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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1335748
審判番号 不服2017-6072  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-27 
確定日 2017-12-28 
事件の表示 特願2014-206639「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月12日出願公開、特開2016- 73494〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年10月7日の出願であって、平成27年10月15日付けで拒絶の理由が通知され、平成27年12月18日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、平成28年6月20日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年8月18日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年1月30日付けで補正の却下の決定とともに拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年4月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年4月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年4月27日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項2は、
「【請求項2】
遊技者によって操作が可能な操作手段である、第1操作手段、及び、該第1操作手段とは異なる第2操作手段と、
前記第1操作手段又は前記第2操作手段に対する操作を有効とする操作有効状態中に該第1操作手段又は該第2操作手段が操作されることに基づいて所定の演出を実行する演出制御手段と
を備える遊技機であって、
前記演出制御手段は、
前記操作有効状態中に、遊技者に前記操作手段への操作を促す操作促進報知を実行する第1操作有効処理と、
前記操作有効状態中に、前記操作促進報知を実行しない第2操作有効処理と、を実行可能であり、
前記第1操作有効処理では、
前記第1操作手段への前記操作促進報知を実行するときと、前記第2操作手段への前記操作促進報知を実行するときとがあり、
前記第1操作手段への前記操作促進報知を実行したときは、前記第1操作手段に対する操作を有効とする一方、前記第2操作手段への前記操作促進報知を実行したときは、前記第2操作手段に対する操作を有効とし、
前記第2操作有効処理では、
前記第1操作手段に対する操作を有効とする場合がある、
ことを特徴とする遊技機。」
から、
「【請求項2】
遊技者によって操作が可能な操作手段である、第1操作手段、及び、該第1操作手段とは異なる第2操作手段と、
前記第1操作手段又は前記第2操作手段に対する操作を有効とする操作有効状態中に該第1操作手段又は該第2操作手段が操作されることに基づいて所定の演出を実行する演出制御手段と、
を備える遊技機であって、
前記演出制御手段は、
前記操作有効状態中に、遊技者に前記操作手段への操作を促す操作促進報知を実行する第1操作有効処理と、
前記操作有効状態中に、前記操作促進報知を実行しない第2操作有効処理と、を実行可能であり、
前記第1操作有効処理では、
前記第1操作手段への前記操作促進報知を実行するときと、前記第2操作手段への前記操作促進報知を実行するときとがあり、
前記第1操作手段への前記操作促進報知を実行したときは、前記第1操作手段に対する操作を有効とする一方、前記第2操作手段への前記操作促進報知を実行したときは、前記第2操作手段に対する操作を有効とし、
前記第2操作有効処理では、
前記第1操作手段に対する操作を有効とする場合があり、
前記第1操作手段が操作された場合は、前記所定の演出として大当たりとなる可能性を示唆する示唆演出を実行し、
該第1操作手段が操作されない場合は前記示唆演出を実行しない、
ことを特徴とする遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。)。

2 補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2操作有効処理」に関して、「前記第1操作手段に対する操作を有効とする場合があり、前記第1操作手段が操作された場合は、前記所定の演出として大当たりとなる可能性を示唆する示唆演出を実行し、該第1操作手段が操作されない場合は前記示唆演出を実行しない、」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項2に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用された特開2012-81169号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1-a)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、複数の演出ボタンを搭載した従来の遊技機では、遊技者が操作すべき演出ボタンがどれであるかが液晶画面への表示等によって報知され、遊技者がその報知内容に従って演出ボタンを操作した場合にのみ演出が実行されるように構成されているため、慣れない遊技者でもとまどうことなくボタン演出を楽しむことができる反面、遊技が単調となり、遊技に慣れた遊技者に対しては物足りない印象を与えることが懸念される。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、操作の分かりやすさはそのままに、演出内容をより多彩にすることで遊技に慣れた遊技者もいわゆるボタン演出を十分に楽しむことが可能な遊技機を提供することを目的とする。」

