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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1335675 |
審判番号 | 不服2017-5514 |
総通号数 | 218 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-02-23 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-18 |
確定日 | 2017-12-21 |
事件の表示 | 特願2015-210621号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月18日出願公開、特開2017- 79991号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年10月27日の出願であって、平成28年7月11日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年9月16日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年2月2日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年4月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正がなされたものである。 第2 平成29年4月18日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成29年4月18日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】 所定条件が成立したときに所定の遊技領域を狙って遊技を行うように構成された遊技機であって、 画像を表示可能な画像表示手段と、 演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、 前記演出制御手段は、 所定の演出画像が表示される前記画像表示手段の画像表示領域を第1の領域及び該第1の領域より小さい第2の領域に設定可能な領域設定手段と、 前記所定の遊技領域を狙って遊技を行うことを指示する指示画像を前記第2の領域外であって前記第1の領域の所定位置に表示させる制御を行う指示画像表示制御手段と、を有し、 前記指示画像表示制御手段は、 前記領域設定手段により前記画像表示領域が前記第1の領域から前記第2の領域に変更された場合でも、前記指示画像を前記第1の領域の前記所定位置に継続して表示させることを特徴とする遊技機。」 から、 「【請求項1】 所定条件が成立したときに所定の遊技領域を狙って遊技を行うように構成された遊技機であって、 画像を表示可能な画像表示手段と、 演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、 前記演出制御手段は、 所定の演出画像が表示される前記画像表示手段の画像表示領域を第1の領域及び該第1の領域より小さい領域に、該領域の外周を示す枠画像と、前記第1の領域から縮小表示した縮小画像と、を第2の領域に設定可能な領域設定手段と、 前記所定の遊技領域を狙って遊技を行うことを指示する指示画像を前記第2の領域外であって前記第1の領域の所定位置に表示させる制御を行う指示画像表示制御手段と、を有し、 前記指示画像表示制御手段は、 前記領域設定手段により前記画像表示領域が前記第1の領域から前記第2の領域に変更された場合でも、前記指示画像を前記第1の領域の前記所定位置に継続して表示させることを特徴とする遊技機。」 に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。)。 2 補正の適否について 上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「領域設定手段」に関して、「第1の領域より小さい領域に、該領域の外周を示す枠画像と、前記第1の領域から縮小表示した縮小画像と、を第2の領域に設定可能な」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。 3 独立特許要件について そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1)刊行物1 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開2015-134091号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (1-a)「【0001】 本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に係り、詳しくは、遊技領域に遊技媒体を発射することにより遊技を行う遊技機に用いる遊技盤に関する。 【背景技術】 【0002】 遊技機として、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技媒体が入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出されるものがある。さらに、入賞領域に遊技媒体が入賞する(始動条件が成立する)と識別情報を変動可能に表示(可変表示)する可変表示手段が設けられ、可変表示手段において識別情報の可変表示の表示結果が特定表示結果(大当り図柄)となった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り遊技状態)に制御可能になるように構成されたものがある。 【0003】 このような遊技機において、電動チューリップ26が開放される頻度が通常よりも高い状態の間、遊技者に右打ちを促す報知を行うパチンコ遊技機がある(例えば特許文献1参照)。