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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01G
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G01G
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01G
管理番号 1335170
異議申立番号 異議2017-700905  
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-09-22 
確定日 2017-12-08 
異議申立件数
事件の表示 特許第6101586号発明「粉粒体材料の配合装置及び粉粒体材料の配合方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6101586号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6101586号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし請求項5に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明5」といい、本件発明1ないし本件発明5を併せて「本件発明」という。)は、平成25年7月18日に特許出願され、平成29年3月3日にその特許権の設定登録がされ、同22日にその特許掲載公報が発行された。
これに対して、同年9月22日に特許異議申立人門脇俊雄による特許異議の申立てがされた。

第2 本件発明
本件発明1ないし本件発明5は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
粉粒体材料をそれぞれに貯留し、予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給する複数の計量供給機と、
これら複数の計量供給機から計量供給される複数種の粉粒体材料が投入される投入部と、
前記複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部と、
該質量検出部の検出値に基づいて、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値を算出し、該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる制御部と、
を備えていることを特徴とする粉粒体材料の配合装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記所定の動作として、表示部への前記計量区分値の表示、出力可能なように記憶部への該計量区分値の格納、及び該計量区分値が所定の上下限範囲内であるか否かの判別、のうちの少なくとも一つを実行させ、前記判別を実行させた場合において前記計量区分値が前記上下限範囲外であれば異常報知及び計量停止の両方または一方を実行させることを特徴とする粉粒体材料の配合装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記制御部は、操作部から入力された任意の監視区分時間または任意の監視区分質量を前記所定区分として設定することを特徴とする粉粒体材料の配合装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記制御部は、前記質量検出部の検出値に基づいて、前記各計量供給機の単位時間当たりにおける供給量を変更制御することを特徴とする粉粒体材料の配合装置。
【請求項5】
粉粒体材料をそれぞれに貯留する複数の計量供給機から予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給させて投入部に投入させ、複数種の粉粒体材料を配合する粉粒体材料の配合方法であって、
前記複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部の検出値に基づいて、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値を算出し、該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行することを特徴とする粉粒体材料の配合方法。」

なお、本件発明2ないし本件発明4は、いずれも本件発明1の構成を全て含む。また、本件発明5は、本件発明1に係る「配合装置」の動作を方法の発明として表現したものである。

第3 特許異議申立ての理由の概要
1 証拠
甲1文献:特開昭60-147225号公報
甲2文献:特開2012-254399号公報
甲3文献:特開昭56-13025号公報

2 理由1(新規性)
本件発明1、本件発明4及び本件発明5は、いずれも、甲1文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
すなわち、本件発明1、本件発明4及び本件発明5についての特許は、いずれも、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、取り消すべきである。

3 理由2(進歩性)
本件発明1、本件発明4及び本件発明5は、いずれも、甲1文献に記載された発明に基づいて、又は甲1文献及び甲2文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本件発明2及び本件発明3は、いずれも、甲1文献及び甲3文献に記載された発明に基づいて、又は甲1文献ないし甲3文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
すなわち、本件発明1ないし本件発明5についての特許は、いずれも、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消すべきである。

4 理由3(明確性)
本件発明1ないし本件発明5は、いずれも明確でない。
すなわち、本件発明1ないし本件発明5についての特許は、いずれも、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきである。

第4 理由3について
事案に鑑み、まず、理由3について検討する。

1 特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、理由3について、以下のように主張する(特許異議申立書、第36ページ第11行ないし第38ページ第7行)。

(1)「所定区分」について
本件発明の「所定区分」について、本件明細書の【0052】には、任意の監視区分時間としてもよいとの記載がある。

ア 仮に、任意の監視区分時間を検出部の検出間隔より短い微小時間間隔に設定すると、計量区分値を算出するための検出値が得られないことになるが、本件明細書にはどのようにするのか記載されていない。

イ 監視区分時間は任意であるから、全体として1つしかなくてもよい。この場合、本件明細書の【0005】に記載された、バッチ計量の途中で計量区分値の適否を確認するという本件発明の課題に反することになる。

ウ 監視区分時間は任意であるから、検出部の検出間隔と同じであってもよい。この場合、本件明細書の【0037】に記載された、回転駆動部のフィードバック制御のために行われる質量の適否の確認も、「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」という文言に含まれることになるため、請求の範囲が不明確である。

(2)「計量区分値の適否」について
本件発明の「計量区分値の適否」がどのような要件に基づいて判断されるのかが示されておらず、文言上、適否の要件は任意な事項であるから、請求の範囲が不明確である。

(3)「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」について
本件発明の「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」は、以下に述べるとおり、特定しようとする内容が不明確である。

ア 「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」とは、既に決した適否を人間が確認するために所定の動作を行うのか、人間が適否を決するために装置が所定の動作を行うのか、その主体が明らかにされておらず、明確でない。
ここで、本件発明2では、所定の動作として「表示部への前記計量区分値の表示」及び「出力可能なように記憶部への該計量区分値の格納」が挙げられているが、これらは決した適否の表示又は格納ではないから、「適否の確認が可能なように」とは、人間が適否を決するような確認ができるようにという意味であると考えられる。
その一方で、所定の動作として「該計量区分値が所定の上下限範囲内であるか否かの判別」「を実行させ、」「前記計量区分値が前記上下限範囲外であれば異常報知及び計量停止の両方または一方を実行させる」ことも挙げられており、この場合は判別が実行されるので、適否は決しており、それを異常警報及び計量停止という動作により人間に確認させている。

イ 本件発明2の「出力可能なように記憶部への該計量区分値の格納」が仮に決した適否の格納の意味だとしても、また、格納の目的が「出力可能なように」と特定されていても、格納自体は人間に確認させるための動作ではないから、「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」の内容が不明確である。

ウ 本件明細書の【0037】に記載された、回転駆動部のフィードバック制御は、目標値との差などが演算されており、いわば質量の適否を確認していると考えられるから、「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」という文言に含まれる。そうすると、本件発明は、何を特徴としているのか不明である。

エ 仮に「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」が、人間が適否を決するために装置が所定の動作を行う意味だとすると、適否を決するのは人間である。そうすると、どのような思考に基づき、すなわち、どのような所定の動作をもって適否を決するかは、人間の自由な意志に基づくため、所定の動作は実質的に任意な事項といえ、その内容が不明確である。

