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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A01B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A01B
審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張  A01B
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  A01B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A01B
審判 全部申し立て 発明同一  A01B
審判 全部申し立て 特許請求の範囲の実質的変更  A01B
審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降)  A01B
管理番号 1335126
異議申立番号 異議2016-700979  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-10-11 
確定日 2017-10-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5976246号発明「作業機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5976246号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 特許第5976246号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5976246号の請求項1に係る特許についての出願は、平成27年9月4日(優先権主張 平成27年8月12日)に出願された特願2015-174637号の一部を、平成28年3月10日に新たな特許出願としたものであって、平成28年7月29日にその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人松山株式会社(以下「申立人」という。)より特許異議の申立てがされ、平成29年4月21日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年6月26日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して申立人から平成29年8月17日に意見書が提出されたものである。その後、申立人から平成29年9月28日に上申書が提出されている。


第2 訂正請求について
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)?(3)のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記ガススプリングがその中に位置する同一軸上で移動可能な第1の筒状部材と第2の筒状部材と」とあるのを、「前記ガススプリングがその中に位置し、前記第2の支点及び前記第3の支点を通る同一軸上で移動可能な第1の筒状部材と第2の筒状部材と」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「前記第2の筒状部材に設けられた第1の突部」とあるのを、「前記第2の筒状部材の外周に突設された第1の突部」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「前記第3の支点を回動中心とする第2の突部」とあるのを、「、前記第3の支点を回動中心とし、前記エプロンに台座を介して設けられた第2の突部」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項1は、「第1の筒状部材と第2の筒状部材」が「移動可能」な「同一線上」について、「前記第2の支点及び前記第3の支点を通る」ことに限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項1は、「第1の筒状部材と第2の筒状部材」が「移動可能」な位置を限定したものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 願書に添付した明細書又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
明細書の発明の詳細な説明の「・・・エプロン跳ね上げアシスト機構(補助機構)141は、主フレーム110に設けられた台座111による支点151と、エプロン130に設けられた台座134による支点152との間に設けられ、支点151と支点152の距離を変化させる力を作用させる。」(【0021】)、「跳ね上げアシスト機構141は、ガススプリング250の伸長方向の力を圧縮方向の力に変換するため、内側筒状部材210と外側筒状部材220とを組み合わせている。内側筒状部材210と外側筒状部材220とは、同一軸上で移動可能である。」(【0024】)、及び図2、3の記載から、訂正事項1は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項2は、「第1の突部」が「第2の筒状部材」に設けられた態様を、「外周に突設された」ことに限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項2は、「第1の突部」を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項2に関して、図5、6における外側筒状部材220(「第2の筒状部材」に相当)と図番号152の部材に隣接する部材(「第1の突部」に相当。以下「第1部材」という。)の相対的な位置関係に変化がないことから、第1部材が外側筒状部材220に設けられていることは明らかであり、また、図2、3における第1部材の設置位置や形状から見て、第1部材は外側筒状部材220の外周に突設されていることが見て取れるので、訂正事項2は、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項3は、「第2の突部」が設けられた態様を、「前記エプロンに台座を介して設けられた」ことに限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲の範囲を拡張し、又は変更するか否かについて
上記アで説示したように、訂正事項3は、「第2の突部」を限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項3に関して、図5、6における図番号152の部材(「第2の突部」に相当。以下「第2部材」という。)は、図2、3における第2部材の設置位置、及びエプロン130が跳ね上げられた前後における台座134との位置関係から見て、第2部材は台座134に設けられていると解することができ、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。

3 小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1?3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正を認める。


第3 当審の判断
1 取消理由通知に記載した取消理由1(特許法29条の2)について
(1)訂正後の請求項1に係る発明
本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
走行機体の後部に装着され、耕うんロータを回転させながら前記走行機体の前進走行に伴って進行して圃場を耕うんする作業機において、
前記作業機は前記走行機体と接続されるフレームと、
前記フレームの後方に設けられ、前記フレームに固定された第1の支点を中心にして下降及び跳ね上げ回動可能であり、その重心が前記第1の支点よりも後方にあるエプロンと、
前記フレームに固定された第2の支点と前記エプロンに固定された第3の支点との間に設けられ、前記第2の支点と前記第3の支点との距離を変化させる力を作用させることによって前記エプロンを跳ね上げる方向に力を作用させる、ガススプリングを含むアシスト機構とを具備し、
前記アシスト機構は、さらに、前記ガススプリングがその中に位置し、前記第2の支点及び前記第3の支点を通る同一軸上で移動可能な第1の筒状部材と第2の筒状部材とを有し、
前記第1の筒状部材には前記第2の支点と前記ガススプリングの一端とが接続され、前記第2の筒状部材には前記ガススプリングの他端が接続され、
前記第2の筒状部材の外周に突設された第1の突部が、前記第3の支点を回動中心とし、前記エプロンに台座を介して設けられた第2の突部に接触して前記第3の支点と前記第2の支点との距離を縮める方向に変化することにより、前記エプロンを跳ね上げるのに要する力は、エプロン角度が増加する所定角度範囲内において徐々に減少し、
前記ガススプリングは、前記エプロンが下降した地点において収縮するように構成されることを特徴とする作業機。」