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、遊技者に右打ちを促す報知を行っている表示領域に、可動役物などによって視認が妨げられた場合、遊技者は、右打ちすべきことを認識できないおそれがあった。 【0006】 この発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、指示を容易に認識できる遊技盤の提供を目的とする。」 (1-b)「【0025】 遊技盤2における遊技領域の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。」 (1-c)「【0052】 演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、画像表示装置5、スピーカ8L、8R及び遊技効果ランプ9や装飾用LEDといった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、画像表示装置5における表示動作や、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部または一部、遊技効果ランプ9や装飾用LEDなどにおける点灯/消灯動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。」 (1-d)「【0067】 演出制御基板12に搭載された表示制御部123は、演出制御用CPU120からの表示制御指令などに基づき、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定する。例えば、表示制御部123は、画像表示装置5の表示領域内に表示させる演出画像の切換タイミングを決定することなどにより、飾り図柄の可変表示や各種の演出表示を実行させるための制御を行う。一例として、表示制御部123には、VDP(Video Display Processor)、CGROM(Character Generator ROM)、VRAM(Video RAM)、LCD駆動回路などが搭載されていればよい。なお、VDPは、GPU(Graphics Processing Unit)、GCL(Graphics Controller LSI)、あるいは、より一般的にDSP(Digital Signal Processor)と称される画像処理用のマイクロプロセッサであってもよい。CGROMは、例えば書換不能な半導体メモリであってもよいし、フラッシュメモリなどの書換可能な半導体メモリであってもよく、あるいは、磁気メモリ、光学メモリといった、不揮発性記録媒体のいずれかを用いて構成されたものであればよい。」 (1-e)「【0087】 また、確変状態や時短状態であるときに遊技球が右遊技領域2Bに向けて発射された場合、左遊技領域2Aに向けて発射されるよりも遊技者にとって有利となるのは、例えば普通入賞球装置6Aへ遊技球が進入する場合よりも普通可変入賞球装置6Bへ遊技球が進入する場合の方がより有利な大当り遊技状態に制御される可能性が高いからである。大当り遊技状態であるときに遊技球が右遊技領域2Bに向けて発射された場合、左遊技領域2Aに向けて発射されるよりも遊技者にとって有利となるのは、特別可変入賞球装置7の開放制御が行われるからである。 【0088】 そこで、この実施の形態では、遊技状態に応じて、遊技球を左遊技領域2Aに発射すべきことを遊技者に報知する左打ち指示報知または右遊技領域2Bに発射すべきことを遊技者に報知する右打ち指示報知のいずれかを行う。また、特に遊技状態の移行に伴って遊技球を発射すべき領域が変わる場合、遊技者がこれに気付かずにそのまま遊技球を打ち続けていると損をする虞があるため、遊技者に対し発射すべき領域を指示する報知を行う。」 (1-f)「【0229】 図21は、第1右打ち指示報知及び第2右打ち指示報知の実行中に、「可動演出部材動作」の予告演出が実行される場合の演出動作例を示している。この例では、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となった後、「可動演出部材動作」の予告演出が開始されるときに、図21(C)に示すように、第1右打ち指示報知画像51及び第2右打ち指示報知画像52とともに、操作ボタンの操作を遊技者に促す演出画像が画像表示装置5に表示される。その後、遊技者により操作ボタンが操作されると、図21(D)に示すように、可動演出部材60が表示領域における所定端部の近傍から表示領域の前面へと進出され、第1右打ち指示報知画像51が表示される画像表示装置5の上方の表示領域(第1表示領域)の少なくとも一部の視認が妨げられる一方で、第2右打ち指示報知画像52が表示される画像表示装置5の下方右側の表示領域(第2表示領域)の視認は妨げられることなく、第2右打ち指示報知が実行される。 【0230】 このように、「可動演出部材動作」の予告演出が実行されることにより、第1右打ち指示報知画像51が表示される画像表示装置5の上方の表示領域(第1表示領域)の少なくとも一部の視認が妨げられる場合でも、第2右打ち指示報知画像52が表示される画像表示装置5の下方右側の表示領域(第2表示領域)の視認は妨げられることなく、第2右打ち指示報知が実行されるため、遊技者は、右遊技領域2Bに遊技球を発射すべきことの指示を容易に認識することができる。 【0231】 なお、第1左打ち指示報知及び第2左打ち指示報知の実行中に、「可動演出部材動作」の予告演出が実行されることにより、第1左打ち指示報知画像が表示される画像表示装置5の上方の表示領域(第1表示領域)の少なくとも一部の視認が妨げられる場合でも、第2左打ち指示報知画像が表示される画像表示装置5の下方左側の表示領域(第3表示領域)の視認は妨げられることなく、第2左打ち指示報知が実行されるため、第1右打ち指示報知及び第2右打ち指示報知の実行中と同様に、遊技者は、左遊技領域2Aに遊技球を発射すべきことの指示を容易に認識することができる。 