2 判断
(1)本件発明について
ア 本件特許の明細書の記載
本件特許の明細書(以下、「本件明細書」という。)には、以下の記載がある。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種の粉粒体材料を配合する配合装置及び配合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数種の粉粒体材料を所定の配合比(質量比)になるように配合する配合装置(配合システム)が知られている。
例えば、下記特許文献1では、材料を定量排出可能な排出装置をそれぞれに設けた複数の材料貯留タンクと、これら材料貯留タンクの排出口先端から排出される材料を受け入れる単一の混合槽と、を備えた配合システムが提案されている。この配合システムは、各材料貯留タンクの質量を検出するロードセルをそれぞれに設け、各ロードセルの計量値を制御部によって監視し、各材料貯留タンクから排出される材料の排出量が予め設定された設定値になるように、同時に一定の排出速度で材料を排出させ、同時に排出を停止させるように各材料貯留タンクの排出装置を制御する構成とされている。この配合システムによれば、一バッチ計量を完了した時点における粉粒体材料の質量比が比較的に正確になるものではあった。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような配合システムを含み、従来の配合システム(配合装置)においては、例えば、バッチ計量の途中において、いずれかの材料貯留タンクの排出装置の排出量が粉粒体材料の閉塞や粒径の変化等によって一時的に増減等、変動することで計量途中における粉粒体材料の質量比がばらつくようなことが考えられ、更なる改善が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、バッチ計量の途中における質量比の適否を確認し得る粉粒体材料の配合装置及び粉粒体材料の配合方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る粉粒体材料の配合装置は、粉粒体材料をそれぞれに貯留し、予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給する複数の計量供給機と、これら複数の計量供給機から計量供給される複数種の粉粒体材料が投入される投入部と、前記複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部と、該質量検出部の検出値に基づいて、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値を算出し、該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記制御部は、前記所定の動作として、表示部への前記計量区分値の表示、出力可能なように記憶部への該計量区分値の格納、及び該計量区分値が所定の上下限範囲内であるか否かの判別、のうちの少なくとも一つを実行させ、前記判別を実行させた場合において前記計量区分値が前記上下限範囲外であれば異常報知及び計量停止の両方または一方を実行させてもよい。
また、本発明において、前記制御部は、操作部から入力された任意の監視区分時間または任意の監視区分質量を前記所定区分として設定してもよい。
また、本発明において、前記制御部は、前記質量検出部の検出値に基づいて、前記各計量供給機の単位時間当たりにおける供給量を変更制御してもよい。
【0008】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る粉粒体材料の配合方法は、粉粒体材料をそれぞれに貯留する複数の計量供給機から予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給させて投入部に投入させ、複数種の粉粒体材料を配合する粉粒体材料の配合方法であって、前記複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部の検出値に基づいて、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値を算出し、該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る粉粒体材料の配合装置及び粉粒体材料の配合方法は、上述のような構成としたことで、バッチ計量の途中における質量比の適否を確認することができる。」

イ 本件発明の内容
本件明細書の前記アの記載によれば、本件発明について、以下のことが認められる。

(ア)本件発明は、複数種の粉粒体材料を配合する配合装置及び配合方法に関する(【0001】)。

(イ)従来、複数の粉粒体材料を所定の配合比(質量比)になるように配合する配合装置は、材料を定量排出可能な排出装置をそれぞれに設けた複数の材料貯留タンクと、複数の材料貯留タンクから排出される材料を受け入れる単一の混合槽と、各材料貯留タンクの質量を検出するロードセルとを備え、各ロードセルの計量値を監視し、各材料貯留タンクから排出される材料の排出量が予め設定された設定値になるように、各材料貯留タンクから同時に一定の排出速度で材料を排出させ、同時に排出を停止させることで、一バッチ計量を完了した時点における粉粒体材料の質量比を比較的正確にすることができた(【0002】)。

(ウ)しかし、従来の配合装置は、バッチ計量中にいずれかの材料貯留タンクの排出装置の排出量が粉粒体材料の閉塞や粒径変化などによって一時的に変動することで、バッチ計量の途中における粉粒体材料の質量比がばらつくことが考えられるため、更なる改善が望まれていた(【0004】)。

(エ)本件発明は、前記の実情に鑑みてなされたものであり、バッチ計量の途中における質量比の適否を確認し得る粉粒体材料の配合装置及び配合方法の提供を目的とする(【0005】)。

(オ)本件発明は、粉粒体材料を同期的にバッチ計量供給する複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部の検出値に基づいて、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方又は一方からなる計量区分値を算出し、その計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行することで、バッチ計量の途中における質量比の適否を確認できるという効果を奏するものである(【0006】、【0008】、【0009】)。

(2)特許異議申立人の主張について
ア 「所定区分」について
(ア)本件発明の「計量区分値」は、「複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する」「質量検出部の検出値に基づいて、各計量供給機から計量供給された所定区分毎」に「算出」されるものであるから、本件発明は、「所定区分」の間に「質量検出部の検出値」が得られることを前提とするものである。そうすると、本件発明の「所定区分」は、それを本件発明3で特定されるように「任意の監視区分時間」とする場合でも、全くの任意というわけではなく、「質量検出部の検出値」が得られないようなもの(例えば、検出部の検出間隔より短い微小時間間隔)とすることは最初から想定されていないことが明らかである。
したがって、特許異議申立人の前記1(1)アの主張は、「任意の監視区分時間」を検出部の検出間隔より短い微小時間間隔に設定し得ることを前提とする点で誤りであり、採用することができない。

(イ)本件発明は、「各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値を算出し、該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行」することで、バッチ計量の途中における質量比の適否を確認できるという効果を奏するものであるから(前記(1)イ(オ))、「計量区分値」がバッチ計量途中における質量比に関連する値であることは明らかである。そして、それが「各計量供給機から計量供給された所定区分毎の」ものである以上、ここでいう「所定区分」は、それを「任意の監視区分時間」とする場合でも、「バッチ計量」に要する時間の全体とすることは想定されておらず、それをいくつかに区分けしたものとすることが想定されていると解するのが相当である。
このように解することは、「区分」という語の通常の意味、すなわち、「区別して分けること。また、その分けたそれぞれの仕切り。区分け。」(広辞苑第六版)とも合致する。
したがって、特許異議申立人の前記1(1)イの主張は、「任意の監視区分時間」は全体として1つしかなくてもよいことを前提とする点で誤りであり、採用することができない。

(ウ)本件発明は、従来の配合装置は各ロードセルの計量値を監視し、各材料貯留タンクから排出される材料の排出量が予め設定された設定値になるように、各材料貯留タンクから同時に一定の排出速度で材料を排出させ、同時に排出を停止させるバッチ計量を行うことで、一バッチ計量を完了した時点における粉粒体材料の質量比を比較的正確にすることができたものの、バッチ計量の途中における粉粒体材料の質量比がばらつくことが考えられたという実情に鑑みてなされたものであり、バッチ計量の途中における質量比の適否を確認し得る粉粒体材料の配合装置及び配合方法の提供を目的とする(前記(1)イ(イ)ないし(エ))。
そして、本件発明は、バッチ計量とは別に、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方又は一方からなる計量区分値を算出し、その計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行することで、前記の目的を達成したものである(前記(1)イ(オ))。
これに対し、本件明細書の【0037】に記載されたフィードバック制御は、「各質量検出部12、22、32の検出値に基づいて、」「ロスインウエイト方式(減算質量式)にて、各計量供給機10、20、30の貯留部13、23、33において減少した質量が計量供給されたものとみなし、その質量変化を監視しながら一バッチ計量供給が終了した時点における計量供給機10、20、30毎の計量供給された粉粒体材料が所定質量となるように、各計量供給機10、20、30の回転駆動部16、26、36をフィードバック制御する」ものであるから、バッチ計量において、一定の排出速度で材料を排出させるための制御である。
本件発明の「計量区分値を算出」は、従来の配合装置が行う前記バッチ計量とは別の動作であるから、「各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値」における「所定区分」は、それを「任意の監視区分時間」とする場合でも、本件明細書の【0037】に記載されたフィードバック制御を行う際に「各質量検出部12、22、32」が質量を検出する間隔(すなわち、バッチ計量において、一定の排出速度で材料を排出させるための制御を行うために質量を検出する間隔)と同じにすることは想定されておらず、それとは異なるものと解するのが相当である。
したがって、特許異議申立人の前記1(1)ウの主張は、「任意の監視区分時間」は検出部の検出間隔と同じであってもよいことを前提とする点で誤りであり、採用することができない。

