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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01N |
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管理番号 | 1335863 |
審判番号 | 不服2015-15795 |
総通号数 | 218 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-02-23 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-08-26 |
確定日 | 2017-12-27 |
事件の表示 | 特願2011- 56009「アナライザーアッセンブリプラットホーム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月 6日出願公開、特開2011-197000〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成23年3月14日(パリ条約による優先権主張 2010年3月17日 欧州特許庁)の出願であって,平成26年8月12日付けで拒絶理由が通知され,同年11月19日に意見書及び手続補正書が提出され,平成27年4月22日付けで拒絶査定されたところ,同年8月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,当審において平成28年4月19日付けで拒絶理由が通知され,同年10月26日に意見書及び手続補正書が提出され,当審において同年11月29日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され,平成29年6月6日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし15に係る発明は,平成29年6月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定される発明であり,その請求項7に係る発明(以下,「本願発明」という。)は以下のとおりの発明である。 「【請求項7】 検体の分析の固有のパートを実施する少なくとも2のユニットを具備する分析装置を含むシステムであって,以下の: a. 第一プラットホームを形成する少なくとも1のプラットホーム要素,ここで複数のプラットホーム要素が使用される場合,複数のプラットホーム要素が集まって第一プラットホームを形成し; b. 前記プラットホーム要素を表面上に配置するための複数の脚部であって,個別に高さを調節でき,第一プラットホームの底面に設置される脚部; を含み,当該システムが,さらに 第一プラットホーム上にマウントされる第二プラットホームを含み,第二プラットホームが第一プラットホーム上を水平方向に移動可能であり,ここで前記分析装置の前記少なくとも2のユニットが,第二プラットホームにマウントされ,そして分析装置の1のユニットが,当該ユニットに隣接する少なくとも1のユニットの内の他のユニットに連結される,前記システム。」 第3 引用文献,引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1に記載された事項 当審拒絶理由に引用された,本願の優先日前に頒布された刊行物である,特開2008-139116号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による)。 (引1a)「【請求項1】 検体を処理するための第1検体処理装置,第2検体処理装置および第3検体処理装置を備えた検体処理システムであって, 前記第2検体処理装置および前記第3検体処理装置の少なくとも一方を前記第1検体処理装置に対して第1方向に移動させるための第1移動機構と, 前記第2検体処理装置および前記第3検体処理装置の少なくとも一方を第1方向と交差する第2方向に移動させるための第2移動機構とをさらに備える,検体処理システム。 【請求項2】 前記第1移動機構は,前記第2検体処理装置を保持するための第1保持部と,前記第3検体処理装置を保持するための第2保持部と,前記第1保持部および前記第2保持部を前記第1方向に移動可能に案内するための第1案内部とを含み, 前記第2移動機構は,前記第1案内部を前記第2方向に移動可能に案内するための第2案内部を含む,請求項1に記載の検体処理システム。」 (引1b)「【技術分野】 【0001】 この発明は,検体処理システムに関し,特に,所定の方向に並べて設置された複数の検体処理装置を備えた検体処理システムに関する。」 (引1c)「【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら,上記特許文献1に記載の検体処理システムでは,検体処理装置を所定の1方向にしかスライドさせることができない。したがって,検体処理装置がスライドされる方向に障害物がある場合には,2つの検体処理装置を離間させることが困難となるため,検体処理装置の修理や保守などを行なうことが困難となるという不都合がある。