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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  G09F
審判 全部無効 特36条4項詳細な説明の記載不備  G09F
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G09F
管理番号 1334608
審判番号 無効2016-800113  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-09-30 
確定日 2017-11-13 
事件の表示 上記当事者間の特許第5572672号発明「2次元配列LED照明の製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5572672号の請求項に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯

本件無効審判の請求に係る特許第5572672号(以下「本件特許」という。)の手続の経緯の概要は、以下のとおりである

平成24年6月27日 本件出願(特願2012-144788号)
平成26年7月4日 設定登録(特許第5572672号)
平成28年9月30日 本件無効審判請求
平成29年3月14日 書面審理通知書

なお、平成28年10月19日付けで無効審判請求書副本の送付通知を行い、被請求人に対し答弁を求めたが、答弁書は提出されなかった。

第2 本件特許発明

本件特許の請求項1ないし4に係る発明(以下、各請求項に係る発明を「本件特許発明1」ないし「本件特許発明4」といい、これらを総称して「本件特許発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

「【請求項1】
屋外に設置され且つ設置される現地において組み立てられる大型内照式サインを照明するための、2次元配列LED照明の製造方法であって、
当該2次元配列LED照明は複数の大型の基板を組み合わせたものであり、
当該大型の基板上には、
複数のLED素子と、
当該複数のLED素子を複数のグループに分け、当該複数のグループごとに上記LED素子を直列に接続する良導体金属で形成された素子間配線と、
上記直列に接続された上記LED素子の各グループの一方の端に接続される良導体金属で形成された正電極と、
上記直列に接続された上記LED素子の各グループの他方の端に接続される良導体金属で形成された負電極と、
を有し、
上記素子間配線、上記正電極、および上記負電極は、外周部に切れ刃を有する回転切削工具を平面内2軸方向に移動可能な制御機構を備えたルータ加工機を用いて、1枚の良導体金属膜を基板に至るまで切削加工することにより形成される
ことを特徴とする2次元配列LED照明の製造方法。
【請求項2】
前記大型の基板は、一片の長さが1mを越えるものである
ことを特徴とする請求項1に記載の2次元配列LED照明の製造方法。
【請求項3】
前記良導体金属は、銅の表面に金薄膜を形成した
ことを特徴とする請求項1または2に記載の2次元配列LED照明の製造方法。
【請求項4】
前記大型の基板は、アルミ複合板である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の2次元配列LED照明の製造方法。」

第3 請求人の主張及び証拠方法

請求人は、「特許第5572672号発明の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めている。無効理由の概要は、以下の1ないし4のとおりである。

1.本件特許発明1ないし4は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証の1ないし甲第6号証の2の記載に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、特許出願前に容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第123条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである(以下「無効理由1」という。)、というものであり、詳細は以下のとおりである。

(1)本件特許発明1について(請求書第33ページ第20行?第44ページ第21行)
本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証の1ないし3に記載された周知技術、並びに、甲第3号証の1ないし20及び甲第4号証の1ないし14により本件出願前に公知になったことが証明された発明を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものである。
または、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証の1ないし3に記載された周知技術、及び、甲第5号証の1ないし4に記載された発明を適用して、または、さらに甲第3号証の1ないし20により本件出願前に公知になったことが証明された発明を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件特許発明2について(請求書第44ページ第22行?第45ページ第10行)
本件特許発明2は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証の1ないし3に記載された周知技術、並びに、甲第3号証の1ないし20及び甲第4号証の1ないし14により本件出願前に公知になったことが証明された発明を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものである。
または、本件特許発明2は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証の1ないし3に記載された周知技術、及び、甲第5号証の1ないし4に記載された発明を適用して、または、さらに甲第3号証の1ないし20により本件出願前に公知になったことが証明された発明を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件特許発明3について(請求書第45ページ第11?18行)
本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証の1ないし3に記載された周知技術、甲第3号証の1ないし20及び甲第4号証の1ないし14により本件出願前に公知になったことが証明された発明、並びに、甲第6号証の1に記載された発明を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものである。
または、本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証の1ないし3に記載された周知技術、甲第5号証の1ないし4に記載された発明、及び、甲第6号証の1に記載された発明を適用して、または、さらに甲第3号証の1ないし20により本件出願前に公知になったことが証明された発明を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本件特許発明4について(請求書第45ページ第19行?第47ページ第12行)
本件特許発明4は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証の1ないし3に記載された周知技術、甲第3号証の1ないし20及び甲第4号証の1ないし14により本件出願前に公知になったことが証明された発明、甲第6号証の1に記載された発明、並びに、甲第6号証の2及び甲第5号証の3に記載された周知技術を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものである。
または、本件特許発明4は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証の1ないし3に記載された周知技術、甲第5号証の1ないし4に記載された発明、甲第6号証の1に記載された発明、並びに、甲第6号証の2及び甲第5号証の3に記載された周知技術を適用して、または、さらに甲第3号証の1ないし20により本件出願前に公知になったことが証明された発明を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2.本件特許発明1ないし4は明確でないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、その特許は同法第123条第1項第4号の規定に該当し、無効とすべきものである(請求書第47ページ第13行?第49ページ第15行。以下「無効理由2」という。)。

3.本件特許の発明の詳細な説明は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、その特許は同法第123条第1項第4号の規定に該当し、無効とすべきものである(請求書第49ページ第16行?第50ページ第7行。以下「無効理由3」という。)。

4.本件特許発明1ないし4は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、その特許は同法第123条第1項第4号の規定に該当し、無効とすべきものである(請求書第第50ページ第8?13行。以下「無効理由4」という。)。