イ 「計量区分値の適否」について
本件発明は、従来の配合装置は一バッチ計量を完了した時点における粉粒体材料の質量比を比較的正確にすることができたものの、バッチ計量の途中における粉粒体材料の質量比がばらつくことが考えられたという実情に鑑みてなされたものであり、バッチ計量の途中における質量比の適否を確認し得る粉粒体材料の配合装置及び配合方法の提供を目的とする(前記(1)イ(イ)ないし(エ))。
ここで、一バッチ計量を完了した時点における粉粒体材料の質量比に求められる正確さは、粉粒体材料の種類や配合の目的に応じて様々に変わり得ることが明らかであり、したがって、最終的に得られた質量比の適否の判断基準も、粉粒体材料の種類や配合の目的に応じて任意に設定されるものである。
このことは、バッチ計量の途中における質量比にも同様に当てはまるから、バッチ計量の途中における質量比の適否の判断基準も、粉粒体材料の種類や配合の目的に応じて任意に設定されるものである。そして、本件発明において「各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる」「計量区分値の適否の確認が可能」とされるのは、それによってバッチ計量の途中における質量比の適否の判断を可能にするためであるから、「計量区分値の適否」の判断基準も、粉粒体材料の種類や配合の目的に応じて任意に設定されるものである。
そうすると、本件発明において、「計量区分値の適否」の判断基準が特定されていないとしても、そのことは、本件発明が明確か否かを何ら左右するものではない。
したがって、適否の要件が任意の事項であるから請求の範囲が不明確であるとの特許異議申立人の前記1(2)の主張は、当を得ない。

ウ 「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」について
(ア)本件発明1に係る「配合装置」は、「該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる制御部」を備える。すなわち、「配合装置」の一部である「制御部」が何かに働きかけた結果、その何かが主体となって「所定の動作を実行」するのであるから、「所定の動作」の主体は人間ではなく、「配合装置」であると解される。
本件発明5に係る「配合方法」は、本件発明1に係る「配合装置」の動作を方法の発明として表現したものであるから、本件発明5においても、「所定の動作」の主体は人間ではなく、「配合装置」であると解される。
したがって、所定の動作を行う主体が明らかでないという特許異議申立人の前記1(3)アの主張は、採用することができない。
特許異議申立人は、本件発明2には「所定の動作」として、「表示部への前記計量区分値の表示」及び「出力可能なように記憶部への該計量区分値の格納」が記載されているから、「適否の確認が可能なように」とは人間が適否を決するような確認ができるようにという意味であると考えられる一方、「該計量区分値が所定の上下限範囲内であるか否かの判別」「を実行させ、」「前記計量区分値が前記上下限範囲外であれば異常報知及び計量停止の両方または一方を実行させる」ことも記載されており、この場合は決した適否を人間に確認させていることを指摘する。
しかし、「表示部への前記計量区分値の表示」及び「出力可能なように記憶部への該計量区分値の格納」の場合は、表示又は格納された計量区分値を用いた適否の決定及びその決定された適否の確認を人間が行い、「該計量区分値が所定の上下限範囲内であるか否かの判別」「を実行させ、」「前記計量区分値が前記上下限範囲外であれば異常報知及び計量停止の両方または一方を実行させる」場合は、適否の決定を「配合装置」が行い、その決定された適否の確認を人間が行うのであるから、「所定の動作」がいずれであっても、「適否の確認が可能」になっていることに変わりはない。
したがって、特許異議申立人の指摘は、当を得ない。

(イ)本件発明1に係る「配合装置」が実行する「所定の動作」の目的は、「適否の確認が可能なように」と特定されているだけであり、「適否を確認するように」とまでは特定されていない。したがって、「所定の動作」には、実際に適否を確認する動作だけでなく、その「所定の動作」の結果、その後に適否の確認が可能になるものも含まれると解される。
本件発明2の「出力可能なように記憶部への該計量区分値の格納」は、格納された計量区分値をその後に出力して用いれば適否の確認が可能になることは明らかであるから、本件発明1の「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」に該当する。すなわち、本件発明2の「出力可能なように記憶部への該計量区分値の格納」は、本件発明1の「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」の一例と解して何の矛盾もない。
したがって、格納自体は人間に確認させるための動作ではないから「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」の内容が不明確であるとの特許異議申立人の前記1(3)イの主張は、採用することができない。

(ウ)前記ア(ウ)で述べたとおり、本件明細書の【0037】に記載されたフィードバック制御は、バッチ計量において、一定の排出速度で材料を排出させるための制御であり、本件発明は、バッチ計量とは別に、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方又は一方からなる計量区分値を算出し、その計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行することで、本件発明の目的を達成したものである。そうである以上、本件明細書の【0037】に記載されたフィードバック制御において、目標値との差などが演算されているとしても、それが本件発明の「該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行」に含まれると解することはできない。
したがって、特許異議申立人の前記1(3)ウの主張は、本件明細書の【0037】に記載されたフィードバック制御においても質量の適否を確認しており、それが本件発明の「該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行」に含まれることを前提とする点で誤りであり、採用することができない。

(エ)前記(イ)のとおり、本件発明における「所定の動作」には、実際に適否を確認する動作だけでなく、その「所定の動作」の結果、その後に適否の確認が可能になる動作も含まれると解される。そして、そのような動作である限り、「所定の動作」がどのようなものであっても、本件発明の目的が達成できることは明らかである。
そうすると、本件発明において、「所定の動作」が具体的に特定されていないとしても、そのことは、本件発明が明確か否かを何ら左右するものではない。
したがって、所定の動作は任意な事項であり、その内容が不明確であるとの特許異議申立人の前記1(3)エの主張は、当を得ない。

(オ)以上のとおりであるから、本件発明の「適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる」は、特定しようとする内容が不明確であるということはできない。

3 理由3についてのまとめ
以上に述べたとおり、特許異議申立人の主張は、いずれも採用することができず、本件発明1ないし本件発明5は、いずれも明確でないということはできない。
したがって、本件発明1ないし本件発明5についての特許は、いずれも、理由3によって取り消すべきであるということはできない。

第5 理由1及び理由2について
1 甲1文献ないし甲3文献に記載された事項
(1)甲1文献
ア 甲1文献の記載
甲1文献には、以下の記載がある。ただし、文字に付された上線は下線で代用した。

