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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て成立) G09B
管理番号 1336205
判定請求番号 判定2017-600039  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 判定 
判定請求日 2017-09-28 
確定日 2018-01-10 
事件の表示 上記当事者間の特許第3799107号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号サイトで実現している住宅地図は、特許第3799107号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 第1 請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、生活地図株式会社が、「http://www.lifemap.co.jp/index.php」のURLで運営するウエブサイトに含まれ、「http://www.lifemap.co.jp/demo/taitou/」のURLで提供するウエブサイト「台東区総合マップシステム(サンプル版)」(以下「イ号サイト」という。)で実現している住宅地図が、特許第3799107号発明(以下「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。


第2 手続の経緯
本件特許発明に係る出願は、平成8年10月15日の出願であって、平成18年4月28日に特許権の設定登録がなされたものである。
その後、平成29年9月28日に本件判定が請求され、これに対し、同年11月7日に被請求人から判定事件答弁書が提出されたものである。


第3 本件特許発明
本件特許発明の構成、目的及び効果は、特許第3799107号に係る願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、以下のとおりである。
1 本件特許発明の構成
本件特許発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(判定請求書「6.(3)本件特許発明の説明」(3頁22?4頁4行)に倣い、構成要件ごとに分説し、記号A?Fを付した。以下「構成要件A」などという。)。

A 住宅地図において、
B 検索の目安となる公共施設や著名ビル等を除く一般住宅及び建物については居住人氏名や建物名称の記載を省略し住宅及び建物のポリゴンと番地のみを記載すると共に、
C 縮尺を圧縮して広い鳥瞰性を備えた地図を構成し、
D 該地図を記載した各ページを適宜に分割して区画化し、
E 付属として索引欄を設け、
F 該索引欄に前記地図に記載の全ての住宅建物の所在する番地を前記地図上における前記住宅建物の記載ページ及び記載区画の記号番号と一覧的に対応させて掲載した、
ことを特徴とする住宅地図。

2 本件特許発明の目的及び効果
本件特許明細書の記載によれば、本件特許発明は、「住宅、ビル等の一軒ごとに居住者名や会社名等の対応付けが容易であり、縮尺率が高く小型で廉価であり、内容が最新、正確、且つプライバシーに配慮したものであり、検索が迅速にできる住宅地図を提供すること」(【0010】参照。)を目的とし、「利用者は例えば電話帳という高い信頼性を有するデータベースの丁目及び番地に基づいて検索して目的とする建物を探すので、居住人の氏名を記載する必要がなく、したがって当該住宅地図に記載するのは番地だけとなるため、記載スベースを大きく必要とせず、高い縮尺度で地図を作成でき、従って、小判で、薄い、取り扱いの容易な廉価な住宅地図を提供することができる。また、同様の理由により、住宅地図作成にあたって氏名記載のための現地調査という膨大な労力を要せず、廉価で正確な検索のできる住宅地図を提供することができる。更に、同様の理由により、公共施設や著名ビル等以外は、住宅番地のみを記載するとともに、全ての建物についてその掲載ページと当該ページ内の該当区画が容易にわかる、番地や号に至るまでの詳しい索引欄を付すことによって、簡潔で見やすく、迅速な検索の可能な住宅地図を提供することができる。又、毎年更新される電話帳のデータを検索キーとして用いるので、居住者の移転に伴う地図の記載の変更が必要なく、従って常に実用に即して正確に参照できる住宅地図を廉価で提供することができる。また、住宅の新築等に伴う地図の修正についても、その位置を電子データベース等の活用により容易に見当を付けることができるので、効率的かつ廉価な修正が可能となる。また、当該住宅地図には氏名が記載されず、他方、全戸氏名入りの電子住宅地図についても、その氏名データや検索は電話帳のデータベースに基づくので、電話帳に記載されていない個人の住宅などについては検索の対象から自動的に除外でき、従って、プライバシーの保護の十分行き届いた住宅地図を提供することができる。」(【0039】参照。)という効果を奏するものである。


