treatment process suitable for conditioning DOE oxide spent fuel for long-term storage or disposal.」(1頁左欄1?5行)
(概要
アルゴンヌ国立研究所が、酸化物使用済み燃料の長期保存または処分に関する(米国)環境省の条件に適合する、電気冶金処理工程を開発した。)

(イ)「INTRODUCTION
Approximately 200 metric tons^(2) of various types of oxide fuel is currently stored at DOE sites. These oxide fuels exhibit a wide variety in their physical condition, chemical stability, burnup, and enrichment, complicating their long-term storage and disposal.^(1)」(1頁左欄16?22行)
(序論
約200トンの様々な種類の酸化物燃料が現在(米国)環境省の敷地に貯蔵されている。これらの酸化物燃料の、物理的状態、化学的な安定性、核分裂変化及び濃縮度合いの広範な多種多様さが、長期保存と処分を複雑なものにしている。)

(ウ)「The electrometallurgical treatment technique consists of two distinct stages. The first of these is the reduction of the oxide compounds of the actinides to the metallic state. The actinide oxides are reduced using lithium dissolved in molten LiCl at 650℃, yielding the corresponding metals and Li_(2)O. The metallic product from the reduction step becomes the feed material for the second stage of the process, known as electrorefining.」(1頁右欄1?9行)
(電子冶金処理技術には2つの明確なステージがある。一つはアクチニドを含む酸化物を金属に還元させるステージである。アクチニド酸化物は、650℃の溶融LiCl中に溶解されたLiを用いて還元され、対応する金属とLi_(2)Oを生成する。この還元ステップからの金属生成物は、電解精製として知られている第2ステージの処理工程への供給物質となる。)

(エ)「The ability of the lithium reduction process to reduce the principal components of oxide fuel has been demonstrated at the engineering scale,^(4) as has the ability of the electrorefiner to separate the components of reduced Zircaloy-clad oxide fuel.^(3) However, the unique characteristics of the TMI-2 debris require additional testing of the reduction step. A significant portion of the debris consists of a ceramic mixture of(U,Zr)O_(2), combined with iron and chromium from melted structural components and small amounts of cadmium and silver from melted control rods. In addition, there are partial fuel assemblies from relatively undamaged peripheral sections of the core.」(1頁右欄14?27行)
(酸化物燃料の主要構成要素を還元させるためにリチウム還元プロセスが有効であることは工業的スケールで示されている。同様に還元されたジルカロイ被覆酸化物燃料を分離するために電解精製手段の有効性も示されている。しかしながら、TMI-2デブリスの特異な特性は還元ステップの追加的なテストを必要としている。このデブリスの重要な特徴はセラミック混合物である(U,Zr)O_(2)が、溶融金属構造物に由来する鉄、クロム、及び溶融制御棒に由来する少量のカドミウム、銀を含んでいることにある。さらに、比較的に損傷を被っていない炉心周辺部にある燃料集合体も一部存在する。)

(オ)「In the current series of experiments, material from the melted central region of the TMI-2 core was represented using synthetic corium--a mixture of (U,Zr)O_(2), Zr, Fe, and Cr. Partially intact fuel rods from peripheral regions of the TMI-2 core were represented by clad UO_(2) fuel rods. Laboratory-scale experiments were performed using samples of synthetic corium, clad UO_(2) fuel pellets, and pure ZrO_(2) to obtain information on the extent and rate of the lithium reduction reaction.」(1頁右欄下から6行?2頁左欄4行)
(今回の一連の実験では、TMI-2(スリーマイル島-2)炉心の溶融中心領域にある物質、すなわち(U,Zr)O_(2)、Zr、Fe及びCrの混合物である合成“コリウム”を用いて行われた。また、TMI-2炉心の周辺領域にある部分的に非破損の被覆UO_(2)燃料棒が用いられた。実験室規模の実験では、リチウム還元反応の範囲及び速度についての情報を得るために、合成コリウム、被覆UO_(2)、燃料ペレット及びピュアなZrO_(2)が用いられた。)

(カ)「The initial engineering-scale reduction of simulated TMI-2 debris was performed in September 1996. The first part of the experiment was the reduction of 4kg of synthetic corium for 30 hours in 77kg of LiCl. The corium reduction was followed by the reduction of the clad fuel pellets. For this part of the experiment, 2.5kg of stainless-steel clad UO_(2) fuel rods was cut into 1-cm segments and reduced for 47 hours.」(2頁左欄14?22行)
(模擬TMI-2デブリスの最初の工業的規模の還元は、1996年9月に行われた。この実験の第1段階では、77KgのLiCl中で30時間の間、4Kgの合成コリウムを還元させた。続いて被覆燃料ペレットの還元が行われた。ここでは2.5Kgのステンレス鋼の被覆UO_(2)燃料棒を1-cmの長さに切断し、47時間の間還元させた。)

イ 引用発明1
上記アによれば、炉心の溶融中心領域にある(U,Zr)O_(2)、Zr、Fe及びCrの混合物である合成コリウムを還元する還元プロセスが記載されているから、合成コリウムの還元方法の発明が記載されていると認められる。したがって、引用文献1には以下の発明が記載されている。
「物理的状態、化学的な安定性、核分裂変化及び濃縮度合いの広範な多種多様さが、長期保存と処分を複雑なものにしている、炉心の溶融中心領域にある(U,Zr)O_(2)、Zr、Fe及びCrの混合物である合成コリウムを還元する、コリウムの還元方法。」

(2)本件特許の優先日前に頒布された引用文献2には、下記アに示した事項が記載され、下記イの発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
ア(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、事故によって炉心が溶融し始めた原子炉の炉心を冷却し、コンクリート構造物を保護するための装置に関する。」

