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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1335673 |
審判番号 | 不服2017-4644 |
総通号数 | 218 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-02-23 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-04 |
確定日 | 2017-12-21 |
事件の表示 | 特願2013-225119号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月 7日出願公開、特開2015- 84896号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成25年10月30日に出願したものであって,平成28年5月11日付けで拒絶理由が通知され,これに対し同年7月11日に意見書及び手続補正書が提出され,同年12月22日付けで拒絶査定がなされ(発送日:平成29年1月10日),これに対して平成29年4月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,その審判請求と同時に手続補正がなされ,同年5月8日に前置報告がなされ,これに対して同年6月14日に上申書が提出されたものである。 第2 平成29年4月4日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年4月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正の概要 本件補正は特許請求の範囲の請求項1に対する補正を含むものであり,平成28年7月11日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ,以下のとおりである(下線部は本件補正の補正箇所を示す。)。 (補正前:平成28年7月11日付けの手続補正) 「【請求項1】 所定の遊技が可能な遊技機であって, 遊技に関連する演出音を出力可能な演出音出力部と, 遊技者の動作を検出可能な検出部と, 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を,該遊技機が設置されている遊技店側が設定可能な第1設定手段と, 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を,前記検出部での検出により遊技者側が設定可能な第2設定手段と, 前記第2設定手段により設定される音量を前記検出部での検出がなされたことに基づいて段階的に変更可能な音量変更手段と, 前記検出部での検出がなされたときに,該検出後に前記第2設定手段により設定される音量に対応する確認音を前記演出音出力部から出力するための処理を実行する確認音出力手段と, 前記第2設定手段にて設定される音量を認識可能に表示する表示手段と, を備え, 前記第2設定手段は,所定範囲内で前記音量の設定が可能であり, 前記確認音出力手段は,前記第2設定手段により設定される音量が所定範囲の上限にある場合において,当該音量を前記所定範囲の上限外へ変更するように前記検出部での検出がなされたときには確認音を出力するための処理を実行せず, 前記表示手段は,前記第1設定手段により新たに音量が設定された場合には,当該新たに設定された音量にもとづき,前記第2設定手段にて設定される音量表示を行う ことを特徴とする遊技機。」 (補正後:本件補正である平成29年4月4日付け手続補正) 「【請求項1】 所定の遊技が可能な遊技機であって, 遊技に関連する演出音を出力可能な演出音出力部と, 遊技者の動作を検出可能な検出部と, 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を,該遊技機が設置されている遊技店側が設定可能な第1設定手段と, 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を,前記検出部での検出により遊技者側が設定可能な第2設定手段と, 前記第2設定手段により設定される音量を前記検出部での検出がなされたことに基づいて段階的に変更可能な音量変更手段と, 前記検出部での検出がなされたときに,該検出後に前記第2設定手段により設定される音量に対応する確認音を前記演出音出力部から出力するための処理を実行する確認音出力手段と, 前記第2設定手段にて設定される音量を認識可能に表示する表示手段と, を備え, 前記第2設定手段は,所定範囲内で前記音量の設定が可能であり, 前記確認音出力手段は, 一の確認音の出力が終了してから新たな確認音を出力し, 前記第2設定手段により設定される音量が所定範囲の上限にある場合において,当該音量を前記所定範囲の上限外へ変更するように前記検出部での検出がなされたときには確認音を出力するための処理を実行せず, 前記表示手段は,前記第1設定手段により新たに音量が設定された場合には,当該新たに設定された音量にもとづき,前記第2設定手段にて設定される音量表示を行う ことを特徴とする遊技機。」 2 補正の適否 (1)補正事項 本件補正は,補正前の請求項1について,以下に挙げる補正事項を含むものである。 ア 補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「確認音出力手段」に関して,「一の確認音の出力が終了してから新たな確認音を出力し,」との記載を追加する補正。 (2)補正の目的等についての検討 補正事項アは,「確認音出力手段」について「一の確認音の出力が終了してから新たな確認音を出力」することと限定する補正であり,また,補正後の請求項1に記載された発明は,補正前の請求項1に記載された発明と,産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして,本件補正は,本願の願書に最初に添付した特許請求の範囲,明細書及び図面(以下,「当初明細書等」という。)の段落【0257】の記載に基づくものであるから,新規事項を追加するものではない。 3 独立特許要件 そこで,本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か,すなわち,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か,について以下に検討する。 (1)本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明 本件補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下,「本願補正発明」という。)は,上記「1 本件補正の概要」に本件補正後の請求項1として記載した以下のとおりのものである(A?Iは,本願補正発明を分説するために当審で付した。)。 「A 所定の遊技が可能な遊技機であって, B 遊技に関連する演出音を出力可能な演出音出力部と, C 遊技者の動作を検出可能な検出部と, D 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を,該遊技機が設置されている遊技店側が設定可能な第1設定手段と, E-1 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を,前記検出部での検出により遊技者側が設定可能な第2設定手段と, F 前記第2設定手段により設定される音量を前記検出部での検出がなされたことに基づいて段階的に変更可能な音量変更手段と, G-1 前記検出部での検出がなされたときに,該検出後に前記第2設定手段により設定される音量に対応する確認音を前記演出音出力部から出力するための処理を実行する確認音出力手段と, H-1 前記第2設定手段にて設定される音量を認識可能に表示する表示手段と, を備え, E-2 前記第2設定手段は,所定範囲内で前記音量の設定が可能であり, G-2 前記確認音出力手段は, 一の確認音の出力が終了してから新たな確認音を出力し, G-3 前記第2設定手段により設定される音量が所定範囲の上限にある場合において,当該音量を前記所定範囲の上限外へ変更するように前記検出部での検出がなされたときには確認音を出力するための処理を実行せず, H-2 前記表示手段は,前記第1設定手段により新たに音量が設定された場合には,当該新たに設定された音量にもとづき,前記第2設定手段にて設定される音量表示を行う ことを特徴とする I 遊技機。」 (2)刊行物に記載された事項 原査定の平成28年5月11日付け拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2011-200511号公報(以下,「刊行物1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 (ア)「【図面の簡単な説明】 【0011】 ・・・ 【図12】演出制御用マイクロコンピュータ81が実行する音量変更処理の処理内容を示すフローチャートである。 ・・・」 (イ)「【0028】 遊技領域7の外側の左右上部には,エラー音や演出用の効果音(演出音)を発する2つのスピーカ27L,27Rが設けられ,左右下部にも,同様にエラー音や演出用の効果音を発する2つのスピーカ27a,27bが設けられている。 【0029】 また,スピーカ27aの上部位置には,スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音の音量を変更する際に遊技者が操作する音量変更ボタンスイッチ61と,イアホンを装着可能なイアホン端子装着部62とが設けられており,これら音量変更ボタンスイッチ61とイアホン端子装着部62等が,下扉枠103の内部に装着されるイアホン用基板60に実装されている。」 (ウ)「【0110】 本実施の形態における音量範囲設定部83を図11に示す。音量範囲設定部83には,図11に示すように,3つの設定回転子83a,83b,83cが設けられている。 ・・・ 【0112】 設定回転子83aは,スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音の音量範囲と初期音量を,遊技場の関係者(係員)が設定する部分であり,図11(b)に示すように,外周突起部の色が異なる円盤状の3つの回転ボリュームが同軸に積層された構造とされていて,遊技者が変更可能な音量の下限音量(下段の回転ボリューム;外周突起部の色が白),初期(デフォルト)音量(中段の回転ボリューム;外周突起部の色が黒),遊技者が変更可能な音量の上限音量(上段の回転ボリューム;外周突起部の色が赤)をそれぞれ,個別に設定できるとともに,これら上限音量,下限音量,初期音量の関係を,目視によって正確に把握できるようになっている。」 (エ)「【0130】 また,操作台基板508には,図5に示すように,シリアル-パラレル変換IC520に加えて,これらシリアル-パラレル変換IC520から出力されるパラレルデータが入力されることで,バイブレータ514内の振動モータ514a並びに風モータ515aを駆動する駆動制御IC521や,操作レバー600に設けられたレバースイッチ510a?510d,トリガースイッチ512a,タッチセンサ513,音量変更ボタンスイッチ61,イアホン装着スイッチ62’から出力される信号や,駆動フィードバック(FB)信号出力ゲート525a,525bから出力される駆動フィードバック(FB)信号や,励磁相フィードバック(FB)信号出力ゲート526a,526bから出力される励磁相フィードバック(FB)信号の入力を検出し,信号入力に対応した所定の検知信号を出力するセンサ監視IC524と,該センサ監視IC524による検知信号が入力されるパラレル-シリアル変換IC523が搭載されている。 【0131】 この実施の形態では,操作台基板508に搭載された入力ICであるパラレル-シリアル変換IC523と演出制御用マイクロコンピュータ81並びに座標特定用DSP266とは,中継基板88,89を介して入力信号線,クロック信号線および入力取込信号線(座標特定用DSP266は無し)が接続されており,演出制御用マイクロコンピュータ81は,所定のタイミングで入力取込信号を,中継基板88,89を介してパラレル-シリアル変換IC523に出力する。すると,パラレル-シリアル変換IC523は,入力取込信号(ラッチ信号)に基づいて,センサ監視IC524から出力されるレバースイッチ510a?510d,トリガースイッチ512a,タッチセンサ513,音量変更ボタンスイッチ61,イアホン装着スイッチ62’からの検出信号および振動モータ514aと風モータ515aの各駆動フィードバック(FB)信号並びに励磁相フィードバック(FB)信号の検出信号をラッチし,中継基板88,89を介して演出制御用マイクロコンピュータ81並びに座標特定用DSP266に出力する。