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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1334708
審判番号 不服2016-14146  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-21 
確定日 2017-12-05 
事件の表示 特願2014- 88133「半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月16日出願公開、特開2014-197681、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年10月1日(国内優先権主張 平成20年10月3日)を出願日とする特願2009-229419号の一部を、平成26年4月22日に新たな出願としたものであって、同年4月23日付で審査請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされ、平成27年2月27日付で拒絶理由通知が通知され、同年4月2日付で意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正がなされ、同年10月16日付で拒絶理由通知が通知され、同年12月10日付で意見書が提出されたが、平成28年6月20日付で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされたものである。
これに対して、平成28年9月21日付で審判請求がなされ、当審において平成29年5月11日付で拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月21日付で意見書が提出されるとともに、同日付で手続補正(以下、「本手続補正」という。)がなされたものである。

第2 原査定の概要
1 原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は、次のとおりである。
「この出願については、平成27年10月16日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。

備考
●理由(進歩性)について
・請求項1,2
・引用文献1-5
・備考
引用文献1(特に[0022],[0054]-[0057],図4を参照。)には、
ゲート電極70と、
ゲート電極75を含む配線層32(A)と、
前記ゲート電極70及び前記ゲート電極75上のゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上であって、前記ゲート電極70と重なる位置に設けられた半導体層、及び前記ゲート電極75と重なる位置に設けられた半導体層と、
前記ゲート電極70と重なる位置に設けられた半導体層に接続されたドレイン電極72と、前記ゲート電極75と重なる位置に設けられた半導体層に接続されたドレイン電極77と、ドレイン信号線24とを含む導電層と、
前記ゲート電極70と重なる位置に設けられた半導体層に接続されたソース電極73と、前記ゲート電極75と重なる位置に設けられた半導体層に接続されたソース電極78と、を含む導電層と、
を備え、
前記ゲート電極70と前記ドレイン信号線24がITO膜を介して接続され、
前記ゲート電極75を含む前記配線層32(A)と、前記ソース電極78を含む前記導電層がITO膜を介して接続している、
半導体装置、
の発明が記載されている。
本願発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、
本願発明は、第1,第2の酸化物半導体層を有するのに対して、引用文献1に記載された発明は、アモルファスSiにより形成された半導体層([0034]参照。)を有する点(以下、「相違点1」という。)、および、
本願発明は、第3の導電層と第1の導電層とが直接接続し、第4の導電層と第2の導電層とが直接接続するのに対し、引用文献1に記載された発明は、ゲート電極70とドレイン信号線24がITO膜を介して接続しており、ゲート電極75を含む配線層32(A)と、ソース電極78を含む導電層がITO膜を介して接続している点(以下、「相違点2」という。)、
で相違する。
相違点1について、引用文献2(特に、[0138]段落を参照。)には、薄膜トランジスタにおいて、チャネル形成領域を含む半導体として酸化物半導体を用いる技術が記載されている。
引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載の技術は、薄膜半導体を用いた半導体装置で共通するから、引用文献1に記載された発明において、半導体層の材料として、アモルファスSiに代えて酸化物半導体を適用することは、引用文献2の記載に基づいて当業者が容易になし得たことである。

相違点2について、引用文献3([0248]、図29参照。)、引用文献4([0212]、図27参照。)、引用文献5([0168]-[0170]、図21参照。)に記載されているように、ボトムゲート-トップコンタクト型の薄膜トランジスタにおいて、ゲート電極とソース・ドレイン電極とを直接接続する技術は周知である。
そして、引用文献1に記載された発明と上記周知技術は、ボトムゲート-トップコンタクト型の薄膜トランジスタで共通し、かつゲート電極とソース・ドレイン電極とを接続する点で共通する。
そのうえ、引用文献1に記載された発明において、ゲート電極とソース・ドレイン電極とを直接接続しても、製造工程数が増えるなどの阻害要因も見当たらないから、引用文献1に記載された発明において、ゲート電極70とドレイン信号線24との接続、及びゲート電極75を含む配線層32(A)とソース電極78を含む導電層との接続を、ITO膜を介して行うのに代えて直接接続することは、周知技術に基づいて当業者が適宜なし得たことである。

・請求項3
・引用文献1-5
・備考
引用文献1(特に、[0052]段落を参照。)に記載された発明は、保護回路を形成するものである。

・請求項4
・引用文献1-5
・備考
引用文献2(特に、[0142]段落を参照。)には、インジウムを用いることが記載されている。

・請求項5
・引用文献1-5
・備考
引用文献1(特に、[0022]段落を参照。)に記載された発明は、画素部を有する。

<引用文献等一覧>
1.特開平09-281525号公報
2.特開2007-096055号公報
3.特開2006-128654号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2006-128665号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2005-340802号公報(周知技術を示す文献)」
2 原査定の拒絶理由通知の概要
平成27年10月16日付拒絶理由通知書の概要は、次のとおりである。
「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1,2
・引用文献1-5
・備考
引用文献1(特に、[0022],[0054]-[0057]段落,図4を参照。)には、
ゲート電極70と、
ゲート電極75を含む配線層32(A)と、
ドレイン電極72,ドレイン電極77,ドレイン信号線24を含む導電層と、
ソース電極73,ソース電極78を含む導電層とを有する半導体装置、
の発明が記載されている。
本願発明と引用文献1に記載された発明とを対比すると、
本願発明は、第1,第2の酸化物半導体層を有するのに対して、引用文献1に記載された発明は、アモルファスSiにより形成された半導体層([0034]参照。)を有する点(以下、「相違点1」という。)、および、
本願発明は、第3の導電層と第1の導電層とが直接接続し、第4の導電層と第2の導電層とが直接接続するのに対し、引用文献1に記載された発明は、ゲート電極70とドレイン信号線24がITO膜を介して互いに接続しており、配線層32(A)とソース電極73もITO膜を介して互いに接続している点(以下、「相違点2」という。)、
で相違する。
相違点1について、引用文献2(特に、[0138]段落を参照。)には、酸化物半導体層を有する半導体装置が記載されている。
引用文献1に記載された発明に、引用文献2に開示された構成を適用することは、当業者にとって容易である。
相違点2について、引用文献3([0248]、図29参照。)、引用文献4([0212]、図27参照。)、引用文献5(図21参照。)に記載されているように、ソース電極又はドレイン電極を構成する導電層と、ゲート電極を構成する導電層とを、コンタクトホールにおいて直接接続する技術が周知であるから、引用文献1に記載された発明において、ゲート電極70とドレイン信号線24とを直接接続し、配線層32(A)とソース電極73を直接接続することは、当業者が適宜なし得たことである。

・請求項3
・引用文献1-5
・備考
引用文献1(特に、[0052]段落を参照。)に記載された発明は、保護回路を形成するものである。

・請求項4
・引用文献1-5
・備考
引用文献2(特に、[0142]段落を参照。)には、インジウムを用いることが記載されている。

・請求項5
・引用文献1-5
・備考
引用文献1(特に、[0022]段落を参照。)に記載された発明は、画素部を有する。

<最後の拒絶理由通知とする理由>

この拒絶理由通知は、最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するものである。

<引用文献等一覧>
1.特開平09-281525号公報
2.特開2007-096055号公報
3.特開2006-128654号公報(新たに引用された文献、周知技術を示す文献)
4.特開2006-128665号公報(新たに引用された文献、周知技術を示す文献)
5.特開2005-340802号公報(新たに引用された文献、周知技術を示す文献)」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。
「この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