(2)刊行物の記載
取消理由通知において引用した甲第1号証(特願2015-21893号(特開2016-28566号公報))には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付与。以下同様。)。

ア 「【0021】
農作業機1は、トラクタの後部の3点リンク部(農作業機昇降部)に脱着可能に連結される機体2と、この機体2に回転可能に設けられ所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体(ロータリー)3と、機体2に左右方向の軸(回動支点)5を中心として上下方向に回動可能に設けられ耕耘体3の後方で整地作業する板状の整地体(均平板)4とを備えている。
【0022】
また、農作業機1は、耕耘体3や整地体4等のメンテナンス時に作業者の人力による整地体4の持ち上げ(上方回動)をアシストする持上アシスト手段8を備えている。持上アシスト手段8は、例えば1本で、農作業機1の一方側である左側の位置において機体2と整地体4との間に設けられている。」

イ 「【0046】
そして、図3に示すように、例えばメンテナンス時等において、整地体4を軸5を中心として上方に回動させることによって最上げ位置(メンテナンス位置)まで持ち上げると、ストッパ装置53のストッパピン54が連結ロッド55のストッパピン用孔部に自動的に挿入され、その結果、整地体4が最上げ位置に位置決め固定される。」

ウ 「【0080】
また、農作業機1の持上アシスト手段8は、例えば図24ないし図33に示す第3の実施の形態のように、伸縮可能な付勢体であるガススプリング91の付勢力を利用して整地体4を上方側に付勢することによって、整地体4の持ち上げをアシストするものでもよい。
【0081】
そして、この持上アシスト手段8は、操作部材である操作レバー90の操作(例えば位置変更である回動)により、ガススプリング91が整地体4を上方側に付勢するアシストオン状態およびガススプリング91が整地体4を上方側に付勢しないアシストオフ状態に選択的に切換可能となっている。
【0082】
すなわち例えば、持上アシスト手段8は、操作レバー90の一方向への回動(例えば下方回動)によってアシストオフ状態(ロック状態)となり、操作レバー90の一方向とは反対方向である他方向への回動(例えば上方回動)によってアシストオン状態(ロック解除状態)となる。
【0083】
ここで、持上アシスト手段8は、細長い円筒状に形成された前後方向長手状の長尺体(インナーパイプ)93を有している。
【0084】
長尺体93は、機体2に左右方向の軸37を中心として上下方向に回動可能に設けられている。つまり、機体2の左側のフレームパイプ部18には取付部33が突設され、この取付部33に長尺体93の前端部が軸37を介して回動可能に取り付けられている。
【0085】
長尺体93は、例えば1本の丸パイプのみからなるものであり、この長尺体93の前端部には軸用孔部94が形成され、この軸用孔部94と取付部33の孔部分とに軸37が挿入され、この挿入された軸37を中心として長尺体93が機体2に対して上下方向に回動可能となっている。また、長尺体93の前後方向中間部には、この長尺体93の長手方向に沿った長孔状の案内長孔部95が形成されている。さらに、長尺体93の後端部には、ピン用孔部96が形成されている。
【0086】
そして、長尺体93内にガススプリング91が収納配設されており、その結果、このガススプリング91は、その全体が常に長尺体93によって覆われて保護されている。このガススプリング91は、窒素ガス等の高圧ガスが封入された本体部98と、この本体部98内に対して出入りするロッド部99とにて構成されている。
【0087】
ガススプリング91の本体部98の基端部にはピン用孔部100が形成されており、このピン用孔部100および長尺体93のピン用孔部96に挿入された取付ピン101と抜止めピン102とによって、ガススプリング91の本体部98が長尺体93に取り付けられている。
【0088】
また、持上アシスト手段8は、挿通孔部105を有する短筒状(例えば八角筒状)の回動体(タンブラ)106を有している。この回動体106は、整地体4の突出板28の上部における上方突出部分に回動可能に設けられている。
【0089】
回動体106は、挿通孔部105が形成された八角筒状の筒状部107と、この筒状部107の左右両側に外側方に向かって突設された左右方向の丸軸状の軸状部108とにて構成され、この各軸状部108が突出板28の取付孔部28aに回動可能に取り付けられている。そして、回動体106は、整地体4に対して左右方向の軸状部108を中心として回動可能となっている。
【0090】
さらに、持上アシスト手段8は、回動体106の挿通孔部105に挿通され長尺体93に対して移動可能(例えばスライド移動可能)な移動体(アウターパイプ)111を有している。この移動体111は、長尺体93の外側(外周側)にこの長尺体93の外周面に沿って前後方向(長尺体の長手方向)にスライド移動可能、つまり摺動可能に配設されている。
【0091】
移動体111は、外周側に回動体106がスライド移動可能に配設された前後方向長手状で円筒状の筒状部112を有し、この筒状部112の前端部にはピン用孔部113が形成されている。そして、そのピン用孔部113、ロッド部99のピン用孔部114および長尺体93の案内長孔部95に挿入された取付ピン115と抜止めピン116とによって、ガススプリング91のロッド部99が移動体111に取り付けられている。このため、移動体111を上方側へ向けて付勢するガススプリング91の伸縮に応じて、移動体111が長尺体93の外周面に沿ってスライド移動する(図31参照)。なおこのとき、取付ピン115が長尺体93の案内長孔部95にて案内される。
【0092】