つまり,パラレル-シリアル変換IC523は,レバースイッチ510a?510d,トリガースイッチ512a,タッチセンサ513,音量変更ボタンスイッチ61,イアホン装着スイッチ62’,駆動フィードバック(FB)信号出力ゲート525a,525b,励磁相フィードバック(FB)信号出力ゲート526a,526bから,センサ監視IC524を介してパラレルに入力した検出信号をシリアルデータに変換して出力する。 【0132】 このように,音量変更ボタンスイッチ61,イアホン装着スイッチ62’の入力状態を示すシリアルデータが,入力取込信号に応じて演出制御用マイクロコンピュータ81に送信されるので,演出制御用マイクロコンピュータ81(演出制御用CPU86)は,音量変更ボタンスイッチ61の操作の有無や,イアホン端子装着部62にイアホンが装着されているか否かを把握できるようになっている。」 (オ)「【0143】 よって,パラレル-シリアル変換IC523のパラレル入力ポートには,レバースイッチ510a?510d,トリガースイッチ512a,タッチセンサ513,音量変更ボタンスイッチ61,イアホン装着スイッチ62’,駆動フィードバック(FB)信号出力ゲート525a,525b,励磁相フィードバック(FB)信号出力ゲート526a,526bから出力される出力信号と合致した信号が入力されるので,該パラレル入力ポートに入力される信号が,入力取込信号(ラッチ信号)の入力に応じて取り込まれ,中継基板88,89を介して演出制御用マイクロコンピュータ81並びに座標特定用DSP266にシリアルデータとして出力されることで,演出制御用マイクロコンピュータ81が,操作レバー600の指触の有無や,操作レバー600の操作方向や,トリガースイッチ512aの操作を検知できるとともに,座標特定用DSP266が,操作レバー600の操作により指定された位置(座標)を特定できる。更に,これら位置位置座標の特定に加えて,振動モータ514a並びに風モータ515aが動作(回転)中であるか否かや,異常な駆動がなされているか否かを検知できるようになっており,これら振動モータ514a並びに風モータ515aが動作(回転)中であるか否かや異常な駆動がなされているか否かに基づいて,後述するモータ異常判定処理において,振動モータ514a並びに風モータ515aの異常の有無が,判定されるようになっている。」 (カ)「【0291】 コマンド解析処理を実行した後には,飾り図柄プロセス処理を実行する(ステップSa57)。この飾り図柄プロセス処理では,変動表示装置9の表示画面にて行われる飾り図柄の可変表示の進行状況並びに操作レバー600の操作に応じて,変動表示装置9の表示出力,スピーカ27L,27R,27a,27bからの音声出力,各種LEDの点灯動作などにより各種の演出動作を実行するための設定が行われる。そして,演出側乱数値更新処理が実行されることにより(ステップSa58),演出制御基板80の側にて乱数回路(図示略)等によりカウントされる各種の乱数値が更新される。さらに,異常の発生等を変動表示装置9等の演出装置における表示やスピーカ27L,27R,27a,27bからのエラー音の出力により報知を行う報知制御処理(ステップSa59)や,音量変更ボタンスイッチ61の操作に応じてスピーカ27L,27R,27a,27bやイアホン端子装着部62からの出力音量を遊技者が変更する図12に示す音量変更処理(ステップSa60)を実行した後,ステップSa54に戻る。」 (キ)「【0395】 次に,図12?図14に基づいて,本実施の形態のパチンコ機2において遊技者が音量を変更する流れについて説明する。 【0396】 遊技者が,スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量や,イアホン端子装着部62から出力される音量を変更したい場合には,音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良い。 【0397】 この音量変更ボタンスイッチ61の操作に応じた信号が,前述したように,センサ監視IC524に入力され,該入力に応じた信号がパラレル-シリアル変換IC523に入力されて,これら入力状態を示すシリアルデータとして演出制御用マイクロコンピュータ81に送信されることで,演出制御用マイクロコンピュータ81は,遊技者による音量変更ボタンスイッチ61の操作があったことを検知することができる。 【0398】 これら音量変更ボタンスイッチ61が操作されたことは,図22のステップS60にて実行される音量変更処理におけるSh1のステップにて「Yes」と判定されてSh2のステップに進む。尚,音量変更ボタンスイッチ61が操作されてない場合には,Sh1のステップにて「No」と判定されて当該処理を終了する。 ・・・ 【0406】 一方,イアホン端子装着部62にイアホンが装着されていない場合には,Sh9のステップに進み,音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている上限音量と下限音量,並びにRAM85の所定領域に格納されている現在において設定されているスピーカ音量(これらスピーカ音量が格納されていないときには,音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量)を特定し,該特定した上限音量と下限音量と,設定されているスピーカ音量とが表示された図13(b)に示すスピーカ音量設定画面を変動表示装置9に表示する制御を行い(ステップSh8),Sh11のステップに進む。 【0407】 Sh11のステップにおいては,座標特定用DSP266に対してレバー操作許諾指示を出力して,該座標特定用DSP266から,操作レバー600の操作による座標データの出力を開始させ,操作レバー600の操作を有効とする。 【0408】 そして,Sh12のステップとSh13のステップとを巡回実施することで,レバー操作があったか(X座標の変更があったか),設定終了条件が成立したか否かを判定する。 【0409】 Sh12のステップにおいて,X座標の変更によりレバー操作があったと判定された場合には,Sh16のステップに進んで,該X座標の変更に対応する新たな音量が,上下限音量の範囲内であるか否かを判定する。 【0410】 該判定において,上下限音量の範囲内である場合にはSh17のステップに進んで,操作方向(音量大方向または音量小方向)に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させる表示制御を実施するとともに,該移動後の音量による所定の調整音をスピーカ27L,27R,27a,27b又はイアホン端子装着部62から出力させる制御を行った後,Sh12のステップに戻る。 