(ア)「本発明は、セメントや飼料、化粧品、薬剤等を配合する方法で、詳しくは、複数種の粉粒体夫々を供給装置を介して設定比率の流量をもつて同時的に連続供給することにより、各種粉粒体を設定比率をもつて配合する粉粒体連続配合方法に関する。」(第1ページ右下欄第8行ないし第13行)

(イ)「(1A)、(1B)は、2種の粉粒体(A)、(B)夫々を各別に収容するホツパーであり、(2A)、(2B)は、スクリユー(3a)、(3b)をモータ(4a)、(4b)で駆動することにより、前記ホツパー(1A)、(1B)内の粉粒体(A)、(B)を各別に繰出して混合部(5)に同時的に連続供給する供給装置であり、(6A)、(6B)は、前記ホツパー(1A)、(1B)内の粉粒体残量を重量検出することにより、前記供給装置(2A)、(2B)による現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)を検出するセンサーであり、(7A)、(7B)は、これらセンサー(6A)、(6B)による検出流量(qa)、(qb)に基づいて、前記各供給装置(2A)、(2B)を、それらの供給流量(Qa)、(Qb)が設定目標流量となるように各別に作動制御する制御器であり、(8)は、設定装置である。」(第2ページ右下欄第8行ないし第3ページ左上欄第2行)

(ウ)「前記設定装置(8)は、第2図に示すように、両供給装置(2A)、(2B)による総供給流量(Q)の設定、両粉粒体(A)、(B)の配合比率(a)、(b)の設定、総供給流量(Q)と配合比率(a)、(b)とに基づく各供給装置(2A)、(2B)による基準供給流量(Qa)、(Qb)の設定を行なつた後、両センサー(6A)、(6B)による検出流量(qa)、(qb)の演算、設定基準供給流量(Qa)、(Qb)と演算検出流量(qa)、(qb)との差、つまり、誤差(Δqa)、(Δqb)の算出、算出誤差(Δqa)、(Δqb)の設定基準供給流量(Qa)、(Qb)に対する誤差比率(αa)、(αb)の算出、誤差比率(αa)、(αb)同士の比較及び誤差比率(αa)、(αb)と設定範囲との比較、この比較に基づく各制御器(7A)、(7B)への目標流量の発振(設定)を順次、繰返すものである。そして、目標流量の設定は、次の如く行なわれる。
つまり、両誤差比率(αa)、(αb)がともに設定範囲(例えば、±1%)内にあるときは、両制御器(7A)、(7B)に、設定基準供給流量(Qa)、(Qb)を目標流量として設定し、誤差比率(αa)、(αb)の少なくともいずれか一方が設定範囲外にあるときは、その設定範囲外誤差比率側の供給装置(2A又は2B)に対する制御器(7A又は7B)に設定基準供給流量(Qa又はQb)を目標流量として設定するとともに、他の制御器(7B又は7A)に、設定範囲外誤差比率側の供給装置(2A又は2B)の演算検出流量(qa又はqb)に設定比率(a)、(b)の割合をもつて対応する流量(Q’a又はQ’b)を目標流量として設定する。
尚、前記演算検出流量(qa)、(qb)とは、検出流量(qa)、(qb)を最小自乗法による多項式近似計算により算出された予測値である。」(第3ページ左上欄第3行ないし右上欄第14行)

(エ)「従つて、第3図に示すように、両誤差比率(αa)、(αb)がともに設定範囲内にあるときは、ブリツジ現象等に起因した供給不良事態が発生していないと判断して、両制御器(7A)、(7B)に設定基準供給流量(Qa)、(Qb)が目標流量として設定され、両供給装置(2A)、(2B)が、検出流量(qa)、(qb)に基づいてそれらの供給流量(Qa)、(Qb)を設定基準供給流量(Qa)、(Qb)にさせるように作動制御され、いずれか一方、例えば、一方の供給装置(2A)の誤差比率(αa)が設定範囲外にあるときは、その一方の供給装置(2A)に供給不良事態が発生したと判断して、一方の制御器(7A)には設定基準供給流量(Qa)が目標流量として設定される一方、他方の制御器(7B)には目標流量(Q’b)が設定され、一方の供給装置(7A)が、検出流量(qa)に基づいてその供給流量(Qa)を設定基準供給流量(Qa)にさせるべく作動制御され、他方の供給装置(7B)が、検出流量(qb)に基づいてその供給流量(Qb)を目標流量(Q’b)にさせるべく作動制御される、その結果、供給不良事態が発生している時間(t)においても、両粉粒体(A)、(B)の供給流量(Qa)、(Qb)の比率が設定比率に維持される。」(第3ページ左下欄第5行ないし右下欄11行)

(オ)「図面は本発明に係る粉粒体連続配合方法の実施例を示し、第1図は配合装置の概略構成図、第2図はフローチャート、第3図は供給流量の変化を示すグラフ…(中略)…である。」(第3ページ右下欄第18行ないし第4ページ左上欄第2行)

(カ)第1図


(キ)第2図


(ク)第3図


イ 甲1文献に記載された発明
甲1文献の前記アの記載によれば、以下のことが認められる。

(ア)甲1文献には、複数種の粉粒体のそれぞれを供給装置で設定比率の流量で同時的に連続供給することにより、複数種の粉粒体を設定比率で配合する粉粒体連続配合方法が記載されている(前記ア(ア))。

(イ)甲1文献に記載された粉粒体連続配合方法を実施する配合装置は、2種の粉粒体(A)、(B)をそれぞれ収容するホッパー(1A)、(1B)と、スクリュー(3a)、(3b)をモータ(4a)、(4b)で駆動することにより、ホッパー(1A)、(1B)内の粉粒体(A)、(B)をそれぞれ繰り出して混合部(5)に同時的に連続供給する供給装置(2A)、(2B)と、ホッパー(1A)、(1B)内の粉粒体残量を重量検出することにより、供給装置(2A)、(2B)による現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)を検出するセンサー(6A)、(6B)と、センサー(6A)、(6B)によって検出された現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)に基づいて、供給装置(2A)、(2B)を、それらの供給流量(Qa)、(Qb)が設定目標流量となるようにそれぞれ作動制御する制御器(7A)、(7B)と、設定装置(8)とを備える(前記ア(イ)及び(オ)、第1図)。