また、筒状部112の前後方向中間部の外周面には、持上アシスト手段8のアシストオン状態時にガススプリング91の付勢力に基づいて回動体106を押し上げる円形環状の回動体当接部である鍔部118が突出状に固設されている。さらに、筒状部112の後端側には、規制板取付部120およびレバー取付部121が固設されている。なお、規制板取付部120は、ねじ孔部122が形成された略L字状のL字板123にて構成されている。レバー取付部121は、互いに離間対向する対をなす対向板124にて構成されている。
【0093】
そして、移動体111の規制板取付部120には、操作レバー90との当接によりこの操作レバー90の必要以上の回動を規制する規制部であるレバー規制板125が取付ねじ126にて取り付けられている。レバー規制板125には、取付孔部127および規制長孔部128が形成されている。
【0094】
また、移動体111のレバー取付部121には、作業者が把持して手動操作する略L字状の操作レバー90がオフ位置(下位置)およびオン位置(上位置)に回動可能に取り付けられている。
【0095】 ・・・
【0096】 ・・・
【0097】
また一方、レバー規制板125には、操作レバー90をオフ位置およびオン位置のいずれかの位置に位置決めする弾性変形可能な板状の弾性部材である板バネ136が取付手段137にて脱着可能に取り付けられているなお、取付手段137は、例えばボルト138、ナット139およびスペーサ140にて構成されており、レバー規制板125と板バネ136との間には隙間部135が存在している。
【0098】 ・・・
【0099】 ・・・
【0100】
そして、操作レバー90がオフ位置やオン位置に位置すると、板バネ136は弾性復元力により元の平板状に復帰し、この復帰した板バネ136によって操作レバー90がその所望位置(オフ位置およびオン位置のいずれかの位置)に位置決め保持される。
【0101】
また、図30から明らかなように、操作レバー90がオフ位置に位置した状態では、操作レバー90の一部である当接部90aが長尺体93の後端面93aに対向してこの後端面93aと当接しており、その結果、移動体111の長尺体93に対する移動が規制されている。しかし、操作レバー90をオフ位置からオン位置まで上方側へ回動させると、操作レバー90の当接部90aが長尺体93の後端面93aから離れ、この操作レバー90による移動体111の移動規制が解除される。
【0102】
なお、この図24ないし図33に示す第3の実施の形態に係る農作業機1のその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じである。
【0103】
そして、この第3の実施の形態に係る農作業機1を用いて耕耘整地作業をする作業時には、作業者は、操作レバー90を操作してオフ位置に位置させることによって、持上アシスト手段8をアシストオフ状態に設定する。
【0104】 ・・・
【0105】
このとき、操作レバー90の当接部90aが長尺体93の後端面93aと当接することでこの操作レバー90にて長尺体93に対する移動体111の前方移動が規制(つまりガススプリング91の伸びが規制)されているため、回動体106は、整地体4の上下回動に応じて、移動体111に対して前後方向にスライド移動する(図25参照)。つまり、回動体106が移動体111の筒状部112の外周面に沿って前後方向にスライド移動することによって、整地体4が機体2に対して軸5を中心として上下方向に回動する。
【0106】
また一方、例えば耕耘爪24の交換や整地体4の洗浄等のメンテナンス時には、作業者は、操作レバー90を操作してオン位置に位置させることによって、当接部90aを長尺体93の後端面93aから離して、持上アシスト手段8をアシストオン状態に設定する。
【0107】
すると、長尺体93に対する移動体111の前方移動が許容(つまりガススプリング91の伸びが許容)されることとなり、移動体111が鍔部118に当接した回動体106とともに長尺体93に対してガススプリング91の付勢力に基づいて前方へ移動し、その結果、整地体4がガススプリング91の付勢力に基づいて上方へ回動する(図27参照)。
【0108】
そして、作業者が整地体4を最上げ位置まで軽い人力で持ち上げると、ストッパ装置53によって整地体4がその最上げ位置に自動的にロックされる。なお、この例においても、整地体4は、ガススプリング91の付勢力のみによって最上げ位置まで上方回動しないため、作業者が最上げ位置まで人力で少し持ち上げる必要があるが、この際、ガススプリング91は、自由長(最大長さ)にはなっておらず、整地体4を上方側へ付勢しているため、作業者は、軽い人力で整地体4を最上げ位置まで持ち上げることが可能である。
【0109】
このように、第3の実施の形態に係る農作業機1でも、前記第1、2の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0110】
すなわち、例えばメンテナンス時等に操作レバー90の操作により持上アシスト手段8をアシストオン状態に切り換えると、このアシストオン状態の持上アシスト手段8が整地体4の持ち上げをアシストするため、作業者は整地体4を最上げ位置まで容易に持ち上げることができ、作業者の負担を軽減できる。
【0111】 ・・・
【0112】
さらに、操作レバー90がオフ位置に位置した持上アシスト手段8のアシストオフ状態時には、操作レバー90にて長尺体93に対する移動体111の移動が規制され、この移動が規制された移動体111に対して回動体106が整地体4の動きに応じて移動するため、持上アシスト手段8が整地体4による整地作業に悪影響を及ぼすことがない。
【0113】
また、操作レバー90がオン位置に位置した持上アシスト手段8のアシストオン状態時には、長尺体93に対する移動体111の移動が許容され、この移動が許容された移動体111が長尺体93に対して回動体106とともにガススプリング91の付勢力に基づいて移動するため、そのガススプリング91の付勢力を利用して整地体4の持ち上げを適切にアシストできる。」