【0411】 尚,Sh16のステップにおける判定において,上下限音量の範囲内でない場合には,Sh17,Sh18のステップを実施することなく,Sh12のステップに戻ることで,上下限音量の範囲外の音量への移動(設定)が不能とされる。 【0412】 つまり,遊技者は,図13(a)のイアホン音量設定画面や,図13(b)のスピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて,操作レバー600を,音量を小さくしたい場合にはパチンコ機2に向かって左方向に操作し,音量を大きくしたい場合にはパチンコ機2に向かって右方向に操作すれば良く,これら操作に応じて出力される調整音の音量を確認して,所望の音量を選択すれば良い。そして,該選択した音量を設定する場合には,音量変更ボタンスイッチ61を操作すれば良い。 【0413】 この音量設定画面の表示中における音量変更ボタンスイッチ61の操作により,Sh13のステップにおいて設定終了条件が成立したと判断されてSh14のステップに進み,RAM85の所定領域に格納されているイアホン音量或いはスピーカ音量のデータが更新(格納)されるともに,図14(b)に示すように,これら更新後のイアホン音量或いはスピーカ音量が,画像音声生成用LSI262を介して音声出力基板70に対して出力されて設定されるとともに,各音量設定画面の表示が終了される。そして,座標特定用DSP266に対してレバー操作無効指示を出力して座標データの出力を終了させて(ステップSh15),操作レバー600の操作を有効として当該処理を終了する。」 (ク)上記段落【0011】の記載を参酌すると,【図12】には演出制御用マイクロコンピュータ81が実行する音量変更処理の処理内容を示すフローチャートが記載されているところ,【図12】には当該音量変更処理には, ・移動後の音量が上下限範囲内か否かを判断するSh16のステップ ・操作方向に所定レベルだけ設定音量表示を移動する処理 及び移動後の音量による調整音を出力する処理であるSh17のステップ が含まれることが図示されている。 上記記載事項(ア)?(キ)及び上記図示事項(ク)より,以下の事項が導かれる。 なお,(a)?(i)は本願補正発明の構成A?Iに対応した事項を示している。 (a)上記段落【0395】には「パチンコ機2」と記載されており,刊行物1には, パチンコ機2が記載されているといえる。 (b)上記段落【0028】には「演出用の効果音(演出音)を発する2つのスピーカ27L,27R」,「演出用の効果音を発する2つのスピーカ27a,27b」と記載されているので,刊行物1には, 演出用の効果音(演出音)を発するスピーカ27L,27R,27a,27bが記載されているといえる。 (c)上記段落【0029】には「遊技者が操作する音量変更ボタンスイッチ61」と記載され,上記段落【0412】には「遊技者は,・・・操作レバー600を・・・音量を大きくしたい場合にはパチンコ機2に向かって右方向に操作・・・」と記載され,上記段落【0130】には「操作レバー600に設けられたレバースイッチ510a?510d,・・・音量変更ボタンスイッチ61,・・・から出力される信号・・・の入力を検出し,信号入力に対応した所定の検知信号を出力するセンサ監視IC524と,」と記載され,上記段落【0132】には「演出制御用マイクロコンピュータ81(演出制御用CPU86)は,音量変更ボタンスイッチ61の操作の有無・・・を把握できるようになっている。」と記載され,上記段落【0143】には「演出制御用マイクロコンピュータ81が,・・・操作レバー600の操作方向・・・を検知できる」と記載されているので,刊行物1には, 遊技者が操作する音量変更ボタンスイッチ61と, 音量を大きくしたい場合に,遊技者がパチンコ機2に向かって右方向に操作する操作レバー600と, 操作レバー600に設けられたレバースイッチ510a?510d,音量変更ボタンスイッチ61から出力される信号の入力を検出し,信号入力に対応した所定の検知信号を出力するセンサ監視IC524と, 音量変更ボタンスイッチ61の操作の有無を把握したり,操作レバー600の操作方向を検知できる演出制御用マイクロコンピュータ81が記載されているといえる。 (d)上記段落【0112】には「設定回転子83aは,スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音の音量範囲と初期音量を,遊技場の関係者(係員)が設定する部分であり」と記載されているから,刊行物1には, スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音の音量範囲と初期音量を,遊技場の関係者(係員)が設定する設定回転子83aが記載されているといえる。 (e-1)上記段落【0291】には「スピーカ27L,27R,27a,27b・・・からの出力音量を遊技者が変更する・・・音量変更処理」と記載され,上記段落【0412】には「遊技者は・・・スピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて,操作レバー600を・・・操作・・・所望の音量を選択」,「選択した音量を設定する場合には,音量変更ボタンスイッチ61を操作・・・」と記載されているから,刊行物1には, スピーカ27L,27R,27a,27bからの出力音量を遊技者が変更するにあたり,遊技者がスピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて操作レバー600を操作して所望の音量を選択し,音量変更ボタンスイッチ61を操作することにより選択した音量を設定する音量変更処理を行うことが記載されているといえる。 そして,上記【0011】には「演出制御用マイクロコンピュータ81が実行する音量変更処理」とも記載されている。 したがって,刊行物1には, スピーカ27L,27R,27a,27bからの出力音量を遊技者が変更するにあたり,遊技者がスピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて操作レバー600を操作して所望の音量を選択し,音量変更ボタンスイッチ61を操作することにより選択した音量を設定する音量変更処理を行う演出制御用マイクロコンピュータ81が記載されているといえる。 (f,g-1,e-2)上記段落【0409】には「Sh12のステップにおいて,・・・レバー操作があったと判定された場合には,Sh16のステップに進んで,・・・新たな音量が,上下限音量の範囲内であるか否かを判定する。」