このため,上記特許文献1の検体処理システムでは,使用者による検体処理装置の修理や保守などを考慮した場合に設置場所が制限されるという問題点がある。 【0007】 この発明は,上記のような課題を解決するためになされたものであり,この発明の1つの目的は,設置場所が制限されるのを抑制するとともに,検体処理装置の修理や保守などを使用者が容易に行なうことが可能な検体処理システムを提供することである。 【課題を解決するための手段および発明の効果】 【0008】 この発明の第1の局面による検体処理システムは,検体を処理するための第1検体処理装置,第2検体処理装置および第3検体処理装置を備えた検体処理システムであって,第2検体処理装置および第3検体処理装置の少なくとも一方を第1検体処理装置に対して第1方向に移動させるための第1移動機構と,第2検体処理装置および第3検体処理装置の少なくとも一方を第1方向と交差する第2方向に移動させるための第2移動機構とをさらに備える。 【0009】 この第1の局面による検体処理システムでは,上記の構成によって,第2検体処理装置および第3検体処理装置の少なくとも一方を第1検体処理装置に対して第1方向に移動させることができるだけでなく,第2方向にも移動させることができる。これにより,たとえば,第2検体処理装置および第3検体処理装置の第1方向側に障害物があるような場所に検体処理システムを設置した場合にも,第2検体処理装置および第3検体処理装置の少なくとも一方を第2方向に移動させることによって第1検体処理装置から離間させることができる。これにより,各検体処理装置の修理や保守などを使用者が容易に行なうことできる。したがって,上記第1の局面による検体処理システムでは,障害物などにより設置場所が制限されるのを抑制することができるとともに,検体処理装置の修理や保守などを使用者が容易に行なうことができる。」 (引1d)「【0021】 本発明の一実施形態による血液像自動分析システム100は,血液塗抹標本作製装置101で作製された血液標本(スライドガラス)を標本搬送装置102により標本画像撮像装置103に搬送し,搬送された血液標本(スライドガラス)の画像を標本画像撮像装置103において撮像するとともに,撮像画像をパーソナルコンピュータ104によりデジタル画像処理して自動的に血球の分類を行う装置である。この血液像自動分析システム100は,図1に示すように,血液塗抹標本作製装置101と,標本搬送装置102と,標本画像撮像装置103と,パーソナルコンピュータ104と,血液塗抹標本作製装置101を載置するための基台105と,標本搬送装置102,標本画像撮像装置103およびパーソナルコンピュータ104を載置するための基台1とを備えている。図2に示すように,本実施形態による血液像自動分析システム100は,標本搬送装置102,標本画像撮像装置103,パーソナルコンピュータ104および基台1から構成される,各装置の配置を変更することが可能な配置可変ユニット100aと,血液塗抹標本作製装置101および基台105から構成される,検体搬送ライン200に対して固定的に設置される固定ユニット100bとから構成されている。また,血液塗抹標本作製装置101,標本搬送装置102および標本画像撮像装置103は,所定の方向(X方向)に一列に並べて配置されている。また,血液像自動分析システム100の前面には,分析対象の検体(血液)が収容された試験管150を保持するラック151を搬送するための検体搬送ライン200がX方向に延びるように配置されている。また,図1および図3に示すように,血液像自動分析システム100は,検体搬送ライン200に沿うように設置されている。また,検体搬送ライン200のX方向の両端には,X方向に延びる検体搬送ライン(図示せず)がさらに接続されている。 ・・・ 【0030】 また,図3に示した分析時配置状態から,図6に示すように,標本搬送装置102および標本画像撮像装置103を矢印Y1方向にスライド移動させることにより,標本搬送装置102および標本画像撮像装置103が血液塗抹標本作製装置101に対して矢印Y1方向に突出した配置状態に変更可能である。この配置状態では,標本搬送装置102と血液塗抹標本作製装置101との間の分析時配置状態(図3参照)における対向面(図6に示す斜線(ハッチング)部分)が露出される。また,図6に示した配置状態から,図7に示すように,さらに標本画像撮像装置103を矢印X1方向にスライド移動させることにより,標本搬送装置102と標本画像撮像装置103との間の分析時配置状態(図3参照)における対向面(図7に示す斜線(ハッチング)部分)が露出されるようにも配置を変更可能である。また,図7に示した配置状態から,図8に示すように,さらに標本搬送装置102を矢印X1方向にスライド移動させることにより,標本搬送装置102と血液塗抹標本作製装置101との間の分析時配置状態(図3参照)における対向面(図8に示す斜線(ハッチング)部分)が露出されるようにも配置を変更可能である。 ・・・ 【0033】 本実施形態による基台1は,図2および図9?