<引用文献等一覧>
引用例1:特開平9-230383号公報
引用例2:特開2007-96055号公報

請求項1
引用例:1,2
備考
引用例1図3および図4に記載された発明の「保護用薄膜トランジスタ11a」,「保護用薄膜トランジスタ11b」,「保護用薄膜トランジスタ11aのゲート電極G」,「保護用薄膜トランジスタ11bのゲート電極G」,「ゲート絶縁膜21」,「コンタクト用メタル層55(ソース側コンタクト用メタル層26,ドレイン側コンタクト用メタル層27)」ないし「上側コンタクト部56(保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極S,保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極D)」,「保護リング10」,「ゲートライン7」および「保護用薄膜トランジスタ11bのゲート電極G」は、それぞれ請求項1に記載された発明の「第1のトランジスタ」,「第2のトランジスタ」,「第1のゲート電極」,「第2のゲート電極」,「ゲート絶縁層」,「第1の導電層」,「第2の導電層」,「第3の導電層」および「第4の導電層」に相当する。
また、引用例1【0009】【0020】および図4の記載から、引用例1に記載された発明も、第3の導電層と第1の導電層は直接接続されており、また、第4の導電層と第2の導電層は直接接続されていると認められる。
そうすると、引用例1に記載された発明と、請求項1に記載された発明は、以下の点で相違し、その余の点で一致する。

[相違点]
本願発明は、「第1の酸化物半導体層」と「第2の酸化物半導体層」を有し、それぞれの酸化物半導体層が、「第1のトランジスタのチャネル形成領域」および「第2のトランジスタのチャネル形成領域」を有しているのに対して、引用例1に記載された発明は、酸化物半導体層を有しておらず、チャネル形成領域として、アモルファスシリコン等からなる半導体薄膜22にチャネル領域22aを有している点。

以下[相違点]について検討する。
引用例2【0008】に記載されているように、「酸化物半導体のような化合物半導体は、他のシリコンや有機半導体材料などの半導体材料と比較して、材料が安価であり作製工程も複雑化しないため、低コストで半導体装置が作成することができる」ことは公知の事項であり、低コスト等を目的として、引用例1記載の発明のアモルファスシリコン等からなる半導体薄膜22を酸化物半導体で構成するようにすることは、当業者が容易に想到した事項である。

請求項2
引用例:1,2
備考
引用例1に記載された発明の「コンタクト用メタル層55(ソース側コンタクト用メタル層26,ドレイン側コンタクト用メタル層27)」ないし「上側コンタクト部56(保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極S,保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極D)」、および「保護リング10」の、「第3の領域」および「第6の領域」に対応する部分は同じ方向にのびていると認められる。

請求項3
引用例:1,2
備考
引用例1に記載された発明は、「保護用薄膜トランジスタ11a」および「保護用薄膜トランジスタ11b」を備えているから、保護回路に設けられた半導体装置であると認められる。

請求項4
引用例:1,2
備考
引用例2【0006】に「インジウム酸化物(In_(2)O_(3))」と記載されているように、引用例1に記載された発明の半導体層として酸化物半導体を採用した際に、インジウムを有する酸化物半導体層とするとこは、当業者が適宜為し得る事項である。

請求項5
引用例:1,2
備考
引用例1【0004】に「画素用薄膜トランジスタ6」および「画素電極5」と記載されているように、引用例1に記載された発明は、請求項5に記載された発明の「第3のトランジスタ」および「画素電極」と同様の構成を有していると認められる。

第4 本願発明
本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、本手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-5は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
第1のトランジスタと第2のトランジスタとを有し、
前記第1のトランジスタは、第1のゲート電極と、第1の酸化物半導体層とを有し、
前記第2のトランジスタは、第2のゲート電極と、第2の酸化物半導体層とを有し、
前記第1のゲート電極上及び前記第2のゲート電極上のゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上の前記第1の酸化物半導体層と、
前記ゲート絶縁層上の前記第2の酸化物半導体層と、
前記第1の酸化物半導体層は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域を有し、
前記第2の酸化物半導体層は、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有し、
前記第1の酸化物半導体層上及び前記第2の酸化物半導体層上の第1の導電層と、
前記第1の酸化物半導体層上及び前記第2の酸化物半導体層上の第2の導電層と、
前記第1のゲート電極として機能する部分を有する第3の導電層と、
前記第2のゲート電極として機能する部分を有する第4の導電層と、を有し、
前記第1の導電層は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域と、を有し、
前記第2の導電層は、第4の領域と、第5の領域と、第6の領域と、を有し、
前記第1の領域は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有し、
前記第2の領域は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有し、
前記第4の領域は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有し、
前記第5の領域は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有し、
前記第3の領域は第1の方向にのびており、
前記第1の領域及び前記第2の領域は、それぞれ前記第1の方向と交わる方向にのびており、
前記第6の領域は第2の方向にのびており、
前記第4の領域及び前記第5の領域は、それぞれ前記第2の方向と交わる方向にのびており、
前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続することで、前記第1のゲート電極は前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方に電気的に接続され、
前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続することで、前記第2のゲート電極は前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方に電気的に接続され、
前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続する部分は1つであり、
前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続する部分は1つであることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1のトランジスタと第2のトランジスタとを有し、
前記第1のトランジスタは、第1のゲート電極と、第1の酸化物半導体層とを有し、
前記第2のトランジスタは、第2のゲート電極と、第2の酸化物半導体層とを有し、
前記第1のゲート電極上及び前記第2のゲート電極上のゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上の前記第1の酸化物半導体層と、
前記ゲート絶縁層上の前記第2の酸化物半導体層と、
前記第1の酸化物半導体層は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域を有し、
前記第2の酸化物半導体層は、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有し、
前記第1の酸化物半導体層上及び前記第2の酸化物半導体層上の第1の導電層と、
前記第1の酸化物半導体層上及び前記第2の酸化物半導体層上の第2の導電層と、
前記第1のゲート電極として機能する部分を有する第3の導電層と、
前記第2のゲート電極として機能する部分を有する第4の導電層と、を有し、
前記第1の導電層は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域と、を有し、
前記第2の導電層は、第4の領域と、第5の領域と、第6の領域と、を有し、
前記第1の領域は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有し、
前記第2の領域は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有し、
前記第4の領域は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有し、
前記第5の領域は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有し、
前記第3の領域は第1の方向にのびており、
前記第1の領域及び前記第2の領域は、それぞれ前記第1の方向と交わる方向にのびており、
前記第6の領域は第2の方向にのびており、
前記第4の領域及び前記第5の領域は、それぞれ前記第2の方向と交わる方向にのびており、
前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続することで、前記第1のゲート電極は前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方に電気的に接続され、
前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続することで、前記第2のゲート電極は前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方に電気的に接続され、
前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続する部分は1つであり、
前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続する部分は1つであり、
前記第1の酸化物半導体層と前記第2の酸化物半導体層とは、それぞれインジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1の方向と前記第2の方向とは同じ方向であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタとは、保護回路に設けられることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
画素部を有し、
前記画素部は、第3のトランジスタと、前記第3のトランジスタと電気的に接続する画素電極とを有することを特徴とする半導体装置。」

