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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B |
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管理番号 | 1335024 |
審判番号 | 不服2017-6220 |
総通号数 | 217 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-01-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-28 |
確定日 | 2017-12-19 |
事件の表示 | 特願2012-208751「生体情報検査結果レポート、生体情報処理装置及び生体情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月10日出願公開、特開2014- 61180、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年9月21日の出願であって、平成28年6月27日付けで拒絶理由が通知され、同年9月2日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成29年1月30日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年4月28日に拒絶査定不服審判の請求がされ、それと同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 この出願の(平成29年4月28日付けの手続補正前の)請求項1?4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2004-16338号公報 引用文献2:特開2009-207528号公報 引用文献3:特開2007-190227号公報 具体的には、請求項1及び2に係る発明について、引用文献1に記載された発明に、引用文献2、3等に記載された周知技術である心臓図及び心電図波形並びにそれらの配置を適用する際に、人体図中の心臓心臓の位置に重ねることは当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず、心電波形と血圧脈波情報の配置について、医療用レポート等において、判り易く表示するようにすることは従来周知の課題であるから、そのために適切な配置として、「I誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形の配置位置よりも外側」に「被検者の血圧脈波情報」を配置することは当業者において設計的事項にすぎないとし、請求項3及び4に係る発明は、それぞれ請求項1に係る発明である生体情報検査結果レポートを作成する装置及びプログラムの発明であるから、同様に引用発明1及び周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるとするものである。 第3 本願発明 本願請求項1?3に係る発明は、上記平成29年4月28日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される発明であり、請求項1に係る発明は「生体情報検査結果レポート」の発明、請求項2に係る発明は、請求項1の生体情報検査結果レポートを出力させるレポート出力部を有する「生体情報処理装置」の発明、請求項3に係る発明は、請求項1の生体情報検査結果レポートを出力させる出力手順を有する「生体情報処理プログラム」として記載されており、ここで、請求項1に係る発明を記載すると、以下のとおりである。 「【請求項1】 1枚の用紙から成る生体情報検査結果レポートであって、 被検者のV1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導、I誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形を含む心電図波形を表示する心電図波形表示部と、 前記被検者の血圧脈波情報を表示する血圧脈波情報表示部と、 前記被検者に対して行われた心電図検査及び血圧脈波検査それぞれの検査結果に対する所見を表示する所見表示部と、 上方から見た心臓を表す絵図である第1の心臓図を表示する第1心臓図表示部と、 前方から見た心臓を表す絵図である第2の心臓図を、前記第1の心臓図とは異なる位置に表示する第2心臓図表示部と、 前方から見た人体を表す絵図である人体図を、その心臓位置が前記第2の心臓図の位置と一致するように表示する人体図表示部と、 を有し、 前記被検者のV1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導の波形は、前記第1の心臓図の周囲に配置され、 前記被検者のI誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形は、前記第2の心臓図の周囲に配置され、 前記被検者の血圧脈波情報は、血圧及び脈波の計測部位に対応付けて前記人体図の周囲に、かつ、前記人体図の心臓位置の周囲に配置されたI誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形の配置位置よりも外側に、配置されている、 生体情報検査結果レポート。」 第4 引用文献の記載事項 1 引用文献1について (1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。なお、下線は下記の引用発明の認定に関連する箇所として当審において付与した。 (1ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は全体として生体情報処理装置に関し、特に足関節上腕血圧比及び脈波伝播速度の測定結果を所定の形式で表示もしくはプリントするためのレポートデータを生成、出力する生体情報情報処理装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、足関節上腕血圧比(ABI:Ankle Brachial Index)は閉塞性動脈硬化症における下肢動脈狭窄や閉塞の程度を表す指標として、また脈波伝播速度(PWV:Pulse Wave Velocity)は動脈壁の硬さを表す指標として、それぞれ動脈硬化の診断に広く用いられている」。 (1イ)「【0005】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、このようなABI/PWV測定装置は一般に医師を対象として測定結果に関する情報を提供することを主眼において設計されているため、測定結果を関連する情報と共に提示するレポートに出力される情報を、専門知識のない患者やその家族が理解することは容易でない。」 (1ウ)「【0051】 (レポートの形式) 図2は、本実施形態に係る生体情報処理装置が出力するレポートの例を示す図である。レポートは大きく分けて以下の8つの領域から構成される。 【0052】 ・個人情報領域10 測定日時、被験者のID、氏名、年齢、性別、身長、体重やPWVの測定に用いた上述の血管長等を出力する領域である。 【0053】 ・測定結果数値領域20 四肢の血圧(最高/最低(平均))、脈圧、ABI、PWV及び脈拍数等の数値情報を、人体の模式図と共に、かつ測定位置と大まかに対応づけて出力する領域である。 【0054】 ・波形情報領域30 心電波形(ECG)、心音波形(PCG)及び脈波(右腕、右足及び左足)を出力する領域である。脈波の特徴点(立ち上がり点、切痕点)及び心音波形における第II音の立ち上がり点にはマークが付与される。これらの波形はPWVの測定時に取得した波形のうち、実際にPWVの算出に使用した部分に対応する。 【0055】 ・ABI、PWV詳細領域40 ABI、PWVについて、その測定結果を正常範囲の値、大まかな指標とともに表形式で出力する領域である。測定結果数値領域20においては単に数値しか出力しないのに対し、本領域ではABI、PWVの検査内容や正常値、また検査結果がどのような意味を持つと考えられるかが併せて出力されるため、専門的な知識のない者にも検査内容、結果及びその評価が理解しやすい。」 (1エ)「【0072】 【他の実施形態】 上述の実施形態においては、縦長の画面又は用紙等に出力する場合のレポート形式のみについて示したが、横長の画面又は用紙に出力することももちろん可能である。」 (1オ)図2として、以下の図面が記載されている。 (2)引用発明について ア 上記図2から、以下の事項が見て取れる。 図2には、前方から見た人体の模式図が記載されており、その中に、前方から見た心臓を表す絵図である心臓図があり、前記心臓図の位置は人体における心臓の位置と一致するように表示されている。 イ 上記摘記事項(1ア)?(1オ)及び上記アを踏まえれば、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「生体情報処理装置が用紙等に出力するレポートであって、 前方から見た人体の模式図が記載されており、その中に、前方から見た心臓を表す絵図である心臓図があり、前記心臓図の位置は人体における心臓の位置と一致するように表示されており、 心電波形(ECG)、心音波形(PCG)及び脈波(右腕、右足及び左足)を出力する領域である波形情報領域、 四肢の血圧(最高/最低(平均))、脈圧、ABI、PWV及び脈拍数等の数値情報を、前記人体の模式図と共に、かつ測定位置と大まかに対応づけて出力する領域である測定結果数値領域、 ABI、PWVの検査内容や正常値、また検査結果がどのような意味を持つと考えられるかが併せて出力されるABI、PWV詳細領域、 を有する、レポート。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、次の事項が記載されている。 (2ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 被検者から取得された標準12誘導心電図の波形を表示する波形表示部と、前記波形の所見を表示する所見表示部とを有する1枚の用紙から成る心電図解析レポートであって、 前記所見表示部は、 前記所見と共に、心臓の概観を表す概観図を表示し、 前記波形表示部は、 前記波形のうちI誘導、II誘導、III誘導、aVL誘導、aVR誘導及びaVF誘導の波形と組み合わせて、前方から見た心臓を表す前面図を表示し、 前記波形のうちV1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導及びV6誘導の波形と組み合わせて、上方から見た心臓を表す水平面図を表示する、 ことを特徴とする心電図解析レポート。 ・・・ 【請求項6】 前記波形表示部は、 前記I誘導、II誘導、III誘導、aVL誘導、aVR誘導及びaVF誘導の波形を、前記前面図の周囲に配置し、 前記V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導及びV6誘導の波形を、前記水平面図の周囲に配置する、 ことを特徴とする請求項1記載の心電図解析レポート。」 (2イ)「【0024】 図3は、レポート用紙上に印刷された心電図解析レポートの第1の例を示す図である。 ・・・ 【0029】 波形表示部162の四肢誘導波形表示部163は、標準12誘導心電図の波形のうち、I誘導、II誘導、III誘導、aVL誘導、aVR誘導及びaVF誘導の波形を表示すると共に、これらの波形と組み合わせて、心臓のイラストとして前面図172aを表示する。