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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1336873
審判番号 不服2017-2551  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-22 
確定日 2018-02-21 
事件の表示 特願2012-225155「省エネルギー操業評価システム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月 1日出願公開、特開2014- 78111、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年10月10日の出願であって、平成28年5月27日付けで拒絶理由通知がされ、同年7月7日付けで意見書が提出されたものの、同年12月26日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年2月22日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年12月26日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1に係る発明は、下記引用文献1に記載され、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(以下、「引用発明」という。)であるから、特許法第29条第1項第3号に該当するものであり、特許を受けることができない、又は、本願請求項1に係る発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願請求項2乃至9に係る発明は、引用発明及び引用文献2乃至4に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2004-171443号公報
2.?4. 略

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1乃至9に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1乃至9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」等という。)は、平成29年2月22付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1乃至9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
対象プロセスの生産量と消費エネルギー量とを入力するデータ入力部と、
前記生産量と前記消費エネルギー量とから生産エネルギー原単位を算出する生産エネルギー原単位算出部と、
生産量に対する生産エネルギー原単位の実績値に基づいて、生産量毎の評価基準を得るための評価基準データを作成する評価基準作成部と、
評価対象の生産量と消費エネルギー量とを入力し、その生産量に対する生産エネルギー原単位を、前記評価基準データから得られる同じ生産量における評価基準を用いて評価する評価部と、
を備えたことを特徴とする省エネルギー操業評価システム。」

本願発明2乃至本願発明9は、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2乃至9に係る発明であり、本願発明1を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0009】【発明が解決しようとする課題】省エネルギー対策の監視対象が工場の場合、工場向けのエネルギー原単位を算出するための基準(即ち、エネルギー原単位算出基準)は、通常は生産量あるいは生産高であり、明確にエネルギー原単位算出基準を設定することができる。一方、省エネルギー対策の監視対象がビルの場合、そのビルの使用用途(ホテル、病院、学校、雑居ビルなど)により、そのエネルギー利用効率を適切に示すエネルギー原単位を算出するための基準(エネルギー原単位算出基準)を明確に設定できないという問題がある。即ち、省エネルギー対策の監視対象がビルの場合、「1つだけのエネルギー原単位算出基準を設定して、これに対応するエネルギー原単位特性グラフを作成しただけでは、エネルギー消費特性を分析・診断するのが困難である」という問題がある。
【0010】例えば、ビルの場合、「面積」をエネルギー原単位を算出するための基準(エネルギー原単位算出基準)にすると、面積のデータは一定の値(固定値)になる場合が多い。この場合、算出されるエネルギー原単位は、消費電力量の変動がそのままエネルギー原単位の変動になる。この時のエネルギー原単位特性グラフは、必ずしもビルにおけるエネルギーの消費特性を適切に示すものではない。従って、省エネルギー対策の監視対象がビルなどの場合、複数のエネルギー原単位算出基準を設定し、これに対応する複数のエネルギー原単位特性グラフを作成し、作成された複数のエネルギー原単位特性グラフを用いて消費特性を分析・診断して、省エネルギー対策を行う必要がある。
【0011】この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、ビルなどのように、適切な1つのエネルギー原単位算出基準を予め設定できない場合でも、複数のエネルギー原単位算出基準を設定して複数のエネルギー原単位特性グラフを作成することができ、さらに作成された複数のエネルギー原単位特性グラフを比較・分析することにより、省エネルギー対象に対する適切な省エネルギー対策に資する情報を提供し、活用することができる省エネルギー対策支援システムおよび省エネルギー対策支援方法を提供することを目的とする。」

