• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1336578
審判番号 不服2016-12967  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-29 
確定日 2018-01-17 
事件の表示 特願2014-200990「マルチメディアコンテンツ提供システムおよびその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月 8日出願公開、特開2015-106917〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、平成26年9月30日(パリ条約による優先権主張2013年11月28日、韓国)の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成27年10月 5日:拒絶理由の通知
平成28年 1月 8日:手続補正
平成28年 5月23日:拒絶査定
平成28年 5月31日:拒絶査定の謄本の送達
平成28年 8月29日:拒絶査定不服審判の請求
平成28年 8月29日:手続補正
平成28年12月20日:上申書

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献1:特表2010-526497号公報

(請求項2?16に係る発明については、省略)

第2 補正却下の決定
平成28年8月29日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成28年8月29日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成28年8月29日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正であって、そのうち請求項1については次のとおりである。
(下線は補正箇所を示す。)

補正前の請求項1
「コンピュータで実現される動画提供方法であって、
第1動画の再生前に前記第1動画に対して提供された第2動画を再生し、
前記第2動画の再生が終了または中断すると前記第1動画を再生し、
前記第1動画が再生されている間に、前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画をリコール(recall)するためのリコールUI(user interface)を活性化し、
前記リコールUIによる前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画に対するリコール要請時に、前記第1動画が一時停止されながら前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画を再び再生するステップ
を含む、動画提供方法。」

を、次のとおり補正後の請求項1に補正するものである。

「コンピュータで実現される動画提供方法であって、
第1動画の再生前に前記第1動画に対して提供された第2動画を再生し、
前記第2動画の再生が終了または中断すると前記第1動画を再生し、
前記第1動画が再生されている間に、前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画をリコール(recall)するためのリコールUI(user interface)を活性化し、
前記リコールUIによる前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画に対するリコール要請時に、前記第1動画が一時停止されながら前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画をリコールし、前記リコールされた第2動画を再び再生する動画提供方法。」

2 補正の適合性
(1)新規事項、発明の特別な技術的特徴の変更、補正の目的
本件補正のうち、請求項1についての補正は、補正前の請求項1における「前記第2動画を再び再生するステップを含む、動画提供方法。」を「前記第2動画をリコールし、前記リコールされた第2動画を再び再生する動画提供方法。」に補正するものである。
当該補正事項は、願書に最初添付した明細書の段落【0053】に記載されており、請求項1についての補正は、願書に最初添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、新たな技術事項を導入するものでなく、特許請求の範囲を減縮を目的とするものである。

(2)独立特許要件
上記のとおり本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後における発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを、以下に検討する。

(3)補正発明
補正後の請求項1?16に係る発明のうち請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「補正発明」という。)。

(補正発明)
「(A)コンピュータで実現される動画提供方法であって、
(B)第1動画の再生前に前記第1動画に対して提供された第2動画を再生し、
(C)前記第2動画の再生が終了または中断すると前記第1動画を再生し、
(D)前記第1動画が再生されている間に、前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画をリコール(recall)するためのリコールUI(user interface)を活性化し、
(E)前記リコールUIによる前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画に対するリコール要請時に、前記第1動画が一時停止されながら前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画をリコールし、前記リコールされた第2動画を再び再生する
(F)動画提供方法。」

((A)?(F)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

(4)引用文献1の記載及び引用文献1に記載された発明
ア 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「ウェブベースの映像プレイヤのためのユーザインタフェース」に関し、次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