(1-b)「【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1?図8は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に左右一側、例えば左側のヒンジ3により開閉自在に枢着された前枠4とを備えている。前枠4の前側には、ガラス扉5と前面板6とが上下に配置され、夫々ヒンジ3と同じ側のヒンジ7により前枠4に開閉自在に枢支されている。
【0018】
前面板6の前側には、図1及び図2に示すように、払い出し手段(図示省略)から払い出された遊技球を貯留して発射手段(図示省略)に供給する上皿8が上部側に配置され、またその上皿8の下側には、例えば上皿8が満杯のときにその余剰球を貯留する下皿9が左端側に、発射手段を作動させるための発射ハンドル10が右端側に夫々設けられている。更に、上皿8等を前側から覆う上皿カバー11上には、例えば左右方向の略中央に第1演出ボタン(第1操作手段)12が、左側に第2演出ボタン(第2操作手段)13が、右側に球貸し操作手段14が夫々配置されている。
【0019】
第1演出ボタン12は、例えばドーム型の操作ボタン部15を有する押しボタン式の操作手段で、複数種類用意されている予告演出のうちのボタン操作演出において、対応する操作有効期間内に操作されることを条件に、利益状態の発生に関する信頼度に応じて操作ボタン部15の内側に設けられた回転灯16を作動させる回転灯作動演出処理、その他の所定演出処理が実行されるようになっている。
【0020】
回転灯16は、1又は複数のLED17と、このLED17から発せられた光を回転軸に対する半径方向外向きに反射する回転反射板18とを備え、その外側が例えば着色透明の操作ボタン部15で覆われており、作動時にはLED17が点灯されると共に回転反射板18が回転駆動されるようになっている。
【0021】
また、例えばLED17は操作有効報知手段を兼ねており、操作有効期間中にLED17が点灯又は点滅することによりこの第1演出ボタン12の操作が有効である旨を報知するようになっている。なお、このLED17が操作有効報知手段として作動する場合には例えば回転反射板18は回転せず、回転灯16が作動する回転灯作動演出処理と区別される。
【0022】
第2演出ボタン13は、第1演出ボタン12の操作ボタン部15とは異なる形状、例えば平坦な略楕円形の操作ボタン部21を有する押しボタン式の操作手段で、複数種類用意されている予告演出のうちのボタン操作演出において、対応する操作有効期間内に操作されることを条件に、例えば利益状態の発生に関する信頼度に応じた画像を画像表示手段22上の演出画像表示手段23に表示する信頼度表示演出処理、その他の所定演出処理が実行されるようになっている。」

(1-c)「【0056】
予告演出制御手段85は、特別図柄表示手段42及び演出図柄表示手段45による図柄変動中に行われる予告演出を制御するもので、ボタン操作演出制御手段(操作演出制御手段)91、ステップアップ演出制御手段92、可動体演出制御手段93等を備え、図4に示すような予告演出制御処理を、例えば制御コマンドの受信を契機として実行するように構成されている。
【0057】
予告演出制御手段85による予告演出制御処理(図4)では、まず変動パターンコマンドを受信したか否かが判定される(S1)。変動パターンコマンドを受信していなければ(S1:No)、ここで予告演出制御処理は終了するが、変動パターンコマンドを受信した場合には(S1:Yes)、予告演出を行うか否か、及び予告演出を行う場合にはその種類を選択する予告演出抽選処理(S2)が実行される。
【0058】
なお、本実施形態では、第1,第2演出ボタン12,13の操作に基づいて所定演出処理を実行させる通常ボタン操作演出及び特定ボタン操作演出(特定操作演出)と、演出画像表示手段23に大当たりとなる信頼度に応じて発展する予告演出画像を表示するステップアップ演出と、大当たりとなる信頼度に応じて可動体44を動作させる可動体演出の四種類の予告演出が設けられているものとする。」

(1-d)「【0067】
この信頼度表示演出処理(S36)では、例えば演出画像表示手段23に、図8に示すような、矢が射られて回転する的に命中し、その後に的が停止してその命中した箇所(例えば大当たり信頼度を示す数字)が視認可能となるような画像が表示される。」

(1-e)「【0070】
また、ボタン操作演出制御手段91による特定ボタン操作演出制御処理(S6)は、例えば図6に示すような手順で実行される。即ち、まず操作有効表示手段47等による操作有効報知で特定する演出ボタンが例えば抽選により選択される(S41)。そして、演出図柄の変動開始と同時又はその後の所定のタイミングで操作有効期間が開始されると(S42:Yes)、S41で選択された演出ボタンに応じて(S43)、第1演出ボタン12が選択された場合には、第1演出ボタン12を特定した操作有効報知、即ち第1演出ボタン12に対応する第1操作有効画像が操作有効表示手段47に表示されると共に第1演出ボタン12内のLED17が点灯又は点滅される処理(S44)が行われ、第2演出ボタン13が選択された場合には、第2演出ボタン13を特定した操作有効報知、即ち第2演出ボタン13に対応する第2操作有効画像が操作有効表示手段47に表示されると共に第2演出ボタン13内のLED24が点灯又は点滅される処理(S45)が実行される。」

