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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04J |
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管理番号 | 1336885 |
審判番号 | 不服2016-7251 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-05-18 |
確定日 | 2018-01-30 |
事件の表示 | 特願2014- 65511「通信システムにおけるデータ送信方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月10日出願公開,特開2014-131355〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2008年9月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2007年9月19日 米国,2007年10月1日 米国,2008年8月28日 米国)を国際出願日とする出願である特願2010-525764号の一部を,平成24年11月22日に新たな特許出願とした特願2012-256144号の一部を,平成26年3月27日に更に新たな特許出願としたものであって,平成28年1月8日付けで拒絶査定がされ,これに対し,同年5月18日に拒絶査定不服審判が請求され,同時に手続補正がされ,その後,当審において平成29年2月24日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,同年6月27日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 当審において通知した拒絶理由 当審拒絶理由の概要は,以下のとおりである。 1 理由1(サポート要件,明確性) この出願は,特許請求の範囲の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第1号,第2号に規定する要件を満たしていない。 (3)「第2のスロットにおいて,前記ACK/NCK信号に対する第3のサイクリックシフト及び第3の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて獲得され,前記第2のスロットにおいて,前記基準信号に対する第4のサイクリックシフト及び第4の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて獲得される」(請求項1,4,7,10)なる事項は,発明の詳細な説明に記載も示唆もされておらず,その裏付けが不明である。 また,発明の詳細な説明の【0005】,【0033】等の記載を参酌すると,本願発明は再マッピングテーブルを用いることによる問題を解決するために,第1のスロットにおける各種インデックスの関数を演算することにより第2のスロットにおける再マッピングのインデックスを求めるものと認められるが,各請求項の記載によれば,上記関数の演算によらず,単にインデックスに基づいてテーブルを参照することも含んでいるため,課題解決手段が反映されているとはいえない。 ( 意見書及び審判請求書において,「本願発明は,「無線通信システムにおいて,送信リソースの効率的な再マッピング及び再グルーピングのための改善した方法及び装置を提供すること」等(本願段落[0007]等)との課題を解決することを目的とし,「特定のパラメータnに基づいて第1のタイムスロットのN個のリソース組合せと第2のタイムスロットのN個のリソース組合せとの間にグローバルリソースマッピング方式が設定される。上記マッピング方式は,j=g(i,n)により設定され,ここで,iは,上記第1のタイムスロットのリソース組合せのインデックスを示し,i=1,2,...,Nであり,jは,上記第2のタイムスロットのリソース組合せのインデックスを示し,j=1,2,...,Nであり,g(a,b)は,擬似ランダム関数である。」(本願段落[0008]等)とする発明等を開示しています。」と主張されているが,当該記載中の「j=g(i,n)」は,第2のタイムスロットにおける「リソース組合せのインデックスj」が,第1のタイムスロットにおける「リソース組合せのインデックスi」を用いて計算されることが示されているのであり,サイクリックシフト及び直交シーケンスが「第1のスロットインデックス」を用いて計算されることと内容が異なる。) 第3 請求人の対応 当審拒絶理由に対して,請求人は,平成29年6月27日付けで,特許請求の範囲を補正する手続補正書及び意見書を提出した。 1 補正後の特許請求の範囲 平成29年6月27日付けで手続補正された特許請求の範囲(抜粋)は以下のとおりである。 