(ア)「【0018】
図1は、一実施形態に係るシステムアーキテクチャのブロック図である。図1に示すように、映像ホスティングウェブサイト100は、フロントエンドサーバ140と、広告管理システム130と、映像サーバ110と、ユーザデータベース150および映像データベース190を含む種々のデータベースとを備えている。ファイアーウォール、ロードバランサ、アプリケーションサーバ、フェイルオーバサーバ、サイト管理ツールなどの多くの従来の特徴は、システムの特徴をより明確に示すように図示していない。システムの実行のための適切なウェブサイト100は、www.youtube.comで見付けられるユーチューブ(YOUTUBE;登録商標)ウェブサイトである。他の映像ホスティングサイトは周知であり、本明細書に開示される教示にしたがって動作するように構成され得る。用語「ウェブサイト」がコンテンツをアップロードおよびダウンロードするあらゆる方法を表し、インターネットまたはHTTPプロトコルを介してアップロードもしくはダウンロードされたコンテンツに制限するものではないことを理解されたい。種々のサーバは、ソフトウェアもしくはハードウェアの単体あるいはソフトウェアもしくはハードウェアの複数体として従来用いられるものである。また、一般に、一実施形態で記述したサーバ側で実行されるような機能は、適切な場合には、他の実施形態においてクライアント側で実行されてもよい。
【0019】
クライアント170は、ブラウザ171を実行し、ネットワーク180を介してフロントエンドサーバ140に接続する。ネットワーク180は典型的にはインターネットであり、限定するものではないが、LAN、MAN、WAN、モバイル、有線もしくは無線ネットワーク、プライベートネットワーク、あるいは仮想プライベートネットワークを含むあらゆるネットワークであってもよい。1つのクライアント170および1つのブラウザ171のみを示すが、非常に多くの(例えば、数百万の)クライアントがサポートされ、常にウェブサイト100と通信可能であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、ブラウザ171は、サードパーティの映像プレイヤ(例えば、アドビシステムズ社からのフラッシュ(Flash:登録商標)プレイヤ)、またはウェブサイト100に用いられる映像ファイルフォーマットに適用されるあらゆる他のプレイヤを含む。典型的には、ユーザは、映像のカタログをブラウズし、キーボードの検索を実行し、他のユーザもしくはシステム管理者からの再生リストをレビューし(例えば、チャンネルを形成する映像の収集)、特定のユーザグループ(例えば、コミュニティ)に関連付けられた映像を視聴することにより、ウェブサイト100から映像にアクセスする。また、いくつかの実施形態では、ブラウザ171は、サードパーティのウェブサイト内の埋め込まれたハイパーリンクを介してアクセスされる埋め込まれた映像を介して、間接的に映像ファイルにアクセスする。」

(イ)「【0023】
図2は、システム130を介して提供されるような共有された映像とともに広告コンテンツを提供するための処理の一実施形態を示す。この説明のために、図2は、広告管理システム130に管理者がログインすることから始まる(ステップ210)。そして、管理者は、特定の共有された映像に関連付けられた広告コンテンツを選択する(ステップ220)。一実施形態では、この関連付けは手動でなされる。別の実施形態では、広告コンテンツは、映像コンテンツに自動的に関連付けられる。別の実施形態では、コンテンツの所有者または財産管理人は、どの広告が彼らのコンテンツに関連付けられるかを選択する。いくつかの状況では、そのような関連付けはランダムであるが、他の状況では、関連付けは、映像コンテンツのある態様に基づいてなされてもよい。例えば、映像が一腹の子犬たちを示すならば、その映像のためのメタデータは、ペットフード会社の広告コンテンツへの関連付けを引き起こすように処理されればよい。また、上述のように、特定のユーザに関するメタデータは、どの広告コンテンツが映像の特定の表示に関連付けられるかを決定するために、いくつかの実施形態で用いられる。別の実施形態では、同じ映像を見ているとき、第1ユーザが第1広告を視聴し、第2ユーザが異なる広告を視聴するように、広告コンテンツは、ユーザの前の行動または特性に応じて選択される。
【0024】
一度関連付けがなされると(ステップ220)、管理者は、映像で用いられる広告表示の種類を選択する。一実施形態では、管理者がプレロール広告(プレウォッチ広告とも呼ばれる)を選択するとき(ステップ230)、映像が始まる前に、広告コンテンツに対応するピクセルを映像プレイヤの映像再生領域上に重ね合わせることにより、そのようなウィンドウの出現が提供される。」