(1-f)「【0089】
図12は本発明の第4の実施形態を例示し、特定ボタン操作演出(特定操作演出)では、一部の第1操作有効期間については、操作有効表示手段47等(操作有効報知手段)が第2演出ボタン(第2操作手段)13のみを特定して操作有効報知を行うにも拘わらず第2演出ボタン13だけでなく第1演出ボタン(第1操作手段)12も有効となり、その他の少なくとも一部の第2操作有効期間については、操作有効表示手段47等(操作有効報知手段)による操作有効報知が行われないにも拘わらず第2演出ボタン(第2操作手段)13のみが有効となるように構成した例を示している。
【0090】
図12は、第1の実施形態に係る特定ボタン操作演出制御処理(図6)を変更したもので、共通の処理については同じステップ番号を付与している。なお、本実施形態の特定ボタン操作演出では、第2演出ボタン13を特定した操作有効報知か、操作有効報知が行われない隠しボタン演出の何れかが選択されるものとするが、第1演出ボタン12を特定した操作有効報知が行われる場合があってもよい。
【0091】
本実施形態の特定ボタン操作演出制御処理(図12)では、まず操作有効報知を行わない隠しボタン演出とするか否かが例えば抽選により選択される(S41b)。そして、演出図柄の変動開始と同時又はその後の所定のタイミングで操作有効期間が開始されると (S42:Yes)、S41bの抽選結果に応じて(S42a)、隠しボタン演出としない場合にはS51?S58の処理が、隠しボタン演出とする場合にはS71?S75の処理が、夫々実行される。
【0092】
即ち、隠しボタン演出としない場合(第1操作有効期間)には(S42a:No)、第2演出ボタン13を特定した操作有効報知(S45)が行われた後、操作有効期間の開始から例えば所定時間が経過するまで第1演出ボタン12と第2演出ボタン13の両方の操作状態が監視され(S51?S53)、所定時間が経過するまでの間に第1演出ボタン12が操作された場合には回転灯作動演出処理が(S51:Yes→S57→S58)、第2演出ボタン13が操作された場合には信頼度表示演出処理が(S52:Yes→S55→S56)、夫々実行される。
【0093】
一方、隠しボタン演出とする場合(第2操作有効期間)には(S42a:Yes)、操作有効期間が開始されても操作有効報知は行われず、操作有効期間の開始から例えば所定時間が経過するまで第2演出ボタン13の操作状態のみが監視され(S71,S72)、所定時間が経過するまでの間に第2演出ボタン13が操作された場合には信頼度表示演出処理が実行される(S71:Yes→S74→S75)が、第1演出ボタン12が操作されてもその操作は無視され、操作有効期間の開始から所定時間が経過した時点で操作有効期間の終了処理が行われ(S72:Yes→S73)、演出処理が実行されることなく特定ボタン操作演出制御処理は終了する。
【0094】
以上のように、本実施形態の特定ボタン操作演出(特定操作演出)では、操作有効表示手段47等(操作有効報知手段)が第2演出ボタン(第2操作手段)13を特定した操作有効報知を行う第1操作有効期間については、第2演出ボタン13だけでなく第1演出ボタン(第1操作手段)12も有効となり、操作有効表示手段47等(操作有効報知手段)による操作有効報知が行われない隠しボタン演出とされる第2操作有効期間については第2演出ボタン(第2操作手段)13のみが有効となるように構成されている。」