「 【請求項1】 移動通信システムにおける通信のための送信器装置であって, 第1のシンボルインデックス,第1のスロットインデックス及びセルIDに基づいてACK/NACK信号のための第1のサイクリックシフトを割り当てて,前記第1のスロットインデックスに基づいて,前記ACK/NACK信号のための第1の直交シーケンスを割り当てて, 第2のシンボルインデックス,前記第1のスロットインデックス及び前記セルIDに基づいて基準信号のための第2のサイクリックシフトを割り当てて,前記第1のスロットインデックスに基づいて,前記基準信号のための第2の直交シーケンスを割り当てて, 前記第1のサイクリックシフト及び前記第1の直交シーケンスで構成される前記ACK/NACK信号を伝送し, 前記第2のサイクリックシフト及び前記第2の直交シーケンスで構成される前記基準信号を伝送する ことを特徴とする送信器装置。 【請求項2】 第2のスロットにおいて,前記ACK/NACK信号に対する第3のサイクリックシフト及び第3の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられ, 前記第2のスロットにおいて,前記基準信号に対する第4のサイクリックシフト及び第4の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられる ことを特徴とする請求項1に記載の送信器装置。」 ([当審注]:下線部は補正箇所を示す。) 補正後の請求項1は,補正前の請求項1から「第2のスロットにおいて,前記ACK/NCK信号に対する第3のサイクリックシフト及び第3の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて獲得され,前記第2のスロットにおいて,前記基準信号に対する第4のサイクリックシフト及び第4の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて獲得される」なる発明特定事項が削除され,当該発明特定事項は新たに追加された補正後の請求項2となった。 また,補正前の請求項4,7,10についても,補正前の請求項1に対する上記補正と同様の補正がされて補正後の請求項5,9,13となり,補正後の請求項2と同様に補正後の請求項6,10,14が新たに追加された。 2 意見書の主張 当審拒絶理由の上記理由1(3)に対して,請求人は平成29年6月27日付け意見書で以下のとおり主張している。 「(2)新設した請求項2について 請求人は,新たな請求項2を,「第2のスロットにおいて,前記ACK/NACK信号に対する第3のサイクリックシフト及び第3の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられ,前記第2のスロットにおいて,前記基準信号に対する第4のサイクリックシフト及び第4の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられることを特徴とする請求項1に記載の送信器装置。」として新設致しました。 この補正は,下記に示す本願発明の詳細な説明によりサポートされているものと請求人は思料致します。 本願発明の詳細な説明段落[0252]の[数50](数式(40))には, と記載されています。 ここで,n_(s)はスロットインデックスを意味し,n_(s)-1は以前スロットインデックスを意味します。従いまして,補正後の本願請求項2に記載された,第2のスロットでCS(サイクリックシフト)は,第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられることは,本願発明の詳細な説明により明確にサポートされるものと請求人は思料致します。 また,詳細な説明の段落[0066]に記載された通り,直交シーケンス及びサイクリックシフトは,コンボで割り当てられるので,第2のスロットでOC(直交シーケンス)も第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられることができます。 従いまして,上記補正後の本願請求項2に記載された,第2のスロットにおいて,OC(直交シーケンス)は,第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられることは,本願詳細な説明に基づいて明確にサポートされるものと思われます。」 第4 当審の判断 1 本願明細書の記載 本願明細書には以下の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は,無線通信システムにおける送信リソースの再マッピング及び再グルーピングのための方法及び装置に関する。 【背景技術】 (中略) 【0004】 また,アップリンク(UL)肯定応答チャネル及び基準信号(RS)の送信ブロックに対する現在の動作仮定(current working assumption)に従って,肯定応答/否定応答(ACK/NACK)信号及びACK/NACK復調のためのUL RSは,基本シーケンスのCS及び直交カバー(OC)により構成されるコードチャネル上で多重化される。