(ウ)設定装置(8)は、供給装置(2A)、(2B)による総供給流量(Q)を設定し、粉粒体(A)、(B)の配合比率(a)、(b)を設定し、さらに、総供給流量(Q)と粉粒体(A)、(B)の配合比率(a)、(b)とに基づいて、各供給装置(2A)、(2B)による基準供給流量(Qa)、(Qb)を設定する。
その後、設定装置(8)は、センサー(6A)、(6B)によって検出された現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)から最小自乗法による多項式近似計算による予測値として演算検出流量(qa)、(qb)を算出し、設定基準供給流量(Qa)、(Qb)と演算検出流量(qa)、(qb)との差である誤差(Δqa)、(Δqb)を算出し、誤差(Δqa)、(Δqb)の設定基準供給流量(Qa)、(Qb)に対する誤差比率(αa)、(αb)を算出する。
そして、設定装置(8)は、誤差比率(αa)、(αb)がいずれも設定範囲内にあるときは、制御器(7A)、(7B)に設定基準供給流量(Qa)、(Qb)を目標流量として設定し、誤差比率(αa)、(αb)の一方(αa又はαb)が設定範囲外にあるときは、それに対応する一方の供給装置(2A又は2B)の制御器(7A又は7B)に設定基準供給流量(Qa又はQb)を目標流量として設定するとともに、他方の制御器(7B又は7A)に、一方の供給装置(2A又は2B)の演算検出流量(qa又はqb)に設定比率(a)、(b)の割合をもつて対応する流量(Q’a又はQ’b)を目標流量として設定する(前記ア(ウ)、第2図)。

(エ)以上のことをまとめると、甲1文献には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。

「2種の粉粒体(A)、(B)をそれぞれ収容するホッパー(1A)、(1B)と、
スクリュー(3a)、(3b)をモータ(4a)、(4b)で駆動することにより、ホッパー(1A)、(1B)内の粉粒体(A)、(B)をそれぞれ繰り出して混合部(5)に同時的に連続供給する供給装置(2A)、(2B)と、
ホッパー(1A)、(1B)内の粉粒体残量を重量検出することにより、供給装置(2A)、(2B)による現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)を検出するセンサー(6A)、(6B)と、
センサー(6A)、(6B)によって検出された現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)に基づいて、供給装置(2A)、(2B)を、それらの供給流量(Qa)、(Qb)が設定目標流量となるようにそれぞれ作動制御する制御器(7A)、(7B)と、
設定装置(8)とを備える配合装置であって、
設定装置(8)は、
供給装置(2A)、(2B)による総供給流量(Q)を設定し、粉粒体(A)、(B)の配合比率(a)、(b)を設定し、さらに、総供給流量(Q)と粉粒体(A)、(B)の配合比率(a)、(b)とに基づいて、各供給装置(2A)、(2B)による基準供給流量(Qa)、(Qb)を設定し、
その後、センサー(6A)、(6B)によって検出された現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)から最小自乗法による多項式近似計算による予測値として演算検出流量(qa)、(qb)を算出し、設定基準供給流量(Qa)、(Qb)と演算検出流量(qa)、(qb)との差である誤差(Δqa)、(Δqb)を算出し、誤差(Δqa)、(Δqb)の設定基準供給流量(Qa)、(Qb)に対する誤差比率(αa)、(αb)を算出し、
そして、誤差比率(αa)、(αb)がいずれも設定範囲内にあるときは、制御器(7A)、(7B)に、設定基準供給流量(Qa)、(Qb)を目標流量として設定し、誤差比率(αa)、(αb)の一方(αa又はαb)が設定範囲外にあるときは、それに対応する一方の供給装置(2A又は2B)の制御器(7A又は7B)に設定基準供給流量(Qa又はQb)を目標流量として設定するとともに、他方の制御器(7B又は7A)に、一方の供給装置(2A又は2B)の演算検出流量(qa又はqb)に設定比率(a)、(b)の割合をもつて対応する流量(Q’a又はQ’b)を目標流量として設定する
配合装置。」

(オ)甲1発明は、誤差比率(αa)、(αb)がいずれも設定範囲内にあるときは供給不良事態が発生していないと判断し、制御器(7A)、(7B)の目標流量として設定基準供給流量(Qa)、(Qb)を設定して、供給装置(2A)、(2B)の供給流量(Qa)、(Qb)が設定基準供給流量(Qa)、(Qb)になるように制御し、いずれか一方、例えば供給装置(2A)の誤差比率(αa)が設定範囲外にあるときは、供給装置(2A)に供給不良事態が発生したと判断し、制御器(7A)の目標流量として設定基準供給流量(Qa)を設定する一方、制御器(7B)の目標流量として目標流量(Q’b)を設定して、供給装置(7A)の供給流量(Qa)が設定基準供給流量(Qa)になるように制御し、供給装置(7B)の供給流量(Qb)が目標流量(Q’b)になるように制御する結果、供給不良事態が発生している時間(t)においても、粉粒体(A)、(B)の供給流量(Qa)、(Qb)の比率が設定比率に維持されるという効果を奏する(前記ア(エ)、第3図)。

(2)甲2文献
甲2文献には、以下の記載がある。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、2次電池、窯業、塗料、食品などの原料の配合を行うために用いる連続計量混合システムに関する。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の連続計量混合システムでは、粉体用連続計量供給装置2、3及び液体用連続計量供給装置4の各々から連続式混合装置5へ供給される被計量物(粉体a、b及び液体c)の流量には、設定流量に対する誤差が生じる。そのため、3種類の混合比率にも目標混合比率に対する誤差が生じる。被計量物(混合物)が連続式混合装置5を通過する時間は数秒程度であり、連続式混合装置5へ供給される各被計量物の流量の誤差は、生成されるスラリーの混合比率の誤差になって現れる。この誤差の許容範囲が比較的広い場合には問題ないが、上記誤差の許容範囲が狭い場合には、上記従来の連続計量混合システムを用いることができない。
【0011】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、より高精度な混合比率を得ることができる連続計量混合システムを提供することを目的としている。」

「【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上に説明した構成を有し、より高精度な混合比率を得ることができる連続計量混合システムを提供することができるという効果を奏する。」

「【0030】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の連続計量混合システムの一例を示す概略図である。図1中の矢印は、流体の流れる方向を示す。
【0031】
この連続計量混合システムは、2つの粉体用連続計量供給装置2、3と、液体用連続計量供給装置4と、連続式混合装置5と、連続式分散装置6と、連続式混合装置5と連続式分散装置6との間の輸送ライン(輸送経路)7に挿入された循環部C1と、総合制御器1などを備えている。なお、本実施形態では、連続計量混合システムに、連続式分散装置6を含むものとして説明するが、連続式分散装置6を含まないものとしてもよい。このことは、後述する第2?第4の実施形態についても同様である。
【0032】
粉体用連続計量供給装置2、3は、それぞれ、粉体a、bが供給されるホッパ21、31と、例えばロードセルを用いた重量センサ22、32と、スクリューフィーダ23、33と、制御器24、34とを備えている。
【0033】
液体用連続計量供給装置4は、液体cが供給されるホッパ41と、例えばロードセルを用いた重量センサ42と、ポンプ43と、制御器44とを備えている。
【0034】
運転開始前に、総合制御器1は、連続計量供給装置2、3、4のそれぞれの排出流量(単位時間当たりの排出重量)の設定値を、それぞれの制御器24、34、44へ送信し、各制御器24、34、44では、それぞれの排出流量の設定値(設定排出流量)を記憶している。
【0035】
連続式混合装置5は、粉体用連続計量供給装置2、3のそれぞれから供給される粉体a、bと、液体用連続計量供給装置4から供給される液体cとを混合しながら連続して混合物(スラリー)を輸送ライン7へ送出する装置である。この連続式混合装置5では、モータ53に接続された回転軸51に複数の攪拌部材52が設けられており、モータ53によって回転軸51が回転し、複数の攪拌部材52が回転することにより、上記粉体a、bと液体cとが混合されながら輸送ライン7へ送り出される。
【0036】
連続式分散装置6は、循環部C1を介して輸送ライン7から送られてくるスラリーを混練しながら連続して排出し、後段装置(図示せず)へ供給するための装置である。」