エ 図24、図25において、軸5は、機体2の後方に設けられ、整地体4の前端部近傍にあることが見て取れる。

オ 図24、図25において、長尺体93及び移動体111は、軸37、軸状部108(取付孔部28a)を通る同一軸上にあることが見て取れる。

カ 図32、図33から、ピン用孔部96は長尺体93の下方に開口していることが見て取れる。

キ 以上の記載によれば、刊行物1には以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されていると認められる。

先願発明
「トラクタの後部に脱着可能に連結される機体と、この機体に回転可能に設けられ所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体(ロータリー)と、機体の後方に設けられた回動支点を中心として上下方向に回動可能に設けられ、耕耘体の後方で整地作業する板状の整地体(均平板)とを備えている農作業機であって、
前記回動支点は整地体の前端部近傍にあり、
作業者の人力による整地体の持ち上げ(上方回動)をアシストする持上アシスト手段を備えており、
持上アシスト手段は、操作レバーの一方向への回動(例えば下方回動)によってアシストオフ状態(ロック状態)となり、操作レバーの一方向とは反対方向である他方向への回動(例えば上方回動)によってアシストオン状態(ロック解除状態)となり、
持上アシスト手段は、細長い円筒状に形成された前後方向長手状の長尺体(インナーパイプ)、及び回動体の挿通孔部に挿通され長尺体に対してスライド移動可能な移動体(アウターパイプ)を有し、
長尺体は、機体に左右方向の軸を中心として上下方向に回動可能に設けられており、長尺体内にガススプリングが収納配設されており、このガススプリングは、窒素ガス等の高圧ガスが封入された本体部と、この本体部内に対して出入りするロッド部とにて構成され、本体部が長尺体に取り付けられ、
移動体は、外周側に回動体がスライド移動可能に配設された前後方向長手状で円筒状の筒状部を有し、この筒状部の前端部にはガススプリングのロッド部が取り付けられており、このため、移動体を上方側へ向けて付勢するガススプリングの伸縮に応じて、移動体が長尺体の外周面に沿ってスライド移動するようになっており、筒状部の前後方向中間部の外周面には、持上アシスト手段のアシストオン状態時にガススプリングの付勢力に基づいて回動体を押し上げる円形環状の回動体当接部である鍔部が突出状に固設されており、
回動体は、筒状部と、この筒状部の左右両側に外側方に向かって突設された左右方向の丸軸状の軸状部とにて構成され、この各軸状部が整地体の突出板の取付孔部に回動可能に取り付けられており、
長尺体及び移動体は、左右方向の軸、取付孔部を通る同一軸上にあり、
持上アシスト手段をアシストオン状態に設定することにより、長尺体に対する移動体の前方移動が許容(つまりガススプリングの伸びが許容)されることとなり、移動体が鍔部に当接した回動体とともに長尺体に対してガススプリングの付勢力に基づいて前方へ移動し、その結果、整地体がガススプリングの付勢力に基づいて上方へ回動する、
農作業機」