基本シーケンスの一例としてZC(Zadoff-Chu)シーケンスを挙げることができる。 【0005】 システム設計の重要な一面は,シンボル,スロット,又はサブフレームレベルでのリソース再マッピングである。従来,参考文献[5]に開示された方式に基づいてテーブルを再マッピングする方法のような幾つかの方法が提案されたが,このような方式に基づく再マッピングテーブルは,再マッピングテーブルの記憶装置が要求されるため好ましくない。したがって,本発明では,リソース再マッピングのための効率的でありかつ一般的な方法を見つけようとする。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 したがって,本発明は,無線通信のための改善した方法及び装置を提供することにある。 【0007】 本発明の他の目的は,無線通信システムにおいて,送信リソースの効率的な再マッピング及び再グルーピングのための改善した方法及び装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記のような目的を達成するために,本発明の一態様によれば,特定のパラメータnに基づいて第1のタイムスロットのN個のリソース組合せと第2のタイムスロットのN個のリソース組合せとの間にグローバルリソースマッピング方式が設定される。上記マッピング方式は,j=g(i,n)により設定され,ここで,iは,上記第1のタイムスロットのリソース組合せのインデックスを示し,i=1,2,...,Nであり,jは,上記第2のタイムスロットのリソース組合せのインデックスを示し,j=1,2,...,Nであり,g(a,b)は,擬似ランダム関数である。」, 「【0033】 システム設計の重要な一面は,シンボル,スロット,又はサブフレームレベルでのリソース再マッピングである。従来では,参考文献[5]に開示された方式に基づいてテーブルを再マッピングする方法のような幾つかの方法が提案されたが,この方式に基づく再マッピングテーブルは,再マッピングテーブルの記憶空間が要求されるため好ましくない。したがって,本発明では,リソース再マッピングのための効率的でありかつ一般的な方法を見つけようとする。」, 「【0066】 2.直交カバー/サイクリックシフト組合せのためのスロットレベルリソース再マッピング まず,アップリンク制御チャネルの2個のスロットの各々で使用可能な総N個のリソースが存在する場合を考慮し,各リソースは,直交カバー及びサイクリックシフトの組合せ(OC/CSコンボ)として定義される。このようなタイプのリソースコンボ割り当ての適用の一例として,アップリンクACK/NACKチャネルを挙げることができる。アップリンクサービスグラント要請チャネルがアップリンクACK/NACKチャネルの構成を再使用することができることに留意しなければならない。このようなタイプのリソースコンボ割り当ての適用の他の例として,アップリンク復調基準シンボル(RS)を挙げることができる。 【0067】 直交カバーの一例としてウォルシュアダマール(Walsh-Hadamard)コードを挙げることができる。 【0068】 一方,サイクリックシフト(CS)は,通常,基本シーケンスに適用され,基本シーケンスの例は,ZC(Zadoff-Zhu)コード及びコンピュータ生成CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto-Correlation)コードを挙げることができる。長さNの基本シーケンスに対して,N個のサイクリックシフト又はN個のCSリソースが存在する。 【0069】 以下では,OC/CSコンボを“CB”として示す。N個のリソースコンボは,次のように求められる。 【0070】 【0071】 ここで,ui及びviは,i番目のリソースコンボに対するOC及びCSインデックスをそれぞれ示す。また,a=1,2は,3GPP LTEアップリンク送信のためのサブフレーム内のスロットインデックスである。 【0072】 2.1 グローバルリソース再マッピング 本発明の原理による第2の実施形態では,アップリンクサブフレームの両スロットにN個のOC/CSリソースコンボがあると仮定する。UEが第1のスロットでリソースコンボCB_(1)[i]を選択する場合に,UEは,第2のスロットでCB_(2)[g(i,n)]の割り当てを受けなければならない方式でOC/CSリソースコンボを関連させることを提案する。ここで,g(i,n)は,擬似ランダムリソース再マッピング/置換関数であり,nは,パラメータである。 【0073】 本発明の原理による第2の実施形態の第1のサブ実施形態において,擬似ランダム置換関数は,次の通りに設定される。 【0074】 【0075】 ここで,nは,セット{1,2,...,N}又はn=1,...,Nから選択される。この関数P_(G)(i,n,N)は,前のセクションに定義されている。 