「【0046】
ここで、粉体用連続計量供給装置2の動作について説明する。制御器24は、総合制御器1からの運転開始信号に基づいて、スクリューフィーダ23の動作を開始させ、ホッパ21内の被計量物(粉体a)を連続式混合装置5へ排出させる。重量センサ22は、所定時間間隔(例えば10ms間隔)でホッパ21内の被計量物(粉体a)の重量を計量し、その計量値を制御器24へ出力する。
【0047】
制御器24では、重量センサ22から所定時間間隔で計量値を入力するたびに、排出開始時点からの被計量物の排出重量(実排出重量)を算出するとともに、排出開始時点からの予定排出重量を算出する。実排出重量は、排出開始時点に取得した重量センサ22の計量値から現在時点に取得した重量センサ22の計量値を減算することにより算出し、予定排出重量は、設定排出流量と、排出開始時点から現在時点までの経過時間(排出時間)とを乗算することにより算出する。さらに制御器24は、算出した実排出重量と予定排出重量との差を算出し、この差が0になるように(実排出重量と予定排出重量とが一致するように)、スクリューフィーダ23の排出速度(モータ23mの回転速度)を制御(増減)する。
【0048】
このように、粉体用連続計量供給装置2では、制御器24によって、実排出重量と予定排出重量とが逐次比較され、実排出重量と予定排出重量とが一致するように被計量物の排出速度が逐次、制御される。もう一つの粉体用連続計量供給装置3の動作も、前述の粉体用連続計量供給装置2と同様である。」

「【0126】
また、各実施形態において、連続式分散装置6に代えて、バッチ式の分散装置を用いることも可能である。例えば図10に示す従来例において、連続式分散装置6に代えて、大型のバッチ式の分散装置を用い、高精度な混合比率を得るためには、分散装置における処理時間が非常に長くなる。一方、上記各実施形態において、バッチ式の分散装置を用いた場合には、スラリーが分散装置に供給される前の段階で、すでに混合比率が高精度に平準化されているため、分散装置における処理時間を短縮することが可能になる。」

【図1】


(3)甲3文献
甲3文献には、以下の記載がある。ただし、丸付き数字は括弧付き数字で代用した。

ア 「本発明は配合監視方法、特に原料槽が集合コンベア上に直列に配置された焼結原料配合プロセスに好適な配合監視方法に関する。
従来の焼結原料配合プロセスに於いては、切出制御装置に対する設定値と測定値との個別比較チェックを行つているが、原料系統全体を対象とする実績配合比率を評価するには至つていない。即ち、焼結原料配合プロセスは(1)各原料切出点相互間に時間遅れを有する、(2)原料総切出量が焼結機上への給鉱状況によりダイナミツクに変更される等の特徴を有するため、原料切出量瞬時値により配合比を評価することは無意味である。
本発明の目的は、従来に比して配合プロセスの操業信頼性を一段と向上させてなる配合監視方法を提供するものである。
本発明の要旨は、各原料槽切出量の輸送遅延時間を補償せしめ、原料系統先端位置における原料切出量積算値より実績配合比率を評価せしめるようにした点にある。」(第1ページ左下欄第18行ないし右下欄第16行)

イ 「焼結原料配合プロセスは、第1図に示す如く、集合コンベア200上に直列に配置された原料槽201、202、203、……、208、209及び切出制御装置211、212、213、……、218、219とから構成され、各原料槽は所定の配合比率を満足する切出速度(TON/Hr)により集合コンベア上に順次、原料切出されるようになっている。原料の総切出量は、下工程である焼結機上への給鉱状況および焼結機給鉱部に配置された装入槽の滞留状況によりダイナミツクに変更される。」(第1ページ右下欄第20行ないし第2ページ左上欄第10行)

ウ 「第3図は、配合監視装置の焼結原料配合プロセスにおける位置づけを示す。配合設定表示装置5は焼結原料配合条件(原料銘柄・配合比率・持込水分等)を設定および表示する。原料切出制御装置2は所定の配合条件および装入槽レベル制御装置4から指令される原料総切出量より該当槽のwet切出量(TON/Hr)および槽間遅延時間を算出し、コンスタント・フィード・ウェア(CFW切出制御部)3に対して順次、切出指令を与える。配合監視装置1は、CFW3からの原料切出量を受け、原料切出制御装置とは逆に、実績配合比率を算出し、配合設定表示装置5に表示するとともに、配合の異常を検出した場合は、原料切出制御装置2に対して緊急停止または設定値変更を指令するものである。
第4図は配合監視装置1の全体構成を示す。
トラツキング・ユニット11は、各原料槽の切出量(wet重量)を一定時間積算し、第5図に示すトラツキング・メモリ12の該当要素に書込むとともにトラツキング・ポジションを1単位分シフトする。トラツキング・メモリ12は、(原料槽数とトラツキング区間数)の2次元配列とで構成され、各原料切出量を集合コンベア上の位置に対応して記憶する。トラツキング区間の分割は、集合コンベア上の輸送時間および情報分解能により適当な時間を1単位として設定する。
各原料切出量は、集合コンベア上の原料の移動に対応して順次下流側に輸送され、トラツキング・メモリ12の先端位置から積算メモリ13に対して原料槽単位で加算する。
実績配合比率計算ユニット14は、一定時間(通常トラッキング単位時間より長い時間)毎に積算メモリ13を読出し、リセットするとともに実績配合比率を計算し、メモリ15に書込む。
警報ユニット16は、実績配合比率メモリ15および設定配合比率メモリ17を読出し、両者の差分が許容範囲外である場合、各原料槽に対して設定された警報仕様に従って、(1)原料系統一斉停止指令、(2)原料切出量変更を指令する。」(第2ページ右上欄第9行ないし右下欄第7行)

エ 「本実施例によれば、焼結原料配合プロセルにおける実績配合比率を正確に評価するとともに配合異常検出の際には、警報、設定値変更、系統の緊急停止などの措置を自動的に行うことができ、焼結部品の品質向上及び配合プロセスの操業信頼度の向上に効果がある。」(第4ページ左上欄第15行ないし第20行)

オ 第1図


カ 第3図


キ 第4図


ク 第5図


2 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比すると、以下のとおりである。

ア 甲1発明の「粉粒体(A)、(B)」、「2種の粉粒体(A)、(B)」及び「配合装置」は、それぞれ、本件発明1の「粉粒体材料」、「複数種の粉粒体材料」及び「粉粒体材料の配合装置」に相当する。