また、上記無効理由を立証するための証拠方法は、以下のとおりである。

(証拠方法)
[書証]
甲第1号証:特開2007-33662号公報
甲第2号証の1:特開2004-191578号公報
甲第2号証の2:特開2008-268718号公報
甲第2号証の3:特開2010-44900号公報
甲第3号証の1:「京都高島屋 エスティーローダー」図面
甲第3号証の2:「京都高島屋 アラミス」図面
甲第3号証の3:「PROUD」図面
甲第3号証の4:「NARITA JDS Estee Lauder」図面
甲第3号証の5:「心斎橋大丸 ARAMIS」図面
甲第3号証の6:「そば処 吉野家」図面
甲第3号証の7:「UNO」図面
甲第3号証の8:「名古屋松坂屋 エスティーローダー」図面
甲第3号証の9:「PET PARADISE」図面
甲第3号証の10:「JR名古屋高島屋 DE LA MER」図面
甲第3号証の11:「保険見直し本舗井関」図面
甲第3号証の12:「福岡博多ターミナル エスティーローダー」図面
甲第3号証の13:「横浜高島屋 エスティーローダー」図面
甲第3号証の14:「成田JDS エスティーローダー」図面
甲第3号証の15:審判請求人の実施する照明装置の説明図(請求人が作成した書面)
甲第3号証の16:山下マテリアル株式会社から株式会社エス・アイ・エスに宛てた2011年10月11日付けの仮納品書
甲第3号証の17:「1.銅基板」と題する文書
甲第3号証の18:日本製図器工業株式会社から株式会社エス・アイ・エスに宛てた訪問日2011/10/19、2011/11/18、H23.10.12、2011.12.28及び2012.2.13のサービス報告書兼納品書
甲第3号証の19:日本製図機器工業株式会社のウェブページ(URL:http://nsksystem.co.jp/product/axyz/index.html、http://nsksystem.co.jp/product/axyz/options.html、http://nsksystem.co.jp/product/axyz/spec.html)の印刷物(出力日2016年9月29日)
甲第3号証の20:審判請求人の実施する照明装置の見本写真(請求人が作成した書面)
甲第4号証の1:「コベルコ 箱文字」図面
甲第4号証の2:「SANYO DENKI 箱文字」図面
甲第4号証の3:「Beans 箱文字」図面
甲第4号証の4:「市川駅前ビル アクティオーレ」図面
甲第4号証の5:「二子玉川 箱文字」図面
甲第4号証の6:「Beans」図面
甲第4号証の7:「Sakagami」図面
甲第4号証の8:「東京デザイン専門学校 箱文字」図面
甲第4号証の9:「「PET PARADISE」 箱文字」図面
甲第4号証の10:「Honeys 港北東急店」図面
甲第4号証の11:「カレーうどん千吉 青葉台東急スクエア店」図面
甲第4号証の12:「PROUD 箱文字」図面
甲第4号証の13:「AGC旭硝子展示会」図面
甲第4号証の14:仕入先イーイメージテクノロジー(株)の買掛元帳
甲第5号証の1:特開平6-155398号公報
甲第5号証の2:特開平10-135647号公報
甲第5号証の3:特開2004-296619号公報
甲第5号証の4:特開2008-235408号公報
甲第6号証の1:国際公開第2011/049234号
甲第6号証の2:特開2010-31312号公報
甲第7号証の1:本件出願に係る平成24年8月20日付け拒絶理由通知書
甲第7号証の2:本件出願に係る平成25年2月13日提出の意見書
甲第7号証の3:本件出願に係る平成25年8月16日提出の審判請求書
甲第7号証の4:本件出願に係る平成25年8月16日提出の手続補正書

第4 被請求人の主張及び証拠方法

被請求人は、上記無効理由に対する反論を何ら行わず、証拠も提出していない。

第5 主な各甲号証に記載されている事項

1.甲第1号証
甲第1号証には、以下のとおり記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同じ。)。

(1)「【0001】
本発明は、LED光源を内蔵したフィルム状又はシート状の面発光体及びこの面発光体を使用した内照式看板に関する。」

(2)「【0007】
本発明の面発光体は、フイルム状又はシート状の基板上に、上下・左右均等にの広角発光LEDチップを30?300個並べて点滅が可能なように電気配線すると共に、その上から透明プラスチックフィルムで被覆したことを特徴とする。」

(3)「【0009】
本発明の面発光体は、フイルム状又はシート状で、薄く、軽く、長寿命で,設置に必要な資材を大幅に削減できる。この面発光体を縦、横に繋ぎ合わせていく事で、大面積の発光体が簡単に出来上がる。この大面積の発光体を使用すれば、省エネルギー、かつ、大型看板が低コストで提供できる。」

(4)「【0013】
フィルム状又はシート状基板上に、電気配線を形成する方法については、特に制限はない。例えば、
1)両面粘着テープの片面又は粘着テープの粘着面に金属箔の線条を貼着する、
2)フィルム状又はシート状基板上に粘着剤付き金属箔の線条を貼着する、
3)フィルム状又はシート状基板上に金属膜を蒸着により形成する、
4)フィルム状又はシート状基板上に導電性ペイントを印刷する、
5)フィルム状又はシート状基板及び金属箔の積層体の金属箔部分をエッチングする、
6)両面粘着テープの片面又は粘着テープの粘着面に金属線を貼着する、及び
7)両面粘着テープの片面又は粘着テープの粘着面にフラットケーブルを貼着する等の方法を挙げることができる。」
(5)「【0023】
LED11(豊田合成製E1S42-AW0C6-03)は、広角発光LEDチップであり、その発光角度は、60°?120°であり、形状は外形がほぼ平面四角で発光部が平面丸型である。図1の実施例では、LEDは、30個使用しており、それぞれプリント配線13で接続されている。LED相互の間隔は上下・左右共に35mmである。電源はリード線14を通じて外部電源(図示せず)から取得する。この実施例では、過剰に電流が流れないように抵抗15も併設している。同じ目的で低電流半導体素子を設けることもできる。」

(6)「【0031】
図7に示すように、前記面発光体10を複数(ここでは作図上の都合により2枚)に繋ぎ合わせ、その上で、大型の看板箱を用いることにより、50m2?300m2までの大型内部照明看板が簡単に低コストで出来る。」

(7)上記(5)に「LED11(豊田合成製E1S42-AW0C6-03)は、広角発光LEDチップであり」と記載されていることを踏まえると、図1からは、複数群の広角発光LEDチップが、一群ごとに直列にプリント配線で接続され、一群の広角発光LEDチップの両端がそれぞれプリント配線を介してリード線に接続された点を看取できる。

(8)上記(1)における「内照式看板」が上記(6)における「内部照明看板」を指すことは明らかである。

(9)上記(2)及び(3)によれば、面発光体は基板上に広角発光LEDチップを並べて電気配線し、面発光体を縦、横に繋ぎ合わせていく事で、大面積の発光体が出来上がるのだから、甲第1号証には発光体の製造方法が記載されているといえる。

上記の記載事項を総合すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「大型内部照明看板に使用される面発光体を縦、横に繋ぎ合わせていく事で、大面積の発光体が出来、
面発光体は、基板上に、上下・左右均等に広角発光LEDチップを並べて電気配線し、
複数群の広角発光LEDチップが、一群ごとに直列にプリント配線で接続され、一群の広角発光LEDチップの両端がそれぞれプリント配線を介してリード線に接続され、
電源はリード線を通じて外部電源から取得する
発光体の製造方法。」

2.甲第2号証の1
甲第2号証の1には、以下のとおり記載されている。

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種広告や店名等が表示された表示パネルが取付けられる看板用フレームに関するものであり、特に屋外に設置される看板に適した看板用フレームに関する。」

(2)「【0015】
以上の構造を有する看板用フレームを用いて看板を施工する場合は、施工現場や工場等において、コーナー部材3a?3dと中間部材4a?4dを連結して枠体1を組立て、組み立てられた枠体1に支柱2を取付けて看板用フレームを製作する。次いで、支柱2の台座22を土台(コラム)にボルト留めし、枠体1に表示パネルを取付ける。また、表示パネルが内側から照明される照明看板を施工する場合は、組み立てられた枠体1内に蛍光灯や安定器等の必要機器を設置した上で表示パネルを取付ける。尚、照明用の必要機器を設置する際には、必要に応じて枠体1内にアングル等を配置し、これによって必要機器を所定位置に設置する。」