【0076】 本発明の原理による第2の実施形態の第2のサブ実施形態において,擬似ランダム置換関数は,次のようにPBRO関数を使用する。 【0077】 【0078】 ここで,関数PBRO(a,b)は,前に定義されており,nは,セット{1,2,...,N}から選択される。 【0079】 本発明の原理による第2の実施形態の第3のサブ実施形態において,上述した2個のサブ実施形態のパラメータnは,すべてのセルに対して同一である。パラメータnは,上位レイヤーシグナリングを介してUEに通信されることができる。 【0080】 本発明の原理による第2の実施形態の第4のサブ実施形態において,パラメータnは,CELL ID(c_id)の関数であり,n=f(c_id)で示す。したがって,異なるc_idに対して,異なるパラメータnを得る。このような関数の一例として,n=mod(c_id-1,N)+1を挙げることができる。 【0081】 このような実施形態に対する一例を示す前に,参考文献[3]に開示されたような4個 のOCサブセットS_(1),S_(2),S_(3),及びS_(4)の表を提示する。各サブセットでの3個のコードをS_(i)(A),S_(i)(B),及びS_(i)(C)として示す。 【0082】 下記の<表1>は,3個のOCのすべてのセット間の等価マッピングを示す。 【0083】 【0084】 ここで,OCコードのセットは,参考文献[3]に従うウォルシュコードにより次のように与えられる。 【0085】 【0086】 上述した実施形態の適用の一例を説明する。まず,リソースOC/CSコンボの割り当て/定義は,参考文献[3]に提示された通りに,下記の<表2>(N=18)に与えられる。下記の<表2>は,2個のスロットに対して定義されたOC/CSリソース組合せ(N=18)を示す。 【0087】 【0088】 ここで,OC_(1)[1],OC_(1)[2],及びOC_(1)[3]は,スロット1で使用される3個のOCコードであり,OC_(2)[1],OC_(2)[2],及びOC_(2)[3]は,スロット2で使用される3個のOCコードである。一般的に,各スロットでのOCコードは,<表1>に定義されている4個の長さが4であるウォルシュコード{c1,c2,c3,c4}の任意のサブセットであることができる。OCコード選択の一例は,1対の整数(i,j)に対して第1のスロット内のOCコードがOC_(1)[1]=S_(i)(A),OC_(1)[2]=S_(i)(C),OC_(1)[3]=S_(i)(B)であり,第2のスロット内のOCコードがOC_(2)[1]=S_(j)(A),OC_(2)[2]=S_(j)(C),OC_(2)[3]=S_(j)(B)である(参考文献[3])。例えば,i=j=2である場合に,OC_(1)[1]=OC_(2)[1]=S2(A)=c1,OC_(1)[2]=OC_(2)[2]=S_(2)(C)=c2,及びOC_(1)[3]=OC_(2)[3]=S_(2)(B)=c4である。 【0089】 上述した<表2>における18個のOC/CSコンボの例において,スロット1及びスロット2内のリソースコンボ間の関連/再マッピングを探す。添付された<表19>に示す代案的な割り当て方式のように,N=18 OC/CS組合せが存在する任意の他の場合にも同一の関連/再マッピングが適用されることができることに留意すべきである。N=18及びN+1=19が素数であり,GF(19)がグラウンドガロアフィールドであるため,g(i,n)=P_(G,3)(i,n,18)=mod(i×n,19)をスロット1リソースCB_(1)[i]及びスロット2リソースCB_(2)[g(i,n)]を関連させる置換関数g(i,n)として使用することができる。このようなリソース再マッピング関数は,下記の<表3>に図示される。n=1乃至n=4である場合に対して図示したが,他のパラメータ値n=5乃至n=18も関数g(i,n)を生成するのに使用されることができることに留意しなければならない。 【0090】 【0091】 他の例では,下記の<表4>に示すように,N=12又は各スロットで12個のOC/CSリソースコンボがある。 【0092】 下記の<表4>は,参考文献[3]に提示された2個のスロットに対して定義されたOC/CSリソース組合せを示す。 【0093】 【0094】 上述した<表4>の例において,スロット1及びスロット2のリソースコンボ間の関連(association)を求める。N=12 OC/CS組合せが存在する任意の他の場合に対しても同一の関連/再マッピングが適用可能であることに留意しなければならない。N=12及びN+1=13が素数であり,GF(13)がグラウンドガロアフィールドであるため,g(i,n)=P_(G,3)(i,n,12)=mod(i×n,13)をスロット1リソースCB_(1)[i]及びスロット2リソースCB_(2)[g(i,n)]を関連させる置換関数g(i,n)として使用することができる。このようなリソース再マッピング関数は,下記の<表5>に示す。