第4 当事者の主張
1 請求人の主張の概要
本件特許発明における構成要件D「該地図を記載した各ページを適宜に分割して区画化し」、構成要件E「付属として索引欄を設け」、構成要件F「該索引欄に前記地図に記載の全ての住宅建物の所在する番地を前記地図上における前記住宅建物の記載ページ及び記載区画の記号番号と一覧的に対応させて掲載した」は、イ号サイトには一切備わっていない。(判定請求書7頁13?16行)
(1)構成要件Dについて
イ号サイトは、本件特許発明における「鳥瞰性を備えた地図」を記載した各ページを適宜に分割しておらず、区画化もしていないので、本件特許発明の技術的範囲に属しない。(判定請求書8頁18?20行)
イ号サイトには、「地図を記載した各ページを適宜に分割して区画化」されているという特徴は存在しなかった。(判定請求書9頁18?19行)
イ号サイトには、かかる区画や区画化は一切存在しない。(判定請求書10頁28行)
イ号サイトにおいて表示されている地図には、「地図を記載した各ページを適宜に分割して区画化」されているという特徴は存在しなかった。(判定請求書11頁8?9行)
(2)構成要件E及び構成要件Fについて
イ号サイトは、本件特許発明における「鳥瞰性を備えた地図」に「前記地図に記載の全ての住宅建物の所在する番地を前記地図上における前記住宅建物の記載ページ及び記載区画の記号番号と一覧的に対応させて掲載」した索引欄を設けていないので、本件特許発明の技術的範囲に属しない。(判定請求書11頁11?14行)
イ号サイトには、全ての住宅及び建物についての索引は存在しなかった。(判定請求書11頁24行)
(3)まとめ
イ号サイトには、「地図を記載した各ページを適宜に分割して区画化」しているという事実は認められなかった。また「付属として索引欄を設け、該索引欄に前記地図に記載の全ての住宅建物の所在する番地を前記地図上における前記住宅建物の記載ページ及び記載区画の記号番号と一覧的に対応させて掲載」しているという事実も認められなかった。
従って、イ号サイトは、本件特許発明の技術的範囲に属しない。(判定請求書13頁19?24行)

2 被請求人の主張の概要
生活地図株式会社が、「http://www.lifemap.co.jp/index.php」のURLで運営するウエブサイトに含まれ、「http://www.lifemap.co.jp/demo/taitou/」のURLで提供するウエブサイト「台東区総合マップシステム(サンプル版)」は、特許第3799107号の住宅地図の発明とは別の、特許第36025267号「サーベイ(眺望)型ナビゲーションシステム」発明の出願中一実施例であるから、特許第3799107号の住宅地図の発明の技術的範囲に関する判定を求める本件請求は、そもそもが当を失したものとの判定を求める。(判定事件答弁書1頁「4 答弁の趣旨」の欄)


第5 イ号サイトで実現している住宅地図
1 公正証書(甲第1号証)について
公正証書(甲第1号証)は、福岡法務局所属小倉公証人合同役場の公証人・小峯尚士が、嘱託人会社・株式会社ゼンリン(本件判定請求人)の嘱託に基づき、平成29年5月22日に事実実験に立ち会い、目撃し、平成29年8月9日に作成した事実実験公正証書である。