(3)上記(2)によれば、組み立てられた枠体1に必要機器を設置した上で表示パネルを取付けることにより、照明看板を施工するのだから、甲第2号証の1には照明看板を施工する方法が記載されているといえる。

上記の記載事項を総合すると、甲第2号証の1には、次の発明(以下「甲2の1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「施工現場において枠体を組立て、
組み立てられた枠体内に蛍光灯や安定器等の必要機器を設置した上で表示パネルを取付ける、
屋外に設置される照明看板を施工する方法。」

3.甲第2号証の2
甲第2号証の2には、以下のとおり記載されている。

(1)「【0001】
本発明は、広告塔、広告看板、案内板、装飾写真板、または表示板なとして用いられる画像スクロール表示装置およびその組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フィルムに背面から光を照射し、フィルムに描かれた画像を透過光によって表示する表示装置が普及しており、例えば、駅やショッピングセンターの通路、またはビルの壁面などに数多く設置されている。」

(2)「【0008】
通常、このような画像スクロール表示装置は、既に存在する建築物に対して設置される。したがって、従来の画像スクロール表示装置1jを設置するに際しては、本体フレーム110を現地の建築物の構造や形状に合わせる必要がある。そのため、画像スクロール表示装置1jを構成する部品を現地へ搬送し、現地で取り付けた本体フレーム110にローラなどの部品を組み付けていくことによって、画像スクロール表示装置1jを組み立てることとなる。このように、画像スクロール表示装置1jは現地で組み立てる必要があり、現地での作業時間が長くなって納期として多くの日数を要していた。」

上記の記載事項を総合すると、甲第2号証の2には、次の発明(以下「甲2の2発明」という。)が記載されているものと認められる。

「フィルムに背面から光を照射し、フィルムに描かれた画像を透過光によって表示する表示装置であって、
ビルの壁面に設置され、
画像スクロール表示装置は現地で組み立てる
画像スクロール表示装置の組み立て方法。」

4.甲第5号証の1
甲第5号証の1には、以下のとおり記載されている。

(1)「【0002】
【従来の技術】電子機器を開発したり、大量生産の対象とならない生産量の少ない電子機器を製造するにあたって、適切な電子回路を形成したPCB基板を正確に、迅速に、かつ低価格に試作する必要性が高まっている。しかしながらPCBの試作に当っては光学的処理や化学的処理等の工程が必要なため、少数の試作PCBの作成にも配線パタ-ンの作成が必要となり、外注に依頼せざるを得ない状況にある。
【0003】このような現況を改善するため、絶縁性基板面上に銅箔層を設けた銅箔基板を切削加工して回路パタ-ンを削り出すPCB加工機が提案されている。すなわち、X軸およびY軸方向に制御されて移動するスピンドルに固定された切削ツ-ルが、加工台上に位置決めされ吸着固定されたPCB基板上を所定のパタ-ンに従って移動し、PCB基板上の銅箔層および絶縁性基板を切削して目的とする回路を作成するPCB加工機である。」

(2)「【0008】
【実施例】以下、図面を用いて、この出願の発明を説明する。図1は、本発明に係るPCB加工機の外観を示す図であり、図1(A)は平面図、図1(B)は正面図であり、図2は切削ツ-ル交換部付近の拡大断面図である。PCB加工機1は、PCB基板を所定の位置に吸着固定する加工台2と、切削ツ-ルが取り付けられるスピンドル3と、該スピンドルが取り付けられた基台をX軸方向に移動させるX軸駆動装置4と、前記基台をY軸方向に移動させるY軸駆動装置5と、前記スピンドルに取り付けられた切削ツ-ルをZ軸方向に移動させるZ軸駆動装置6と、加工されるPCB基板を位置決めする未加工PCBセット部7と、位置決めされたPCB基板を前記固定部と加工台間および加工台を後述する加工PCB受皿ユニット11との間で移動させるPCB移動手段8と、フロ-トヘッド面と切削ツ-ルの位置を計測するリニアゲ-ジ9と、加工終了後の切削ツ-ルをコレットチャック31から引き出す働きをする平行引出チャック10と、加工済みのPCB基板を収納する加工PCB受皿ユニット11と、前記リニアゲ-ジでの計測量を表示するリニアゲ-ジカウンタ12からなる。本発明のPCB加工機1は、さらにPCB基板をプログラムに従って加工するためのPCB固定部に載置された基板を加工台に移動させたり、スピンドルの回転やX,Y、Z軸方向への移動をさせたり、切削ツ-ルを選択、交換したり、切削ツ-ルの刃先の出し量を調整する等の制御部(図示せず)、および、後述するような、複数の切削ツ-ルを格納するとともにプログラムに従って所望の切削ツ-ルをツ-ル交換位置へ供給するインデックステ-ブル42(図2)を具備している。図3及び図4のスピンドルのヘッド部の拡大断面図に示すように、本発明のPCB加工機1は、スピンドル3の下端部に設けた切削ツ-ル13を把持固定するコレットチャック31と、該チャックを取り囲むとともにその底面(フロ-ト面)33が前記チャックに把持固定された切削ツ-ル13の刃先の出し量を調整できるようにスピンドルに上下の位置を調整可能に設けられたフロ-トヘッド32とを具備することを特徴としている。図5は、本発明による刃先の出し量を調整する工程を示す図であり、図6は、本発明による切削ツ-ルをチャックから取り外す工程を示す図であり、図7は、本発明のPCB加工機を用いた加工法の切削ツ-ルの損傷に対処する方法を示す流れ図である。」
(3)「【0010】
(中略)
PCB加工機1の加工台2およびスピンドル3の移動領域の下方に配置された自動切削ツ-ル交換手段は、インデックス部50内に設けた駆動手段によって回転され、例えばその外周近傍の円周上に設けたツ-ルホルダー43を例えば36個備えたインデックステ-ブル42と、ツ-ル交換位置に配置されその上に持ってこられたツ-ルホルダー43内に格納された切削ツ-ル13を上方に押し揚げるツ-ル押揚機構44と該ツ-ル押揚機構に設けられた押揚ピン45とから構成される。インデックステ-ブル42の各ツ-ルホルダー43には穴あけ加工用のドリルや切削加工用のエンドミル等の各種の切削ツ-ルが格納されており、加工プログラムに従ってインデックステ-ブル42が回転し指定された切削ツ-ルが交換位置に持ってこられる。このときスピンドル3も交換位置の上方に配置されている。切削ツ-ルおよびスピンドルが交換位置にセットされるとツ-ル押揚機構44の押揚ピンが切削ツ-ル13を押し上げスピンドルの下端に設けたコレットチャック31内に切削ツ-ルのシャンク部を押し込む。次いでコレットが上方に引き上げられると、外周に嵌められた締具30によってコレットチャックを締め付け切削ツ-ルを把持固定する。」