(イ)「【0014】炉心4と容器底の溶融に関して、本発明による冷却保護装置の機能を下に詳しく説明する。概要としては、原子炉の炉心4が事故によって溶融し始めて容器底を溶融させると、コリウムと呼ばれる、炉心、内張り材料、及び原子炉容器の或る要素とからなる混合物が床材11の上へ拡がる。厚さの大きい金属床11は溶融したコリウムを破壊されずに受け止め、基礎5を保護し、コリウムの冷却を保証することができる。
【0015】金属床11は12のような供給管を通って送られる水の循環によって冷却される。加熱された水や水蒸気は金属床11の流出口において導管13によって捕らえられ、交換器14内で冷却され、そして凝縮される。冷却水は導管12を通って金属床11の冷却路の中へ戻される。
【0016】従って、コリウムの冷却は、原子炉の安全格納容器の外側に配置された冷却装置の使用によって格納容器への水蒸気の放出なしに行われる。冷却回路の熱交換器14とタンク16は金属床11の水平な中間平面より上の高さに設置され、この高さは約25m程度であるのがよく、金属床11の冷却路中の圧力損失とほぼ同じ程度の大きさの供給管中の水頭の静圧を得ることを可能にする。」

イ 引用発明2
上記アによれば、炉心、内張り材料、及び原子炉容器の或る要素とからなる混合物であるコリウムの冷却が行われることが記載されているから、コリウムの冷却方法の発明が記載されていると認められる。したがって、引用文献2には以下の発明が記載されている。
「炉心、内張り材料、及び原子炉容器の或る要素とからなる混合物であるコリウムを冷却する、コリウムの冷却方法。」

(3)本件特許の優先日前に頒布された引用文献3には、下記アに示した事項が記載され、下記イの発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。
ア(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉圧力容器から出る炉心溶融物(核溶融物)を一時貯蔵するための捕集貯蔵所に関する。」

(イ) 「【0004】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために、冒頭に述べた捕集貯蔵所は、貯蔵所底が炉心溶融物用の捕集区域を形成する底凹部を備えていることを特徴としている。その際、本発明に従い、炉心溶融物が溢れる分離ウェブが底凹部の間に設けられている。本発明によれば、特別な輪郭を有する構造を付した貯蔵所底が得られ、この貯蔵所底は、流出し凝固した炉心溶融物を、約20?40年の冷却時間の後で、比較的に簡単な分離手段によって片(切片、部分)に分けることを可能にする。この片はその後、容易に包装され、最終貯蔵所を経て廃棄処理される。その意味においては、凝固した炉心溶融物の位置決めが行われる。炉心溶融物を分けることとそれに伴う位置決めは好ましくは、捕集区域に応じて行われる。なぜなら、捕集区域または底凹部の間に、従って分離ウェブの範囲内において、比較的に層厚の薄い、従って薄層範囲を有する凝固した炉心溶融物の連結ウェブが生じるからである。この連結ウェブは例えばレーザ切断、ダイヤモンド鋸、プラズマ焼き切り等のような特別な切断技術によって容易に分離可能である。そして、炉心溶融物の肉厚の片は、特別な掴み工具によって持上げられ、準備された包装体に挿入される。これに関連して、本発明では、分離兼掴み工具が捕集貯蔵所の天井に取付けられている。この分離兼掴み工具は、捕集区域の形状を知った上で、薄層状の各々の炉心溶融物部分のところで、必要な分離切断を行い、その結果生じる炉心溶融物片または炉心溶融物セグメントを取り出すことを可能にする。」

イ 引用発明3
上記アによれば、炉心溶融物に分離切断を行うことが記載されているから、炉心溶融物の分離切断方法の発明が記載されていると認められる。したがって、引用文献3には以下の発明が記載されている。
「特別な輪郭を有する構造を付した貯蔵所底が得られ、約20?40年の冷却時間の後に、薄層範囲を有する凝固した炉心溶融物を、分離切断によって炉心溶融物片または炉心溶融物セグメントにし、その後最終貯蔵所を経て廃棄処理する、炉心溶融物の分離切断方法。」

(4)本件特許の優先日前に頒布された引用文献4には、下記アに示した事項が記載され、下記イの発明(以下「引用発明4」という。)が記載されているものと認められる。
ア(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速炉または高速増殖炉における使用済核燃料からウラン・プルトニウム等を回収する再処理工場において、使用済核燃料に再処理を施す際に、使用済核燃料を細かくせん断して硝酸溶液または溶融塩に溶解する前処理方法およびこの方法を実施するための前処理装置の改良に関するものである。」

(イ)「【0023】上記のごとき構成の本発明の前処理装置の動作を述べるとともに、併せて本発明の前処理方法を説明する。図1の挿入部Aに縦方向に押し込まれた使用済燃料棒1は、その挿入下端が粉砕部B内で回転している回転ロータ3方向に押し付けられ、回転ロータ3外周の複数のせん断刃2によって、燃料棒1の被覆管はその内部の使用済燃料ペレットと共に、直径約3mm以下の粒状または粉状に粉砕される。本発明においては、従来のせん断により得られる直径約3cm程度のせん断物に比較して細かく粉砕する点が1つの特徴となっている。」

イ 引用発明4
「使用済核燃料に再処理を施すために、ウラン・プルトニウム等を回収する前に、使用済燃料棒の被覆管の内部の使用済燃料ペレットを、粉砕部内で回転している回転ロータ外周の複数のせん断刃により直径約3mm以下の粒状または粉状に粉砕する、使用済燃料棒の前処理方法。」

(5)本件特許の優先日前に頒布された引用文献5には、下記アに示した事項が記載され、下記イの発明(以下「引用発明5」という。)が記載されているものと認められる。
ア(ア)「【技術分野】
【0001】
この発明は、放射性廃棄物の処理方法に関する。より詳しくは、本発明は、放射線照射済グラファイト物質の処理方法、原子炉からの放射線照射済構造物質の処理方法、放射性廃棄物の処理方法、および使用済み核燃料要素の処理方法に関する。」

