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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1336623
審判番号 不服2017-6983  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-15 
確定日 2018-01-18 
事件の表示 特願2012-241375「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月19日出願公開、特開2014- 90754〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年10月31日の出願であって、平成28年8月4日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年10月11日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年2月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年5月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年5月15日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年5月15日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成28年10月11日付けの手続補正書における、

「【請求項1】
表示領域を有する表示手段と、
所定の動的表示態様で前記表示手段に動的表示した後、判別結果を示す表示態様で所定の識別情報を停止表示する表示制御手段と、を有し、
異なる複数の前記識別情報を組み合わせることにより前記判別結果を報知し、前記識別情報の組み合わせが所定の組み合わせとなった場合に遊技者に特典を付与する遊技機において、
前記所定の組み合わせは、前記特典として第1特典が付与される組み合わせと、前記第1特典よりも遊技者に有利となる第2特典が付与される組み合わせとを含む複数の異なる組み合わせが設定されており、
前記表示制御手段は、
第1期間であれば、前記表示領域の第1領域にて前記識別情報を前記所定の動的表示態様で動的表示し、第2期間であれば、前記表示領域の前記第1領域よりも小さい領域である第2領域に前記識別情報に対応する1の図柄列で構成された情報を表示する変更表示制御手段と、
前記所定の組み合わせの一部を構成する前記識別情報が停止表示または仮停止表示された状態で、他の前記識別情報が動的表示される特殊動的表示態様を表示する動的表示態様表示制御手段と、を有し、
2以上の異なる前記所定の組み合わせの一部を構成する前記特殊動的表示態様で表示されていた前記識別情報に対応する前記情報を前記第2領域で表示する場合には、前記停止表示または仮停止表示されていた前記2以上の異なる組み合わせの種別が常時識別可能となるように表示されるものであることを特徴とする遊技機。」

から、平成29年5月15日付けの手続補正書における、

「【請求項1】
A 表示領域を有する表示手段と、
B 所定の動的表示態様で前記表示手段に動的表示した後、判別結果を示す表示態様で所定の識別情報を停止表示する表示制御手段と、を有し、
C 異なる複数の前記識別情報を組み合わせることにより前記判別結果を報知し、前記識別情報の組み合わせが所定の組み合わせとなった場合に遊技者に特典を付与する遊技機において、
D 前記所定の組み合わせは、前記特典として第1特典が付与される組み合わせと、前記第1特典よりも遊技者に有利となる第2特典が付与される組み合わせとを含む複数の異なる組み合わせが設定されており、
E 前記表示制御手段は、
第1期間であれば、前記表示領域の第1領域にて前記識別情報を前記所定の動的表示態様で動的表示し、第2期間であれば、前記表示領域の前記第1領域よりも小さい領域である第2領域にそれぞれの前記識別情報に対応した前記識別情報よりも小さい図柄を1の図柄列で動的表示する変更表示制御手段と、
F 前記所定の組み合わせの一部を構成する前記識別情報が停止表示または仮停止表示された状態で、他の前記識別情報が動的表示される特殊動的表示態様を表示する動的表示態様表示制御手段と、を有し、
G 2以上の異なる前記所定の組み合わせの一部を構成する前記特殊動的表示態様で表示されていた前記識別情報に対応する前記図柄を前記第2領域で表示する場合には、前記停止表示または仮停止表示されていた前記2以上の異なる組み合わせの種別が常時識別可能となるように前記特殊動的表示態様で停止表示または仮停止表示されていたすべての前記識別情報に対応する図柄をそれぞれ停止表示または仮停止表示させて、他の図柄が動的表示された前記1の図柄列が常時視認可能に表示されるものであることを特徴とする遊技機。」

に補正された(下線部は補正箇所を示す。また、A?Gは、分説するために当審にて付した。)。

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「第2期間であれば、前記表示領域の前記第1領域よりも小さい領域である第2領域に前記識別情報に対応する1の図柄列で構成された情報を表示する変更表示制御手段」に関して、「第2領域」への表示を、「それぞれの前記識別情報に対応した前記識別情報よりも小さい図柄を1の図柄列で動的表示する」と限定し、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「2以上の異なる前記所定の組み合わせの一部を構成する前記特殊動的表示態様で表示されていた前記識別情報に対応する前記情報を前記第2領域で表示する場合には、前記停止表示または仮停止表示されていた前記2以上の異なる組み合わせの種別が常時識別可能となるように表示される」に関して、その表示を、「前記特殊動的表示態様で停止表示または仮停止表示されていたすべての前記識別情報に対応する図柄をそれぞれ停止表示または仮停止表示させて、他の図柄が動的表示された前記1の図柄列が常時視認可能に表示される」と限定するとともに、上記の補正に対応させて、補正前の請求項1における「前記識別情報に対応する前記情報を前記第2領域で表示する場合には」を「前記識別情報に対応する前記図柄を前記第2領域で表示する場合には」としたものである。
また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示したとおりのものである。

(2)刊行物
(2-1)刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-266号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(1-a) 「【請求項1】 複数種類の識別情報を可変表示する可変表示部を複数個配列すると共に、その複数個の可変表示部の表示結果が特定表示結果となったときに特定遊技状態を発生し得る画像表示装置を備えた遊技機において、
特定条件が成立すると、前記複数個の可変表示部を所定の表示位置から移行表示すると共に、その移行表示によって形成された表示領域に所定情報を表示する表示制御手段を備えたことを特徴とする遊技機。」

(1-b) 「【0006】なお、図1に示す特別可変表示装置30により、複数種類の識別情報(特別図柄)を可変表示する可変表示部(特別図柄表示部80a?80c)を複数個配列(左・中・右の3列)すると共に、その複数個の可変表示部の表示結果が特定表示結果(大当り図柄)となったときに特定遊技状態を発生し得る本発明の画像表示装置の一例を構成している。」

(1-c) 「【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。先ず、図1を参照して実施形態に係る遊技機(図示ではパチンコ遊技機)の遊技盤1の構成について説明する。図1は、遊技盤1を示す正面図である。図1において、遊技盤1の表面には、発射された打玉を誘導するための誘導レール2がほぼ円状に植立され、該誘導レール2で区画された領域が遊技領域3を構成している。遊技領域3のほぼ中央には、左・中・右の特別図柄表示部80a?80cで特別図柄の可変表示(以下、変動ともいう)を可能にする特別可変表示装置30が配置されている。なお、特別可変表示装置30の詳細な構成については後に詳述するものである。」

