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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1336438
審判番号 不服2017-2867  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-28 
確定日 2018-01-09 
事件の表示 特願2014-213926「分散アパーチャディスプレイ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月23日出願公開、特開2015- 79250〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年12月20日(優先権主張2004年12月29日、米国)を国際出願日とする出願(特願2007-549483号)の分割出願(特願2012-257679号)をさらに分割した出願であって、平成27年11月18日付けの拒絶理由通知に対し、平成28年5月24日に手続補正(以下、「補正1」という。)がなされたが、同年10月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年2月28日に審判請求がなされ、また同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 補正の却下の決定

[結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正によって、特許請求の範囲は、以下のように補正された。

(補正前)
「 【請求項1】
各ピクセル(30、30A-30P、102、104)が可変の透明度又は輝度の1又はそれ以上の構成色に関する切替可能領域(32、32A-32P、92-94)と構成色の各々に関する非切替可能領域(34、34A-34P、103、105)とを有するピクセル(40)のアレイを備え、
前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)の各々の各構成色に関する前記切替可能領域(32、32A-32P、92-94)が、構成色に関する前記非切替可能領域(34、34A-34P、103、105)の有意な部分によって少なくとも部分的に分離された構成色に関する少なくとも2つの切替可能部分に分割され、
各構成色に関する前記少なくとも2つの切替可能部分が、同時に切り替えられるように構成され、且つ、電気的に並列に結合されている、
ことを特徴とするディスプレイ。
【請求項2】
1又はそれ以上の構成色に関するピクセル(30、30A-30P、102、104)当たりに1つよりも多い共通の切替可能領域(32、32A-32P、92-94)を有する前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)の列及び行からなるアレイ(40)であって、前記各構成色に関する少なくとも1次高調波空間周波数を示す光を放出するように適合されたアレイを備え、
前記アレイの1次高調波空間周波数が、同じアパーチャレシオを有するが前記各構成色に関するピクセル当たりに単一の切替可能領域(12)のみを有するピクセル(10)のアレイ(20)からの1次高調波周波数(63、64)よりも小さい大きさを有し、前記ピクセルの各構成色に関するすべての切り替え可能領域が同時に切り替えられ、且つ、電気的に並列に結合される
ことを特徴とするディスプレイ。
【請求項3】
ピクセル(30、30A-30P、102、104)への入力信号に応答して画像を表示する前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)のアレイ(40)を備え、
前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)の各々が、前記入力信号によって作動されるように適合された1又はそれ以上の構成色に関する切替可能領域(32、32A-32P、92-94)を有し、各構成色に関する前記切替可能領域(32、32A-32P、92-94)が、散在した構成色に関する非切替可能領域(34、34A-34P、103、105)と共に前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)内に空間的に分散された部分を有し、
前記ピクセルの各構成色に関するすべての切替可能領域が同時に切り替えられ、且つ、電気的に並列に結合され、
前記1次高調波成分の大きさが、各構成色に関して同じ0次空間周波数成分を実質的に有する非分散方形切替可能領域を有する等価アパーチャレシオの方形ピクセルの1次高調波成分の大きさの80パーセント未満であることを特徴とするディスプレイシステム。」