下記の<表5>は,パラメータnの関数としてのリソース置換/再マッピング関数g(i,n)を示す(N=12)。n=1乃至n=3である場合のみに対して図示したが,他のパラメータ値n=5乃至n=12も関数g(i,n)を生成するのに使用されることができることに留意しなければならない。 【0095】 」, 「【0200】 4.スロットレベル又はシンボルレベルセル特定CSホッピングパターンの生成 最大ホップ値をKと仮定する。 【0201】 本発明の原理による第14の実施形態において,k個の連続スロットの期間に対するスロットレベル基本シーケンスセル特定パターンを提案する。セル特定スロットレベルホッピングパターンは,次のようである。 【0202】 【0203】 又は 【0204】 【0205】 ここで,関数rは,r(c_id,n,K)=mod(c_id+n-1,K)+1として定義される。sl_id=1,・・・,Kは,このK個の連続スロット内のスロットのスロットインデックスであり,nは,整数であるパラメータであり,c_idは,CELL IDを示すことに留意する。ガロアフィールド基盤の再マッピング/置換関数P_(G)(c_id,r,K)は,セクション1に定義されている。PBRO関数は,前に定義された。 【0206】 例えば,12個のサブキャリアがLTEアップリンク制御チャネルPUCCHに存在する場合に,最大ホップK=12である。例えば,n=0とし,h_slot(c_id,sl_id)=P_(G,3)(sl_id,r(c_id,0,12),12)=mod(sl_id×r(c_id,0,12),13)とする。ここで,12+1=13であり,GF(13)は,グラウンドガロアフィールドであるため,前に定義されたP_(G,3)(・,・,・)関数を使用することができる。 【0207】 さらに,最大ホップ値をKで示す。また,Lをサブフレーム内の関心のある(interest)OFDMシンボルの個数とする。」, 「【0229】 本発明の原理による第18の実施形態において,物理アップリンク制御チャネルは,<表18>に示すような多重フォーマットを支援する。フォーマット2a及び2bは,正常のサイクリックプレフィックスだけのために支援される。 【0230】 【0231】 PUCCHがマッピングされるサブフレームの2個のスロットで2個のリソースブロック内のリソースインデックスは,n_(s) mod2=0である場合に,下記の数式(34)のように与えられ,n_(s) mod2=1である場合に,下記の数式(35)のように与えられる。 【0232】 」 そして,本願明細書には,「第2のスロットにおいて,前記ACK/NACK信号に対する第3のサイクリックシフト及び第3の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられ,前記第2のスロットにおいて,前記基準信号に対する第4のサイクリックシフト及び第4の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられる」ことについての記載は見出せない。 2 補正後の発明と課題との関係について まず,補正後の請求項1,2において,発明の詳細な説明に記載された,発明の課題を解決するための手段が反映されているかどうかについて検討する。 上記【0005】(【背景技術】),【0007】(【発明が解決しようとする課題】),【0008】(【課題を解決するための手段】),【0033】の記載によれば,発明の詳細な説明に記載された発明は,シンボル,スロット,又はサブフレームレベルでのリソース再マッピングに関して,再マッピングテーブルに基づく手法は記憶装置を必要とするため好ましくないことから,送信リソースの効率的な再マッピング及び再グルーピングのための改善した方法及び装置を提供することを課題とするものであり,特定のパラメータnに基づいて第1のタイムスロットのN個のリソース組合せのインデックスと第2のタイムスロットのN個のリソース組合せのインデクックスとの間に,j=g(i,n) (ここで,g(a,b)は擬似ランダム関数。) により設定されるグローバルリソースマッピング方式を用いること,すなわち,第1のタイムスロットのリソース組合せのインデックスiを用いて第2のタイムスロットのリソース組合せのインデックスjを演算で求めることにより,再マッピングテーブルを用いることなくリソース再マッピングを行うことを,課題解決手段とするものであると認められる。 しかしながら,補正後の請求項1は,第2のスロットにおけるACK/NCK信号に対する第3のサイクリックシフト及び第3の直交シーケンス,,並びに第2のスロットにおける基準信号に対する第4のサイクリックシフト及び第4の直交シーケンスを得ることに関する発明特定事項が削除され,リソース再マッピングを効率的なものとするための上記課題解決手段が存在しないこととなった。すなわち,補正後の請求項1は,発明の詳細な説明に記載された課題解決手段が反映されておらず,課題を解決し得ないものであることは明らかである。 