(1-d) 「【0014】・・・
次に、本実施形態の要部を構成する特別可変表示装置30の構成について説明する。特別可変表示装置30は、遊技盤1の表面に取り付けられる取付基板31を有し、該取付基板31には、長方形状の窓枠部32が形成されている。この窓枠部32の後方には、LCD表示器33が臨設されている。LCD表示器33は、その表示画面を左・中・右に3分割した特別図柄表示部80a?80cを有し、該特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を個々に可変表示するようになっている。窓枠部32の上方には、普通図柄表示器34、普通図柄記憶表示LED35、入賞口37、及び飾りランプ38が設けられている。一方、窓枠部32の下方には、特別図柄記憶表示LED36及びワープ出口40が設けられている。また、窓枠部32の左右側方には、それぞれ遊技領域3内を落下する打玉を受け入れて前記ワープ出口40に導くワープ入口39が設けられている。これにより、ワープ入口39に入った打玉は、前記普通可変入賞球装置4の上方に位置するワープ出口40から再度遊技盤1上に放出されることで、普通可変入賞球装置4に入賞し易くなっている。なお、左側のワープ入口39には、通過玉検出器41が設けられており、該通過玉検出器41は、通過玉の検出動作によって普通図柄の変動を許容するようになっている。また、この普通図柄の変動は、変動中を除いて所定回数(本実施形態では、4回)記憶され、その旨が前記普通図柄記憶表示LED35に表示される。
【0015】以上、特別可変表示装置30を含むパチンコ遊技機の遊技盤1の構成について説明してきたが、次にパチンコ遊技機の裏面側に設けられる各種構成部材について、図2に示すパチンコ遊技機の背面図、及び図3、図4に示すブロック図を参照して説明する。先ず、図2において、パチンコ遊技機を構成する外枠50内の裏面側には、そのほぼ中央にCPU51a、RAM51b、及びROM51cを備えて各種遊技動作を制御する主基盤51が設けられている。この主基盤51には、主中継基盤52・53、ターミナルボックス基板54、電飾基板56、賞球基板64、及びインターフェイス基板73が接続して設けられている。主中継基盤52には、図3に示すように、各飾りランプ19a・38と、普通図柄表示器34(図3中には、普通図柄表示装置と記載)を構成し且つ普通図柄記憶表示LED35が接続された普通図柄基板34aと、CRT表示器33(図3中には、特別図柄表示装置及び時短図柄表示装置と記載)を構成する表示制御基板33a及びCRT本体基板33bと、がそれぞれ接続されている。なお、主中継基盤52は、遊技盤1用の外部接続端子52aを備えることで、始動口、確率変動、図柄確定回数、及び大当りの各情報を外部(ホールコンピュータや呼び出しランプ等)に出力するようになっている。一方、主中継基盤53には、通過玉検出器41と、始動玉検出器7と、入賞玉検出器14(図3中には、カウントスイッチと記載)と、特定玉検出器13(図3中には、特定領域及びカウントスイッチと記載)と、各ソレノイド5・11と、特別図柄記憶表示LED36と、各飾りLED18・21aと、V表示LED15と、個数表示LED16と、飾りランプ20aと、がそれぞれ接続されている。」

(1-e) 「【0020】特別図柄の種類は、図7に示すように、少女A?少女Hのキャラクタが個々に表示される「1」?「8」の当り図柄、及び「ハート」の絵が表示される外れ図柄の全9種類であり、この特別図柄がWC_RND_L・C・Rの各ランダム数(0?20)に対応して設けられている。具体的には、図8に示すように、左・中・右の各図柄列において、それぞれ「1」?「8」の8個の当り図柄と13個の外れ図柄(「ハート」)とが対応している。また、大当り図柄の配列は、図5(B)に示す丸1(丸囲みの数字は、「丸×」とする。以下同様)?丸5の当りラインのいずれかに当り図柄(「1」?「8」)が揃って表示されたものであり、具体的には、図9に示すように、WC_RND_FVRZUの各ランダム数(0?39)に対応した40通りとなっている。なお、このような大当り図柄のうち「3」「5」「7」のいずれかで揃った図柄は確変図柄をなし、前記特定遊技状態の発生に加えて後で詳述する確率変動(以下、これを確変ともいう)を発生するようになっている。
【0021】特別可変表示装置30による具体的な図柄の変動動作は、図10乃至図12のタイムチャートに示す通りである。なお、図柄変動には、以下に詳述する各種リーチ変動毎に、1つの当りラインでのみリーチとなるシングルリーチと、同時に2つの当りラインでリーチとなるダブルリーチと、の2種類が存在している。先ず、リーチ以外のときは、図10に示すように、普通可変入賞球装置4に打玉が入賞して始動玉検出器7が始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時に、WC_RND1から数値を抽出してこれを格納する。その後、始動信号の立ち上がりより0.002秒後には、格納したWC_RND1の読み出し判定を行うと共に、WC_RND_L・C・Rから数値を抽出する。そして、始動信号の立ち上がりより0.412秒後に、左・中・右の全図柄の変動を開始させる。左図柄は、5.600秒間の変動後に停止表示され、右図柄は、6.400?7.650秒間の変動後に停止表示される。そして、最終停止図柄である中図柄は、右図柄の停止から1.000秒後に停止表示される。一方、リーチのときには、図11に示すように、普通可変入賞球装置4に打玉が入賞して始動玉検出器7が始動信号を導出すると、その始動信号の立ち上がり時に、WC_RND1から数値を抽出してこれを格納する。その後、始動信号の立ち上がりより0.002秒後には、格納したWC_RND1の読み出し判定を行うと共に、WC_RND_L・C・R、WC_RND_RCH、WC_RND_FVRZUからそれぞれ数値を抽出する。そして、始動信号の立ち上がりより0.412秒後に全図柄の変動を開始させ、左図柄は、5.600秒間の変動後に停止表示される。右図柄は、シングルリーチのとき変動開始から6.400?7.650秒後に停止表示され、ダブルリーチのとき変動開始から6.400秒後に停止表示される。」

(1-f) 「【0027】また、リーチ3-1・3-2(リーチパターンC)のダブルリーチでは、図17(A)に示すように、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うと(同図中には、「8」図柄が丸4の当りラインで揃い、「7」図柄が丸5の当りラインで揃った場合を例示)、リーチ3-1・3-2(シングルリーチ)と同様に、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し、表示画面の下半分を情報表示部85とする(図17(B)参照)。なお、このとき、左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する「8」図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する「7」図柄を表示する。また、情報表示部85のカウントダウン表示は、確変の有無に拘らず「当りまであと「…」コマ」となる。そして、大当りとなる場合は、図17(C)に示すように、左右の特別図柄表示部80a・80cに表示する図柄のいずれか一方と同一の図柄を中の特別図柄表示部80bに停止表示すると共に、カウント数に替えて「当り」の文字86を情報表示部85に表示する。一方、ハズレとなる場合は、図17(D)に示すように、左右の特別図柄表示部80a・80cに表示する図柄以外の図柄を中の特別図柄表示部80bに停止表示すると共に、カウント数に替えて裂けたハート87を情報表示部85に表示する。その後は、大当り図柄及び外れ図柄の導出に拘らず、図17(E)に示すように、上半分に縮小した特別図柄表示部80a?80cを表示画面全体の表示領域に戻す。」