と記載され,上記段落【0410】には「該判定において,上下限音量の範囲内である場合にはSh17のステップに進んで,操作方向・・・に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させる表示制御を実施するとともに,該移動後の音量による所定の調整音をスピーカ27L,27R,27a,27b・・・から出力させる制御を行」うことが記載されている。 そして,上記【図12】には上記Sh16のステップ,Sh17のステップは,それぞれ音量変更処理に含まれるステップであることが図示され,上記段落【0011】には「演出制御用マイクロコンピュータ81が実行する音量変更処理」と記載されているところから,上記Sh16のステップ,Sh17のステップは,演出制御用マイクロコンピュータ81により実行されていることは明らかである。 したがって,刊行物1には, レバー操作があったと判定された場合には,新たな音量が上下限音量の範囲内であるか否かを判定するSh16のステップを実行し,Sh16のステップの判定において新たな音量が上下限音量の範囲内である場合には,操作方向に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させるとともに移動後の音量により所定の調整音を処理をスピーカ27L,27R,27a,27bから出力させるSh17のステップを実行する演出制御用マイクロコンピュータ81が記載されているといえる。 (h-1,h-2)上記段落【0406】には「現在において設定されているスピーカ音量(これらスピーカ音量が格納されていないときには,音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量)を特定し,・・・設定されているスピーカ音量・・・が表示された・・・スピーカ音量設定画面を変動表示装置9に表示する」と記載されているから,刊行物1には, 現在において設定されているスピーカ音量(これらスピーカ音量が格納されていないときには,音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量)が表示されたスピーカ音量設定画面を表示する変動表示装置9が記載されている。 (g-3)上記段落【0411】には「Sh16のステップにおける判定において,上下限音量の範囲内でない場合には,Sh17・・・のステップを実施することなく,Sh12のステップに戻る」と記載されている。 ここで上記(f,g-1,e-2)に示したとおり,刊行物1には ・Sh17のステップは,演出制御用マイクロコンピュータ81により実行されるものであること ・Sh17のステップには所定の調整音をスピーカ27L,27R,27a,27bから出力させる処理を含むこと がそれぞれ記載されている。 したがって,刊行物1には, Sh16のステップにおける判定において新たな音量が上下限音量の範囲内でない場合には,所定の調整音を出力する処理を含むSh17のステップを実施することのない演出制御用マイクロコンピュータ81が記載されているといえる。 (i)上記(a)のとおり,刊行物1には, パチンコ機2が記載されているといえる。 上記記載事項(ア)?(キ),図示事項(ク)及び上記の認定事項(a)?(i)から,刊行物1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「a パチンコ機2であって, b 演出用の効果音(演出音)を発するスピーカ27L,27R,27a,27bと, c 遊技者が操作する音量変更ボタンスイッチ61と, 音量を大きくしたい場合に,遊技者がパチンコ機2に向かって右方向に操作する操作レバー600と, 操作レバー600に設けられたレバースイッチ510a?510d,音量変更ボタンスイッチ61から出力される信号の入力を検出し,信号入力に対応した所定の検知信号を出力するセンサ監視IC524と, 音量変更ボタンスイッチ61の操作の有無を把握したり,操作レバー600の操作方向を検知できる演出制御用マイクロコンピュータ81と, d スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音の音量範囲と初期音量を,遊技場の関係者(係員)が設定する設定回転子83aと, e-1 スピーカ27L,27R,27a,27bからの出力音量を遊技者が変更するにあたり,遊技者がスピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて操作レバー600を操作して所望の音量を選択し,音量変更ボタンスイッチ61を操作することにより選択した音量を設定する音量変更処理を行う演出制御用マイクロコンピュータ81と, f,g-1,e-2 レバー操作があったと判定された場合には,新たな音量が上下限音量の範囲内であるか否かを判定するSh16のステップを実行し,Sh16のステップの判定において新たな音量が上下限音量の範囲内である場合には,操作方向に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させるとともに移動後の音量により所定の調整音を処理をスピーカ27L,27R,27a,27bから出力させるSh17のステップを実行する演出制御用マイクロコンピュータ81と, h-1,h-2 現在において設定されているスピーカ音量(これらスピーカ音量が格納されていないときには,音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量)が表示されたスピーカ音量設定画面を表示する変動表示装置9と, g-3 Sh16のステップにおける判定において,新たな音量が上下限音量の範囲内でない場合には,所定の調整音を出力する処理を含むSh17のステップを実施することのない演出制御用マイクロコンピュータ81とを有する i パチンコ機2。」 (3)対比 (a)引用発明1の構成aの「パチンコ機2」は,パチンコという遊技が可能な遊技機であることが明らかである。したがって,引用発明1の「パチンコ機2」は, 本願補正発明の「所定の遊技が可能な遊技機」に相当する。 (b)引用発明1の構成bの「演出用の効果音(演出音)」は,遊技に関連するものであることは明らかである。したがって,引用発明1の「演出用の効果音(演出音)を発するスピーカ27L,27R,27a,27b」は, 本願補正発明の「遊技に関連する演出音を出力可能な演出音出力部」の機能を有するといえる。 (c)引用発明1の構成cの「音量変更ボタンスイッチ61」及び「操作レバー600」は遊技者によって操作されるものである。