2 甲第1号証に記載された内容
甲第1号証には、以下の記載がなされ、画像が添付されている。(なお、下線は当審で付した。また、甲第1号証中の「本件サイト」は「イ号サイト」と読み替える。)
(1)「補助者1は、次のとおり述べて、「物件1」として、後述のインターネットのURLからアクセスできるウェブサイトを開設した企業のTOPページと当該TOPページに対するサブページにあたる「本件ウェブサイト」(http://www.lifemap.co.jp/demo/taitou/。「イ号サイト」)とからなるウェブサイト(後述のサイトマップにかかる記録から、当該TOPページ及びサブページとからなり、一連の情報を閲覧者に提示する、情報のまとまりを特定することができる。)を本公証人の事実実験の対象として提示すると説明した。」(5頁末行?6頁11行)
(2)「当該リンクは、「台東区総合マップシステム(サンプル版)」と青い文字で表示されているところ、補助者1が実際に当該リンク部分をクリックすると、「http://www.lifemap.co.jp/demo/taitou/」とのURLで特定される別のウェブページが新しいウィンドウ(実際は、インターネットブラウザにおける新たな「タブ」として開かれた(補助者1がその場でノートPCの画面をプリンターで印刷し、本公証人が本証書末尾に添付した別紙9参照)。」(12頁12行?13頁1行)
(3)「補助者3の説明の後、補助者1は、イ号サイトの表示内容の確認にもどる、と述べて「http://www.lifemap.co.jp/demo/taitou/」とのURLで特定されるウェブページが、インターネットブラウザのアクティブなタブで表示されるように操作した(補助者1がその場でノートPCの画面をプリンターで印刷し、本公証人が本証書末尾に添付した別紙11参照。)」(19頁7?14行)
(4)「次に、補助者1は、イ号サイトにおいては、地図の拡大縮小表示は可能であると述べて、このウェブページの所定の点にカーソルをあてマウスホイールを回転させて、次のような画面の変化を生じさせた。すなわち、台東区とともに東京23区のほかの特別区を一望できるほど、地図の内容を圧縮して表示した状態(補助者1がその場でノートPCの画面をプリンターで印刷し、本公証人が本証書末尾に添付した別紙12参照)から、浅草ビューホテルといった個々の施設を平面上の二次元図形形状で表した当該図形の形が視認できるほどの縮尺となった状態(補助者1がその場でノートPCの画面をプリンターで印刷し、本公証人が本証書末尾に添付した別紙13参照)へと画面表示内容を変化させた。(20頁7行?21頁2行)
(5)「その後、補助者1は、イ号サイトの地図表示について、「http://www.lifemap.co.jp/demo/taitou/」とのURLで特定されるウェブページを、インターネットブラウザで閲覧しても、ブラウザウィンドウの外に、ブラウザウィンドウ内の所定の領域の場所を指定する座標を表す区分は存在しないと説明し、本公証人が確認したところ、『ゼンリン住宅地図B4版小倉北区2016年版』における座標のように、地図を区画化する部分が見られず、補助者1の説明どおりであった。」(23頁15行?24頁5行)
(6)「次に、補助者1は、このウェブページの初期表示状態にしたうえで(別紙12参照)、この画面においては、台東区の番地表示のある住居について一覧的に番地を記載した索引欄が画面上で表示されていないと説明したので、本公証人はこれを確認した。」(24頁6?11行)
(7)「そして、補助者1は、台東区内の所定の地点にカーソルをあわせ、大縮尺状態の地図画面表示を行ったので、本公証人はこれを確認した(別紙13参照)。
この大縮尺状態で、補助者1は、任意の住居の形状を表すポリゴンの枠内にカーソルを当ててクリックなどの操作を行い、当該住居に対応する、番地を一覧的に記載して提示する索引欄画面が表示されるかを試すと述べたが、そのような画面は表示されなかった。」(24頁12行?25頁1行)
(8)「次に、補助者1は、上記大縮尺状態で地図表示がなされた状態において、上記ウェブページ内の画面左上に表示されている「機能」アイコンをクリックした。すると、当該「機能」アイコンの直下にあらたにプルダウンメニュー(「生活地図(表示中)」、「防災情報(非表示)」、「公共施設(非表示)」、「観光情報(非表示)」、「検索画面(非表示)」、「現在位置を表示」、「初期位置へ戻る」、「経路検索結果消去」とのメニュー項目からなる)が展開された(補助者1がその場でノートPCの画面をプリンターで印刷し、本公証人が本証書末尾に添付した別紙15参照)。
そして、補助者1は、上記「機能」アイコン直下のプルダウンメニューのうち、「検索画面(非表示)」のメニュー部分をクリックして、画面分割された右画面において「Search Box」と表示のある、文字入力スペースを呼び出した。かかる「Search Box」との表示のある文字入力スペースが、ブラウザウィンドウの分割フレームのうち右側上部に表示されていることを本公証人は確認した(補助者1がその場でノートPCの画面をプリンターで印刷し、本公証人が本証書末尾に添付した別紙16参照)。
補助者1は、「うさぎや」なる屋号の菓子店の所在する「台東区上野1丁目10-10」の場所を検索する目的で操作すると述べた上で、上記「Search Box」の枠内に、「台東区上野1丁目」との文字を入力すると、「台東区上野1丁目」との文字入力操作に応じて、当該「台東区上野1丁目」との文字入力がなされた「Search Box」の枠の直下に「上野1丁目」との住所を示す青文字のリンクが四角の枠に囲まれて表示された(補助者1がその場でノートPCの画面をプリンターで印刷し、本公証人が本証書末尾に添付した別紙17参照)。
そして、さらに補助者1は、上記「Search Box」の枠の直下に表示された「上野1丁目」との住所を示す青文字のリンクをクリックすると、「http://www.lifemap.co.jp/demo/taitou/」とのURLで特定されるウェブページの画面表示に変化が起こり、黒門小学校の敷地内に赤いピンが表示される態様で地図が表示される一方で、上記「Search Box」を表示するための分割フレームがなくなるような態様の地図表示画面になった(補助者1がその場でノートPCの画面をプリンターで印刷し、本公証人が本証書末尾に添付した別紙18参照)。」(25頁2行?27頁8行)