上記の記載事項を総合すると、甲第5号証の1には、次の発明(以下「甲5の1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「絶縁性基板面上に銅箔層を設けた銅箔基板を切削加工して回路パタ-ンを削り出すPCB加工機で、
X軸およびY軸方向に制御されて移動するスピンドルに固定された切削ツ-ルが、加工台上に位置決めされ吸着固定されたPCB基板上を所定のパタ-ンに従って移動し、PCB基板上の銅箔層および絶縁性基板を切削して目的とする回路を作成するPCB加工機であって、
スピンドルの回転やX,Y、Z軸方向への移動をさせる制御部を具備し、
切削ツ-ルは穴あけ加工用のドリルや切削加工用のエンドミル等の各種である
PCB加工機。」

5.甲第5号証の2
甲第5号証の2には、以下のとおり記載されている。

(1)「【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1?図3にしたがって説明する。図1は、本発明に係るパターンカット装置の全体の概要を説明する外観斜視図、図2はこの装置を動作させる全体動作フロー図、図3はパターンカットの原理説明図をそれぞれ示している。
【0022】図1の装置構成は、パターンカット条件(表層パターン、内層パターン、カット深さ、穴径他)の作成およびパターン切断基板枚数他を管理し、装置本体との各種作業情報が送受信可能なNCデータ供給端末23;多層プリント基板1を固定保持する基板取り付けパレット30を搭載し、一方向に駆動するY軸移動テーブル17;装置本体の動作を指示する操作パネル33;パターンカット作業開始位置を知る為に、プリント基板1の高さを検出する基板高さ検出センサー19;プリント基板1にパターンカット作業を施すエンドミル12を着脱および回転させるスピンドルモーター14;パターンカット作業時にパターンカット位置より発生するカット屑を除去するカット屑吸引ノズル22;スピンドルモーター14のエンドミル12を異径種に交換する際にスピンドルモーター14から離されたエンドミル12を収納保持するドリルポストA34;ドリルポストA34から異径種の複数のドリル11(図示せず)もしくはエンドミル12を収納保持しているドリルポストB35へ前述離されたエンドミル12を移載および前述ドリルポストB35から任意選択したドリル11もしくはエンドミル12をドリルポストA34に移載するドリル交換チャック31;スピンドルモーター14を不図示のサーボモーターで保持し、前述パターンカット条件に応じてスピンドルモーター14を垂直方向に移動させるZ軸18;パターンカット作業完了時にパターンカット状態およびプリント基板1のパターンカット位置を教示する際にポイントを撮像するカメラ20;前述カメラ20での画像を監視するモニタ21;基板高さ検出センサー19、カメラ20、スピンドルモーター14を不図示のサーボモーターで保持したZ軸18、カット吸引ノズル22、ドリル交換チャック31をそれぞれ固定部材65に保持し、X軸方向に駆動するX軸移動手段16;装置本体36と前述NCデータ供給端末23とを接続するオンラインおよび切り放すオフライン更に装置本体36を手動操作モード他に選択設定するタッチパネル32とから構成される。」

(2)「【0032】先ず、パターンカットの試料となるプリント基板1は、グランド層(以下、G層と略称)5を中心層としてその上部にプリプレグ9、内層パターン4が形成された内層56、コア8、表層パターン3が形成された表層55が順次積層されており、反対側の下部には上部と対称に同様の構造の裏面パターン57が形成された構造を有している。」

(3)「【0046】次に、基板高さ検出センサー19にて測定した下降値と、予め分かっている表層パターン3及びコア8の厚さを基にしてサーボモーター53の送り量を決定し、サーボモーター53を動作させる。同時にスピンドルモーター14を動作させることで、エンドミル12を回転させながら下降させ、表層パターン3のパターンカットを行う(図6D、図7のS34参照)。」

上記の記載事項を総合すると、甲第5号証の2には、次の事項(以下「甲5の2記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「表層パターンが形成された表層が積層されたプリント基板にパターンカット作業を施すエンドミルを着脱および回転させるスピンドルモーターから構成され、
スピンドルモーターを動作させることで、エンドミルを回転させながら下降させ、表層パターンのパターンカットを行う
パターンカット装置。」

6.甲第5号証の3
甲第5号証の3には、以下のとおり記載されている。

(1)「【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において金属-絶縁体複合部材は、一例として、絶縁体基板の両主面に同形状で同面積の金属層部材を、一方は回路形成用部材とし、他方はヒートシンク用部材として略面対称位置になるように接合した後、回路側金属層の不要部分をミリング加工により切削除去することによって、回路パターンを形成する。
ミリング加工は、エンドミル等多数の切刃を有するミリングカッタ(フライスまたはフライスカッタともいう。)を回転させ、工作物に送りを与えて切削する周知の加工手段である。」

(2)「【0018】
以上の複合部材における金属部材としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀またはそれらの合金が使用され、絶縁体としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックスのほか、絶縁性樹脂も使用できる。」

(3)「【0024】
〔実施例1〕 図2に示した工程に従って、ミリングマシーン(ミッツ株式会社製)を使用して、金属-絶縁体複合部材2の回路パターンの形成を行った。
基板として、(イ)(ロ)厚さ0.635mm、純度98.8%以上の窒化アルミニウム板のセラミック板3に厚さ0.4mmで同一形状の同一面積のアルミニウム板4A、4Bを回路形成用金属層材およびヒートシンク用金属層材としてそれぞれ接触させ、不活性雰囲気中で740℃に60分間加熱し、その後冷却するという直接接合法により複合部材2を作製した後、(ハ)この複合部材2のアルミニウム板4Aの表面にアクリル樹脂系からなるエッチングレジスト5を全表面に塗布した。次いで、(ニ)この基板をミリングマシーンに取り付けコンピュータによりエンドミルを三次元同時制御しつつ、油性切削液をかけながらミリング加工した。すなわち、1mm径のエンドミルでアルミニウム板の不要部分(回路溝と外周側面)を、50μm厚さにアルミニウム残層4Aaを残して切削除去した。その後、(ホ)塩化第二鉄30?40%、塩酸5?15%、残部が水からなるエッチング液を用いてエッチングを行なって残したアルミニウム残層4Aaを除去し、(ヘ)アルミニウム板4Aの表面のエッチングレジスト5を除去し、回路基板6を得た。」

(4)上記(1)によれば、回路側金属層の不要部分をミリング加工により切削除去することによって、回路パターンを形成するのだから、甲第5号証の3には回路パターンを形成する方法が記載されているといえる。

上記の記載事項を総合すると、甲第5号証の3には、次の事項(以下「甲5の3記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「金属-絶縁体複合部材は、絶縁体基板の両主面に同形状で同面積の金属層部材を、一方は回路形成用部材とし、他方はヒートシンク用部材として略面対称位置になるように接合した後、回路側金属層の不要部分をミリング加工により切削除去することによって、回路パターンを形成し、
複合部材における金属部材としては、アルミニウムが使用され、絶縁体としては、絶縁性樹脂が使用され、
複合部材を作製した後、この基板をミリング加工して、エンドミルでアルミニウム板の不要部分を、切削除去する
回路パターンを形成する方法。」