図14に示すように,血液塗抹標本作製装置101が載置される基台105(図2参照)の矢印X1方向側の側部に隣接するように固定的に設置される固定部10と,固定部10に固定されており,Y方向に延びるように設けられた2つのスライドレール20と,スライドレール20に沿ってY方向に移動可能な移動部30(図13参照)と,移動部30に固定されており,X方向に延びるように設けられた2つのスライドレール40と,標本画像撮像装置103が載置されるとともに,スライドレール40に沿ってX方向に移動可能な移動部50と,移動部30に固定されており,X方向に延びるように設けられた2つのスライドレール60と,標本搬送装置102が載置されるとともに,スライドレール60に沿ってX方向に移動可能な移動部70とを含んでいる。 【0034】 また,図10に示すように,固定部10には,移動部30側に向かって矢印Y1方向に延びるように突出する2つのガイド基端部11が固定されている。このガイド基端部11には,ガイド基端部11に対してY方向にスライド可能なスライド部材12が取り付けられている。また,図13および図16に示すように,固定部10には,2つのスライドレール20のそれぞれの下方に,移動部30側に向かって矢印Y1方向に突出する2つの突出片13が設けられている。また,2つの突出片13の移動部30側の先端には,それぞれ,固定部10と移動部30とを固定するためのネジ300(図13および図16参照)が挿入されるネジ孔13a(図16参照)が設けられている。また,固定部10の底面には,固定部10が移動するのを抑制するための複数の支持脚14が設けられている。 【0035】 また,図15に示すように,スライドレール20は,固定部10の上面に固定されている。また,スライドレール20の矢印Y2方向側の端部には,固定部10と移動部30とが閉じた状態で移動部30が固定部10に対して移動するのを抑制するための弾性変形可能な板バネ状の係止部20aが設けられている。 【0036】 また,図15および図16に示すように,移動部30は,移動部本体31と,2つのスライドレール20に沿ってY方向に移動可能な2つの摺動部32と,移動部本体31および2つの摺動部32に固定されるとともに,スライドレール40および60が固定される2つのスライドレール支持部材33と,移動部本体31の底面に取り付けられ,移動部本体31を移動可能に支持する複数のキャスター34とを有する。このように,底面にキャスター34が取り付けられた移動部本体31が,スライドレール支持部材33を介して,Y方向に移動可能な摺動部32に固定されていることにより,移動部30は,固定部10に対してY方向にスライド可能に構成されている。 ・・・ 【0038】 また,摺動部32は,図22に示すように,スライドレール支持部材33に取り付けられる摺動部本体32aに,スライドレール20の底面20b上を転動するとともに,上方からの荷重を支える金属製のローラ32bと,スライドレール20の側面20cに沿って転動するとともに,摺動部32の摺動を円滑に行なうための樹脂製のローラ32cとが取り付けられた構造を有する。この金属製のローラ32bがスライドレール20の板バネ状の係止部20a(図15参照)に係止されることによって,固定部10と移動部30とが閉じた状態で移動部30が固定部10に対して移動するのが抑制される。」 (引1e)図3は,以下のようなものである。 (引1f)図6は,以下のようなものである。 (引1g)図10は,以下のようなものである。 (引1h)図15は,以下のようなものである。 図15から,スライドレール40と,移動部50と,スライドレール60と,移動部70は,いずれも,スライドレール20よりも上に配置されていることが読み取れる。 (引1i)図22は,以下のようなものである。 (引1j)上記(引1e)ないし(引1h)から,標本搬送装置102及び標本画像撮像装置103の移動方向は,水平方向であることが読み取れる。 (2)引用文献1に記載された発明 上記(引1d)ないし(引1j)の下線部の記載を総合すると,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。 なお,引用発明の認定の根拠となった対応する段落番号等を付記した。 「血液塗抹標本作製装置101で作製された血液標本(スライドガラス)を標本搬送装置102により標本画像撮像装置103に搬送し,搬送された血液標本(スライドガラス)の画像を標本画像撮像装置103において撮像するとともに,撮像画像をパーソナルコンピュータ104によりデジタル画像処理して自動的に血球の分類を行う血液像自動分析システム100であって,標本搬送装置102,標本画像撮像装置103およびパーソナルコンピュータ104を載置するための基台1は(【0021】段落), 血液塗抹標本作製装置101が載置される基台105の矢印X1方向側の側部に隣接するように固定的に設置される固定部10と,固定部10に固定されており,Y方向に延びるように設けられた2つのスライドレール20と,スライドレール20に沿ってY方向に移動可能な移動部30と,移動部30に固定されており,X方向に延びるように設けられた2つのスライドレール40と,標本画像撮像装置103が載置されるとともに,スライドレール40に沿ってX方向に移動可能な移動部50と,移動部30に固定されており,X方向に延びるように設けられた2つのスライドレール60と,標本搬送装置102が載置されるとともに,スライドレール60に沿ってX方向に移動可能な移動部70とを含んでおり(【0033】段落), 固定部10の底面には,固定部10が移動するのを抑制するための複数の支持脚14が設けられており(【0034】段落), 標本搬送装置102及び標本画像撮像装置103の移動方向は,水平方向であり(引1j), スライドレール20は,固定部10の上面に固定されており(【0035】段落), スライドレール40と,移動部50と,スライドレール60と,移動部70は,いずれも,スライドレール20よりも上に配置されている(引1h) 血液像自動分析システム100」 2 引用文献2について 当審拒絶理由に引用された,本願の優先日前に頒布された刊行物である,特開2002-005942号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。 (引2a)「【発明の属する技術分野】本発明は,例えば血液等の検体についてサンプリング,スライド標本作成等を行なうための検体処理ユニット及び検体処理システムに関する。」 (引2b)「【0021】各検体処理ユニット1?8のユニット筐体11における左右両側面A,Bあるいは前後両側面C,Dには,隣接する前記検体処理ユニットどうしの左右両側面を相互に密接させて連結するための連結機構20が設けられている。この連結機構20としては,機械的に結合可能な機械式連結機構や磁気的に吸着可能なマグネット式連結機構等の着脱自在型の連結機構が用いられる。 【0022】図2の(b)は機械式連結機構の一例を示す図である。図2の(b)に示す機械式連結機構20は,連結レバー23の一端23aが一方の検体処理ユニット例えばユニット1に設けられた軸支ピン21によって回転自在に軸支されており,他端部位23bに設けた係合凹部23cが,他方の検体処理ユニット例えばユニット2に設けられた係止ピン22に対し,着脱自在に係合するように形成されている。23dはレバー操作用のつまみである。 【0023】本実施形態における検体処理システムでは,それぞれ単独運転可能な検体処理ユニット1?8が処理目的に応じた態様にレイアウトされ,且つ上記のように連結機構20を介して互いに連結されている。このように連結された状態においては,各ユニット1?8における検体搬入出レーン12の各搬入出端Pが互いに連結し合い,システム全体のレーンが一つに繋がった状態となる。以下,この検体処理システムにおける各検体処理ユニット1?8の具体例を示す。 ・・・ 【0032】スライド標本メーカ8は,リアルタイムでスライド標本を作製することが可能である。また遠心塗抹方式を採用することにより均一な標本作製が可能となっている。またヘマトロジー・アナライザーの測定結果に基づいて,標本作製条件を自動的に選択可能である。さらに自動血液像分析装置とのオンライン接続が可能となっている。さらにユニットの接続運用(オンライン運用)と,切り離し運用(オフライン運用)とが可能である。」 (引2c)図2は,以下のようなものである。 第4 当審の判断 1 対比 ア 引用発明の「血液像自動分析システム100」が具備している「標本搬送装置102」及び「標本画像撮像装置103」は,それぞれ,「血液塗抹標本作製装置101で作製された血液標本(スライドガラス)を」「標本画像撮像装置103に搬送」する及び「搬送された血液標本(スライドガラス)の画像を」「撮像する」という,検体の分析のための固有のパートを実施する2のユニットであるから,本願発明における「検体の分析の固有のパートを実施する少なくとも2のユニット」に相当する。 したがって,引用発明の「血液像自動分析システム100」は,本願発明における「検体の分析の固有のパートを実施する少なくとも2のユニットを具備する分析装置を含むシステム」に相当する。 イ 引用発明における「固定部10」が,複数の要素部品の集合で形成されていることは,当業者に明らかであるから,引用発明における「固定部10」は,本願発明における「第一プラットホームを形成する」「複数のプラットホーム要素が集まって」形成される「第一プラットホーム」に相当する。 ウ 引用発明における「スライドレール40と,移動部50と,スライドレール60と,移動部70」は,「いずれも,スライドレール20よりも上に配置されて」おり,「スライドレール20は,固定部10の上面に固定されて」いる。 すなわち,引用発明において「スライドレール40と,移動部50と,スライドレール60と,移動部70」は,「固定部10」の上に配置されている。 したがって,引用発明において「固定部10」の上に配置されている「スライドレール40と,移動部50と,スライドレール60と,移動部70」は,本願発明における「第一プラットホーム上にマウントされる第二プラットホーム」に相当する。 エ 引用発明の「固定部10が移動するのを抑制するため」に「固定部10の底面に」設けられた「複数の支持脚14」と,本願発明の「プラットホーム要素を表面上に配置するための複数の脚部であって,個別に高さを調節でき,第一プラットホームの底面に設置される脚部」とは,「第一プラットホームを表面上に配置するための複数の脚部であって,第一プラットホームの底面に設置される脚部」である点で共通している。 オ 引用発明における「標本搬送装置102及び標本画像撮像装置103の移動方向は,水平方向であ」ることは,本願発明における「第二プラットホームが第一プラットホーム上を水平方向に移動可能であ」ることに相当する。 