(ウ)「【0025】
一実施形態では、広告コンテンツは、ポップアップウィンドウ、すなわち、下層のコンテンツに対して位置することができるが、その代わりに映像コンテンツに統合される動かない静止領域である別のウィンドウ内に実際に実施されない。映像コンテンツは、固定であっても動画であってもよい。このように、一実施では、その中で再生するプレロール広告を有する映像は、1つのストリーミングファイルとしてブラウザに送信される。ある状況では、これは、広告コンテンツが要求された映像の一部ではないことを視聴者により明白にする。さらに、これは、その領域が移動可能なウィンドウのように見えるが、そうではないので、広告コンテンツ領域とのより大きいユーザの相互作用を正確に提供する。ユーザがその領域を別の場所に移すよう試みても、本実施形態では、ユーザはそうすることができないだろう。これにより、ユーザは、その表示の広告部分に今まで以上に注意を払い、積極的に広告を片付け、広告についてのさらなる情報を視聴することを選択する。要求された映像が再生する前に提示される広告を「プレロール」広告コンテンツという。一実施形態では、プレロール広告は自動的に開始される。代わりの実施形態では、ユーザがその表示の広告部分を積極的に押下するならば、プレロール広告のみが再生する。さらに別の実施形態では、インタフェースボタンは、広告コンテンツ全体を見るためにユーザがそのボタンをクリックしなければならないように、表示の広告部分内に設けられる。」

(エ)「【0031】
ある例では、プレロール、ミッドロールおよびポストロール配置の組み合わせが望まれてもよい。例えば、それは、ある種の映像では、ユーザがミッドロール広告メッセージに気付き、それを見たい可能性が高いが、要求された映像コンテンツが再生している間、ユーザインタフェース制御部を実際に活性化するには、進行中の映像コンテンツにあまりにも興味があり過ぎてもよい。その種の状況では、現れるミッドロールとして同じ広告主または同じ広告に言及するポストロール広告ボタンを提示することは、ミッドロールが現れた広告をフォローアップする機会をユーザに提供すると同時に、その映像を享受するというユーザの興味を満足する解決であってもよい。このように、一実施形態では、ミッドロールが提示されたとき、ユーザがその広告の再生を止めたならば、同じ広告がポストロールで提示される。別の実施形態では、同じ広告は、ユーザがミッドロール広告を止めたか否かによりポストロールで提示される。別の実施形態では、広告されるコンテンツをユーザの心理に強く主張するために、プレロール、ミッドロールおよびポストロールのいずれか2つの広告が関連し、同じ広告であってもよい。」

(オ)「【0039】
ここで、図5Aを参照すると、ミッドロール広告のためのインタフェースディスプレイの例が示される。映像コンテンツウィンドウ501は、この環境では、ユーザが要求した映像を既に表示している。上述のように、あるポイントでは、半透明の広告ブラインド502は、映像コンテンツウィンドウ501の一部に重ね合わせられて現れる(あるいはロールアップされる)。一実施形態では、最初に要求された映像は、中断することなく再生し続ける。ブラインド501は、選択されると、現在の映像を一時停止する様々な広告コンテンツへのアクセスを提供することができる。例えば、あるウェブサイトへのリンクは、一度そのウェブサイトがユーザによりレビューされたならば、ブラインド上で、好ましくは、要求された映像の再生を再開するための「戻る(back)」ボタンを提供するリンクされたサイトで提示されればよい。ウェブサイトリンクの代わりに、あるいはそれに加えて、ブラインド上に広告映像を提示することができる。一実施形態では、視聴者が広告映像を開始することを可能にするために、ユーザインタフェース「再生(play)」ボタン503とともに、そのような映像のサムネイルフレームが表示される。一実施形態では、選択された広告コンテンツ(例えば、映像またはウェブサイト)は、図5Bに示すようなミッドロール広告ウィンドウ510内に提示されてもよい。一実施形態では、広告が提示されている間、映像コンテンツウィンドウ501内の一時停止された映像はグレー表示される。要求されたコンテンツの再生を再開するために、戻るボタン512を選択することができる。一実施形態では、一度広告映像が完全に再生され、ユーザによりキャンセルされると、要求された映像の再生が再開される。」