また、別紙11から、「浅草寺本堂浅草観音堂」等を除く一般住宅及び建物については居住人氏名や建物名称の記載を省略し、一軒ごとに住宅及び建物のポリゴンと番地のみを掲載した大縮尺状態の地図が看取できる。

3 イ号サイトで実現している住宅地図について
上記2(1)?(8)の事項及び甲第1号証の別紙11の地図からみて、イ号サイトで実現している住宅地図の構成を本件特許発明の構成要件の分説と対応するように分説すると、イ号サイトで実現している住宅地図は次の構成を具備するものである(以下「構成a」などという。)

a 拡大縮小表示可能である地図が掲載され、
b 「浅草寺本堂浅草観音堂」等を除く一般住宅及び建物については居住人氏名や建物名称の記載を省略し、一軒ごとに住宅及び建物のポリゴンと番地のみを掲載し、
c 大縮尺状態の地図であり、
e ウェブページ内の画面左上に表示されている「機能」アイコンの直下のプルダウンメニューで展開された「検索画面(非表示)」のメニュー部分には、「Search Box」と表示のある、検索場所の住所を入力する文字入力スペースが表示される、
台東区総合マップシステム(サンプル版)(http://www.lifemap.co.jp/demo/taitou/)。


第6 対比・判断
1 本件特許発明とイ号サイトで実現している住宅地図の各構成との対比・判断
(1)構成要件Aについて
本件特許明細書に「本発明は、住宅、ビル等の一軒ごとに居住者名や会社名等の対応付けが容易で縮尺率が極めて高い小型な住宅地図に関する。」(【0001】参照。)と記載されていることから、「住宅地図」とは、住宅、ビル等が一軒ごとに対応付けが容易な地図を指すものである。
そうすると、イ号サイトで実現している住宅地図は、一軒ごとに住宅及び建物のポリゴンと番地のみが掲載されているから、イ号サイトで実現している住宅地図は、本件特許発明の構成要件Aの「住宅地図」に相当する。
したがって、イ号サイトで実現している住宅地図は、構成要件Aを充足する。

(2)構成要件Bについて
本件特許明細書に「そして、住宅地図の利用においては、一般に、目的とする建物を探し出す過程で必要な情報は、公共施設や著名ビル等の一部例外を別にすれば専ら住宅の番地であり、この住宅の番地が目的とする建物に検索が近づいているか否かを判別するための手掛かりとなる。」(【0007】参照。)と記載されていることから、構成要件Bの「検索の目安となる」とは、公共施設や著名ビル等については、その名称が地図上に記載されていることを意味するものである。
そうすると、構成bの「「浅草寺本堂浅草観音堂」等」は、「その名称が記載され」ているものであって、「検索の目安となる公共施設や著名ビル等」といえるから、構成bは、本件特許発明の構成要件Bに相当する。
したがって、イ号サイトで実現している住宅地図は、構成要件Bを充足する。