してみると,引用発明1の構成cにおける「操作レバー600に設けられたレバースイッチ510a?510d,音量変更ボタンスイッチ61から出力される信号の入力を検出」することは,本願補正発明の本願補正発明における「遊技者の動作を検出」していることに相当するといえる。 したがって,引用発明1の構成cの「操作レバー600に設けられたレバースイッチ510a?510d,音量変更ボタンスイッチ61から出力される信号の入力を検出し,信号入力に対応した所定の検知信号を出力するセンサ監視IC524」は, 本願補正発明の「遊技者の動作を検出可能な検出部」の機能を有するといえる。 (d)上記(b)に示したとおり,引用発明1の構成bの「スピーカ27L,27R,27a,27b」は演出用の効果音(演出音)を出力するものである。したがって,引用発明1の構成dにおける「スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音」は,本願補正発明の「演出音」に相当するといえる。 また,引用発明1の構成dにおける「遊技場の関係者(係員)」は,遊技機が設置されている遊技店側の者であることは,明らかである。 してみると,引用発明1の構成dの「スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音の音量範囲と初期音量を,遊技場の関係者(係員)が設定する設定回転子83a」は, 本願補正発明の「前記演出音出力部から出力される演出音の音量を,該遊技機が設置されている遊技店側が設定可能な第1設定手段」の機能を有するといえる。 (e-1)引用発明1の構成e-1における「スピーカ27L,27R,27a,27bからの出力音量」は,本願補正発明の「前記演出音出力部から出力される演出音の音量」に相当するといえる。 そして,引用発明1の「遊技者がスピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて操作レバー600を操作して所望の音量を選択」する処理,及び「音量変更ボタンスイッチ61を操作することにより選択した音量を設定する」処理を含む音量変更処理は,演出制御用マイクロコンピュータ81により実行されるものである。 また,このような音量変更処理を演出制御用マイクロコンピュータ81が実行するためには,上記「操作レバー600の操作」及び「音量変更ボタンスイッチ61の操作」について,センサ監視IC524が検出することが必要であることは,当業者にとって明らかである。 してみると,引用発明1の構成e-1の「スピーカ27L,27R,27a,27bからの出力音量を遊技者が変更するにあたり,遊技者がスピーカ音量設定画面が表示されたことに応じて操作レバー600を操作して所望の音量を選択し,音量変更ボタンスイッチ61を操作することにより選択した音量を設定する音量変更処理を行う演出制御用マイクロコンピュータ81」は, 本願補正発明の「前記演出音出力部から出力される演出音の音量を,前記検出部での検出により遊技者側が設定可能な第2設定手段」の機能を有するといえる。 (f)引用発明1の構成f,g-1,e-2において「レバー操作があったと判定された」ことは,本願補正発明の「検出部での検出がなされたこと」に相当する。 また,引用発明1の構成f,g-1,e-2において「新たな音量が上下限音量の範囲内であるか否かを判定し,その判定において上下限音量の範囲内である場合には,操作方向に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させる」処理を行っているが,設定音量の表示である設定音量表示(黒バー)が所定レベルだけ移動するのであるから,設定音量を所定レベルだけ段階的に変更することが可能であることは明らかである。 してみると,引用発明1の構成f,g-1,e-2の「レバー操作があったと判定された場合には,新たな音量が上下限音量の範囲内であるか否かを判定するSh16のステップを実行し,Sh16のステップの判定において新たな音量が上下限音量の範囲内である場合には,操作方向に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させるとともに移動後の音量により所定の調整音を処理をスピーカ27L,27R,27a,27bから出力させるSh17のステップを実行する演出制御用マイクロコンピュータ81」は, 本願補正発明の「前記第2設定手段により設定される音量を前記検出部での検出がなされたことに基づいて段階的に変更可能な音量変更手段」の機能を有するといえる。 (g-1)上記(f)のとおり,引用発明1の構成f,g-1,e-2において「レバー操作があったと判定された」ことは,本願補正発明の「検出部での検出がなされたこと」に相当する。 また,引用発明1の構成f,g-1,e-2の「移動後の音量」は,「新たな音量が上下限音量の範囲内である場合には,操作方向に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させ」た後の音量であるので,「新たな音量」に対応するものである。そして,引用発明1における「新たな音量」とは,引用発明1の構成e-1において設定される音量であることは,当業者にとって明らかである。してみると,引用発明1の構成f,g-1,e-2の「スピーカ27L,27R,27a,27bから出力」される「移動後の音量」による「所定の調整音」は,本願補正発明の「前記第2設定手段により設定される音量に対応する確認音」に相当するといえる。 したがって,引用発明1の構成f,g-1,e-2の「レバー操作があったと判定された場合には,新たな音量が上下限音量の範囲内であるか否かを判定するSh16のステップを実行し,Sh16のステップの判定において新たな音量が上下限音量の範囲内である場合には,操作方向に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させるとともに移動後の音量により所定の調整音を処理をスピーカ27L,27R,27a,27bから出力させるSh17のステップを実行する演出制御用マイクロコンピュータ81」は, 本願補正発明の「前記検出部での検出がなされたときに,該検出後に前記第2設定手段により設定される音量に対応する確認音を前記演出音出力部から出力するための処理を実行する確認音出力手段」の機能を有するといえる。 (h-1)引用発明1の構成h-1,h-2の「現在において設定されているスピーカ音量」とは,上記音量変更処理を実行する演出制御用マイクロコンピュータ81により変更される音量であることは明らかである。 