イ 引用文献1に記載された発明
上記ア(ア)によると、クライアントにおいて、ユーザが映像を視聴することが記載され、上記ア(イ)?(オ)に具体的な動作が記載されているから、引用文献1には、「コンピュータで実現される映像提供方法」が記載されている。

引用文献1における「コンピュータで実現される映像提供方法」は、以下の動作を行う。

上記ア(ウ)によると、プレロール広告は、要求された映像が再生する前に提示される広告であり、自動的に開始される。プレロール広告は、要求された映像が再生する前に提示される広告であるから、プレロール広告が再生された後に、要求された映像が再生される。
また、上記ア(イ)によると、広告と映像は関連付けられるから、要求された映像とプレロール広告は関連付けられているといえる。さらに、上記ア(オ)によると、ミッドロール広告として広告映像があり、上記ア(エ)によると、ミッドロール広告とプレロール広告は同じ広告であるから、プレロール広告はプレロール広告映像である。
そうすると、引用文献1における「コンピュータで実現される映像提供方法」は、「要求された映像を再生する前に当該映像に関連付けられたプレロール広告映像を再生し、前記プレロール広告映像が再生された後に、要求された映像を再生」するものである。

上記ア(オ)によると、要求された映像を再生しているあるポイントで、広告映像を開始することを可能にするためのミッドロール広告のためのユーザインターフェースを表示し、選択されると、要求された映像は一時停止され、ミッドロール広告映像が再生される。
ここで、ミッドロール広告と上記のプレロール広告は、上記ア(エ)によると、同じ広告である。

以上、まとめると、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる。以下この発明を「引用発明」という。

(引用発明)
「(a)コンピュータで実現される映像提供方法であって、
(b)要求された映像を再生する前に当該映像に関連付けられたプレロール広告映像を再生し、
(c)前記プレロール広告映像が再生された後に、要求された映像を再生し、
(d-1)要求された映像を再生しているあるポイントで、広告映像を開始することを可能にするためのミッドロール広告映像のためのユーザインターフェースを表示し、
(d-2)選択されると、要求された映像は一時停止され、ミッドロール広告映像が再生され、
(d-3)ここで、プレロール広告映像とミッドロール広告映像とは同じ広告映像である、
(e)映像提供方法。」

((a)?(e)は、引用発明の構成を区別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。)

(5)対比
ア 補正発明と引用発明との対比
補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)構成要件A、Fと構成a、eとを対比する。
「映像」は「動画」といえるから、構成要件A、Fと構成a、eとは、「コンピュータで実現される動画提供方法」、「動画提供方法」として一致する。

(イ)構成要件Bと構成bとを対比する。
引用発明の「要求された映像」、「当該映像に関連付けられたプレロール広告映像」は、補正発明の「第1動画」、「前記第1動画に対して提供された第2動画」に相当する。
したがって、構成要件Bと構成bとは、「第1動画の再生前に前記第1動画に対して提供された第2動画を再生」する点で一致する。

(ウ)構成要件Cと構成cとを対比する。
引用発明の「前記プレロール広告映像が再生された後に」は、補正発明の「前記第2動画の再生が終了すると」に相当し、「前記第2動画の再生が終了または中断すると」に含まれる。
したがって、構成要件Cと構成cとは、「前記第2動画の再生が終了または中断すると前記第1動画を再生」する点で一致する。