7.甲第5号証の4
甲第5号証の4には、以下のとおり記載されている。

(1)「【0020】
次に、図2乃至図4を参照して本発明の実施例1の差動伝送回路基板の製造工程を説明する。
図2参照
まず、例えば、厚さが、例えば、100μmのガラス繊維強化エポキシ樹脂からなるベース樹脂層12の両面に、厚さが、例えば、35μmの銅箔13,14を張りつけたコア材11を用意する。
【0021】
次いで、外径が、例えば、100μmのエンドミル15を用いて溝堀加工を行うことによって、ベース樹脂層12を露出させる溝16を形成する。
この場合の溝16の幅は、エンドミル15の外径で規定されるために、1
00μmの均一な間隔となる。」

(2)上記(1)の基板の製造工程が製造方法の一部であることは明らかであるから、甲第5号証の4には基板の製造方法が記載されているといえる。

上記の記載事項を総合すると、甲第5号証の4には、次の事項(以下「甲5の4記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「ベース樹脂層の両面に、銅箔を張りつけたコア材を用意し、
次いで、エンドミルを用いて溝堀加工を行うことによって、ベース樹脂層を露出させる溝を形成する基板の製造方法。」

8.甲第6号証の1
甲第6号証の1には、以下のとおり記載されている。
(1)「図3(A)を参照して、基板10の断面的な構成を詳述する。アルミニウム等から成る金属基板10の上面には、厚みが50μm程度の絶縁層38が形成されている。この絶縁層38は、熱伝導向上のために、粒状のアルミナ等から成るフィラーが添加されたエポキシ樹脂等の樹脂材料から成る。絶縁層38の上面に導電パターン18が所定形状に形成されている。この導電パターン18は、絶縁層38の上面に貼着された銅等から成る導電箔を選択的にエッチングすることにより形成される。」(第9ページ第9?15行)

(2)「一方、白色レジストの劣化を考えると、最小限の分離幅を設け、全域を導電パターンで占有してもよい。またダミー導電パターンで埋めても良い。この場合、導電パターンにAu、AgまたはNi等のメッキが施せ、実質全体を反射領域と出来る。」(第9ページ第20?23行)

上記の記載事項を総合すると、甲第6号証の1には、次の発明(以下「甲6の1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「アルミニウムから成る金属基板の上面に、絶縁層が形成され、
絶縁層は樹脂材料から成り、
絶縁層の上面に導電パターンが所定形状に形成され、
導電パターンは、絶縁層の上面に貼着された銅から成る導電箔を選択的にエッチングすることにより形成され、
導電パターンにAu、AgまたはNi等のメッキが施された
基板。」

9.甲第6号証の2
甲第6号証の2には、以下のとおり記載されている。

(1)「【0029】
図1中、1はプリント基板又は半導体ウエハーである。プリント基板又は半導体ウエハー1上には、銅又はアルミニウムからなる導体パターン3が形成されている。導体パターン3上には、無電解ニッケル-パラジウム合金めっき皮膜5と、置換型無電解金めっき皮膜7とからなるパターンめっき皮膜9が形成されている。導体パターン3の表面をパターンめっき皮膜9で被覆することにより、プリント基板又はウエハー1の配線11は化学的に安定になり、腐蝕(酸化)等から保護される。」

上記の記載事項を総合すると、甲第6号証の2には、次の事項(以下「甲6の2記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「プリント基板上に、銅からなる導体パターンが形成され、導体パターン上には、無電解ニッケル-パラジウム合金めっき皮膜と、置換型無電解金めっき皮膜とからなるパターンめっき皮膜が形成されたプリント基板。」

第6 当審の判断

1.無効理由1について
(1)本件特許発明1について
ア.対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。

後者の「大型内部照明看板」は、前者の「大型内照式サイン」に相当する。
後者の「発光体」は、「基板上に、上下・左右均等に広角発光LEDチップを並べ」た「面発光体」からなるものであり、基板上に上下・左右均等に並べた広角発光LEDチップが2次元に配列されていることは明らかであるから、前者の「2次元配列LED照明」に相当する。そして、後者の「発光体」が「面発光体」を「縦、横に繋ぎ合わせ」たものである点と、前者の「当該2次元配列LED照明は複数の大型の基板を組み合わせたものであ」る点とは、2次元配列LED照明は複数の基板を組み合わせたものであるとの概念で共通する。
後者の「広角発光LEDチップ」は、前者の「LED素子」に相当する。
後者では、基板上に電気配線し、LEDがプリント配線及びリード線で接続されるから、LED、プリント配線及びリード線は基板上にあるといえ、また、通常、プリント配線及びリード線は良導体である金属で形成されるから、後者の「複数群の広角発光LEDチップが、一群ごとに直列にプリント配線で接続され、一群の広角発光LEDチップの両端がそれぞれプリント配線を介してリード線に接続され、電源はリード線を通じて外部電源から取得する」点は、前者の「複数のLED素子を複数のグループに分け、当該複数のグループごとにLED素子を直列に接続する良導体金属で形成された素子間配線を有する」点、及び、「直列に接続されたLED素子の各グループの一方の端に接続される良導体金属で形成された正電極と直列に接続されたLED素子の各グループの他方の端に接続される良導体金属で形成された負電極とを有する」点に相当する。また、両者は、「基板上には」、LED素子と、素子間配線と、正電極と、負電極とを有するとの概念で共通する。

したがって、両者は、

「大型内照式サインを照明するための、2次元配列LED照明の製造方法であって、
当該2次元配列LED照明は複数の基板を組み合わせたものであり、
当該基板上には、
複数のLED素子と、
当該複数のLED素子を複数のグループに分け、当該複数のグループごとに上記LED素子を直列に接続する良導体金属で形成された素子間配線と、
上記直列に接続された上記LED素子の各グループの一方の端に接続される良導体金属で形成された正電極と、
上記直列に接続された上記LED素子の各グループの他方の端に接続される良導体金属で形成された負電極と、
を有する2次元配列LED照明の製造方法。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
前者の大型内照式サインが「屋外に設置され且つ設置される現地において組み立てられる」のに対して、後者ではその点につき明らかでない点。

[相違点2]
前者の基板が「大型の基板」であるのに対して、後者ではその点につき明らかでない点。

[相違点3]
前者では「素子間配線、正電極、および負電極は、外周部に切れ刃を有する回転切削工具を平面内2軸方向に移動可能な制御機構を備えたルータ加工機を用いて、1枚の良導体金属膜を基板に至るまで切削加工することにより形成される」のに対して、後者はそのようなものでない点。