上記の事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。

「左右方向の略中央に配置された第1演出ボタン12、及び左側に配置された第2演出ボタン13と(段落【0018】)、
第1演出ボタン12が対応する操作有効期間内に操作されることを条件に回転等作動演出処理、その他の所定演出処理を実行し、第2演出ボタン13が対応する操作有効期間内に操作されることを条件に信頼度表示演出処理、その他の所定演出処理を実行するボタン操作演出制御手段91と(段落【0019】、【0022】、【0056】)、
を備えるパチンコ機であって(段落【0017】)、
ボタン操作演出制御手段91は、
第1操作有効期間については、操作有効報知手段が第2演出ボタン13のみを特定して操作有効報知を行うにも拘わらず第2演出ボタン13だけでなく第1演出ボタン12も有効となり、第2操作有効期間については、操作有効報知手段による操作有効報知が行われないにも拘わらず第2演出ボタン13のみが有効となるように構成し(段落【0089】、【0070】)、
上記第1操作有効期間においては、第2演出ボタン13を特定した操作有効報知を行うが、第1演出ボタン12を特定した操作有効報知が行われる場合もあり(段落【0089】、【0090】)、
第2操作有効期間には、操作有効期間が開始されても操作有効報知は行われず、第2演出ボタン13が操作された場合には大当たり信頼度を示す数字が視認可能となる信頼度表示演出処理が実行され、操作有効期間の開始から所定時間が経過した時点で操作有効期間の終了処理が行われ、演出処理が実行されることなく終了するパチンコ機(段落【0093】、【0067】、【0017】)。」

(2)対比・判断
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。

ア 刊行物1発明の「第1演出ボタン12」、「第2演出ボタン13」は、それぞれ本願補正発明の「第2操作手段」、「第1操作手段」に相当する。
また、刊行物1発明の「第1演出ボタン12」、「第2演出ボタン13」は、配置が異なるから異なる操作手段であることは明らかであり、遊技者によって操作が可能であることは自明な事項である。
よって、刊行物1発明の「左右方向の略中央に配置された第1演出ボタン12、及び左側に配置された第2演出ボタン13」は、本願補正発明の「遊技者によって操作が可能な操作手段である、第1操作手段、及び、該第1操作手段とは異なる第2操作手段」に相当する。

イ 刊行物1発明の「第1演出ボタン12が対応する操作有効期間内に操作されることを条件に回転等作動演出処理、その他の所定演出処理を実行」する点は、本願補正発明の「第2操作手段に対する操作を有効とする操作有効状態中に」「第2操作手段が操作されることに基づいて所定の演出を実行する」点に相当し、刊行物1発明の「第2演出ボタン13が対応する操作有効期間内に操作されることを条件に信頼度表示演出処理、その他の所定演出処理を実行する」点は、本願補正発明の「第1操作手段」「に対する操作を有効とする操作有効状態中に該第1操作手段」「が操作されることに基づいて所定の演出を実行する」点に相当する。
そして、刊行物1発明の「ボタン操作演出制御手段91」は、本願補正発明の「演出制御手段」に相当する。
よって、刊行物1発明の「第1演出ボタン12が対応する操作有効期間内に操作されることを条件に回転等作動演出処理、その他の所定演出処理を実行し、第2演出ボタン13が対応する操作有効期間内に操作されることを条件に信頼度表示演出処理、その他の所定演出処理を実行するボタン操作演出制御手段91」は、本願補正発明の「前記第1操作手段又は前記第2操作手段に対する操作を有効とする操作有効状態中に該第1操作手段又は該第2操作手段が操作されることに基づいて所定の演出を実行する演出制御手段」に相当する。
また、刊行物1発明の「パチンコ機」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