上記(1-a)?(1-f)の記載事項及び図面から、以下(1-g)、(1-h)の事項が導かれる。

(1-g)段落【0014】には、「該特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を個々に可変表示するようになっている。」と記載されており、段落【0021】には、「左・中・右の全図柄の変動を開始させる。左図柄は、5.600秒間の変動後に停止表示され、右図柄は、6.400?7.650秒間の変動後に停止表示される。そして、最終停止図柄である中図柄は、右図柄の停止から1.000秒後に停止表示される。」と記載されているから、刊行物1には、特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を可変表示し、左・中・右の特別図柄を停止表示する点が記載されているといえる。
さらに、段落【0006】には、「その複数個の可変表示部の表示結果が特定表示結果(大当り図柄)となったときに特定遊技状態を発生し得る」と記載されており、当該記載における「その複数個の可変表示部の表示結果」が段落【0021】の上記記載における「停止表示」された「左図柄」「中図柄」「右図柄」のことを意味することは明らかであるから、刊行物1には、特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を可変表示し、表示結果が大当り図柄となったときに特定遊技状態を発生し得るように左・中・右の特別図柄を停止表示する点が記載されているといえる。

(1-h)段落【0027】には、「ダブルリーチでは、図17(A)に示すように、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うと(同図中には、「8」図柄が丸4の当りラインで揃い、「7」図柄が丸5の当りラインで揃った場合を例示)、リーチ3-1・3-2(シングルリーチ)と同様に、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し、表示画面の下半分を情報表示部85とする(図17(B)参照)。なお、このとき、左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する「8」図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する「7」図柄を表示する。」と記載されている。また、段落【0021】には、「左・中・右の全図柄の変動を開始させる。左図柄は、5.600秒間の変動後に停止表示され、右図柄は、6.400?7.650秒間の変動後に停止表示される。そして、最終停止図柄である中図柄は、右図柄の停止から1.000秒後に停止表示される。」と記載されており、「左図柄」が「停止表示」され、「右図柄」が「停止表示」された時に「2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃う」「ダブルリーチ」の状態となることは明らかであるから、刊行物1には、特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し、左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示し、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなると、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し、また、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小したとき、左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する点が記載されているといえる。
また、【請求項1】には、「特定条件が成立すると、前記複数個の可変表示部を所定の表示位置から移行表示すると共に、その移行表示によって形成された表示領域に所定情報を表示する表示制御手段を備えた」と記載されており、当該記載の「前記複数個の可変表示部を所定の表示位置から移行表示する」ことが、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小して表示することに対応することは明らかであるから、刊行物1には、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小して表示する表示制御手段を備える点が記載されているといえる。
さらに、段落【0027】には、「ダブルリーチでは、・・・特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し、表示画面の下半分を情報表示部85とする(図17(B)参照)。」と記載されており、図17(B)には、表示画面の上半分において、「少女H」及び「8」と記載された左側の図柄、下方向への矢印、「少女H」及び「8」と記載された右側の図柄からなる1の図柄列を表示する点が図示されている。また、下方向への矢印が、可変表示している中図柄を意味することは明らかである。なお、図17(A)の右上には「少女H」及び「7」と記載された図柄が、右下には「少女G」及び「8」と記載された図柄が図示されているが、図7及び段落【0020】の「特別図柄の種類は、図7に示すように、少女A?少女Hのキャラクタが個々に表示される「1」?「8」の当り図柄、及び「ハート」の絵が表示される外れ図柄の全9種類であり」との記載より、右上の図柄の「少女H」が「少女G」の誤記であり、右下の「少女G」が「少女H」の誤記であることは、明らかである。
したがって、刊行物1には、特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し、左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示し、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなると、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示する表示制御手段を備え、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示するとき、左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する図柄を表示し、特別図柄表示部80bでは中図柄の可変表示を行う点が記載されているといえる。

上記(1-a)?(1-f)の記載事項及び(1-g)、(1-h)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。(a?gは、本願補正発明のA?Gに対応させて付した。)

「a LCD表示器33の表示画面の特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を個々に可変表示する特別可変表示装置30を有し、(段落【0014】)
b 特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を可変表示し、表示結果が大当り図柄となったときに特定遊技状態を発生し得るように左・中・右の特別図柄を停止表示するものであり、(認定事項(1-g))
c 特別図柄の種類は「1」?「8」の当り図柄、及び「ハート」の絵が表示される外れ図柄の全9種類であり、大当り図柄の配列は、当りラインのいずれかに当り図柄「1」?「8」が揃って表示されたものであるパチンコ遊技機において、(段落【0009】、【0020】)
d 大当り図柄のうち「3」「5」「7」のいずれかで揃った図柄は確変図柄をなし、特定遊技状態の発生に加えて確率変動を発生するものであり、(段落【0020】)
e、f、g 特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し、左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示し、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなると、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示する表示制御手段を備え、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示するとき、左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する図柄を表示し、特別図柄表示部80bでは中図柄の可変表示を行う(認定事項(1-h))パチンコ遊技機。」

(2-2)刊行物2に記載された事項
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-45308号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(2-a) 「【0012】
パチンコ遊技機の遊技盤10のほぼ中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する表示装置としての演出表示装置11が配設されている。演出表示装置11には、複数列(本実施形態では3列)の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示される。本実施形態において演出表示装置11の図柄変動ゲームでは、複数列(本実施形態では3列)の図柄からなる図柄組み合わせを導出する。なお、演出表示装置11の図柄変動ゲームは、表示演出を多様化するための飾り図柄(演出図柄)を用いて行われる。」