イ.判断
上記相違点について検討する。

(ア)相違点1について
一般に、看板の技術分野において、内照式看板を屋外に設置し、設置される現地において組み立てることは、本件特許発明1の出願日前に周知の技術である(以下「周知技術1」という。たとえば、甲第2号証の1には「施工現場において枠体を組立て、組み立てられた枠体内に蛍光灯や安定器等の必要機器を設置した上で表示パネルを取付ける、屋外に設置される照明看板を施工する方法」が記載されている。また、甲第2号証の2には「ビルの壁面に設置され、フィルムに背面から光を照射する表示装置を現地で組み立てる、画像スクロール表示装置の組み立て方法」が記載されている。)。
甲1発明と上記周知技術1とは、ともに看板の技術分野に属しており、看板を内部から照明するという共通の作用・機能を有し、看板の組み立ては工場で行うか現地で行うかのいずれかであるから、甲1発明に上記周知技術1を適用して、相違点1に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(イ)相違点2について
甲1発明も本件特許発明1と同様に大型内照式サインであるから、これに使用される基板は技術的に見て大型である蓋然性が高い。また、甲1発明は、「面発光体を縦、横に繋ぎ合わせていく事で、大面積の発光体が簡単に出来上がる」(段落【0009】。上記「第5」の「1.(3)」参照)という効果を奏するものであるところ、一般に、製品の組立てを簡単にするために、部品を大型にして点数を少なくすることは製品の製造における常套手段であって、甲1発明において「面発光体」を大型にすれば、縦、横に繋ぎ合わせる箇所が減少して、発光体をより簡単に組立てられることも当業者であれば容易に認識し得ることから、甲1発明において「基板」を大型にすることは当業者が容易になし得たことである。

そうすると、甲1発明において、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項を有するものとすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

(ウ)相違点3について
「エンドミル」の一般的な語義は「フライスの一種。周囲と端面とに刃があり、狭い平面の仕上げや溝の加工に用いる。」というものであり、この語義中の「フライス」の一般的な語義は「金属を切削する円筒状の回転式刃物。フライス盤で用い、円筒の外周または外周と端面とに切刃を有する。平フライス・側フライス・正面フライス・エンドミルなどの種類がある。」(ともに岩波書店『広辞苑第六版』)というものであるから、甲5の1発明の「切削加工用のエンドミル」は、外周に切刃を有し、金属を切削する回転式刃物であるといえ、本件特許発明1の「外周部に切れ刃を有する回転切削工具」に相当する。
甲5の1発明の「制御部」は、スピンドルの回転やX、Y、Z軸方向への移動をさせるから、スピンドルに固定された切削ツ-ルを平面内の2軸方向に移動可能であることは明らかであるので、本件特許発明1の「回転切削工具を平面内2軸方向に移動可能な制御機構」に相当する。
回路を作成するために銅箔層の切削を絶縁性基板に至るまで行う必要があることは当業者にとって自明な事項であるから、甲5の1発明の「絶縁性基板面上に銅箔層を設けた銅箔基板を切削加工して回路パタ-ンを削り出す」こと、及び、「PCB基板上の銅箔層および絶縁性基板を切削して目的とする回路を作成する」ことは、本件特許発明1の「1枚の良導体金属膜を基板に至るまで切削加工する」ことに相当する。
甲5の1発明の「PCB加工機」は、穴あけ加工用のドリルや切削加工用のエンドミル等の各種の切削ツ-ルを平面内の2軸方向に移動させ、回転し、基板を切削加工するものであって、このような加工がルータ加工であることは明らかであるから、本件特許発明1の「ルータ加工機」に相当する。
本件特許発明1の「素子間配線」、「正電極」及び「負電極」が回路の一部であることは明らかであるから、甲5の1発明の「回路パタ-ン」及び「回路」と、本件特許発明1の「素子間配線」、「正電極」及び「負電極」とは「回路」との概念で共通する。
そうすると、甲5の1発明は、本件特許発明1の「回路は、外周部に切れ刃を有する回転切削工具を平面内2軸方向に移動可能な制御機構を備えたルータ加工機を用いて、1枚の良導体金属膜を基板に至るまで切削加工することにより形成される」点を備えている。

甲1発明と甲5の1発明とは、ともに基板に回路を形成する工程を含む点で技術分野が共通している。また、甲第5号証の1には、「電子機器を開発したり、大量生産の対象とならない生産量の少ない電子機器を製造するにあたって、適切な電子回路を形成したPCB基板を正確に、迅速に、かつ低価格に試作する必要性が高まっている。しかしながらPCBの試作に当っては光学的処理や化学的処理等の工程が必要なため、少数の試作PCBの作成にも配線パタ-ンの作成が必要となり、外注に依頼せざるを得ない状況にある。」(段落【0002】)及び「このような現況を改善するため、絶縁性基板面上に銅箔層を設けた銅箔基板を切削加工して回路パタ-ンを削り出すPCB加工機が提案されている。」(段落【0003】)との記載があって、「絶縁性基板面上に銅箔層を設けた銅箔基板を切削加工して回路パタ-ンを削り出すPCB加工機」が生産量の少ない機器を製造する際の基板の作成に適することが示唆されている。そして、甲1発明の「内照式看板」が少量生産される機器であることは当業者にとって明らかであるし、機器を構成する部材を正確、迅速かつ低価格に製造することは、機器の製造において一般的な課題である。そうすると、少量生産される「内照式看板」の基板を正確、迅速かつ低価格に製造するために、甲1発明に甲5の1発明を適用して、相違点3に係る本件特許発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本件特許発明1の発明特定事項の全体によって奏される効果も、甲1発明、甲5の1発明及び周知技術1から当業者が予測し得る範囲内のものである。

ウ.小括
以上のとおり、本件特許発明1は、甲1発明、甲5の1発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件特許発明2について
ア.対比
本件特許発明2と甲1発明とを対比する。
「大型の基板」に関して、本件特許明細書には「1mあるいはそれを越える大型の基板」(段落【0029】、【0030】、【0034】)及び「1mを越える大型の基板」(段落【0038】)との記載がある。そして、これらの基板は、「イオンビームエッチング等の異方性エッチングを用いることは技術的には可能かもしれないが、1mあるいはそれを越える大型の基板を収納する真空装置を使用することは全く現実的ではない。」(段落【0030】)及び「アルミ複合板の特長は、1mを越える大型の基板が安価で入手可能であり、軽量でありながら剛性が高いため歪等が生じず、且つ切削等の機械加工性に優れている。」(段落【0038】)とされているところ、真空装置に収納可能な基板の大きさや、市場で入手可能なアルミ複合板の大きさは、一般に方形の板材の辺の長さで表されるから、「1mあるいはそれを越える大型の基板」及び「1mを越える大型の基板」が「一辺の長さが1mあるいはそれを越える大型の基板」及び「一辺の長さが1mを越える大型の基板」を指すことは明らかである。そうすると、請求項2の「前記大型の基板は、一片の長さが1mを越えるものである」との記載における「一片」は「一辺」の明らかな誤記であると認められるから、両者は上記相違点1ないし3に加え、以下の点で相違する。