(3)対比
ア 先願発明の「農作業機」、「トラクタ」、「耕耘体」は、それぞれ本件発明の「作業機」、「走行機体」、「耕うんロータ」に相当する。

イ 先願発明の「機体」はトラクタの後部に脱着可能に取り付けられるものであると共に、耕耘体を回転可能に取り付けるものであるから、本件発明の「フレーム」に相当する。

ウ 先願発明の「回動支点」を中心として、耕耘体の後方で「整地体」が上下方向に回動するので、「回動支点」、「整地体」は、それぞれ本件発明の「第1の支点」、「エプロン」に相当する。

エ 先願発明の「持上アシスト手段」は、整地体の持ち上げ(上方回動)をアシストするので、本件発明の「アシスト機構」に相当する。

オ 先願発明の持上アシスト手段は「長尺体」(インナーパイプ)及び長尺体に対してスライド移動可能な「移動体」(アウターパイプ)を有していること、及び長尺体は機体に「左右方向の軸」を中心として上下方向に回動可能に設けられており、長尺体内に「ガススプリング」が収納配設されており、このガススプリングは、窒素ガス等の高圧ガスが封入された「本体部」と、この本体部内に対して出入りする「ロッド部」とにて構成され、本体部が長尺体に取り付けられていること、また、移動体は前後方向長手状で円筒状の筒状部を有し、この筒状部の前端部にはガススプリングのロッド部が取り付けられていることから、先願発明の「長尺体」、「移動体」、「左右方向の軸」、「ガススプリング」、「本体部」、「ロッド部」は、それぞれ本件発明1の「第1の筒状部材」、「第2の筒状部材」、「第2の支点」、「ガススプリング」、「シリンダー」、「ピストンロッド」、に相当する。

カ 先願発明の回動体は「筒状部」と、この筒状部の左右両側に外側方に向かって突設された左右方向の丸軸状の軸状部とにて構成され、この各軸状部が「整地体の突出板」の「取付孔部」に回動可能に取り付けられていること、及び移動体の筒状部の前後方向中間部の外周面には、持上アシスト手段のアシストオン状態時にガススプリングの付勢力に基づいて回動体を押し上げる円形環状の回動体当接部である「鍔部」が突出状に固設されていることから、先願発明の「(回動体の)筒状部」、「整地体の突出板」、「取付孔部」、「鍔部」は、それぞれ本件発明の「第2の突部」、「台座」、「第3の支点」、「第1の突部」に相当する。

キ 先願発明において「回動支点は整地体の前端部近傍に設けられて」いることから、整地体の重心が回動支点よりも後方にあることは明らかであり、先願発明は本件発明の(エプロンの)「重心が前記第1の支点よりも後方にある」との構成を有している。

ク 先願発明の「長尺体に対する移動体の前方移動が許容(つまりガススプリングの伸びが許容)されることとなり、移動体が鍔部に当接した回動体とともに長尺体に対してガススプリングの付勢力に基づいて前方へ移動し、その結果、整地体がガススプリングの付勢力に基づいて上方へ回動する」との構成から、「左右方向の軸」と「取付孔部」との距離を変化させる力を作用させることで整地体を跳ね上げる方向に力を作用させていること、及び整地体が下降した場合にはガススプリングは収縮していることは明らかであり、先願発明は本件発明の「前記フレームに固定された第2の支点と前記エプロンに固定された第3の支点との間に設けられ、前記第2の支点と前記第3の支点との距離を変化させる力を作用させることによって前記エプロンを跳ね上げる方向に力を作用させる、ガススプリングを含むアシスト機構とを具備し」、「前記ガススプリングは、前記エプロンが下降した地点において収縮するように構成される」との構成を有している。

ケ これらのことから、本件発明と先願発明は
「走行機体の後部に装着され、耕うんロータを回転させながら前記走行機体の前進走行に伴って進行して圃場を耕うんする作業機において、
前記作業機は前記走行機体と接続されるフレームと、
前記フレームの後方に設けられ、前記フレームに固定された第1の支点を中心にして下降及び跳ね上げ回動可能であり、その重心が前記第1の支点よりも後方にあるエプロンと、
前記フレームに固定された第2の支点と前記エプロンに固定された第3の支点との間に設けられ、前記第2の支点と前記第3の支点との距離を変化させる力を作用させることによって前記エプロンを跳ね上げる方向に力を作用させる、ガススプリングを含むアシスト機構とを具備し、
前記アシスト機構は、さらに、前記ガススプリングがその中に位置し、前記第2の支点及び前記第3の支点を通る同一軸上で移動可能な第1の筒状部材と第2の筒状部材とを有し、
前記第1の筒状部材には前記第2の支点と前記ガススプリングの一端とが接続され、前記第2の筒状部材には前記ガススプリングの他端が接続され、
前記第2の筒状部材の外周に突設された第1の突部が、前記第3の支点を回動中心とし、前記エプロンに台座を介して設けられた第2の突部に接触して前記第3の支点と前記第2の支点との距離を縮める方向に変化するものであって、
前記ガススプリングは、前記エプロンが下降した地点において収縮するように構成されることを特徴とする作業機。」
の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
本件発明は「エプロンを跳ね上げるのに要する力は、エプロン角度が増加する所定角度範囲内において徐々に減少」するのに対し、先願発明はそのような構成が特定されていない点。