第5 引用例、引用発明等
1 引用例1について
原査定の拒絶の理由に引用された特開平09-281525号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0052】図4は、静電破壊防止用の素子となる非線形抵抗素子34のうちドレイン信号線24側に設けられた非線形抵抗素子34の構成の一実施例を示す平面図である。
【0053】ここで、ドレイン信号線24と交差する部分の配線層32(A)においてはアルミニュウム(その表面は陽極酸化されている)で形成され、このアルミニュウムはゲート信号線22の形成時に同時に形成されるものとなっている。
【0054】同図において、第1非線形抵抗素子34Aは、ゲート信号線22の形成の際に同時に形成されたゲート電極70(但し、前記ゲート信号線22とは異なり、その表面には陽極酸化がなされていないものとなっている)と、このゲート電極70の一部を覆って形成された窒化シリコン膜と半導体層の順次積層体71と、この積層体71の上面に互いに離間して配置されて形成されるドレイン電極72およびソース電極73とで構成されている。
【0055】ドレイン電極72は、ドレイン信号線24と一体に形成されているとともに、このドレイン信号線24を介してゲート電極70と互いに接続されている。この接続は、保護膜38に形成したコンタクト孔によってゲート電極70の一部を露呈させ、この露呈させたゲート電極70の一部と前記ドレイン信号線24とをITO膜によって互いに接続させている。この場合のITO膜は、表示領域内の画素電極26の形成の際に同時に形成されるようになっている。
【0056】また、ソース電極73はドレイン信号線24の形成の際において同時に形成され、かつ配線層32(A)と接続されるようになっている。この場合の接続においても、保護膜38に形成したコンタクト孔によって配線層32(A)の一部を露呈させ、この露呈させた配線層32(A)の一部と前記ソース電極73とをITO膜によって互いに接続させている。この場合のITO膜も、表示領域内の画素電極26の形成の際に同時に形成されるようになっている。なお、この電気的接続を行うためには、いうまでもないが陽極酸化された配線層32(A)の場合、少なくとも該コンタクトホール部において、その表面は部分的に陽極酸化されてない部分を有する。
【0057】第2非線形抵抗素子34Bは、配線層32(A)の延在部として形成されるゲート電極75と、このゲート電極75上に形成される窒化シリコン膜と半導体層の順次積層体76と、この積層体76の上面に互いに離間して配置されて形成されるドレイン電極77およびソース電極78とで構成されている。
【0058】ドレイン電極77はドレイン信号線24の延在部として形成され、ソース電極78は、ドレイン信号線24の形成の際に同時に形成されるようになっている。
【0059】この場合のソース電極78は、前記第1非線形抵抗素子34Aにおけるソース電極と一体に形成され、したがって、配線層32(A)と接続が図れるようになっている。」
(2)したがって、上記引用例1には次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されていると認められる。
「ゲート電極70と、このゲート電極70の一部を覆って形成された窒化シリコン膜と半導体層の順次積層体71と、
前記積層体71の上面に互いに離間して配置されて形成されるドレイン電極72およびソース電極73であって、
前記ドレイン電極72は、ドレイン信号線24と一体に形成され、
前記ドレイン電極72は、保護膜38に形成したコンタクト孔によって前記ゲート電極70の一部を露呈させ、この露呈させた前記ゲート電極70の一部と前記ドレイン信号線24とをITO膜によって互いに接続させることにより、前記ドレイン信号線24を介して前記ゲート電極70とを互いに接続し、
前記ソース電極73は、前記保護膜38に形成したコンタクト孔によって配線層32(A)の一部を露呈させ、この露呈させた前記配線層32(A)の一部と前記ソース電極73とをITO膜によって互いに接続し、
前記配線層32(A)の延在部として形成されるゲート電極75と、このゲート電極75上に形成される窒化シリコン膜と半導体層の順次積層体76と、
前記積層体76の上面に互いに離間して配置されて形成されるドレイン電極77およびソース電極78であって、
前記ドレイン電極77は、前記ドレイン信号線24の延在部として形成され、
前記ソース電極78は、前記ソース電極73と一体に形成される
ことを特徴とする、静電破壊防止用の素子。」
2 引用例2(当審拒絶理由において引用例2として引用された文献)について
原査定の拒絶の理由および当審拒絶理由の拒絶の理由に引用された特開2007-096055号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0008】
酸化物半導体のような化合物半導体は、他のシリコンや有機半導体材料などの半導体材料と比較して、材料が安価であり作製工程も複雑化しないため、低コストで半導体装置を作製することができる。」
(2)したがって、上記引用例2には次の事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「酸化物半導体は、シリコンからなる半導体材料と比較して、低コストで半導体装置を作製することができること。」
3 引用例3について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-128654号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0248】
次に、駆動回路において、一部のTFTのゲート電極とソース電極又はドレイン電極とを接続させるために、第3のマスクを用いて第1の絶縁膜805、806の一部をエッチングして、図29に示すようなコンタクトホール850を形成する。なお、後に形成される第4の導電層831?833は破線で示す。第3のマスクは、第1のマスク又は第2のマスクと同様の形成方法を適宜用いることができる。該コンタクトホールを介してゲート電極として機能する第1の導電層802と、後に形成されるソース電極又はドレイン電極として機能する第4の導電層833を接続することにより、抵抗を形成することが可能となり、隣り合うTFTと接続されることで、インバータを形成することが可能である。」
(2)したがって、上記引用例3には次の事項(以下、「引用例3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「駆動回路において、一部のTFTのゲート電極とソース電極又はドレイン電極とを接続させるために、第1の絶縁膜805、806の一部をエッチングして、コンタクトホール850を形成し、該コンタクトホールを介してゲート電極として機能する第1の導電層802と、後に形成されるソース電極又はドレイン電極として機能する第4の導電層833を接続すること。」
4 引用例4について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-128665号公報(以下、「引用例4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0212】
次に、駆動回路において、一部のTFTのゲート電極とソース電極又はドレイン電極とを接続させるために、第3のマスクを用いて第1の絶縁膜805、806の一部をエッチングして、図27に示すようなコンタクトホール850を形成する。なお、後に形成される第3の導電膜831?833は破線で示す。第3のマスクは、第1のマスク又は第2のマスクと同様の形成方法を適宜用いることができる。該コンタクトホールを介してゲート電極802と、後に形成されるソース電極又はドレイン電極833を接続することにより、抵抗を形成することが可能となり、隣り合うTFTと接続されることで、インバータを形成することが可能である。」