(イ)「【0007】
放射線照射済物質は、サイズ最大約3mmを有する粒子を含む微粒子状の放射線照射済物質へ粉砕されてもよい。放射線照射済物質を微粒子状の放射線照射済物質に粉砕する処理工程は、放射線照射済物質を破砕する処理工程を含んでもよい。代わりに、放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕する処理工程は、放射線照射済物質を液体媒体中に懸濁する処理工程、および放射線照射済物質を機械振動に付す処理工程を含んでもよい。振動は、低周波振動であってもよいし、高周波振動さらには超音波振動であってもよい。他の実施形態においては、放射線照射済物質は、高周波パルス電界(例えば「人工ライトニング」)により微粒子形態に粉砕されてもよい。さらに他の実施形態においては、放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕する処理工程は、放射線照射済物質を加熱する処理工程、および低温流体を加熱された放射線照射済物質の表面に供給する処理工程を含んでもよい。より詳しくは、低温流体は、液体ヘリウムであってもよい。液体ヘリウムは、加圧されてもよい。放射線照射済物質は、マイクロ波照射により加熱されてもよい。
【0008】
さらに他の実施形態においては、放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕する処理工程は、放射線照射済物質を温度約-250℃?約-270℃へ冷却する処理工程、およびその後放射線照射済物質を温度約180℃?約200℃へ急速に加熱する処理工程を含んでもよい。放射線照射済物質を冷却する処理工程は、放射線照射済物質を冷却流体中に温度約-250℃?約-270℃で浸漬する処理工程を含んでもよい。放射線照射済物質を急速に加熱する処理工程は、放射線照射済物質を温度約180℃?約200℃へ加熱された流体媒体中に浸漬する処理工程を含んでもよい。
【0009】
微粒子状の放射線照射済物質またはそれらの誘導体を流体中に懸濁する処理工程は、液体中の微粒子状の放射線照射済物質のエマルジョンを形成する処理工程を含んでもよい。液体は、乳化剤/界面活性剤によって提供されてもよい。商品名「エコール35N(EKOL35N)」として入手可能なものなどである。本方法は、エマルジョンを形成する前に、微粒子状の放射線照射済物質を約200℃へ加熱する処理工程を含んでもよい。典型的には、放射線照射済物質は、炭化樹脂によって結合された天然グラファイトおよび熱分解グラファイトを含むグラファイトを含んでもよい。炭化樹脂は、グラファイト結晶構造中の結合剤と同様に、乳化剤によって分解されてもよく、一方グラファイト粒子物質は、乳化剤の懸濁物中にある。
【0010】
これに替えて、微粒子状の放射線照射済物質またはそれらの誘導体を流体中に懸濁する処理工程は、微粒子状の放射線照射済物質を酸化剤(例えばフッ素または酸素ガスなど)の存在下に加熱して、微粒子状の放射線照射済物質の誘導体をガス状懸濁物中で得る処理工程を含んでもよい。例えば、炭素化合物である、グラファイト粒子の誘導体および/または炭素のガス状酸化生成物(COおよびCO_(2)など)である。微粒子状の放射線照射済物質は、加圧下で加熱されてもよい。」

(ウ)「【0025】
さらに他の方法においては、グラファイト物質は、処理工程12で、マイクロ波照射によりそれらを約600℃へ加熱し、同時に低温流体(加圧液体ヘリウムなど)を、例えばノズルからの噴霧によりグラファイト物質の表面へ供給することによって、微粒子形態に粉砕される。これは、迅速に、グラファイト物質の層を分解および「剥離」する効果を有する。この方法は、典型的には、反応器(原子炉)構造物質のグラファイトブロック、ならびに球状の核燃料要素および減速材要素の両方に対して用いられる。」

(エ)「【請求項1】
放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕して、該微粒子状の放射線照射済物質を得る処理工程、
微粒子状の放射線照射済物質またはそれら物質の誘導体を流体中に懸濁して、懸濁物を形成する処理工程、
懸濁された微粒子状の放射線照射済物質のサイズを低減する処理工程、および
その後、放射性同位元素を生物学的処理によって前記懸濁物から除去する処理工程
を含む、放射線照射済物質の処理方法。
【請求項2】
前記放射線照射済物質は、原子炉の構造要素、もしくは核燃料または減速材要素から誘導される物質を含む、請求項1に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項3】
前記放射線照射済物質はグラファイト物質を含む、請求項1または請求項2に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項4】
放射性同位元素を生物学的処理によって懸濁物から除去する前記処理工程は、微粒子状の放射線照射済物質を懸濁物から分離する処理工程、そのように分離された微粒子状の放射線照射済物質を水と混合してスラリーを得る処理工程、およびスラリーを生物学的に処理する処理工程を含む、請求項1?3のいずれか1項に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項5】
スラリーを生物学的に処理する前記処理工程は、該スラリーをバイオフィルターに通す処理工程を含む、請求項4に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項6】
前記スラリー中に存在する放射性同位元素のレベルを、該スラリーの生物学的処理後に測定する処理工程、および該レベルが所定の最大値を超える場合には、該スラリーをさらなる生物学的処理のために再循環する処理工程を含む、請求項4または請求項5に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項7】
懸濁された前記微粒子状の放射線照射済物質のサイズを低減する前記処理工程は、懸濁物中の微粒子をミリングまたはグラインディングする処理工程を含む、請求項4?6のいずれか1項に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項8】
前記放射線照射済物質が、そこに懸濁されるグラファイト物質および燃料粒子を含む核燃料要素から誘導される場合には、放射性同位元素を懸濁物から除去する前に、該燃料粒子を懸濁物から分離する処理工程を含む、請求項4?7のいずれか1項に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項9】
分離された前記燃料粒子に中性子照射して、核分裂性生成物のより短寿命種への核変換を誘導する処理工程を含む、請求項8に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項10】
前記照射される中性子は最大4eVのエネルギーを有する、請求項9に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項11】
前記核分裂性生成物による中性子吸収中に生成される熱を、後工程での処理または外部の処理で用いるために抽出する処理工程を含む、請求項9または請求項10に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項12】
放射線照射済物質を微粒子状の放射線照射済物質へ粉砕する前記処理工程は、該放射線照射済物質を破砕する処理工程を含む、請求項1?11のいずれか1項に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項13】
放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕する前記処理工程は、該放射線照射済物質を液体媒体中に懸濁する処理工程、および放射線照射済物質を機械振動に付す処理工程を含む、請求項1?11のいずれか1項に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項14】
前記振動は低周波振動である、請求項13に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項15】
前記振動は高周波振動である、請求項13に記載の放射線照射済物質の処理方法。
【請求項16】
放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕する前記処理工程は、高周波パルス電界を物質に印加する処理工程を含む、請求項1?11のいずれか1項に記載の放射線照射済物質の処理方法。」(14頁。平成18年6月15日付け手続補正により補正された特許求の範囲)