カ 引用発明の「標本画像撮像装置103が」「移動部50」に「載置され」,「標本搬送装置102が」「移動部70」に「載置され」ていることは,本願発明における「前記分析装置の前記少なくとも2のユニットが,第二プラットホームにマウントされ」ていることに相当する。 キ 上記ア-カから,本願発明と,引用発明とは,以下の一致点で一致し,以下の相違点で相違する。 <一致点> 「検体の分析の固有のパートを実施する少なくとも2のユニットを具備する分析装置を含むシステムであって,以下の: a. 第一プラットホームを形成する複数のプラットホーム要素が集まって第一プラットホームを形成し; b. 第一プラットホームを表面上に配置するための複数の脚部であって,第一プラットホームの底面に設置される脚部; を含み,当該システムが,さらに 第一プラットホーム上にマウントされる第二プラットホームを含み,第二プラットホームが第一プラットホーム上を水平方向に移動可能であり,ここで前記分析装置の前記少なくとも2のユニットが,第二プラットホームにマウントされる,前記システム。」 <相違点> (相違点1)隣接するユニット間について,本願発明は,「分析装置の1のユニットが,当該ユニットに隣接する少なくとも1のユニットの内の他のユニットに連結される」のに対して,引用発明にはそのような特定がない点。 (相違点2)「脚部」について,本願発明は,「個別に高さを調節でき」るのに対して,引用発明にはそのような特定がない点。 2 判断 (1)相違点1について ア 処理目的に応じた態様にレイアウトした処理ユニットどうしを固定するために,着脱自在な連結機構によって連結することによって,システム全体を1つに繋がった状態とすることは,当業者にとって周知の技術的事項である(例えば,引用文献2の上記「第3 2」で摘記した下線部には,自動血液像分析装置とのオンライン接続が可能な,血液等の検体についてサンプリング,スライド標本作成等を行なうための検体処理ユニット及び検体処理システムにおいて,隣接する前記検体処理ユニットどうしの左右両側面を相互に密接させて連結するための,着脱自在な連結機構を設けて,システム全体のレーンが一つに繋がった状態とすることが記載されている。)。 そして,引用発明においても,分析時配置状態(【0030】段落,図3)において,システム全体のレーンが一つに繋がった状態とするために,「標本搬送装置102と,標本画像撮像装置103と」が互いにずれないように固定する必要があることは,当業者に自明の課題である。 イ また,引用文献1には,【0030】段落及び図6に,「標本搬送装置102および標本画像撮像装置103を矢印Y1方向にスライド移動させることにより,標本搬送装置102および標本画像撮像装置103が血液塗抹標本作製装置101に対して矢印Y1方向に突出した配置状態に変更可能である。この配置状態では,標本搬送装置102と血液塗抹標本作製装置101との間の分析時配置状態における対向面(図6に示す斜線(ハッチング)部分)が露出される」ことが記載されている。 そして,一体として移動する2つの装置について,移動中に互いに連結する等して同時に安定して移動させる方が好ましいことは,当業者に自明である。 ウ したがって,引用発明において,上記周知技術を採用して,隣接する「標本搬送装置102と,標本画像撮像装置103と」を,連結部によって連結する構成とすることは,当業者であれば容易に想到しうることである。 (2)相違点2について 複数の支持脚によって設置面上に設置される装置において,支持脚の高さを個別に調整可能とすることで,装置設置時の水平面調節などを行なえるようにすることは,当業者にとって周知の技術的事項である。 したがって,引用発明において,装置設置時の水平面調節などを行なうために,「複数の支持脚14」を「個別に高さを調節でき」るものとして,相違点2に係る本願発明の構成とすることは,当業者であれば容易に想到しうることである。 (3)本願発明の効果について 本願発明の効果は,引用発明,及び周知の技術的事項から当業者が予測しうる範囲内のものにすぎず、格別顕著なものではない。 (4)小括 上記(1)-(3)から,本願発明は,引用発明及び周知の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきである。 第5 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-07-26 |
結審通知日 | 2017-08-01 |
審決日 | 2017-08-17 |
出願番号 | 特願2011-56009(P2011-56009) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G01N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 萩田 裕介 |
特許庁審判長 |
福島 浩司 |
特許庁審判官 |
信田 昌男 松岡 智也 |
発明の名称 | アナライザーアッセンブリプラットホーム |
代理人 | 古賀 哲次 |
代理人 | 津田 英直 |
代理人 | 石田 敬 |
代理人 | 福本 積 |
代理人 | 武居 良太郎 |
代理人 | 渡辺 陽一 |
代理人 | 青木 篤 |