(3)構成要件Cについて
本件特許明細書には、縮尺に関して、「従来の市街地区域の一般的な1/1000の縮尺に対して、…1/5000の縮尺にまで形成できる」(【0030】参照。)と記載されており、イ号サイトで実現している住宅地図の構成cの「縮尺が1/4200」の方が従来の一般的な縮尺よりも高い縮尺であることは明らかであって、構成要件Cに関して、「縮尺を圧縮して広い鳥瞰性を備えた」(【特許請求の範囲】【請求項1】及び【0011】【課題を解決するための手段】参照。)と記載されているだけである。してみると、縮尺を圧縮した地図であれば、広い鳥瞰性を備えるといえるから、イ号サイトで実現している住宅地図の構成cは、縮尺を圧縮した地図である点において、本件特許発明の構成要件Cに相当する。
したがって、イ号サイトで実現している住宅地図は、構成要件Cを充足する。

(4)構成要件Dについて
上記「第5 2(5)」のとおり、イ号サイトで実現している住宅地図に、地図を区画化した点は掲載されていない。
また、イ号サイトで実現している住宅地図の画面をプリンターで印刷し、甲第1号証の末尾に添付した別紙1?24のいずれを見ても、地図を区画化した点は、掲載されていない。
したがって、イ号サイトで実現している住宅地図は、構成要件Dを充足しない。

(5)構成要件Eについて
本件特許明細書に「本実施の形態においては、番地を知って建物を容易に検索できるように付属として地図に索引欄を設けてある。」(【0021】参照。)と記載されていることから、「索引欄」とは、検索対象の番地で建物を検索するためのものである。
そうすると、イ号サイトで実現している住宅地図の「Search Box」は、住所を入力し、場所を検索するためのものであるから、「索引」するための手段といえる。
しかし、一般に「欄」とは、文書における罫で囲んだ部分を指すものであるから、イ号サイトで実現している住宅地図の「Search Box」は、「欄」とはいえない。
また、イ号サイトで実現している住宅地図の「Search Box」は、プルダウンメニューで展開されるものであるから、住宅地図に付属として設けたものともいえない。
したがって、イ号サイトで実現している住宅地図は、構成要件Eを充足しない。

(6)構成要件Fについて
上記(5)のとおり、イ号サイトで実現している住宅地図には、付属として索引欄は設けられていない。
また、上記「第5 2(7)」のとおり、イ号サイトで実現している住宅地図に、「地図に記載の全ての住宅建物の所在する番地を前記地図上における前記住宅建物の記載ページ及び記載区画の記号番号と一覧的に対応させて掲載した」索引欄は掲載されていない。
また、イ号サイトで実現している住宅地図の画面をプリンターで印刷し、甲第1号証の末尾に添付した別紙1?24のいずれを見ても、構成要件Fで特定される索引欄は、掲載されていない。
したがって、イ号サイトで実現している住宅地図は、構成要件Fを充足しない。

2 被請求人の主張について
被請求人は、答弁書においてイ号サイトで実現している住宅地図は本件特許とは別の特許第6025267号に係る発明であるから、本件請求は、そもそもが当を失したものであると主張する。
しかし、判定制度は一定の技術内容が、判定請求書において請求人が特定する特許権の技術的範囲に属するか属さないかの判断を行うものであって、この一定の技術内容が複数の特許権のうちのいずれの技術的範囲に属するかの判断を行うものではなく、またこの特許権についての特許番号等の表示が適切であるか否かを判断するものでもない。そして、本件の請求は特許第3799107号で特定される特許権の技術的範囲に、イ号サイトで実現している住宅地図が属するか否かの判断である。したがって、本件判定は、イ号サイトで実現している住宅地図に本件特許の番号が表示されているか否か(さらには、その表示が適切か否か)にかかわらず、イ号サイトで実現している住宅地図が本件特許に属するか否かの判断を行うものであるから、被請求人の主張は判定制度の主旨を正解しないものである。


第7 むすび
以上のとおり、イ号サイトで実現している住宅地図は、本件特許発明の構成要件D乃至構成要件Fを充足しないから、イ号サイトで実現している住宅地図は、本件特許発明の技術的範囲に属さない。


よって、結論のとおり判定する。
 
判定日 2017-12-28 
出願番号 特願平8-271986
審決分類 P 1 2・ 1- ZA (G09B)
最終処分 成立  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
森次 顕
登録日 2006-04-28 
登録番号 特許第3799107号(P3799107)
発明の名称 住宅地図  
代理人 特許業務法人明成国際特許事務所  

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