してみると,引用発明1の構成h-1,h-2の「現在において設定されているスピーカ音量(これらスピーカ音量が格納されていないときには,音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量)が表示されたスピーカ音量設定画面を表示する変動表示装置9」は, 本願補正発明の本願補正発明の「第2設定手段にて設定される音量を認識可能に表示する表示手段」の機能を有するといえる。 (e-2)上記(f)に示したとおり,引用発明1の構成f,g-1,e-2において「新たな音量が上下限音量の範囲内であるか否かを判定し,その判定において上下限音量の範囲内である場合には,操作方向に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させる」処理を行っているところから,引用発明1においては,所定範囲内での音量の設定が可能であることは明らかである。 したがって,引用発明1の構成f,g-1,e-2の「レバー操作があったと判定された場合には,新たな音量が上下限音量の範囲内であるか否かを判定するSh16のステップを実行し,Sh16のステップの判定において新たな音量が上下限音量の範囲内である場合には,操作方向に所定レベルだけ設定音量表示(黒バー)を移動させるとともに移動後の音量により所定の調整音を処理をスピーカ27L,27R,27a,27bから出力させるSh17のステップを実行する演出制御用マイクロコンピュータ81」は, 本願補正発明の「所定範囲内で前記音量の設定が可能であ」る,第2設定手段の機能を有するといえる。 (g-3)引用発明1の構成g-3において,新たな音量が上限音量を超える場合には,新たな音量が上下限音量の範囲外となるため,所定の調整音を出力する処理を含むSh17のステップを実施することがないものである。 してみると,引用発明1において,新たな音量が上限音量を超えるという条件に加えて,現在設定されている音量が上限であるという条件がある場合においても,所定の調整音を出力する処理を含むSh17のステップを行わないということは,当業者にとって明らかである。 したがって,引用発明1の構成g-3の「Sh16のステップにおける判定において,新たな音量が上下限音量の範囲内でない場合には,所定の調整音を出力する処理を含むSh17のステップを実施することのない演出制御用マイクロコンピュータ81」は, 本願補正発明の「前記第2設定手段により設定される音量が所定範囲の上限にある場合において,当該音量を前記所定範囲の上限外へ変更するように前記検出部での検出がなされたときには確認音を出力するための処理を実行」しない確認音出力手段の機能を有するといえる。 (h-2)引用発明1の構成h-1,h-2の「音量範囲設定部83の設定回転子83a」は,本願補正発明の「第1設定手段」の機能を有する。 さて,引用発明1において,スピーカ音量が格納されていないときには,変動表示装置9には,音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定された初期音量が表示されたスピーカ音量設定画面が表示されることとなる。 この状態で,新たに,上記設定回転子83aで初期音量を設定した場合には,その新たに設定された初期音量が表示されたスピーカ音量設定画面が,変動表示装置9に表示されることは,当業者にとって明らかである。 したがって,引用発明1の構成h-1,h-2の「現在において設定されているスピーカ音量(これらスピーカ音量が格納されていないときには,音量範囲設定部83の設定回転子83aにて設定されている初期音量)が表示されたスピーカ音量設定画面を表示する変動表示装置9」は, 本願補正発明の「前記第1設定手段により新たに音量が設定された場合には,当該新たに設定された音量にもとづき,前記第2設定手段にて設定される音量表示を行う」表示手段の機能を有するといえる。 (i)引用発明1の構成iの「パチンコ機2」は, 本願補正発明の「遊技機」に相当する。 上記(a)?(i)から,本願補正発明と引用発明とは, [一致点] A 所定の遊技が可能な遊技機であって, B 遊技に関連する演出音を出力可能な演出音出力部と, C 遊技者の動作を検出可能な検出部と, D 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を,該遊技機が設置されている遊技店側が設定可能な第1設定手段と, E-1 前記演出音出力部から出力される演出音の音量を,前記検出部での検出により遊技者側が設定可能な第2設定手段と, F 前記第2設定手段により設定される音量を前記検出部での検出がなされたことに基づいて段階的に変更可能な音量変更手段と, G-1 前記検出部での検出がなされたときに,該検出後に前記第2設定手段により設定される音量に対応する確認音を前記演出音出力部から出力するための処理を実行する確認音出力手段と, H-1 前記第2設定手段にて設定される音量を認識可能に表示する表示手段と, を備え, E-2 前記第2設定手段は,所定範囲内で前記音量の設定が可能であり, G-3 前記確認音出力手段は, 前記第2設定手段により設定される音量が所定範囲の上限にある場合において,当該音量を前記所定範囲の上限外へ変更するように前記検出部での検出がなされたときには確認音を出力するための処理を実行せず, H-2 前記表示手段は,前記第1設定手段により新たに音量が設定された場合には,当該新たに設定された音量にもとづき,前記第2設定手段にて設定される音量表示を行う I 遊技機。」 である点で一致し,以下の点で相違する。 [相違点1](構成G-2) 第2設定手段により設定される音量に対応する確認音を出力する確認音出力手段に関し,本願補正発明では「一の確認音の出力が終了してから新たな確認音を出力」しているのに対し, 引用発明1ではそのような構成であるか不明である点。 (4)判断 相違点1について検討する。 本願出願時の音量調整の技術分野において,音量調整の操作を行うと確認音を出力するとともに,この確認音の出力中に再度音量調整の操作を行うと現在出力中の確認音を中断することにより終了させて,新たな確認音を出力するという技術事項は周知である。 この技術事項は,例えば, 特開2002-218351号公報(段落【0040】に「先ず,全音声発音時間がLで,現在の音量設定値が“0”である場合,時刻t1でリモコンの設定キーを1回押して音量設定値を“1”にすると,音声メモリ1に記憶されている所定の音声データが音量設定値“1”に対応する音量の確認音W1で発音される。