(補正後)
「 【請求項1】
各ピクセル(30、30A-30P、102、104)が可変の透明度又は輝度の1又はそれ以上の構成色に関する切替可能領域(32、32A-32P、92-94)と構成色の各々に関する非切替可能領域(34、34A-34P、103、105)とを有するピクセルのアレイ(40)を備え、
前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)の各々の各構成色に関する前記切替可能領域(32、32A-32P、92-94)が、構成色に関する前記非切替可能領域(34、34A-34P、103、105)の有意な部分によって少なくとも部分的に分離された構成色に関する少なくとも3つの切替可能部分に分割され、
各構成色に関する前記少なくとも3つの切替可能部分が、同時に切り替えられるように構成され、且つ、ディスプレイで観察されるアーチファクトをもたらす1次高調波成分の大きさを低減するために電気的に並列に結合されている、
ことを特徴とするディスプレイ。
【請求項2】
1又はそれ以上の構成色に関するピクセル(30、30A-30P、102、104)当たりに1つよりも多い共通の切替可能領域(32、32A-32P、92-94)を有する前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)の列及び行からなるアレイ(40)であって、前記各構成色に関する少なくとも1次高調波空間周波数を示す光を放出するように適合されたアレイを備え、
1次高調波空間周波数に関して、同じアパーチャレシオを有するが前記各構成色に関するピクセル当たりに単一の切替可能領域(12)のみを有するピクセル(10)のアレイ(20)と前記アレイ(40)とを比較したとき、前記アレイ(40)の1次高調波周波数の大きさが、前記ピクセル(10)のアレイ(20)の1次高調波空間周波数の大きさよりも小さく、前記ピクセルの各構成色に関するすべての切り替え可能領域が同時に切り替えられ、且つ、ディスプレイで観察されるアーチファクトをもたらす1次高調波成分の大きさを低減するために電気的に並列に結合される
ことを特徴とするディスプレイ。
【請求項3】
ピクセル(30、30A-30P、102、104)への入力信号に応答して画像を表示し、少なくとも1次高調波空間周波数を示す光を放出するように適合された前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)のアレイ(40)を備え、
前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)の各々が、前記入力信号によって作動されるように適合された1又はそれ以上の構成色に関する切替可能領域(32、32A-32P、92-94)を有し、前記アレイ(40)は、散在した構成色に関する前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)内に空間的に分散された部分を備えた各構成色に関する前記切替可能領域(32、32A-32P、92-94)と、非切替可能領域(34、34A-34P、103、105)とを有し、
前記ピクセルの各構成色に関するすべての切替可能領域が同時に切り替えられ、且つ、ディスプレイで観察されるアーチファクトをもたらす1次高調波成分の大きさを低減するために電気的に並列に結合され、
前記アレイ(40)の1次高調波成分の大きさが、各構成色に関して非分散方形切替可能領域を有する等価アパーチャレシオの方形ピクセルの1次高調波成分の大きさの80パーセント未満であることを特徴とするディスプレイシステム。」(下線は補正箇所。)

上記補正のうち請求項2についての補正を見ると、補正前の請求項2において、「前記ピクセルの各構成色に関するすべての切り替え可能領域」に関し、「電気的に並列に結合される」とされていた構成が、補正後の請求項2において、「ディスプレイで観察されるアーチファクトをもたらす1次高調波成分の大きさを低減するために電気的に並列に結合される」と限定されており、この補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項2に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

2 検討
(1)引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開平3-24524号公報(以下「引用例」という。)には、「アクテイブマトリクス表示装置」(【発明の名称】)の発明に関し、次の事項(ア)ないし(ウ)が記載されている。

ア 第2頁右上欄13行?左下欄3行
「従来より、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマ表示装置等に於いては、マトリクス状に配列された絵素電極が選択駆動され、画面上に表示パターンが形成される。選択された絵素電極とこれに対向する対向電極との間に電圧が印加され、その間に介在する表示媒体の光学的変調が行われる。この光学的変調が表示パターンとして視認される。絵素電極の駆動方式として、個々の独立した絵素電極を配列し、この絵素電極のそれぞれにスイッチング素子を連結して駆動するアクティブマトリクス駆動方式が知られている。」

