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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A24F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A24F
管理番号 1336135
異議申立番号 異議2017-700040  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-01-18 
確定日 2017-11-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5959532号発明「液体気質の消費を取り扱う手段を有するエアロゾル生成システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5959532号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕、12、〔13-14〕について訂正することを認める。 特許第5959532号の請求項1ないし14に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5959532号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし14に係る特許についての出願は、2011年(平成23年)12月22日(優先権主張外国庁受理2010年12月24日、欧州特許庁(EP))を国際出願日とする出願であって、平成28年7月1日にその特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人 井上 潤 より請求項1ないし14に係る発明の特許に対し特許異議の申立てがされ、平成29年4月27日付けで取消理由が通知され、その指定期間内に特許権者より平成29年8月28日付けで意見書の提出及び訂正の請求がされ、特許異議申立人より平成29年10月5日付けで意見書の提出があったものである。

第2 訂正の適否
1 平成29年8月28日付け訂正請求の訂正の内容
平成29年8月28日付け訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである。

(1) 一群の請求項1ないし11に係る訂正(訂正事項1)
特許請求の範囲の請求項1に「備えることを特徴とする電気作動式エアロゾル生成システム」と記載されているのを「備え、前記電気回路は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定するように構成される、ことを特徴とする電気作動式エアロゾル生成システム」と訂正する(請求項1を直接・間接的に引用する請求項2ないし11も同様に訂正する。)。

(2) 請求項12に係る訂正(訂正事項2)
特許請求の範囲の請求項12に「を含むことを特徴とする方法」と記載されているのを「を含む方法であって、前記方法は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定する、ことを特徴とする方法」と訂正する。

(3) 一群の請求項13及び14に係る訂正(訂正事項3)
特許請求の範囲の請求項13に「プロセッサに実行させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム」と記載されているのを「プロセッサに実行させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム」と訂正する(請求項13を引用する請求項14も同様に訂正する。)。

(4) したがって、特許権者は、特許請求の範囲を、以下のとおり、訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを請求する(下線は訂正箇所を示す。)。
「【請求項1】
エアロゾル形成基質を受け入れるための電気作動式エアロゾル生成システムであって、
液体エアロゾル形成基質を貯蔵するための液体貯蔵部と、
前記液体エアロゾル形成基質を加熱するための少なくとも1つの加熱要素を含む電気ヒータと、
前記電気ヒータの作動をモニタし、該モニタした作動に基づいて、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質の量を推定するための電気回路と、
を備え、
前記電気回路は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定するように構成される、
ことを特徴とする電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項2】
前記電気回路は、液体エアロゾル形成基質の消費量を推定し、該消費量を既知の初期量から減算して、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質を推定するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項3】
前記電気回路は、前記加熱要素の温度又は抵抗を経時的にモニタすることにより前記電気ヒータの作動をモニタして、エアロゾル形成基質の消費量を推定するように構成される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項4】
前記電気回路は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量とを関連付ける第1の方程式と、加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量とを関連付ける第2の方程式とに基づいて、エアロゾルの消費量を推定するように構成される、
ことを特徴とする請求項3に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項5】
前記第2の方程式は、前記加熱要素に印加される電力に依存する、
ことを特徴とする請求項4に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項6】
前記第1の方程式は、前記加熱要素に印加される電力とは無関係である、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項7】
前記第1の閾値は、前記液体エアロゾル形成基質の沸点である、
ことを特徴とする請求項4、5又は6に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項8】
前記第1及び第2の方程式は、前記電気回路に記憶される、
ことを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項9】
前記電気回路に、液体エアロゾル形成基質の異なる組成とともに使用できるとともに異なる電力レベルで使用できるように複数の異なる第1及び第2の方程式が記憶される、
ことを特徴とする請求項8に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項10】
前記電気回路は、前記少なくとも1つの加熱要素の電気抵抗を測定し、該測定した電気抵抗から前記加熱要素の前記温度を解明するように構成される、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項11】
前記液体エアロゾル形成基質を前記液体貯蔵部から前記電気ヒータに運ぶための毛細管芯をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項12】
液体エアロゾル形成基質を貯蔵するための液体貯蔵部と、前記液体エアロゾル形成基質を加熱するための少なくとも1つの加熱要素を含む電気ヒータとを備えた電気作動式エアロゾル生成システムを準備するステップと、
前記電気ヒータの作動をモニタし、該モニタした作動に基づいて、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質の量を推定するステップと、
を含む方法であって、
前記方法は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
液体エアロゾル形成基質を貯蔵するための液体貯蔵部と、前記液体エアロゾル形成基質を加熱するための少なくとも1つの加熱要素を含む電気ヒータとを備えた電気作動式エアロゾル生成システムにおいて、
電気作動式エアロゾル生成システムのためのプログラム可能な電気回路上で実行された時に、前記電気ヒータの作動をモニタし、該モニタした作動に基づいて、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質の量を推定することを前記プログラム可能な電気回路に含まれるプロセッサに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを記憶する、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。」