【0232】 そして、スーパーリーチのリーチ演出が実行される場合には、可動演出部材60が表示領域の前面から表示領域における所定端部の近傍からへと退避すると、図21(E)に示すように、リーチ演出がノーマルリーチのリーチ演出からスーパーリーチのリーチ演出に発展されるとともに、図19に示すステップS531の処理が実行されることにより、第1右打ち指示報知画像が消去される一方で、第2右打ち指示報知画像52は継続して表示される。なお、スーパーリーチのリーチ演出が実行されない場合には、リーチ演出がノーマルリーチのリーチ演出からスーパーリーチのリーチ演出に発展されず、ステップS531の処理が実行されないため、第1右打ち指示報知画像は消去されることなく、第2右打ち指示報知画像52とともに継続して表示されればよい。」 (1-g)図21には、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像が表示される画像表示装置5の画像表示領域を全体の表示領域に設定する点(図21(B)、(C))、及び下方左側の表示領域に設定する点(図21(D)、(E))が図示されている。 そして、該下方左側の表示領域は、全体の表示領域よりも小さい領域であり、全体の表示領域に表示された画像の縮小画像を表示することが図示されている。 また、段落【0067】には、「表示制御部123は、・・・画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定する。」と記載されているから、表示領域の設定は、表示制御部123が行っているといえる。 よって、表示制御部123は、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像が表示される画像表示装置5の画像表示領域を全体の表示領域、及び該全体の表示領域より小さい領域に、全体の表示領域に表示された画像の縮小画像を表示する下方左側の表示領域に設定するといえる。 (1-h)段落【0229】には、「第2右打ち指示報知画像52が表示される画像表示装置5の下方右側の表示領域」が記載されている。 一方、図21には、(A)?(E)のいずれも「第2右打ち指示報知画像52」が下方右側の表示領域に表示される点が図示されており、画像表示装置5の前面から見た飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像の表示領域が全体の表示領域(図21(B)、(C))である状態から下方左側の表示領域(図21(D)、(E))である状態となっても、下方右側の表示領域に継続して表示されるといえる。 よって、(表示制御部123は、)第2右打ち指示報知画像52を下方右側の表示領域に表示させ、画像表示装置5の前面から見た飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像が表示される画像表示領域が全体の表示領域である状態から下方左側の表示領域である状態となっても、第2右打ち指示報知画像52を下方右側の表示領域に継続して表示させるといえる。 上記(1-a)?(1-f)の記載事項及び(1-g)?(1-h)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。 「大当り遊技状態であるときに遊技球が右遊技領域2Bに向けて発射された場合、遊技者にとって有利となるから、右遊技領域2Bに発射すべきことを遊技者に報知する右打ち指示報知を行う遊技機であって(段落【0087】、【0088】、【0001】)、 各種の演出画像を表示する表示領域を形成している画像表示装置5と(段落【0025】)、 所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えた演出制御基板12と(段落【0052】)、を備え、 演出制御基板12は、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定する表示制御部123を搭載し(段落【0067】)、 表示制御部123は、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像が表示される画像表示装置5の画像表示領域を全体の表示領域、及び該全体の表示領域より小さい領域に、全体の表示領域に表示された画像の縮小画像を表示する下方左側の表示領域に設定し(認定事項(1-g))、 第2右打ち指示報知画像52を下方右側の表示領域に表示させ、画像表示装置5の前面から見た飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像が表示される画像表示領域が全体の表示領域である状態から下方左側の表示領域である状態となっても、第2右打ち指示報知画像52を下方右側の表示領域に継続して表示させる遊技機(認定事項(1-h))。」 (2)対比 本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。 ア 刊行物1発明の「大当り遊技状態であるとき」、「右遊技領域2Bに発射すべきことを遊技者に報知する右打ち指示報知を行う」は、それぞれ、本願補正発明の「所定条件が成立したとき」、「所定の遊技領域を狙って遊技を行うように構成された」に相当する。 よって、刊行物1発明の「大当り遊技状態であるときに遊技球が右遊技領域2Bに向けて発射された場合、遊技者にとって有利となるから、右遊技領域2Bに発射すべきことを遊技者に報知する右打ち指示報知を行う遊技機」は、本願補正発明の「所定条件が成立したときに所定の遊技領域を狙って遊技を行うように構成された遊技機」に相当する。 イ 刊行物1発明において「各種の演出画像を表示する表示領域を形成」されれば、画像を表示可能であることは明らかである。 