(2)したがって、上記引用例4には次の事項(以下、「引用例4記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「駆動回路において、一部のTFTのゲート電極とソース電極又はドレイン電極とを接続させるために、第1の絶縁膜805、806の一部をエッチングして、コンタクトホール850を形成し、該コンタクトホールを介してゲート電極802と、後に形成されるソース電極又はドレイン電極833を接続すること。」
5 引用例5について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-340802号公報(以下、「引用例5」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0168】
(実施の形態7)
走査線側入力端子部と信号線側入力端子部とに保護ダイオードを設けた一態様について図21を参照して説明する。図21において画素2702にはTFT501、TFT502、容量素子504、発光素子503が設けられている。このTFTは実施の形態6と同様な構成を有している。
【0169】
信号線側入力端子部には、保護ダイオード561と保護ダイオード562が設けられている。この保護ダイオードは、TFT501若しくはTFT502と同様な工程で作製され、ゲートとドレイン若しくはソースの一方とを接続することによりダイオードとして動作させている。図21で示す上面図の等価回路図を図20に示している。
【0170】
保護ダイオード561は、ゲート電極層、半導体層、配線層から成っている。保護ダイオード562も同様な構造である。この保護ダイオードと接続する共通電位線554、共通電位線555はゲート電極層と同じ層で形成している。従って、配線層と電気的に接続するには、絶縁層にコンタクトホールを形成する必要がある。
【0171】
絶縁層へのコンタクトホールは、マスク層を形成し、エッチング加工すれば良い。この場合、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
【0172】
信号配線層はTFT501におけるソース及びドレイン配線層505と同じ層で形成され、それに接続している信号配線層とソース又はドレイン側が接続する構造となっている。
【0173】
走査信号線側の入力端子部も同様な構成である。入力段に設けられる保護ダイオードを同時に形成することができる。なお、保護ダイオードを挿入する位置は、本実施の形態のみに限定されず、駆動回路と画素との間に設けることもできる。
【0174】
以上のように、本発明を用いると、配線等のパターンを形成不良を生じることなく制御性よく安定して形成することが出来るので、保護回路を形成することで、配線等が複雑化し、密に形成される場合であっても、形成時の設置不良によるショートなどを生じることはない。よって、良好な電気的特性と高い信頼性とを有する表示装置を作製することができる。」
(2)したがって、上記引用例5には次の事項(以下、「引用例5記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「ゲートとドレイン若しくはソースの一方とを接続することによりダイオードとして動作する、保護ダイオード561であって、
保護ダイオード561は、ゲート電極層、半導体層、配線層から成っており、
共通電位線554はゲート電極層と同じ層で形成され、
ゲートと、ドレイン若しくはソースの一方とを接続するために、絶縁層にコンタクトホールを形成すること。」
6 引用例6(当審拒絶理由において引用例1として引用された文献)について
当審拒絶理由の拒絶の理由に引用された特開平9-230383号公報(以下、「引用例6」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0003】図5はアクティブマトリクスパネル複数個分に対応する大きさのガラス基板上に画素用薄膜トランジスタ等が形成された状態における等価回路的平面図を示したものである。アクティブマトリクスパネル複数個分に対応する大きさのガラス基板1は、最終的には一点鎖線で示すカットライン2に沿って切断されることにより、各単体に分断されるようになっている。この場合、カットライン2で囲まれた領域はパネル形成領域3となっており、その周囲は余剰部4となっている。
【0004】パネル形成領域3には、マトリクス状に配置された複数の画素電極5と、これら画素電極5にそれぞれ接続された複数の画素用薄膜トランジスタ6と、行方向に配置され、画素用薄膜トランジスタ6にゲート信号を供給する複数のゲートライン7と、列方向に配置され、画素用薄膜トランジスタ6にデータ信号を供給する複数のデータライン8と、行方向に配置され、画素電極5との間で補助容量部CSを形成する複数の補助容量ライン9と、複数の画素電極5の周囲に配置された保護リング10と、保護リング10の外側において保護リング10と各ゲートライン7にそれぞれ接続された2つずつの保護用薄膜トランジスタ11a、11bからなる複数のゲートライン側保護素子11と、保護リング10の外側において保護リング10と各データライン8にそれぞれ接続された2つずつの保護用薄膜トランジスタ12a、12bからなる複数のデータライン側保護素子12とが設けられている。余剰部4にはショートライン13が格子状に設けられている。
【0005】そして、各ゲートライン7の左端部および各データライン8の上端部はショートライン13に接続されている。各補助容量ライン9の右端部は、保護リング10の右辺部に平行して配置された共通ライン9aおよびこの共通ライン9aから延びる接続ライン9bを介してショートライン13に接続されている。ゲートライン側保護素子11は、それぞれのゲート電極Gとソース電極Sとを互いに接続された2つの保護用薄膜トランジスタ11a、11bが、それぞれのソース電極Sとドレイン電極Dとを互いに逆向きとされた状態で、ゲートライン7と保護リング10との間に並列接続された構造となっている。データライン側保護素子12は、それぞれのゲート電極Gとソース電極Sとを互いに接続された2つの保護用薄膜トランジスタ12a、12bが、それぞれのソース電極Sとドレイン電極Dとを互いに逆向きとされた状態で、データライン8と保護リング10との間に並列接続された構造となっている。
【0006】次に、このアクティブマトリクスパネルの各保護用薄膜トランジスタの部分の具体的な構造について図6および図7を参照しながら説明する。ただし、保護用薄膜トランジスタ11a、11b、12a、12bの構造はほぼ同じであるので、代表としてゲートライン側保護素子11の両保護用薄膜トランジスタ11a、11bの構造について説明する。ガラス基板1の上面には両保護用薄膜トランジスタ11a、11bの各ゲート電極Gが形成されている。また、ガラス基板1の上面には、ゲートライン7、およびショートライン13が形成されている。この状態では、ゲートライン7の左端部はショートライン13に接続され、一方の保護用薄膜トランジスタ11aのゲート電極Gはゲートライン7に接続されている。