(4)判断
上記相違点1について検討する。

ア 先願発明においては、明細書において「エプロンを跳ね上げるのに要する力」に関連して、「【0107】すると、・・・移動体111が鍔部118に当接した回動体106とともに長尺体93に対してガススプリング91の付勢力に基づいて前方へ移動し、その結果、整地体4がガススプリング91の付勢力に基づいて上方へ回動する(図27参照)。【0108】そして、作業者が整地体4を最上げ位置まで軽い人力で持ち上げると、ストッパ装置53によって整地体4がその最上げ位置に自動的にロックされる。なお、この例においても、整地体4は、ガススプリング91の付勢力のみによって最上げ位置まで上方回動しないため、作業者が最上げ位置まで人力で少し持ち上げる必要があるが、この際、ガススプリング91は、自由長(最大長さ)にはなっておらず、整地体4を上方側へ付勢しているため、作業者は、軽い人力で整地体4を最上げ位置まで持ち上げることが可能である。」(上記(2)ウ参照。以下「先願明細書記載1」という。)と記載されているものの、「エプロンを跳ね上げるのに要する力」が「徐々に減少」するとは明記されておらず、また、先願明細書の記載から見て、自明の事項あるいは記載されているに等しい事項とまではいえない。
したがって、本件発明の「所定角度範囲内」を、エプロン角度が増加する「ある一部の角度範囲内」、あるいは「全角度範囲内」のいずれに解したとしても、先願発明において、そのような角度範囲内において「エプロンを跳ね上げるのに要する力」を「徐々に減少」することが特定されているとはいえない。
また、上記相違点1に係る構成については、他の証拠も提示されていない。

イ 相違点1に関して、申立人は「そこで、甲第1号証に記載された『第1の支点』、『第2の支点』及び『第3の支点』をみると、これら3つの各支点の位置関係は、本件訂正発明の3つの各支点の位置関係と同じである・・・それゆえ、甲1発明においても、本件訂正発明と同様、エプロン(整地体4)を跳ね上げるのに要する力は、エプロン角度が増加する所定角度範囲内において徐々に減少する。」(意見書5頁14?19行)と主張する。
確かに、本件発明と先願発明は、それぞれの実施例(図面)において、アシスト機構の構成が、第1の支点、第2の支点、第3の支点、第1の筒状部材、第2の筒状部材、ガススプリング、第1の突部、第2の突部を含めて、相対的な位置関係が近似しており、それらの位置関係の比較だけで見れば、両者のアシスト機構の本質的な機能は同様であると考えることもできる。
しかしながら、「エプロンを跳ね上げるのに要する力」については、上記のような相対的な位置関係だけではなく、本件明細書に「【0028】・・・上記説明したガススプリング250は圧縮状態の力のほうが、伸長状態の力よりも大きいが、支点152が支点151に近づくにつれ、所定の回転角度に対する支点152の移動距離が大きくなるため、「てこの原理」により、逆の特性(エプロン角度が大きくなるほどアシスト機構が作用する力1が大きくなる。)を奏する。」とも記載されており、ガススプリングの反発力をどの程度に設定するか、エプロンを跳ね上げる際にガススプリングがどの範囲で伸縮するようにするか、ガススプリングのエプロンに対する取付角度をどの程度にするか、などの他の要因によっても大きな影響を受けるため、相対的な位置関係が近似しているのみでは、先願発明において、相違点1に係る「エプロンを跳ね上げるのに要する力」が「徐々に減少」するとは限らない。
そして、先願明細書には上記他の要因についてどのように設定するかは格別説明されておらず、先願発明において「エプロンを跳ね上げるのに要する力」をどのように制御しているのか詳細に確認できないこと、及び上記先願明細書記載1からも「エプロンを跳ね上げるのに要する力」が「徐々に減少」するように設定されているとは解することができないことから、相違点1に係る構成を先願発明が有しているとまではいえない。
また、意見書の参考説明図において、「F_(1)sinθ_(1)×L<F_(2)sinθ_(2)×L」の関係を示しているが、この関係式は、ガススプリングの反力F_(1)、F_(2)及び角度θ_(1)、θ_(2)の組み合わせにより、満たす場合と満たさない場合があり得るので、そのような意味でも、相対的な位置関係が近似しているのみでは、本件発明のようになるとまではいえない。