イ 引用発明5
「放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕して、該微粒子状の放射線照射済物質を得る処理工程、
微粒子状の放射線照射済物質またはそれら物質の誘導体を流体中に懸濁して、懸濁物を形成する処理工程、
懸濁された微粒子状の放射線照射済物質のサイズを低減する処理工程、および、
その後、放射性同位元素を生物学的処理によって前記懸濁物から除去する処理工程を含み、
前記放射線照射済物質は、原子炉の構造要素、もしくは核燃料または減速材要素から誘導される物質を含むとともにグラファイト物質を含み、
放射性同位元素を生物学的処理によって懸濁物から除去する前記処理工程は、微粒子状の放射線照射済物質を懸濁物から分離する処理工程、そのように分離された微粒子状の放射線照射済物質を水と混合してスラリーを得る処理工程、およびスラリーを生物学的に処理する処理工程を含み、
懸濁された前記微粒子状の放射線照射済物質のサイズを低減する前記処理工程は、懸濁物中の微粒子をミリングまたはグラインディングする処理工程を含み、
放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕する前記処理工程は、高周波パルス電界を物質に印加する処理工程を含む、放射線照射済物質の処理方法。」

(6)本件特許の優先日前に頒布された引用文献6には、下記アに示した事項が記載され、下記イの発明(以下「引用発明6」という。)が記載されているものと認められる。
ア(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属廃棄物処理方法及び装置に関するものである。」

(イ)「【0030】溶融炉2により金属部材5を加熱したうえ、開閉弁10,16,21,26を開き、開閉弁7,12,18を閉じた状態にすると、酸化ガス充填容器23から吐出される酸化ガスOが、酸化ガス送給管27を経て溶融炉2内へ流入する。
【0031】これにより、金属部材5の表面に付着しているウラン及びプルトニウムと、金属部材5の表層部が酸化され、金属部材5から放射性物質が取り除かれることになる。
【0032】次いで、冷却管9に冷却媒体を流通させ、開閉弁6,10,16,21を開き、開閉弁12,18,26を閉じた状態にすると、溶融炉2内で金属部材5が溶融し、ハロゲンガス充填容器1から吐出されるハロゲンガスG_(1)が、ハロゲンガス送給管7を経て溶融炉2内へ流入する。
【0033】これにより、溶融炉2内のウラン酸化物及びプルトニウム酸化物とハロゲンガスG_(1)とが反応して、ガス状のハロゲン化ウラン及びハロゲン化プルトニウムG_(2)、すなわち、UF_(5)及びUF_(6)などのフッ化ウラン、あるいはUC_(L6)のような塩化ウランが生成される。
【0034】また、ガス状のハロゲン化ウラン及びハロゲン化プルトニウムが生成されるときには、ウラン及びプルトニウム以外の物質もハロゲンガスG_(1)と反応するが、ウラン及びプルトニウム以外の物質では、その表面にハロゲン化物の被膜が形成される程度の反応に留まる。」

(ウ)「【0039】これにより、前記のハロゲンガスG_(1)と反応しなかった残余のウラン及びプルトニウムや、酸化ガスOによって酸化した金属部材5の表層部がスラグ剤8に取り込まれ、溶融金属の除染が完了する。」

(エ)「【0044】このように、図1に示す金属廃棄物処理装置においては、ハロゲンガスG_(1)とウラン酸化物及びプルトニウム酸化物とからガス状のハロゲン化ウラン及びハロゲン化プルトニウムG_(2)を生成させて、金属部材5の表面に付着していたウラン及びプルトニウムのほとんどを取り除き、溶融させた金属部材5にスラグ剤8を添加して、ハロゲン化物にならなかった残余のウラン及びプルトニウムと金属部材5の酸化物とをスラグ剤8中に取り込むので、金属廃棄物の除染を効果的に行うことができ、スラグ剤8を除去することにより、金属廃棄物の再利用を図ることが可能になる。」

イ 引用発明6
「溶融炉により金属部材の表面に付着しているウラン及びプルトニウムを加熱した上で、酸化し次いでハロゲン化することによりガス状のハロゲン化ウラン及びハロゲン化プルトニウムを生成する、ウラン及びプルトニウムの除染方法。」

なお、引用文献7は、引用文献1が本件特許の優先日前に頒布されたことを証左する書面として提出されたJAEA(日本原子力研究開発機構)図書館所蔵レポートリストである。