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否並びに一群の請求項
(1) 訂正事項1は、請求項1の「電気回路」について、その構成を「前記電気回路は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定するように構成される」と訂正することで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものであり、また、請求項3及び請求項4や本件特許明細書の【0009】、【0012】、【0014】等の記載からみて(特に、請求項3の記載から、加熱要素の温度又は抵抗とエアロゾル形成基質の消費量とには関係があることが理解できる。)、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(2) 訂正事項2は、請求項12の「液体エアロゾル形成基質の量を推定する」ことについて、その構成を「前記方法は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定する」と訂正することで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものであり、また、請求項3及び請求項4や本件特許明細書の【0009】、【0012】、【0014】、【0046】等の記載からみて(特に、請求項3の記載から、加熱要素の温度又は抵抗とエアロゾル形成基質の消費量とには関係があることが理解できる。)、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(3) 訂正事項3は、請求項13の「液体エアロゾル形成基質の量を推定する」ことについて、その構成を「前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定させる」と訂正することで、特許請求の範囲を限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に適合するものであり、また、請求項3及び請求項4や本件特許明細書の【0009】、【0012】、【0014】、【0045】、【0046】、【0050】等の記載からみて(特に、請求項3の記載から、加熱要素の温度又は抵抗とエアロゾル形成基質の消費量とには関係があることが理解できる。)、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に適合するものである。

(4) 訂正事項1に係る訂正前の請求項1ないし11について、請求項2ないし11はそれぞれ請求項1を直接または間接に引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1と一群の請求項である。また、訂正事項3に係る訂正前の請求項13及び14について、請求項14は請求項13を引用しているものであって、訂正事項3によって訂正される請求項13と一群の請求項である。したがって、本件訂正は一群の請求項ごとに請求されたものである。

(5) 特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、平成29年10月5日付け意見書(1ページ下から10行?6ページ21行)において、訂正事項1ないし3に係る訂正は、特に文言「関係」により、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲においてしたものではない旨、主張する。
しかし、上記文言「関係」については「加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定する(させる)」として特定の「関係」に限定しており、また、先に述べたように、願書に添付した特許請求の範囲の請求項3には「加熱要素の温度又は抵抗を経時的にモニタすることにより」「エアロゾル形成基質の消費量を推定する」と記載され、同じく請求項4には「加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量とを関連付ける第1の方程式と、加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量とを関連付ける第2の方程式とに基づいて、エアロゾルの消費量を推定する」と記載されているし、願書に添付した明細書にも同様のことが記載されており(【0009】)、「加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量と」の関係、及び、「加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量と」の関係は、それに基づいて「加熱要素の温度又は抵抗」から「エアロゾル形成基質の消費量を推定する(させる)」ことができるものであると認識できる。したがって、訂正事項1ないし訂正事項3に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲においてしたものであるから、上記特許異議申立人の主張は採用できない。

3 むすび
よって、本件訂正に係る訂正事項1ないし訂正事項3は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条4項、並びに、同条9項で準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、請求項〔1-11〕、12、〔13-14〕について、訂正することを認める。

第3 取消理由についての判断
1 本件特許に係る発明
本件特許の請求項1ないし14に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明14」という。)は、本件訂正により訂正された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるとおりのものである。(「第2 1 (4)」参照)