イ 第5頁右上欄1行?左下欄18行
「本発明を実施例について以下に説明する。第1図に本発明の表示装置の一実施例に用いられるアクティブマトリクス基板を示す。透明導電膜(ITO)から成る絵素電極5がマトリクス状に配列され、絵素電極5は一対の絵素電極部5a及び5bに分割されている。一対の絵素電極部5a及び5bの間には、走査信号を供給するゲートバス配線3が形成されている。ゲートバス配線3に直交して、データ信号を供給するソースバス配線4が形成されている。ゲートバス配線3は一般にTa,Al、Ti、Mo等の単層又はこれらの多層金属で形成されるが、本実施例ではTaを使用している。ソースバス配線4bも同様の金属で形成されるが、本実施例ではTiを使用している。ゲートバス配線3とソースバス配線4の交差領域42には、後述するベース絶縁膜11が介在している。
ゲートバス配線3からは絵素電極部5aに向かって、ゲートバス支線8aがソースバス配線4に平行して分岐している。該支線8a上にはTFT6aが配されている。同様に、ゲートバス支線8bが絵素電極部5bに向かって分岐し、該支線8b上にはTFT6bが配されている。TFT6a及びTFT6bは、それぞれソース電極15a及び15bによって、同一のソースバス配線4に電気的に接続されている。TFT6aと絵素電極部5aとの間、及びTFT6bと絵素電極部5bとの間は、それぞれドレイン電極16a及び16bによって電気的に接続されている。TFT6a近傍の拡大平面図を第5図に示す。ドレイン電極16aが接続される絵素電極部5aの部分には矩形の切欠部38が設けられ、ドレイン電極16aは該切欠部38の最も離れた辺に接続されている。
上述の構成により、一対の絵素電極部5a及び5bは、それぞれ別のTFT6a及び6bを介して、同一の走査信号及び同一のデータ信号によって駆動される。従って、一つの絵素電極5を構成する二つの絵素電極部5a及び5bは、同時に同じ表示動作を行うことができる。」

ウ 第5頁左下欄19行?第6頁右上欄8行
「第2図に第1図のII-II線に沿った表示装置の断面図を示す。TFT6a近傍の断面構成を第2図に従って説明する。
・・・
絵素電極部5aの形成されたガラス基板1に対向する他方のガラス基板20の内面には、カラーフィルタ21、対向電極22、及び配向層23が重畳形成されている。カラーフィルタ21の周囲には必要に応じてブラックマトリクス(図示せず)が設けられている。
上記一対のガラス基板1、20の間には表示媒体として、ツィステドネマチック液晶分子18が封入されている。液晶分子18は絵素電極5と対向電極22との間に印加電圧に応答して配向変換され、光学的変調が行われる。この光学的変調が表示パターンとして視認される。」

上記記載(ア)ないし(ウ)の記載から、引用例には、次の発明が記載されていると認められる。

「マトリクス状に配列され、一対の絵素電極部に分割された絵素電極、該一対の絵素電極部の間にTa金属層として形成されたゲートバス配線、及びカラーフィルタ、対向電極を備え、選択された絵素電極とこれに対向する対向電極との間に電圧が印加され、その間に介在する表示媒体の光学的変調が行われるものであって、
一つの絵素電極を構成する二つの絵素電極部は、同一の走査信号及び同一のデータ信号によって駆動され、同時に同じ表示動作を行うことができるように構成されている、
ことを特徴とする表示装置。」(以下、「引用発明」という。)