また,平成29年6月27日付けの手続補正で新たに追加された補正後の請求項2には「第2のスロットにおいて,前記ACK/NACK信号に対する第3のサイクリックシフト及び第3の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられ,前記第2のスロットにおいて,前記基準信号に対する第4のサイクリックシフト及び第4の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられる」との発明特定事項があるが,当該発明特定事項中の「第1のスロットインデックス」は,スロットインデックス(sl_id又はn_(s))であって,種々のインデックスを用いて演算されたj=g(i,n)における第1のタイムスロットのリソース組合せのインデックスiではない。 そして,補正後の請求項2には,第2のスロットにおけるサイクリックシフト及び直交シーケンスが第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられることが規定されるのみであるから,例えば,再マッピングテーブルを用いて,第1のスロットインデックスにより第2のスロットにて使用するサイクリックシフト及び直交シーケンスを読み出すことを含み得ることは明らかである。したがって,そのようなものは,上記課題解決手段が反映されておらず,課題を解決し得ないものであることは明らかである。 したがって,本願は,請求項1,2において,発明の詳細な説明に記載された,発明の課題を解決するための手段が反映されていないため,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなっている。 補正前の請求項1に対する補正と同様の補正がされた補正後の請求項5,9,13,補正後の請求項2と同様に追加された補正後の請求項6,10,14,及び補正後の請求項1,5,9,13を引用する補正後の請求項3,4,7,8,11,12,15,16においても,同様に,発明の詳細な説明に記載された,発明の課題を解決するための手段が反映されていないため,発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなっている。 3 請求人が主張する根拠について (1)上記【0205】,【0234】の記載によれば,スロットインデックスは「sl_id」であり,「n_(s)」はスロット番号であると定義されている。そして,本願明細書にはスロットインデックス(sl_id)とスロット番号(n_(s))との関係については明らかにされていない。しかしながら,3GPP LTEでは1つのサブフレームが2つのスロットからなることは技術常識であり,上記【0070】,【0071】,【0231】の記載を考慮すると,当該2つのスロットはそれぞれスロット番号が偶数か奇数かにより区別し得るから,スロット番号はスロットインデックスと同様の機能を有すると解される。ただし,第1のスロットのスロット番号,第2のスロットのスロット番号は,どちらが奇数でどちらが偶数かは不明確である。 そして,上記【0246】?【0250】の記載によれば,数式(40)は,PUCCHフォーマット2/2a/2bの送信のために使用されるリソースに関するサイクリックシフトαを定義する数式(38)中のn_(CS)(n_(S))を規定するものであり,n_(s) mod2=1 すなわち,スロット番号n_(S)が奇数である場合に適用されるものである。 そして,数式(40)によれば,PUCCHフォーマット2/2a/2bの送信のために使用されるリソースのリソースインデックス n^((2))_(PUCCH)が,N^(RB)_(SC)N^((2))_(RB)未満でない場合にのみ,n_(CS)(n_(S))=n_(CS)(n_(S)-1)となり,サイクリックシフトαを定義する数式(38)中のn_(CS)(n_(S))として1つ前のスロットと同じ値を用いることが見てとれる。 しかしながら,N^(RB)_(SC)N^((2))_(RB)未満の場合は,n_(CS)(n_(S))は,n_(S)に基づいて定まるn^(cell)_(CS)(n_(S),l)を用いて演算されるから,スロット番号n_(S)のスロットにおけるサイクリックシフトは当該スロットのスロット番号(スロットインデックス)n_(S)に基づいて割り当てられるものである。 また,n_(s) mod2=0 すなわち,スロット番号n_(S)が偶数である場合に適用される数式(39)をみても,N^(RB)_(SC)N^((2))_(RB)未満の場合もそうでない場合も,n_(CS)(n_(S))は,n_(S)に基づいて定まるn^(cell)_(CS)(n_(S),l)を用いて演算されるから,スロット番号n_(S)のスロットにおけるサイクリックシフトは当該スロットのスロット番号(スロットインデックス)n_(S)に基づいて割り当てられるものである。 