第5 当審の判断
取消理由についての検討
本件訂正前の請求項1ないし10は、平成29年6月19日付けの訂正請求により削除されたので、本件訂正発明11について以下に検討する。
1 理由1について
(1)本件訂正発明11の技術的意義
本件訂正発明11の技術的意義を発明の詳細な説明を参酌して検討する。
ア 本件訂正発明11の技術的意義に関して、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
(ア)「【0012】
燃料デブリは、上述の様に核燃料物質、核分裂生成物、マイナーアクチニド等の核燃料成分以外に、燃料被覆管、チャンネルボックス、制御棒、炉内構造物、炉外構造物、コンクリート等の不純物を破損状態、溶融状態またはこれらの混合物状態で含む不均質な塊状体または粒状体になっており、核物質の計量管理、燃料デブリの安全・安定な保管・処理・処分が困難である。」
(イ)「【0018】
本発明においては、破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、破損あるいは溶融した核燃料を含む燃料デブリを物理的、化学的処理により粉体化し、特に核燃料成分以外の燃料被覆管、チャンネルボックス、制御棒、炉内構造物、炉外構造物、コンクリート等の不純物を含む不均質な塊状体・粒状体を粉体化して均質化し、次工程における計量管理、保管、処理、処分を可能化し、容易化する。」
(ウ)「【0019】
この際、燃料デブリに熱処理、ハロゲン化処理等を行うことにより、あるいは燃料デブリ中の不純物成分の酸化還元処理を行うことにより、比較的容易に燃料デブリを粉体化することができる。」
(エ)「【0022】
本発明によれば、破損あるいは溶融した核燃料物質、核分裂生成物、核燃料被覆管、制御棒などを含む燃料デブリを、物理化学的に処理することにより、不均質で塊状の燃料デブリを均質な粉体に変換でき、燃料デブリの次工程における計量管理、保管、処理、処分を可能化し、容易化することができる。」
(オ)「【0025】
図1は、実施例1の燃料デブリの基本的な処理方法を示す処理工程図である。
【0026】
実施例1は本発明の最も代表的な実施形態を示す。図1において、燃料デブリは熱処理によって粉体化される。
【0027】
すでに述べたように、燃料デブリ中には、破損あるいは溶融状態にあるウラン、プルトニウム等の核燃料物質、セシウム、ストロンチウム等の核分裂生成物、中性子吸収により生成するネプツニウム、アメリシウム等のマイナーアクチニド等の核燃料成分の他に、ジルカロイ等の燃料被覆管材料及びチャンネルボックス材料、SUS及びB_(4)C等の制御棒材料、炉心構造材等の原子炉構造体が不純物として含まれている。また、コンクリート等が不純物として不均質な状態で含まれている。
【0028】
燃料デブリは、上述の様に主にセラミックス系物質から形成される。粉体化の原理は、燃料デブリの上記構成成分毎に熱膨張係数が異なるため、成分境界にクラックが発生し分離されて粉体化することを利用するものである。」

イ 以上アの摘記事項によれば、
(ア)燃料デブリは、燃料被覆管、チャンネルボックス、制御棒、炉内構造物、炉外構造物、コンクリート等の不純物を混合物状態で含む不均質な塊状体または粒状体になっており、計量管理、保管・処理・処分が困難であること
(イ)本発明においては、燃料デブリを物理的、化学的処理により粉体化して均質化し、計量管理、保管、処理、処分を容易化すること
(ウ)燃料デブリを粉体化する上記物理的、化学的処理の具体的手段として、熱処理、ハロゲン化処理等が挙げられていること
が理解できる。そして、
(エ)熱処理による粉体化の原理は、構成成分毎に異なる熱膨張係数の差を利用し、成分境界にクラックを発生させて分離させることにある
ことを踏まえると、熱処理のみにより全ての燃料デブリを粉体化できないであろうことも当業者は理解し得る。
してみると、本件訂正発明11の技術的意義は、「熱処理、機械的破砕処理、電気的破砕処理、酸化処理、還元処理、及び、ハロゲン化処理」のうち、粉体化に寄与する何れかの処理、または、前記各処理を組み合わせることにより、「不均質な塊状体または粒状体になって」いる燃料デブリを粉体化して均質化し、計量管理、保管、処理、処分へ供給することにあるものと解される。
上記意義を踏まえて、以下理由1について検討する。

(2)上記本件訂正発明11の技術的意義を踏まえると、本件訂正発明11は、熱処理のみ、酸化処理のみ、還元処理のみ、あるいは、ハロゲン化処理のみで燃料デブリを粉体化するのではなく、「熱処理、機械的破砕処理、電気的破砕処理、酸化処理、還元処理、及び、ハロゲン化処理」のうち、粉体化に寄与する何れかの処理、または、前記各処理を組み合わせることにより、「不均質な塊状体または粒状体になって」いる燃料デブリを粉体化するものであると解される。
そうすると、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者の技術常識を踏まえれば、本件訂正発明11に関して、当業者が実施可能な程度に記載されているものと認められ、熱処理のみ、酸化処理のみ、還元処理のみ、あるいは、ハロゲン化処理のみで燃料デブリを粉体化することが実施不可能である旨の理由1は理由がない。

(3)したがって、上記「第4」「1」「(1)」「ア」「(ア)」、「(イ)」、「(エ)」及び「(1)」「イ」に係る理由は理由がない。

なお、上記「第4」「1」「(1)」「ア」「(ウ)」に係る理由については、請求項6及び8が削除された。

(4)したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、上記「第4」「1」「(1)」に係る不備はなく、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。

2 理由2について
(1)上記「第4」「1」「(2)」「ア」に係る理由について
上記「1」のとおり、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、当業者の技術常識を踏まえれば、本件訂正発明11に関して、当業者が実施可能な程度に記載されているものと認められる。
してみると、発明の詳細な説明の記載不備を根拠とする特許請求の範囲の記載不備(特許法第36条第6項第1号及び同第2号違反)は、その前提を欠くから理由がない。

(2)上記「第4」「1」「(2)」「イ」に係る理由について
ア 本件特許における「粉体化」の意義について
(ア)本件特許の発明の詳細な説明には、下記の記載がある。
「【0012】
燃料デブリは、上述の様に核燃料物質、核分裂生成物、マイナーアクチニド等の核燃料成分以外に、燃料被覆管、チャンネルボックス、制御棒、炉内構造物、炉外構造物、コンクリート等の不純物を破損状態、溶融状態またはこれらの混合物状態で含む不均質な塊状体または粒状体になっており、核物質の計量管理、燃料デブリの安全・安定な保管・処理・処分が困難である。
・・・
【0015】
また、計量管理(分析)や安定保管・処理・処分の目的で燃料デブリを溶解しようとする場合には、非特許文献1に示されているようにフッ酸や王水等の強力な酸を使わないと溶解できない。しかし、これらの強力な酸を添加すると容器や装置の腐食等後処理に影響を及ぼすため好ましい方法ではなく、比較的簡単な方法を用いて燃料デブリを均質化し、計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できるようにすることが重要な課題となっている。
【0016】
さらに、非特許文献2には使用済PWR燃料そのものを酸化還元して粉体化することが示されているが、溶融した燃料デブリについての言及はない。
【0017】
本発明の目的は、燃料デブリにおいて、燃料デブリに含まれる破損あるいは溶融した核燃料の正確な計量管理、安全・安定な保管・処理・処分を可能とし、容易にする破損あるいは溶融した核燃料の前処理方法を提供することである。」