イ 前記アを踏まえると、甲1発明において「ホッパー(1A)、(1B)」が「2種の粉粒体(A)、(B)をそれぞれ収容する」ことは、本件発明1において「粉粒体材料をそれぞれに貯留」することに相当するから、甲1発明の「2種の粉粒体(A)、(B)をそれぞれ収容するホッパー(1A)、(1B)」及び「スクリュー(3a)、(3b)をモータ(4a)、(4b)で駆動することにより、ホッパー(1A)、(1B)内の粉粒体(A)、(B)をそれぞれ繰り出して」「供給する供給装置(2A)、(2B)」は、本件発明1の「粉粒体材料をそれぞれに貯留し、」「それぞれの粉粒体材料を」「供給する複数の計量供給機」に相当する。

ウ 甲1発明の「混合部(5)」は、「供給装置(2A)、(2B)」が「粉粒体(A)、(B)をそれぞれ繰り出して」「供給する」供給先であるから、前記ア及びイを踏まえると、本件発明1の「これら複数の計量供給機から計量供給される複数種の粉粒体材料が投入される投入部」に相当する。

エ 前記ア及びイを踏まえると、甲1発明の「ホッパー(1A)、(1B)内の粉粒体残量を重量検出する」「センサー(6A)、(6B)」は、本件発明1の「前記複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部」に相当する。

オ 甲1発明は、「設定装置(8)」が「供給装置(2A)、(2B)による総供給流量(Q)を設定し、粉粒体(A)、(B)の配合比率(a)、(b)を設定し、さらに、総供給流量(Q)と粉粒体(A)、(B)の配合比率(a)、(b)とに基づいて、各供給装置(2A)、(2B)による基準供給流量(Qa)、(Qb)を設定し、」「センサー(6A)、(6B)」が「ホッパー(1A)、(1B)内の粉粒体残量を重量検出することにより、供給装置(2A)、(2B)による現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)を検出」し、「制御器(7A)、(7B)」が「センサー(6A)、(6B)によって検出された現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)に基づいて、供給装置(2A)、(2B)を、それらの供給流量(Qa)、(Qb)が設定目標流量となるようにそれぞれ作動制御する」から、結局のところ、甲1発明の「供給装置(2A)、(2B)」は、「ホッパー(1A)、(1B)内の粉粒体残量を重量検出することにより、」「2種の粉粒体(A)、(B)」を「設定装置(8)」が「設定」した「粉粒体(A)、(B)の配合比率(a)、(b)」になるように供給する。そして、甲1発明の「重量」が本件発明1の「質量」に相当すること、並びに前記ア、イ及びエを踏まえると、これは、本件発明1の「複数の計量供給機」が「予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を」「供給する」ことに相当する。

(2)一致点及び相違点
前記(1)の対比の結果をまとめると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

ア 一致点
「粉粒体材料をそれぞれに貯留し、予め設定された所定の質量比になるようにそれぞれの粉粒体材料を供給する複数の計量供給機と、
これら複数の計量供給機から計量供給される複数種の粉粒体材料が投入される投入部と、
前記複数の計量供給機のそれぞれに貯留された粉粒体材料の質量を検出する質量検出部と、
を備えている粉粒体材料の配合装置。」

イ 相違点
(ア)相違点1
本件発明1の「複数の計量供給機」は「同期的にバッチ計量供給する」のに対し、甲1発明の「供給装置(2A)、(2B)」(本件発明1の「複数の計量供給機」に相当する。)は「同時的に連続供給する」点。

(イ)相違点2
本件発明1は「該質量検出部の検出値に基づいて、各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値を算出し、該計量区分値の適否の確認が可能なように所定の動作を実行させる制御部」を備えるのに対し、甲1発明はそのような制御部を備えていない点。

(3)相違点についての判断
ア 相違点1について
甲1発明において、同時的に連続供給する代わりに、同期的にバッチ計量供給することは、甲1文献ないし甲3文献のいずれにも記載されていないし、示唆されてもいない。また、このことが当業者にとって自明のことであると認めることもできない。
したがって、相違点1に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲1文献ないし甲3文献に記載された事項に基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできない。

イ 相違点2について
甲1発明では、「設定装置(8)」が「センサー(6A)、(6B)によって検出された現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)から最小自乗法による多項式近似計算による予測値として演算検出流量(qa)、(qb)を算出し、設定基準供給流量(Qa)、(Qb)と演算検出流量(qa)、(qb)との差である誤差(Δqa)、(Δqb)を算出し、誤差(Δqa)、(Δqb)の設定基準供給流量(Qa)、(Qb)に対する誤差比率(αa)、(αb)を算出」している。
ここで、「演算検出流量(qa)、(qb)」、「誤差(Δqa)、(Δqb)」及び「誤差比率(αa)、(αb)」は、元をたどれば「センサー(6A)、(6B)」によって「重量検出」された「ホッパー(1A)、(1B)内の粉粒体残量」(本件発明1の「質量検出部の検出値」に相当する。)に基づいて算出されるものではあるが、いずれも、「各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値」に相当するものではない。
そして、甲1発明において、本件発明1の「計量区分値」に相当するものを算出することは、甲1文献ないし甲3文献のいずれにも記載されていないし、示唆されてもいない。また、このことが当業者にとって自明のことであると認めることもできない。
したがって、相違点2に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲1文献ないし甲3文献に記載された事項に基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできない。

(4)特許異議申立人の主張について
ア 相違点1について
(ア)特許異議申立人は、甲1発明では粉粒体残量を重量検出しながら粉粒体を繰り出して供給することにより、所定の重量比で連続的に粉粒体の供給が行われる一方、本件発明1の「バッチ計量供給」は同期的に計量しながら供給先に一定の分量で粉粒体材料を供給することにより、所定の重量比で一定の分量の粉粒体を供給するものであり、供給時の重量比が連続的に維持されることを考慮すると、1バッチを計量して供給することの技術的な役割は存在せず、連続供給において便宜上の区切りが入ることと差がないから、本件発明1の「同期的にバッチ計量供給する」と甲1発明の「同時的に連続供給する」とは表現上の差異にすぎないと主張する(特許異議申立書、第26ページ第17行ないし第27ページ第12行)。
そこで、検討すると、本件明細書には、従来の配合システムについて、「配合システムは…(中略)…同時に一定の排出速度で材料を排出させ、同時に排出を停止させる…(中略)…。この配合システムによれば、一バッチ計量を完了した時点における粉粒体材料の質量比が比較的に正確になる」(【0002】)との記載がある。そして、複数の粉粒体材料を同時に一定の排出速度で排出させ、同時に排出を停止させれば、複数の粉粒体材料の混合物が所定の分量だけ量り取られることになるから、「バッチ計量供給」とは、複数の粉粒体材料の混合物を所定の分量だけ量り取って供給することであると解される。
これに対して、甲1発明は「同時的に連続供給する」ものであるから、甲1発明には、複数の粉粒体材料の混合物を所定分量だけ量り取るという概念がそもそも存在しない。
そうすると、本件発明1の「同期的にバッチ計量供給する」と甲1発明の「同時的に連続供給する」とは、実質的な差異であって、単なる表現上の差異ではない。
したがって、特許異議申立人の主張は、採用することができない。