2 平成29年4月27日付けの取消理由通知に記載した取消理由の概要は、以下のとおりである(なお、上記取消理由通知は本件特許異議の申立てにおいて申立てられたすべての申立理由を含んでいる。)。
(取消理由1) 本件特許の請求項1及び2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であって、又、本件特許の請求項3、10ないし14に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
なお、甲第2号証に記載された発明については、下記の甲第8号証?甲第10号証に記載された事項に係る周知技術を参照する。
(取消理由2) 本件特許の請求項1ないし14に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証?甲第7号証に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。



<甲号証一覧>
甲第1号証:特開2009-172392号公報
甲第2号証:特開2003-290356号公報
甲第3号証:特開2009-119127号公報
甲第4号証:村田敏・田中史彦、「食用油の蒸気圧の測定」、日本食品工業学会誌、第39巻第4号(1992年4月)、333?338頁
甲第5号証:社団法人化学工学協会編「改訂五版 化学工学便覧」(昭和63年3月18日発行)、丸善株式会社、397頁
甲第6号証:特表2008-513071号公報
甲第7号証:米国特許第5743251号明細書
甲第8号証:特開2008-261669号公報
甲第9号証:特開平10-229646号公報
甲第10号証:恵美昌也、「電池の残量を精度良く検出する技術と実例」、トランジスタ技術2010年2月号(国立国会図書館平成22年1月14日受入)、CQ出版社、94?99頁

3 上記取消理由1及び2については、以下のとおり理由がない。
(1) 甲第1号証に記載された発明について
ア 本件発明1ついて
甲第1号証には、「エアロゾルを形成する液体(本件特発明1の「エアロゾル形成基質」に相当する。以下この項において同様。)を受け入れるための毛管エアロゾル発生器システム(「電気作動式エアロゾル生成システム」)であって、エアロゾルを形成する液体(「液体エアロゾル形成基質」)を一定の圧力で供給するための加圧流体の供給源(「貯蔵するための液体貯蔵部」)と、前記エアロゾルを形成する液体(液体エアロゾル形成基質)を加熱するための第1のヒータと第2のヒータ(「少なくとも1つの加熱素子」)を含む電気加熱素子(「電気ヒータ」)と、前記第2のヒータの温度を液体の沸点等の所定温度に維持するために消費された電力と、電力と質量流量との関数関係に基づき所望の質量流量とする目標電力レベルとを比較し、その大小に基づいて第1のヒータに供給される電力を制御して所望の質量流量でエアロゾルが発生するように第1のヒータの目標抵抗および目標温度を実現する制御器と、を含み(「備え」)、前記制御器は、経時的な質量流量を合計しまたは積算して、そのサイクル中に送出された全質量を決定する、温度および流量が制御された毛管エアロゾル発生器システム。」(【特許請求の範囲】、【0016】?【0018】、【0020】?【0021】、【0039】、【0040】、【0044】、【0045】等の記載内容参照。)の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
本件発明1と甲1発明とを対比すると、少なくとも、本件発明1では、「前記電気加熱素子の作動をモニタし、該モニタした作動に基づいて、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質の量を推定するための電気回路」「を備え、前記電気回路は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定するように構成される」ことが特定されているのに対し、甲1発明では、「前記第2のヒータの温度を液体の沸点等の所定温度に維持するために消費された電力と、電力と質量流量との関数関係に基づき所望の質量流量とする目標電力レベルとを比較し、その大小に基づいて第1のヒータに供給される電力を制御して所望の質量流量でエアロゾルが発生するように第1のヒータの目標抵抗および目標温度を実現する制御器と、を含み、前記制御器は、経時的な質量流量を合計しまたは積算して、そのサイクル中に送出された全質量を決定する、温度および流量が制御された」ものであるものの、そのような「電気回路」について特定されていない点(以下「相違点1」という。)で相違する。
上記相違点1に関し、甲第3号証には「薬剤残量は、薬剤タンク内の初期体積からこれまで吐出した薬剤の総量を引くことによって求められる。」(【0044】)ことの記載があり、甲第4号証には食用油の蒸気圧を算出する計算式の記載があり(「要約」参照。)、甲第5号証には蒸発は揮発蒸発と沸騰蒸発からなることの記載があり(397ページ右欄下から9?7行)、甲第6号証には温度Tsでの水の飽和蒸気圧の式の記載があり(【0029】)、甲第7号証にはプロピレングリコールやグリセリン等を用いてエーロゾルを発生させる装置の記載があり(9欄32?60行、12欄1?17行)、例えば、甲第4号証?甲第6号証に記載された事項から、蒸発には揮発蒸発と沸騰蒸発があって蒸気圧は所定の式で表せるものと認められる。
しかしながら、甲第3号証?甲第7号証には「前記電気加熱素子の作動をモニタし、該モニタした作動に基づいて、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質の量を推定するための電気回路」「を備え、前記電気回路は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定するように構成される」ことは記載されていないから、上記相違点1に係る本件発明1の構成が記載されていない。
そうすると、甲第3号証?甲第7号証に記載された事項を考慮しても、甲1発明をして、上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たということはできない。
そして、本件発明1は、その構成により、特許明細書の【0014】及び【0015】に記載された「液体気質の消費量を正確に計算する」こと、及び、「液体貯蔵部内の液体エアロゾル形成気質の量を判定するための電気回路を設けることは、いくつかの理由により有利である。例えば、液体貯蔵部が空又はほぼ空の場合には、電気ヒータに供給される液体エアロゾル形成基質が不十分な場合がある。つまり、生成されるエアロゾルが、例えばエアロゾルの粒子サイズなどの所望の特性を有していないことがあり得る。この結果、ユーザの体験が不十分となる場合がある。また、液体貯蔵部がいつ空又はほぼ空になるかを判定できれば、ユーザに通知することが可能になる。ユーザは、これを受けて、貯蔵部の交換又は補充準備を進めることができる。」との効果(以下「本件発明の効果」という。)を奏するものであり、これは、甲1発明及び甲第3号証?甲第7号証に記載された事項から当業者が予想できるものとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明ではなく、又、甲1発明及び甲第3号証?甲第7号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、上記取消理由1及び2について理由がない。