[相違点4]
前者の基板が「一辺の長さが1mを越えるもの」であるのに対して、後者ではその点につき明らかでない点。

イ.判断
相違点4について検討すると、上記「(1)イ.(イ)」において検討したとおり、甲1発明において「基板」を大型にすることは当業者が容易になし得たことであって、本件特許発明2において一辺の長さを1mを越えるものとしたことに格別の技術的意義はないから、「基板」を一辺の長さが1mを越えるものとすることは当業者が適宜選択可能な設計事項である。

そうすると、甲1発明において、相違点4に係る本件特許発明2の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本件特許発明2の発明特定事項の全体によって奏される効果も、甲1発明、甲5の1発明及び周知技術1から当業者が予測し得る範囲内のものである。

なお、本件特許明細書には、「写真製版や印刷により、残したい配線部分をカバーするパターンを形成し、その後にウエットエッチングにより、不要な部分を除去する」ものについて、「大型内照式サインに用いるLED光源の配線パターンは、それぞれの大型内照式サインに適した一品製作となるため、マスク等の作成を必要とする上述の方法では、コスト面で全く採算がとれない。特に1mあるいはそれを越える大型の基板であるため、なおさらコスト面で考慮するに値しない。」(段落【0029】)、及び、「イオンビームエッチング等の異方性エッチングを用いることは技術的には可能かもしれないが、1mあるいはそれを越える大型の基板を収納する真空装置を使用することは全く現実的ではない。」(段落【0030】)との記載がある。
しかしながら、甲第1号証には「基板上に、電気配線を形成する方法については、特に制限はない」ことが記載され、当該方法の例として「両面粘着テープの片面又は粘着テープの粘着面に金属箔の線条を貼着する」(段落【0013】。上記「第5」の「1.(4)」参照)こと等が挙げられているから、甲1発明は、電気配線を形成する方法として、ウエットエッチングや真空装置を使用しない方法を用いることができるものであって、基板を一辺の長さが1mを越えるものとすることが阻害されるものではない。

ウ.小括
よって、本件特許発明2は、甲1発明、甲5の1発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件特許発明3について
ア.対比
本件特許発明3と甲1発明とを対比すると、両者は上記相違点1ないし3に加え、以下の点で相違する。

[相違点5]
「良導体金属」が、前者では「銅の表面に金薄膜を形成した」ものであるのに対して、後者ではその点につき明らかでない点。

イ.判断
上記相違点5について検討すると、甲6の1発明の基板は「導電パターンにAu、AgまたはNi等のメッキが施された」ものを有しており、このうち「導電パターンは、絶縁層の上面に貼着された銅から成る導電箔を選択的にエッチングすることにより形成され」ている。そうすると、甲6の1発明の「導電パターン」は良導体の金属である銅から成るから、本件特許発明3の「良導体金属」に相当し、銅から成る導電箔の導電パターンにAu、AgまたはNi等のメッキが施されたものである点は、本件特許発明3の「銅の表面に金薄膜を形成した」点に相当する。
そうすると、甲6の1発明は、基板に、銅の表面に金薄膜を形成した良導体金属を設けたものである。

甲1発明と甲6の1発明とは、ともに基板に関する技術である点で技術分野が共通しており、基板上に良導体金属で回路を形成するという共通の作用・機能を奏するものであるから、甲1発明に甲6の1発明を適用して、相違点5に係る本件特許発明3の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本件特許発明3の発明特定事項の全体によって奏される効果も、甲1発明、甲5の1発明、甲6の1発明及び周知技術1から当業者が予測し得る範囲内のものである。

ウ.小括
以上のとおり、本件特許発明3は、甲1発明、甲5の1発明、甲6の1発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本件特許発明4について
ア.対比
本件特許発明4と甲第1号証発明とを対比すると、両者は上記相違点1ないし3に加え、以下の点で相違する。

[相違点6]
前者の基板が「アルミ複合板」であるのに対して、後者ではその点につき明らかでない点。

イ.判断
上記相違点について検討すると、「複合」の一般的な語義は「2種以上のものが合わさって一つとなること」(岩波書店『広辞苑第六版』)であるから、「アルミ複合板」はアルミニウムと他種の材料が合わさって一つの板となったものであると解することができる。
一方、甲6の1発明の基板は、アルミニウムから成る金属基板の上面に、絶縁層が形成され、導電パターンは、絶縁層の上面に貼着された銅から成る導電箔を選択的にエッチングすることにより形成されるものであって、アルミニウムからなる金属基板、絶縁層及び銅から成る導電箔とを有しているから、アルミ複合板であるといえる。

甲1発明と甲6の1発明とは、ともに基板に関する技術である点で技術分野が共通しており、基板上に良導体金属で回路を形成するという共通の作用・機能を奏するものであるから、甲1発明に甲6の1発明を適用して、相違点6に係る本件特許発明4の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本件特許発明4の発明特定事項の全体によって奏される効果も、甲1発明、甲5の1発明、甲6の1発明及び周知技術1から当業者が予測し得る範囲内のものである。

ウ.小括
以上のとおり、本件特許発明4は、甲1発明、甲5の1発明、甲6の1発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

2.無効理由2について
(1)請求人の主張
ア.本件特許の請求項1の「大型の基板」という記載について、本件明細書には「大型の基板」の定義が記載されていない。仮に「大型の基板」を「本件明細書に記載された効果が奏されるほど大きな基板」と解したとしても、それが具体的にどのような大きさとなるのかを当業者が理解できない。本件特許の出願時のサイン用の照明の技術分野の技術常識を参照しても、「大型の基板」がどのようなものか明らかでない。また、仮に「大型の基板」の定義が「1mを越える」ものであるとしても、請求項1では基板の形状が特定されていないから、基板のどの寸法が1mを越えることをもって大型というのか明らかでない(請求書第47ページ第14?23行、第48ページ第2行?第49ページ第15行)。

イ.本件特許の請求項2の「一片の長さが1mを越える」という記載について、請求項2では基板の形状について限定がなく、また、本件特許明細書には基板が複数の部分からなる旨の記載もないから、「一片」がどの部分を指すのか明らかでない。仮に「片」が「辺」の意であるとしても、基板には多角形ではなく「一辺」を観念できない形状のものもある(請求書第47ページ第24行?第48ページ第1行)。