「【0019】・・・図2は、実施の形態1による省エネルギー対策支援システムの操作および処理手順を説明するためのフローチャートである。図2に示したフローチャートを参照して、図1に示した省エネルギー対策支援システムの操作および処理手順について説明する。消費エネルギー量入力処理手段3は、エネルギー原単位算出基準が複数の所定の値(即ち、エネルギー原単位算出基準データ群)のときに、消費エネルギー量計測装置7により所定の時間周期(例えば、1時間毎)で収集される消費エネルギー量データ(例えば、Kwh)をデータ入力装置2から順次読み込む処理を行う。(ステップST11)即ち、データ入力装置2が読み込むデータは、「計測時間」、「計測時間に対応する消費エネルギー量データ」、「計測時間に対応するエネルギー原単位算出基準データ群」である。
【0020】また、エネルギー原単位算出基準設定手段4には、消費エネルギー量入力処理手段3が対象設備の消費エネルギー量データを読み込む際のエネルギー原単位算出基準データ群が記憶される。・・・(ステップST12)
【0021】エネルギー原単位算出手段5は、消費エネルギー量入力処理手段3によりデータ入力装置2から読み込まれた消費エネルギー量データを、これに対応するエネルギー原単位算出基準設定手段4で設定されているエネルギー原単位算出基準データで除して、それぞれのエネルギー原単位算出基準データにおけるエネルギー原単位を算出する。(ステップST13)・・・
【0022】次に、エネルギー原単位特性グラフ作成手段6は、エネルギー原単位算出手段5により算出された各エネルギー原単位の値と、これに対応するエネルギー原単位算出基準データの値とに基づいて、横軸にエネルギー原単位算出基準データ値を、縦軸にエネルギー原単位の値をとったエネルギー原単位特性グラフを作成する。(ステップST14)・・・」

「【0026】・・・図5は、実施の形態2による省エネルギー対策支援システムの操作および処理の手順を説明するためのフローチャートである。・・・消費エネルギー量計測対象設備100から消費エネルギー量の読み込みを行うステップ(ST21)からエネルギー原単位特性グラフを作成するステップ(ST24)までの処理内容は、実施の形態1における(ステップST11?ステップST14)と同様である。
【0027】本実施の形態においては、エネルギー原単位特性グラフ診断手段8は、エネルギー原単位特性グラフ作成手段6で作成されたエネルギー原単位特性グラフ上のプロットされた各点に対し、線形近似を行ない、その結果得られる一次近似式の傾きを表す値を算出する。また、エネルギー原単位特性グラフ上のプロット点が、線形近似の線にどれだけ乗っているかを示す分布の大きさを算出する。さらに、エネルギー原単位特性グラフ上で、エネルギー原単位算出基準データのある値の近傍において、エネルギー原単位の値がばらついている個所、つまり、縦軸方向にプロット点が分布している個所を生産量ネックとして算出する。
【0028】そして、ここまでで得られたエネルギー原単位特性グラフの傾きの値、分布の大きさ、生産量ネックの有無の3種類のデータの組合せにより、エネルギー消費特性を診断する。(ステップST25)」

「【0030】次に、エネルギー原単位算出基準決定手段9は、エネルギー原単位特性グラフ作成手段6で作成された複数のエネルギー原単位特性グラフに対し、エネルギー原単位特性グラフ診断手段8で診断されたエネルギー消費特性に関して、ある基準に基づいてエネルギー消費効率傾向を最も適切に表現しているエネルギー原単位算出基準を決定する。(ステップST26)・・・
【0031】さらに、エネルギー原単位算出基準情報登録手段10は、決定されたエネルギー原単位算出基準と対応するエネルギー収集対象のタイプの組をエネルギー原単位算出基準情報として、エネルギー原単位算出基準情報データベース11に登録する。(ステップST27)。・・・」

したがって、上記引用文献1には次の発明(引用発明)が記載されていると認められる。

「計測時間、計測時間に対応する消費エネルギー量データ、計測時間に対応する生産量などのエネルギー原単位算出基準データ群を順次読み込む消費エネルギー量入力処理手段と、
消費エネルギー量入力処理手段が対象設備の消費エネルギー量データを読み込む際のエネルギー原単位算出基準データ群が記憶されるエネルギー原単位算出基準設定手段と、
消費エネルギー量入力処理手段により読み込まれた消費エネルギー量データを、これに対応するエネルギー原単位算出基準設定手段で設定されているエネルギー原単位算出基準データで除して、それぞれのエネルギー原単位算出基準データにおけるエネルギー原単位を算出するエネルギー原単位算出手段と、
エネルギー原単位算出手段により算出された各エネルギー原単位の値と、これに対応するエネルギー原単位算出基準データの値とに基づいて、横軸にエネルギー原単位算出基準データ値を、縦軸にエネルギー原単位の値をとったエネルギー原単位特性グラフを作成するエネルギー原単位特性グラフ作成手段と、
エネルギー原単位特性グラフ作成手段で作成されたエネルギー原単位特性グラフ上のプロットされた各点に対し、線形近似を行ない、その結果得られる一次近似式の傾きを表す値を算出し、エネルギー原単位特性グラフ上のプロット点が、線形近似の線にどれだけ乗っているかを示す分布の大きさを算出し、エネルギー原単位特性グラフ上で、エネルギー原単位算出基準データのある値の近傍において、エネルギー原単位の値がばらついている個所を生産量ネックとして算出し、得られたエネルギー原単位特性グラフの傾きの値、分布の大きさ及び生産量ネックの有無の3種類のデータの組合せにより、エネルギー消費特性を診断するエネルギー原単位特性グラフ診断手段と、
エネルギー原単位特性グラフ作成手段で作成された複数のエネルギー原単位特性グラフに対し、エネルギー原単位特性グラフ診断手段で診断されたエネルギー消費特性に関して、ある基準に基づいてエネルギー消費効率傾向を最も適切に表現しているエネルギー原単位算出基準を決定するエネルギー原単位算出基準決定手段と、
を備えた省エネルギー対策支援システム」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明の「消費エネルギー量データ」は、本願発明1の対象プロセスの「消費エネルギー量」に相当する。また、引用発明における「生産量などのエネルギー原単位算出基準データ群」中の「生産量」である「エネルギー原単位算出基準データ」は、本願発明1における対象プロセスの「生産量」に相当する。
そうすると、引用発明の「消費エネルギー量入力処理手段」は、対象プロセスの生産量と消費エネルギー量とを入力するものであるから、本願発明1の「データ入力部」に相当する。