イ 本件発明2、本件発明3、本件発明10及び本件発明11について
請求項2、3、10及び11は直接・間接的に請求項1を引用するものであるから、本件発明2、本件発明3、本件発明10及び本件発明11は本件発明1の発明特定事項をすべて含むところ、上述のとおり本件発明1は上記取消理由1及び2について理由がないから、同様の理由により、本件発明2、本件発明3、本件発明10及び本件発明11は、上記取消理由1及び2について理由がない。

ウ 本件発明4ないし本件発明9について
請求項4ないし9は直接・間接的に請求項1を引用するものであるから、本件発明4ないし本件発明9は本件発明1の発明特定事項をすべて含むところ、上述のとおり本件発明1は上記取消理由2について理由がないから、同様の理由により、本件発明4ないし本件発明9は、上記取消理由2について理由がない。

エ 本件発明12について
甲第1号証には、「エアロゾルを形成する液体(本件特発明12の「液体エアロゾル形成基質」に相当する。以下この項において同様。)を一定の圧力で供給するための加圧流体の供給源(「貯蔵するための液体貯蔵部」)と、前記エアロゾルを形成する液体(液体エアロゾル形成基質)を加熱するための第1のヒータと第2のヒータ(「少なくとも1つの加熱素子」)を含む電気加熱素子(「電気ヒータ」)とを含んだ(「備えた」)毛管エアロゾル発生器システム(「電気作動式エアロゾル生成システム」)を準備するステップと、前記第2のヒータの温度を液体の沸点等の所定温度に維持するために消費された電力と、電力と質量流量との関数関係に基づき所望の質量流量とする目標電力レベルとを比較し、その大小に基づいて第1のヒータに供給される電力を制御して所望の質量流量でエアロゾルが発生するように第1のヒータの目標抵抗および目標温度を実現する制御器は、経時的な質量流量を合計しまたは積算して、そのサイクル中に送出された全質量を決定するステップと、を含む方法。」(【特許請求の範囲】、【0016】?【0018】、【0020】?【0021】、【0039】、【0040】、【0044】、【0045】等の記載内容参照。)の発明(以下「甲1方法発明」という。)が実質的に記載されていると認められる。
本件発明12と甲1方法発明とを対比すると、少なくとも、本件発明12では「前記電気ヒータの作動をモニタし、該モニタした作動に基づいて、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質の量を推定するステップ」「を含む方法であって、前記方法は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定する」ことが特定されているのに対し、甲1方法発明では、「前記第2のヒータの温度を液体の沸点等の所定温度に維持するために消費された電力と、電力と質量流量との関数関係に基づき所望の質量流量とする目標電力レベルとを比較し、その大小に基づいて第1のヒータに供給される電力を制御して所望の質量流量でエアロゾルが発生するように第1のヒータの目標抵抗および目標温度を実現する制御器は、経時的な質量流量を合計しまたは積算して、そのサイクル中に送出された全質量を決定するステップ」を含むものの、そのような「ステップ」について特定されていない点(以下「相違点2」という。)で相違している。
ところが、既に「ア 本件発明1ついて」で述べたことから理解できるとおり、甲第3号証?甲第7号証には、上記相違点2に係る本件発明12の構成が記載されていない。
そうすると、甲第3号証?甲第7号証に記載された事項を考慮しても、甲1方法発明をして、上記相違点2に係る本件発明12の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たということはできない。
そして、本件発明12は、その構成により、本件発明の効果を奏するものであり、これは、甲1方法発明及び甲第3号証?甲第7号証に記載された事項から当業者が予想できるものとはいえない。