(2)判断
ア.上記請求人の主張「(1)ア.」について検討すると、本件特許明細書には、【背景技術】の項に「輝度を上げるためには、透光板の直下にLEDを敷き詰め、透光板を直接に照らすようにすれば良い。このような敷き詰め型のLED光源として、LEDモジュールが広く用いられている。LEDモジュールは、LED素子を樹脂製のソケットに装着し、複数の樹脂製のソケットを配線により接続し、線状の光源としたものである。そして、複数のLEDモジュールを平行に配置することで、敷き詰め型のLED光源を構成できる。」(段落【0006】)と、また、【発明が解決しようとする課題】の項に「さらに、屋外で用いられる大型の内照式サインは、輸送の困難性から、現地において組み立てることが普通であり、現地における人件費等の組立コストを低減するために、簡素な構成の光源装置が望まれる。しかし、LEDモジュールを大型の内照式サイン全体に敷き詰めるためには、非常に多くのLEDモジュールを用いねばならず、さらに、一様な照度を確保するために、LEDモジュールを構成するひとつひとつのLED素子について正確な位置決めを行い固定するといった膨大な作業が必要であり、現地組み立てに適しないという問題点もあった。」(段落【0009】)及び「本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、LED素子を2次元状に配置可能で、且つ現地組み立てに適する大型の基板を用いた、大型内照式サインに適した2次元配列LED照明を提供するものである。」(段落【0011】)と記載されているから、本件特許発明1は、従来の「LED素子を樹脂製のソケットに装着し、複数の樹脂製のソケットを配線により接続し、線状の光源としたLEDモジュール」における「LEDモジュールを大型の内照式サイン全体に敷き詰めるためには、非常に多くのLEDモジュールを用いねばなら」ないという課題を解決するために、「LED素子を2次元状に配置可能で、且つ現地組み立てに適する大型の基板を用いた、大型内照式サインに適した2次元配列LED照明を提供する」ものである。
また、大型の基板の大きさは、内照式サインの大きさや基板の強度等を考慮することにより適宜設定されるにすぎないものである。
そうすると、当業者であれば、従来の「LED素子を樹脂製のソケットに装着し、複数の樹脂製のソケットを配線により接続し、線状の光源としたLEDモジュール」の大きさを勘案して、本件特許発明1における「大型の基板」がどのような大きさであるのかを理解することができるから、請求項1の「大型の基板」との記載が直ちに不明確であるとはいえない。

イ.請求人の主張「(1)イ.」について検討すると、上記「1.(1)イ.(イ)」での検討のとおり、請求項2の「一片の長さが1mを越える」は「一辺の長さが1mを越える」の明らかな誤記であると認められる。そして、「一辺」を観念できる形状の基板については「一辺の長さが1mを越える」ことに不明確な点はないから、「一辺」を観念できない形状の基板があるからといって「一辺の長さが1mを越える」との記載が直ちに不明確であるとはいえない。

(3)小括
よって、本件特許の請求項1ないし4の記載は、特許法第36条第6項第2号の規定に適合しているといえる。

3.無効理由3について
(1)請求人の主張
ア.本件特許明細書では「基板」について「大型」と記載してあるだけで具体的な数値の記載はなく、本件特許出願の出願時の技術常識に基づいても当業者が「大型」がどのような大きさをいうのか理解できないから、当業者は本件特許明細書の記載に基づいて本件特許発明1を実施することができない(請求書第49ページ第17?22行)。

イ.本件特許明細書には「アルミ複合板は、芯材としてポリエチレン等の樹脂を用い、それを0.1mmから0.3mm厚のアルミ板でサンドイッチした構造を持つ。」(段落【0037】)と記載される一方、請求項1には「当該大型の基板上には、…素子間配線と、…正電極と、…負電極と、を有し」、請求項4には「前記大型の基板は、アルミ複合板である」と記載されているから、素子間配線、正電極及び負電極は基板の表面に位置し、導体であるアルミニウム板の上に配置されていることになるが、本件特許明細書には素子間配線、正電極及び負電極とアルミニウム板とをどのように絶縁するのか記載されていないから、当業者は本件特許明細書の記載に基づいて本件特許発明4を実施することができない(請求書第49ページ第23行?第50ページ第5行)。

(2)判断
ア.上記請求人の主張「(1)ア.」について検討すると、上記「2.(2)ア.」で検討したとおりであって、当業者であれば、「大型の基板」がどのような大きさであるのかを理解することができる。
また、本件特許明細書の【発明を実施するための形態】の欄には、「2次元配列LED照明3は、4枚で構成され、1枚の大きさは、横が1.5m、縦が1.2mである。」(段落【0019】)、及び、「1mあるいはそれを越える大型の基板」(段落【0034】)との記載があって、基板の大きさが2次元配列LED照明の大きさを超えないことは自明であり、また、上記「1.(2)ア.」の検討を踏まえると後者の記載が「一辺が1mあるいはそれを越える大型の基板」を指すことも明らかであるから、本件特許明細書には、基板の大きさが、一辺が1mあるいはそれを越えて、横1.5m、縦1.2mを越えないものであることを具体的に示した実施の形態が記載されているといえる。
そうすると、当業者が本件特許発明1を実施することができないとまではいうことはできない。

イ.上記請求人の主張「(1)イ.」について検討すると、上記「1.(4)イ.」で検討したとおりであって、「複合」の一般的な語義は「2種以上のものが合わさって一つとなること」(岩波書店『広辞苑第六版』)であるから、「アルミ複合板」はアルミニウムと他種の材料が合わさって一つの板となったものであると解することができる。
また、回路を他の良導体と接触しないように絶縁することが技術常識であることを踏まえると、本件特許明細書に記載された「芯材としてポリエチレン等の樹脂を用い、それを0.1mmから0.3mm厚のアルミ板でサンドイッチした構造」の「アルミ複合板」について、他の良導体と接触する箇所を本件特許前に周知の手段で絶縁することも当業者が適宜なし得たことである。
そうすると、当業者が本件特許発明4を実施することができないとまではいうことはできない。

(3)小括
よって、本件特許の明細書の記載は、特許法第36条第4項第1号の規定に適合しているといえる。

4.無効理由4について
(1)請求人の主張
本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載からは、基板の大きさをどのようにすれば本件特許発明の課題を解決できるのか当業者が認識できないから、本件特許発明1ないし4は発明の詳細な説明に記載されたものではない(請求書第第50ページ第8?13行)。

(2)判断
上記請求人の主張について検討すると、上記「2.(2)ア.及びイ.」で検討したとおりであって、当業者であれば、本件特許発明1ないし4における「大型の基板」がどのような大きさであるのかを理解することができるから、本件特許発明1ないし4が発明の詳細な説明に記載されたものではないとまではいうことはできない

(3)小括
よって、本件特許の請求項1ないし4の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合しているといえる。

第7 むすび

上記第6のとおり、本件特許発明1及び2は甲1発明、甲5の1発明及び周知技術1に基づいて、本件特許発明3は甲1発明、甲5の1発明、甲6の1発明及び周知技術1に基づいて、また、本件特許発明4は甲1発明、甲5の1発明、甲6の1発明及び周知技術1に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1ないし4についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきものである。

審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-09-19 
結審通知日 2017-09-21 
審決日 2017-10-03 
出願番号 特願2012-144788(P2012-144788)
審決分類 P 1 113・ 537- Z (G09F)
P 1 113・ 536- Z (G09F)
P 1 113・ 121- Z (G09F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青山 玲理  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
藤本 義仁
登録日 2014-07-04 
登録番号 特許第5572672号(P5572672)
発明の名称 2次元配列LED照明の製造方法  
代理人 小池 晃  
代理人 深見 達也  
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