(2-b) 「【0036】
ここで、本実施形態に設定される変動パターンについて図4に従って説明する。
本実施形態に設定される変動パターンは、4種類に大別することができる。1つ目は、リーチを形成しないはずれ変動用の変動パターンである。2つ目は、1つの数字を付した1つの飾り図柄によって1つのリーチ状態(単数リーチ状態)を形成させる「シングルリーチ(SR)」系の変動パターンP2である。3つ目は、複数種類(本実施形態では2種類)の数字を付した1つの飾り図柄(グループ(GP)図柄)によって2つのリーチ状態(複数リーチ状態)を形成させる「ダブルリーチ(WR)」系の変動パターンP3である。4つ目は、1つの飾り図柄を構成する複数種類(本実施形態では2種類)の数字同士を合算し、その合算後の数字を付した図柄によって1つのリーチ状態を形成させる「合算シングルリーチ(SR)」系の変動パターンP4である。本実施形態においてSR系の変動パターンP2には、はずれリーチ変動用の変動パターンP2-1と大当り変動用の変動パターンP2-2が含まれる。また、WR系の変動パターンP3には、はずれリーチ変動用の変動パターンP3-1と大当り変動用の変動パターンP3-2が含まれる。また、合算SR系の変動パターンP4には、はずれリーチ変動用の変動パターンP4-1と大当り変動用の変動パターンP4-2が含まれる。本実施形態では、SR系の変動パターンP2に基づくリーチ演出が、第1演出内容となる一方で、WR系の変動パターンP3に基づくリーチ演出が、第2演出内容となる。さらに、合算SR系の変動パターンP4に基づくリーチ演出(合算リーチ演出)が、第3演出内容となる。
【0037】
前述したように、本実施形態のパチンコ遊技機は、図柄列毎に定められた図柄表示位置によって有効ラインが1本形成される演出表示装置11を備えた1ライン機として構成されている。これにより、本実施形態では、通常、1つのリーチ状態が形成される(例えば、図6(e))。その一方で、リーチ形成列のうち少なくとも一方に複数種類の数字を付した1つの飾り図柄が停止表示された場合、その他のリーチ形成列に停止表示された図柄に応じて、複数のリーチラインが形成される場合がある(例えば、図6(b))。」

(2-c) 「【0040】
以下、グループ図柄について説明する。
本実施形態におけるグループ図柄は、1つの四角形Sに数値の異なる2つの数字を付した構成とされ、同一の数字によって構成されない(例えば、2と2)。また、本実施形態におけるグループ図柄を構成する数字は、図柄列に定められた表示順序の組み合わせ(例えば、5と6)に限られないので、「1」と「6」などの組み合わせも存在する。そして、グループ図柄を構成する数字の組み合わせは、演出制御基板31で決定されるようになっている。」

上記(2-a)?(2-c)の記載事項及び図面から、以下(2-d)、(2-e)の事項が導かれる。

(2-d)段落【0012】には、「複数列(本実施形態では3列)の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームを含み、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示される。」と記載されているから、刊行物2には、3列の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームの演出を画像表示する点が記載されているといえる。
また、段落【0037】には「有効ラインが1本形成される」、「リーチ形成列のうち少なくとも一方に複数種類の数字を付した1つの飾り図柄が停止表示された場合、その他のリーチ形成列に停止表示された図柄に応じて、複数のリーチラインが形成される場合がある(例えば、図6(b))。」、段落【0040】には「グループ図柄は、1つの四角形Sに数値の異なる2つの数字を付した構成とされ」と記載されており、当該記載を参酌すると、図6(b)には、1本形成される有効ラインにおける3列の図柄列のうち、左列及び右列に停止する図柄を、1つの四角形Sに数値の異なる2つの数字を付したグループ図柄とし、複数のリーチラインを形成する点が図示されているといえる。
さらに、段落【0036】には、「複数種類(本実施形態では2種類)の数字を付した1つの飾り図柄(グループ(GP)図柄)によって2つのリーチ状態(複数リーチ状態)を形成させる「ダブルリーチ(WR)」系の変動パターンP3」と記載されているから、複数のリーチラインを形成した状態とすることは、2つのリーチ状態を形成するダブルリーチの表示を行うことといえる。
よって、刊行物1には、3列の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームの演出を画像表示し、1本形成される有効ラインにおける3列の図柄列のうち、左列及び右列に停止する図柄を、1つの四角形Sに数値の異なる2つの数字を付したグループ図柄とし、2つのリーチ状態を形成するダブルリーチの表示を行う点が記載されているといえる。

(2-e)図6(a)には、左側のグループ図柄における四角形Sとグループ図柄でない右側の図柄の四角形Sとは略同じ大きさである点、及び、左側のグループ図柄の2つの数字は、グループ図柄でない右側の図柄の数字よりも小さいものとした点が図示されているといえる。
よって、刊行物1には、グループ図柄における四角形Sは、グループ図柄でない図柄の四角形Sと略同じ大きさであり、グループ図柄の2つの数字は、グループ図柄でない図柄の一つの数字よりも小さいものとした点が記載されているといえる。


上記(2-a)?(2-c)の記載事項及び(2-d)、(2-e)の認定事項を総合すると、刊行物2には、次の事項が記載されていると認められる(以下「刊行物2記載の事項」という。)。
「パチンコ遊技機において、(段落【0037】)
3列の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームの演出を画像表示し、1本形成される有効ラインにおける3列の図柄列のうち、左列及び右列に停止する図柄を、1つの四角形Sに数値の異なる2つの数字を付したグループ図柄とし、2つのリーチ状態を形成するダブルリーチの表示を行い、(認定事項(2-d))
グループ図柄における四角形Sは、グループ図柄でない図柄の四角形Sと略同じ大きさであり、グループ図柄の2つの数字は、グループ図柄でない図柄の一つの数字よりも小さいものとした点。(認定事項(2-e))」

(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(g)は、刊行物1発明の構成a?gに対応している。)。

(a)刊行物1発明の「LCD表示器33の表示画面」は、本願補正発明の「表示領域」に相当する。
したがって、刊行物1発明における「LCD表示器33の表示画面の特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を個々に可変表示する特別可変表示装置30」は、本願補正発明における「表示領域を有する表示手段」に相当する。

(b)刊行物1発明において、「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を可変表示」すること、及び「左・中・右の特別図柄を停止表示する」ことは、それぞれ、本願補正発明において、「所定の動的表示態様で前記表示手段に動的表示」すること、及び、「所定の識別情報を停止表示する」ことに相当する。
また、刊行物1発明は、「表示結果が大当り図柄となったときに特定遊技状態を発生し得る」ものであり、「表示結果」は「停止表示」された「左・中・右の特別図柄」を意味することは明らかであるから、刊行物1発明における「停止表示」された「左・中・右の特別図柄」の表示態様は、本願補正発明の「判別結果を示す表示態様」に相当する。
さらに、刊行物1発明は、「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を可変表示し、表示結果が大当り図柄となったときに特定遊技状態を発生し得るように左・中・右の特別図柄を停止表示する」ものであるから、「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を可変表示し、表示結果が大当り図柄となったときに特定遊技状態を発生し得るように左・中・右の特別図柄を停止表示する」機能を有する手段、すなわち、表示制御手段を備えていることは明らかである。
したがって、刊行物1発明において、「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を可変表示し、表示結果が大当り図柄となったときに特定遊技状態を発生し得るように左・中・右の特別図柄を停止表示するものであ」ることは、本願補正発明における「所定の動的表示態様で前記表示手段に動的表示した後、判別結果を示す表示態様で所定の識別情報を停止表示する表示制御手段」を有することに相当する。