【0007】ゲート電極G等を含むガラス基板1の上面全体には、図6では省略されているが、窒化シリコン等からなるゲート絶縁膜21が形成されている。各ゲート電極Gにそれぞれ対応する部分におけるゲート絶縁膜21の上面にはアモルファスシリコン等からなる半導体薄膜22が形成されている。各半導体薄膜22の上面中央部にはチャネル保護膜23が形成されている。各半導体薄膜22のチャネル保護膜23下の部分は真性領域からなるチャネル領域22aとされ、その両側はイオン注入領域からなるソース領域22bおよびドレイン領域22cとされている。各ソース領域22bおよび各ドレイン領域22cの上面にはソース側シリサイド層24およびドレイン側シリサイド層25が形成されている。チャネル保護膜23からある程度離れた部分におけるソース側シリサイド層24の上面にはソース側コンタクト用メタル層26を介してソース電極Sが形成され、チャネル保護膜23からある程度離れた部分におけるドレイン側シリサイド層25の上面にはドレイン側コンタクト用メタル層27を介してドレイン電極Dが形成されている。また、ゲート絶縁膜21の上面には保護リング10が形成されている。この状態では、一方の保護用薄膜トランジスタ11aのドレイン電極Dおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのソース電極Sは保護リング10に接続されている。
【0008】ところで、一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極(第2の配線)Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極(第2の配線)Dはゲート絶縁膜21に形成された複数のコンタクトホール28を介してゲートライン(第1の配線)7と接続されている。すなわち、保護リング10とショートライン13との間におけるゲートライン7の所定箇所にはアルミニウム合金等から一体に幅広部7aが形成され、この幅広部7aの一点鎖線で囲まれた部分に下側コンタクト部(第1のコンタクト部)31が形成されている。この場合、下側コンタクト部31を除く幅広部7aおよびゲートライン7の上面には、幅広部7aの一点鎖線で囲まれた部分に方形状のマスクを施した状態でゲートライン7を一方の電極として陽極酸化処理を行なうことにより酸化アルミニウム等からなる陽極酸化膜32が形成されている。
【0009】下側コンタクト部31に対応する部分のゲート絶縁膜21には複数(9つ)のコンタクトホール28が形成されている。下側コンタクト部31に対応する部分のゲート絶縁膜の上面にはコンタクト用メタル層33を介して上側コンタクト部(第2のコンタクト部)34が形成され、この上側コンタクト部34は各コンタクトホール28を介して下側コンタクト部34と接続されている。そして、上側コンタクト部34には一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極Dがそれぞれ接続されている。したがって、一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極Dは、上側コンタクト部34が各コンタクトホール28を介して下側コンタクト部31に接続されることで、ゲートライン7に接続されている。また、他方の保護用薄膜トランジスタ11bのゲート電極Gはゲート絶縁膜21に形成された単体のコンタクトホール35を介して保護リング10に接続されている。なお、上面全体には窒化シリコン等からなる絶縁膜36が形成されている。」
(2)「【0019】次に、図3および図4を参照して、この発明を適用したアクティブマトリクスパネルの第2実施形態について説明する。図3はこのアクティブマトリクスパネルの一部を示す平面図、図4は同アクティブマトリクスパネルの一部を示す断面図である。これらの図において、図6および図7と同一名称部分には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。このアクティブマトリクスパネルでは、保護リング10とショートライン13との間におけるゲートライン7の所定箇所の両側にゲートライン7と直交する方向に延出すると共に、先端部が180度折り曲げられて全体がほぼJ字状となった第1および第2の延出部51a、51bがアルミニウム合金等から一体に形成されている。各延出部51a、51bの先端部の一点鎖線で囲まれた部分にはゲートライン7に直交する短冊状の第1および第2の下側コンタクト部(第1のコンタクト部)52a、52bが形成されている。この場合、第1および第2の下側コンタクト部52a、52bを除く各延出部51a、51bおよびゲートライン7の上面には、各延出部51a、51bの先端部の一点鎖線で囲まれた部分に短冊状のマスクを施した状態でゲートライン7を一方の電極として陽極酸化処理を行なうことにより酸化アルミニウム等からなる陽極酸化膜32が形成されている。
【0020】各下側コンタクト部52a、52bに対応する部分におけるゲート絶縁膜21にはそれぞれ3つのコンタクトホール53a、53bからなる第1および第2のコンタクトホール群54a、54bが形成されている。この場合、コンタクトホール群54a、54bの各コンタクトホール53a、53bはゲートライン7に直交するように一列に配置されている。なお、図3において、ゲート絶縁膜21は省略されている。各下側コンタクト部52a、52bに対応する部分および両下側コンタクト部52a、52b間に対応する部分におけるゲート絶縁膜21の上面にはクロム等からなるコンタクト用メタル層55を介してアルミニウム合金等からなる短冊状の上側コンタクト部(第2のコンタクト部)56が形成され、この上側コンタクト部56が各コンタクトホール群54a、54bを介して下側コンタクト部52a、52bと接続されている。そして、上側コンタクト部56には一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極Dがそれぞれ接続されている。したがって、一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極Dは、上側コンタクト部56が各コンタクトホール53a、53bを介して下側コンタクト部52a、52bに接続されることで、ゲートライン7に接続されている。
【0021】このように、このアクティブマトリクスパネルでは、ゲートライン7の所定箇所にその両側からそれぞれゲートライン7と直交する方向に延出すると共に、先端部が180度折り曲げられて全体がほぼJ字状となった第1および第2の延出部51a、51bを形成し、これらの延出部51a、51bの先端部にゲートライン7と一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極Dとの間をコンタクトホール53a、53bを介して接続するための下側コンタクト部52a、52bを形成しているので、下側コンタクト部52a、52bをゲートライン7からより一層離すことができ、下側コンタクト部52a、52bでヒロックが発生してヒロックの部分から下側コンタクト部52a、52bが腐食しても、ゲートライン7が腐食するまでの時間が長くなり、ゲートライン7を腐食によって断線しにくくすることができる。また、ゲートライン7の両側にそれぞれ延出部51a、51bを形成し、これら延出部51a、51bの先端部を折り曲げて基端部と並列させ、各延出部51a、51bの先端部にそれぞれ下側コンタクト部52a、52bを形成したので、上側コンタクト部56等の他の配線を切断することなく延出部51a、51bを切断することができると共に、いずれか一方の延出部51a、51bを切断しても一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極Dをゲートライン7と接続することができ、いずれか一方の下側コンタクト部52a、52bの腐食が検査等で発見されたときは、腐食が発見された下側コンタクト部52a、52bが形成された延出部51a、51bを二点鎖線で示すようにレーザビーム等で切断することにより、腐食が発見された下側コンタクト部52a、52bをゲートライン7から分断し、ゲートライン7を腐食の進行によって断線しないようにすることができる。さらに、コンタクトホール53a、53bを下側コンタクト部52a、52bに一列に配置したので、下側コンタクト部52a、52bの面積を少なくすることができ、ヒロックの発生を少なくすることができる。」
(3)図3