ウ 刊行物1発明の「第1操作有効期間」に行う処理は、本願補正発明の「第1操作有効処理」に関連し、刊行物1発明の「第2操作有効期間」に行う処理は、本願補正発明の「第2操作有効処理」に関連するものである。
刊行物1発明においては、「第1操作有効期間については、操作有効報知手段が第2演出ボタン13のみを特定して操作有効報知を行うにも拘わらず第2演出ボタン13だけでなく第1演出ボタン12も有効」となるから、第1操作有効期間において、第2演出ボタン13が有効中に第2演出ボタン13の操作有効報知を実行するといえる。
また、刊行物1発明においては、「第2操作有効期間については、操作有効報知手段による操作有効報知が行われないにも拘わらず第2演出ボタン13のみが有効」となるから、第2操作有効期間において、第2演出ボタン13が有効中に第2演出ボタンの操作有効報知を実行しないといえる。
よって、刊行物1発明の上記記載は、本願補正発明の「操作有効状態中に、遊技者に操作手段への操作を促す操作促進報知を実行する第1操作有効処理と、操作有効状態中に、操作促進報知を実行しない第2操作有効処理と、を実行可能」である点を含むものである。
一方、刊行物1発明においては、「上記第1操作有効期間においては、第2演出ボタン13を特定した操作有効報知を行うが、第1演出ボタン12を特定した操作有効報知が行われる場合もあ」るものである。
そして、その場合には、第1演出ボタン12のみを特定して操作有効報知を行うにも拘わらず第1演出ボタン12だけでなく第2演出ボタン13も有効となるから、第1操作有効期間において、第1演出ボタン12が有効中に第1演出ボタン12の操作有効報知を実行するといえる。
そうすると、刊行物1発明における第1操作有効期間においては、第2演出ボタン13の操作有効報知を実行するときと、第1演出ボタン12の操作有効報知を実行するときとがあり、第2演出ボタン13の操作有効報知を実行したときは、第2演出ボタン13に対する操作を有効とし、第1演出ボタン12の操作有効報知を実行したときは、第1演出ボタン12に対する操作を有効とすることになる。
よって、刊行物1発明の
「ボタン操作演出制御手段91は、第1操作有効期間については、操作有効報知手段が第2演出ボタン13のみを特定して操作有効報知を行うにも拘わらず第2演出ボタン13だけでなく第1演出ボタン12も有効となり、第2操作有効期間については、操作有効報知手段による操作有効報知が行われないにも拘わらず第2演出ボタン13のみが有効となるように構成し、
上記第1操作有効期間においては、第2演出ボタン13を特定した操作有効報知を行うが、第1演出ボタン12を特定した操作有効報知が行われる場合もあ」る点は、
本願補正発明の
「演出制御手段は、操作有効状態中に、遊技者に操作手段への操作を促す操作促進報知を実行する第1操作有効処理と、操作有効状態中に、操作促進報知を実行しない第2操作有効処理と、を実行可能であり、
第1操作有効処理では、
第1操作手段への操作促進報知を実行するときと、第2操作手段への操作促進報知を実行するときとがあり、
第1操作手段への操作促進報知を実行したときは、第1操作手段に対する操作を有効とする一方、第2操作手段への操作促進報知を実行したときは、第2操作手段に対する操作を有効とす」る点を含むものである。

エ 刊行物1発明において、第2操作有効期間において、「第2操作ボタン13」を有効にすることは、上記ウで検討したとおりである。
そして、刊行物1発明の「第2演出ボタン13が操作された場合には大当たり信頼度を示す数字が視認可能となる信頼度表示演出処理が実行され」る点は、本願補正発明の「第1操作手段が操作された場合は、所定の演出として大当たりとなる可能性を示唆する示唆演出を実行」する点に相当し、刊行物1発明の「操作有効期間の開始から所定時間が経過した時点で操作有効期間の終了処理が行われ、演出処理が実行されることなく終了する」点における「操作有効期間の開始から所定時間が経過」することは、第2演出ボタン13が操作されないことを意味するから、本願補正発明の「該第1操作手段が操作されない場合は示唆演出を実行しない」点に相当する。
よって、刊行物1発明の「第2操作有効期間には、操作有効期間が開始されても操作有効報知は行われず、第2演出ボタン13が操作された場合には大当たり信頼度を示す数字が視認可能となる信頼度表示演出処理が実行され、操作有効期間の開始から所定時間が経過した時点で操作有効期間の終了処理が行われ、演出処理が実行されることなく終了する」点は、本願補正発明の「第2操作有効処理では、第1操作手段に対する操作を有効とする場合があり、第1操作手段が操作された場合は、所定の演出として大当たりとなる可能性を示唆する示唆演出を実行し、該第1操作手段が操作されない場合は示唆演出を実行しない」点に相当する。
また、上記イで検討したとおり、刊行物1発明の「パチンコ機」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

オ したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「遊技者によって操作が可能な操作手段である、第1操作手段、及び、該第1操作手段とは異なる第2操作手段と、
前記第1操作手段又は前記第2操作手段に対する操作を有効とする操作有効状態中に該第1操作手段又は該第2操作手段が操作されることに基づいて所定の演出を実行する演出制御手段と、
を備える遊技機であって、
前記演出制御手段は、
前記操作有効状態中に、遊技者に前記操作手段への操作を促す操作促進報知を実行する第1操作有効処理と、
前記操作有効状態中に、前記操作促進報知を実行しない第2操作有効処理と、を実行可能であり、
前記第1操作有効処理では、
前記第1操作手段への前記操作促進報知を実行するときと、前記第2操作手段への前記操作促進報知を実行するときとがあり、
前記第1操作手段への前記操作促進報知を実行したときは、前記第1操作手段に対する操作を有効とする一方、前記第2操作手段への前記操作促進報知を実行したときは、前記第2操作手段に対する操作を有効とし、
前記第2操作有効処理では、
前記第1操作手段に対する操作を有効とする場合があり、
前記第1操作手段が操作された場合は、前記所定の演出として大当たりとなる可能性を示唆する示唆演出を実行し、
該第1操作手段が操作されない場合は前記示唆演出を実行しない、
ことを特徴とする遊技機。」
である点で一致し、相違点はない。
よって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明である。また、仮に相違点があったとしても、当業者が容易になし得たものである。