(c)刊行物1発明の「図柄」及び「パチンコ遊技機」は、それぞれ、本願補正発明の「識別情報」及び「遊技機」に相当する。また、刊行物1発明の「特別図柄」は、「「1」?「8」の当り図柄、及び「ハート」の絵が表示される外れ図柄の全9種類」を備えるから、刊行物1発明の「特別図柄」は異なる複数の識別情報を有するものといえ、刊行物1発明は、「当りラインのいずれかに当り図柄「1」?「8」が揃って表示されたもの」が「大当り図柄の配列」となるから、「当りラインのいずれか」における異なる複数の「図柄」の組み合わせにより「大当り図柄の配列」となるか否かの判別結果を報知するものといえる。
また、刊行物1発明において「特定遊技状態を発生」(構成b)することは、本願補正発明における「遊技者に特典を付与する」ことに相当し、刊行物1発明において、表示結果が「大当り図柄の配列」となると、「特定遊技状態を発生」(構成b)するから、刊行物1発明の「大当り図柄の配列」となった場合は、本願補正発明の「前記識別情報の組み合わせが所定の組み合わせとなった場合」に相当し、また、刊行物1発明において「大当り図柄の配列」となった場合には、「特定遊技状態を発生」する、すなわち、「遊技者に特典を付与する」といえる。
したがって、刊行物1発明における「特別図柄の種類は「1」?「8」の当り図柄、及び「ハート」の絵が表示される外れ図柄の全9種類であり、大当り図柄の配列は、当りラインのいずれかに当り図柄「1」?「8」が揃って表示されたものであるパチンコ遊技機」は、本願補正発明における「異なる複数の前記識別情報を組み合わせることにより前記判別結果を報知し、前記識別情報の組み合わせが所定の組み合わせとなった場合に遊技者に特典を付与する遊技機」に相当する。

(d)刊行物1発明は、「当り図柄「1」?「8」が揃って表示された」「大当り図柄の配列」(構成c)を有するから、「大当り図柄の配列」として、8つの複数の異なる組み合わせが設定されているといえる。また、刊行物1発明は、「大当り図柄のうち「3」「5」「7」のいずれかで揃った図柄は確変図柄をなし、特定遊技状態の発生に加えて確率変動を発生する」から、「当り図柄「1」?「8」が揃って表示された」「大当り図柄の配列」(構成c)のうち、「「大当り図柄のうち「3」「5」「7」のいずれかで揃った図柄」以外の大当り図柄は、「確変図柄」ではなく、「特定遊技状態の発生に加えて確率変動を発生」しないことは、明らかである。そして、「確率変動を発生」する大当りが、「確率変動を発生」しない大当たりよりも遊技者に有利となることは明らかであるから、刊行物1発明において、「当り図柄「1」?「8」が揃って表示された」「大当り図柄の配列」(構成c)のうち、「「大当り図柄のうち「3」「5」「7」のいずれかで揃った図柄」以外の大当り図柄の配列、及び、「「大当り図柄のうち「3」「5」「7」のいずれかで揃った図柄」の配列は、それぞれ、本願補正発明の「前記特典として第1特典が付与される組み合わせ」及び「前記第1特典よりも遊技者に有利となる第2特典が付与される組み合わせ」に相当する。
したがって、刊行物1発明における「大当り図柄のうち「3」「5」「7」のいずれかで揃った図柄は確変図柄をなし、特定遊技状態の発生に加えて確率変動を発生する」ことは、本願補正発明における「前記所定の組み合わせは、前記特典として第1特典が付与される組み合わせと、前記第1特典よりも遊技者に有利となる第2特典が付与される組み合わせとを含む複数の異なる組み合わせが設定されて」いることに相当する。

(e)刊行物1発明において、「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し」てから、「左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示し、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなる」までの期間は、本願補正発明における「第1期間」に相当し、刊行物1発明において、当該期間における「特別図柄表示部80a?80c」の領域は、本願補正発明の「第1領域」に相当する。また、刊行物1発明において「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し」てから、「左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示」するまでの期間は、「特別図柄表示部80a?80c」で「左・中・右の全図柄の変動」を行うから、本願補正発明と同様に「前記表示領域の第1領域にて前記識別情報を前記所定の動的表示態様で動的表示」するといえる。
刊行物1発明において、「2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとな」ってから、「左・中・右の特別図柄を停止表示」(構成b)までの期間は、本願補正発明の「第2期間」に相当し、刊行物1発明において、「表示画面の上半分に縮小」した「特別図柄表示部80a?80cの表示領域」は、本願補正発明における「前記表示領域の前記第1領域よりも小さい領域である第2領域」に相当する。また、刊行物1発明において、「左の特別図柄表示部80a」に表示される「一方のリーチ図柄を構成する図柄」及び「右の特別図柄表示部80c」に表示される「他方のリーチ図柄を構成する図柄」は、本願補正発明における「2つの当りライン」における2つの「図柄」に対応した図柄であるといえ、刊行物1発明において「1の図柄列で表示」し、「特別図柄表示部80bでは中図柄の可変表示を行う」ことは、本願補正発明において「1の図柄列で動的表示する」ことに相当する。そして、刊行物1発明の「表示制御手段」は、本願補正発明の「変更表示制御手段」に相当する。
したがって、刊行物1発明の「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し、左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示し、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなると、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示する表示制御手段」は、本願補正発明の「第1期間であれば、前記表示領域の第1領域にて前記識別情報を前記所定の動的表示態様で動的表示し、第2期間であれば、前記表示領域の前記第1領域よりも小さい領域である第2領域にそれぞれの前記識別情報に対応した前記識別情報よりも小さい図柄を1の図柄列で動的表示する変更表示制御手段」と、「第1期間であれば、前記表示領域の第1領域にて前記識別情報を前記所定の動的表示態様で動的表示し、第2期間であれば、前記表示領域の前記第1領域よりも小さい領域である第2領域にそれぞれの前記識別情報に対応した」「図柄を1の図柄列で動的表示する変更表示制御手段」である点で共通する。