したがって、本件発明12は、甲第1号証に記載された発明ではなく、又、甲1方法発明及び甲第3号証?甲第7号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、上記取消理由1及び2について理由がない。

オ 本件発明13について
甲第1号証には、「エアロゾルを形成する液体(本件特発明13の「液体エアロゾル形成基質」」に相当する。以下この項において同様。)を一定の圧力で供給するための加圧流体の供給源(「貯蔵するための液体貯蔵部」)と、前記エアロゾルを形成する液体(液体エアロゾル形成基質)を加熱するための第1のヒータと第2のヒータ(「少なくとも1つの加熱素子」)を含む電気加熱素子(「電気ヒータ」)とを含んだ(「備えた」)毛管エアロゾル発生器システム(「電気作動式エアロゾル生成システム」)において、前記第2のヒータの温度を液体の沸点等の所定温度に維持するために消費された電力と、電力と質量流量との関数関係に基づき所望の質量流量とする目標電力レベルとを比較し、その大小に基づいて第1のヒータに供給される電力を制御して所望の質量流量でエアロゾルが発生するように第1のヒータの目標抵抗および目標温度を実現することを制御器に実行させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、経時的な質量流量を合計しまたは積算して、そのサイクル中に送出された全質量を決定する、コンピュータプログラム。」(【特許請求の範囲】、【0016】?【0018】、【0020】?【0021】、【0039】、【0040】、【0044】、【0045】等の記載内容参照。)の発明(以下「甲1コンピュータプログラム発明」という。)が実質的に記載されていると認められる。
本件発明13と甲1コンピュータプログラム発明とを対比すると、少なくとも、本件発明13では「電気作動式エアロゾル生成システムのためのプログラム可能な電気回路上で実行された時に、前記電気ヒータの作動をモニタし、該モニタした作動に基づいて、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質の量を推定することを前記プログラム可能な電気回路に含まれるプロセッサに実行させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定させる」ことが特定されているのに対し、甲1コンピュータプログラム発明では、「前記第2のヒータの温度を液体の沸点等の所定温度に維持するために消費された電力と、電力と質量流量との関数関係に基づき所望の質量流量とする目標電力レベルとを比較し、その大小に基づいて第1のヒータに供給される電力を制御して所望の質量流量でエアロゾルが発生するように第1のヒータの目標抵抗および目標温度を実現することを制御器に実行させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、経時的な質量流量を合計しまたは積算して、そのサイクル中に送出された全質量を決定する」ものの、そのような「コンピュータプログラム」について特定されていない点(以下「相違点3」という。)で相違している。
ところが、既に「ア 本件発明1ついて」で述べたことから理解できるとおり、甲第3号証?甲第7号証には、上記相違点3に係る本件発明13の構成が記載されていない。
そうすると、甲第3号証?甲第7号証に記載された事項を考慮しても、甲1コンピュータプログラム発明をして、上記相違点3に係る本件発明13の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たということはできない。
そして、本件発明13は、その構成により、本件発明の効果を奏するものであり、これは、甲1コンピュータプログラム発明及び甲第3号証?甲第7号証に記載された事項から当業者が予想できるものとはいえない。
したがって、本件発明13は、甲第1号証に記載された発明ではなく、又、甲1コンピュータプログラム発明及び甲第3号証?甲第7号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、上記取消理由1及び2について理由がない。