(イ)特許異議申立人は、一定の分量毎に供給するか連続で供給するかは、供給先の受け入れの要求に応じて、その都度設定される設計事項にすぎないと主張する(特許異議申立書、第31ページ第4行ないし第6行)。
しかし、前記(ア)のとおり、甲1発明には複数の粉粒体材料の混合物を所定分量だけ量り取るという概念がそもそも存在しないから、甲1発明において同時的に連続供給する代わりに同期的にバッチ計量供給することは設計事項にすぎないということはできない。
したがって、特許異議申立人の主張は、採用することができない。

(ウ)特許異議申立人は、甲2文献には「粉体a、bがそれぞれ貯留され、予め設定された所定の予定排出重量になるようにそれぞれの粉体a、bを所定時間間隔で計量・供給される粉体用連続計量供給装置2、3から連続式混合装置5に粉体a、bが投入されることにおいて、その計量・供給がバッチ式であること」という構成が記載されており、甲1発明と甲2文献に記載された連続計量混合システムとは、技術分野、課題、作用・機能が共通するから、甲2文献に記載された上記の構成を甲1発明に適用する動機付けがあると主張する(特許異議申立書、第31ページ第8行ないし第32ページ第14行)。
しかし、甲2文献には、「連続式混合装置5」(本件発明1の「投入部」、甲1発明の「混合部(5)」に相当する。)の下流に「輸送ライン7」を介して接続された「連続式分散装置6」の代わりに、「バッチ式の分散装置」を用いることも可能であるとの記載(【0030】ないし【0036】、【0126】、図1)があるだけで、「粉体用連続計量供給装置2、3」や「液体用連続計量供給装置4」をバッチ式にすることは記載も示唆もされていない。
したがって、特許異議申立人の主張は、前提を欠くものであり、採用することができない。

イ 相違点2について
(ア)特許異議申立人は、甲1発明の「現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)」又は「演算検出流量(qa)、(qb)」は本件発明1の「各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値」に相当すると主張する(特許異議申立書、第27ページ第23行ないし第28ページ7行)。
しかし、特許異議申立人も認めるとおり(特許異議申立書、第29ページ第17行ないし第30ページ第3行)、甲1発明の「現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)」及び「演算検出流量(qa)、(qb)」は、いずれも、「センサー(6A)、(6B)」の検出間隔で算出されると解される。
前記第4の2(2)ア(ウ)のとおり、本件発明1の「各計量供給機から計量供給された所定区分毎の粉粒体材料の質量及び質量比の両方または一方からなる計量区分値」における「所定区分」は、それを「任意の監視区分時間」とする場合でも、バッチ計量において、一定の排出速度で材料を排出させるための制御を行うために質量を検出する間隔とは異なるものと解するのが相当であるから、甲1発明の「現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)」も「演算検出流量(qa)、(qb)」も、本件発明1の「計量区分値」に相当するということはできない。
また、甲1発明の「演算検出流量(qa)、(qb)」は、「現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)から最小自乗法による多項式近似計算による予測値」にすぎず、実測値ではないから、その点からも、本件発明1の「計量区分値」に相当するということはできない。
したがって、特許異議申立人の主張は、採用することができない。

(イ)特許異議申立人は、検出部の検出間隔を越えた所定区分を用いることは設計事項にすぎないと主張する(特許異議申立書、第30ページ第12行ないし第13行)。
この主張は、甲1発明の「現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)」又は「演算検出流量(qa)、(qb)」を算出する間隔を、「センサー(6A)、(6B)」の検出間隔より長くすることは設計事項にすぎないという趣旨と思われる。
しかし、そのようにしたとしても、「現在瞬間実供給流量(qa)、(qb)」又は「演算検出流量(qa)、(qb)」は、バッチ計量において、一定の排出速度で材料を排出させるための制御を行うために質量を検出する間隔で算出されることに変わりがないから、本件発明1の「計量区分値」に相当するということはできない。
したがって、特許異議申立人の主張は、当を得ない。

(5)本件発明1についてのまとめ
以上に述べたとおり、本件発明1と甲1発明とは相違点1及び相違点2において相違するから、本件発明1は甲1文献に記載された発明(甲1発明)であるということはできない。
したがって、本件発明1についての特許は、理由1によって取り消すべきであるということはできない。
また、相違点1及び相違点2に係る本件発明1の構成は、いずれも、甲1発明及び甲1文献ないし甲3文献に記載された事項に基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできないから、本件発明1は、甲1文献及び甲2文献に記載された発明に基づいて、又はさらに甲3文献に記載された発明に基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、本件発明1についての特許は、理由2によって取り消すべきであるということもできない。

3 本件発明2ないし本件発明5について
本件発明2ないし本件発明4は、いずれも本件発明1の構成を全て含むから、少なくとも本件発明1と甲1発明との相違点1及び相違点2(前記2(2)イ(ア)及び(イ))において甲1発明と相違する。そして、前記2(3)のとおり、相違点1及び相違点2に係る本件発明1の構成は、いずれも、甲1文献ないし甲3文献に記載された事項に基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできないから、相違点1及び相違点2に係る本件発明2ないし本件発明4の構成も同様である。
そうすると、本件発明2ないし本件発明4は、いずれも、甲1文献に記載された発明(甲1発明)であるということはできないし、甲1文献ないし甲3文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということもできない。
また、本件発明5は、本件発明1に係る「配合装置」の動作を方法の発明として表現したものであり、相違点1及び相違点2に係る本件発明1の構成に対応する構成を備えるものである。
そして、前記2(3)のとおり、相違点1及び相違点2に係る本件発明1の構成は、いずれも、甲1文献ないし甲3文献に記載された事項に基づいて当業者が容易に思い付くものであるということはできないから、これに対応する本件発明5の構成も同様である。
そうすると、本件発明5は、甲1文献に記載された発明であるということはできないし、甲1文献ないし甲3文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということもできない。
したがって、本件発明2ないし本件発明5についての特許は、いずれも、理由1によって取り消すべきであるということはできないし、理由2によって取り消すべきであるということもできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては、本件発明1ないし本件発明5についての特許を取り消すべきであるということはできない。
また、他に、本件発明1ないし本件発明5についての特許を取り消すべきであるとする理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2017-11-28 
出願番号 特願2013-149063(P2013-149063)
審決分類 P 1 651・ 537- Y (G01G)
P 1 651・ 113- Y (G01G)
P 1 651・ 121- Y (G01G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 榮永 雅夫  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 小林 紀史
須原 宏光
登録日 2017-03-03 
登録番号 特許第6101586号(P6101586)
権利者 アイシン精機株式会社 株式会社松井製作所
発明の名称 粉粒体材料の配合装置及び粉粒体材料の配合方法  
代理人 協明国際特許業務法人  
代理人 中井 宏行  
代理人 協明国際特許業務法人  
代理人 奥村 公敏  
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