(f)刊行物1発明の「リーチ図柄を構成する図柄」は、本願補正発明の「前記所定の組み合わせの一部を構成する前記識別情報」に相当する。また、刊行物1発明において「特別図柄表示部80bでは中図柄の可変表示を行う」ことは、本願補正発明の「他の前記識別情報が動的表示される」に相当する。よって、刊行物1発明において、「左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する図柄を表示し、特別図柄表示部80bでは中図柄の可変表示を行う」ことは、本願補正発明における「前記所定の組み合わせの一部を構成する前記識別情報が停止表示または仮停止表示された状態で、他の前記識別情報が動的表示される特殊動的表示態様を表示する」ことに相当する。
また、刊行物1発明は、「特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示するとき、左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する図柄を表示し、特別図柄表示部80bでは中図柄の可変表示を行う」から、当該表示を行うための手段、すなわち、動的表示態様表示制御手段を備えていることは明らかである。
したがって、刊行物1発明において「特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示するとき、左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する図柄を表示し、特別図柄表示部80bでは中図柄の可変表示を行う」ことは、本願補正発明の構成Gと、「前記所定の組み合わせの一部を構成する前記識別情報が停止表示または仮停止表示された状態で、他の前記識別情報が動的表示される特殊動的表示態様を表示する動的表示態様表示制御手段」を有する点で共通する。

(g)刊行物1発明において、「2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなる」際の、「2つの当りライン上」における「同一図柄で揃」った「左右の図柄」は、本願補正発明における、「2以上の異なる所定の組み合わせの一部を構成する」「識別情報」であるといえる。
また、刊行物1発明において、「特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示」する際に、「左の特別図柄表示部80a」に表示される「一方のリーチ図柄を構成する図柄」は、「2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなる」際の、「2つの当りライン上」における一方の「当りライン上」の「同一図柄で揃」った2つの「左右の図柄」に対応する図柄であるといえ、「右の特別図柄表示部80c」に表示される「他方のリーチ図柄を構成する図柄」は、「2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなる」際の、「2つの当りライン上」における他方の「当りライン上」の「同一図柄で揃」った2つの「左右の図柄」に対応する図柄であるといえる。
よって、刊行物1発明において、「表示画面の上半分に縮小」した「表示領域」(第2領域)の「左の特別図柄表示部80a」に表示される「一方のリーチ図柄を構成する図柄」及び「右の特別図柄表示部80c」に表示される「他方のリーチ図柄を構成する図柄」は、それぞれ、本願補正発明の「2以上の異なる前記所定の組み合わせの一部を構成する前記特殊動的表示態様で表示されていた前記識別情報に対応する前記図柄」に相当し、また、「2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなる」際の、「2つの当りライン上」の「同一図柄で揃」った「左右の図柄」を形成する4つの図柄に対応する図柄であるから、本願補正発明の「すべての前記識別情報に対応する図柄」に相当する。
また、刊行物1発明においては、「一方のリーチ図柄を構成する図柄」及び「他方のリーチ図柄を構成する図柄」が同時に表示され、常時視認可能であることは明らかであるから、本願補正発明と同様に「前記停止表示または仮停止表示されていた前記2以上の異なる組み合わせの種別が常時識別可能となる」といえる。
そして、刊行物1発明において、「特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示」したときに、「左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する図柄を表示し、特別図柄表示部80bでは中図柄の可変表示を行う」ことは、本願補正発明において、「前記特殊動的表示態様で停止表示」されていた「すべての前記識別情報に対応する図柄をそれぞれ停止表示」「させて、他の図柄が動的表示された前記1の図柄列が常時視認可能に表示される」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明において、「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し、左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示し、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなると、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示する表示制御手段を備え、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示するとき、左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する図柄を表示し、特別図柄表示部80bでは中図柄の可変表示を行う」ことは、本願補正発明における「2以上の異なる前記所定の組み合わせの一部を構成する前記特殊動的表示態様で表示されていた前記識別情報に対応する前記図柄を前記第2領域で表示する場合には、前記停止表示または仮停止表示されていた前記2以上の異なる組み合わせの種別が常時識別可能となるように前記特殊動的表示態様で停止表示または仮停止表示されていたすべての前記識別情報に対応する図柄をそれぞれ停止表示または仮停止表示させて、他の図柄が動的表示された前記1の図柄列が常時視認可能に表示されるものである」ことに相当する。

以上、(a)?(g)の対比より、本願補正発明と刊行物1発明とは、

「A 表示領域を有する表示手段と、
B 所定の動的表示態様で前記表示手段に動的表示した後、判別結果を示す表示態様で所定の識別情報を停止表示する表示制御手段と、を有し、
C 異なる複数の前記識別情報を組み合わせることにより前記判別結果を報知し、前記識別情報の組み合わせが所定の組み合わせとなった場合に遊技者に特典を付与する遊技機において、
D 前記所定の組み合わせは、前記特典として第1特典が付与される組み合わせと、前記第1特典よりも遊技者に有利となる第2特典が付与される組み合わせとを含む複数の異なる組み合わせが設定されており、
E’第1期間であれば、前記表示領域の第1領域にて前記識別情報を前記所定の動的表示態様で動的表示し、第2期間であれば、前記表示領域の前記第1領域よりも小さい領域である第2領域にそれぞれの前記識別情報に対応した図柄を1の図柄列で動的表示する変更表示制御手段と、
F’前記所定の組み合わせの一部を構成する前記識別情報が停止表示または仮停止表示された状態で、他の前記識別情報が動的表示される特殊動的表示態様を表示する動的表示態様表示制御手段と、を有し、
G 2以上の異なる前記所定の組み合わせの一部を構成する前記特殊動的表示態様で表示されていた前記識別情報に対応する前記図柄を前記第2領域で表示する場合には、前記停止表示または仮停止表示されていた前記2以上の異なる組み合わせの種別が常時識別可能となるように前記特殊動的表示態様で停止表示または仮停止表示されていたすべての前記識別情報に対応する図柄をそれぞれ停止表示または仮停止表示させて、他の図柄が動的表示された前記1の図柄列が常時視認可能に表示されるものである遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)構成Eに関して、「第2領域に」「1の図柄列で動的表示する」図柄について、本願補正発明は、「それぞれの前記識別情報に対応した前記識別情報よりも小さい図柄」であると特定されているのに対し、刊行物1発明は、「一方のリーチ図柄を構成する図柄」及び「他方のリーチ図柄を構成する図柄」(それぞれの識別情報に対応した図柄)を、「識別情報よりも小さい図柄」とするとは特定されていない点。

(相違点2)構成E、Fに関して、「変更表示制御手段」及び「動的表示態様表示制御手段」を、本願補正発明は、「前記表示制御手段」が有すると特定されているのに対し、刊行物1発明はそのように特定されていない点。

(4)判断
ア 相違点1について
上記相違点1について検討する。
上記(2)(2-2)で示した通り、刊行物2には、次の事項(刊行物2記載の事項)が記載されていると認められる。
「パチンコ遊技機において、(段落【0037】)
3列の図柄列を変動させて行う図柄変動ゲームの演出を画像表示し、1本形成される有効ラインにおける3列の図柄列のうち、左列及び右列に停止する図柄を、1つの四角形Sに数値の異なる2つの数字を付したグループ図柄とし、2つのリーチ状態を形成するダブルリーチの表示を行い、(認定事項(2-d))
グループ図柄における四角形Sは、グループ図柄でない図柄の四角形Sと略同じ大きさであり、グループ図柄の2つの数字は、グループ図柄でない図柄の一つの数字よりも小さいものとした点。(認定事項(2-e))」