カ 本件発明14について
請求項14は請求項13を引用するものであるから、本件発明14は本件発明13の発明特定事項をすべて含むところ、上述のとおり本件発明13は上記取消理由1及び2について理由がないから、同様の理由により、本件発明14は、上記取消理由1及び2について理由がない。

(2) 甲第2号証に記載された発明について
ア 本件発明1について
甲第2号証には「バッテリで駆動し、液体を大気中に浮遊する程度に微小な液滴として吐出する液体吐出装置(本件特発明1の「エアロゾル形成基質を受け入れるための電気作動式エアロゾル生成システム」に相当する。以下この項において同様。)であって、液体を収納するための収納部(「液体エアロゾル形成基質を貯蔵するための液体貯蔵部」)と、前記液体中に膜沸騰を生じさせノズルより液体を吐出させるインクジェット方式のヒータと、(「前記液体エアロゾル形成基質を加熱するための少なくとも1つの加熱要素を含む電気ヒータ」)と、前記吐出装置を駆動するためのバッテリと、を含み(「備え」)、液体の残量を予測する事で残量不足による吐出不良、及び使用済みカートリッジの誤った再使用の回避を行うことが出来、バッテリの容量が液体の吐出量及び使用回数、吐出に必要とされるエネルギー量から規定されたものである、液体吐出装置(「電気作動式エアロゾル生成システム」)。」の発明(【特許請求の範囲】、【0016】?【0018】、【0020】?【0021】、【0039】、【0040】、【0044】、【0045】等の記載内容参照。)の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
本件発明1と甲2発明とを対比すると、少なくとも、本件発明1では、「前記電気ヒータの作動をモニタし、該モニタした作動に基づいて、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質の量を推定するための電気回路」「を備え、前記電気回路は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定するように構成される」のに対し、甲2発明では「吐出装置を駆動するためのバッテリ」「を含み、液体の残量を予測する事で残量不足による吐出不良、及び使用済みカートリッジの誤った再使用の回避を行うことが出来、バッテリの容量が液体の吐出量及び使用回数、吐出に必要とされるエネルギー量から規定されたものである」ものの、そのような「電気回路」について特定されていない点(以下「相違点4」という。)で相違する。
上記相違点4に関し、甲第8号証?甲第10号証には電池の容量が電池電圧で検出できる記載があり(順番に、【0026】と図2、【0024】と【0025】と【0047】と図4、及び95ページ右欄下から3行?96ページ左欄下から5行と図6と図7)、例えば、甲第8号証?甲第10号証に記載された事項から、電池の残容量が電池電圧で検出できることは周知技術であるものと認められる。
しかしながら、上記甲第8号証?甲第10号証に記載された事項に係る周知技術を考慮しても、電気ヒータの作動をモニタすることを含む上記相違点4は、実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は甲2発明と同一ではなく、本件発明1は甲第2号証に記載された発明ではないから、上記取消理由1について理由がない。