ウ また、申立人は、「ガススプリングは、ばね定数が小さく、広範囲のストロークにわたって略一定の弾性力(バネ力)が得られることは、当業者にとって技術常識である。それゆえ、別紙添付の[追加参考説明図]に示すように、甲1発明においても、ガススプリングの力F(F_(1),F’,F_(2))の大きさは、略一定(徐々に現象するが減少量は小さい)であるから、その力Fの方向に沿った線と、第1の支点と第3の支点とを結んだ線とがなす角度(黄色線と緑色の線とのなす角度(θ_(1),θ’,θ_(2))θが鋭角範囲内で徐々に増加する場合には、ガススプリングの分力Fsinθも、同様に徐々に増加するため、常に上記関係式を満たす。したがって、当業者の技術常識(ガススプリングの特性)を考慮すれば、甲1発明において、『エプロンを跳ね上げるのに要する力』が『徐々に減少』することは明らかというべきである。」(上申書5頁5?16行)とも主張する。
しかしながら、ガススプリングのばね定数は、一般的に、コイルスプリングのばね定数と比べて小さいものではあるが、そのばね定数がどの程度の値をとるかは、求められる性能に応じて、ガススプリングの各構成部材を設計して決定するものであるところ、ガススプリングの詳細が先願明細書に記載されていない先願発明のガススプリングのばね定数は不明であるから、そのガススプリングの弾性力が、広範囲のストロークにわたってどの程度変化するのかも不明である。
また、「エプロンを跳ね上げるのに要する力」は、上記イで説示したとおり他の要因も関係することから、先願発明において、「エプロンを跳ね上げるのに要する力」が「徐々に減少」することが明らかとはいえない。

エ よって、先願発明は、相違点1に係る構成を有していない。

(5)小括
したがって、本件発明は、上記先願発明と同一ではなく、特許法第29条の2の規定に違反してされたものではない。

2 取消理由通知に記載した取消理由2(特許法第29条第1項第3号又は第2項)について
(1)分割要件
取消理由2は、本件特許の出願が、分割要件を満たしておらず、出願日の遡及が認められないことを前提とするものであるから、まず、分割要件について検討する。

ア 分割要件を満たさない理由として、特許異議申立書において、申立人は以下(A)及び(B)の理由を主張している。
(A)本件請求項1中の「前記第2の筒状部材には前記ガススプリングの他端が接続され」との記載は、原出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「原出願当初明細書」という。)に記載された事項の範囲内のものではない。
すなわち、【0024】及び図5の記載によれば、第2の筒状部材(外側筒状部材220)として、「第3の支点とガススプリングの他端とが接続される第2の筒状部材」しか開示されていない。
しかしながら、本件請求項1には、原出願当初明細書の請求項1にあった「前記第3の支点と」という文言がないことから、本件請求項1の記載では、「(第3の支点は接続されずに)ガススプリングの他端のみが接続される第2の筒状部材」を含むこととなる。
したがって、本件請求項1の記載は、原出願当初明細書には開示がなかった新たな技術的事項を追加するものである。(18頁11行?19頁2行)

(B)本件請求項1中の「第1の突部が前記第3の支点を回動中心とする第2の突部に接触して」との記載は、次のとおり、原出願当初明細書に記載された事項の範囲内のものではない。(19頁6?8行)
(a)まず、原出願当初明細書のどこをみても、「第1の突部」及び「第2の突部」という文言は見当たらず、これらの説明文も皆無である。(19頁9?11行)
(b)次に、本件請求項1中の「第1の突部が・・・第2の突部に接触」するとは、第1の突部が第2の突部から離れることが前提となる。
しかしながら、「第1の突部」と「第2の突部」は、原出願当初明細書のいずれの図面をみても、互いに固定した状態、つまり、第1の突部が第2の突部から離れることについての開示はない。
したがって、第2突部から離れていた第1の突部が移動して第2の突部に接触することは、原出願当初明細書の記載から自ずと導き出される事項ではない。(21頁1?8行)

イ 上記アの主張について検討する。
(ア)上記(A)について
申立人が主張するとおり、上記指摘箇所だけみれば、「第2の筒状部材」に「第3の支点」が接続されているとの記載が省かれているが、「第2の筒状部材」と「第3の支点」の関連について、本件請求項1において、「前記第2の筒状部材の外周に突設された第1の突部が、前記第3の支点を回動中心とし、前記エプロンに台座を介して設けられた第2の突部に接触して前記第3の支点と前記第2の支点との距離を縮める方向に変化することにより、」とも記載され、より詳細に充当されていることから、本件請求項1に「前記第3の支点と」との文言がないことをもって、原出願当初明細書には開示がなかった新たな技術的事項を追加するものとはいえない。