刊行物2記載の事項において、「1つの四角形Sに数値の異なる2つの数字を付したグループ図柄」における「四角形S」は、「グループ図柄でない図柄の四角形Sと略同じ大きさ」であるから、「四角形S」における「異なる2つの数字」にそれぞれ対応する図柄部分は、「グループ図柄でない図柄の四角形S」の略半分程度の小さいものであるといえる。さらに、「グループ図柄の2つの数字は、グループ図柄でない図柄の一つの数字よりも小さい」ことからも、「グループ図柄」における「異なる2つの数字」にそれぞれ対応する図柄部分は、「グループ図柄でない図柄」よりも小さい図柄であるといえる。
また、刊行物2記載の事項において、「2つのリーチ状態を形成するダブルリーチの表示を行」う場合、「左列及び右列に停止する図柄を、1つの四角形Sに数値の異なる2つの数字を付したグループ図柄」とした際には、「左列及び右列に停止する」「グループ図柄」により、「ダブルリーチ」を構成する4つの識別情報(ダブルリーチを構成する2つの数字について、それぞれ左右のグループ図柄に表示された数字)のすべてに対応する図柄をそれぞれ停止表示させた状態となるといえる。

そして、刊行物1発明と刊行物2記載の事項とは、ダブルリーチを1本のラインとして表示する点で共通するものであるから、刊行物1発明において、刊行物2記載の事項を適用し、「左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する図柄を表示」することに代えて、「左の特別図柄表示部80a」及び「右の特別図柄表示部80c」に、異なる2つの数字が付され、2つの数字に対応する部分が小さい図柄を表示し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

イ 相違点2について
上記相違点2について検討する。
遊技機において、表示手段における表示の制御を一つの制御手段により実行させることは、一般的に行われている事項にすぎない。そして、刊行物1発明においては、「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の特別図柄を可変表示し、表示結果が大当り図柄となったときに特定遊技状態を発生し得るように左・中・右の特別図柄を停止表示する」ための手段(表示制御手段)、「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し、左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示し、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなると、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示する表示制御手段」(変更表示制御手段)、及び、「特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示するとき、左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する図柄を表示し、特別図柄表示部80bでは中図柄の可変表示を行う」手段(動的表示態様表示制御手段)を具体的にどのような手段により構成するかは特定されていないが、例えば段落【0015】に記載の「表示制御基板33a」のような一つの手段が構成するものとして、表示制御手段が変更表示制御手段と動的表示態様表示制御手段とを有する構成とし、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(5)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の【請求の理由】、「3.(6)において、「また、引用文献2には、ダブルリーチで表示されていた表示態様の半分が演出で使用されて、ダブルリーチ表示態様のうち、それぞれのリーチ表示態様の1の図柄が左右に並べて停止表示された状態で表示されて、ダブルリーチで表示されていた図柄の種別のみが識別可能に小さい表示領域で表示されることが記載されています。
このように、引用文献1および2には、複数の図柄列で表示されていたダブルリーチ表示態様を1の図柄列で、停止表示または仮停止表示されていたすべての識別情報に対応する図柄が停止表示または仮停止表示されるように構成することについては記載されておらず、ダブルリーチ表示態様が継続していることを遊技者に安心して報知するためには、引用文献1のように、図柄を並列に並べて複数ラインで表示することのみが記載されています。
・・・
このように、引用文献1および2は、本願請求項1,2が有する上記特徴的構成(A),(B)を有しておらず、また、本願請求項1,2に係る発明が奏する上記格別の効果を奏することもできません。従って、本願請求項1,2は、引用文献1および2に記載された発明ではなく、引用文献1および2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものでもないので、本願請求項1,2は、特許法第29条第2項の規定に該当しません。」との主張をしている(上記の主張における「引用文献1および2」は、それぞれ、特開平10-179864号公報及び上記刊行物1を意味する。)。
しかしながら、上記「(3)(g)」で示したとおり、刊行物1には、「本願補正発明における「2以上の異なる前記所定の組み合わせの一部を構成する前記特殊動的表示態様で表示されていた前記識別情報に対応する前記図柄を前記第2領域で表示する場合には、前記停止表示または仮停止表示されていた前記2以上の異なる組み合わせの種別が常時識別可能となるように前記特殊動的表示態様で停止表示または仮停止表示されていたすべての前記識別情報に対応する図柄をそれぞれ停止表示または仮停止表示させて、他の図柄が動的表示された前記1の図柄列が常時視認可能に表示されるものである」ことに相当する構成が記載されているといえるから、請求人の上記主張は採用することができない。
なお、仮に、本願補正発明において「前記特殊動的表示態様で停止表示または仮停止表示されていたすべての前記識別情報に対応する図柄をそれぞれ停止表示または仮停止表示」させることを、「前記特殊動的表示態様で停止表示または仮停止表示されていたすべての前記識別情報」に1対1で対応し、「前記識別情報」と同数の「図柄をそれぞれ停止表示または仮停止表示」させることを意味する(例えばダブルリーチの場合、ダブルリーチを構成するすべてである4つの図柄に1対1で対応する4つの図柄を停止表示または仮停止表示させるようなことを意味する)と解釈し得たとしても、そのような形態は、刊行物2に記載されているから、刊行物1発明に刊行物2記載の事項を適用して当業者が容易に想到し得たことといえる。

(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明及び刊行物2記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年10月11日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである(A?Gは、分説するために当審にて付した。)。

「【請求項1】
A 表示領域を有する表示手段と、
B 所定の動的表示態様で前記表示手段に動的表示した後、判別結果を示す表示態様で所定の識別情報を停止表示する表示制御手段と、を有し、
C 異なる複数の前記識別情報を組み合わせることにより前記判別結果を報知し、前記識別情報の組み合わせが所定の組み合わせとなった場合に遊技者に特典を付与する遊技機において、
D 前記所定の組み合わせは、前記特典として第1特典が付与される組み合わせと、前記第1特典よりも遊技者に有利となる第2特典が付与される組み合わせとを含む複数の異なる組み合わせが設定されており、
E”前記表示制御手段は、
第1期間であれば、前記表示領域の第1領域にて前記識別情報を前記所定の動的表示態様で動的表示し、第2期間であれば、前記表示領域の前記第1領域よりも小さい領域である第2領域に前記識別情報に対応する1の図柄列で構成された情報を表示する変更表示制御手段と、
F 前記所定の組み合わせの一部を構成する前記識別情報が停止表示または仮停止表示された状態で、他の前記識別情報が動的表示される特殊動的表示態様を表示する動的表示態様表示制御手段と、を有し、
G”2以上の異なる前記所定の組み合わせの一部を構成する前記特殊動的表示態様で表示されていた前記識別情報に対応する前記情報を前記第2領域で表示する場合には、前記停止表示または仮停止表示されていた前記2以上の異なる組み合わせの種別が常時識別可能となるように表示されるものであることを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
刊行物1及びその記載事項並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(2)(2-1)」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明と刊行物1発明とを対比する。