また、引用発明における「エネルギー原単位」のうち「生産量」である「エネルギー原単位算出基準データ」に基づくものは、消費エネルギー量を、「生産量」で除して算出されるものであるから、本願発明1における「生産エネルギー原単位」に相当する。そして、引用発明の「エネルギー原単位算出手段」は、この生産エネルギー原単位を算出するものであるから、本願発明1の「生産エネルギー原単位算出部」に相当する。

引用発明の「省エネルギー対策支援システム」は、そのうちの「エネルギー原単位特性グラフ診断手段」における「エネルギー消費特性」の「診断」という評価対象プロセスの評価を伴うものであるから、その観点からみて「省エネルギー操業評価システム」であるといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
対象プロセスの生産量と消費エネルギー量とを入力するデータ入力部と、
前記生産量と前記消費エネルギー量とから生産エネルギー原単位を算出する生産エネルギー原単位算出部と、
を備えた省エネルギー操業評価システム。

(相違点)
本願発明1は、「生産量に対する生産エネルギー原単位の実績値に基づいて、生産量毎の評価基準を得るための評価基準データを作成する評価基準作成部」及び「評価対象の生産量と消費エネルギー量とを入力し、その生産量に対する生産エネルギー原単位を、前記評価基準データから得られる同じ生産量における評価基準を用いて評価する評価部」を備えるのに対し、引用発明は、「エネルギー原単位特性グラフ作成手段」、「エネルギー原単位特性グラフ診断手段」及び「エネルギー原単位算出基準決定手段」を備える点。

(2)相違点についての判断
引用発明は、エネルギー消費特性の診断を行うものではあるものの、この診断は、複数のエネルギー原単位特性グラフに対応する複数のエネルギー原単位算出基準からエネルギー消費特性に関するエネルギー消費効率傾向を最も適切に表現する場合のエネルギー原単位算出基準を決定するためのものであり、エネルギー原単位算出基準が生産量に限られないことを前提とした評価である。そして、引用発明は、「適切な1つのエネルギー原単位算出基準を予め設定できない場合」への対応を課題とするものであり(引用文献1、段落【0009】?【0011】)、このことに照らせば、エネルギー原単位算出基準が生産量に限られないことは、引用発明において不可欠のものである。
してみると、エネルギー原単位算出基準が生産量に限られないことを前提とした引用発明における評価を、「エネルギー原単位算出基準」が「生産量」であることを前提とした「生産量毎の評価基準」に基づく評価とすることはできない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2乃至9について
本願発明2乃至本願発明9は、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2乃至9に係る発明であり、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定について
原査定は、引用発明が、「複数のエネルギー原単位算出基準」を用いたエネルギー消費特性の診断を行うものであり、審判請求時の補正前の「生産量指標毎」に作成された評価基準データによる評価を行う点に相当するとしていたところ、本願発明1乃至9は、「生産量毎の評価基準」に基づく評価を行うものであって「複数のエネルギー原単位算出基準」を用いたエネルギー消費特性の診断を行うものではないから、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-02-06 
出願番号 特願2012-225155(P2012-225155)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山下 剛史  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 相崎 裕恒
石川 正二
発明の名称 省エネルギー操業評価システム  
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