(イ)上記(ア)によれば、「計量管理、安全・安定な保管・処理・処分」の目的で、燃料デブリを強力な酸を使って溶解して均質化する方法は「好ましい方法ではな」いところ、燃料デブリを粉体化して均質化することにより、「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できるようにする」ものと解される。

(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、粉体化の程度(粒径)は、「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」程度に均質化できる程度(粒径)であると認められる。
したがって、請求項に粉体化の程度(粒径)が記載されていなくても、当業者にとって不明確であるとまでは言えない。

(3)上記「第4」「1」「(2)」「ウ」に係る理由について
上記「1」のとおり、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、当業者の技術常識を踏まえれば、本件訂正発明11に関して、当業者が実施可能な程度に記載されているものと認められる。
してみると、発明の詳細な説明の記載不備を根拠とする特許請求の範囲の記載不備(特許法第36条第6項第1号違反)は、その前提を欠くから理由がない。


(4)したがって、本件特許は、特許請求の範囲の記載に、取消理由通知書で指摘された上記「第4」「1」「(2)」に係る不備はなく、特許法第36条第6項第1号及び同項第2号に規定する要件を満たしている。

3 理由3及び理由4について
(1)本件訂正発明11と引用発明1の対比・判断
ア 本件訂正発明11と引用発明1とを対比する。
引用発明1における「炉心の溶融中心領域にある(U,Zr)O_(2)、Zr、Fe及びCrの混合物である合成コリウム」、「還元」及び「合成コリウムの還元方法」は、本件訂正発明11の「溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリ」、「還元処理」及び「溶融した核燃料の処理方法」にそれぞれ相当するから、
両者は、
「溶融した核燃料の処理方法において、溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリを、還元処理する、溶融した核燃料の処理方法。」
である点で一致し、下記点で相違する。

・本件訂正発明11の「還元処理」は、それにより粉体化するものであり、また、本件訂正発明11は、「前記燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」のに対して、引用発明1の「還元」は合成コリウムを粉体化するとは特定されず、また、引用発明1は、合成コリウムを還元処理後に、長期保存と処分をすることを想定するものの、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給するとまでは特定されない点(以下「相違点1」という)。

イ 判断
上記相違点1について検討する。
引用発明1の「還元処理」に関して、引用文献1には、
「電子冶金処理技術には2つの明確なステージがある。一つはアクチニドを含む酸化物を金属に還元させるステージである。アクチニド酸化物は、650℃の溶融LiCl中に溶解されたLiを用いて還元され、対応する金属とLi_(2)Oを生成する。この還元ステップからの金属生成物は、電解精製として知られている第2ステージの処理工程への供給物質となる。」(上記「第4」「3」「(1)」「ア」「(ア)」)。
「模擬TMI-2デブリスの最初の工業的規模の還元は、1996年9月に行われた。この実験の第1段階では、77KgのLiCl中で30時間の間、4Kgの合成コリウムを還元させた。続いて被覆燃料ペレットの還元が行われた。ここでは2.5Kgのステンレス鋼の被覆UO_(2)燃料棒を1-cmの長さに切断し、47時間の間還元させた。」(上記「第4」「3」「(1)」「ア」「(カ)」)
と記載されていることに照らして、引用発明1における合成コリウムの還元は「溶融還元」しその後「長期保存と処分をすることを想定するもの」である。
したがって、引用発明1における合成コリウムの還元は、粉体化することにより「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」との課題は想定されない。
さらに、引用発明1において、「溶融還元」に変えて、還元により合成コリウムを粉体化し均質化することにより「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」ものとなすことも想定されない。
してみると、本件訂正発明11は、引用発明1ではなく、また、当業者が引用発明1に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)本件訂正発明11と引用発明2の対比・判断
ア 本件訂正発明11と引用発明2とを対比する。
引用発明2における「炉心、内張り材料、及び原子炉容器の或る要素とからなる混合物であるコリウム」、「冷却」、「コリウムの冷却方法」は、本件訂正発明11の「溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリ」、「熱処理」及び「溶融した核燃料の処理方法」にそれぞれ相当する。
してみると、両者は、
「溶融した核燃料の処理方法において、溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリを、熱処理する、溶融した核燃料の処理方法。」
である点で一致し、下記点で相違する。

・本件訂正発明11の「熱処理」は、それにより燃料デブリを粉体化するものであり、また、本件訂正発明11は、「前記燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」のに対して、引用発明2の「冷却」はコリウムを粉体化するとは特定されず、また、引用発明2は、コリウムを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給するとは特定されない点(以下「相違点2」という)。

イ 判断
上記相違点2について検討する。
引用発明2の「熱処理」に関して、引用文献2には、「【0014】炉心4と容器底の溶融に関して、本発明による冷却保護装置の機能を下に詳しく説明する。概要としては、原子炉の炉心4が事故によって溶融し始めて容器底を溶融させると、コリウムと呼ばれる、炉心、内張り材料、及び原子炉容器の或る要素とからなる混合物が床材11の上へ拡がる。厚さの大きい金属床11は溶融したコリウムを破壊されずに受け止め、基礎5を保護し、コリウムの冷却を保証することができる。
【0015】金属床11は12のような供給管を通って送られる水の循環によって冷却される。加熱された水や水蒸気は金属床11の流出口において導管13によって捕らえられ、交換器14内で冷却され、そして凝縮される。冷却水は導管12を通って金属床11の冷却路の中へ戻される。
【0016】従って、コリウムの冷却は、原子炉の安全格納容器の外側に配置された冷却装置の使用によって格納容器への水蒸気の放出なしに行われる。冷却回路の熱交換器14とタンク16は金属床11の水平な中間平面より上の高さに設置され、この高さは約25m程度であるのがよく、金属床11の冷却路中の圧力損失とほぼ同じ程度の大きさの供給管中の水頭の静圧を得ることを可能にする。」(上記「第4」「3」「(2)」「ア」「(イ)」)
と記載されていることに照らして、引用発明2におけるコリウムの冷却は「冷却水」による「冷却」である。
したがって、引用発明2における、「冷却水」による「冷却」は、「溶融したコリウムを破壊されずに受け止め」るための冷却であるから、「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」との課題は想定されず、引用発明2において、「冷却水」によりコリウムを冷却することに代えて、「冷却水」によりコリウムを粉体化し均質化することにより「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」ものとなすことは想定されない。
してみると、本件訂正発明11は、引用発明2ではなく、また、当業者が引用発明2に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)本件訂正発明11と引用発明3の対比・判断
ア 本件訂正発明11と引用発明3とを対比する。
引用発明3における「炉心溶融物」、「分離切断」及び「炉心溶融物の分離切断方法」は、本件訂正発明11の「溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリ」、「機械的」に「処理」及び「溶融した核燃料の処理方法」にそれぞれ相当するから、両者は
「溶融した核燃料の処理方法において、溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリを、機械的に処理する、溶融した核燃料の処理方法。」
である点で一致し、下記各点で相違する。