(エ)構成要件Dと構成d-1とを対比する。
構成d-1の「要求された映像を再生しているあるポイントで、」は、構成要件Dの「前記第1動画が再生されている間に、」に相当する。
また、構成d-1の「ミッドロール広告映像」は、「プレロール広告映像とミッドロール広告映像とは同じ広告映像である」(構成d-3)から、「前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画」といえる。
さらに、構成d-1の「広告映像を開始することを可能にするためのミッドロール広告映像のためのユーザインターフェースを表示」することは、「前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画」に対する「UI(user interface)を活性化」するといえる
したがって、構成要件Dと構成d-1とは、「前記第1動画が再生されている間に、前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画に対するUI(user interface)を活性化」する点で共通する。
しかしながら、「前記第2動画に対するUI」が、補正発明においては、「前記第2動画をリコール(recall)するためのリコールUI」であるのに対し、引用発明においては、当該リコールUIでない点で相違する。

(オ)構成要件Eと構成d-2とを対比する。
構成d-1の「要求された映像を再生しているあるポイントで、広告映像を開始することを可能にするためのミッドロール広告映像のためのユーザインターフェースを表示し、」は、上記(エ)のとおり、「前記第1動画が再生されている間に、前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画に対するUI(user interface)を活性化」するといえ、構成d-2の「選択されると」は、「前記UIによる前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画に対する要請時に」といえる。
構成d-2の「要求された映像は一時停止され」は、構成要件Eの「前記第1動画が一時停止され」に相当する。
「ミッドロール広告映像」が「前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画」といえることは、上記(エ)のとおりであるから、構成d-2の「ミッドロール広告映像が再生され」は、「前記第1動画の再生前に再生された第2動画を再び再生する」といえる。
したがって、構成要件Eと構成d-2とは、
「前記UIによる前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画に対する要請時に、前記第1動画が一時停止されながら前記第1動画の再生前に再生された第2動画を再び再生する」点で共通する。
しかしながら、「前記第2動画に対する要請」が、補正発明においては、「前記第2動画に対するリコール要請」であるのに対し、引用発明においては、「前記第2動画に対するリコール要請」でない点で相違する。
さらに、「前記第1動画の再生前に再生された第2動画を再び再生する」ことが、補正発明においては、「前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画をリコールし、前記リコールされた第2動画を再び再生する」のに対し、引用発明においては、「前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画をリコールし、前記リコールされた第2動画を再び再生する」ものでない点で相違する(下線は相違を強調するために付した。)。
これらの相違点は、上記(エ)の相違に関連するものである。

イ 一致点、相違点
以上より、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
コンピュータで実現される動画提供方法であって、
第1動画の再生前に前記第1動画に対して提供された第2動画を再生し、
前記第2動画の再生が終了または中断すると前記第1動画を再生し、
前記第1動画が再生されている間に、前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画に対するUI(user interface)を活性化し、
前記UIによる前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画に対する要請時に、前記第1動画が一時停止されながら前記第1動画の再生前に再生された第2動画を再び再生する動画提供方法。

(相違点)
「前記第2動画に対するUI」が、
補正発明においては、「前記第2動画をリコール(recall)するためのリコールUI」であるのに対し、
引用発明においては、当該リコールUIでない点で相違し、
この相違に関連し、
「前記第2動画に対する要請」が、
補正発明においては、「前記第2動画に対するリコール要請」であるのに対し、
引用発明においては、「前記第2動画に対するリコール要請」でなく、
さらに、
「前記第1動画の再生前に再生された第2動画を再び再生する」ことが、
補正発明においては、「前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画をリコールし、前記リコールされた第2動画を再び再生する」のに対し、
引用発明においては、「前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画をリコールし、前記リコールされた第2動画を再び再生する」ものでない点で相違する。
(下線は、相違を強調するために付した。)