そして,特許請求の範囲には,n_(s) mod2=1かつn^((2))_(PUCCH)がN^(RB)_(SC)N^((2))_(RB)未満でない場合との条件はなんら特定されておらず,当該条件に限定して解釈する理由もない。また,特許請求の範囲の記載からは第1のスロット,第2のスロットのどちらがn_(s) mod2=1となるのかも不明確であるから,必ずしも第2のスロットにおいて,n_(CS)(n_(S))=n_(CS)(n_(S)-1)となるとは認められない。 また,数式(40)はPUCCHフォーマット2/2a/2bに関して使用されるものであり,PUCCHフォーマット2/2a/2bでは直交シーケンスによる直交カバーは行われないことは技術常識である。一方,請求項1及び請求項2に係る発明は,サイクリックシフト及び直交シーケンスの双方を同時に用いるものと認められるから,PUCCHフォーマット2/2a/2bを用いるものではないことは明らかである。 してみると,数式(40)は「第2のスロットにおいて,前記ACK/NACK信号に対する第3のサイクリックシフト及び第3の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられ,前記第2のスロットにおいて,前記基準信号に対する第4のサイクリックシフト及び第4の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられる」の根拠とはなり得ないことは明らかである。 なお,サイクリックシフト及び直交シーケンスの双方を同時に用いるPUCCHフォーマット1/1a/1bに関して,上記【0232】,【0233】に数式(34)及び数式(35)が示され,数式(35)によれば,n_(s) mod2=1かつ通常サイクリックシフトでn^((1))_(PUCCH)≧c・N^((1))_(SC)/Δ^(PUCCH)_(shift)でない場合にのみ,n’(n_(S))=n’(n_(S)-1)となるが,数式(34)及び数式(35)により求められるn’(n_(S))は,その定義も,どのように用いられるのかも,一切明らかにされていないから,サイクリックシフト及び直交シーケンスとの関係は不明である。 したがって,これらの数式も「第2のスロットにおいて,前記ACK/NACK信号に対する第3のサイクリックシフト及び第3の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられ,前記第2のスロットにおいて,前記基準信号に対する第4のサイクリックシフト及び第4の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられる」の根拠とはなり得ない。 (2)「直交シーケンス及びサイクリックシフトがコンボで割り当てられること」と,「第2のスロットでOC(直交シーケンス)も第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられる」こととの因果関係が明らかにされていない。 そして,上記【0066】によれば,「直交シーケンス及びサイクリックシフトがコンボで割り当てられること」とは,直交カバー及びサイクリックシフトの組合せ(OC/CSコンボ)についてリソースインデックスが割り当てられると解されるだけであって,「直交シーケンス及びサイクリックシフトがコンボで割り当てられること」と「第2のスロットにおいて,前記ACK/NACK信号に対する第3のサイクリックシフト及び第3の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられ,前記第2のスロットにおいて,前記基準信号に対する第4のサイクリックシフト及び第4の直交シーケンスは,前記第1のスロットインデックスに基づいて割り当てられる」との間には,なんら因果関係は見出せない。 したがって,請求人の主張は意味不明であり,採用できない。 第5 むすび 以上のとおり,本件出願は,特許請求の範囲の記載に不備があり,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから,特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-08-21 |
結審通知日 | 2017-08-28 |
審決日 | 2017-09-14 |
出願番号 | 特願2014-65511(P2014-65511) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(H04J)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 羽岡 さやか、彦田 克文 |
特許庁審判長 |
大塚 良平 |
特許庁審判官 |
山中 実 菅原 道晴 |
発明の名称 | 通信システムにおけるデータ送信方法及び装置 |
代理人 | 崔 允辰 |
代理人 | 阿部 達彦 |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 木内 敬二 |