(イ)上記(B)について
申立人が主張するように、原出願当初明細書において「第1の突部」、「第2の突部」との用語は用いられていない。一方で、原出願当初明細書の図2、図3、図5、図6から、(第3の)支点152周辺に2つの突部があることが見て取れることから、これらを「第1の突部」、「第2の突部」とすることは、原出願当初明細書に記載された事項から逸脱したものとはいえない。
また、「第1の突部」と「第2の突部」とが接触するかについて検討すると、原出願当初明細書の図2、図3、図5、図6における「第1の突部」と「第2の突部」、(第3の)支点152の移動範囲、回動範囲及びロータリ作業機等の農作業機の技術常識に基づけば、「第1の突部」と「第2の突部」とは、それらの相互位置が固定されたものとは認められない。よって、「第1の突部」と「第2の突部」とが接触することは、原出願当初明細書の記載から導き出される事項である。

(2)小括
以上のとおり、上記(1)アで挙げた、原出願当初明細書に記載された事項の範囲内のものではないと主張する記載事項は、原出願当初明細書に記載した事項の範囲内のものであるから、本件特許の出願は、分割要件を満たした適法な分割出願であって、出願日の遡及が認められるものである。
したがって、甲第1号証は、本件特許の遡及した出願日後に頒布された刊行物であるから、本件発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するか、または、同条第2項の規定により、特許を受けることができないものではない。

3 取消理由通知に記載した取消理由3(特許法第36条第6項第2項)について
(1)明確性要件違反の主張の概要
申立人は、明確性要件を満たさない理由として、特許異議申立書において、本件特許の請求項1に記載された「(エプロンに固定された)第3の支点を回動中心とする第2の突部」とは、何処に設けられて何に対して突出した部分であるのか何等特定されておらず、具体的にどの突出部分を意味するのか不明であり、また、「第3の支点」は、「エプロンに固定された」ものであるが、このエプロンに対して固定された「第3の支点」と、この第3の支点を回動中心とする「第2の突部」との関係が不明である旨、主張している。(23頁4?16行)

(2)明確性要件違反の判断
上記2(1)イ(イ)で説示したとおり、「第1の突部」、「第2の突部」、「第3の支点」の関係性については、本件図2、図3、図5、図6の記載及び技術常識に基づいて理解できるものであり、本件特許請求の範囲の記載は明確である。
以上のとおりであるから、本件発明は明確でないとはいえず、特許法第36条第6項第2項に規定する要件を満たしている。


第4 むすび
以上のとおりであるから、平成29年4月21日付け取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、証拠によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に装着され、耕うんロータを回転させながら前記走行機体の前進走行に伴って進行して圃場を耕うんする作業機において、
前記作業機は前記走行機体と接続されるフレームと、
前記フレームの後方に設けられ、前記フレームに固定された第1の支点を中心にして下降及び跳ね上げ回動可能であり、その重心が前記第1の支点よりも後方にあるエプロンと、
前記フレームに固定された第2の支点と前記エプロンに固定された第3の支点との間に設けられ、前記第2の支点と前記第3の支点との距離を変化させる力を作用させることによって前記エプロンを跳ね上げる方向に力を作用させる、ガススプリングを含むアシスト機構とを具備し、
前記アシスト機構は、さらに、前記ガススプリングがその中に位置し、前記第2の支点及び前記第3の支点を通る同一軸上で移動可能な第1の筒状部材と第2の筒状部材とを有し、
前記第1の筒状部材には前記第2の支点と前記ガススプリングの一端とが接続され、前記第2の筒状部材には前記ガススプリングの他端が接続され、
前記第2の筒状部材の外周に突設された第1の突部が、前記第3の支点を回動中心とし、前記エプロンに台座を介して設けられた第2の突部に接触して前記第3の支点と前記第2の支点との距離を縮める方向に変化することにより、前記エプロンを跳ね上げるのに要する力は、エプロン角度が増加する所定角度範囲内において徐々に減少し、
前記ガススプリングは、前記エプロンが下降した地点において収縮するように構成されることを特徴とする作業機。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-10-19 
出願番号 特願2016-46843(P2016-46843)
審決分類 P 1 651・ 855- YAA (A01B)
P 1 651・ 161- YAA (A01B)
P 1 651・ 841- YAA (A01B)
P 1 651・ 854- YAA (A01B)
P 1 651・ 851- YAA (A01B)
P 1 651・ 121- YAA (A01B)
P 1 651・ 113- YAA (A01B)
P 1 651・ 537- YAA (A01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中村 圭伸  
特許庁審判長 井上 博之
特許庁審判官 住田 秀弘
小野 忠悦
登録日 2016-07-29 
登録番号 特許第5976246号(P5976246)
権利者 小橋工業株式会社
発明の名称 作業機  
代理人 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ  
代理人 樺澤 聡  
代理人 樺澤 襄  
代理人 山田 哲也  
代理人 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ  
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