・本件訂正発明11の「機械的破砕処理」は、それにより粉体化するものであり、また、本件訂正発明11は、「前記燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」のに対して、引用発明3の「分離切断」は、炉心溶融物を炉心溶融物片または炉心溶融物セグメントにするものであり、また、引用発明3は、炉心溶融物を炉心溶融物片または炉心溶融物セグメントにした後に、最終貯蔵所を経て廃棄処理するが、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給するとまでは特定されない点(以下「相違点3」という)。

イ 判断
上記相違点3について検討する。
引用発明3の「機械的」な「処理」は、約20?40年の冷却時間の後に、分離切断によって炉心溶融物片または炉心溶融物セグメントにし、その後最終貯蔵所を経て廃棄処理する発明であって、「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」との課題は想定されない。
したがって、引用発明3は、約20?40年の冷却時間の後に、分離切断によって炉心溶融物片または炉心溶融物セグメントにし、その後最終貯蔵所を経て廃棄処理するものであって、分離切断によって炉心溶融物片または炉心溶融物セグメントにし、その後最終貯蔵所を経て廃棄処理するところ、本件訂正発明11のように炉心溶融物を粉体化し均質化することにより「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」ものとなすことまでは想定されない。
してみると、本件訂正発明11は、引用発明3ではなく、また、当業者が引用発明3に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(4)本件訂正発明11と引用発明4の対比・判断
ア 本件訂正発明11と引用発明4とを対比する。
引用発明4における「使用済燃料棒の被覆管の内部の使用済燃料ペレット」、「粉砕部内で回転している回転ロータ外周の複数のせん断刃により直径約3mm以下の粒状または粉状に粉砕」、「直径約3mm以下の粒状または粉状」及び「使用済燃料棒の前処理方法」は、本件訂正発明11の「核燃料」、「機械的破砕処理」、「粉体化」及び「核燃料の処理方法」にそれぞれ相当するから、両者は
「核燃料の処理方法において、核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分を、機械的破砕処理により粉体化する核燃料の処理方法。」
である点で一致し、下記点で相違する。

・本件訂正発明11の「機械的破砕処理」は、「破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる」「燃料デブリ」は、それにより粉体化するものであり、また、本件訂正発明11は「前記燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」「破損あるいは溶融した核燃料の処理方法」であるのに対して、引用発明4の「粉砕」は、「使用済燃料棒の被覆管の内部の使用済燃料ペレット」を「直径約3mm以下の粒状または粉状」にする発明であって、「直径約3mm以下の粒状または粉状」とする対象が相違し、また、引用発明4は、「使用済燃料棒の被覆管の内部の使用済燃料ペレット」を「直径約3mm以下の粒状または粉状」にした後にウラン・プルトニウム等を回収して使用済核燃料に再処理を施すものであって、「均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」とはされない点(以下「相違点4」という)

イ 判断
上記相違点4について検討する。
引用発明4の「粉砕」は「使用済燃料棒の被覆管の内部の使用済燃料ペレット」を「直径約3mm以下の粒状または粉状」にする発明であるから、「破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる」「燃料デブリ」を「直径約3mm以下の粒状または粉状」にすることは想定されず、また、ウラン・プルトニウム等を回収して使用済核燃料に再処理を施すものであるから、「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」との課題は想定されない。
また、引用文献1?3、5?6をみても、「燃料デブリを粉体化する」こと、及び、「燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」ことが周知事項であったとはいえず、また、「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」との課題が周知事項であったともいえず、当該事項が周知事項であったことを示す証拠は示されていないから、「使用済燃料棒の被覆管の内部の使用済燃料ペレット」を「粉砕」した「後にウラン・プルトニウム等を回収して使用済核燃料に再処理を施す」引用発明4において、「燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」ことにより「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」ものとなすことまでが容易に想到し得たことであるとすることはできない。
してみると、本件訂正発明11は、当業者が引用発明4に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(5)本件訂正発明11と引用発明5の対比・判断
ア 本件訂正発明11と引用発明5とを対比する。
引用発明5における
「放射線照射済物質は、原子炉の構造要素、もしくは核燃料または減速材要素から誘導される物質を含み、前記放射線照射済物質はグラファイト物質を含み」、「懸濁された前記微粒子状の放射線照射済物質のサイズを低減する前記処理工程は、懸濁物中の微粒子をミリングまたはグラインディングする処理工程を含み、放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕する前記処理工程は、高周波パルス電界を物質に印加する処理工程を含む」、「放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕して、該微粒子状の放射線照射済物質を得る処理工程」及び「放射線照射済物質の処理方法」は、本件訂正発明11の「核燃料物質と、制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる物」、「熱処理及び電気的破砕処理により」、「粉体化」及び「核燃料の処理方法」にそれぞれ相当するから、両者は
「核燃料の処理方法において、核燃料物質と制御棒と原子炉構造体からなる物を、熱処理及び電気的破砕処理により粉体化する、核燃料の処理方法。」
である点で一致し、下記点で相違する。