(4)図4

(5)図4を参照すると、「上側コンタクト部56」と「保護用薄膜トランジスタ11a、11b」のそれぞれの「ソース電極S」および「ドレイン電極D」は同じ層に形成されており、また、「上側コンタクト部56には一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極Dがそれぞれ接続されている。」(【0020】)の記載から、「上側コンタクト部56」は、「保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極S」と「保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極D」に接続されているから、図3に示されているように、「上側コンタクト部56」は、「保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極S」と「保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極D」を有する構成であると認められる。
(6)図3を参照すると、「保護リング10」は、「一方の保護用薄膜トランジスタ11aのドレイン電極D」および「他方の保護用薄膜トランジスタ11bのソース電極S」と、一体に形成されていると言える。
(7)図3を参照すると、「保護用薄膜トランジスタ11aのゲート電極G」は「ゲートライン7」と一体に形成されていると言える。
(8)したがって、上記引用例6には次の発明(以下、「引用例6発明」という。)が記載されていると認められる。
「ガラス基板1の上面には、保護用薄膜トランジスタ11a、11bの各ゲート電極Gが形成され、
ガラス基板1の上面には、ゲートライン7、およびショートライン13が形成され、
ゲートライン7の左端部はショートライン13に接続され、
保護用薄膜トランジスタ11aのゲート電極Gはゲートライン7と一体に形成され、、
ゲート電極G等を含むガラス基板1の上面全体に、ゲート絶縁膜21が形成され、
各ゲート電極Gにそれぞれ対応する部分におけるゲート絶縁膜21の上面にはアモルファスシリコン等からなる半導体薄膜22が形成され、
各半導体薄膜22の上面中央部にはチャネル保護膜23が形成され、
各半導体薄膜22のチャネル保護膜23下の部分は真性領域からなるチャネル領域22aとされ、その両側はイオン注入領域からなるソース領域22bおよびドレイン領域22cとされ、
各ソース領域22bおよび各ドレイン領域22cの上面にはソース側シリサイド層24およびドレイン側シリサイド層25が形成され、
チャネル保護膜23からある程度離れた部分におけるソース側シリサイド層24の上面にはソース側コンタクト用メタル層26を介してソース電極Sが形成され、
チャネル保護膜23からある程度離れた部分におけるドレイン側シリサイド層25の上面にはドレイン側コンタクト用メタル層27を介してドレイン電極Dが形成され、
ゲート絶縁膜21の上面には、一方の保護用薄膜トランジスタ11aのドレイン電極Dおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのソース電極Sと一体に形成された保護リング10が形成され、
ゲートライン7の所定箇所の両側にゲートライン7と直交する方向に延出すると共に、先端部が180度折り曲げられて全体がほぼJ字状となった第1および第2の延出部51a、51bが一体に形成され、
各延出部51a、51bの先端部にゲートライン7に直交する短冊状の第1および第2の下側コンタクト部52a、52bが形成され、
各下側コンタクト部52a、52bに対応する部分におけるゲート絶縁膜21にはそれぞれ3つのコンタクトホール53a、53bからなる第1および第2のコンタクトホール群54a、54bが形成され、
各下側コンタクト部52a、52bに対応する部分および両下側コンタクト部52a、52b間に対応する部分におけるゲート絶縁膜21の上面にコンタクト用メタル層55を介して短冊状の上側コンタクト部56が形成され、
上側コンタクト部56は、一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極Dを有しており、
上側コンタクト部56が各コンタクトホール群54a、54bを介して下側コンタクト部52a、52bと接続され、
他方の保護用薄膜トランジスタ11bのゲート電極Gはゲート絶縁膜21に形成された単体のコンタクトホール35を介して保護リング10に接続されている、
保護用トランジスタ。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用例6発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用例6発明の「保護用薄膜トランジスタ11a」,「保護用薄膜トランジスタ11b」,「保護用薄膜トランジスタ11aのゲート電極G」,「保護用薄膜トランジスタ11bのゲート電極G」,「ゲート絶縁膜21」および「保護用トランジスタ」は、それぞれ本願発明1の「第1のトランジス」,「第2のトランジスタ」,「第1のゲート電極」,「第2のゲート電極」「前記第1のゲート電極上及び前記第2のゲート電極上のゲート絶縁層」および「半導体装置」に相当する。
イ 引用例6発明は「各ゲート電極Gにそれぞれ対応する部分におけるゲート絶縁膜21の上面にはアモルファスシリコン等からなる半導体薄膜22が形成され」ており、この「アモルファスシリコン等からなる半導体薄膜22」は半導体層であることにかわりないから、引用例6発明の「各ゲート電極Gにそれぞれ対応する部分におけるゲート絶縁膜21の上面にはアモルファスシリコン等からなる半導体薄膜22が形成され」ることと、本願発明1の「前記第1のトランジスタは、」「第1の酸化物半導体層とを有し、前記第2のトランジスタは、」「第2の酸化物半導体層とを有し」ていること、および、「前記ゲート絶縁層上の前記第1の酸化物半導体層と、前記ゲート絶縁層上の前記第2の酸化物半導体層と」は、「前記第1のトランジスタは、」「第1の」「半導体層とを有し、前記第2のトランジスタは、」「第2の」「半導体層とを有し」ている点、および、「前記ゲート絶縁層上の前記第1の」「半導体層と、前記ゲート絶縁層上の前記第2の」「半導体層と」を有している点で共通する。
また、引用例6発明は、「各半導体薄膜22のチャネル保護膜23下の部分は真性領域からなるチャネル領域22aとされ」ているから、本願発明1の「前記第1の酸化物半導体層は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域を有し、前記第2の酸化物半導体層は、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有し」ていることと、「前記第1の」「半導体層は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域を有し、前記第2の」「半導体層は、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有し」ている点で共通する。
ウ 引用例6発明は、「各下側コンタクト部52a、52bに対応する部分および両下側コンタクト部52a、52b間に対応する部分におけるゲート絶縁膜21の上面にコンタクト用メタル層55を介して短冊状の上側コンタクト部56が形成され、」「上側コンタクト部56は、一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極Dを有して」いるから、引用例6発明の「上部コンタクト部56」の「一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極S」、および、「上部コンタクト部56」の「他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極D」は、それぞれ、本願発明1の「前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有」する「第1の領域」、および、「前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有」する「第2の領域」に相当する。
また、引用例6発明の「上側コンタクト部56」は、短冊状をなしているから、本願発明1の「第1の方向にのびて」いる「第3の領域」に相当する領域を有していると認められる。
さらに、引用例6発明は、「各半導体薄膜22のチャネル保護膜23下の部分は真性領域からなるチャネル領域22aとされ、その両側はイオン注入領域からなるソース領域22bおよびドレイン領域22cとされ、各ソース領域22bおよび各ドレイン領域22cの上面にはソース側シリサイド層24およびドレイン側シリサイド層25が形成され、チャネル保護膜23からある程度離れた部分におけるソース側シリサイド層24の上面にはソース側コンタクト用メタル層26を介してソース電極Sが形成され、チャネル保護膜23からある程度離れた部分におけるドレイン側シリサイド層25の上面にはドレイン側コンタクト用メタル層27を介してドレイン電極Dが形成され、」ているから、「ソース電極S」および「ドレイン電極D」は、「各半導体薄膜22」の上に形成されていると言える。そうすると、引用例6発明の「上側コンタクト部56」は、本願発明1の「前記第1の酸化物半導体層上及び前記第2の酸化物半導体層上の第1の導電層」と、「前記第1の」「半導体層上及び前記第2の」「半導体層上の第1の導電層」である点で共通する。
加えて、引用例6発明の「上部コンタクト部56」の「一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極S」、および、「上部コンタクト部56」の「他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極D」は、短冊をなす「上側コンタクト部56」と交わる方向に形成されているから、このことは、本願発明1の「前記第1の領域及び前記第2の領域は、それぞれ前記第1の方向と交わる方向にのびて」いることに相当する。
エ 引用例6発明の「一方の保護用薄膜トランジスタ11aのドレイン電極D」、および、「他方の保護用薄膜トランジスタ11bのソース電極S」は、本願発明1の「前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有」する「第4の領域」、および、「前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有」する「前記第5の領域」に相当する。
また、「保護リング10」は、リングを形成しているから、本願発明1の「第2の方向にのびて」いる「第6の領域」に相当する領域を有していると認められる。