本願発明における構成A、B、C、D、Fと刊行物1発明における構成a、b、c、d、fとの対比については、上記「第2 3(3)」において検討したとおりである。

(e)刊行物1発明において、「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し」てから、「左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示し、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなる」までの期間は、本願発明における「第1期間」に相当し、刊行物1発明において、当該期間における「特別図柄表示部80a?80c」の領域は、本願発明の「第1領域」に相当する。また、刊行物1発明において「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し」てから、「左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示」するまでの期間は、「特別図柄表示部80a?80c」で「左・中・右の全図柄の変動」を行うから、本願発明と同様に「前記表示領域の第1領域にて前記識別情報を前記所定の動的表示態様で動的表示」するといえる。
刊行物1発明において、「2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとな」ってから、「左・中・右の特別図柄を停止表示」(構成b)までの期間は、本願発明の「第2期間」に相当し、刊行物1発明において、「表示画面の上半分に縮小」した「特別図柄表示部80a?80cの表示領域」は、本願発明における「前記表示領域の前記第1領域よりも小さい領域である第2領域」に相当する。また、刊行物1発明において、「左の特別図柄表示部80a」に表示される「一方のリーチ図柄を構成する図柄」及び「右の特別図柄表示部80c」に表示される「他方のリーチ図柄を構成する図柄」は、本願発明における「2つの当りライン」における2つの「図柄」に対応した図柄であるといえ、刊行物1発明において「1の図柄列で表示」することは、本願発明において「1の図柄列で構成された情報を表示する」ことに相当する。そして、刊行物1発明の「表示制御手段」は、本願発明の「変更表示制御手段」に相当する。
したがって、刊行物1発明において「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し、左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示し、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなると、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示する表示制御手段を備え」ることは、本願発明の構成E”と、「前記所定の組み合わせの一部を構成する前記識別情報が停止表示または仮停止表示された状態で、他の前記識別情報が動的表示される特殊動的表示態様を表示する動的表示態様表示制御手段」を有する点で共通する。

(g)刊行物1発明において、「2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなる」際の、「2つの当りライン上」における「同一図柄で揃」った「左右の図柄」は、本願発明における、「2以上の異なる所定の組み合わせの一部」を構成する「識別情報」であるといえる。そして、刊行物1発明において、「表示画面の上半分に縮小」した「表示領域」(第2領域)の「左の特別図柄表示部80a」に表示される「一方のリーチ図柄を構成する図柄」、及び、「右の特別図柄表示部80c」に表示される「他方のリーチ図柄を構成する図柄」は、「2以上の異なる前記所定の組み合わせの一部を構成する前記特殊動的表示態様で表示されていた前記識別情報に対応する前記情報」に相当し、また、刊行物1発明においては、「一方のリーチ図柄を構成する図柄」及び「他方のリーチ図柄を構成する図柄」が同時に表示され、常時視認可能であることは明らかであるから、本願発明と同様に「前記停止表示または仮停止表示されていた前記2以上の異なる組み合わせの種別が常時識別可能となる」といえる。
したがって、刊行物1発明において、「特別図柄表示部80a?80cで左・中・右の全図柄の変動を開始し、左図柄を停止表示し、右図柄を停止表示し、2つの当りライン上で同時に左右の図柄が同一図柄で揃うダブルリーチとなると、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示する表示制御手段を備え、特別図柄表示部80a?80cの表示領域を表示画面の上半分に縮小し1の図柄列で表示するとき、左の特別図柄表示部80aには、一方のリーチ図柄を構成する図柄を表示する一方、右の特別図柄表示部80cには、他方のリーチ図柄を構成する図柄を表示し、特別図柄表示部80bでは中図柄の可変表示を行う」ことは、本願発明において、「2以上の異なる前記所定の組み合わせの一部を構成する前記特殊動的表示態様で表示されていた前記識別情報に対応する前記情報を前記第2領域で表示する場合には、前記停止表示または仮停止表示されていた前記2以上の異なる組み合わせの種別が常時識別可能となるように表示される」ことに相当する。

以上の対比より、本願発明と刊行物1発明とは、

「A 表示領域を有する表示手段と、
B 所定の動的表示態様で前記表示手段に動的表示した後、判別結果を示す表示態様で所定の識別情報を停止表示する表示制御手段と、を有し、
C 異なる複数の前記識別情報を組み合わせることにより前記判別結果を報知し、前記識別情報の組み合わせが所定の組み合わせとなった場合に遊技者に特典を付与する遊技機において、
D 前記所定の組み合わせは、前記特典として第1特典が付与される組み合わせと、前記第1特典よりも遊技者に有利となる第2特典が付与される組み合わせとを含む複数の異なる組み合わせが設定されており、
E”’第1期間であれば、前記表示領域の第1領域にて前記識別情報を前記所定の動的表示態様で動的表示し、第2期間であれば、前記表示領域の前記第1領域よりも小さい領域である第2領域に前記識別情報に対応する1の図柄列で構成された情報を表示する変更表示制御手段と、
F’前記所定の組み合わせの一部を構成する前記識別情報が停止表示または仮停止表示された状態で、他の前記識別情報が動的表示される特殊動的表示態様を表示する動的表示態様表示制御手段と、を有し、
G”2以上の異なる前記所定の組み合わせの一部を構成する前記特殊動的表示態様で表示されていた前記識別情報に対応する前記情報を前記第2領域で表示する場合には、前記停止表示または仮停止表示されていた前記2以上の異なる組み合わせの種別が常時識別可能となるように表示される遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点3)構成E”、Fに関して、「変更表示制御手段」及び「動的表示態様表示制御手段」を、本願発明は、「前記表示制御手段」が有すると特定されているのに対し、刊行物1発明はそのように特定されていない点。

そして、上記相違点3は、上記相違点2と同様のものであり、上記「第2 3(4)イ」で検討したとおりであるから、刊行物1発明において、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

したがって、本願発明は当業者が刊行物1発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-11-17 
結審通知日 2017-11-21 
審決日 2017-12-04 
出願番号 特願2012-241375(P2012-241375)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 遠藤 孝徳  
特許庁審判長 服部 和男
特許庁審判官 萩田 裕介
藤田 年彦
発明の名称 遊技機  
代理人 工藤 洋平  

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