(6)相違点の判断
引用発明におけるUIは、プレロール広告映像と同じ広告映像を再生するためのものであり、広告映像を再生するにあたり、当該広告映像を記憶されているものとすることは普通のことであって、同じ広告映像を再生するにあたり、同じ広告映像を呼び出しているといえる。
したがって、引用発明におけるUIは、同じ広告映像を呼び出すためのUIといえるから、引用発明におけるUIを「リコールUI」とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そうすると、「前記第2動画に対する要請」は、同じ広告映像を呼び出す要請といえるから、「前記第2動画に対するリコール要請」になる。また、「前記第1動画の再生前に再生された第2動画を再び再生する」ことは、同じ広告を呼び出して、その広告映像を再生することといえるから、「前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画をリコールし、前記リコールされた第2動画を再び再生する」ことになる。

そして、補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

請求人は、平成28年12月20日付け上申書において、「引用発明1には、プレロール広告として第2動画を再生し、ミッドロール広告として第2動画を再生することが記載されているだけであり、ミッドロール広告として第2動画をリコールするためにユーザから明示的な要求が入力されるためのリコールUIは開示されていません。例えば、引用発明1では、図5Aにおいて再生ボタン(503)を開示していますが、この再生ボタン(503)はミッドロール広告として既にシステムによって選択されて提供された第2動画を再生するためのUIであるだけで、ユーザが明示的に第2動画のリコールを要求するためのUIではありません。」と主張している。
しかしながら、引用発明におけるユーザインターフェース(UI)は、プレロール広告映像と同じミッドロール広告映像を再生するためのものであり、ユーザインターフェースの操作により、一度再生された広告映像をもう一度再生することになるものであって、広告映像の再生にあたり、広告映像を記憶されているものとすることは普通のことであって、広告映像を再生する際に、同じ広告を呼び出しているものといえることは、上記のとおりである。
したがって、引用発明におけるUIをリコールUIとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
よって、請求人の主張は採用できない。

また、請求人は、同上申書において、「引用発明1では、プレロール広告で第2動画が再生されたことに関係なく、再生ボタン503を操作することによってミッドロール広告で第2動画が提供されます。言い換えれば、引用発明1ではプレロール広告として第2動画が再生されなかったとしてもミッドロール広告として第2動画が提供され、ユーザは再生ボタンを用いてミッドロール広告として第2動画を再生することができます。」と主張している。
しかしながら、上記2(4)イにおいて認定したように、引用発明は、「要求された映像を再生する前に当該映像に関連付けられたプレロール広告映像を再生」するものであって、「プレロール広告で第2動画が再生されたことに関係なく、再生ボタン503を操作することによってミッドロール広告で第2動画が提供され」るものではないから、請求人の主張は採用できない。

したがって、補正発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

補正発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反している。

3 まとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年8月29日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?16に係る発明は、平成28年1月8日付け手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?16に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「本願発明」という。)。

(本願発明)
「コンピュータで実現される動画提供方法であって、
第1動画の再生前に前記第1動画に対して提供された第2動画を再生し、
前記第2動画の再生が終了または中断すると前記第1動画を再生し、
前記第1動画が再生されている間に、前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画をリコール(recall)するためのリコールUI(user interface)を活性化し、
前記リコールUIによる前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画に対するリコール要請時に、前記第1動画が一時停止されながら前記第1動画の再生前に再生された前記第2動画を再び再生するステップ
を含む、動画提供方法。」

2 判断
補正発明は、本願発明をさらに限定したものと認められ、補正発明が引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであることは、上記第2のとおりであるから、同じ理由で、本願発明は引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明できたものと認められる。

3 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2?16に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-21 
結審通知日 2017-08-22 
審決日 2017-09-06 
出願番号 特願2014-200990(P2014-200990)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 富樫 明梅本 達雄後藤 嘉宏  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 小池 正彦
渡辺 努
発明の名称 マルチメディアコンテンツ提供システムおよびその方法  
代理人 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