さらに、「保護リング10」は、「一方の保護用薄膜トランジスタ11aのドレイン電極Dおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのソース電極Sと一体に形成され」ており、また、上記「ウ」で検討したように、「ソース電極S」および「ドレイン電極D」は、「各半導体薄膜22」の上に形成されていると言えるから、引用例6発明の「保護リング10」は、本願発明1の「前記第1の酸化物半導体層上及び前記第2の酸化物半導体層上の第2の導電層」と、「前記第1の」「半導体層上及び前記第2の」「半導体層上の第2の導電層」である点で共通する。
加えて、引用例6発明の「保護リング10」の「一方の保護用薄膜トランジスタ11aのドレイン電極D」、および、「保護リング10」の「他方の保護用薄膜トランジスタ11bのソース電極S」は、リングを形成している「保護リング10」」と交わる方向に形成されているから、このことは、本願発明1の「前記第4の領域及び前記第5の領域は、それぞれ前記第2の方向と交わる方向にのびて」いることに相当する。
オ 引用例6発明は「保護用薄膜トランジスタ11aのゲート電極Gはゲートライン7と一体に形成され」ているから、引用例6発明の「ゲートライン7」は、本願発明1の「前記第1のゲート電極として機能する部分を有する第3の導電層」に相当する。
また、引用例6発明は、「ゲートライン7の所定箇所の両側にゲートライン7と直交する方向に延出すると共に、先端部が180度折り曲げられて全体がほぼJ字状となった第1および第2の延出部51a、51bが一体に形成され、各延出部51a、51bの先端部にゲートライン7に直交する短冊状の第1および第2の下側コンタクト部52a、52bが形成され、各下側コンタクト部52a、52bに対応する部分におけるゲート絶縁膜21にはそれぞれ3つのコンタクトホール53a、53bからなる第1および第2のコンタクトホール群54a、54bが形成され、各下側コンタクト部52a、52bに対応する部分および両下側コンタクト部52a、52b間に対応する部分におけるゲート絶縁膜21の上面にコンタクト用メタル層55を介して短冊状の上側コンタクト部56が形成され」ているから、「ゲートライン7」と「上側コンタクト部56」は直接接続されていると言える。
加えて、「上側コンタクト部56」は、「一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極S」を有しているから、「ゲートライン7」と「上側コンタクト部56」が直接接続されることにより、「ゲートライン7」の「保護用薄膜トランジスタ11aのゲート電極G」は「一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極S」に電気的に接続されていると言える。
そうすると、引用例6発明は、本願発明1の「前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続することで、前記第1のゲート電極は前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方に電気的に接続され」ることと、同様の構成を有していると認められる。
さらに、引用例6発明は、「ゲートライン7」と「上部コンタクト部56」は、「第1および第2のコンタクトホール群54a、54b」を介して直接接続されているから、このことは、本願発明1の「前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続する部分は1つであ」ることと、「前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続する部分」を有する点で共通する。
カ 引用例6発明の「他方の保護用薄膜トランジスタ11bのゲート電極G」は、本願発明1の「前記第2のゲート電極として機能する部分を有する第4の導電層」に相当する。
また、引用例6発明は、「他方の保護用薄膜トランジスタ11bのゲート電極Gはゲート絶縁膜21に形成された単体のコンタクトホール35を介して保護リング10に接続されている」から、このことは、本願発明1の「前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続することで、前記第2のゲート電極は前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方に電気的に接続され」ること、および、「前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続する部分は1つであること」に相当する。
キ したがって、本願発明1と引用例6発明とは、以下の点で一致し、また相違する。
[一致点]
「第1のトランジスタと第2のトランジスタとを有し、
前記第1のトランジスタは、第1のゲート電極と、第1の半導体層とを有し、
前記第2のトランジスタは、第2のゲート電極と、第2の半導体層とを有し、
前記第1のゲート電極上及び前記第2のゲート電極上のゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上の前記第1の半導体層と、
前記ゲート絶縁層上の前記第2の半導体層と、
前記第1の半導体層は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域を有し、
前記第2の半導体層は、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有し、
前記第1の半導体層上及び前記第2の半導体層上の第1の導電層と、
前記第1の半導体層上及び前記第2の半導体層上の第2の導電層と、
前記第1のゲート電極として機能する部分を有する第3の導電層と、
前記第2のゲート電極として機能する部分を有する第4の導電層と、を有し、
前記第1の導電層は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域と、を有し、
前記第2の導電層は、第4の領域と、第5の領域と、第6の領域と、を有し、
前記第1の領域は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有し、
前記第2の領域は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有し、
前記第4の領域は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有し、
前記第5の領域は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有し、
前記第3の領域は第1の方向にのびており、
前記第1の領域及び前記第2の領域は、それぞれ前記第1の方向と交わる方向にのびており、
前記第6の領域は第2の方向にのびており、
前記第4の領域及び前記第5の領域は、それぞれ前記第2の方向と交わる方向にのびており、
前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続することで、前記第1のゲート電極は前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方に電気的に接続され、
前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続することで、前記第2のゲート電極は前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方に電気的に接続され、
前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続する部分を有し、
前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続する部分は1つであることを特徴とする半導体装置。」
[相違点1]
本願発明1の「第1のトランジスタ」および「第2のトランジスタ」は、それぞれ「第1の酸化物半導体層」および「第2の酸化物半導体層」を有しているのに対して、引用例6発明はそうでない点。
[相違点2]
本願発明1は「前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続する部分は1つであ」るのに対して、引用例6発明はそうでない点。
(2)相違点についての判断
[相違点2]について以下に検討する。
引用例6発明は、
「ゲートライン7の所定箇所の両側にゲートライン7と直交する方向に延出すると共に、先端部が180度折り曲げられて全体がほぼJ字状となった第1および第2の延出部51a、51bが一体に形成され、各延出部51a、51bの先端部にゲートライン7に直交する短冊状の第1および第2の下側コンタクト部52a、52bが形成され、各下側コンタクト部52a、52bに対応する部分におけるゲート絶縁膜21にはそれぞれ3つのコンタクトホール53a、53bからなる第1および第2のコンタクトホール群54a、54bが形成され、各下側コンタクト部52a、52bに対応する部分および両下側コンタクト部52a、52b間に対応する部分におけるゲート絶縁膜21の上面にコンタクト用メタル層55を介して短冊状の上側コンタクト部56が形成され」ており、
この構成を有することにより、
「【0021】このように、このアクティブマトリクスパネルでは、ゲートライン7の所定箇所にその両側からそれぞれゲートライン7と直交する方向に延出すると共に、先端部が180度折り曲げられて全体がほぼJ字状となった第1および第2の延出部51a、51bを形成し、これらの延出部51a、51bの先端部にゲートライン7と一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極Dとの間をコンタクトホール53a、53bを介して接続するための下側コンタクト部52a、52bを形成しているので、下側コンタクト部52a、52bをゲートライン7からより一層離すことができ、下側コンタクト部52a、52bでヒロックが発生してヒロックの部分から下側コンタクト部52a、52bが腐食しても、ゲートライン7が腐食するまでの時間が長くなり、ゲートライン7を腐食によって断線しにくくすることができる。また、ゲートライン7の両側にそれぞれ延出部51a、51bを形成し、これら延出部51a、51bの先端部を折り曲げて基端部と並列させ、各延出部51a、51bの先端部にそれぞれ下側コンタクト部52a、52bを形成したので、上側コンタクト部56等の他の配線を切断することなく延出部51a、51bを切断することができると共に、いずれか一方の延出部51a、51bを切断しても一方の保護用薄膜トランジスタ11aのソース電極Sおよび他方の保護用薄膜トランジスタ11bのドレイン電極Dをゲートライン7と接続することができ、いずれか一方の下側コンタクト部52a、52bの腐食が検査等で発見されたときは、腐食が発見された下側コンタクト部52a、52bが形成された延出部51a、51bを二点鎖線で示すようにレーザビーム等で切断することにより、腐食が発見された下側コンタクト部52a、52bをゲートライン7から分断し、ゲートライン7を腐食の進行によって断線しないようにすることができる。さらに、コンタクトホール53a、53bを下側コンタクト部52a、52bに一列に配置したので、下側コンタクト部52a、52bの面積を少なくすることができ、ヒロックの発生を少なくすることができる。」