イ 本件発明2について
請求項2は請求項1を引用するものであるから、本件発明2は本件発明1の発明特定事項をすべて含むところ、上述のとおり本件発明1は上記取消理由1について理由がないから、同様の理由により、本件発明2は、上記取消理由1について理由がない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、上記取消理由通知に記載した上記取消理由1及び2によっては、本件発明1ないし14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1ないし14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基質を受け入れるための電気作動式エアロゾル生成システムであって、
液体エアロゾル形成基質を貯蔵するための液体貯蔵部と、
前記液体エアロゾル形成基質を加熱するための少なくとも1つの加熱要素を含む電気ヒータと、
前記電気ヒータの作動をモニタし、該モニタした作動に基づいて、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質の量を推定するための電気回路と、
を備え、
前記電気回路は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定するように構成される、
ことを特徴とする電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項2】
前記電気回路は、液体エアロゾル形成基質の消費量を推定し、該消費量を既知の初期量から減算して、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質を推定するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項3】
前記電気回路は、前記加熱要素の温度又は抵抗を経時的にモニタすることにより前記電気ヒータの作動をモニタして、エアロゾル形成基質の消費量を推定するように構成される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項4】
前記電気回路は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量とを関連付ける第1の方程式と、加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量とを関連付ける第2の方程式とに基づいて、エアロゾルの消費量を推定するように構成される、
ことを特徴とする請求項3に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項5】
前記第2の方程式は、前記加熱要素に印加される電力に依存する、
ことを特徴とする請求項4に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項6】
前記第1の方程式は、前記加熱要素に印加される電力とは無関係である、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項7】
前記第1の閾値は、前記液体エアロゾル形成基質の沸点である、
ことを特徴とする請求項4、5又は6に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項8】
前記第1及び第2の方程式は、前記電気回路に記憶される、
ことを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項9】
前記電気回路に、液体エアロゾル形成基質の異なる組成とともに使用できるとともに異なる電力レベルで使用できるように複数の異なる第1及び第2の方程式が記憶される、
ことを特徴とする請求項8に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項10】
前記電気回路は、前記少なくとも1つの加熱要素の電気抵抗を測定し、該測定した電気抵抗から前記加熱要素の前記温度を解明するように構成される、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項11】
前記液体エアロゾル形成基質を前記液体貯蔵部から前記電気ヒータに運ぶための毛細管芯をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の電気作動式エアロゾル生成システム。
【請求項12】
液体エアロゾル形成基質を貯蔵するための液体貯蔵部と、前記液体エアロゾル形成基質を加熱するための少なくとも1つの加熱要素を含む電気ヒータとを備えた電気作動式エアロゾル生成システムを準備するステップと、
前記電気ヒータの作動をモニタし、該モニタした作動に基づいて、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質の量を推定するステップと、
を含む方法であって、
前記方法は、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
液体エアロゾル形成基質を貯蔵するための液体貯蔵部と、前記液体エアロゾル形成基質を加熱するための少なくとも1つの加熱要素を含む電気ヒータとを備えた電気作動式エアロゾル生成システムにおいて、
電気作動式エアロゾル生成システムのためのプログラム可能な電気回路上で実行された時に、前記電気ヒータの作動をモニタし、該モニタした作動に基づいて、前記液体貯蔵部内に残っている液体エアロゾル形成基質の量を推定することを前記プログラム可能な電気回路に含まれるプロセッサに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、加熱要素の温度又は抵抗の第1の閾値に至るまでの温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係と、前記加熱要素の温度又は抵抗の前記第1の閾値を上回る温度又は抵抗と液体エアロゾル形成基質の消費量との関係とに基づいて、エアロゾル形成基質の消費量を推定させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを記憶する、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-11-07 
出願番号 特願2013-545409(P2013-545409)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (A24F)
P 1 651・ 121- YAA (A24F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 長浜 義憲  
特許庁審判長 中村 則夫
特許庁審判官 田村 嘉章
莊司 英史
登録日 2016-07-01 
登録番号 特許第5959532号(P5959532)
権利者 フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
発明の名称 液体気質の消費を取り扱う手段を有するエアロゾル生成システム  
代理人 須田 洋之  
代理人 上杉 浩  
代理人 弟子丸 健  
代理人 鈴木 信彦  
代理人 西島 孝喜  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 近藤 直樹  
代理人 大塚 文昭  
代理人 上杉 浩  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 西島 孝喜  
代理人 鈴木 信彦  
代理人 弟子丸 健  
代理人 須田 洋之  
代理人 近藤 直樹  
代理人 大塚 文昭  

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