・本件訂正発明11の「核燃料の処理方法」は、「破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリ」を、それにより粉体化するものであり、また、本件訂正発明11は、「前記燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」のに対して、引用発明5の「放射線照射済物質の処理方法」は、「原子炉の構造要素、もしくは核燃料または減速材要素から誘導される物質を含み」、「グラファイト物質を含」む「放射線照射済物質」を「高周波パルス電界を物質に印加する処理工程」により「放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕する」とともに、「微粒子状の放射線照射済物質またはそれら物質の誘導体を流体中に懸濁して、懸濁物を形成」した後、「懸濁物中の微粒子をミリングまたはグラインディングする処理工程」により「懸濁された前記微粒子状の放射線照射済物質のサイズを低減する」ものであって、「破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリ」を粉体化するとは特定されず、また、引用発明5は、「懸濁された前記微粒子状の放射線照射済物質のサイズを低減」した後に、「均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」とは特定されない点(以下「相違点5」という)。

イ 判断
上記相違点5について検討する。
引用発明5の「粉砕」は「原子炉の構造要素、もしくは核燃料または減速材要素から誘導される物質を含み」、「グラファイト物質を含」む「放射線照射済物質」を「高周波パルス電界を物質に印加する処理工程」により「放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕する」とともに、「微粒子状の放射線照射済物質またはそれら物質の誘導体を流体中に懸濁して、懸濁物を形成」した後、「懸濁物中の微粒子をミリングまたはグラインディングする処理工程」により「懸濁された前記微粒子状の放射線照射済物質のサイズを低減する」発明であるから、「破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリ」を「高周波パルス電界を物質に印加する処理工程」により「放射線照射済物質を微粒子形態に粉砕する」とともに、「微粒子状の放射線照射済物質またはそれら物質の誘導体を流体中に懸濁して、懸濁物を形成」した後、「懸濁物中の微粒子をミリングまたはグラインディングする処理工程」により「懸濁された前記微粒子状の放射線照射済物質のサイズを低減する」ことは想定されず、また、「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」との課題は想定されない。
また、引用文献1?4、6をみても、「燃料デブリを粉体化する」こと、及び、「燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」ことが周知事項であったとはいえず、また、「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」との課題が周知事項であったともいえず、当該事項が周知事項であったことを示す証拠は示されていないから、「原子炉の構造要素、もしくは核燃料または減速材要素から誘導される物質を含み」、「グラファイト物質を含」む「放射線照射済物質」を「粉砕」する引用発明5において、「燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」ことにより「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」ものとなすことまでが容易に想到し得たことであるとすることはできない。
してみると、本件訂正発明11は、当業者が引用発明5に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

(6)本件訂正発明11と引用発明6の対比・判断
ア 本件訂正発明11と引用発明6とを対比する。
引用発明6における「溶融炉の金属部材の表面に付着しているウラン及びプルトニウム」及び「加熱したうえ酸化し次いでハロゲン化する」は、本件訂正発明11の「溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分」及び「熱処理、酸化処理及びハロゲン化処理」にそれぞれ相当する。
しかしながら、本件訂正発明11の「溶融した核燃料の処理方法」は、「破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリ」を、それにより粉体化するものであり、また、本件訂正発明11は、「前記燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」のに対して、引用発明6の「ウラン及びプルトニウムの除染方法」は、「溶融炉の金属部材の表面に付着しているウラン及びプルトニウム」から「ガス状のハロゲン化ウラン及びハロゲン化プルトニウムを生成する」ものであって、「破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリ」を粉体化するとは特定されず、また、引用発明6は、「除染」するものであって、「ガス状のハロゲン化ウラン及びハロゲン化プルトニウムを生成」した後に、「均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」とは特定されない点(以下「相違点6」という)

イ 判断
上記相違点6について検討する。
引用発明6は、「溶融炉の金属部材の表面に付着しているウラン及びプルトニウム」から「ガス状のハロゲン化ウラン及びハロゲン化プルトニウムを生成する」ものであって、「破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリ」を、「粉体化」することは想定されず、また、「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」との課題は想定されない。
また、引用文献1?5をみても、「燃料デブリを粉体化する」こと、及び、「燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」ことが周知事項であったとはいえず、また、「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」との課題が周知事項であったともいえず、当該事項が周知事項であったことを示す証拠は示されていないから、「溶融炉の金属部材の表面に付着しているウラン及びプルトニウム」を「燃料デブリ」となした上で、「ガス状」に変えて「粉体化」した後に、「均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給する」ことにより「計量管理と後処理を容易化すること、および安全・安定に保管・処理・処分できる」ものとなすことまでが容易に想到し得たことであるとすることはできない。
してみると、本件訂正発明11は、当業者が引用発明6に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

4 小括
よって、当審が通知した取消理由はいずれも理由がない。
また、本件訂正発明11に関して、当審が通知した取消理由以外の異議申立て理由はない。

第6 結び
以上のとおりであるから、取消理由及び異議申立ての理由によっては、本件訂正発明11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正発明11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件訂正前の請求項1ないし10は、本件訂正請求により削除されたので、請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てを却下する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】(削除)
【請求項7】(削除)
【請求項8】(削除)
【請求項9】(削除)
【請求項10】(削除)
【請求項11】
破損あるいは溶融した核燃料の処理方法において、破損あるいは溶融した核燃料物質と核分裂生成物を含む核燃料成分と、核燃料被覆管と制御棒と原子炉構造体を含む不純物からなる燃料デブリを、熱処理、機械的破砕処理、電気的破砕処理、酸化処理、還元処理、及び、ハロゲン化処理の少なくとも何れか一つの処理により粉体化し、前記燃料デブリを粉体化後に、均質化して計量管理・保管・処理・処分工程を含む次工程へ供給することを特徴とする破損あるいは溶融した核燃料の処理方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-09-26 
出願番号 特願2013-36552(P2013-36552)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (G21F)
P 1 651・ 537- YAA (G21F)
P 1 651・ 121- YAA (G21F)
P 1 651・ 536- YAA (G21F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤本 加代子  
特許庁審判長 小松 徹三
特許庁審判官 松川 直樹
森林 克郎
登録日 2016-07-01 
登録番号 特許第5961572号(P5961572)
権利者 日立GEニュークリア・エナジー株式会社
発明の名称 破損あるいは溶融した核燃料の処理方法  
代理人 ポレール特許業務法人  
代理人 ポレール特許業務法人  

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