カ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において「(特徴3)操作促進報知を実行する第1操作有効処理では、第1操作手段への操作促進報知を実行するときと、第2操作手段への操作促進報知を実行するときとがあり、第1操作手段への操作促進報知を実行したときは、第1操作手段に対する操作を有効とする一方、第2操作手段への操作促進報知を実行したときは、第2操作手段に対する操作を有効とする、こと。
・・・しかしながら、上記(特徴3)について、本引用文献3の段落[0081]、[0088]、[0092]等には、
「第1演出ボタン12のみが有効となる第1操作有効期間と、第1演出ボタン12と共に第2演出ボタン13も有効となる第2操作有効期間とがある」ことが、記載されておりますが、「第2演出ボタン13のみが有効となる第1操作有効期間」に係る記載がなく、また示唆もないため、本引用文献3には上記(特徴3)に相当する発明は記載されておりません。」(第6頁第16行?第7頁第5行)と主張する。
確かに、刊行物1には、第1操作有効期間において第2操作ボタン13のみが有効になる点については記載されていない。
しかしながら、本願の請求項2には、そのようには特定されておらず、上記(特徴3)のとおり、「第1操作手段への操作促進報知を実行したときは、第1操作手段に対する操作を有効とする一方、第2操作手段への操作促進報知を実行したときは、第2操作手段に対する操作を有効とする」ものであり、一方の操作手段を有効とした場合に、他の操作手段が有効か無効かについて特定するものではない。
したがって、上記ウで検討したとおり、刊行物1発明における「第1操作有効期間については、操作有効報知手段が第2演出ボタン13のみを特定して操作有効報知を行うにも拘わらず第2演出ボタン13だけでなく第1演出ボタン12も有効となり」、「上記第1操作有効期間においては、第2演出ボタン13を特定した操作有効報知を行うが、第1演出ボタン12を特定した操作有効報知が行われる場合もあ」る点は、上記(特徴3)で特定される事項を含むものである。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

(3)まとめ
以上のように、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明又は刊行物1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1、2に係る発明は、平成27年12月18日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものであるところ、その請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。

「【請求項2】
遊技者によって操作が可能な操作手段である、第1操作手段、及び、該第1操作手段とは異なる第2操作手段と、
前記第1操作手段又は前記第2操作手段に対する操作を有効とする操作有効状態中に該第1操作手段又は該第2操作手段が操作されることに基づいて所定の演出を実行する演出制御手段と
を備える遊技機であって、
前記演出制御手段は、
前記操作有効状態中に、遊技者に前記操作手段への操作を促す操作促進報知を実行する第1操作有効処理と、
前記操作有効状態中に、前記操作促進報知を実行しない第2操作有効処理と、を実行可能であり、
前記第1操作有効処理では、
前記第1操作手段への前記操作促進報知を実行するときと、前記第2操作手段への前記操作促進報知を実行するときとがあり、
前記第1操作手段への前記操作促進報知を実行したときは、前記第1操作手段に対する操作を有効とする一方、前記第2操作手段への前記操作促進報知を実行したときは、前記第2操作手段に対する操作を有効とし、
前記第2操作有効処理では、
前記第1操作手段に対する操作を有効とする場合がある、
ことを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
刊行物1及びその記載事項、並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(1)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「第2操作有効処理」に関して、「前記第1操作手段に対する操作を有効とする場合があり、前記第1操作手段が操作された場合は、前記所定の演出として大当たりとなる可能性を示唆する示唆演出を実行し、該第1操作手段が操作されない場合は前記示唆演出を実行しない、」との限定を省くものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 3(2)」に記載したとおり、刊行物1に記載された発明又は刊行物1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、刊行物1に記載された発明又は刊行物1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号又は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-10-26 
結審通知日 2017-10-31 
審決日 2017-11-13 
出願番号 特願2014-206639(P2014-206639)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 有賀 綾子  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 平城 俊雅
萩田 裕介
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  

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