との効果を有している。
そのため、引用例6発明において、「ゲートライン7」と「上部コンタクト部56」とを直接接続する部分を1つとし、本願発明1と同様の構成とすることが容易であるとは言えない。
また、引用例1ないし5には、[相違点2]に係る構成を、引用例6発明に適用することが容易であるとの記載はないから、引用例6発明に引用例1ないし5の記載を適用し、相違点2に係る構成を想起することはできない。
そして、本願発明1は、[相違点2]に係る構成を有することで、「また、ゲート絶縁膜102に設けたコンタクトホール128を介して、ゲート電極111と同じ層で形成される走査線13と、非線形素子170aの第三端子(ドレイン)とを直接接続することで、接続に伴う界面の形成を一つに抑制できるだけでなく、接続のためのコンタクトホールの形成を一つに抑制できる。その結果、保護回路の機能を高め動作の安定化を図ることができるだけでなく、保護回路の占有面積を小さくして、表示装置の小型化を図ることができる。特に、保護回路を構成する非線形素子が3つ、4つに増えるほど、界面とコンタクトホールの数を抑制する効果が大きくなる。」(【0046】)という格別の効果を有するものである。
そうすると、[相違点2]に係る構成は、引用例1ないし6に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到したものであるとは言えない。
2 本願発明2について
(1)対比
本願発明2は、本願発明1に
「前記第1の酸化物半導体層と前記第2の酸化物半導体層とは、それぞれインジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する」
との限定を加えたものであるから、上記「1(1)対比」で検討したことに加え、以下の点が対応する。
ア 引用例6発明の「アモルファスシリコン等からなる半導体薄膜22」は、本願発明2の「前記第1の酸化物半導体層と前記第2の酸化物半導体層とは、それぞれインジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する」ことと、「前記第1の」「半導体層と前記第2の」「半導体層とを有する」点で共通する。
イ したがって、本願発明2と引用例6発明とは、以下の点で一致し、また相違する。
[一致点]
「第1のトランジスタと第2のトランジスタとを有し、
前記第1のトランジスタは、第1のゲート電極と、第1の半導体層とを有し、
前記第2のトランジスタは、第2のゲート電極と、第2の半導体層とを有し、
前記第1のゲート電極上及び前記第2のゲート電極上のゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上の前記第1の半導体層と、
前記ゲート絶縁層上の前記第2の半導体層と、
前記第1の半導体層は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域を有し、
前記第2の半導体層は、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有し、
前記第1の半導体層上及び前記第2の半導体層上の第1の導電層と、
前記第1の半導体層上及び前記第2の半導体層上の第2の導電層と、
前記第1のゲート電極として機能する部分を有する第3の導電層と、
前記第2のゲート電極として機能する部分を有する第4の導電層と、を有し、
前記第1の導電層は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域と、を有し、
前記第2の導電層は、第4の領域と、第5の領域と、第6の領域と、を有し、
前記第1の領域は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有し、
前記第2の領域は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有し、
前記第4の領域は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有し、
前記第5の領域は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有し、
前記第3の領域は第1の方向にのびており、
前記第1の領域及び前記第2の領域は、それぞれ前記第1の方向と交わる方向にのびており、
前記第6の領域は第2の方向にのびており、
前記第4の領域及び前記第5の領域は、それぞれ前記第2の方向と交わる方向にのびており、
前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続することで、前記第1のゲート電極は前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方に電気的に接続され、
前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続することで、前記第2のゲート電極は前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方に電気的に接続され、
前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続する部分を有し、
前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続する部分は1つであることを特徴とする半導体装置。」
[相違点3]
本願発明2の「第1のトランジスタ」および「第2のトランジスタ」は、それぞれ「第1の酸化物半導体層」および「第2の酸化物半導体層」を有し、「前記第1の酸化物半導体層と前記第2の酸化物半導体層とは、それぞれインジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有」しているのに対して、引用例6発明はそうでない点。
[相違点4]
本願発明2は「前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続する部分は1つであ」るのに対して、引用例6発明はそうでない点。
(2)相違点についての判断
[相違点4]について以下に検討する。
[相違点4]は、上記「1(2)相違点についての判断」で検討した[相違点2]と同じ相違点であるから、上記「1(2)相違点についての判断」で検討したとおり、[相違点4]に係る構成は、引用例1ないし6に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到したものであるとは言えない。
3 本願発明3ないし5について
本願発明3ないし5は、本願発明1もしくは2の発明特定事項を全て有する発明である。
してみれば、本願発明1および2が引用例1ないし6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明3ないし5も、引用例1ないし6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
本願発明1ないし5は、
「第1のトランジスタと第2のトランジスタとを有し、
前記第1のトランジスタは、第1のゲート電極と、第1の酸化物半導体層とを有し、
前記第2のトランジスタは、第2のゲート電極と、第2の酸化物半導体層とを有し、
前記第1のゲート電極上及び前記第2のゲート電極上のゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上の前記第1の酸化物半導体層と、
前記ゲート絶縁層上の前記第2の酸化物半導体層と、
前記第1の酸化物半導体層は、前記第1のトランジスタのチャネル形成領域を有し、
前記第2の酸化物半導体層は、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有し、
前記第1の酸化物半導体層上及び前記第2の酸化物半導体層上の第1の導電層と、
前記第1の酸化物半導体層上及び前記第2の酸化物半導体層上の第2の導電層と、
前記第1のゲート電極として機能する部分を有する第3の導電層と、
前記第2のゲート電極として機能する部分を有する第4の導電層と、を有し、
前記第1の導電層は、第1の領域と、第2の領域と、第3の領域と、を有し、
前記第2の導電層は、第4の領域と、第5の領域と、第6の領域と、を有し、
前記第1の領域は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有し、
前記第2の領域は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方として機能する領域を有し、
前記第4の領域は、前記第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有し、
前記第5の領域は、前記第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方として機能する領域を有し、
前記第3の領域は第1の方向にのびており、
前記第1の領域及び前記第2の領域は、それぞれ前記第1の方向と交わる方向にのびており、
前記第6の領域は第2の方向にのびており、
前記第4の領域及び前記第5の領域は、それぞれ前記第2の方向と交わる方向にのびており、
前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続することで、前記第1のゲート電極は前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方に電気的に接続され、
前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続することで、前記第2のゲート電極は前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方に電気的に接続され、
前記第3の導電層と前記第1の導電層とが直接接続する部分は1つであり、
前記第4の導電層と前記第2の導電層とが直接接続する部分は1つである」
という技術的事項を有する「半導体装置」である。
当該技術的事項は、前記「第5 引用例、引用発明等」で検討したとおり、原査定における引用例1ないし5には記載されておらず、本願出願日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし5は、当業者であっても、原査定における引用文献1ないし5に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-11-21 
出願番号 特願2014-88133(P2014-88133)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山口 大志岩本 勉  
特許庁審判長 深沢 正志
特許庁審判官 小田 浩
飯田 清司
発明の名称 半導体装置  
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