(2)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。

ア 引用発明はカラーフィルタを備える表示装置であるから、技術常識からみて、2色以上(通常はRGBの3色以上)のカラーフィルタの色部分を有し、各々の該色部分が少なくとも1つの絵素電極に対応して配置されていること、また、異なる該色部分(及び対応する絵素電極)が隣接して配置され、合わせて1つのピクセルを形成することは明らかである。
そして、引用発明は「選択された絵素電極とこれに対向する対向電極との間に電圧が印加され、その間に介在する表示媒体の光学的変調が行われるもの」であるから、該ピクセル中の「一対の絵素電極部」を含む領域が、本願補正発明における「ピクセル(30、30A-30P、102、104)当たりに1つよりも多い共通の切替可能領域」に相当し、また、これらの領域が各々の色部分に対応することは当然であり、これは、本願補正発明における「1又はそれ以上の構成色に関する」もしくは「各構成色に関する」ことに相当する。
さらに、引用発明は「マトリクス状に配列され」た「絵素電極」を備えるものであるから、その放出する光が1次高調波空間周波数を示すことは、技術常識からみて明らかといえる。
そうすると、引用発明の「マトリクス状に配列され、一対の絵素電極部に分割された絵素電極、該一対の絵素電極部の間にTa金属層として形成されたゲートバス配線、及びカラーフィルタ、対向電極を備え、選択された絵素電極とこれに対向する対向電極との間に電圧が印加され、その間に介在する表示媒体の光学的変調が行われるもの」であるという構成は、本願補正発明の「1又はそれ以上の構成色に関するピクセル(30、30A-30P、102、104)当たりに1つよりも多い共通の切替可能領域(32、32A-32P、92-94)を有する前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)の列及び行からなるアレイ(40)であって、前記各構成色に関する少なくとも1次高調波空間周波数を示す光を放出するように適合されたアレイを備え」るという構成に相当する。

イ 引用発明の「一つの絵素電極を構成する二つの絵素電極部は、同一の走査信号及び同一のデータ信号によって駆動され、同時に同じ表示動作を行うことができるように構成されている」点は、本願補正発明の「前記ピクセルの各構成色に関するすべての切り替え可能領域が同時に切り替えられ」る点に相当する。

ウ 引用発明は、「一つの絵素電極を構成する二つの絵素電極部は、同一の走査信号及び同一のデータ信号によって駆動され、同時に同じ表示動作を行うことができるように構成されている」ものであるから、該「一つの絵素電極を構成する二つの絵素電極部」が、「同一の走査信号」を供給する「ゲートバス配線」に対して電気的に並列に結合されていることは明らかであって、この点は、本願補正発明において「前記ピクセルの各構成色に関するすべての切り替え可能領域」が「ディスプレイで観察されるアーチファクトをもたらす1次高調波成分の大きさを低減するために電気的に並列に結合される」点に対し、「前記ピクセルの各構成色に関するすべての切り替え可能領域」が「電気的に並列に結合される」点で共通する。

エ 引用発明の「表示装置」は、以下の相違点を除き、本願補正発明の「ディスプレイ」に相当する。
してみると、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。

【一致点】
「1又はそれ以上の構成色に関するピクセル当たりに1つよりも多い共通の切替可能領域を有する前記ピクセルの列及び行からなるアレイであって、前記各構成色に関する少なくとも1次高調波空間周波数を示す光を放出するように適合されたアレイを備え、
前記ピクセルの各構成色に関するすべての切り替え可能領域が同時に切り替えられ、且つ、電気的に並列に結合される
ことを特徴とするディスプレイ。」

【相違点】
相違点1:本願補正発明においては、「1次高調波空間周波数に関して、同じアパーチャレシオを有するが前記各構成色に関するピクセル当たりに単一の切替可能領域のみを有するピクセルのアレイと前記アレイとを比較したとき、前記アレイの1次高調波周波数の大きさが、前記ピクセルのアレイの1次高調波空間周波数の大きさよりも小さ」いとされているのに対し、引用発明においてはそのような特定はなされていない点で一応相違する。

相違点2:本願補正発明においては、「前記ピクセルの各構成色に関するすべての切り替え可能領域」が「ディスプレイで観察されるアーチファクトをもたらす1次高調波成分の大きさを低減するために電気的に並列に結合される」のに対し、引用発明において「一つの絵素電極を構成する二つの絵素電極部」は電気的に並列に結合されていることが明らかではあるものの、それらが「ディスプレイで観察されるアーチファクトをもたらす1次高調波成分の大きさを低減するために」結合されているかについての特定はなされていない点で一応相違する。