よって、刊行物1発明の「各種の演出画像を表示する表示領域を形成している画像表示装置5」は、本願補正発明の「画像を表示可能な画像表示手段」に相当する。 ウ 刊行物1発明の「所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えた演出制御基板12」は、本願補正発明の「演出の実行を制御する演出制御手段」に相当する。 エ 刊行物1発明の「表示制御部123」は、本願補正発明の「領域設定手段」及び「指示画像表示制御手段」に相当する。 また、刊行物1発明の「全体の表示領域」、「下方左側の表示領域」、「飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像」、「第2右打ち指示報知画像52」は、それぞれ、本願補正発明の「第1の領域」、「第2の領域」、「所定の演出画像」、「所定の遊技領域を狙って遊技を行うことを指示する指示画像」に相当する。 そして、刊行物1発明において、「第2右打ち指示報知画像52を下方右側の表示領域に表示させ」ることは、「下方左側の表示領域」(第2の領域)外であり、「全体の表示領域」(第1の表示領域)の所定位置であるといえる。 よって、刊行物1発明の「演出制御基板12は、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定する表示制御部123を搭載し、表示制御部123は、飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像が表示される画像表示装置5の画像表示領域を全体の表示領域、及び該全体の表示領域より小さい領域に、全体の表示領域に表示された画像の縮小画像を表示する下方左側の表示領域に設定し、第2右打ち指示報知画像52を下方右側の表示領域に表示させ」る点と、 本願補正発明の「演出制御手段は、所定の演出画像が表示される前記画像表示手段の画像表示領域を第1の領域及び該第1の領域より小さい領域に、該領域の外周を示す枠画像と、前記第1の領域から縮小表示した縮小画像と、を第2の領域に設定可能な領域設定手段と、前記所定の遊技領域を狙って遊技を行うことを指示する指示画像を前記第2の領域外であって前記第1の領域の所定位置に表示させる制御を行う指示画像表示制御手段と、を有」する点とは、 「演出制御手段は、所定の演出画像が表示される前記画像表示手段の画像表示領域を第1の領域及び該第1の領域より小さい領域に、前記第1の領域から縮小表示した縮小画像と、を第2の領域に設定可能な領域設定手段と、前記所定の遊技領域を狙って遊技を行うことを指示する指示画像を前記第2の領域外であって前記第1の領域の所定位置に表示させる制御を行う指示画像表示制御手段と、を有」する点で共通する。 オ 刊行物1発明において「画像表示領域が全体の表示領域である状態から下方左側の表示領域である状態と」するのは、上記エの検討を踏まえれば、表示制御部123(領域設定手段)により行われることは明らかである。 そして、「画像表示装置5の前面から見た飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像が表示される画像表示領域が全体の表示領域である状態から下方左側の表示領域である状態とな」ることは、「全体の表示領域」と「下方左側の表示領域」には、同じ飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像が表示されるから、画像表示装置5の前面から見れば、画像表示領域が「全体の表示領域」から「下方左側の表示領域」に変更されるといえる。 よって、刊行物1発明の(表示制御部123は)「第2右打ち指示報知画像52を下方右側の表示領域に表示させ、画像表示装置5の前面から見た飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像が表示される画像表示領域が全体の表示領域である状態から下方左側の表示領域である状態となっても、第2右打ち指示報知画像52を下方右側の表示領域に継続して表示させる」点は、本願補正発明の「前記指示画像表示制御手段は、前記領域設定手段により前記画像表示領域が前記第1の領域から前記第2の領域に変更された場合でも、前記指示画像を前記第1の領域の前記所定位置に継続して表示させる」点に相当する。 カ したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、 「所定条件が成立したときに所定の遊技領域を狙って遊技を行うように構成された遊技機であって、 画像を表示可能な画像表示手段と、 演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、 前記演出制御手段は、 所定の演出画像が表示される前記画像表示手段の画像表示領域を第1の領域及び該第1の領域より小さい領域に、前記第1の領域から縮小表示した縮小画像と、を第2の領域に設定可能な領域設定手段と、 前記所定の遊技領域を狙って遊技を行うことを指示する指示画像を前記第2の領域外であって前記第1の領域の所定位置に表示させる制御を行う指示画像表示制御手段と、を有し、 前記指示画像表示制御手段は、 前記領域設定手段により前記画像表示領域が前記第1の領域から前記第2の領域に変更された場合でも、前記指示画像を前記第1の領域の前記所定位置に継続して表示させることを特徴とする遊技機。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 領域設定手段に関して、本願補正発明は、領域の外周を示す枠画像を第2の領域に設定可能であるのに対して、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。 (3)判断 ア 上記相違点について検討する。 遊技機の技術分野において、画像表示手段の全体の表示領域よりも小さい領域に、領域の外周を示す枠画像と、飾り図柄の変動表示の縮小画像とを表示する点は、本願出願前において周知の技術である。 (例えば、特開2005-253531号公報の段落【0101】、図6、7には、縮小された可変表示領域37aには、特別図柄を囲うように枠画像96bが表示される点が記載され、特開2013-42995号公報の段落【0416】、図28には、右上隅には第2表示領域A2が形成され、第2表示領域A2は第2特別図柄と対応しており、第1表示領域A1と第2表示領域A2とは枠線で分割されている点が記載され、特開2013-248176号公報の段落【0256】、図25には、図25(b)の表示領域の右上に装飾図柄の停止表示が縮小表示され、枠線で囲まれている点が図示されている点を参照のこと。) 刊行物1発明と周知の技術とは、共に画像表示手段の全体の表示領域よりも小さい領域に、飾り図柄の変動表示の縮小画像を表示する点で共通するものである。 よって、刊行物1発明に周知の技術を適用し、全体の表示領域よりも小さい下方左側の表示領域(第2の領域)に領域の外周を示す枠画像を設定可能とし、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 本願補正発明が奏する効果について 上記相違点によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明、周知の技術から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。 ウ 請求人の主張について 請求人は、審判請求書において「さらに引用文献1では、画像表示領域を第1の領域から第2の領域に変更した場合でも、画像表示装置5の下方右側の表示領域に表示されている第2右打ち指示報知画像52の視認が妨げられることがありませんので、遊技者が第2右打ち指示報知画像52に着目していれば、右打ち指示が継続していることを認識することが可能であると思われます。 しかしながら、画像表示装置5の上方右側に第1右打ち指示報知画像51が表示されている場合、遊技者は第1右打ち指示報知画像51に着目しているため、第1右打ち指示報知画像51が視認不能になった場合、第2右打ち指示報知画像52が表示されていたとしても、遊技者は右打ち指示が継続していることを認識できない場合があることは想像に難くありません。」(第5頁第4?13行)と主張する。 しかしながら、刊行物1発明においては「画像表示装置5の前面から見た飾り図柄の可変表示態様がリーチ態様となる画像が表示される画像表示領域が全体の表示領域である状態から下方左側の表示領域である状態となっても、第2右打ち指示報知画像52を下方右側の表示領域に継続して表示させる 」ものであり、遊技者が第1右打ち指示報知画像51に着目するか否かにかかわらず、本願補正発明の「領域設定手段により前記画像表示領域が前記第1の領域から前記第2の領域に変更された場合でも、前記指示画像を前記第1の領域の前記所定位置に継続して表示させる」と同様の構成を有すものである。 よって、請求人の上記主張は採用できない。 (4)まとめ 以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明、周知の技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 むすび したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年9月16日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 所定条件が成立したときに所定の遊技領域を狙って遊技を行うように構成された遊技機であって、 画像を表示可能な画像表示手段と、 演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、 前記演出制御手段は、 所定の演出画像が表示される前記画像表示手段の画像表示領域を第1の領域及び該第1の領域より小さい第2の領域に設定可能な領域設定手段と、 前記所定の遊技領域を狙って遊技を行うことを指示する指示画像を前記第2の領域外であって前記第1の領域の所定位置に表示させる制御を行う指示画像表示制御手段と、を有し、 前記指示画像表示制御手段は、 前記領域設定手段により前記画像表示領域が前記第1の領域から前記第2の領域に変更された場合でも、前記指示画像を前記第1の領域の前記所定位置に継続して表示させることを特徴とする遊技機。」 2 刊行物 刊行物1及びその記載事項、並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(1)」に記載したとおりである。 3 対比・判断 本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「領域設定手段」に関して、「第1の領域より小さい領域に、該領域の外周を示す枠画像と、前記第1の領域から縮小表示した縮小画像と、を第2の領域に設定可能な」という限定を省くものである。 そして、本願発明と刊行物1発明とを対比すると、全ての構成において一致し、相違点はない。また、仮に相違点があったとしても、当業者が容易になし得たものである。 4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号又は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-10-16 |
結審通知日 | 2017-10-17 |
審決日 | 2017-11-06 |
出願番号 | 特願2015-210621(P2015-210621) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 堀 圭史 |
特許庁審判長 |
石井 哲 |
特許庁審判官 |
平城 俊雅 後藤 順也 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 鈴木 均 |