I誘導、II誘導、III誘導、aVL誘導、aVR誘導及びaVF誘導の各波形は、前面図172aの周囲に配置される。前面図172aを、I誘導、II誘導、III誘導、aVL誘導、aVR誘導及びaVF誘導の波形と組み合わせて表示し、さらにこれらの波形を図示したような電極位置に応じた順番で並置することにより、実際の心臓との位置関係について、波形間にどのような相対的な関係があるかを分かりやすくすることができる。 【0030】 波形表示部162の胸部誘導波形表示部164は、標準12誘導心電図の波形のうち、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導及びV6誘導の波形を表示すると共に、これらの波形と組み合わせて、心臓のイラストとして水平面図173aを表示する。V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導及びV6誘導の各波形は、水平面図173aの周囲に配置される。水平面図173aを、V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導及びV6誘導の波形と組み合わせて表示し、さらにこれらの波形を図示したような順番で並置することにより、実際の心臓との位置関係について、波形間にどのような相対的な関係があるかを分かりやすくすることができる。」 (2ウ)図3として、以下の図面が記載されている。 * 3 引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、次の事項が記載されている (3ア)「【0054】 (被験者向けレポート) 図6及び図7は、本実施形態の心電計が生成及び出力可能な被験者向けレポートの具体例を示す図である。 ・・・ 【0058】 なお、心拍数62aは必ずしも含めなくて良い。また、心拍数以外の一般的な生体情報、例えば血圧値を含めるようにしても良いし、心拍数と血圧値の両方を含めても良い。さらに、心拍数や血圧値のように、数値で表される情報は、標準値もしくは同一被検者の過去の測定値からのずれの大きさによって波形や脈の乱れと同様にマークで表すようにしても良い。」 (3イ)図6として、以下の図面が記載されている。 第5 対比・判断 1 本願発明について (1)対比 本願発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「生体情報処理装置が用紙等に出力する出力するレポート」は、上記摘記(1エ)の図2から1枚であることから、本願発明の「1枚の用紙から成る生体情報検査結果レポート」に相当する。 イ 引用発明の「心電波形(ECG)」「を出力する領域である波形情報領域」は、本願発明の「被検者の」「心電図波形を表示する心電図波形表示部」に相当する。 ウ 引用発明の「血圧(最高/最低(平均))」、「ABI」及び「PWV」「の数値情報を」「出力する領域である測定結果数値領域」は、本願発明の「被検者の血圧脈波情報を表示する血圧脈波情報表示部」に相当し、そして、引用発明の「血圧(最高/最低(平均))」、「ABI」及び「PWV」「の数値情報を」「人体の模式図と共に、かつ測定位置と大まかに対応づけて出力する」ことは、本願発明の「前記被検者の血圧脈波情報は、血圧及び脈波の計測部位に対応付けて前記人体図の周囲に」「配置されている」ことに相当する。 エ 引用発明の「ABI、PWVの検査内容や正常値、また検査結果がどのような意味を持つと考えられるかが併せて出力されるABI、PWV詳細領域」は、「検査結果がどのような意味を持つと考えられるか」を示すことはいわゆる「所見」だから、本願発明の「前記被検者に対して行われた血圧脈波検査の検査結果に対する所見を表示する所見表示部」に相当する。 オ 引用発明の「前方から見た人体の模式図」及び「前方から見た心臓を表す絵図である心臓図」は、本願発明の「前方から見た人体を表す絵図である人体図」及び「前方から見た心臓を表す絵図である第2の心臓図」に相当する。 そして、引用発明の「前方から見た心臓を表す絵図である心臓図」が「表示されて」いることは、本願発明の「前方から見た心臓を表す絵図である第2の心臓図を」「表示する第2心臓図表示部」があり、引用発明の「人体の模式図」「の中に」「心臓図の位置は人体における心臓の位置と一致するように表示されて」いることは、本願発明の「前記第2の心臓図の位置」と「人体図」「の心臓位置が」「一致するように表示する人体図表示部」があるといえる。 カ してみれば、本願発明と引用発明とは、 (一致点) 「1枚の用紙から成る生体情報検査結果レポートであって、 被検者の心電図波形を表示する心電図波形表示部と、 前記被検者の血圧脈波情報を表示する血圧脈波情報表示部と、 前記被検者に対して行われた血圧脈波検査の検査結果に対する所見を表示する所見表示部と、 前方から見た心臓を表す絵図である第2の心臓図を表示する第2心臓図表示部と、 前方から見た人体を表す絵図である人体図を、その心臓位置が前記第2の心臓図の位置と一致するように表示する人体図表示部と、 を有し、 前記被検者の血圧脈波情報は、血圧及び脈波の計測部位に対応付けて前記人体図の周囲に配置されている、 生体情報検査結果レポート。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1) 検査結果に対する所見を表示する所見表示部について、本願発明では、「心電図検査」の検査結果に対する所見も表示するのに対し、引用発明では、心電図検査の検査結果に対する所見は表示していない点。 (相違点2) 心臓図について、本願発明では、「上方から見た心臓を表す絵図である第1の心臓図を表示する第1心臓図表示部」があり、第2の心臓図は「前記第1の心臓図とは異なる位置」に表示されるのに対し、引用発明においては、前記第1の心臓図がない点。 (相違点3) 心電図波形及びその配置について、本願発明では、「V1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導、I誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形を含む」ものであり、「前記被検者のV1誘導、V2誘導、V3誘導、V4誘導、V5誘導、V6誘導の波形は、前記第1の心臓図の周囲に配置され」、「前記被検者のI誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形は、前記第2の心臓図の周囲に配置され」たものであるのに対し、引用発明では、「心電波形(ECG)」「を出力する領域である波形情報領域」としか記載されていない点。 (相違点4) 被検者の血圧脈波情報について、本願発明では、「I誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形」が「前記人体図の心臓位置の周囲に配置」され、その「配置位置よりも外側に、配置」されているのに対し、引用発明では、「心電波形(ECG)」が「前記人体図の心臓位置の周囲に配置」されておらず、「四肢の血圧(最高/最低(平均))、脈圧、ABI、PWV及び脈拍数等の数値情報」が人体の模式図と共に、かつ測定位置と大まかに対応づけて出力されている点。 (2)相違点の判断 事案に鑑み、上記相違点4について検討するに、上記引用文献2及び3のいずれにも、相違点4である「I誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形」が「前記人体図の心臓位置の周囲に配置」され、「被検者の血圧脈波情報」が、その「配置位置よりも外側に、配置」されていることについて記載も示唆もされていない。 上記引用文献2の摘記(2ア)?(2ウ)からは、被検者のI誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形は、前方から見た心臓を表す前面図の周囲に配置されているものの、それは「人体図の」心臓位置の周囲に配置されたものではない。 上記引用発明に引用文献2に記載されている事項を組み合わせたとしても、それによって導出されることは、引用発明の「前方から見た人体の模式図」とは、別途、I誘導、II誘導、III誘導、aVL誘導、aVR誘導及びaVF誘導の波形を周囲に配置するための前方から見た心臓を表す前面図をレポートに追加することであり、引用発明の「前方から見た人体の模式図」に「その中に、前方から見た心臓を表す絵図である心臓図」があるからといって、「前方から見た人体の模式図」の心臓位置の周囲に「I誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形」を配置することにはならない。 なぜならば、引用発明は、摘記(1ア)及び(1イ)に記載されているように、ABI及びPWVの検査結果を表示することを目的とした発明であり、引用発明には「ABI、PWVの検査内容や正常値、また検査結果がどのような意味を持つと考えられるかが併せて出力されるABI、PWV詳細領域」はあるが、「心電図検査」の検査結果に対する所見を表示する領域はないことからも、「心電波形」を解析することを主な目的とはしてない。してみれば、引用発明における「前方から見た人体の模式図」は、専らABI及びPWVの検査結果を表示するためのものとして描かれており、ABI及びPWVの検査結果を表示するための「前方から見た人体の模式図」を、その心臓位置の周囲に「I誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形」を配置するものとして用いることにはならない。 したがって、引用発明に引用文献2に記載されている事項を組み合わせたとしても、「I誘導、II誘導、III誘導、-aVR誘導、aVL誘導及びaVF誘導の波形」が「前記人体図の心臓位置の周囲に配置」され、「被検者の血圧脈波情報」が、その「配置位置よりも外側に、配置」されることは導出されず、その点、当業者が容易になし得たこととはいえない。 (3)まとめ したがって、本願発明は、その余の相違点について検討するまでもなく、当業者が引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項である周知技術に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。 2 請求項2及び3について 上記第3で述べたとおり、請求項2に係る発明は、請求項1の生体情報検査結果レポートを出力させるレポート出力部を有する「生体情報処理装置」の発明、請求項3に係る発明は、請求項1の生体情報検査結果レポートを出力させる出力手順を有する生体情報処理プログラムとして記載されていることから、本願発明と同じ理由により、請求項2及び3に係る発明は、当業者が引用発明及び引用文献2、3に記載された技術的事項である周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第6 原査定について 本願請求項1?3に係る発明は、当業者が、拒絶査定において引用された引用文献1?3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-12-04 |
出願番号 | 特願2012-208751(P2012-208751) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(A61B)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松本 隆彦、野田 洋平、▲高▼原 悠佑、佐藤 高之 |
特許庁審判長 |
伊藤 昌哉 |
特許庁審判官 |
三崎 仁 ▲高▼見 重雄 |
発明の名称 | 生体情報検査結果レポート、生体情報処理装置及び生体情報処理プログラム |
代理人 | 鷲田 公一 |