確認音W1が発音開始された後,ユーザが音量の大きさを判定し,全発音時間Lが経過する前の時刻t2で更に設定キーを1回押して音量設定値を“2”に変更すると,その時点で発音中の確認音W1が中断され,新たに音量設定値“2”に対応する音量の確認音W2が発音開始される。」と記載されている。(下線は当審にて付した。)や, 特開2007-267955号公報(段落【0053】には「報知手段31は報知切り換え手段33による切り換えに従い,切り換えられた音量を音声報知手段31aにより音声で報知できる。」と記載され,段落【0057】には「また,音量の切り換えに伴なう音や音声による報知は,切り換えられた音量にて行うようにしている。」と記載され,段落【0054】には「この場合,音声報知手段31aによる切り換えられた音量の音声報知中に,別の音量に切り換えられたとき,制御手段34はその時点の音量の音声報知を中断し,切り換えられた別の音量につき音声報知手段31aにより音声報知するようにする。」と記載され,段落【0055】には「図4に例示するように,音声報知手段31aの先の切り換え操作により音量を例えば「大」に切り換えられたことにつき報知1を行なっている途中,つまり切り換えを有効とする待ち時間tが経過しないデータD1やデータD2での報知途中で,次の切り換え操作で別の音量例えば「中」に切り換えられたとき,制御手段34がその時点の音量の報知1を中断し,切り換えられた別の音量「中」についての音声での報知2を行い,」と記載されている。(下線は当審にて付した。)) にも記載されているように,対象とする機器の分野を問わず周知である。 そして,引用発明1と上記周知の技術事項とは,ともに利用者による音量調節ができる電子機器であるという点で関連する技術分野に属するといえ,更に音量調節の状態について,利用者に音声で報知するという点において共通の作用,機能を有しているといえる。 したがって,引用発明1において,設定される音量に対応する確認音(調整音)について,確認音の出力中に再度音量調整の操作を行うと現在出力中の確認音を終了させて新たな確認音を出力するという上記周知の技術事項を適用して,相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者にとって容易である。 そして,本願補正発明の効果についても検討してみても,刊行物1,上記周知の技術事項から当業者が予想する範囲のものであり,格別なものとは認められない。 (5)請求人の主張について 請求人は,平成29年6月14日付けの上申書において「補正後の請求項1に係る発明は,「一の確認音の出力が終了してから新たな確認音を出力」するものでありますので,そもそも音の重複を生じることはありません。仮に,一の確認音の出力が終了したときと新たな確認音の出力が開始されたときとの間隔がとても短く,音が連続して聴こえるように遊技者が感じたとしても,遊技者は最後部(新たな確認音における最後の部分)を把握することで現在の音量を認識できます。なお,補正後の請求項1に係る発明では,表示手段が設定される音量を認識可能に表示します。つまり,遊技者は,音量を聴覚及び視覚の両方で適切に認識できます。 従いまして,補正後の請求項1に係る発明が「遊技者が短期間に連続して操作を行ったときに,確認音が連続して出力されてしまい,遊技者が確認音の認識に誤認を生じるおそれがなく,現在設定された音量がいずれの音量であるかを把握しやすいという有用な作用」を有することは明らかです。」と主張している。 この主張について検討する。上記のとおり引用発明1と周知の技術事項から導かれる発明における確認音(調整音)は,確認音の出力中に再度音量調整の操作を行うと現在出力中の確認音を中断することにより終了させて,新たな確認音を出力するものであるので,確認音の重複が生じないものであって,上記主張における「遊技者が短期間に連続して操作を行ったときに,確認音が連続して出力されてしまい,遊技者が確認音の認識に誤認を生じるおそれがなく,現在設定された音量がいずれの音量であるかを把握しやすいという有用な作用」を有することも明らかである。 よって,上記主張における,本願補正発明の上記「有用な作用」は,引用発明1及び上記周知の技術事項から予測しうるものといえるので,請求人の主張は採用できない。 (6)まとめ したがって,本願補正発明は,引用文献1及び上記周知の技術事項から,当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって,本件補正は,特許法第17条の2第6項にて準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 本件補正は,上記のとおり却下されることとなったので,本願の請求項1に係る発明は,平成28年7月11日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,上記「第2[理由]1」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。 1 刊行物1 原査定の平成28年5月11日付け拒絶理由に引用された本願出願前に頒布された刊行物1の記載事項及び引用発明1の認定については,上記「第2[理由]3(2)」に記載したとおりである。 2 対比・判断 本願発明は,上記「第2[理由]1」で検討した本願補正発明から, ア 「確認音出力手段」について「一の確認音の出力が終了してから新たな確認音を出力」する構成を省いたものである。 このような本願発明は,上記本願補正発明から,上記「第2[理由]3(3)」で示した本願補正発明と引用発明1の相違点である[相違点1]に関する構成を省いたものといえる。したがって,本願発明と,引用発明1とは構成上の差異はない。 したがって,本願発明は,刊行物1に記載された発明である。 また仮に,本願発明と,引用発明1との間に相違点があったとしても,本願発明は刊行物1に接した当業者が容易に発明できたものである。 3 むすび 以上の通り,本願発明は,特許法第29条第1項第3号または同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって,その余の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-10-17 |
結審通知日 | 2017-10-24 |
審決日 | 2017-11-07 |
出願番号 | 特願2013-225119(P2013-225119) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 河本 明彦 |
特許庁審判長 |
石井 哲 |
特許庁審判官 |
長崎 洋一 後藤 順也 |
発明の名称 | 遊技機 |