(3)判断
以下,相違点1及び相違点2について併せて検討する。
引用発明において、絵素電極は一対の絵素電極部に分割されており、したがって各絵素の発光領域が分割されているのであるから、この構成が表示装置の観察者の視覚に対して本願補正発明と同様の影響を与えうるものであることは明らかである。すなわち、引用発明においても「1次高調波空間周波数に関して、同じアパーチャレシオを有するが前記各構成色に関するピクセル当たりに単一の切替可能領域のみを有するピクセルのアレイと前記アレイとを比較したとき、前記アレイの1次高調波周波数の大きさが、前記ピクセルのアレイの1次高調波空間周波数の大きさよりも小さ」く、また一対の絵素電極部は、「ディスプレイで観察されるアーチファクトをもたらす1次高調波成分の大きさを低減するために電気的に並列に結合される」ものであるといえる。したがって、上記相違点1及び相違点2は実質的な相違点ではない。
してみると、本願補正発明は引用発明であるといえる。また、本願補正発明は引用発明から当業者が容易に発明をすることができたともいえる。

4 まとめ
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明は、補正1により補正された特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項2に係る発明は次のとおりである。

「1又はそれ以上の構成色に関するピクセル(30、30A-30P、102、104)当たりに1つよりも多い共通の切替可能領域(32、32A-32P、92-94)を有する前記ピクセル(30、30A-30P、102、104)の列及び行からなるアレイ(40)であって、前記各構成色に関する少なくとも1次高調波空間周波数を示す光を放出するように適合されたアレイを備え、
前記アレイの1次高調波空間周波数が、同じアパーチャレシオを有するが前記各構成色に関するピクセル当たりに単一の切替可能領域(12)のみを有するピクセル(10)のアレイ(20)からの1次高調波周波数(63、64)よりも小さい大きさを有し、前記ピクセルの各構成色に関するすべての切り替え可能領域が同時に切り替えられ、且つ、電気的に並列に結合される
ことを特徴とするディスプレイ。」(以下「本願発明」という。)

2 原査定の拒絶の理由の概要
1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



理由1(新規性)について
・請求項 1-3
・引用文献等 1
・備考
引用文献1に記載された発明と、請求項1?3に係る発明とは、発明を特定するための事項に差異はない。

理由2(進歩性)について
・請求項 1-3
・引用文献等 1
・備考
上記理由1の請求項1?3についての備考より、請求項1?3に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明し得たものである。

<引用文献等一覧>
1.特開平3-24524号公報(上記引用例と同じ。)

3 引用文献1記載の事項・引用発明
引用文献1に記載されている事項及び引用文献1に記載された発明(上記引用発明と同じ。)は、上記「第2 補正の却下の決定 2 検討 (1)引用例記載の事項・引用発明」に示したとおりである。

4 判断
本願発明は実質的に、前記「第2 補正の却下の決定」の「1 補正の内容」で検討した本願補正発明において「前記ピクセルの各構成色に関するすべての切り替え可能領域」に関し、「電気的に並列に結合される」とされていた構成を「ディスプレイで観察されるアーチファクトをもたらす1次高調波成分の大きさを低減するために電気的に並列に結合される」と限定することを省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に上記本件補正に係る限定を付加した本願補正発明が、前記「第2 補正の却下の決定」の「2 検討」における「(3)判断」に記載したとおり、引用発明であるといえ、また、本願補正発明は引用発明から当業者が容易に発明をすることができたともいえるものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明であるといえ、また、引用発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるといえる。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明であり、特許法第29条1項第3号に規定する発明であるから特許を受けることができない。また、本願発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-14 
結審通知日 2017-08-15 
審決日 2017-08-30 
出願番号 特願2014-213926(P2014-213926)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09G)
P 1 8・ 121- Z (G09G)
P 1 8・ 113- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 浩史西島 篤宏橘 皇徳  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 須原 宏光
中塚 直樹
発明の名称 分散アパーチャディスプレイ  
代理人 中西 基晴  
代理人 山本 修  
代理人 小野 新次郎  
代理人 宮前 徹  
代理人 夫馬 直樹  

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